エイパー・シナプス

登録日:2024/10/21 Mon 19:25:00
更新日:2025/05/14 Wed 14:07:51
所要時間:約 8 分で読めます





概要

エイパー・シナプスは機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の登場人物。


本名:エイパー・シナプス
性別:男
年齢:45歳
所属:地球連邦宇宙軍第3地球軌道艦隊
搭乗艦:ペガサス級強襲揚陸艦アルビオン
階級:大佐
声優大塚周夫

地球連邦軍ガンダム開発計画に携わる高級軍人。

責任者、ジョン・コーウェン中将の派閥に属する。

一年戦争では前線勤務で戦功を挙げ、大佐にまで昇進するなど、戦場において功をなした叩き上げの優秀な軍人。
主人公・コウ・ウラキの父親とは知り合いという裏設定があるが、ウラキとの会話でも特に話題にしなかった事から本編では扱われていない。

老齢に見えるが、0083年時点で45歳(一年戦争当時は41-42歳)と十分壮年の男である。
好酒家であり、医者から酒の量を制限されている事をボヤく一面も。
公式サイトでは短気な一面もあるとされているが、劇中ではジャブローの対応について愚痴る部下を
憤りに任せて怒鳴りつけたシーン位であり、決して階級を傘に無闇に高圧的な態度を取るような横柄な人間ではない。
むしろ上官としてはかなり話の分かる、柔らかい態度を取ってくれる方である。劇中の登場人物の中でも指折りの人格者であり、モーラからも紳士と称される程で、この性格は部下にも慕われる要因となった*1
ただ軍人であるが故に劇中ではその情が仇となりがちである。

中の人の好演、軍人気質の艦長としては当時はまだ珍しかったこと。そしてベテラン然としながら人格者的に描かれたキャラクター性からファンは多い。
一方で先の通り情が仇となって自らを追い詰めるシーンが多く、そのことで軍事的なツッコミから批判されてしまうこともまた多い。

略歴

新造戦艦アルビオンとガンダム試作型機体2機の重力下の運用試験を行う為にオーストラリア・トリントン基地に着艦。

連邦軍自体の軍務が惰性化していたのか、アルビオンを定刻通りに運用したことを見たアナベル・ガトーに「連邦にしては真面目な艦長」と評された。
しかし、オービルの車の荷台に隠れていたガトーをトリントン基地の警備はノーチェックで通してしまい、
加えて艦内の警備が甘かったのかデラーズ・フリートに機体と核弾頭を奪われる失態を犯す。
ガンダム強奪の一件ではシナプスが現地で最も高階級だったこともあるが、壊滅的打撃を受けて基地司令のマーネリーが死亡したトリントン基地の臨時指揮を現地で承諾する。
その後、部隊を再編して奪還を試みるが軍からの支援不足もあって上手く行かず、追撃戦を地上・宇宙と転々と続ける事になる。

また、その最中に所属不明艦の反応をキャッチしたため、スクランブルでMSを発進。連邦旗艦が近い位置にいたため、その援護を行う。
しかし、これは連邦軍とジオンの内通者が秘密裡に接触を図ろうとしたもので、実はこの密会こそがデラーズ艦隊の作戦を阻止する最大のチャンスだったのだが、当時のアルビオン艦隊には知る由も無かった。

その後は試作2号機の阻止叶わず、ソロモンにおける観艦式での核弾頭発射を許し、連邦宇宙艦隊に大損害を与えてしまった。*2

その後は連邦軍よりデラーズ・フリート追撃の任を解かれ、ガンダム試作3号機の警護命令を受けるが、
デラーズ・フリートの劇中における最終目的である地球ヘのコロニー落としが発覚した後はガンダム試作3号機を接収、アルビオン隊単独でデラーズ艦隊に追撃戦を仕掛けた。

連邦宇宙軍はデラーズ・フリートの一部を内応させ、ソーラ・システムⅡでコロニーを破壊しようと作戦を立てていたが、ガトーのノイエ・ジールを阻止することができずソーラ・システムⅡのコントロール艦は撃墜。またこの際、部下のウラキが内応したデラーズ・フリートの艦隊を壊滅させる。
その後は落下するコロニーに侵入したウラキを敵の攻撃に晒されながら待ち続けていたが、アルビオンに限界が訪れ撤退。ここで彼の戦いは終わりを告げた。

