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ギル・アギト

登録日:2026/05/12 Tue 05:35:12
更新日:2026/08/19 Wed 13:59:41
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※当項目は映画『アギトー超能力戦争ー』に関する重大なネタバレが含まれています。ご注意ください。


























アンノウン? いえ、アギト……?




ギル・アギトとは、特撮ドラマ『仮面ライダーアギト』の劇場映画作品第2弾『アギトー超能力戦争ー』に登場する敵怪人、もしくは仮面ライダーの同族である。


概要

黒い素体に2本の角が付いた金色の仮面や、装甲を貼り付けたような身体が特徴。
胸にはワイズマンモノリスらしき四角形の石がはめ込まれており、そこを起点にして周りにヒビが入っている。
腰部には赤い石も埋め込まれ、その周りには竜巻のような意匠がある。

……ここまで書けば分かる通り、外見は仮面ライダーアギトとほぼ同じ特徴を持つが、まるでアギトをアンノウンにしたかのような生物的なデザインとなっており、目も小さく、剥き出しになった歯は食いしばっているようにも見える。
こうした特徴から「ギルスのようなアギト」という事でギル・アギトと名付けられた。

ただし、あくまでも人類の進化系でアギトの同類ということなのか、津上翔一が25年前にアンノウンの出現を察知するような反応はギル・アギトには見せていない。
25年間戦いから離れ、翔一の持つアギトの力が弱まったのも察知できない要因の一つではあるだろうが……*1

ちなみに、二本角は左右非対称の長さとなっており、右側は通常のアギト並に長いが左側は短く、アギトになりきれていない印象も受ける。


誕生経緯

その正体は黒幕である木野薫の手により、葦原涼/仮面ライダーギルスの遺骸から抽出された「アギト因子」を体内に注入され、超能力に目覚めた人間達。
いわば、後天的に覚醒したアギトであり、生物的な姿はギルスに由来している。

彼らアギト因子を直接注入された人間達は、難病やガンの末期症状などを患っていた患者たちが主となっている。

彼らギル・アギトたちが街中でSPEC HOLDERもかくやな超能力を使用し無差別大量殺人を繰り返す=アギト因子をばら撒く事によってアギト因子の感染者が拡大。超能力に目覚めた人間を次々と増やし、その数を増殖させていった。
劇中終盤では大量のギル・アギトが登場するなど、既にアギト因子を植え付けられた者達が大勢発生している模様。
一方でアギト因子に適合しなかった人間も存在し、その場合彼らは多くの場合、全身がネクローシス(壊死)を起こし、木野が開発した「アンチアギト因子」を利用した抗因子剤を投与しなければやがて死に至る運命にある。
直接受けていないと解釈できなくもない小沢さん達はともかく、どちらも発生していない氷川さんのただの人間っぷりに驚く観客も

また、アギトへ変身できるかも個体差があるらしく、劇中では黒谷や大山、北條透のように超能力に目覚めてもギル・アギトへは変身しなかった者も出ている。
こういった大量殺人によるアギトの覚醒への促しは木野曰く「選別ですよ」とのこと。

なお、劇中で殺戮を繰り返したギル・アギト達は人間の姿でも超能力を使用する他、揃って不審な恰好をしており、楽しみながら殺戮に勤しむその姿はアンノウン出現前に世間を震撼させた未確認生命体による無差別殺人をどことなく思わせる。
ギル・アギト達は『クウガ』におけるバラのタトゥの女などのグロンギ達が感じていた「現代のリントがグロンギに精神性が近付いている」という評価を体現した存在とも言え、仮にこのままギル・アギトという種族が繁栄した場合「選別」という名目の虐殺をより神聖化し、ルールを定めた儀式(ゲゲル)と発展する可能性も十分有り得る。
人類が進化を促し「未来」の可能性であるアギト因子の一つの顛末が、「過去」の殺人民族と変わらない残虐性を有した集団と化したのは大いなる皮肉であろう。
中には「クレしん映画の敵幹部すぎる」なんて声もあったり。

