登録日:2024/03/10 Sun 01:23:23
更新日:2025/06/16 Mon 22:50:52
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矛盾した心の苦しみが行き着く先、それは無感動。
シャングリラ・ファンタジアの生み出したゼロの力は、目的無き力だった。
◁解説▷
「無上」の頂天 シャングリラ・ファンタジア SR 無色 (12) |
クリーチャー:ゼニス・セレス 12321 |
水晶ソウル3 |
T・ブレイカー |
自分のクリーチャーは、出たターンにプレイヤーを攻撃できる。 |
各ターン、はじめて自分のクリーチャーが攻撃する時、そのクリーチャーを破壊してもよい。そうしたら、自分の山札の上から、アンノウン・クリーチャーまたはゼニス・クリーチャーが出るまで表向きにする。そのクリーチャーを出し、その後、山札をシャッフルする。 |
エターナル・K(このクリーチャーが離れる時、かわりに自分のマナゾーンにある裏向きのカードを3枚、表向きにしてもよい) |
ゼニスに相応しい12000以上の基礎パワーとT・ブレイカーを備えたコスト12の重量級。
召喚するにあたって課題となるコストの重さだが、裏向きになったマナこと水晶マナを1枚3マナで扱える能力「水晶ソウル3」が解決してくれる。
ファンタジア自身も無色なので召喚に有色マナを必要とせず、水晶マナ4枚をタップすれば切りよく召喚できる。
次に常在効果として、自分のクリーチャー全員が召喚酔いを無視して相手プレイヤーに攻撃できるようになる。
プレイヤーへの攻撃に限定した
スピードアタッカーの付与であり、アタックトリガー持ちなら出して直ぐに効果を起動できたり、自身も3打点持ちなので盤面次第では総攻撃による
1ショットキルが狙えたりする。
そしてファンタジアのメインとも言える能力として、各ターン最初に攻撃しようとした自分のクリーチャーを破壊する事で山札の上から
アンノウンかゼニスを1体踏み倒せる。
オラクル・セレス等の役目を終えた軽量級クリーチャーと引き換えに強力なクリーチャーが呼び出せる優秀な効果であり、他にクリーチャーがいなければファンタジア自身を破壊しながらエターナル・Kの耐性で凌ぐ事も可能。
あくまでも踏み倒しなので召喚時限定cipこそ使えないが、常在効果や疑似SA付与による高打点の速攻とアタックトリガーで絶大な制圧力を発揮するアンノウンやゼニスはかなり多く、後述するように踏み倒し候補には全く困らない。
課題としては山札の上からランダムに踏み倒す関係上狙ったクリーチャーを出せない点、2枚目以降のファンタジア自身が踏み倒し先のハズレ枠となり得る点が挙げられる。
効果を十分に活かすにはそれらの採用枚数を吟味し、出来るだけ踏み倒し先を絞っていく事が重要となる。
総じて、水晶マナのギミックを活かしながら旧来のゼニス及びアンノウンともシナジーを形成しており、他のゼニス・セレス達と比べて異質な性能に仕上がっている。
ゼニスを大々的に取り上げたDM23-EX3の中でも、新旧ゼニスの両方に対応しながら今後の新規アンノウンやゼニス次第で更に強化されるポテンシャルを秘めており、ゼニスというテーマにおける新たな軸を作り上げた1枚である。
◁相性の良いカード▷
cipとアタックトリガーで墓地から
ドラゴン・ゾンビまたはコスト7以上のクリーチャーを回収し、相手のコスト6以下のクリーチャーを1体破壊できる効果を持つ。
踏み倒しと疑似SA付与によって二連続で使える上に、大型クリーチャーが多いゼニス及びアンノウンであれば回収効果も活かしやすく、かなりの
アドバンテージが見込める。
VANナイン大王のコンボでお馴染み、相手の呪文詠唱を封じる効果を持つ
ドラゴン。
種族は
キング・コマンド・ドラゴンとしての側面ばかりが注目されてきたが、実はアンノウンでもあるのでファンタジアから踏み倒せる。
S・トリガーからの詠唱を封じながら相手に攻撃できるので、エターナル・Kの耐性もあって攻撃の通りが非常に安定する。
G・ストライクが付いた《偽Re:の王 ナンバーナイン》は種族からアンノウンが失われているので、ファンタジアと併用するならオリジナルか
ツインパクト版の《偽りの王 ナンバーナイン/歓喜の歌》が優先される。
cipで除去とランデスをこなせる優秀なキング・コマンド・ドラゴン。
一度着地すれば驚異的な速度でマナブーストする。
3色カードなのでマナ基盤としても優れている。
両者ともアタックトリガーで手札から任意の呪文をノーコストで詠唱できるドラゴン。
