ロード・ジブリール

登録日:2012/02/07 Tue 11:36:59
更新日:2025/02/07 Fri 11:40:27
所要時間:約 5 分で読めます





世界はね、システムなんです。だから「作り上げる者」と「それを管理する者」が必要だ…

人が管理しなければ庭とて荒れる。誰だって自分の庭には好きな樹を植え、芝を生やし、綺麗な花を咲かせたがるものでしょう?雑草は抜いて……!

だからさっさと奴等を討って、早く次の楽しいステップに進みましょうよ。我々ロゴスのための美しい庭、『新たな世界システムの構築』という、ね!!


機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の登場人物。
CV:堀秀行
かつて『機動武闘伝Gガンダム』ではシュバルツ・ブルーダーを担当していた。

種族:地球人(ナチュラル)
年齢:31歳
誕生日:C.E.42年10月1日
身長:181cm
体重:70kg
所属:ロゴス

【概要】

あの盟主王ことムルタ・アズラエルの後釜に任命されたブルーコスモスの盟主。
それと同時に軍需産業などで世界を影で操る(by議長談)「ロゴス」の代表をも引き継いでいる。

ギルバート・デュランダルとは対立関係にあり、ジブリール本人は「デュランダルと対等な実力を持っている」と思っていたらしく、
配下のファントムペインによる新型ガンダム強奪など連合の背後で暗躍する。
が、デュランダルと対等というのは本人だけの単なる思い込みで、
ロゴスの情報を確実に事細かに把握していたデュランダルに利用されており……

【人物】

普段は冷静沈着で紳士的だが、アズラエルの後釜なだけあって反コーディネイター思想に凝り固まった超タカ派。

アズラエルに似てかなりの激情家だが、気に入らないことがあると八つ当たりするなど盟主王と比べて小物臭い部分も多い。
また保身欲が強く、前盟主がまがりなりにも最前線に赴いていたのに対し、劇中では終始矢面に立たず他人任せに偏り、自分が不利になると安全な場所へ逃亡しようとしていた。
一方でロゴスのトップなだけあって選民思想は非常に強く、ナチュラルやコーディネイター問わずロゴス以外の全ての人間を等しく見下す言動も多い。
そんな歪んだ思想が形成された経緯は劇中では一切語られないこともあって、余計な不気味さや狂気も併せ持つ。

良く言えばリスクマネジメントに長けた性格、悪く言えばビビりのヘタレなのだが、同時にタカ派選民思想を差し引いてもかなり攻撃的で、
おまけに瞬間的な情勢判断力や政治的な嗅覚が伴っておらず、無能ではないが自分のプライドと偏見と誇大妄想に溺れて組織を崩壊させた小物

ブルーコスモスという組織はアズラエルの頃よりも政府や軍内部のシンパが減って影響力は限定的…ぶっちゃけ政治的に衰退しつつあるのに、
ロゴスのメンバーの消極姿勢を一喝して積極的に打って出ようとしており、その自重の出来なさがデュランダルに利用された面は大きい。

無能というわけではなく
  • コーディネイターへの対抗策としてエクステンデッドの研究を進め、配下を数だけでなく質的にも同等に持ち込む、
  • 前大戦で死にかけたムウを確保して洗脳技術で手駒とする、
  • 前大戦では中立だったオーブを地球連合軍に参画させ、利用する
……など要所要所で手腕を見せたものの、
互角と目するデュランダルは
  • チート級の情報網を有しロゴスの情報を確実に事細かに把握する
  • 圧倒的人気と影響力を持つゆえ隠遁したラクス・クライン偽者を用意し、プラント世論を纏め上げる
と情報戦で優位に立っていたのと比べると小細工の域なのは拭えず、
政治的に手札の少なく戦略レベルでは自分が圧倒的に不利で、しかもデュランダルは情報を意図的にリークしていたフシすらあるのだが、
そんな現実を最後まで認識できずにいた。

ただデュランダルに踊らされていた訳でもなく、根はビビリのヘタレの割に攻撃的という性格が状況とうまくかみ合うと、デュランダルの予想外の行動をする。
ロゴスのメンバーが一斉検挙されても、セイラン親子が失脚してもジブリールは逃げ切り、
レクイエムプラント6基崩壊、と血のバレンタイン以上の打撃をプラントに与え、流石のデュランダルも愕然としていた。


それと印象的な顔芸を残している。
顔をこわばらせて恐れおののいている、または驚愕している表情を見せることがあるが、異様なまでに力んでおり、なんだか面白くなってしまっている。最期の瞬間も壮絶な表情であった。



