イカデビル

「イカデビル」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

イカデビル - (2011/07/01 (金) 11:15:36) の編集履歴(バックアップ)



仮面ライダー』に登場する悪の組織・ショッカーの三大幹部の1人である「死神博士」の怪人態であり、その正体。
名前通りの改造人間であり、仮面ライダーのキックを無効化する「キック殺し」を身に付けている。
また、隕石を自在に落とす能力も持っており、これで日本を壊滅させるという作戦を
囮にライダーを誘き寄せ、戦いを挑んだ。

なお、素体となったイカは、南太平洋サモア諸島沖で捕獲されたものらしい。

+ 死神博士とは
先任のゾル大佐が仮面ライダー2号に敗れて戦死した後、スイス支部から日本にやってきた二人目の大幹部。
改造人間の研究・開発の第一人者で、その技術力はスノーマンのようなUMAや、プラノドンのような
太古の化石を基にした怪人はおろか、溶岩のような無機物からも改造人間を作り上げてしまうほど。
マイナス300℃(絶対零度はマイナス273.15℃)の冷凍シュートという物理学的限界を超越した兵器を開発した事も。
白のスーツに黒マントというどう見ても怪しい吸血鬼のような服装がトレードマーク。
登場して間もない頃は「足が不自由」との設定だったらしく、車椅子に乗る描写も見られた。
科学以外にも占星術催眠術にも精通しており、更には自らを振り回して戦うシーンもある。

しかし、ヨーロッパ方面の指揮官として活躍した彼だったが、日本に来てからは作戦が失敗続きで、
地獄大使の日本支部指揮官着任と共に南米に左遷されている。
元々科学者の彼には軍事活動は難しかったのか、それとも仮面ライダーの強さは天才である彼の予測さえも
超えるものだったのか。彼の名誉を考えるなら後者であってほしいものである。

その後は南米に渡った一文字隼人と戦っていたものの、ヨーロッパ以来の宿敵・本郷猛を自らの手で倒すことに執着し、
地獄大使率いる日本支部に丹精込めて作った怪人を派遣したり、自ら怪人を伴って来日したりした。
最終的に打倒ライダーのために「キック殺し」を習得してイカデビルとして自ら戦いを挑んだ。

+ 以下のような劇中で語られないプロフィールが設定されている
プロデューサーの平山亨氏の著作等によると、死神博士の本名はイワン・タワノビッチ
日本人とロシア人のハーフで、戦前の少年時代は日本の東京で育ったらしい。
幼少時から本人の意志に関係なく、何故か彼の赴く所には必ずと言って良いほど死人が出た事から「死神」のあだ名が付き、
更に学生時代に「ギャラクシーにおける死に方と変身」という名前だけでは内容の見当がつかない論文で博士号を取得。
これらの事情から「死神博士」の異名を持つとされる。
その後、召集令状を受けて日本と国交のあったナチスドイツに派遣され、臓器移植の研究をさせられる。
元々天才であった故に少年時代から数多くの心の葛藤を抱え、更に戦争で最愛の妹を失った事により、
様々な社会の矛盾に対するジレンマを切り捨てて悪魔に魂を売るようになる。
終戦後はショッカーに入り、ヨーロッパ各地で指揮官として戦果を残す一方、怪人の製造にも功績を挙げた。

その最初の戦いではライダーキックが通用しなかったことで新1号を見事下すが、自身もダメージを受けて痛み分けに終わる。
確実にライダーを倒すためにライダーのトレーナーであるおやっさんこと立花藤兵衛を誘拐し強制的に自らをトレーニングさせるが、
その時うっかり口を滑らせたことで隕石誘導装置を内蔵した頭部が弱点であることを知られてしまう。
その後の再戦でも特訓の成果もありライダーを苦しめるが、ショッカーに囚われ怪人トレーナーをやっていたおやっさんの親友が
命と引き換えに逃がしたおやっさんによってライダーに弱点を知られ、ライダーチョップで頭にダメージを受けたところに
更にライダーきりもみシュートを喰らって倒された。

イカデビルおよび死神博士は本作に登場する怪人の中でも屈指の知名度を誇り、
演じた俳優の故・天本英世氏によるハマりすぎな怪演も含めて非常に人気の高いキャラクターである。*1

余談だが、拉致されて無理矢理させられているにも関わらず「そんなことでライダーに勝てると思っているのか!」と
鞭でイカデビルをしばきまくりスパルタ式に鍛えるおやっさんのトレーナー根性は語り草となっている。