cipでそれぞれワーグナーは山札の上3枚から呪文を手札に加えられ、ゴスペルは墓地から呪文を回収できる。
ファンタジアの疑似SA付与と非常に相性が良く、cipで回収した呪文をアタックトリガーで即座に踏み倒せる。
お誂え向きにファンタジアと同じ弾には強力な呪文《水晶の祈り/クリスタル・ドゥーム》も収録されており、デッキをゼニスとアンノウンで固めながら《クリスタル・ドゥーム》の踏み倒しで凶悪な大量展開も可能である。
《
偽りの名 ゾルゲ》のディスペクター。
味方クリーチャー全体に
マッハファイターを付与してくれるため、ファンタジアの疑似SA付与も相まって味方全体の攻撃手段が非常に充実する。
加えて、自分のクリーチャーがバトルに勝つ毎に1ドローと1ブレイクもこなせる。
《
偽りの名 スネーク》のディスペクター。
アタックトリガーでは1ドローして墓地かマナゾーンからカードを1枚引いた上で、相手に手札を見せないで1枚選ばせてそのカードをプレイできる。
最低2枚の状態から相手に選ばせるために運も絡むが、上手くゼニスが引ければプレイ扱いなので召喚時限定cipを使用できる。
水晶武装持ちのアンノウンその1。
常在効果としてアンノウンとゼニスの召喚コストを3軽減してくれる他、水晶武装4が達成されれば味方クリーチャー全体にバトル以外で場を離れなくなる強固な耐性を付与してくれる。
味方クリーチャーを破壊する事なくファンタジアで山札からアンノウンかゼニスを踏み倒せるようになり、盤面の増強に大きく貢献してくれる。
反面、味方クリーチャーを自壊させようとしても叶わずアタックキャンセルが不可能となるため、局面によっては注意が必要である。
水晶武装持ちのアンノウンその2。
自身を除くオラクルとアンノウンとゼニスにパワー4000のパンプアップとマッハファイターを付与し、ゾルネードシヴァと同様に味方全体の攻撃手段を充実させてくれる。
特に水晶武装4の効果が強烈で、かの《
界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》と同等のcip封殺効果を発揮して相手の動きを大きく制限してくれる。
シールド焼却でお馴染み「祝」の神。
召喚時限定cipのシールド化は使えないものの、焼却能力だけでも十分有用である。
特にファンタジアから射出すれば、疑似SA付与によって《
ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》と同じ芸当が可能である。
同じく「シャングリラ」の名を冠するゼニス。
ファンタジアの踏み倒しは該当種族であれば
進化クリーチャーにも対応しており、進化GV・Ωのエデンも勿論踏み倒せる。
場と墓地とマナからそれぞれ1体ずつ進化元を必要とする面倒な進化方法だが、ファンタジアにかかれば自壊でクリーチャー1体を墓地送りにしながら自身が場の進化元を担いつつ、マナゾーンに表向きのクリーチャーさえ確保してあればそのままエデンに進化できる。
召喚時限定cipを持たないので踏み倒しによるデメリットも無視でき、出せれば本家《
「無情」の極 シャングリラ》に勝るとも劣らない極悪ロック&除去能力が使用可能となる。
DMの兄貴分たるMtGから降臨したエルドラージ。
ファンタジアの登場で特に注目されたゼニスであり、召喚時限定cipによる追加ターンこそ得られないものの、疑似SA付与でアタックトリガーの滅殺6を即座に起動できるのが凶悪極まりない。
追加ターンに突入してから召喚酔いが解けた状態で滅殺6を発動するというのが本来のカードデザインだったが、ファンタジアと組めばこのような芸当も可能になる。
最後に現れた縫合
ディスペクターの王…であると同時にゼニスでもある。
やはり召喚時限定cipは使えないが、特殊勝利の条件である「場にコスト8以上の味方クリーチャー4体以上」に自壊&踏み倒し効果で大型クリーチャーを展開して貢献できる。
それぞれEXライフとエターナル・Kで耐性を持つため場を離れづらく、勝利条件を満たしやすくなっている。
環境において【
魔導具】デッキの切り札として大暴れした
ドルスザク。
印象が薄く忘れがちだが、こいつも一応ゼニスなのでファンタジアから踏み倒し可能である。
召喚時限定cipの効果をアタックトリガーでも発動でき、相手クリーチャー1体の除去と1枚のハンデスをかましながら自分は2ドローできる。
無色と5色を併せ持ったゼニス。
専用能力の「ゼロ輪廻∞」は、$スザークと同様にアタックトリガーでも召喚時限定cipと同じ効果が発動可能で、呪文側の《天上天下輪廻天頂》による墓地からの
リアニメイトと手札回収を行った後に5枚もマナブーストできる。
