DARK MATERIAL COMPLEX

登録日:2023/12/24 Sun 00:07:08
更新日:2025/09/28 Sun 00:13:55
所要時間:約 12 分で読めます





バクテラスから飛び出し上空に顕現した謎の存在は、禍々しい姿をしていた。

それこそがジャシンが追い続けていた忌まわしき異物



DARK MATERIAL(クラヤミノコンゲン) COMPLEX(コンプレックス)
*1


DARK MATERIAL COMPLEX》とは、TCGデュエル・マスターズ」のクリーチャー。
DM23-RP4「アビス・レボリューション第4弾 竜皇神爆輝」に収録されたスーパーレアの1枚である。

ARevも佳境に入った第4弾にて、メカのスーパーレア枠を押しのけ収録された謎多きパンドラボックス


解説


DARK MATERIAL(クラヤミノコンゲン) COMPLEX(コンプレックス) SR 闇文明 (1)
クリーチャー:パンドラボックス 25000
ワールド・ブレイカー(このクリーチャーは相手のシールドをすべてブレイクする)
このクリーチャーはタップして出る。
他のクリーチャーが離れた時、または自分のターンのはじめに、自分の山札の上から1枚目を表向きにして、このクリーチャーの下に置いてもよい。
このクリーチャーの下のカードが7枚以下なら、このクリーチャーは離れず、アンタップしない。
このクリーチャーの下に8枚目のカードが置かれた時、このクリーチャーをアンタップする。
このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるカードを1枚、墓地に置いてもよい。そのカードがクリーチャーなら、自分の墓地から出す。

まず目を引くのが、コスト1にしてスケールが違う緑神龍相手でも殴り勝つパワー25000と全てのシールドを叩き割るワールド・ブレイカーを併せ持った規格外のスペック。
当然ただでは攻撃できず、こうしたコスト1の超弩級クリーチャーは《界王類七動目 ジュランネル》や《天斬の悪魔龍 ジュランデス》のように特定の条件を満たす事で攻撃可能になる。
COMPLEXの場合はタップインで場に出る事を強制され、このカードの下に7枚以下のカードしかなければ場を離れないが、代わりに8枚揃うまではアンタップできないという制限が設けられている。

カード下に別のカードを仕込む手段については自前の能力で可能としており、他のクリーチャーが場を離れた時か自分のターン開始時に反応して、山札の上から1枚目のカードをCOMPLEXの下に置ける。
「離れた時」が条件なので、相手クリーチャーに対するバウンスやマナ送りは勿論、自分のクリーチャーを破壊させる自壊効果と組み合わせてもカウントを稼げる。
何気に任意効果のため、7枚揃った段階で相手ターンを越せばアンタップのタイミングをターン開始時に持って来れる他、相手に逆用されてライブラリアウトに追い込まれるリスクもない。
使い勝手としては《禁断英雄 モモキングダムX》の疑似封印に近く、自分のレクスターズが対象だったあちらの範囲を敵味方のクリーチャー全般まで拡大させて封印解除を達成しやすくし、除去耐性をより強固にしたものとなっている。

そしてカード下に8枚目が揃った時点でアンタップし、アタックトリガーでCOMPLEXの下にあるクリーチャーを墓地経由で場に出せる。
超神星DOOM・ドラゲリオン》のメテオバーンを連想させる踏み倒し効果であり、ランダムな山札の上から置いたカードがそのまま踏み倒し候補となるので狙ったクリーチャーを出しづらい反面、非進化のみならず進化クリーチャーにも対応している踏み倒し範囲の広さではCOMPLEXが優っている。
自身のワールド・ブレイカーで相手の全シールドを粉砕しながらスピードアタッカー等の召喚酔いしないクリーチャーを踏み倒せれば、そのままダイレクトアタックまで仕掛ける事が可能である。
実はアンタップ自体に回数制限は設けられていないため、リアニメイトしたクリーチャーが自壊したり相手クリーチャーをバトルで破壊するといった方法でクリーチャーが離れれば、COMPLEXの下にカードが送られてそのターン中に再度アンタップするという理不尽な動きをも可能にしている。
注意点としてはアンタップしても召喚酔いまで解けるわけではないため、出したターンに8枚貯めても他のカードでSA付与しない限りは攻撃まで行えない。

