食品型のひみつ道具

登録日:2023/12/30 Sat 14:10:01
更新日:2025/04/01 Tue 11:45:50
所要時間:約 36 分で読めます





ここでは、漫画ドラえもん』に登場するひみつ道具のうち、食品型のひみつ道具について一覧形式で紹介する。


●目次


【概要】

「ひみつ道具」という総称が示す通り、ドラえもんにはカメラや薬品、アクセサリー、ロボット、乗り物、武器・兵器、工具など様々な種類の道具が登場する。
そんな中で、「道具」=「物を作る、または何かを行うために用いる器具」と呼ぶには程遠いと思われる、食用・飲用のタイプも多数存在する。

これらは人間はもちろん、ドラえもんドラミのような未来のロボットや動物が食べても効果をもたらす。反対に、ペットフードのように人間ではなく動物あるいは特定の生物に食べさせる目的の道具も存在する。

また、食品がモチーフということで道具としての効果だけではなく食品としての味や食感にこだわったものも見られる。緊急時にこれで空腹を凌いだりおやつ代わりに食べる描写もあることから、思わず読者の食欲をそそる「マンガ飯」を構成する要素として話題に挙がる機会も多い。

パンや生鮮食品型のひみつ道具も登場するが、道具が腐ってしまうなど消費期限・賞味期限の問題が作中で描かれた例はない。本来の効果を得るまでもなく食あたりを起こすくだりなど描いたって仕方ないとはいえ、22世紀では現代よりも安全かつ保存効果の高い保存料が発明されているのだろう。

◆欠点

特別な操作や知識を必要とせず、「食べる」だけで手軽に、時にはおいしさも合わせて多大な効果を得られるメリットが魅力と言える食べ物のひみつ道具。一方でこれらの大部分に共通する欠点も多々ある。

第一に挙げられるのは、薬品系と同様に消費物であり機械系のように繰り返し使用することができない点
食べることで効果を発揮するため持続時間がわずかに限られ、排泄などで体外に出してしまうと効果を失ってしまう点(下記の「すて犬ダンゴ」など)だろう。
逆に厄介な性質を持つ道具に限って長時間持続しがち。

また、使用後に効果を取り消す有効な手段もない場合が多い。
即時に無効化できる薬などがある道具は「テレパしい」*1や「ミニ・ブラックホール」、「テスト用パン」*2ぐらいだろう。
どうしても道具による影響を抑えたい場合は、体外へ排出するか効果が切れるまで待つしかない*3

多くの道具は、外見がモチーフとなる食べ物に酷似して作られており、包装から出したものや始めからパッケージのないものは一目で道具だとは判断しづらいものがほとんど*4。そのため、好奇心から口にした結果、望まない効果を得てしまうリスクもある*5
ただし、このひみつ道具としては致命的と思われるデメリットも、作中では第三者へ食べさせる際「普通の食べ物」と偽ることで警戒心を与えないといった利点に活用されることもある*6

これらの道具が登場するエピソードの多くは、「途中で効果が切れるor所持数が底をついてしまい肝心なタイミングで道具の恩恵が得られなくなる」、反対に「効果がなかなか切れず困ってしまう」…というオチが多い。


【一覧について】

ここではあくまで道具そのものが食料品・菓子・飲料品のタイプについて列挙するため、
グルメテーブルかけ」や「しゅみの日曜農業セット」のような「食べ物を生成する道具」「間接的な形で食用に用いられる道具」、「畑のレストラン」のような初期状態では食べられず複数工程を経ないと食用にならない道具はここでは対象外とする。
ただし付属品や「声のキャンデー」や「CMキャンデー発射機」など「道具の主体となる特殊効果を有する特定の食品を簡易操作で生成する道具」はこの限りではない。
また、一見食べ物や飲み物っぽい道具でも作中で「くすり」「ドリンク(剤)」などと説明されているものは「薬品型のひみつ道具」として扱われるため同様に除外する。

☆は大山版アニメオリジナルのひみつ道具、★はわさドラ版アニメオリジナルのひみつ道具、◎は原作やアニメ以外のオリジナルひみつ道具、※は原作に登場した道具の設定を食品型に改変したものを指す。


【野菜・穀類】


【調味料】


【畜産物】

●しゅくテキ★
わさドラ『ママママバトルざます』に登場。
見た目がまんま肉で、焼いて食べることで競争心が湧き他人をライバル視するようになる。
作中ではのび太のママが誤って食べスネ夫のママを煽り、応戦したスネ夫のママとのバトルが繰り広げられることとなる。

●宝のチーズ★
わさドラ『ドクロ島の秘宝』に登場。
エメンタールチーズ型の道具。
これを食べると、実在する「宝の地図」と同じものが浮かび上がる。作中では「みたままベレー」と「自動ふで」で清書していた。ただし、現時点でそこに宝がまだ残っているかまでの情報の正確性は保証されない。
かなり熟成したチーズなのか臭いは相当キツいらしい。


