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元々は偉大なる航路の「戦争の終わらない国」で生まれ、母に捨てられて敵国の軍事国家「ガルツバーグ」に拾われて少年兵として育てられた孤児であったが、*1 
あまりの強さ故に同僚や、バレットが初めて信頼しかけていた上官から恐れられて暗殺されかけ、
 
怒りと失望から暴れ回り返り討ちにした挙句、国そのものを1人で滅ぼした「ガルツバーグの惨劇」を起こし、お尋ね者となった経緯を持つ。
 
この少年兵時代において、戦いに勝てば勝つほど組織内で自由に振る舞えることに充足感を得た経験が、
 
バレットが最強であることに強いこだわりを持つ土壌となった。
 
そして、15歳の頃、海で戦いを求めて彷徨っていたバレットは、後に海賊王となる男・ロジャーと出会い、生まれて初めての完敗を喫した。
その後も何度も挑んでは返り討ちにされる内に、バレットはロジャーの「強さ」は自分の「1人だからこその強さ」とは違うということに気付き、
 その強さの正体を突き止めたいという気持ち、何よりも負けっぱなしではいられないという思いから、
 ある日、全身全霊をかけて臨んで敗北した際にロジャーの前で「いつか絶対にあんたを倒して世界最強の男になる」と誓う。
 ロジャーはバレットの宣言に「いつでも来い」と笑顔で返答し、そのままバレットはロジャーの強さに近付くため「挑戦者」として船に乗り、
 ロジャー海賊団の一員となった。
 孤児であったバレットにとって、ロジャーは自分の強さも思想も恐れることなくその全てを受け止めてくれる、
 生まれて初めて出会った尊敬できる親のような男であった。
 
 
そして、17歳の頃には若くして「鬼の跡目」と呼ばれるほどに名を挙げたバレットだったが、
ある時ロジャーが不治の病に冒され、死期が近いことを知らされてショックを受けてしまう。
 18歳の頃にはロジャーへの誓いを果たさねばという焦りから、仲間を守るために、殿を務めた時に発揮されるロジャーの鬼のような強さを、
 「”仲間を守る”という意識が邪魔になり全力を出せないから、一人になり尋常ならざる覚悟で挑むことで生まれる強さ」と曲解し、
 同時に、航海を経て仲間意識を抱き始めていたロジャー海賊団の面々のことも「自分に”仲間を守らねば”という邪念を自分に抱かせる邪魔者」
 と考えるようになり、一人になり自分を追い込まなければ誓いを果たせないという焦燥からロジャー海賊団を脱退した。
 
 
その後、結局バレットは生涯一度もロジャーに勝つことは無く、ロジャーはラフテルに到達した後に海軍 により処刑されて死亡した。
 
「ロジャーを超える」という目標を見失ったバレットは憂さを晴らすように無意味な破壊行為を繰り返すようになり、
 
これによりバレット個人に対してバスターコールが発令される。さらにはバレットに恨みを抱いていた海賊達まで秘かに海軍に加勢し、
 
バレットは戦いの末に消耗した隙を突かれて捕縛され、インペルダウンへと投獄された。
 
しかしバレットはインペルダウンLEVEL6の中で「ロジャーを超える」という誓いを果たすために、
 
ロジャーですらできなかった「この海のあらゆる強者、四皇も海軍本部大将も殺し尽くすことで最強と証明する」 という極論に至り、牢獄の中で鍛錬を続けた。
 
そしてインペルダウン脱獄騒動で20年ぶりにシャバに出たバレットは、ロジャーを超えるという目的が一致したブエナ・フェスタと手を組み、
 
偶然にもフェスタが手に入れていたロジャーの宝*2 を餌に起こした「海賊万博」で海賊達を集めさせ、更には海軍も誘き寄せ、
 
それらを自分が皆殺しにするという計画を実行しようとする。
 
一度は圧倒的な戦闘力でルフィも含めた最悪の世代を叩き潰し、海賊万博に集まってきた海賊達の海賊船、その情報を流してわざと集めた海軍の軍艦を、
覚醒したガシャガシャの能力で吸収して大型バレットへと化し、かつて屈したバスターコールをも蹴散らして最強だと証明しようとする。
 
 
しかし、復活したルフィを中心に、サボ 、ハンコック 、スモーカー 、ロー 、バギー 、クロコダイル 、ルッチ など、
 
味方だけでなく普段は敵対ないし競争関係にある連中が「バレットを倒す」という一点の共通する目的により呉越同舟の形で共闘し始め、
 
彼らの猛攻により作られた隙を突かれ、ルフィが腕を大型バレットの腕に匹敵するほどに巨大化させた「ゴムゴムの大大大猿王銃」により、
 
とうとう大型バレットを破壊されてしまう。
 
直後、まだ健在だった中型バレットで消耗したルフィを倒そうとするも、
 
弱者と見下していたウソップ により先刻の戦いにおいて中型バレットに打ち込まれていた緑星・蛇花火が衝撃により発動し、中型バレットも大破。
 
武装を全て失い生身の状態になるがバレットはなおも戦意を失わず、いち早く体制を整えたルフィと一騎打ちに挑む。
 
お互いの信念を叫びながら壮絶な殴り合いを繰り広げるが、
 
「己のみを信じ、1人で生き抜く断固たる覚悟にこそ無敵の強さが宿る!」というバレットの主張に対し、
「この海を一人で生きてる奴なんていねぇ!!」 と反論しながら応戦するルフィの姿に生前のロジャーの面影が重なり動揺してしまい、
 
その隙を突かれてルフィの猛攻をモロに受け、遂に倒れ伏した。
 
バレットが最強であろうとする理由には、自身も気付かぬ内に「ロジャーとの誓いを守りたい」という思いが根幹を成していた。
本人に自覚が無かっただけで、挑戦を続けたバレットと戦いに応じ続けたロジャーとの間にもある種の繋がりが生まれており、
 少なくともロジャーと出会った時点でのバレットは決して「1人」ではなかったのである。
 だが、バレットはロジャーと望まぬ死別を余儀なくされたことによりそれに気付くことなく、
 ロジャーの一面だけを曲解し、元から抱いていた「仲間を持つことは『弱さ』『甘さ』である」という考えを信じて疑わなくなってしまった。
 そんなバレットが、かつて一度も勝てなかったロジャーのような「仲間のために戦う海賊」に敗れたのは、ある意味必然だったと言える。
 
 
演じる磯部氏は、かつて自身も甘えを否定して他人に気を許すことが出来なかった経験があったことから、
バレットに非常に感情移入しながら演じられたと語っており、
 「その頃は自分の世界に他人が踏み込んでくるのがとにかく嫌だったんですけど、
 そんな状態が続くと『自分の強さ』というものをムクムクと夢想できるんです」
 と称して、バレットの場合は精神的な強さだけではなく実戦での強さも兼ね備えているので、
 より強く似たような思いを感じてしまったのかもしれないと、彼が作中のような価値観の持ち主になってしまったことに一定の理解を示している。
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