このクリーチャーが強力たる所以は、場を離れない最強クラスの除去耐性によって置物カードとして完成している事にある。
低コストクリーチャーに飛び交う多種多様な除去札が通じず、この手のコスト1クリーチャーにとって課題だった攻撃可能になるまでの除去のされやすさを克服しており、序盤から召喚しても相手に妨害される事なく8枚のカードが貯まるまで置物として場に留まれる。
更には全体除去や上述した自壊効果持ちのクリーチャーを逆手にとって、カウントを一気に稼いだりする事も可能にしている。
他にも《学校男》といった味方への破壊効果を請け負わせてデメリットもチャラにする事ができるが、「場を離れるかわりに〇〇する」置換効果の代用には対応してないので注意。


しかしながら完全無欠の耐性という訳でもなく、幾つかの穴が存在する。
まずは封印。疑似封印を活用するCOMPLEXだが、自身の上にカードが置かれても無力化されてしまう。
封印を解くのに必要な闇文明のコマンドだが、汎用性の塊である《天災 デドダム》を場に出せば封印が解けるため、アナカラー主体のデッキならそこまで警戒しなくていいかもしれない。

次に離れはしないが選ばれないわけではないので、能力その物を無効化する能力にも弱い。
特にコスト5以下のクリーチャーの能力を無視する《∞龍 ゲンムエンペラー》は、COMPLEX自慢のパワーも通じずタップインの隙を付かれてバトルで破壊されてしまう。
幸いにもこの能力は強力さ故に発動にもそれなりのマナを必要とするため、COMPLEXの軽さを活かして使われる前に勝負を決めたいところ。

また、耐性その物をどうこうする事はできないが、攻撃を制限する能力でワールド・ブレイカーとアタックトリガーを封じるのも対策として有効である。


このように一風変わった能力であるため、発売前は何らかの奇想天外なコンボが組まれると予想されていた。
良く言えばロマンカード、悪く言えば面白い効果をしただけの玩具扱いされており、実戦にも通じるガチカードという評価は少なかった。
実際には序盤に召喚して下のカードを貯めていき、8枚揃った時点でワールド・ブレイクしながら召喚酔いしないクリーチャーを横に並べてダイレクトアタック…という想定された通りの使われ方で環境にも通じる活躍を見せた

要因としては、環境の中枢にあるデッキ【アナカラージャオウガ】と好相性を築いていた事、様々なデッキで採用されている強力なクリーチャー《飛翔龍 5000VT》の対策になりながら自分の5000VTでも一気に下のカードを貯められる事が挙げられている。
似た仕様の《禁断英雄 モモキングダムX》が普通じゃない使われ方をされていたのでプレイヤーも身構えていたが、実のところ奇抜なコンボを行わなくとも素で十分に強いカードなのである。


相性の良いカード


アクア鳥人 ロココ UC 水文明 (3)
クリーチャー:リキッド・ピープル閃 2000
自分のコマンド・ドラゴンの召喚コストを1少なくしてもよい。ただし、コストは1より少なくならない。
自分のドラゴンが破壊される時、墓地に置くかわりに自分の手札に戻す。

夢幻なる零龍 C 無色 (0)
クリーチャー:ゼロ・ドラゴン 0
このクリーチャーはシールドを1つもブレイクしない。

場にいる限り破壊された自分のドラゴンを手札回収できる《アクア鳥人 ロココ》と、コストもパワーも0故にタダ出しできて即自壊する《夢幻なる零龍》の2枚を組み合わせて、延々と手札に出し入れするループを引き起こす通称「零龍ロココ」。
これにCOMPLEXを噛ませると、零龍を場から手札に出し入れする度にカード下へと置く効果が起動し、わずか1ターンで8枚のカードを充填できる。
アタックトリガーで《禁断竜王 Vol-Val-8》辺りを踏み倒せれば最速3ターンキルすら実現できる。

しかし個々のサーチ手段に乏しい、メタカードに尽く弱い、カードパワーが低い等の理由からプレイヤーにはサガループの劣化版のように扱われ、事前評価はあまり高くなかった。
それでも劣化とはいえあのサガループに近い出力が出せるためか、大会ではポツポツと成績を収めている。

CRYMAX(クライマックス) ジャオウガ KGM 闇文明 (7)
S-MAX進化クリーチャー:デモニオ/鬼レクスターズ 13000
鬼S-MAX進化:自分がゲームに負ける時、またはこのクリーチャーが離れる時、かわりに自分の表向きのカードを3枚破壊してもよい。(このクリーチャーは進化元を必要としない。自分のS-MAX進化クリーチャーが2体以上あれば、そのうちの1体を残し、残りをすべて手札に戻す)
T・ブレイカー
このクリーチャーが出た時、各プレイヤーは自身のシールドを3枚ずつ選び、残りを墓地に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、相手のクリーチャーを1体破壊し、その後、相手の手札を2枚見ないで選び、捨てさせる。

