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妖怪(クトゥルフ神話)

登録日:2026/01/31 Sat 05:00:08
更新日:2026/08/26 Wed 08:46:53
所要時間:約 6 分で読めます





本項では、創作神話大系クトゥルフ神話における日本妖怪を取り扱う。
ただし、クトゥルフ神話は作家により設定の変動する「シェアード・ワールド」の性質を持つ作品群のため、ここでの解説も商業作品における一例であることは御留意願いたい。


■概要


クトゥルフ神話のモンスターと聞けば名状し難い神々や神話生物を思い浮かべると思うが、これら独自の存在だけでなくエジプト神話のバステト神やギリシャ神話のヒュプノス、ゼウス吸血鬼狼男キリスト教的な悪魔など、他神話の神々や怪物も多々取り入れられている。

中には妖怪を取り込んだクトゥルフ神話作品も存在するが、妖怪の知名度の関係もあって日本の創作物が大部分を占める。
それらの作品の中でも、日本本来の伝承の妖怪として登場するものや、妖怪と認識されているものの正体が神話生物だったなど、作品ごとに様々な設定を与えられている。



海外での妖怪のソースとなっている『Secrets of Japan』での妖怪、及び『クトゥルフ神話TRPG』(Call of Cthulhu)での扱いを解説した後、妖怪を取り扱う作品を取り挙げる。

■クトゥルフ神話TRPGでの妖怪


『Secrets of Japan』

日本語未翻訳の現代日本ソースブック。2005年刊行。
妖怪ハンターが職業として成立し、昆虫ヒーローっぽい姿に変身する改造人間を開発する悪の財閥東京大学、政府によって実在を隠蔽されるゴジラガジラなどが存在するトンデモ日本が解説されている。

日本の超常存在のクリーチャーデータも掲載されており、菩薩(BOSATSU)、神様(KAMI-SAMA)、お化け物(O-BAKE-MONO)、妖怪(YOKAI)、地獄(JIGOKU)、仏(HOTOKE)に大別されている。
特筆がなければ、伝承通りの解説がされている。

菩薩(BOSATSU)

ブッダの意志を遂行し人々を導くために完全な悟りへ至ることを控え、涅槃に旅立たずにいる者たち
見るものによって姿が変わるため、仏教徒以外には天使など他の存在に見える。

神様(KAMI-SAMA)

天津神国津神、道祖神など日本独自の神々。旧神(Elder God)に類似する神々として設定されている。
伝承通りの設定が語られる事があったり、自然物が信仰を受けて変化したものとも解説されていたり、上位の神は全員ムー大陸の魔術師の魂の残滓だともされていたりと、諸説ある形になっている。魂を剥ぎ取る魔術によって、生きた人間から無理矢理一族の神に変えられた者も存在する説もある。

お化け物(O-BAKE-MONO)

神話生物とも似た、日本独自の種族。
日本には100万種以上の伝承が残っているが、実際は同じものが別の存在として記録されているだけで数種しかいないとされる。

の童と書いて河童海の種族である。
日本近海の海底に河童王国を築き暮らしている。
深きものの近縁種・蛇人間の遠い祖先から枝分かれした亜種・ムー大陸の魔術師の実験で作られた交雑種など正体に関しては諸説あるが真実は不明。

いわゆる化け狐。ドールによって滅ぼされた惑星出身の精霊的な種族。20本の触手が生えた植物の茎のような姿。
基本的には、精神のみの存在で狐(FOX)の赤ん坊に取り憑くことで物質的な肉体を得て活動している。変身能力を持っているが、影は真の姿から変化しない。

地上の龍は綿津見(wata-tsumi)と加具土(kazu-tsuchi)の2種、その他に天上の龍が存在。
地球という生命の白血球のような性質を持つ顕現だと考えられているが、全ての蛇の祖先である旧支配者・末法の龍神とイグの子孫説も存在する。

ビヤーキーと故郷を同じとする宇宙人。
ビヤーキーとの戦争でハスターの介入に怒り、グロースを召喚して母星を破壊し一部が地球に逃げ延びた。日本以外では、ミ=ゴとの縄張り争いでほとんどが滅びあまり見られない。
に似た特徴の人型の種族。悪戯を好み、主に僧侶をからかい堕落させる目的で鼻の長い人間の姿に化ける。

妖怪(YOKAI)

アザトースから切り離された混沌のエネルギーが、各地の信仰と結び付き生まれる存在。西洋の狼男や吸血鬼も同様の存在だが、龍脈が存在する日本では特に発生しやすい。
日本の民間伝承として、本来の伝承についても解説されている。

  • 悪魔(Akuma)
  • 泥田坊(DORO-TA-BOH)
  • 女(Onna)
  • 石見の牛鬼(IWAMI-NO-USHI-ONI)
  • 川赤子(KAWA-AKA-GO)
  • 海坊主(UMI-BOHZU)
  • ろくろ首(Rokuro-Kubi)
  • 怪動物(Monstrous Animals):動物が虐げられたり、環境破壊が行われた地帯に出没する。
    • 化け猫(BAKE-NEKO)
    • 大蜘蛛(OH-GUMO):妖怪として分類されているが、レンの蜘蛛と関連する可能性があるとも解説されている。
  • 動く物(Animated Objects)
    • 化け古下駄(Bake-furu-geta):代表として下駄の名が使われているが、火かき棒や熊手など、あらゆる物が変化する可能性を持つと解説されており、付喪神全般を含むと思われる。
    • 板鬼(ITA-ONI)

地獄(JIGOKU)


仏(HOTOKE)