踏み倒すために自壊させた1体は最低でも蘇生できるため、ファンタジア+カラーレス+自壊後にリアニメイトした1体で
1ショットキルに持って行ける。
かねてより欠点として指摘されてきた5色故にマナを生み出せない点も、水晶マナとして裏側にすれば無色の1マナとして扱えるため、ある程度克服できるようになった。
ゼニス・セレス
最初に登場したゼニス・セレス。
コスト7以下の有色エレメントを全て破壊するcipは召喚に限らず踏み倒しても使えるため、ファンタジアによる自壊&踏み倒し先に適してる。
加えて革命チェンジを持ち、チェンジ元の対象とファンタジアの踏み倒し先がアンノウンorゼニスで共通している事から、手札にプロフェシーがあれば踏み倒したクリーチャーを疑似SA付与で即座に攻撃させて革命チェンジする動きも可能である。
水文明のゼニス・セレス。
ジャストダイバー持ちなので相手に選ばれず殴る事ができ、疑似SA付与による攻撃を安定して通せるのが魅力。
JDとSAを両立した厄介さは《
禁断竜王 Vol-Val-8》でも証明されており、エターナル・Kも加わって耐性面では非常に粘り強く、相手クリーチャーの登場によるドロー効果も発動しやすい。
自然文明のゼニス・セレス。
タップ時に相手の攻撃を制限するロック効果を持ち、自前でマッハファイターも搭載しているので性能的には完結しているのだが、ファンタジアがもたらす疑似SAも加わればクリーチャーとプレイヤー両方に攻撃できるようになる。
ファンタジアと同じ無色のゼニス・セレス。
ゼニスの中でも数少ないワールド・ブレイカー持ちであり、踏み倒せればシールドを全壊してファンタジアでダイレクトアタックまで持って行ける。
地味に
ブロッカーも持っているので、盤面次第では攻撃せずに28482の基礎パワーで壁として運用するのもアリ。
水晶マナの数に応じて
G・ゼロで踏み倒せるゼニス・セレスの主力。
相手プレイヤーへの攻撃能力がダブってしまってるものの、召喚時限定cipを持たないのでファンタジアから踏み倒してもデメリットにならない利点がある。
その他
ゼニス専用のD2フィールド。
ゼニスを出した後に起動できるD2スイッチにより、タップした水晶マナを再度アンタップ可能である。
召喚コストとして基本的に水晶マナを4枚以上必要とするゼニス・セレスと絡めれば、召喚に使った水晶マナ4枚がアンタップされてファンタジアの召喚に繋げられる。
ゼニス専用の
パーフェクト呪文。
ゼニスかアンノウンに対応したアタックチャンスを持ち、それらの種族を踏み倒しながら疑似SAも全体に付与するファンタジアなら非常に踏み倒しやすい。
第三のドロー効果で2枚目の《天頂と停滞と水晶の決断》を手札に引き込めれば連発も可能である。
◁関連カード▷
シャングリラ・クリスタル UC 無色 (3) |
呪文 |
G・ストライク(この呪文を自分のシールドゾーンから手札に加える時、表向きにし、相手のクリーチャーを1体選んでもよい。このターン、そのクリーチャーは攻撃できない) |
自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、タップしてマナゾーンに置く。(マナゾーンにある裏向きのカードは、マナの数字が1の無色カードとして扱う。その持ち主はそれをいつでも見てもよい) |
水晶武装2:自分のマナゾーンに裏向きのカードが2枚以上あれば、自分の山札の上から1枚目を裏向きのままマナゾーンに置く。 |
シャングリラの名を冠した無色呪文。
水晶マナ版《獅子王の遺跡》とでも呼ぶべき性能をしており、裏向きのマナを最大2ブーストできる優秀さから水晶マナを扱うデッキではほぼ確実に投入されている。
イラストでは《獅子王の遺跡》に似た施設と共にファンタジアも描かれており、両者の間に何らかの関係性を窺わせている。
「無情」の極 シャングリラ VIC 無色 (11) |
進化クリーチャー:ガーディアン/ゼニス 17000 |
超無限進化・Ω-ガーディアンを1体以上自分の墓地、マナゾーン、またはバトルゾーンから選び、このクリーチャーをそのカードの上に重ねつつバトルゾーンに出す。 |
メテオバーン-このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるカードを1枚選び墓地に置いてもよい。そうした場合、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。相手はそのクリーチャーを自身の山札に加えてシャッフルする。 |
T・ブレイカー |