上述した【アナカラージャオウガ】の切札ならぬ鬼札を務める最強最悪のデモニオ
COMPLEXによるアタックトリガーの踏み倒し候補として、進化元を必要としないにもかかわらず召喚酔いしない進化クリーチャーであるクラジャはまさに打って付けであり、ワールド・ブレイカーに続いてトドメを刺しに行ける。
更には踏み倒し後に再び置物化するCOMPLEXに対しても、下にある6枚のカードで鬼S-MAX進化の敗北回避or除去耐性がちょうど二回分起動できたりする。
その相性の良さから、背景ストーリーでの設定に準えて「最強の鬼にCOMPLEXが憑依した」なんてネタにされる事も。

詳しくは個別項目を参照。


派生カード



スチーム・ナイトが集めた大量の闇の心により、COMPLEXは再起動し完全体となった。


COMPLEXに歪められた現実、それは闇の心が輝く世界。
*2

ARC REALITY(マガルセカイ) COMPLEX(コンプレックス) OR 光/水/闇文明 (3)
NEOクリーチャー:パンドラボックス/スチーム・ナイト 25000
NEO進化:光、水、または闇のクリーチャー1体の上に置いてもよい。
プレイヤーが手札を1枚捨てた時、または自分のターンのはじめに、自分の山札の上から1枚を表向きにし、このクリーチャーの下に置いてもよい。
このクリーチャーの下のカードが6枚以下なら、このクリーチャーはバトルを行えず、離れない。
このクリーチャーが攻撃する時、カードが7枚以上これの下にあれば、下にあるカードをすべて手札に戻してもよい。そうしたら、このターン、このクリーチャーに「ワールド・ブレイカー」を与える。その後、コスト9以下のカードを1枚、自分の手札からコストを支払わずに実行してもよい。

DM25-RP3「王道W 第3弾 邪神vs時皇 ~ビヨンド・ザ・タイム~」に収録された新たなコンプレックスの姿。
今度はレアリティがオーバーレアに格上げされ、従来の闇文明に水と光も加わった三色ドロマーのスチーム・ナイトとして新生した。
プレイヤーからの通称はそのまま「マガルセカイ」が主流で、「マガコン」と呼ばれる事も。

能力としては、殿堂入りになった旧COMPLEXの調整版といった趣きが強い。
指定の枚数のカードが貯まるまでは除去耐性を持った状態で動かせない点、下敷きが貯まった時点で能力が起動する点はそのままだが、
  • 強制タップインは無し
  • ワールド・ブレイカーは素で持っていない
  • いずれかのプレイヤーが手札からカードを捨てる毎に山札の上からカードを1枚下に敷く
  • 進化元が7枚貯まるまではバトル自体が行えない
  • NEOクリーチャーなので進化クリーチャーとしても召喚できる
等の相違点がある。

アタックトリガーによる起動効果もかなり様変わりしており、下敷きにした7枚以上のカードを全て手札に回収する事で発動する。
これによってマガルセカイ自身にそのターン限定でワールド・ブレイカーが付与され、更には手札からコスト9以下のカードを1枚踏み倒せるようになる。
旧COMPLEXに比べて、コストさえ満たせばクリーチャー以外のカードタイプの踏み倒しにも対応しており、進化元として貯めてきたカードがそのまま手札に還って踏み倒しの対象に成り得るため、踏み倒せる範囲は以前以上に広がっている。
その反面、三色になった影響で単色1マナで場に出せた以前の手軽さはなくなった他、一度の発動で下敷き全てを消費してしまうのでおいそれと再発動できない仕様になっており、旧COMPLEXとの比較もあって事前評価はあまり高くなかった。

実際には研究が進む中で、ハンデス及び手札交換で起動する下敷きの装填が想像以上に容易に進む点が評価されるように。
特に《時空工兵タイムチェンジャー》は山札から進化元を直接サーチしてマガルセカイに敷く事ができ、これでハンデスor手札交換効果持ちのフュージョナーを進化元にすれば4ターン目には7枚貯めて能力が起動できる。
デザイナーズコンボの《~創造、破壊、そして絶望~》とも好相性を築いており、cipで相手クリーチャー1体の動きを封じつつ、進化元にすれば超魂Xの効果で手札交換して下敷きの装填も促進できる。


背景ストーリー


アビス・レボリューションにおける背景ストーリーのラスボス
超獣世界に古くから存在する謎多き異物で、少なくともアビスロイヤルが復活する前から暗躍していた模様。
COMPLEXは超獣世界に生きる全てのクリーチャー達の心に影響を与え、不安で疑り深い状態に陥らせていた。
ゴルギーニ一族に対するシノビの裏切りも、彼らの猜疑心にCOMPLEXがつけ込んで引き起こさせたものだったのだ。

