グルメテーブルかけ

登録日:2023/07/02 Sun 23:40:00
更新日:2025/04/21 Mon 19:22:02
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『グルメテーブルかけ』は、漫画ドラえもん』に登場するひみつ道具。


●目次


【概要】

テーブルクロスの形をした道具で、食べたいものを注文するとジャンルを問わずどんな食べ物・飲み物でも即座に提供してくれる。

『大長編ドラえもん』シリーズでも多くの作品で登場し、ドラえもんのび太ら冒険者の胃袋を満たす心強い味方として役立っている。

大長編・映画版での活躍や、人の尽きぬ食欲を極限まで満たしてくれるチートクラスの道具として、人気・知名度共に高いひみつ道具の一つ。「現実にあったら欲しいひみつ道具」としてこの道具を挙げる者も少なくない。


【性能】

普通のテーブルかけと同じように食卓などに敷いて使う道具。とは言っても作中では大抵床や地べたに敷かれるなどレジャーシートに近い使い方をされることがほとんどで、ちゃんとした「テーブルかけ」として使われるシーンはあまり無いが。
そしてテーブルかけの前で食べたい料理の名前を言うだけで、その料理が本体の上に出現するのだ。

出せる料理に制限はなく、アルコール類も注文可能。「ドラやきどんぶり」など現実にありそうもない料理名を言ってもそれらしき料理を提供してくれるという要領の良さまで兼ね備えている。ドラえもん曰く「出ない料理はない」

料理はそれぞれに合った器(皿・丼鉢・重箱など)にきちんと盛り付けられて出される一方、箸やスプーン・フォークなどシルバーの類は付いていたり付いていなかったりするなどまちまち。

大長編『のび太と雲の王国』では、ムカシダイダラアホウドリのエサをテーブルかけで「雲ロボット」達に用意させている描写があり、人間だけでなく動物用の食べ物(ペットフード等)も出現させることができるようだ。

料理名を正確かつ具体的に言う必要はなく、わさドラ版『何が何でもお花見を』では、「お花見のごちそう」という曖昧な注文でも重箱入りの弁当やジュースなどが出されている。AIでも内蔵しているのだろうか。

もしも出せる料理の数に制限が無いと仮定した場合、これさえあれば一生食費には困らないだろう。


費用


……えっ、「実は後からお金取られるんじゃないの?」って?

これまでに「利用時に料金発生かつ後払い制」でその事実が途中まで伏せられていたひみつ道具としては、『手品用ハンカチ』*1、『つう心販売カタログ』、『キャラクター商品注文機』などがある。

いずれも「欲しいものを手に入れられる」という気前の良さが売りの道具。グルメテーブルかけも同様である。好きなものをタダでいくらでも食べ放題だなんて、そんな(グルメだけに)うまい話などありはしないはず……。
ましてや「チート性能の裏に大きな落とし穴が潜んでいた」というのは『ドラえもん』におけるお約束のようなもので、そう疑りたくなるのも無理はないだろう。

しかし、実際にこのテーブルかけを使用することで代金を請求された描写は無い。
当然、どんな高級料理を注文しようが追加料金が発生することもない。何をどれだけ頼もうがタダなのだ。

ネット上で「グルメテーブルかけ」が話題に挙がる際、「実は料金を取られる」という噂がまことしやかに囁かれることがあるが、原作・アニメ共にそのような描写は存在しないためご注意を。


「グルメテーブルかけ」の魅力は、無限のレパートリーと圧倒的コスパだけではない。

出される料理はどれも「一流の味」とされており、テーブルかけから出た料理を食べた者は皆口を揃えて「うまい」と評している。少なくとも作中で味に文句を付けられたり食べた人の口に合わなかったというような例は存在しないため、注文した人の味覚や好みに合わせて味・匂い・食感・温度などの要素を自動調節するシステムがあるのかもしれない。
故障しない限り(後述)食品衛生面の問題もきちんとクリアされているので、安心・安全でおいしい食事の提供が約束されている。

スネ夫のリクエストで高級フランス料理を出した時も例外ではなく、一流レストランで同じコース料理を味わっていたスネ夫も「くやしいけどこんなうまいの食べたことない」と評価していた。

まさに「うまい、やすい(?)、はやい」の究極系を形にしたとも言えるグルメテーブルかけ。
しかし、こんな道具が普及している22世紀では、食料品メーカーは果たして経営が成り立っているのだろうか。味さえも他の追随を許さないとなればレストランなども商売上がったりだろう。
また、タダで好きなものをたらふく食べられることから食べ過ぎによる健康問題の深刻化も考えられる。