+ 語り草となった名シーン

また、実は死神博士の怪人体はイカデビルではない別の怪人(前話に登場したギリザメス)だったのだが、
主役の人の諸事情で変更になったというエピソードもある。

+ その他の映像作品
時は流れ、彼の後任の地獄大使が討たれ、ショッカーを見限った首領が新しく編成したゲルショッカーも壊滅し、
三人目の仮面ライダーであるV3が第三の組織デストロンと戦いを繰り広げる時代になっていた。
当時のデストロン日本支部を指揮していた大幹部ドクトルG(ゲー)は日本全滅作戦を発動させるにあたって、
かつてのショッカー・ゲルショッカーの大幹部たちを蘇生させ(裏設定ではドクトルGはゾル大佐・死神博士とは
旧知の仲とのこと)、日本各地に分散した戦力の指揮を執らせようとした。
史上最大の規模で展開される作戦とかつての強敵たちの復活、そして捕らわれの身となったV3。
日本の運命は風前の灯かと思われた…が、
地獄大使が捕まえておいたV3の様子を見に行って逆に人質にされるという大ポカをやってしまったために
作戦に大きな狂いが生じ、その後に起きた乱闘が原因で幹部たちが集まっていた基地は崩壊、
再生4大幹部は再び天に召される(むしろ地獄に落ちる?)こととなった。

+ その後の作品
前述の『仮面ライダーV3』における死神博士の最期は、他の幹部共々基地の爆発に巻き込まれるというもの。
つまり死亡が確認されたわけではないのだ。

+ 例えばこんな話
死「わしはもう疲れた。残りの余生は、 あのにっくき子供たちをいじめることだけを考えて暮らそう
……たまにスペインに旅にでもゆこう!」
地「そうか…… わしは金もうけをするか……やはり、ダイヤかなぁ

(長谷川裕一『もっとすごい科学で守ります!』より引用)

……世界のどこかで、こんな会話があったとしても不思議ではないのだ。
ゲーム『スーパーヒーロー作戦 ダイダルの野望』でも、死神博士が「スペイン旅行に行く」と休暇をとるのと同時に
マシンマンシナリオが始まる
という知っている人はニヤリとする展開が用意されている。

『仮面ライダー』のリメイク作品である映画『仮面ライダー THE FIRST』では、
『仮面ライダー』で使用された死神博士の映像に、丸山詠二氏が新たに声を当てる形で登場している。

+ 映画版『ディケイド』での活躍
2009年公開の映画『オールライダー対大ショッカー』にも登場し、
この時は『ディケイド』に光写真館の主人・光栄次郎役でレギュラーで出演している俳優の石橋蓮司氏が死神博士を演じた。
(ただし変身後の声は
オリジナルと違って髪が長いほか、変身する際にはスルメとビールを手に持ち「イカで、ビール!」…と駄洒落を披露した。
ちなみに相方の地獄大使もガラガランダへ変身時にその場でうがいをして「ガラガラ…ンダ!」と駄洒落を発していた。
『MOVIE大戦2010』でのゾル大佐はトイレットペーパーを切らして「おお、!」とでも言いながら狼男に変身するのだろうか…
なんなんだこの幹部達
+ 以下映画版ネタバレ
だがその実態は光栄次郎の他人の空似などではなく、紛れもない本人だったのである!
流石にこれは孫の夏美もショックを隠せなかった。
伸びる触手やイカ爆弾による遠距離攻撃を得意とし、地獄大使共々大ショッカーを率いてディケイドに総攻撃をかけるのだが、
そこに駆けつけたオールライダーと激戦を繰り広げ、ディケイド、ディエンド、モモタロスの集中攻撃に敗れ爆発四散する。

しかしその後、「もう悪の幹部はこりごりだよ」とか言いながら平然と光写真館に戻ってきていた。
ホントになんなんだこの写真屋
確かにパンフレットに「生きながら死に、死にながら生きる存在」とか書かれてたけどさぁ…

と思っていたら、『MOVIE大戦2010』ではスーパー死神博士として復活した。
悪の幹部はこりごりなんじゃなかったのか…それとも今度は首領だから関係ないとでも言うつもりか。
だからなんなんだアンタ
おでんの屋台に飲みにいった際、
店主の代わりに待ち伏せていた鳴滝によってマントに取り憑かれ、再び死神博士にされてしまう。
ただし今回は死神博士のガイアメモリによって変身させられたいわば「死神博士ドーパント」なので、
終始イカデビルには変身しない。
最後は乗っていたスーパークライス要塞に仮面ライダーW・ヒートメタルのマキシマムドライブが
直撃(スーパーショッカー側のメカを奪って特攻)したことで、死神博士メモリがメモリブレイクされ、
体からメモリが抜けて元の光栄次郎に無事戻った。
直後に仮面ライダーキバーラに変身した夏美により、崩壊するスーパークライス要塞から救助されている。
本人には全く自覚がなかったようだ。
このメモリは『仮面ライダーW』に登場する琉兵衛から貰った物らしく、何と二人は飲み友達だったらしい。
琉兵衛もWの敵組織ミュージアムの創始者であり親玉のテラー・ドーパントであるから
悪の組織同士の繋がりがあっただろうし、家族を持つ身として色々と意見の合う相手だったのだろう。

ちなみに今回のゾル大佐は鳴滝がただ変装しただけであり、結局狼男には変身しなかったが、
屋台の主人になりすましスルメとビールを出して「イカで、ビールか…」とわざわざ言わせている。
何させるんじゃアンタ

先の『大ショッカー』に登場したときも実はガイアメモリに操られていたのでは、
いや飛んでくるマントに死神博士の亡霊でも宿ってるのでは、などの説もあるが、
結局のところ彼が何者なのかは最後までよく分からないままであった。

