ダイナミックヒーローズ

登録日:2018/06/02 Sat 23:30:00
更新日:2024/07/17 Wed 12:36:36
所要時間:約 40 分で読めます





ダイナミックヒーローズ』とは、越智一裕とダイナミックプロによる漫画作品。


概要

本作の原型となったのは『ダイナミックロボット大戦』という作品。
これは、PS2への移行が完了しつつある初代PS末期の時期に発売された「クリックまんが」というソフトのシリーズの一つであり、いわばPS用のデジタルコミックとも言えるもの。
これはマジンガーZグレートマジンガーゲッターロボグレンダイザーといったおなじみのロボットに、デビルマンを加えたヒーロー勢が登場する、ダイナミックプロの集大成となるタイトルになるはずだった。
しかし2巻が発売された所で発売元の会社が解散するというトラブルに見舞われ、完結編である3巻の発売は中止、未完の作品となってしまった。

本作はその『ダイナミックロボット大戦』のリニューアルとなる企画であり、上記の面々にキューティーハニーを加えたヒーローが総登場する、言わば永井豪版アベンジャーズと言うべき作品である。
WEB上でデジタルコミックとして配信され、後に講談社より単行本全3巻での発売が予定されていた……のだが、2巻が発売されたところでまたしても企画は頓挫、結局3巻は発売されずじまいだった。
現在では電子書籍販売サイトのebookjapanで、連載時のものに加筆修正・再構成を施した全4巻が発売されているので、そこで購入すれば全話を見ることが出来る。


ストーリー



登場人物

ヒーローサイド

前半は剣鉄也との共演がメイン。
意外にもゲッターチームとの会話は殆どない。
中盤から後半にかけてはデビルマンやキューティーハニーとも共闘し、ヒーロー勢の中では出番、見せ場ともに一番多い。
マジンガーZは休ませてやりたいという考えから、今作ではダブルスペイザーでの戦闘がメイン。
以前デビルマンと共闘した経験からデーモン族のことも知っており、エバインやラフレールの襲撃にも即座に対処した。
主人公補正を最も受けており、デュークバギーで妖獣や機械獣を撃破し、アンドロイド二体相手に大立ち回りを演じるなど、チート主人公といっても差し支えないほどの活躍を見せている。
非常にモテモテであり、弓さやかとマリアに想いを寄せられている。如月ハニーの裸を見るというラッキースケベにも遭遇した。

三回も共闘している関係上、ゲッターチームとの共闘がメイン。
突然の出来事にも冷静に対応し、ダムドム星人の即時殲滅を進言するなど、戦闘のプロとしての一面を見せる。
戦闘では、グレートブースターで装甲を破ったところにシャインスパークを撃たせるという方法を採ることが多い。

ゲッターチームの三人。
兜甲児の日常に尺が割かれている関係上、戦闘シーンでの登場がメイン。
その分戦闘シーンでは重要な役割を担っており、デモニカ、ギルギルガン、ギルドロンに止めを刺している。

  • デュークフリード/宇門大介
フリード星の復興を報告しようと地球に向かう途中で、ダムドム星人に襲われる。
妹を逃がすためにグレンダイザーでグランゲンとボングに立ち向かうが、この二体と戦闘経験がないことが仇となり、バラバラになったボングを倒したと勘違いした一瞬の隙を突かれて羽交い締めにされ、グランゲンの怪光線を受けて捕らえられてしまう。
その後ダムドム星人に洗脳され、マジンガーZと戦闘を行う。
正気に戻った後はヒーローチームのリーダーとして、戦闘の指揮を執った。

  • 不動明/デビルマン
マジンガーZ対デビルマン』以来の久しぶりの登場となる。
多数の戦いを経験しているためか、本編や『マジンガーZ対デビルマン』の頃と比べると落ち着いた印象を受ける。
パワーではロボット勢には及ばないが、それでも一対一なら並の妖獣を圧倒する強さを誇る。
最終決戦では、大きさを変えられるという点を活かしてヒーローチームの突破口を切り開く。
なお、不動明という呼び方が使われるのは作中で僅か二回だけであり、ヒーロー勢からも専らデビルマンと呼ばれている。