【登場エピソード】

●短編

『グルメテーブルかけ』

初登場エピソード。
母(母方のおばあちゃん)の急病によりママが実家へ帰ることになったため、代わりに料理をしたことの無いパパが食事を作ることになった。
本人は自信満々で台所に立ったもののアンキパンの時*2と違って失敗の連続、出前を取ろうにも店が休みという最悪の事態に。飢えの危機を脱するべくドラえもんが出した。

のび太もパパもお腹いっぱいになるまでご馳走を満喫するが、家族を心配し雨が降る中急いで帰宅したママを不機嫌にさせてしまったのだった。

メニュー:カツどん、カレーライス、フルーツポンチ、プリン、コーヒー、エスカルゴブルゴーニュ風、トリュフのスープ、フィエットチーネ、あま鯛のシャンパン蒸し、中華料理、お菓子のお家(大山版アニメ)

『四次元くずかご』

壊れたひみつ道具を捨てる「四次元くずかご」の中に廃棄されていた。
ハイキングの弁当代わりに食事を出そうとのび太が使用するが、出された食べ物は匂いも味も悪く、食中毒になりかねない状態だった。*3
メニューラーメン(故障が原因で変な味がした)、故障が原因で変な匂いがする料理、ブドウ(?)

『かべ景色きりかえ機』

日曜日に家族でお花見に行く予定のはずがパパの急用で中止になってしまう。どうしても花見がしたいのび太のためにドラえもんが『かべ景色きりかえ機』を出し、部屋でのお花見を楽しむことに。花見にはごちそうが付き物ということで「グルメテーブルかけ」で花見だんごなどを堪能した。
メニュー:花見だんご、ホットドッグ、ハンバーガー、ジュース、コーラ

『ぼくミニドラえもん』

ドラえもんではなくミニドラが出した。ミニドラの出すひみつ道具は彼のサイズに合わせて超ミニサイズ(グルメテーブルかけの場合ハンカチぐらいのサイズ)になるため、出てくる料理も非常に小さい。一応ビッグライトで人間用サイズにする解決策はあるのだが…
メニュー:ラーメン、天丼、ドラやきステーキ、シチュー(?)

『何が何でもお花見を』

夜中の花見を実現させるためにドラえもんが出した。
メニュー:重箱弁当、ジュース、ビール

『ドラミのお花見メロンパン』

わさドラ版アニメオリジナル回。レギュラー+ドラミでお花見に行った時に登場。
メニュー:ドラやき、ドーナツ、桜餅、カツ丼、カツカレー、カツサンド、チキンの丸焼き、メロンパン


『ピクニックで先を越せ』

のび太のパパが知人と話してる時にウイスキーを出した。



ザ☆ドラえもんズ

『みんなのお祭りを守れ!』

タイムマシンの故障で昔の中国に迷い込んだ王ドラが、野盗に家族を殺された子供達の食事を出してあげるために使用。
ちなみに子供の1人と野盗の1人に、道具名を「スルメテーブスかけ」と間違えられている。
メニュー:カレーライス、ステーキ、ハンバーグ、骨付き肉、サラダ、紅茶(?)、ジュース(?)

●大長編

のび太のドラビアンナイト

ドラえもんから四次元ポケットを奪った盗賊のカシムが食べ物を調達するために出した。ところが肝心の使い方がわからず終い。手下の一人はそのまま食べようとまでしていた。
これ以前のシーンでは、ドラえもんらと共に砂漠を彷徨っていたジャイアンが「今一番欲しい道具」として挙げていた。カツどんやラーメンなどを食べたがっていた模様。
その後、アブジルに追われていたしずかやドラえもん達をシンドバッドが自身の黄金宮に招待。フルーツなど沢山のご馳走が振る舞われた。
(登場こそしたものの)最後まで本来の役目を全うすることはなかったという珍しい扱いである。

『のび太と雲の王国』

のび太達が作った「雲の王国」内にあるレストランの料理を賄うために使用。即時に出来上がるメリットから「雲ロボット」による出前もスピーディーにこなすことができた。
後に、ホイの『万能たづな』で手懐けられたムカシダイダラアホウドリ用のご飯も用意させている。

