セーラー服と機関銃

セーラー服と機関銃』(セーラーふくときかんじゅう)は、赤川次郎の長編小説。1978年、主婦と生活社刊。1981年に映画化、1982年と2006年にテレビドラマ化されている。

父を事故で亡くし天涯孤独になった女子高生の星泉が、遠い血縁に当たる弱小暴力団「目高組」の四代目を継ぐ事になり、4人の子分と共に対立するヤクザと戦う、というストーリー。続編に『卒業-セーラー服と機関銃・その後』(カドカワノベルス)がある。

薬師丸ひろ子主演で映画化され、1981年暮れに公開されるや大ヒットとなった。荒唐無稽な原作を監督 相米慎二が荒削りながら生々しいタッチで演出し、少女が大人へと変わっていく様を描いた異色の青春映画に仕立て上げている。薬師丸が歌う同名の主題歌も大ヒットした。

1982年には原田知世が主演でテレビドラマ化された。

2006年には長澤まさみ主演で再びテレビドラマ化された。

角川文庫で発刊されている本書のカバーは多くのバリエーションがあり、映画版公開直前時は薬師丸ひろ子、テレビドラマ版オンエア直前時は原田知世長澤まさみの写真で、他にもイラスト(最新の2008年発売版は中村佑介の絵である)となっている。

また、初版である主婦と生活社の単行本表紙は、セーラー服ではなくブレザータイプの制服を着た女子高生のイラストとなっている。

映画版

1981年12月19日、全国東映系で公開。角川映画の代表作の一つで、主演の薬師丸ひろ子の人気と知名度を決定づけた大ヒット作。

1981年夏、主演の薬師丸(当時東京都立八潮高等学校2年生)の夏期休暇に合わせて、東京・新宿周辺でのロケを主体に撮影された。撮影に際し監督の相米は薬師丸をショートカットの髪型にさせているが、主演の若年女優をショートカットにするのは以後数作にわたり相米作品の特徴となった。

相米作品の大きな特徴である長回しの手法が多用された結果、撮影時間が膨大になってしまったと言われ、1981年暮れに公開された版は重要部分が大幅にカットされており、ストーリーの展開が非常に分かりづらくなっていた。最初の版が公開されて数ヶ月後の1982年夏には、カットされたシーンを付け加え、「完璧版」と称した長尺版が公開された。「完璧版」公開の際には、薬師丸が「野性の証明」で映画デビューした直後(1978年)、TBS系で放送された主演ドラマ「装いの街」が併映されている。「完璧版」の公開初日、大学受験のため芸能活動を控えていた薬師丸が新宿東映会館(映画館)に姿を見せ、報道陣のインタビューを受けるというハプニングもあった。

薬師丸が機関銃(サブマシンガン)を撃ち「カ・イ・カ・ン!」とつぶやく有名な場面では、破裂して飛び散った瓶の破片が薬師丸の顔面に当たり(鼻のすぐ脇)、軽く出血を見る傷が生じた。薬師丸本人は怪我を負ったことに気がつかなかったようであったが、すぐ脇に立っていた渡瀬恒彦は異変に気がつき、薬師丸をかばう(手当を受けさせるようエスコートする)ようなそぶりを見せている。傷は軽く、跡が残るようなものではなかったと言われるが、映画撮影終了後に撮影されたと思われる主題歌のレコードジャケット写真では、メイクによってこの傷(出血)が再現されている。

薬師丸が撃った銃はM3グリースガンであり、1977年までハドソン産業で製造されていた軟鋼板プレス製のモデルガンをベースに電気着火式へ改造したプロップであり、発射時に空薬莢は排出されず発砲炎だけが再現される構造となっていた。

有名な「カイカン」という台詞は原作にはなく、本映画オリジナルのもの。

ラストシーン(薬師丸が極端に短い髪型に変わり、赤いハイヒールを履いて、マリリン・モンローよろしく地下鉄通風口からの風でスカートをひらめかせる)は伊勢丹新宿店の前(新宿通り)で撮影が行われた。薬師丸の演技は数百メートル離れた地点(新宿東映会館上階)から望遠レンズを用いて撮影されている。

それ以前の角川映画と同様、プロデューサーの角川春樹がカメオ出演している(風鈴の屋台を引く男)。

泉の学校に佐久間たちが迎えに来る映画中のワンシーン(校門にやくざがずらりと並び、佐久間が校舎から出てきた泉を迎えて車に乗せるシーン、ただし実際の目高組の組員は4名であり、後にこの時並んでいた組員は借物だと佐久間が泉に説明する)は、暁星学園の学園正門を使って撮影された。ただし現在(2006年)は事務棟などがあり、ロケ当時の面影は薄い。

映画のプロモーションの一環として、薬師丸の同級生役で共演していた柳沢慎吾、光石研、岡竜也による「ひょうたん三銃士」というトリオが作られ、彼らが歌う「センセーショナルHIROKO」というレコードが製作された。
最終更新:2010年08月19日 21:29
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