深淵に潜む者(遊戯王OCG)

登録日:2014/06/17 (火) 11:59:29
更新日:2025/04/05 Sat 22:18:47
所要時間:約 5 分で読めます




遊戯王OCGのカード。
海外版Abyss RisingでTCGのみ先行販売され、その後日本語版でもEXTRA PACK−SWORD OF KNIGHTS−で登場した。



エクシーズ・効果モンスター
ランク4/水属性/海竜族/攻1700/守1400

レベル4モンスター×2
(1):このカードが水属性モンスターをX素材としている場合、
自分フィールドの水属性モンスターの攻撃力は500アップする。
(2):自分・相手ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
このターン、相手は墓地のカードの効果を発動できない。



ランク4Xモンスター。素材に水属性を使えば攻撃力増強もできるが、X召喚自体は特に縛りはない。

効果は簡単に言うと、Xモンスター版《ソウルドレイン》。発動ターンの相手の墓地で発動する効果を封殺できる。



このカードの効果対象になる範囲は若干ややこしいが、《巨大ネズミ》のようなリクルーターや《ダンディライオン》などの墓地に送られた時に発動するカード、《馬頭鬼》や《ゾンビキャリア》などの墓地から起動効果で発動するカードが主な範囲。
ダイナレスラー・パンクラトプス》や《増殖するG》のように、効果処理時に墓地にあっても、発動時には墓地以外で発動していたカードは対象外となる。
例えば《スターダスト・ドラゴン》や《スターダスト・ドラゴン/バスター》の場合、このカードの効果の適用下ではリリースして無効にする効果は使えるが、エンドフェイズに墓地から蘇生する効果は発動しなくなる。


この効果は、刺さるデッキとあまり影響を受けないデッキの差が大きい。
暗黒界】【ジャンクドッペル】【聖刻】などのデッキに対しては、デッキの主軸となる動きすら封じることができる。
一方で汎用カードに対して有効なものはあまりなく、相手デッキのテーマによって相性はかなり異なる。一部のデッキにはものすごく刺さるのだが、刺さらないデッキに対しては効果はほとんど役に立たない。

効果の発動は相手ターンでもできるフリーチェーン。
発動に成功し効果を無効にさえされなければ、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》のように、このカードがフィールドから除去されても効果はターン中ずっと続く。

効果を無効にするのではなく発動そのものができないので拘束力は高いが、「墓地で発動する効果」が発動してからこのカードの効果を発動しても遅いため、完全に牽制するなら発動前に効果を使っておかなければならない。
例えば暗黒界相手なら、効果で捨ててから発動しなければならないため、《暗黒界の取引》など捨てることを予期されるカードにチェーンして、このカードの効果を発動すれば良い。
しかし【海皇水精鱗】など、コストで捨てられた時点ですぐ発動するカードには、それにチェーンして発動しても妨害はできない。

また、《暗黒界の龍神グラファ》や《マシンナーズ・フォートレス》など、墓地から特殊召喚する召喚ルール効果に対しては、このカードの効果適用下でも止めることはできない。
この辺りも含めて処理がややこしいカードだがKONMAI語なので仕方ない。



類似した効果の《ソウルドレイン》と比べると、あちらは永続罠なので維持できれば1枚で済み、Xするより負担は少ない。
一方こちらはEXデッキから出てくるので、メインデッキからドローせずに済む上、刺さらないデッキ相手でも他のXモンスターに切り替えれば良いので、EXの枠を使う以外に腐らない。
引いていても罠カードのため一旦伏せなければならない《ソウルドレイン》と違い、X召喚したターンに即座に効果を使うことができ、リクルーターや【アーティファクト】など自分のターンに発動する効果も封じながら攻撃ができる。
発動に成功すれば除去されてもターン中ずっと効果は続くので、《サイクロン》などで割られればそれで終わりな《ソウルドレイン》より、確実に動きを止めることができる。
何より、お互いの墓地を封じる《ソウルドレイン》と違い、このカードは相手の墓地にのみ作用するため、《ソウルドレイン》では自分の首を絞めてしまうデッキでも、安心して使うことができる。