前任のアズラエルの印象が色々強烈すぎたせいで影に隠れがちだが、アズラエルですら成し得なかったプラントへの直接攻撃を成し遂げたのは彼の特筆すべき暴挙であり、
デストロイガンダムによる市街地での大虐殺も含めて直接指示を下して殺戮した民間人の数で言えば間違いなく彼の方に軍配が上がる。
そういう意味では間違いなく彼はムルタ・アズラエルを凌駕する巨悪であった。


【劇中での行動】

ブルーコスモスの為の連合内の非正規部隊ファントム・ペインを用いて暗躍したり、
ブレイク・ザ・ワールドを利用してナチュラルとコーディネイター間の憎悪を煽ったりと好き放題する。

…と言いたいところだが、実の所大西洋連邦ですら戦争に乗り気ではなかったため、前大戦の様な規模の大戦を引き起こせずにはいた。
(ちなみに防衛と銘打ってザフトも地球に侵攻しているため、連合が悪でザフト側は正義だとも言い難い面もある)
そもそも自分が自由に操れる軍隊もファントム・ペイン程度のもので、あとはあちこちの部隊に圧をかけて強引に兵力を接収しミネルバに蹴散らされている始末。
オーブ軍を操れたのも連合の影響というよりセイラン家との個人的つながりによるところが大きい。

そのため、やっていることは邪悪そのものだが意外と苦心していたりもする。セイラン家に関してはちょろいものだったが。
元々がそういう厳しい状況下だったために、情報網と合わせてデュランダルから操作されやすい環境でもあった。

ファントムペインが思うような戦果を挙げられず、ヨーロッパ各地がプラント・ザフト寄りになって行くと、
巨大MSデストロイを差し向け、「地球国家でありながらプラントに擦り寄った報い」と称して現地住民諸共ザフトを殲滅するという暴挙に出る。

しかし、ジブリールがここまでしても、デュランダルの方がさらに一枚上手であった。
彼はロゴスを「自分たちの利益のために常に敵を創り上げ、常に世界に戦争をもたらそうとする軍需産業複合体、死の商人」と弾劾し、メンバーが一斉検挙されたのだ。
(なお、実際問題超巨大組織であることや清廉潔白ではないことは事実だと思われるが、
種の絶滅戦争一歩手前の状況や種運命のユニウスセブン落としなど状況を御しきれていない場面は多々あり、全ての戦乱を1から10まで操れているとは言えない。
「世界を牛耳る悪の秘密結社」というのはデュランダルのプロパガンダと言ってよいだろう)
しかしジブリール本人は検挙も逃れ暴徒に襲われつつもヘブンズベース基地へ移動。
デストロイ5機とニーベルングでガチガチに固めていたヘブンズベースだったが、形勢不利と見るや、今度は同胞すら見捨てて僅かな部下と共にオーブへ逃亡。
セイラン親子は最初から時間稼ぎに使うつもりだったのか、ザフト艦隊が迫ると早々に騙したオーブ兵を護衛にシャトルに移動。
当然のようにセイラン親子を見捨てて(二人ともこの時点で死亡していたが)月面のダイダロス基地へと逃亡を続けた。
そのたびにザフトは彼を追っては戦地を増やし続けてきたのだが、ダイダロス基地ではレクイエムでプラント本国へ反撃を仕掛け、プラント4基を破壊する前代未聞の大量虐殺を実行する。
複数のプラントが壊滅する未曽有の大惨事を受けたザフトの猛攻撃に遭い、レクイエムの二射目を阻まれダイダロス基地もミネルバ部隊によって瓦解。


いいから撃てッ! …その隙に脱出する!

……私が生きてさえいれば、まだいくらでも道は有る!基地を降伏させ同時に撃つのだ!
言い訳はいくらでもつく…君は良くやってくれた。共にアルザッヘルにでも逃げれば、また……


最期はレクイエムの砲撃を目晦ましとして命惜しさにシンパ共々ガーティ・ルーでこっそり逃亡した所をレイ・ザ・バレル(漫画版ではシン・アスカ)に討たれた。
最期の最期も北斗の拳ドラゴンボールを連想させる顔芸グロい


なッ!? うわぁぁぁッッ!!