深淵より現れ、現代の超獣世界を蹂躙するかのような行動を見せていた《アビスベル=ジャシン帝》だったが、実はこのCOMPLEXを探し出す事こそが本当の目的だった。
COMPLEXには「強い肉体の内側の弱い心に憑依する」という性質があり、それを利用して《ドラン・ゴルギーニ》《轟炎の竜皇 ボルシャック・カイザー》《首領竜 ゴルファンタジスタ》《芸魔王将 カクメイジン》といった猛者たちを片っ端から倒す事で、COMPLEXの憑依先を炙り出そうとしていたのである。

そして《アビスベル=覇統=ジャシン帝》と《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》による決戦の最中、ジャシンとの闘いを経てバクテラスの心は強く成長する。
これによって密かにバクテラスに憑り付いていたCOMPLEXは憑依を維持できなくなり、バクテラスの身体から飛び出す形でついに顕現した。
闇の力を吸収し続けるCOMPLEXはジャシンをもってしても容易には倒せない程の難敵だったが、突然戦いの場に降臨した《富轟皇 ゴルギーニ・エン・ゲルス》が放つ豊かなる光によってCOMPLEXの闇は一瞬失われ、その隙を付いたジャシンの攻撃によって粉砕されてしまった。

かくしてCOMPLEXは滅び、ジャシンの復活から始まる戦いに一つの幕が下りた。
しかしジャシンとCOMPLEXは何故戦わなければならなかったのか?そもそもCOMPLEXとは何者だったのか?
浮かび上がった新たな謎は、次なる物語の中で紐解かれようとしている…。

次回、「邪神の戦い」!

王道W

COMPLEXの消滅から時が過ぎ去り、月より現れた超化獣の襲来と《悪魔世界ワルドバロム》の魔誕を経て、戦いが更に激化していた頃。
突如現れた謎の二大勢力の内、テクノ・サムライと対立するスチーム・ナイトの一員として、COMPLEXに酷似した姿を持つ正体不明の超獣DARK MEMORY CONTAINER(クラヤミノツボ)》が現れる。
そもそもはスチーム・ナイトという集団自体が負の感情を集める忌むべき存在の到来を予兆しており、テクノ・サムライはそれを防ぐべく戦っているのだという。
実際、かつて暴竜爵に付き従っていた者達もスチーム・ナイトに漂う気配から既知の敵のにおいを感じ取っており、COMPLEXに何かが起ころうとしていた…

そしてジャシンが《究極の虚 ジャシン=ヴリドガルド》の肉体を破壊しながらも追撃を加えんとしたその時。
ジャシンの前に再び立ちはだかった存在こそ、スチーム・ナイトが闇の心を集めて復活を試みてきた《ARC REALITY(マガルセカイ) COMPLEX(コンプレックス)》だった。

ここに来てCOMPLEXの出自もようやく判明する。
その正体は、かつて《仙界一の天才 ミロク》が製造しながらもあらゆる世界に放置してきた魔導具の一つであった。
一度はジャシンに破壊されたCOMPLEXだったが、ミロクの魔導具を求めてあらゆる世界に侵攻するスチーム・ナイトの一団に目を付けられ、負の感情を注がれ続けた事で完全体として再起動したのである。

完全体となったCOMPLEX、その力は心の操作だけでなく現実そのものを歪めるまでに至っており、時間すら操る神に等しき時皇とも呼べる存在になっていた。
因縁の相手でもあるジャシンと再び相まみえるが、そこへテクノ・サムライの特戦部隊「ゼノテクソード」が乱入し、決着は持ち越しとなった。


メディアミックスにおいて


COMPLEX VORTEX(クラヤミノレンサ)》で示唆されていた通り、漫画、アニメの両方でウガタが使用。
CVは意外にも早見沙織氏が勤めている。

アニメ版では決闘学園編で完結する都合もあり、真のラスボスかつマイハマを闇で覆い、女神ウィナを騙り闇のマナを収集していた元凶となっている。
シークレット版に描かれたユニコーンのような角を持つネズミ(ウガタからはチュウ太郎と命名された)を介して闇のマナを集めており、その最中にウィンに対するコンプレックスを抱いていたウガタに目を付け、女神ウィナとして接触。彼に自身を手にするように仕向け、学園の生徒からマナを得るための傀儡とした。