変身状態での能力は目を見張るものがあり、元々超能力で高まっていた身体能力は大きく強化。特に防御力は異常と言えるものであり、「刃物は当たれば致命傷」が原則だった『アギト』の中でGZ-10 オロチの剣戟を受けてもある程度耐え切るほど
だがメンタル面に関しては元々一般人だったからか、仮面ライダーアナザーアギトとしての戦闘経験がある木野を除けば、総じて逆境に弱い。
超能力を完封されたり追いつめられると途端に冷静さを失い、焦りで動きが単調になる、動揺のあまり他の能力まで満足に使えなくなる、恐怖で変身解除してしまうなどの醜態を見せてしまっている。
固有の超能力も多くが心理的・物理的な制限を伴っており、中にはこれが重大な弱点となっている者もいる。
加えて、個体による戦闘能力の差も激しい。後述の鬼頭達4人のネームド個体に関しては、自身の能力をフル活用してGユニットを苦しめたが、大半の者はスペック頼みでごり押すだけ。
中にはG6に2対1のハンデ戦で惨敗した個体もおり、終盤では一山いくらの雑魚としてG7達に次々と蹴散らされていった。

一方で全ての「超能力に覚醒した者」がこうした凶行に走るわけでもなく、劇中では黒谷が「Gユニットに協力する『二次感染者の超能力者』」として登場している。
その黒谷の超能力は自分の手を銃として使えるというお世辞にもライダー怪人的な悪事以外の使い道に乏しいものだったが*2、彼は手にした能力に決して溺れず、むしろ自ら進んで氷川達に協力を申し出、最後まで彼らと共に戦い抜いた。
また、一次感染者にして刑務所のボスだった大山も、当初は己の超能力(透明化)とフィジカルに驕って傍若無人に振る舞っていたが、何の超能力も持たない氷川に成敗されたのがきっかけになって改心し、木野との最終決戦では命懸けで氷川や北條を援護してみせた。
かつての翔一がそうであったり、涼が最終的にはそういった自分なりの解釈に辿り着いたりしたように、善き超能力者への道を進む者が黒谷や大山以外にも存在していた可能性もゼロではないのかもしれない。

人から進化し凶行に走る怪物達を、人は人のままであるべきと考える闇の力が見過ごすとは到底思えないが、『アギト』最終話での沢木哲也と交わした取引と賭けにより静観を決め込んだためか、アンノウンによる干渉・粛清は一切なされていない*3
……もっとも、(装着者の資質にもよるとはいえ)通常のアンノウンであれば問題なく戦えるG3-Xが手も足も出なかった事や、それより確実に性能は上のG6もギル・アギトには苦戦を強いられた事から、アギト──進化した人類は既に天使(マラーク)の手に負える存在ではなくなっている事を示唆しているのかもしれない。

結果的にかつての北條透が危惧した通り「アギト全てが善人というわけではない」という事が証明されてしまったが、一方で黒谷達の存在から沢木の目標は一応果たされた格好となっている。
果たして、闇の力は未来への懸念と希望の両方を見たこの事態をどう思うのか……


主な変身者達

鬼頭春馬

超能力:歌を聴いた相手の身体を凍結・炎上させる

春がき〜た〜春がき〜た〜。どこに〜きた〜……

元保育士の男性。
難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)の末期症状を患っていたが、アギト因子を植え付けられた事で全快しギル・アギトへと覚醒した。
病気により退職させられていたが、未練があるのか劇中では常に保育士姿であり、子供が描いたと思しき絵も手にしていた。
温厚そうな印象を受けるが、自身の能力で凍死/焼死していく人々の姿を見て満面の笑みを浮かべるなど、完全な狂人と化している。

