登録日:2018/09/04 Tue 19:17:46
更新日:2024/09/17 Tue 15:52:58
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牛鬼(『うしおに』もしくは『ぎゅうき』)とは、
日本の伝承に登場する
妖怪の一種。
目次
◆概要
主に西日本、四国地方に伝わる。
地獄の獄卒を率いる
鬼の片割れである
牛頭のことを牛鬼と呼ぶこともあるが、この項目では扱わない。
様々な伝承が存在し、それぞれが重なりあってできた定義の曖昧な妖怪であり、共通しているのは『暴力的な未知の恐怖』という点のみ。
ある意味ではベーシックな妖怪と言え、それに魅せられる妖怪好きは少なくない。
◆性格
非常に獰猛かつ残忍。
毒を吐いて人の動きを封じ、じわじわと食い殺すことを好む。
また、影を食うことで人間を殺害する能力を持つという。
姿を見ただけで病気になったり、死んでしまうこともある。
人を食らうために磯女や濡れ女、産女といった女妖怪と手を組むなど狡猾な面も見られる。
◆容姿
一番有名なのは『
ゲゲゲの鬼太郎』などに登場する鬼と
牛を混ぜたような頭部に
蜘蛛の胴体というものだが、牛鬼の姿は伝承によって違う。
以下、その一例。
- 頭が牛で首から下は鬼の胴体。
- 鬼の頭に牛の胴体。
- 頭が牛で胴体が蜘蛛。
- 牛の首に着物姿。
- 複数の頭を持つ牛。
- 鬼のような顔に牛の角、ヒレのある体。
- 牛の首と鬼の体に昆虫の羽。
- 猫のような体と三メートルの尾を持ち、体が鞠のように柔らかい。
- ただの火の玉。
…等々。
◆能力
基本的にただの人間では絶対に倒せない存在……というイメージが強いが、各地に残る伝承を見る限り
腕の立つ武士や徳の高い山伏ならば一人でも対応が可能。
それでも伝承によっては人畜に対しかなりの被害を出しており、妖怪退治で有名な
源頼光も三十メートルの牛鬼に自軍を壊滅させられると苦戦を強いられた。
羽のついている個体は空を飛び、体が鞠のように柔らかい個体は足音一つせずに獲物に近づける。
人間の女性に化けることもできるが、水に本来の姿が映ってしまうという
弱点がある。
他の弱点としては、牛鬼と遭遇した時に「石は流れ、木の葉は沈む。牛は嘶き、馬は吼える」と逆のことを言えば命が助かる。
また、正月にお酒を供えればその人は牛鬼に襲われなくなると言われている。
◆その他
以上の特徴から、同じく凶悪な妖怪である『土蜘蛛』と混同されることが多々ある。
ただし国際日本文化研究センター名誉教授の小松和彦によると、これは意図的なものであるとのこと。
中世日本において土蜘蛛は「怖いモノの象徴」であり、そのため牛鬼を知らない者が絵をひと目見ただけで怖い存在だと認識できるように、わざと土蜘蛛の身体的特徴を牛鬼のデザインに落とし込んだのだと小松氏は述べている。
もともとは土着神であったはずのものが、信仰を失ったことで妖怪化した祟り神であるとする説も存在しており、地方によっては
神としての牛鬼と妖怪としての牛鬼が別々に伝わっている。
妖怪の方の牛鬼も「老いた椿の根に宿った神霊の化身」とする説があり、人々から信仰を集めている。
その強大さ故に「牛鬼淵」や「牛鬼滝」と地名の由来になったり、「牛鬼の遺物」とされ現代に残っている代物も多い。
稀に妖怪だが人助けをする牛鬼も存在するが、その場合牛鬼はその人の身代わりになってこの世を去らねばならないらしい。
この手の話題ではお馴染みの
水木しげる氏は、牛鬼の背後に牛に関する古代インド神として、
大自在天の化身である
伊舎那天や