欠点は、Xモンスターの割に攻撃力がかなり低いこと。
水属性の素材なしでは1700と下手な下級モンスターにも戦闘破壊されかねず、強化効果を使えても2200と、サイドララインは越えるが帝ラインにも届かず、少し物足りない。そのため、維持は諦めて1ターンのみの使いきりと割り切るのも手。
効果の発動自体はフリーチェーンだが、相手ターンに発動したい場合でも、召喚したターンに罠で除去されてしまえば意味がない。その場合はしっかり伏せ除去を行う、攻撃反応罠にかからないよう不用意に攻撃しない、といった警戒が必要。



なお、水属性の強化効果は自身のみならず、他の水属性モンスターにも及ぶ。水属性主体のデッキではこちらの効果のためだけに使うのもいいだろう。

水属性レベル4の素材には、水属性デッキのみで使うもの以外にも、《ブリキンギョ》や《E・HERO バブルマン》など、ランク4エクシーズと相性の良いものが存在する。図らずも活用できる機会があるかもしれない。

ちなみに、この効果が適用されている場合には元々の攻撃力から変化するため、《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》の標的となってしまう。
あちらもフリーチェーンで効果を発動できる上、こちらの効果を発動して素材を取り除いて攻撃力を戻しても、先に《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》が効果を発動していれば破壊とドロー効果は適用されてしまう。

相手ターンで効果を使用する時にはタイミングを考える必要がある。
ドローフェイズやスタンバイフェイズに早く墓地封印をかけたいと思う気持ちはやまやまだが、相手フィールドに何もないときに打つとチェーンして無限泡影を打たれる危険性が大きい。
この場合は相手が何かしらのカードを場に出したタイミングで使えば《無限泡影》は発動不能になる。
相手が先んじて《無限泡影》を打ってくればこちらがチェーンしてやればよい。
ただしメインフェイズまで待てば壊獣にチェーンなしで除去される危険もある。
また、魔法カードにチェーンして発動した場合には《PSYフレームギア・Γ》に無効化される場合もある。
環境や相手を読んで発動タイミングを選ぶのは決闘者の腕の見せ所と言えよう。

Xモンスターの割に攻撃力はかなり低いこともあって、登場当初の評価はそう高くなかった。
ところが、一時期の環境では【征竜】【アーティファクト】【シャドール】といったデッキに対し強力なメタになるため、だんだん評価が上がりつつある。
このカード単体では打開力には欠けるため、効果で動きを封じている間に他のカードを展開し、相手のライフを削り取ってしまおう。

2022年に、墓地からデッキに戻して融合するテーマである【ティアラメンツ】が活躍すると、そのメタカードとして注目された。発展デッキである【イシズティアラメンツ】も含め、自分・相手のターンを問わず墓地で効果を発動して大暴れするこのデッキには高い制圧力を発揮する。
……が、しかし。ティアラメンツには展開の起点となるカードに星4モンスターが2種、また【イシズティアラメンツ】で用いられる《現世と冥界の逆転》関連カードも4種の星4モンスターであるため、《深淵に潜む者》をX召喚しやすい。その上、ティアラメンツは水属性のテーマなので攻撃力アップ効果を活用しやすいのも後押しした。
環境トップ自身が環境トップメタを使いこなし、そのついでに他のテーマもダメージを受ける…これも遊戯王ではよくあることであった。

そして2024年に登場したランク4特化デッキの【ライゼオル】にて墓地利用封じ要員として使われ続けた結果、2025年1月の改訂で準制限や制限を経ること無く一発禁止となってしまった。
同じくランク4の制圧要員としては、守備表示強制&守備表示モンスターの効果無効とより汎用性の高い《No.41 泥睡魔獣バグースカ》がいるが、あちらが自陣にも影響を及ぼすにも関わらずLモンスターには無力かつ場を離れたらロックが解除されるのに対して、こちらは墓地しか封じないものの残存効果であるため効果が適用されてしまえば場を離れても墓地利用が封じられる点がより凶悪と判断されたと思われる。それに《No.41 泥睡魔獣バグースカ》は海外イラスト版をOCGで出す予定だったので禁止に出来ないと言う商売的事情もあったと思われる。

このカードの登場以前から《海底に潜む深海竜》というモンスターがいるが、こちらはこのカードと属性・種族・元々のステータスが一致しており、このカードのX素材にも使えるレベル4、魚族・海竜族だが攻撃力強化効果を持つ、と共通点がかなり多い。なんらかの関係があるのだろうか。




追記・修正は墓地の効果を発動せずにお願いします

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最終更新:2025年04月05日 22:18