劇中では童謡『春が来た』を聴かせることで人間たちの身体を凍結・炎上させる他、足元を凍らせたり、体の半身だけ燃やしたりと範囲を器用にコントロールする事が出来る様子。
一方で「肉声で歌声を聴く」ことが条件らしく、劇中ではたまたまヘッドホンをしていたバンドマンらしき女性が直接の被害から免れていたり*4、仮面ライダーG6との戦いをモニター越しに見ていた小沢には影響が及ばなかったりしている。保育園時代に作ったと思しき歌詞カードに執着している様子から、事実上このカードを見ながら歌うことも条件となっている。
そのため、仮面ライダーG7との戦いではノイズキャンセリング機能により外部の音をシャットアウト、凍結・炎上は温度調節で相殺する事で能力を完封。
追い込まれるも変身解除で生身へ戻り、意図せずG4=水城史朗の一件によるトラウマで氷川を躊躇させ、反撃のチャンスが出来たと言わんばかりに再び変身しG7に襲いかかるが、北條の叱咤激励を受け覚悟を決めた氷川のオロチの一閃を受け、かつては良き保育士*5だっただろう力に呑まれた哀れな男は爆散し、ネームドのギル・アギトで最初の死亡者ともなった。

尚、保育士ながら嬉々として他人を害するようになってしまった鬼頭だが、元々そういう気質があったのか、或いは力を手に入れた後に何かがあって狂ってしまったのかは定かではない。
もしも仮に病気の完治後に職場復帰でき、児童たちと歌の練習をしてしまっていたら……嫌な予感しかしない。

劇中で初めて登場したギル・アギトであり、彼らギル・アギトの変身者たちの中では唯一本名がフルネームで明かされている。
脚本の同じ某暴れ野郎漫画のマスターとは一字違いだが、多分関係ない


超能力:電撃を卓球の玉に纏わせて放つ

黒づくめの喪服姿の女性。卓球のラケットとボールを常に手に持っており、打ち出した卓球のボールに電撃を纏わせ群衆を襲っていた。
この電撃を複数のボールに纏わせ、散弾のように打ち出す事も出来る。
身体能力も高く、アクロバティックな動きで攻撃を躱していた。

卓球道具は能力の媒介として必須であり、手から直接電撃を放ったりすることはできない。
その割に予備は用意していないらしく、橋から落としそうになった際には真っ先に手に取っている。
この事から「元は有能な卓球選手だったが、何らかの事情により再起不能を余儀なくされたのでは」と考察されている。
右目が青いオッドアイであるため、視力系の病気を患っていたと推察される。

演じたのは妖怪無差別当選女でお馴染み青島心氏。なお、彼女は学生時代は卓球部所属であり、その経歴を生かしたアクションでもある。
無差別当選が無差別感染に…

超能力:体を部分的・瞬間的に金属化、息を止めている間だけ時間を停止させる

(スゥー……)

眼鏡をかけたスーツ姿の男性。仮面ライダーG7が最初に戦ったギル・アギトでもある。
他の3人と比べると常識人のような雰囲気だが、超能力により時間を停止させ、その状態で対象人物の指を金属化し尖らせて目や耳を突き刺させるという残虐なやり口を繰り返していた。
戦闘の際は金属化により、腕を剣に変形させて戦う。

一方で女性に免疫が無く、るり子の色仕掛けで興奮して息を止められなくなり、時間停止の超能力を封じられるという意外な落とし穴があった。
神聖な戦場でなんという破廉恥な行いを!
また、時間停止の開始だけは人間の姿で行う必要がある(発動後は変身しても持続)ため、発動を阻害されると生身で攻撃を受ける羽目になってしまう。

ルージュ

超能力:対象を動かすテレキネシス*6

綺麗でしょ?これね……あなたの心臓♡

赤いドレスと大量のジュエリーアクセサリーを身に着けた派手なドラァグクイーン。
宝石類に執着心があり、宝石を着けた女性を襲っては宝石を強奪し身に着けている。

テレキネシス能力は複数の人体を自在に動かせる出力を誇り、通行人を大きく浮かび上がらせる、遠心分離機の要領で建物内の壁へ叩きつける、北條を巻き寿司にする……など様々な扱い方を披露した。
また、アクセサリーや狙った人物の心臓を手元に抜き取る、いわゆるアポート能力も持つが、こちらは左手の薬指に嵌めた爪リングがないと使えない模様。
このように能力による殺し方が非常にえげつなく、通り魔的な犯行も相まってギル・アギトの中でも特に厄介な人物である。
変身後の実力もネームドの他の3人と比較して抜きん出ており、他のギル•アギトたちとの戦いである程度消耗していたとはいえ、G7との真っ向勝負で翻弄する等、かなりのもの。