メニュー:ホットケーキ、ドラやき、ミルクティー、アホウドリのエサ

のび太の創世日記

メニュー:お子さまランチ、ピザパイ、どらやきどんぶり


【関連するひみつ道具】

◯北風のくれたテーブルかけ/北風のテーブルかけ
『メルヘンランド入場券』『のび太の魔界大冒険』に登場。名称は前者と後者でやや異なる。
前者では、22世紀のテーマパーク「メルヘンランド」でドラえもんがレンタルした道具として登場。後者では美夜子が所持していた魔界世界の道具で厳密には「ひみつ道具」ではない。
「食べたい物が何でも出てくる」という特徴は、グルメテーブルかけと全く同じ。
ノルウェー民話『北風のくれたテーブルかけ』が元ネタとなっている。

◯植物改造エキスⅠ
のび太の大魔境』『のび太の創世日記』に登場。
アンプル型の道具で、付属の注射器を使い任意の植物に注入すると、食べ物が入った果実が成る植物に改造することができる。
作中ではのび太達のリクエストにより「カレーライス」「ホットケーキ」「カニピラフ」「ラーメン」、さらに「ドラやき」「ドッグフード」のアンプルが使われた。
「グルメテーブルかけ」のように何でも食べられるとまではいかないが、読者の食指を動かす夢とワクワク感にあふれるグルメ系ひみつ道具として、同様に高い知名度と人気を誇る。
ちなみに『植物改造エキスⅡ』もあり、こちらは植物を広い足場に改造する道具である。

◯海底クッキングマシーン
のび太の海底鬼岩城』に登場。
厳密に言えばテントアパート内に設置されている装置で、食べたい料理を書いたカードを入れて3分待てば、海中のプランクトンを加工した再現料理が出来あがる。
大きな括りとはいえ材料が判明しており、作中の「お子さまランチ」「パンケーキ」「カツ丼」「フィレミニョンステーキ」「ドラ焼き」「バーベキュー」「マツタケ料理」はあくまで再現したものというのが特徴。しかしのび太達には見た目も味も本物と全く見分けが付かないほど料理の再現度は非常に高い。
メニューを書くだけで肉料理から菓子類まで幅広く再現できる点は、「グルメテーブルかけ」に匹敵するほどのポテンシャルを秘めているのではないだろうか。

◯畑のレストラン
のび太の日本誕生』に登場。
「ラーメン」「カレーライス」など数種類ある缶詰に入った種の道具。地面に蒔いて育てると、ダイコンに似た野菜が育つ。その中には料理が出来立ての状態で入っており、2つに割るとそのまま食器の要領で食べることができる。
なお野菜の部分も普通に食べられるようで、のび太は説明を聞かずにそのままかじりついていたが特に不味そうな反応はしておらず、ドラえもんも「そういう食べ方もあるにはある」と述べている。某ランチパックみたいな感じでも楽しめるのかもしれない。途中から中身がこぼれてきて悲惨なことになりそうだが
「植物改造エキスⅠ」と同様、実を割ると料理が出てくるという独創性豊かで食欲をそそる道具として高い知名度と人気を誇り、藤子・F・不二雄ミュージアムのカフェでイメージメニューとして販売されてたり(さすがにこのサイズのダイコン・カブを販売ベースでは用意できないため、形状を再現した器と蓋に盛ってもらう)、漫画メシとして再現したり(こちらは聖護院大根など「ああいう形の品種」を使用して実際に野菜で器を作るケースが多いようだ)とリアルでも出番がある。
利便性やメニューの種類では「グルメテーブルかけ」に劣るものの、「畑で『料理』を育て収穫する」というテーブルかけでは味わえないロマンに魅了されたドラえもんファンも多いようだ。

◯味のもとのもと
かの問題作「ジャイアンシチュー」でお馴染みの道具。この名称は原作に登場した時のもので、実際に登録されている商標*4の関係でアニメ化の際に「モトノアジ」/「いっぱい食べる子元気な粉」/「スーパーグルメスパイス」などと何度も改名がなされている。
ふりかけるとどんなまずい料理も食べずにはいられない程の絶品に生まれ変わる調味料。
ある意味「グルメテーブルかけ」と双璧を成す、人間の「食欲」を極限まで満たす究極のひみつ道具と言える。

前述の通りテーブルかけによる料理も味は一流ではあるが、この道具を使用した時の脅威的な中毒性までは持たないため、調理機構にこの粉が仕組まれているということはなさそうである。
テーブルかけが故障した場合、これを持っていれば通常通り食べられる可能性がある。食中毒の問題は別として。