アルビオン隊は奮戦こそしたもののデラーズ・フリートを止めることができず、最終的な結果としてはコロニーは地球に落下、連邦宇宙軍にも多大な被害が出るなど、実質的な敗北と言っていいものであった。

作戦終了後、軍法会議が開かれ、シナプスの後ろ盾だったコーウェンが失脚していた事もあり銃殺刑に処された。
重罰ではあるが実際に処刑が実行されたかどうかは明言していない媒体はあるものの、後発媒体ほど処刑と書かれているものが多いので処刑が実行された可能性は高いと思われる。
なお「コウの懲役1年は罪状から見れば軽過ぎると指摘されている反面、シナプスの判決は罪状通りの厳しいものとなった」
という記述が小説版『0083』にあり、ここからコウの罪状がシナプスに着せられているとの推察もある。
ちなみにこのへんは映像シリーズ版公表当時から二転三転しており、
  • OVAシリーズ:明言無し(厳密には当該の場面を含む最終巻は下の劇場版のほうが早い)
  • 劇場版:シアター公開版ではテロップで死刑が明言+パンフレットのデラーズ紛争関係の年表に「シナプスの死刑を執行」の記載あり→こっちのバージョンの映像ソフトでテロップが削除、明言無しに事実上変更
    ファンの間でも混乱してるのって半分くらいこれが原因では?
  • ノベライズ版:死刑が明言
  • 松浦まさふみ版コミカライズ*3:死刑が明言
  • ガンダムエースのコミカライズ『REBELLION』:死刑が明言。ただし新約版0083の色が特に強い本作でははっきりと「戦況が戦況だったため本来ならば階級降格で済むところ、コロニー落としの実行やその際のシーマ艦隊内応に絡む混乱の責任を押し付けられたため*4重罰化により極刑」とフォローが入っている

一応、刑の執行がなされたかどうかは不明なので、コウと同じくガンダム開発計画の抹消に伴って罪状が消滅した、という説が出て来るが、表向き計画を抹消したとしても使った予算や資材が戻る訳ではなく、コーウェン派は消えた予算と資材の行方*5、人員などを動かした説明責任を求められることになる*6
その疑獄事件の罪を被ることになったのがシナプスという落としどころになったのだろう。

主な台詞

「戦争の代償…というにはあまりにも大きな傷だ」
ニナにシドニーがあったところを説明した後の台詞。

「ヌゥッ!これでは軍閥政治ではないかっ!」
バスク・オムとの通信にて。これを言っているシナプスもまた軍閥政治の1ピースである自覚がない点はよく突っ込まれる。もっともコーウェン&シナプスにその関心が薄かったことは見て取れるが。

外部作品

スパロボでは戦艦乗りとしてどうしてもブライトとかち合ってしまうため、0083組の中でも出番は少なめ。
モンシア同様、『第3次スーパーロボット大戦』でチラッと登場したのが初出。
第2次スーパーロボット大戦α』が唯一、最後まで使用できる作品。2連装メガ粒子砲を使用した時のカットインがかっこいい。宇宙世紀ガンダムの戦艦といえばまずブライトな中、スポット参戦以外で最後まで使えるのは中々新鮮である。
ブライトラー・カイラムに比べて攻撃力は控えめだが、小隊長能力と武装の性能によりクリティカルが出やすいのが特徴。
ただし、ほぼALL兵器しか使わないため特殊技能の「援護攻撃」「連携攻撃」は宝の持ち腐れとなっている。
十分使えるのだが、色々と尖った他の艦に比べると若干影が薄くなりがち。
アルビオンのアニメーションが非常に凝っていることと先のカットインが救いか。
第3次スーパーロボット大戦α』ではスポット参戦だが、カットインにシモンが一緒に登場するようになっている。
作中では不本意な形でムルタ・アズラエルの言いなりになって味方であるαナンバーズと戦う羽目になったが、コーディネイター殲滅ばかりを優先するアズラエルに対しては内心軽蔑しており、彼に反発する形で戦闘中にαナンバーズを手助けしたために謹慎処分を受けてしまう。その後、アズラエルの口から命令無視で極刑をなる事を仄めかされたが、同志に匿われた事に加えて終盤でアズラエルが戦死した事でなし崩し的に復帰して生存していた。
あやうく原作エンドを迎えそうになったが、やる事なす事裏目に出た原作とは違いαナンバーズを逃がす事に成功しした上で自分の命も守りきれたので救われたといえるだろう。
原作とは違い政治力のある支援者がいっぱいいたというのもデカいと思われるが