右肩に大きな傷跡らしきものがある事や、「私達は他の病院から見捨てられて、木野先生に救われた……!」という発言から、彼もまた何らかの末期患者であったようだ。
そのためか自身を快復させたであろう木野を特に慕っており、彼の右腕のような立ち位置を担っていた。
しかし、木野のプランとしてはアギト因子の第二次感染者を増やしたいと言う事を理解しているにも関わらず、どう考えても即死クラスの攻撃を一般人にかますなど、己の殺戮欲求を満たす事を優先しているフシがある。
当の木野にとってはその残虐なやり方が悩みの種になっていたのか、彼の手で息の根を止められるところだった氷川*7に対して「悪い奴ではないんですが……」と含みのある言い方で謝罪していた。


演じた人は仮面ライダーバースこと伊達さん役でお馴染みの岩永洋昭氏。東映特撮には『仮面ライダーOOO』『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』『仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦』『動物戦隊ジュウオウジャー』『スーパー戦闘 純烈ジャー』に続いて6度目の出演となる。
ちょうど公開時期にYouTubeで『OOO』の公式配信が行われていたので非常にタイムリーだと話題となった。
公式がYouTubeショートで公開したキャラPVでも『OOO』の物語にちなんで「その腕はどこまでも届く」というpixiv百科事典辺りに載っていそうなネタじみた煽り文句を付けられている。
また、その前に出演した他社の特撮作品では女装…もとい女体化したことがある。







余談

『超能力戦争』劇中では多くの人物から何度も普通に呼ばれ認知されているギルスであるが、
『アギト』劇中ではギルスは闇の力がただ一言だけ呟いた程度、しかもこの時の涼は錯乱状態であり、劇中人物たちもアギトとギルスの区別が付いているか怪しいところがあった。
この辺りは脚本家のいつも通りなのだろう。
一応『ハイパーバトルビデオ』では涼がギルスの名前や「ギルスヒールクロウ」の名前を認知していたが、メタが多分に含まれたこの作品を考慮に入れるべきではないだろう。

『真アギト展』開催記念特番では番組の終盤にて3体のギル・アギトが突如登場し危うく真アギト展の開催が危ぶまれたが、
番組に出演していた賀集利樹と要潤と焼肉屋の店主(すっとぼけ)がそれぞれアギト・G3・ギルスへ変身。
彼らと戦い、ギル・アギトたちは撤退していった。

なお、映画を見れば解る通りギルスは遺骸となっているため、ギルスとギル・アギトが戦う姿が見られるのはこの番組だけである。





追記とは誰かの手によってなされるものではない。

何度も困難を乗り越え、自分を乗り越え、修正されるものだ!

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最終更新:2026年08月19日 13:59

*1 劇場パンフレットなどでは、翔一が力を失っていた理由がアンノウンが出現しなくなったためであることが示唆されている。

*2 当たり前だが、銃乱射事件を起こせばそれで先述のアギト因子ばら撒き・適合できない者の殺処分は容易に達成可能である。

*3 元々TVシリーズの時点で「当人(当天使?)の解釈や考えに多少は幅が見られるだけで、エルロードたちを中心に闇の力への忠誠心が強い『怪人の組織』構造ががっちりと作られている。このため「闇の力が止めなさいと言えば止める」ような感じの描写は多かった。

*4 もっとも、アギト因子には不適合だったらしく、この後に全身のネクローシスに見舞われてしまっている。

*5 前述の携帯している絵には「はるませんせい」と描かれており、保育士時代は児童に慕われていたと思われる。

*6 劇場パンフレットではテレポーテーション能力と記載されており、劇中では実際にどちらも使用している。

*7 ルージュは氷川が木野を問い詰める光景を覗き見てサイキックで絞殺しようとしたが、木野から「彼にはまだ利用価値がある……!」と止められた。

*8 一応、担当した刑事たちも不可解すぎる現場に疑問を持っていたが、当の氷川が罪を受け入れてしまった為、捜査も打ち切りになってしまった。