黄泉に行けず彷徨う死者や、閻魔王にも見捨てられた堕落した死者など。
設定としては基本ルールブックのゴーストの派生に近いといえる。

  • 餓鬼(GAKI)
  • 人魂(HITO-DAMA)
  • 狐火(KITSUNE-BI)
  • キョンシー(KYONSHI)
  • 幻(MO-BA-ROSHI)
  • モノノケ(MONO-NO-KE)
  • 怨霊/御霊(Onryo/Go-ryo)
  • 幽霊(Yurey)

その他の日本の超常的存在

  • ガジラ(GAZIRA)
怪動物の欄にも一例として名が記載されているが、単独のページに分けられ解説されている。イドラと関連する可能性が示唆されているが、この辺りは推定であるため断定はされていない。
核実験や地震活動が起こると目覚め、破壊の限りを尽くし眠りにつく巨獣。勇敢な性格ではあるが、知能はそれほど高くない。
自身と同等の大きさの生物が現れると縄張りから追い出そうとする性質があり、背中のトゲを輝かせてから放つ放射性物質を含む熱線で数多の旧支配者に痛手を負わせている(日本を縄張りであると考えている)。彼が暴れ回った痕跡は台風や地震に見せかけられ、地元住民には多額の金が支払われる。
名前や設定から推察できる通り、モチーフはゴジラ(Godzilla)である(参考程度になるが、海外ではゴジラvsクトゥルフというテーマは比較的メジャーである)。

『クトゥルフ2010』

現代日本を扱った『クトゥルフ神話TRPG』のソースブック。2010年刊行。
日本の伝説的クリーチャーとして、妖怪のデータが幾つか掲載されている。

元はソースブック『クトゥルフと帝国』の英語版の追加データとして設定されたもので、日本のプレイヤーも知れるようにと『Role&Roll』誌に掲載されたのが初出*1
Role&Rollでは、妖怪を組み込むことに悩んだが米国側の強い要望で実現したことが語られている。

  • 大蛇
  • 山童
  • 山姥
  • サトリ
  • ヨモツシコメ
  • ヨモツイクサ
  • 鎌鼬
  • 鉄鼠
  • 姑獲鳥
Role&Rollにのみ掲載され、2010では削除されたものも記載。
いずれも解説は伝承通りのものだが、大蛇は蛇神イグとの関連が、鉄鼠は食屍鬼との関連が提示されている。


『比叡山炎上』

戦国時代の日本を扱った『クトゥルフ神話TRPG』ソースブック。2006年刊行。

  • 河童
深きものどもに関係する種族。
  • シシ神
シュブ=ニグラスの落とし子である黒い子山羊が変容、神格化したものであるとされる。
  • 荼枳尼天
シュブ=ニグラスと化したという記載のみあるが、詳細情報は不明。海外サプリメントでは独立した存在として記載されている。
  • 狐、狐僧正
荼枳尼天の眷属の獣人。
  • アラハバキ
ウムル・アト=タゥイルの日本における化身。
  • 黄泉醜女
クトーニアンに脳だけを摘出され、仮初めの肉体を与えられ、操り人形にされた人間。
  • 竜神
蛇神たちの一種であり、異界の怪物が神格化されたものだとされる。全ての竜神がそうなのではなく、竜神伝説の一部はこの異界の怪物を神格化したものであると説明されている。分類は旧支配者(グレート・オールド・ワン)。イグと混同されることもあるが、実際には別存在である。

その他のイグとは異なる蛇神として、「大物主命」(大物主、大物主神)が紹介されている。『Secrets of Japan』でのKAMI-SAMAの定義にも当てはまるものの、こちらではイグと類似点のある精霊神として紹介されている。荒魂としての側面と和魂としての側面を持つことが前半ページで触れられている。



■その他の妖怪が取り扱われた作品

Laundry Filesシリーズ

クトゥルフ神話と数学SFを融合させたチャールズ・ストロスによる、オカルトパンクスパイ活劇シリーズ。
日本ではシリーズ第一作の『残虐行為記録保管所』のみが翻訳され発売されている。

シリーズ第6.5作の『Escape from Yokai Land』は日本の東京が舞台で多種多様なYokaiが登場する。
電子機器の多数存在する東京近郊は魔術演算の影響で出現しやすい傾向にあるが、それでも通常は年に1,2件しか発生しない。他国の外世界存在と比べ伝承に従う傾向が強く流血沙汰になることは少ない。
近い範囲内に陰と陽の性質を持つ2体セットで出現する。陰と陽で衝突させれば対消滅するが、2体を追い立て衝突させるよりも個別に対処した方が容易。
より上位の存在にMega-YokaiやKaijuがおり、最上位の脅威として出現を警戒されている。

伝統的な妖怪以外にもサンリオキャラクターなど現代的なキャラクターも含まれているが、問題はないのだろうか…?


白無垢の仮面

『クトゥルフと帝國』の公式リプレイ小説。ミ=ゴが天狗と認識されている。

伴天連XX

片腕が異形となった侍と仲間たちが邪神に立ち向かう冒険漫画。
深きもの=河童、ぬっぺふほふ=ニョグタなど、神話生物が妖怪と誤認されている。

かくも親しき死よ〜天鳥舟奇譚

日本の神を代表とする地球の神々とクトゥルフとの戦い、巻き込まれた人々を描いた小説。
零落した水の神として河童が登場。噂を聞きつけた深きものに近縁種ではないか疑われていた。

赤虫村の怪談

邪神や神話生物が、妖怪や日本の神として伝えられている世界観のミステリー小説。

虚実妖怪百物語

クトゥルフも登場する妖怪小説。



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最終更新:2026年08月26日 08:46

*1 頓挫したのか『クトゥルフと帝国』米国版は2026年現在でも出版されていない