ギレンの野望シリーズでは皆勤賞。
艦長としては、初期ではブライトに勝るが成長力の違いで最後には抜かれる、指揮能力もそれなりの中堅上位の艦長といったところ。
とはいえ、一年戦争限定シナリオではブライトはイベントで碌に使えないので、シナプスのお世話になることは多いだろう。
階級が低いので、他の指揮官と居合わせると能力が高くとも上書きされやすい点には注意。
系譜やアクシズの脅威だとデラーズ紛争後イベントもあるが、レビル本編ならばどの進め方をしても裏切らないし、星の屑作戦イベントに参加させても処刑されないので安心。
但し使えるのはレビル本編だけで、バニングと同じくティターンズやエゥーゴ編では出番はない。

Gジェネレーションシリーズではブライトには及ばないがなかなか使えるオールドタイプ艦長となる。
一方クロスオーバーシナリオを採用したナンバリングではほとんどモブ扱いのことが多い。
『ギャザービート2』では処刑こそ免れ引き続き艦長となっているものの、階級は少尉と大幅に降格されてしまった。
『NEO』と『DS』では何故かエゥーゴに所属しており出番は一話しかなく、大抵は前線をブライトとヘンケンに任せ自分は拠点でお留守番ることが多い。
まぁ、処刑されなかっただけまだましか。

Another Century's Episode 2』では物語の始まりがトリントン基地であるため、主人公達の母艦としてアルビオンが運用される事からストーリー中出ずっぱりである。
そのせいでドモンが出撃する度に艦橋を踏み台にされる羽目に……

余談

担当声優の大塚周夫は、ガトー役の大塚明夫の父親である。
とはいえ互いに絡みがあるわけではなく、作中では終始敵味方の関係であった。

スペルは「Eyphar Sinapus」であり、Eypharという単語を検索しても彼以外は出てこないため由来は不明。
ただし欧米圏の人間に事前知識なしで読ませたらエイ ファー になる可能性の方が高い文字の並びである。
アレの読みがピーサリスにならなかった代わりにこっちがパ行になったのかな?
Sinapusの方は神経細胞(synapus)ではなくマスタードになる植物のからし菜(sinapis)の変形と思われる。

追記、修正はガンダム2号機と核弾頭を守り抜いた方にお願いします。



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最終更新:2025年05月14日 14:07

*1 小説版では若干言葉遣いが荒くなっている(「あのゴロツキどもの」とバニングを叱咤しているシーンがある)が、それでも人格者であることは充分に伺える。

*2 ナカト中佐の「観艦式は君たちのせいで滅茶苦茶にされた」という主旨の発言は一見理不尽に思えるが、「試作2号機を奪取され、デラーズ・フリートの追撃に失敗した」という事実を並べたのみである。

*3 『地球編』『宇宙編』の2巻構成になってるあれ。GP03Dに追加カウルがついてMAらしくなってるやつ

*4 一例として、本作ではGP03の「乗り逃げ」はこれ以上の事態の悪化を恐れたコーウェンの命令を受けてのやむなくに変更されている

*5 というか公式の設定解説本では「そもそもこのごたごたでアルビオンを『記録から消す』羽目になった」としていることも多い。本によって「文字通りの方の戦犯の座乗艦になってしまったので廃艦」「艦名・艦歴をロンダリングしてそのへんバレなさそうな部隊に配置」「ティターンズが持って行った」など二転三転してはいるが

*6 一応フォローすると、サンライズのガンダムシリーズ担当部署の見解として「0083に限らず、複数のメディアミックスでまったく同じ事件を描いている場合は『映像作品』における描写を優先して正史と扱う」とは説明されている。そのため極刑が求刑された旨のテロップが削除されている「OVA版第13話」「映画版のソフト」を正史とするの自体はむしろサンライズ公式ルールに沿ってはいる