【米飯・パン類】



【菓子類】

食べやすさ・手軽さに特化するためか、キャンディー・ドロップ型が多数を占める。特に初期のわさドラ版アニメでは自主規制により、原作で薬品型だった道具の多くがお菓子型に改変されているケースが多い。

お菓子系が多いのは、単純に児童向けの漫画であることや、初期で「薬は嫌いだ」と薬品系を拒むことがあったのび太の抵抗を減らすための配慮であると考えられる。


【飲料】

●アドベン茶
『アドベン茶で大冒険』に登場。
西洋風のポットに入ったお茶の道具。このお茶を飲んでから外へ出ると様々なアドベンチャーを体験することになる。効果時間は一口につき5分間。当然飲めば飲むほど時間は伸びる。
その「アドベンチャー」というのも「銀行強盗に追い回される」、「鉄骨ごとクレーンで吊り上げられる」、「火災が発生したビルに入ってしまう」、「トラックの上に乗ってしまいそのままトラックが走り出してしまう」などかなりスリル満点。ただし、ドラえもんいわく「絶対安全保証つき」で、何が起きても命に危険が及ぶことはない。
のび助が夢中になって何杯も飲んでいるため、味もなかなか美味しいらしい。

●はなジュース
『バタバタフライ』に登場。
大きな花の形をした容器に入っている甘いジュース。長い渦巻き状のストローを使ってチョウのように中身を飲むことができる。
ジュース型の道具というより容器や飲むための道具がひみつ道具のような描写だったが、まあ食品型の範疇であろう。


【非常食・インスタント食品】



【ペットまたは特定の生物用】

未来世界ではペットロボットの需要が現代以上に高まっている*15一方、現代と変わらずイヌやネコなどの愛玩動物も未だ人気は衰えていない模様。それは、人間ではなくペットに食べさせるためのひみつ道具が数種類製造されている点からも窺える。
また、野生の動物を手懐けるための道具や、別のひみつ道具によって誕生させた生物の餌となる補助道具も存在する。


【その他】


【分類不明】

本体の形状が描写あるいは詳細な説明がなされていないため、どのような食品型か判別が困難なひみつ道具。

●あめんぼう
『あめんぼう』に登場。
瓶に入った棒状の道具。これを食べると昆虫のアメンボの如く水に浮かぶようになる。
その性質上、効き目が続く間は風呂に入れなくなる。作中ではジャイアンとスネ夫が大量に食べた結果、1ヶ月経っても風呂に入れず、体が薄汚れハエがたかるという不潔な状態になってしまった。

●食用うきわ*18
『ドラえもん大事典』で紹介された。
一口サイズのドーナツ型の道具。食べるとお腹の中で大きく膨れ、体が浮き輪のように水に浮かぶ。

●食用宇宙服
『のび太の宇宙開拓史』に登場。
お菓子のような外観の道具。これを食べると体内で酸素が作り出され、体表に特殊な膜が現れ、生身で宇宙空間の中で活動できるようになる。

●内用宇宙服
『宝星』に登場。
食べると自身の皮膚が宇宙服と同様の性質を持つようになり、生身だけで宇宙空間で活動が可能となる。
登場コマでは筒状の入れ物に入っていることが確認できるが、本体がどのような形状なのかは不明。
わさドラ版では上記の「食用宇宙服」と同じ外観になっている。


【非食用のひみつ道具が食べられた例】

当たり前のことを言うようだが、以上に挙げた食用のひみつ道具を除く道具は、食用ではないため食べられない。
ただし作中では、ちょっとしたアクシデントや使用者が道具の使い方に対し無知だったがために、食用でない道具を誤食してしまうという描写も存在する。

どこでもドア
『雪男のアルバイト』で、ヒマラヤに住む雪男が放置されていたどこでもドアをかじって食べようとしていた。「ほんやくコンニャク」で尋ねたところ、食べたくて食べたわけではないが、ひどい空腹だったため仕方なかったとのこと。幸いドアは故障に至らなかったものの、横部分の縁が欠けてしまった。これを見かねたいつもの2人がなんとか助力しようとしたことで事態が大きく動いた、という意味では非常に重要な描写ではある。
余談だが『ドラえもん のび太の大魔境』劇場版では何とワニに食われてロスト。ああ見えて無理矢理食べようと思えば食べられる素材でできているのかもしれない。

●カッコータマゴ
『カッコータマゴ』に登場。
持っているだけで他所の子供になれる道具。玉子の振る舞いに嫌気が差したのび太が骨川家に転がり込むが、入浴の最中にスネ夫のママがポケットに入れておいたタマゴを不審に思い外へ捨ててしまう。放り投げられたタマゴはのび太へ抗議に向かったドラえもんが飲み込んでしまい、今度はドラえもんが骨川家の子と見なされてしまうのだった。
この時は丸呑みしてしまったため味などの言及はない。

