炸裂装甲(遊戯王OCG)

登録日:2012/10/20 Sat 22:44:14
更新日:2025/05/02 Fri 16:37:52
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《炸裂装甲》とは遊戯王OCGに存在するカードの一つ。

炸裂装甲(リアクティブアーマー)
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。
その攻撃モンスターを破壊する。

【概要】

相手モンスターの攻撃時に発動でき、その攻撃モンスターを破壊するというシンプルな罠。
第3期の「闇魔界の脅威」で登場し、その分かりやすい効果から多くのプレイヤーに使われた一枚。
対象を取るカードの1つなのだが、昔のテキストではそれが分かりにくかった。

さて、このカードを一言で表すなら「《聖なるバリア −ミラーフォース−》の調整版」であろう。
攻撃モンスターを全て破壊するあちらには劣るとはいえ、このカードも十分に強力。

いわゆる攻撃反応罠といわれるカードの1つであり、後述する《次元幽閉》とはそれぞれ相互互換と言える。

かわされやすい「対象に取る効果」でありしかも1体だけとはいえ、
攻撃を仕掛けた相手を問答無用で破壊してしまうのは魅力的。

【スタンダード】のような構築ではフル投入と言わないでも複数枚投入が理想的と言われる。

いわゆる『グッドスタッフ』と言われる
「どんなデッキでも邪魔にならないカード」の中では優秀かつ手に入れやすいカードである。

良心的な入手難易度に対する強力な効果、これもKONAMIのファンサービスの一環と言えるだろう。




追記・修正お願いします。













…と言うのも今は昔の話。
S召喚が登場する前あたりまでは十分に強力なカードだったが、現状は評価の低いカードである。



【現在での評価】

まずは現在の環境についてだが、現状ではいわゆる「攻撃反応」自体が遅いと言われる事が多い。

第5期終盤から《剣闘獣ガイザレス》《ダーク・アームド・ドラゴン》《裁きの龍》など、容易に伏せ除去が行えるカードが増加し、攻撃反応罠の信頼性は大幅に低下。
それに伴い《大寒波》が大暴れしだしたのも痛かった。
さらに、第6期に入ると《氷結界の龍 ブリューナク》、第7期には【甲虫装機】の登場でますますその傾向は顕著となっていった。

そのため、《奈落の落とし穴》のような相手のモンスター召喚時に即使用する「召喚反応」罠や、《神の宣告》のような相手の動きを邪魔する「カウンター罠」のようなカードで除去行うのが一般的になってしまったのである。
あるいは《強制脱出装置》のようなどんなタイミングでも打てる、所謂フリーチェーンと言われる罠を多用する人もいるだろう。
そうじゃなくても似たような効果の《サンダー・ブレイク》など、フリーチェーンの破壊効果のある罠カードが現状では結構ある。

さらに環境が進み「セットしないと使えない罠カードは圧倒的に遅い」と言われるほど環境がインフレしている現在となってはかなり厳しい立場。


【そのほかの攻撃反応罠】

それでもまあ、自由度が高いデッキならメインの枠が余るデッキは少なくないので、「やっぱり一枚は攻撃反応罠を入れたい」と言う決闘者は少なくはないが、そうなると《炸裂装甲》には強力すぎるライバルが立ちふさがる

具体的には《聖なるバリア −ミラーフォース−》と《次元幽閉》の二枚。

通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する

こちらに関して言えば確実に《炸裂装甲》の上位互換と言える性能である。

最近では《聖なるバリア −ミラーフォース−》だと複数枚のカードを巻き込みやすい為、《スターライト・ロード》等で返されやすいと言う《炸裂装甲》には無い弱点を鑑みてなお、その単純な効果は非常に強力。

「対象に取らない全体破壊」の凄まじさは《ブラック・ローズ・ドラゴン》でぶっぱされたり、
激流葬》や《ブラック・ホール》を食らった決闘者には言わずもがな解るであろう。
加えて言うと第10期にはサポートカードまで登場した。詳しくは項目で。

尤も《聖なるバリア −ミラーフォース−》との性能差自体は仕方ない面もある。
《炸裂装甲》登場した2003年当時、《聖なるバリア −ミラーフォース−》は制限カードであり、2004年に初めて禁止化されてから2006年まで禁止と制限を行き来し、
以降長らく制限カードに指定されたまま2012年にようやく準制限に緩和された程にユーザー・メーカー共にパワーカードと見做されていたのである。
その縮小・調整版として作られたであろう《炸裂装甲》が《聖なるバリア −ミラーフォース−》の完全下位互換なのはある意味では当然である*1
ともあれ、《聖なるバリア −ミラーフォース−》が無制限になった現在ではまず《炸裂装甲》よりも優先されるであろう。
この《聖なるバリア −ミラーフォース−》でさえ、サポートカードが追加されているにもかかわらず使われないことが多々あるのだから、現行のOCGの環境がわかるだろう。

通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
その攻撃モンスター1体をゲームから除外する。

次に《次元幽閉》についてだが、こちらは環境の変化から立場が逆転したと言えるカード。

《次元幽閉》が登場した頃は、最強の帰還カード《次元融合》が現役だったり、次元系のデッキがそこそこ流行していたおかげで、《炸裂装甲》が《次元幽閉》より優先される事もあった。

しかも次元幽閉は登場当初はゲームのおまけだった為入手し辛く、手に入れやすい《炸裂装甲》を代用する決闘者も少なくなかった。

しかし、現在では使いやすい帰還系の魔法・罠にことごとく規制がかかった事で現行では除外は墓地送りより確実に相手のカードを処理できるようになった。
さらに、《次元幽閉》がストラクなどで再録されて入手が簡単になったおかげで立場が逆転。

