ひみつ道具

登録日:2025/08/29 Fri 11:38:44
更新日:2025/09/09 Tue 20:27:07
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ひみつ道具とは、藤子・F・不二雄による漫画作品「ドラえもん」にて、主人公のネコ型ロボットであるドラえもんおよびその妹のドラミや、そのほかミニドラなどの22世紀に住むロボットや人物が所持する道具の総称である。


概要

タイムマシンを除いて、基本的にほぼすべて四次元ポケットに収められている。
なお、この四次元ポケットも公式ではひみつ道具の一種にカウントされている。

「ドラえもん」ではほぼすべてのエピソードに登場し、ドラえもんのほかにものび太などの登場人物が使うことで日常の助けになったり、トラブルを引き起こしたりと、本作ストーリーの中核を担うひみつ道具であり、実質的な主役でもある。
こんな根幹的な設定のアイテムなのになかなか「そのもの」の項目が建たなかった

主な特徴として、ひみつ道具は便利さを重視したものが多く、時間や空間の移動手段から、物体変形や精神操作など、人間の能力をはるかに超えたものも多く、現代の物理法則、科学で実現可能なものもあるが(例として大山版アニメには「民生用のカメラ付きドローン」などが登場している)、その多くはそんな理屈では表すことのできない効果を持ったものである。
また、F先生や、むぎわら先生たちアシスタント陣の疲労が反映されてしまったのか?「生成AI…っぽい機能による『話の続き』のフルオート制作」をメイン機能とする道具が定期的に登場する。なんとも欲望に正直な先生たちである
そのため、安易な使用で簡単に危険な状況を呼び起こすことになる、倫理的に問題のある道具も少なくなかったりする。
また、便利さを重視したものだけではなく、逆に教訓だったり、使用者自身の力で成長するために試練・課題を課すものも中には存在する。

ひみつ道具の購入・レンタル

ドラえもんは、このような道具を多数所持しているが、すべてひとまとめに同じ道具を持っているわけでもない。
ひみつ道具はその効果にたがわず、ほとんどが購入する場合は非常に高価な商品である。
ドラえもんの懐事情は、のび太と同じ小遣いをもらったり、時々アルバイトに行っていたりするので、高額な金銭を持っていない。
そのため安価な使い捨て品や、高価な道具であればレンタルによる所持を基本的に行っている。
作者の藤子・F・不二雄によると、ドラえもんは全体の道具の3分の2程度をレンタルしている設定である(そのためか「使い捨てと考えないと明らかに経済活動・商業活動に影響する」ほど高機能なものも散見される。グルメテーブルかけの項目に考察あり)。
劇中でも「○○を出して」と以前登場した道具についてのび太が懇願したら、「それは修理中/レンタル期間を過ぎた」と言って出て来ないケースがままある。
あるいは作者が素で存在を忘れていることもある
またエル・マタドーラはドラえもんズ一の貧乏らしく、ロクにひみつ道具を持っていないことが判明している。

ただし、『2112年 ドラえもん誕生』では製造されて間もないドラえもんがロボット学校でひみつ道具を使用するシーンがあったり、
一部のエピソードでドラえもん本人が道具を四次元ポケットから多量に取り出し、彼自身で手入れを行っているシーンが見られたり、
のび太などが「ドラえもんのポケットがあれば何でもできる」とまるですべての道具を持っているかのような発言があったりするところから、
「ドラえもんは大量の道具を所持しており、所有権のある、全数の3分の1ですらも量が非常に多い」と解釈できる。

変則的なパターンとして、野球漫画の公式外伝作品『ドラベース ドラえもん超野球外伝』では、
(おそらくは「自由にひみつ道具を使えると悪い意味でなんでもありになってしまう」という点から)、ひみつ道具ありのルールで試合をする場合、
審判側や大会主催側でひみつ道具を選択*1したうえで両チームに提示・ポケットに投入することで「試合中にプレー補助の目的でひみつ道具を使ってもよい」ルールを実現している。
これも一種のひみつ道具のレンタルシステムと言えるだろう。
クロえもんやヒロシがTV中継を観ているシーンでも、TVの中の映像でタケコプターを使う展開になった。
そのためどうやらプロ野球or春夏の高校野球本戦のような全国中継されるようなアマチュア大会でも、
この「自由に選べないだけで、ひみつ道具を使うのは認められる」ルールが導入されている様子である。