また、カイザに対しては自身の行いをジャシンのものとすることで憎しみを募らせるように仕向けており、そうして高められた闇のマナがボルシャック・カイザーの消滅の原因となっている。
そしてウィンVSカイザの決着後に、カイザの闇のマナを吸収しながら真の姿であるシークレット版の姿と本性を現す。ウガタを迷いを抱かない主役としての姿「ヒーローウガタ」へと変貌させてウィンとジャシンを倒させようとし、最終的に自らの手でウィンから闇のマナを得ようとしたが失敗。
最終的にアビスの軍勢の総攻撃によって倒され、再び封印された。
なお、チュウ太郎自身はCOMPLEXと密接な関係性というわけではないのか、COMPLEXの封印後もウガタの側にいる。

漫画版ではヒーローウガタに変貌する点こそ同じだが、手にする経緯がノンノという謎の少女に唆された結果となっている。


備考


とにかくあらゆる要素が異例づくめな1枚。

まずアビス・レボリューションのカードとして考えると、闇文明でありながらアビスにもメカにも全く掠っていないカードデザインをしている。
一応、ゴッド・オブ・アビスの頃にもアビスロイヤルと無関係な闇文明が登場してはいたが、メクレイドと革命チェンジを中心に種族強化を推し進めていたARevの集大成である最終弾の中では非常に浮いている。

そして種族はまさかのパンドラボックス。背景ストーリーのラスボスとしてはCOMPLEXで初めて選出された。
最古参でありながら長らく脇役に甘んじていた種族であり、その不遇ぶりはスーパーレアとして収録されたのが極神編の《呪怨秘宝バキューム》以来16年半ぶりと言えばお分かりいただけるだろうか。
他にも「クラヤミノコンゲン」という意味深な名前から、パンドラボックスを戯れで作った闇文明の総大将たる覇王や、GoA世界に存在する自称覇王の後継者達との関係も気になるところ。

また、イラストでは中央に「1」と書かれた歯車を取り付けられた奇怪な壺が「デュエル・マスターズ」のカードを咥えた衝撃的な姿が描かれている。
これまでもメタ的な要素は見え隠れしてきたが、とうとうカードその物がカードイラストの中で登場した。
名前もイニシャルに注目するとD・M・C…即ちデュエル・マスターズ・カードを表しており、COMPLEXとデュエマのカードは何かしら重要な関係にありそうである。
更にシークレット版のイラストでは、壺から様々な武器を搭載した巨大な歯車の怪物が飛び出る姿も描かれている。
カード自体の能力を考えるに置物状態の時は壺の姿で、下にカードが置かれる毎に歯車のカウントが進んでいき、8枚貯まって攻撃可能になった時に歯車の怪物が顕現するものと思われる。
加えて、シークレット版ではユニコーンのような角を持つネズミが描かれているのだが、漫画及びアニメでウガタが出会ったネズミと酷似している。結果的に、主人公の相棒ポジションだったキャラクターがラスボスとなる、デュエマではかつてない展開となった。

これまでのパンドラボックスはパンドラの箱の「開けてはならない」イメージからビックリ箱やミミック的なデザインが多かったが、このクリーチャーはそのギリシャ神話とパンドラの箱を開けた人類初めての女性「パンドラ」の方をモチーフにしている。
元ネタになったギリシャ神話は人間の為に天界の火を盗んだプロメテウスに激怒したゼウスが人間達に裁きを与えるために初めての女性であるパンドラを生み出し彼女の好奇心を利用し災いの詰まった箱を開けさせるように仕向け災いを地上に解き放ってしまったという人類が生れ持って背負っている原罪の側面を持つ神話だが、「女神や母親など女性を騙りその名の通り人々やクリーチャーの心の闇を利用し操る」という暗躍はこういった元ネタの神話を意識したものと推測される。
アニメ漫画や背景ストーリーでは、カイザやボルシャックカイザーなど火文明使いや火のクリーチャーを利用しているが火を盗んだことを理由に生み出された箱が火を使うものを操るというのは何とも皮肉である。


余談


  • 7枚までは動けず8枚溜まったらアンタップして攻撃可能になる能力は、熟語の「七転八起」をモチーフにしたものと思われる。



追記・修正は事前評価を覆してからお願いします。

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最終更新:2025年09月28日 00:13

*1 画像出典:https://x.com/IAVNxbpWI5r1UGv/status/1862324786787230190 旧Twitter イラストレーターショースケ氏 @shosuke0716 2024年11月28日掲載 ©Wizards of the Coast/Shogakukan/Mitsui-Kids

*2 画像出典:https://x.com/kotakan69/status/1969229230362751153 旧Twitter イラストレーターKotakan(コタカン)氏 @kotakan69 2025年9月20日掲載 ©Wizards of the Coast/Shogakukan/Mitsui-Kids