◯無料ハンバーガー製造機
『のら犬「イチ」の国』に登場。
空気と水を原料にクロレラを培養しハンバーグ状の人工肉を生成する機械。「ハンバーガー」って言ってるのにパティだけだが、バンズを作る機能もあるのかもしれない。
作れるのは人工肉だけだが、「無料」と銘打っている通り水や空気さえあれば半永久的に食料を生産することができる*5。後に登場した「グルメテーブルかけ」の技術に影響を与えた道具の一つかもしれない。
ドラえもんはこれを手に入れるまでにかなり苦労した様子から、22世紀ではかなり品薄の人気商品らしい。

前述のエピソードをベースにした映画『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』では無料フード製造機という道具が登場。
同じくクロレラを培養して作られるが、こちらはパティだけでなく好みに合わせたペットフードが製作可能という実質的な上位互換となっている。

◯B級グルメテーブルかけ
わさドラ版映画『のび太のひみつ道具博物館』で、クルト・ハルトマンが発明したひみつ道具。
食べたい「B級グルメ」を注文すると出現する。「グルメテーブルかけ」と機能は似ているが、時々注文した料理が材料の動物や野菜、果物のまま出現してしまうという欠点がある*6
性質上、漫画版準拠であれば(下位ではあるにせよ)おおむね互換品であるため、「こっちの設定ならクルト成功してる方じゃない?」と解釈されることもある。 B級グルメの評価が高い現代なら十分実用に耐えるだろう。


【余談】

  • 大山版『ぐうたら感謝の日』では、ママが料理を作ってくれないためドラえもんがグルメテーブルかけを出すが、穴が空いていたせいで使えなくなっていた。

  • 同じく大山版アニメでは最末期にもグルメテーブルかけがアニメ化されているが、その回は非常に珍しいママの両親(のび太の母方の祖父母)が登場する回でもある。祖母の顔はママ、祖父の顔はのび太をそのまま加齢させたかのようなそっくりな顔をしていたため、のび太の顔は母方の祖父の隔世遺伝であることが分かる。

  • 食に関する問題をほぼ全てノーリスクで解決できてしまう強力過ぎる道具であるためか、ドラえもんやのび太が空腹に苦しんだり、食べたい物への執着を抑えられない*7といった困難に直面するエピソードでも登場する機会は少ない。どちらかというと大長編で重宝されるイメージが強いだろう。
    そもそもドラえもんの所持道具は一回限りの使い捨てが多数あること*8を踏まえると、グルメテーブルかけも常に持っているわけではないと考えるのが妥当と言える。レンタル品の場合でも借り賃が相応に高いのかもしれない。最初に述べた「食品メーカーとシェアを奪い合う事態になったらどう考えてもテーブルかけが勝ってしまうのではないか?」についても、こういった「回数のニュアンスだと無制限には使えない」であれば両立は十分可能だろうし、試供品や終売品のメニューをインプットするなどでむしろ「特定の食品関係の企業とのコラボレーションモデル」を起こすことだって考えられる。



ご注文は?
追記ブルゴーニュ風。修正のスープ。

こんなややこしいの出来るかしら。
出来ない編集はないんだ。


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最終更新:2025年04月21日 19:22

*1 ハンカチで包んだものと別の場所にあるものの位置を交換させたり、心の中で念じたものを出現させることができる道具。後者の場合、出した品物の分だけ所持金が減るという仕組みになっていた(のび太の場合ママの財布から)。

*2 母の日ということでママの代わりに腕に縒りをかけた沢山の夕食を振る舞っており、ママも「とってもおいしい」と味を絶賛していた。

*3 「食中毒」という表現を避けるためか、大山版では故障内容が「料理の味が入れ替わる」、わさドラ版では「料理の具材が混ざる」というものに差し替えられている。なお、一品しか注文しなかった場合どうなるかはいずれも不明。

*4 「味の素」は社名としてだけではなく、うまみ調味料の商品名としても味の素社の登録商標

*5 ただし、仮に水が飲用水などを必要とする場合、その確保の過程でコストが発生する可能性があるため厳密には「無料」ではなくなる。

*6 漫画版では「B級グルメ以外の料理を注文した場合は材料がそのまま出現してしまう」と説明されている

*7 ドラえもんがドラやきを食べられず禁断症状に苦しむエピソード、スネ夫の自慢話を聞いたのび太が同じ物を食べたがるエピソードなど。

*8 『四次元くずかご』におけるドラえもんの発言より。グルメテーブルかけがくずかごに捨てられていたことと関連付けた場合、テーブルかけも同様に注文可能数などの制限がある使い捨ての可能性が高い。