閻魔天が関係しており、また近隣に菅原道真を祀った天満宮があることが関係していると推測していた。
◆牛鬼、もしくは牛鬼を由来とするものが登場する作品
上記の性質から基本的に悪役だが、無害な存在として登場するケースもあったりする。
また「牛鬼を倒した人間が新たな牛鬼になる」という鬼太郎設定から、人間が牛鬼あるいはその眷属へと変化する、という設定も比較的見かける。
『牛御前伝説』『太平記』
上記の
源頼光との戦いの様子が描かれる。
本作の牛鬼は、多田満仲の妻が産んだ牛の角と鬼の顔を持つ子供が成長し化けたものであり、
実は頼光と血が繋がっている。
『枕草子』
「おそろしきもの」として牛鬼に触れられている項がある。
敵の牛鬼は「ぎゅうき」、味方の牛鬼は「うしおに」と呼称される。
姿は同じだが味方の方がサイズが小さい。
敵の牛鬼は本体が実体を持たない気体であり、とりついた相手を牛鬼に変質させる。
原作やアニメなど、劇中では
鬼太郎が牛鬼になってしまい事実上倒す術が無く、
カルラ様の力によって牛鬼のみ
封印されることになる。
絵本では手の内がわかっていて最初から対処されることも。
なお、この牛鬼を殺した者は牛鬼になるという設定は
水木しげるの創作である。
連載初期の鬼太郎は「のびあがりが地底に棲む別種の生物」「輪入道が物質を
ダイヤモンドに変える炭素光線を吐く」という風に、伝承に残る妖怪に
SF要素を付け足すことが非常に多く、牛鬼の「本体は気体状の寄生生物」というのも創作なのだが、この牛鬼を殺した者は牛鬼になるという設定だけは鬼太郎アニメ各期で牛鬼がアニメ化される度に使われ続けていることもあり、
実際の伝承と勘違いされたまま定着してしまった。
当項目にも長らくこの記述が修正されずに残されていた。
基本的にホラー回に登場するが、中にはある人間と交流を深めるも喧嘩別れをしてしまい、後になって寂しい思いをするという人間臭いエピソードも存在する。
ある時から性格が厳しくなった妻に不信感を抱くようになった男の疑心暗鬼の心に呼応して現れた妖。
このシリーズの鬼族は非常に強大な力を持つものが多いが今回のものは明らかに弱く、妻を襲いかかる所を不信感を拭いさった男が手にした鋸の鬼刃(前述の日本昔ばなしでも牛鬼の弱点とされた)によって斬られ、最後はクダ狐によって捕食された。
複数の個体が油屋に客として来ている。どうやら常連の模様。
妖怪軍団の一員。西部劇のガンマンのような姿をした牛の妖怪で、銃弾を当てた相手を手下にできる。
海外版『
パワーレンジャー』では、第6シーズン『イン・スペース』の時期に「ハングホーン」として怪人軍団に紛れて登場。
モンスターカードに《牛鬼》と《暴れ牛鬼》が存在する。
が、どちらも本項目で扱う牛鬼の要素はあまり見られない。
しかし、アニメ
5D'sで登場したオリジナルカードの《大牛鬼》は上記の《牛鬼》の下半身が蜘蛛の胴体という出で立ちであり、牛鬼の要素が強くなっている。
ゾロの技に「
牛鬼勇爪」が存在する……が、どうやら「ぎゅうぎゅう詰め」に当て字をしただけの模様。
また、
ある人物の変身形態として登場した。
奴良組幹部の一人。元は人間で、牛鬼を倒したことでその名を奪った。
主人公・
結城友奈の専用精霊。
容姿はかわいらしくデフォルメされた牛であり、まさかのマスコット化である。
さすが日本。
『MikuMikuDance』
惨劇くま式の3Dモデルが存在する。
墨絵をそのまま3Dにしたかのようで非常にリアル。
ジパング地方出自の魔物娘で、分類的には
アラクネの系統。
「倒した相手が同じ牛鬼と化す」という設定が
魔物娘図鑑の「