●吸音機
『騒音公害をカンヅメにしちゃえ』に登場。
周りの音を吸い込み缶詰めにすることで静かな環境を作ることができる道具。
オチでのび太が缶ジュースと間違えてこの道具で作った缶詰めを飲んでしまい、あたりに騒音をまき散らす羽目になった。

●ノビール水道管
グルメテーブルかけ
前者は地面に刺すことで地下水脈を探し出し水が飲める道具、後者は地面などに敷いて食べたいものを注文する道具。
のび太のドラビアンナイト』で、盗賊のカシムがドラえもんから奪った四次元ポケットで喉の渇きと飢えを解消するためこれらを取り出した。
だがカシム本人も手下二人も肝心の使い方が分からなかったため、水道管を吸う、テーブルかけを噛み切るなど意味の無い行動に走っていた。


【食品型だが食用ではない道具】

見た目こそ食品型であるものの食べる以外の方法で効果を発揮する道具もいくつかあるのでここで紹介する。

●一夜漬けダル★
わさドラ『テストに一夜漬けダル』に登場。
見た目は糠漬け用の樽で、人が入れるくらいのサイズ。
出来るようになりたいものと一緒にこの樽の中で糠に漬かることでそれが出来るようになるという効果で、例えばリコーダーと一緒に漬かることでリコーダーが上手くなる。
長く漬かるほど効果がある。
なお、あくまで特殊な効果を有しているのは糠の方。

●カップ旅行セット☆
大山ドラ『3分間カップ旅行』に登場。
見た目はまんまカップ麺で、カップの中で3分間だけ冒険旅行を楽しめるというもの。
ドラえもんはアドベンチャーカップ・メルヘンカップ・スペースカップ・SFカップ・ホラーカップの5種類を所持していた。

●シャンポーンロケット★
わさドラ『脱出!!巨大クリスマスケーキ』に登場。
シャンパンボトルの見た目をしている。
触れた人は身体が小さくなってコルク栓に吸い込まれ、そのままシャンパンのコルク栓を飛ばす要領で好きな場所へ飛んでいくことができる。
自分の他に飛ばしてくれる人が必要だったり、着地の際にかたいものに当たらないと身体が元に戻らずコルク栓に閉じ込められたままだったりと単に移動手段としてみると難点が多い。
見た目からしてあくまで主用途はパーティーの余興などなのかもしれない。



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最終更新:2025年04月01日 11:45

*1 無効化する手段は不明だが、作中でテレパしいを食べたのび太をドラえもんが何らかの道具で元に戻そうとする描写があることから。

*2 これは「スグナオール」の服用を前提とした道具なので当然と言えば当然だが。

*3 「動物変身ビスケット」など。

*4 「音楽イモ」、「アンキパン」など。

*5 「動物変身ビスケット」、「すて犬ダンゴ」など。

*6 「おそだアメ」、「クエーヌパン」など。この作戦でのび太が失敗したのは「おすそわけガム」ぐらいである。

*7 正確には「なにかにおわない?」と怪しんでいる。まあオナラで生演奏してるとか普通は思い至らないのでこのくらいのほうが自然だろう

*8 『ハツメイカー』の設計図を基に発明された道具だが、ここでは「ひみつ道具」として扱うものとする。

*9 ランドセルに取り付けた手のギミックにタマネギの山へ顔を押し付けられることで涙を流し、そのまま同じく手によって頭を下げられるというもの。

*10 本話前半で、のび太はドラえもんバックアップの下で特訓を積んでいた。

*11 ここが論点になる部分で「未消化だったから忘れた」のか、あるいは「ちゃんと消化すれば忘れない」のかは、作中では一応どちらとも取れる描写になっている。原作やアニメとは異なるクロスオーバー的な作品の話になるが、羽海野チカによる漫画では「一度食べれば排泄しても覚えたまま」という、後者の解釈に近い効果で描かれている。

*12 作中のラストでジャムやマーガリンの容器が置いてあることから。

*13 機械そのものを指す場合と機械が生成したキャンデーそのものを指す場合がある。

*14 例として「嘘をつくと閻魔大王に舌を抜かれる」と言うと本当に閻魔大王が舌を抜きに現れる。

*15 『タイムワープリール』など。

*16 作中でもドラえもんが指摘している。

*17 近年はまるごと注文する家庭も増えているので「新年だからお祝いに華やか・豪華なメニューをいただこう」という意義も強いが、本来は三が日に厨房に立たなくていい=働かなくても大丈夫なようにするための風習でもある。そのため昔からの定番品には保存がきくものが多い

*18 『ドラとバケルともうひとつ』のドラえもん大事典では『食用うきぶくろ』。