その他、映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』にも登場。
1971年の時代において、再生怪人としてガラガランダ等の怪人達と共に復活、
ショッカー大首領の号令の下、アジトへ乗り込んできた1号・2号・NEW電王に襲いかかった。
この時のショッカー幹部にはブラック将軍が就任していたため、歴史の改変を考慮に入れても
時期的に考えて、恐らく死神博士が変身したイカデビル本人が復活したものだと思われる。

+ 映像以外の作品
すがやみつるのコミカライズでは死神博士はセミミンガを指揮したが、その爆発に巻き込まれ一話で退場した
その次の話でイカデビルが出て来るが、死神博士とは別人の一般怪人である
前述のTV版V3では再びイカデビルになることもなく退場してしまったのだが、
当時のコミカライズ作品では他の幹部達と共に怪人になり、V3に戦いを挑んでいる。一蹴されたが

かとうひろしの漫画『仮面ライダーSD 疾風伝説』ではグランショッカーの首領として登場。
魔神大首領に乗って部下達に指示を与えており、最終的には仮面ライダー1号と相討ちになった。
あおきけいの『仮面ライダーSD マイティライダーズ』でも同様であり、
こちらでは最終決戦の時に風防が割れて死神博士の姿が露出している。

ゲーム『仮面ライダー 正義の系譜』では、邪眼の力によって他の怪人や幹部達と共に復活。
1974年で戦闘員の強化や、大地震による作戦などを指揮し、当時戦っていた仮面ライダーV3と激突した。
原作では未使用で終わった「隕石落とし」だが、本作では広範囲の攻撃として実際に使用してくる。
ただし、ショッカー基地の無線機前が隕石落としの完全な安地となっており、
それさえ知っていれば幹部怪人の中でも最弱クラスになる。なんという諦念…。

漫画『仮面ライダーSPIRITS』では第2部の終盤から登場。
BADANの日本総攻撃にあたって、他の歴代組織の幹部と共に復活、関東地方でゾル大佐・地獄大使と共に
再生ショッカー怪人を率いている。
しかし作中の描写を考えると、地獄大使(作中のアイテム「銀の髑髏」を核に復活)、
デッドライオン(『ストロンガー』の時代から生き延びていた)、デルザー軍団(魂が必要ない)以外の幹部たちは
生前の魂と記憶を持たない同じ姿をしただけの別人といえる。

続編『新仮面ライダーSPIRITS』では2号誕生編のエピソードで生前の死神博士が登場し、仮面ライダーの改造の発案者とされている。
同作では旧1号時代のでの1号の活躍について、倒された怪人達を「奴の性能を知る良い実験材料になった」と評し、
首領もそれに怒るどころか、「あんなものではまだ足りない」と逆に新たな同タイプの改造人間の作製を死神博士に暗に指示。
そして、死神博士は死神博士で「そうこなくては面白みがない」と喜々して引き受けていた。
これが元でショッカーの衰退が加速し、死神博士本人もライダーに倒されてしまうことを考えると、
ついついなんなんだこの秘密結社と言いたくなってしまう。
っつーか実際に両者の話を聞いてた戦闘員達が「何言ってるんだこの人は」と言わんばかりの顔している
一応、仮面ライダータイプの改造人間は首領のボディのプロトタイプという設定があるためだが…

小説『仮面ライダー 1971-1973』ではショッカー科学技術部門の総責任者<博士>として登場。
生来あらゆる免疫を持たない体質であり、延命の為に改造された後も特殊な液体に常時浸っていなければ生きていられず
作中では手足の長いその姿を「イカの様」だと形容されていた。


MUGENにおけるイカデビル

ゾフィーガタノゾーアなど ウルトラシリーズ のキャラでおなじみのmuu氏が製作。
輝船氏が制作したライダー達と同様、SFCゲーム『仮面ライダー』のドットを用いている。

大量の戦闘員や配下の怪人をストライカーとして呼ぶ技を持ち、それも制限がないので呼び出し放題となっている。
一応攻撃を何度か当てれば消滅するが、戦ってみると中々そういう暇を与えてくれないので手強い。
まれにではあるがエルクゥすらフルボッコにしてしまうことも。恐るべき人間…いや怪人弾幕である。

出場大会


その他



*1
彼の後に登場した地獄大使についても言えることだが、死神博士は天本英世氏がキャラを考案する段階で
既にプロデューサーの平山氏より案が挙がっていた「演技者ありきのキャラクター」である。
天本氏は「ヨーロッパからきた大幹部ということで、神秘性、怪奇性を強調して演じた」と語っているが、
上述のとおり、あまりに演技がハマっていたために、「怖すぎる」とクレームがついたというエピソードが残っている。
また、晩年の天本氏が死神博士役をよく思っていなかったと言われることがあるが、これは誤解らしく、
ファンサービスは喜んでやっていたそうだ。
ただ、いい歳して子供番組に度が過ぎるほど入れ込む大人(つまりオタク)には憂いの感情を抱いていたらしい。