闇堕ち」と比較的親和性が良かった事もあってか、同コンテンツにおいてもほぼ同様の設定で扱われている。
敵の妖怪に牛鬼の特徴を持つ「牛頭鬼」が登場する。
赤鬼&青鬼の上位種で、
ゲーム終盤に登場する強力な妖怪という立ち位置になっている。
牛の体に鬼の腕を持ち、仮面の下には蜘蛛のような頭が隠されているという恐いビジュアルの妖怪。
『夢幻紳士 逢魔篇』
料亭の芸者である手の目が
魔実也に一泡吹かせるために背中から呼び出した。
魔実也に正体を父親であることを見抜かれ、生前手の目を虐待していた身の上話を聞いた上で打遣ってやることを提案されるが、手の目の「大事な演目お銭の元だ」「化物になってから娘孝行だ」という懇願を受けて残される。
本編中盤のボス敵として登場。
百怪図巻をそのまま3Dモデル化したような容姿だがかなりの巨体。
その巨体を使ったボディプレスや体当たり、前足を使ったひっかきが主な攻撃方法。毒霧を吐いたり、即死級の水ブレスを使ったりと結構多才。
ロックオンできる部位も複数あり、頭は正面が攻撃範囲に含まれやすく危険。
足は脆く左右破壊すると大ダウンを狙えるが、激しく動き回る為攻撃を当てづらいしカメラが振り回される。
本作お馴染みの拘束技は、なんとプレイヤーを丸呑みにしてしまう。
最終的にはご丁寧に吐き出すので即死技ではないが。
編者おすすめの攻略法は頭をロックした状態で張り付きつつ、側面や背面に回り込み続ける事。ボディプレス以外は殆ど側面や背面への攻撃方法を持たない。
また、多段ヒットの妖怪技はこの巨体によく刺さるので有効活用したい。(長壁姫や大獄丸、火車等)
常闇状態ではその背中に巨大な翼が生える。それによりボディプレスの滞空時間が変化したりするが流石にあの巨体で自由に飛び回ったりはしない。
翼に矢弾を当てると気力ダメージと共に怯むため、弾が続く限りはハメのような事も可能。
初見のインパクトこそ絶大だが、後にもっと大きな敵が出てきたり、専用ステージのため再登場の機会に恵まれなかったりするので、2周めに入る頃には忘れ去っているプレイヤーもいるかも知れない。
魂代獲得時の妖怪技は、ターゲットの足元から顔が現れて噛み付くというもの。地形と問わずあの巨大な頭が生えてくる様はなんともシュール。
DMMGAMESタワーディフェンス3兄弟の長男。
ストーリーミッション第4章から敵ユニットとして登場する。
能力は特になし。そのせいで城プロやモン娘TDと比べると非常に地味。
DMMGAMESタワーディフェンス3兄弟の次男。
緊急出兵「牛鬼のなく頃に」で初登場する敵ユニット。
攻撃対象を数秒間、足止め数を4減らす能力を持つ。その上
マルチ攻撃持ちで火力も高い。
DMMGAMESタワーディフェンス3兄弟の三男。
イベント「シスターシンドロームコンプレックス」で敵ユニットとして初登場。
攻撃を受けると一定確率で毒になってしまう他、牛鬼に攻撃する度に攻撃力と攻撃速度を50%ダウンさせるという強烈なデバフを掛ける。牛鬼を倒すとデバフが解除される。
味方としては【牛鬼娘】ウシオが登場。ただし課金パック限定。
東方鬼形獣に登場する
牛崎潤美が牛鬼のモデルとなっている。
かつては人を襲っていた事があったが、幻想郷に来てからは人を襲うのを禁じられているので彼女曰く「長らく人を襲ってない」
今では三途の川近くを拠点とし、漁業で生計をたてている。
三途の川に迷い込んだ者を元の地まで案内したりと有効的な妖怪になっている。
追記・修正は牛鬼を退治したことのある方にお願いします。
- 多分、一番有名なパターンの話は姑獲鳥や磯女の話にもなってるのよね。 -- 名無しさん (2018-09-04 19:23:38)