このクリーチャーがタップされている時、相手のクリーチャーは攻撃できない。 |
エターナル・Ω |
エピソード2における
背景ストーリーのラスボス。
ガーディアンの矛盾より発生した「はじまりのゼニス」であり、シャングリラから数多のゼニスが誕生した。
ファンタジアと酷似した特徴を持ち、背景ストーリーでも限りなく近しい存在である事が明かされている。
◁背景ストーリー▷
とある並行世界における《
「無情」の極 シャングリラ》の同一存在。
ファンタジアも
EP世界と同様に
ガーディアンの自己矛盾から誕生したが、その矛盾に対する向き合い方が2体のシャングリラで異なっていた。
「無情」が世界その物をゼロにする事で争いもゼロにしようしたのに対し、ファンタジアは
自分自身を「無」にする事で矛盾の解決を図ったのである。
結果として自己矛盾の苦しみから逃れる事には成功したものの、感情を失ったために世界を変えようとする大望も失い、目的もなくただそこにあるだけの無の存在となった。
しかしある時、目的無く存在するゼロの力に目を付けた謎の超獣《
クリス=タブラ=ラーサ》が外の世界から来訪し、
とあるオラクルを誑かして目的を与える事でゼロの力を吸い上げ、自身もゼニスと化した。
更にはオラクル全体がタブラ=ラーサを信仰するオラクル・セレスへと改宗し、《
「戦鬼」の頂天 ベートーベン》を含む5柱のゼニスさえもタブラ=ラーサの支配下に置かれてしまう。
唯一ファンタジアのみ、タブラ=ラーサの支配に邪魔な存在としてゼニスの本拠地であるニルヴァーナ・ゼニシアの奥地に封じられる事となった。
かくしてこの世界における神としての座を乗っ取られたファンタジアだが、タブラ=ラーサのもたらした水晶の華が結果的に彼の望みを叶えたのは皮肉と言う他なかった…
◁元祖シャングリラとの比較▷
このクリーチャーの派生元である《
「無情」の極 シャングリラ》と比較した場合、同じシャングリラとして共通した部分もありながら対照的にもなっている興味深い性質が見て取れる。
|
シャングリラ |
シャングリラ・ファンタジア |
名前 |
「無情」の極み:シャングリラの原点である感情の喪失を表している |
「無上」にして頂天:肩書き自体がシャングリラの原点である矛盾を孕んでいる |
姿形 |
漆黒の身体 |
純白の身体 |
種族 |
ゼニスとして例外的にガーディアンでもある |
ゼニス・セレスに共通してゼニスのみである |
能力 |
進化ゼニス故に召喚時限定cipを持たない 相手クリーチャーの攻撃を封殺する メテオバーンで進化元を墓地に送って相手クリーチャーを除去する |
非進化ゼニスでありながら召喚時限定cipを持たない 味方クリーチャーの攻撃を促進する 攻撃した味方クリーチャーを破壊して新たなゼニスかアンノウンを召喚する |
背景ストーリー |
全てをゼロにするべく世界の滅亡を図る |
自らをゼロにして世界に干渉しない |
◁余談▷
- ファンタジア(fantasia)とは「幻想曲」を意味する言葉で、形式に縛られる事なく自由で奔放な楽想によって作られた曲として成り立っている。
「理想郷」を意味するシャングリラと合わせて考えるなら、楽園としての意味合いがより強まったネーミングと言える。
- 初収録されたDM23-EX3では、3枚しかない最上位レアリティ「SSP」の1枚として《「祝」の頂 ウェディング》《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》と共にイラスト違いのカードも収録されており、紫のオーラを左の拳に纏わせて殴り付けるというシャングリラとしては珍しい躍動感溢れる姿で描かれている。
3枚あるSSPの中で新規カードが選ばれたのはファンタジアが唯一であり、ゼニスという種族におけるシャングリラの特別性が窺える。
- 無色のゼニス・セレスで見られる端数が発生した12321という中途半端な基礎パワーだが、実は《禁断機関 VV-8》にパワー24差でギリギリ勝てない。
追記・修正は世界の前に自分を変えてからお願いします。
- このカードの登場によってシャングリラNAOKI説深まったの笑える -- 名無しさん (2024-03-10 06:59:25)
- シャンフロの作者がこのカード「を」検索しようとすると自分の作品「が」予測変換で邪魔をするって嘆いてたな -- 名無しさん (2024-03-12 23:51:40)
- ウザーラと共に浮上するゲッタードラゴンかな?(カードイラスト) -- 名無しさん (2024-03-24 20:19:07)
最終更新:2025年06月16日 22:50