実はムウ・ラ・フラガを救助したのは彼の一派で、ファントムペインによるMS強奪事件が物語の発端だったと考えると、
SEED DESTINYの黒幕になれる可能性は高かったと思われる。

なお、初登場時には某スパイ映画ばりに黒い猫(ノルウェージャンフォレストキャット)を抱えており、
逃亡の際にオーブまではお供の人が連れていたのだが、宇宙に行ってからはいなくなったらしい。
「私はジブリールの猫である、まだ名前は無い!」とのこと。
ちなみにHDリマスター版では、お供の人が抱えていた手から逃げ出し、ジブリールが宇宙に逃亡したあとに地上で静かに暮らしている描写がある。
「SEED Club 4コマ」では我丁留塾の塾長だニャ。 当のじぶりーるはロボットなんだニャ。


【外部作品での活躍】

スパロボシリーズに参戦した際はデュランダルのみならず他作品の敵に利用されるなど、小悪党っぷりに磨きが掛かっている。

スパロボSC2nd
ユキムラとセイジュウロウのスポンサーとして彼らを利用していたが、当の彼らからは都合の良い金ヅルとして逆に利用されていたに過ぎなかった。
その後、自分を利用するだけ利用した挙句に用済みとして切り捨てたユキムラたちに対して怒り心頭で報復を宣言するものの、それが叶うこと無く最終的にAフォースに討たれた。
もっとも、終盤におけるユキムラの行動を考えると、どの道破滅する運命だったであろう。

スパロボZ
地球連合軍代表から新地球連邦の幹部に格下げされ、デュランダルにバラされた後は各地を逃げ回る。
途中でアーサー様とノルブを誘拐するも、ICBMのコントロール機能をジロンに奪われた時にはとんでもない顔芸を晒した。
最終的にはシロッコの捨て石にされ、バスク共々倒された。
パイロットではないが台詞が収録されており、ガーティ・ルー乗艦時*1に戦闘台詞がある。

スパロボK
フェストゥムなどの侵略者よりもコーディネイターの殲滅を優先するなど小物っぷりが強調されたり、
いつの間にか死んだことにされ、地球連合軍代表の座をヘスターに奪われたりと不遇。

スパロボL
三島と並んで「野望だけ大きい小悪党」として描かれている。
ロゴスメンバーがゼーレであるため、彼らに利用されている感が強く、協力関係にあった大統領にも利用されていた。
また、トロワがスパイであることにも気付かず、「生粋のブルーコスモス」だと信用しきっていた。
抗議に来たリリーナを人質に取るもヒイロに追い回され(これはある意味自業自得)、最期はアルザッヘル基地へ逃げようとしたところをシンに討たれる。
この時のシンのフルウェポン・コンビネーションは特殊台詞。
「何故これを原作でやらなかった」という声が多数出るほどの名シーンである。

スパロボV
原作終了後だが、エンブリヲにより密かに生き延びていた。
どうやって生き延びたのかは謎だが、プレイヤーからもあまり興味を持たれず、
「生きてたんだ」「エンブリヲは何でよりによってコイツを…?」で終わりになりがちである。 ジュリオと並んでエンブリヲのパシリ腰巾着の印象が強い。
原作でジブリールを葬った人とエンブリヲは声が似ているのだが、そこについてはどう思ってたのかは不明。
NPC扱いで戦艦の艦長とかにもならない。
ジュリオ亡き後の神聖ミスルギ皇国での戦いでは指揮を執るが、クリスにウザがられ『Z』以来のとんでもない顔芸を晒す。
最期はエンブリヲに見限られて粛清された。

◇Gジェネレーションクロスレイズ
概ね原作通り、ちなみにスカウト不可。出来ても困るとか言わない。
能力も極めて低い。指揮が若干高いがそれ以外はアストレイ三人娘どころかユウナ・ロマ・セイランよりも低い
原作のレクイエム攻防戦が再現された「変革の序曲」にて引導を渡すことができるが、死ぬ時の顔芸がなぜか再現されており面白い顔をしながら死ぬ
なお「変革の序曲」のステージ扉絵はデストロイガンダムと対峙するミネルバガンダム3機の横でなんか燃えて死んでるジブリール(勿論例の顔芸)というシュールな物となっている。


【余談】

  • 担当声優の堀秀行は「ファーストコーディネイター」ことジョージ・グレンを演じている。
    ナチュラルとコーディネイターという正反対の立場であり、「ナチュラルとコーディネイターの共生」を望んだジョージとは対照的である。
    また、『機動武闘伝Gガンダム』でシュバルツ・ブルーダー&キョウジ・カッシュを演じたこともあり、そちらも対照的。


追記・修正は猫を愛でつつ顔芸になりながらお願いします。

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最終更新:2025年02月07日 11:40

*1 パイロットはイアン・リー