- 鬼太郎の牛鬼はよく特撮怪獣の鳴き声を使われるのよね。 -- 名無しさん (2018-09-04 19:41:18)
- 1、まず魚の大群を磯辺に集めて釣り人を入れ食いパラダイスで足止めします。2、暗くなり人気がなくなったら、磯女や濡女に頼むか、自分で美女に変身して釣り人に声を掛けます。3、理由をつけて赤子を抱くように頼みます。4、抱いた赤子がどんどん重くなり釣り人は動けない逃げられない状態に。5、いただきます。 -- 名無しさん (2018-09-04 19:47:20)
- そういうわけで、よさそうなポイントに撒き餌をして獲物を留め、トドメはいい餌にがっつり食らいつかせて釣り上げる釣りの極意を知る妖怪。 -- 名無しさん (2018-09-04 19:50:42)
- ディケイドのあの魔化魍がウシオニって設定は牛鬼の伝承的によく出来てるなぁと思う -- 名無しさん (2018-09-04 22:27:00)
- ちょっと筋肉質でツノがはえたホルスタイン牛チチ褐色人外 夜の海で泳いで陸に上がって裸でバッタリイヤンえっち そんなお色気イベントがこの先で起こるのでございます -- 名無しさん (2018-09-04 22:54:43)
- 無双オロチは? -- 名無しさん (2018-09-04 23:18:59)
- 鬼太郎ではカルラ様や火山とは切っても切れない関係にあるイメージ -- 名無しさん (2018-09-05 06:08:33)
- ↑ あと味方モブにいる(原作)。モブだから活躍はない。なんでさ。 -- 名無しさん (2018-09-05 08:20:47)
- ↑4それちょっと詳しく -- 名無しさん (2018-09-05 11:12:00)
- 鬼太郎に出てて来るとまず間違いなく強敵。相手に取り付く特性上ものっそい相性悪いからな。 -- 名無しさん (2018-09-05 12:44:08)
- ↑倒すだけなら一般人でもできる程度なのだが、倒してからが問題だからね。憑りつかれた相手から切り離すのは鬼太郎ファミリーでもどうしようもない -- 名無しさん (2018-09-06 20:41:24)
- メガテンでも妖獣で登場したな… -- 名無しさん (2018-09-11 00:04:00)
- 出展作品にKARASがないの寂しい・・・。アレこそリアルに残忍で怖い牛鬼だったんだけどなぁ -- 名無しさん (2018-09-20 10:38:50)
- ↑あれで牛鬼出た時に「もう助からん」と思ったな。それだけ怖い妖怪ってのが出てきた瞬間にわかった。 -- 名無しさん (2019-01-31 14:02:32)
- ……あれは人にござるか? -- 名無しさん (2019-06-22 11:03:16)
- MMDモデルあんの!? -- 名無しさん (2019-07-19 15:14:09)
- 名前だけ見ると牛頭やミノタウロスのような牛頭人身の怪物っぽいんだけどね。蜘蛛要素はどこから来たのやら。 -- 名無しさん (2020-11-14 10:17:22)
- あれ蟹がモチーフらしい。 -- 名無しさん (2021-06-09 19:20:53)
- 「敵の牛鬼は「ぎゅうき」、味方の牛鬼は「うしおに」と呼称される。」自分の記憶では確か「えんらえんら」の話でも悪役じゃないのが「ぎゅうき」って呼ばれてた記憶があるんだが…勘違いかな? -- 名無しさん (2024-03-18 19:23:02)
最終更新:2024年09月17日 15:52