現在では《スターダスト・ドラゴン》等の多くの破壊メタカードすら狩れる攻撃反応として、本来《炸裂装甲》と相互互換と言えるハズの《次元幽閉》は《炸裂装甲》の上位互換と言われるようになった。


ちなみに《万能地雷グレイモヤ》と言う破壊するカードもある。

通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
相手フィールドの表側攻撃表示モンスターの内、攻撃力が一番高いモンスター1体を破壊する。

これも本来《炸裂装甲》とは相互互換と言えるカード。というか《万能地雷グレイモヤ》の方が先に登場している。
現行では、《万能地雷グレイモヤ》は「対象に取らない」性質上文字通りの地雷カードとしては《炸裂装甲》より強かったりする。

と言っても《炸裂装甲》が姿を消してくる第5期終盤までは《炸裂装甲》の方が評価が高かった。
なぜかというと「対象に取る効果への耐性を持つモンスターが珍しかった」ことと《「N・グラン・モール》や《魂を削る死霊》など攻撃力は低いが厄介なモンスターを確実に処理できないことがあった」ため。
第6期以降、対象に取る効果への耐性持ちモンスターが増えたことや《ゴッドバードアタック》などで攻撃したモンスターがいなくなった際にも効果が発動できたことから相対的に評価が上がっている。
もっとも、上述のように攻撃反応罠自体が人気がなくなっていたのでどんぐりの背比べレベルだったが…。




そう言った具合で、現行のOCGは《炸裂装甲》には冬の時代であり、メインどころかサイドにも入れて無い人も多い。
とはいえ現行でも1:1交換してくれるため、腐っても効果は優秀。
アーティファクト】や【魔界劇団】など、相手が伏せ除去を躊躇うようなデッキもいくつか存在するため、そのようなデッキでならば攻撃反応罠も十分に活かすことができる。


【アニメでの活躍】

確定的失敗フラグである。

具体的には、クロウ・ホーガンに《デルタ・クロウ‐アンチ・リバース》で他の罠ごと根こそぎ吹っ飛ばされたり、覇王十代の使うモンスターに魔法や罠に耐性をつけられて《炸裂装甲》をものともされなかったり、《DDD双暁王カリ・ユガ》の効果で破壊されたりと、基本的に禄な目にあわないカード。

《聖なるバリア −ミラーフォース−》ですら時々成功するし、《次元幽閉》はしっかり仕事したのにどうしてこうなった。

ちなみに、ロビンの《超次元ロボ ギャラクシー・デストロイヤー》にチェーンすらさせず吹っ飛ばされたおかげで伏せカードの真偽は不明なままだったが、
ドロワ曰わくゴーシュのメインデッキには《炸裂装甲》が入っているとの事。



【ラッシュデュエルでは】

後継シリーズであるラッシュデュエルではなんとLEGENDカードに抜擢。2021年8月に登場。
かつての採用率の高さを反映してのチョイスだろう。

カードプールがまだ発展途上なラッシュデュエルなら使われるか...と思いきや、
デッキを魔法使い族に寄せる必要があるとはいえ、OCGでの《聖なるバリア −ミラーフォース−》並みの除去範囲をもつ《ダーク・リベレイション》の存在が影を落としている。しかもあっちは3積み可能。
軽い条件でどんなモンスターでも除去できるという点においても即引きで使える死者への手向けというライバルが。
更に現状1番の仮想敵であろうマキシマムモンスターの多くは罠カードによる破壊を受け付けないという有様...。

トドメとばかりに2021年12月には《聖なるバリア −ミラーフォース−》(こちらもLEGEND)が登場している*2
現在のラッシュデュエルでは除外の概念がないため、《次元幽閉》のリリースは無さそうなのがせめてもの救いか。
ただLEGENDカードである以上《聖なるバリア −ミラーフォース−》を押しのけて採用するのは不可能か……と思われていたが、
その《聖なるバリア −ミラーフォース−》登場から僅か1週間後、こんなカードの登場が発表された(実際の登場は2022年1月)。

聖なる装甲 -炸裂フォース-
罠カード
【条件】相手モンスターの攻撃宣言時、自分の墓地のモンスター3体をデッキに戻して発動できる。
【効果】攻撃してきたモンスターの攻撃力はターン終了時まで500ダウンする。
自分の墓地に「炸裂装甲」がある場合、さらに相手フィールドの攻撃表示モンスターを2体まで選んで破壊できる。

まさかの炸裂装甲専用サポート罠カード

素の効果はコストの割にしょっぱく、そのままでは使い道に乏しいカード。
しかし墓地に《炸裂装甲》があると弱体化に加えて相手の攻撃表示モンスターを2体まで破壊すると言う物凄い効果に早変わり。

総合的な破壊力はやはり《聖なるバリア −ミラーフォース−》に軍配が上がってしまう。
しかしこちらは罠破壊耐性のあるマキシマムモンスターにも一応効果が通る、3枚積み可能など差別化要素もある。
何気に2枚までなので、破壊したくないモンスターを残す……と言う方法も使えなくはない。


【余談】

英語名はまさかの「Sakuretsu Armor」。
なぜそこだけローマ字にしようとしたし。

なお、本来のリアクティブアーマーとは攻撃に反応して発動する補助装甲のこと。
攻撃の圧力で爆薬が起爆して表面側の金属板を高速で吹き飛ばし、戦車本来の装甲への貫通を防ぐ爆発反応装甲が有名。

イラストは堕落してしまった変態戦士ダイ・グレファー》が名無しの戦士を吹っ飛ばしている。





追記・修正は《炸裂装甲》を伏せてからお願いします

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最終更新:2025年05月02日 16:37

*1 似たような例がカオスモンスターの調整版的モンスター群、天魔神シリーズである。

*2 なお発表されたのは炸裂装甲の登場の20日後。