営利利用

ひみつ道具を過去の世界で営利目的で使用することは犯罪行為に当たるとされている。
しかし、「ドライ・ライト」や「ネズミ退治会社」など、のび太やドラえもんがひみつ道具での営利活動を行う回がいくつかあるが、お咎め無しの場合がほとんどである。
ただしそれでものび太らのミスにより失敗に終わることも多いが。
それでも、「ただ見セット」や「雑誌作りセット」など、現代の…いや、初出時点での現実の法律でも十分法律に抵触する行為に触れている場合もあったりする。
詳細はひみつ道具を利用した商売を参照してほしい。

ゲーム「ドラえもんのどら焼き屋さん物語」では、メタ的に経営ゲームであることを抜きにしても、人助けであること、そもそもひみつ道具を直接営利活動に使用していないために、このことに関しては不問にされている。

ひみつ道具関連の一覧項目

アニヲタwikiにて、ひみつ道具をカテゴライズしてまとめた項目がいくつか存在するため、それを紹介する。
  • カメラ型のひみつ道具…F先生の好みなのか、「カメラ(写真機)」、「ミニチュア模型」、「拳銃」のいずれかをジャンルか形状・使用方法にとった道具は数多い。






ひみつ道具に視点を当てた作品

「ドラえもん」のストーリーの中核を担うひみつ道具であるが、このひみつ道具という概念自体にスポットライトを当てた作品も制作されている。
1991年3月にエポック社から発売されたゲームボーイ用ゲーム。ドラえもんを操作し、反乱を起こしたひみつ道具と戦う。
2013年3月に上映された映画。ドラえもんの盗まれた鈴を取り戻すために向かったひみつ道具博物館での冒険を描く。

余談

呼称の変化

意外にも「ひみつ道具」という呼称の歴史は新しく、1979年のテレビ朝日版アニメの放送開始と前後して登場している。
連載初期は、「べんりな道具」や「すばらしい道具」、「ドラえもんの道具」、「未来道具」と呼ばれていた。
一応、1973年に放送された日本テレビ版アニメでは「秘密兵器」という総称があり、考え方によっては、漫画、日テレ版アニメの名称を折衷したもので決定したと考えられる。

ひみつ道具の総種類数

ひみつ道具の総種類数は作者も把握していなかったが、ファンの調査によると原作漫画中で1900種類以上の道具が確認されており、
さらにアニメ版で独自に登場した道具の種類も含めると、2300種類以上であることが確認されている。

ひみつ道具の発明方法

映画『ひみつ道具博物館』にて、「ひみつ道具も人間のエンジニアが立案・試作・商業化している」
「試作段階では『どこでもドアなのにサイズが異様なほど大きい*2』など、機能は実現していてもツールとしては実用的ではないことが普通にある」
「ひみつ道具の技術史をテーマにした博物館がある」と描写された。
普通に考えれば原作シリーズや大山版でも同一の想定であったとみなしていいだろう。
原作では「移動手段としてのどこでもドアの発達で廃れてしまった業種もある」旨が説明されているため、意外と道具同士でシェアを食い合っている概念もある模様。ドラちゃんもああいうの慌てて駅に行くタイプなんだ…

西田真基の『まんが版ドラえもん百科』でも同様の設定だが、発明者は当時アニメ放映中だった『キテレツ大百科』のキテレツくんの子孫と思しきキテレツ博士とされている。
このへんの媒体だと著者によって設定が可変するし、ちょくちょくF先生が決めたであろう設定と矛盾してたりするのは留意してほしいが、原作漫画において他の藤子キャラが客演することがあった(たまーにA先生持ちになったメンバーがいることも…)*3のを活かした描写とも言えるだろう。

BGM

ドラえもんが取り出して道具の名前を言うとともに「ピシュピシュコァ~」の効果音の後、「ぼくドラえもん」のアレンジを流しながら解説が始まるのが一般的。
よく間違われるがパロディウスのルーレット等で使用されるファンファーレ「チャージ」ではない
急ぎの場合は省略されることも多い。

追記・修正はひみつ道具の力に頼らず、自力でお願いします。

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最終更新:2025年09月09日 20:27

*1 作中最初の試合やWABC編での説明を考えると、実質的にはランダム選出と思われる

*2 博物館順路に「門」として転用したことでどこでもドアとして供用されている設定で登場した

*3 フォーマットが近いため小ネタとして使いやすかったのか、怪物くんや彼の従者3名はよく出てきていた