  • 如月ハニー/キューティーハニー
前半は同じ変身系ということでデビルマンと共闘。
シレーヌからデビルマンを救うシーンは、おそらく漫画版のオマージュ
前半の終わりにエバインに捕らえられてからは、後半までピンチシーンしかなかったが、後半ではアンドロイドやマーメイムを倒すという戦果を挙げる。
ラフレールの蔦に捕まる、エバインの下僕の腕に胸を鷲掴みにされる、シスタージルに鞭で打たれる等、サービスシーンが多い。
最終決戦では、ハリケーンハニーに変身し、ダブルスペイザーのパイロットとして参戦した。

  • グレース・マリア・フリード
デュークフリードの妹で、兜甲児に想いを寄せている。
予知能力があり、ガンダーやイヤモンを倒している。
ただし何でも予知できるわけではないようで、エバインやラフレールの襲撃は予知できなかった。

  • 炎ジュン
剣鉄也のパートナーで、ビューナスAのパイロット。
ヤヌス侯爵に洗脳されてグレートマジンガーを襲う、洗脳が解けたと思ったら地獄大元帥に捕まって人質にされる、最終決戦には不参加と、あまりいい所はなかった。
しかしその分、初登場シーンがシャワーシーンだったり、キャットルー軍団と戦うときにパンチラ全開だったり、地獄大元帥に服を引き裂かれたりと、サービスシーンはハニーに次いで多い。

  • 弓さやか
出番は少ないが、ダイアナンAで戦闘に参加した。
兜甲児とはお互い想い合っている様子。

  • ララ
元々は妖獣ドドと共にデビルマンを罠にはめようとしたが、デビルマンを愛したために三人目の裏切り者となったデーモン族の女性。
手の平で触れたものの形や材質を自由に変える能力を持ち、実は今の顔はその能力によって作り変えたものである。
本当の顔は老婆のようにしわくちゃであり、くしゃみをすると元に戻ってしまう。
兜甲児を幻城に案内してハニー救出に協力。
さらに、偶然見つけた変身用のペンダントを、綺麗だからという理由で持ち出すというファインプレーを見せた(ペンダントのことを知らない兜甲児は完全スルーだった)。


敵サイド

  • ダムドム星人
元々は『グレンダイザー』本編に、設定のみ存在する宇宙人だったが、今作で初めて姿を現す。
今作では、以前ギルギルガン、グランゲン、ボング、ピグドロンを送り込んできた宇宙人の正体とされる。

  • Dr.ヘル/地獄大元帥
兜甲児の宿敵のマッドサイエンティスト。
その正体は、Dr.ヘルの内部にダムドム星人が入り込んで操っているというもの。
つまり厳密に言うとDr.ヘル本人ではなく、Dr.ヘルの記憶と人格を再現したダムドム星人ということになる。
終盤では『グレートマジンガー』本編ではなし得なかった、マジンガーZとの一騎打ちが実現。
しかし、はっきり言って七大将軍や多数の戦闘獣相手に単独で無双出来るほどに強化されたマジンガーZの敵ではなく、大車輪ロケットパンチであっさり倒された。

  • ヤヌス侯爵
パンサーゾラの魔術によって蘇り、レーダーを破壊して科学要塞研究所を占領し、炎ジュンを洗脳した。
そこまではよかったのだが、レーダーを破壊したために自分達もゲッターロボGの接近に気付かなかったという大ボケをかましてしまい、形勢は逆転。
デモニカで逃走を図るも、グレートブースターとシャインスパークの連続攻撃を受け、デモニカ共々海の藻屑となる。

  • シレーヌ
デビルマンの宿敵の妖獣。
奇襲を仕掛けて不動明を捕らえるものの、ハニーの援護により反撃を許してしまう。
この戦いで右の翼、右目、右手を失うものの、ナバローンに逃げ込んで九死に一生を得る。
そして……

  • サイボーグシレーヌ
失った部分に機械を移植してサイボーグとなったシレーヌ。
右手は漫画版のシレーヌのように遠隔操作が可能となっており、右目からはレーザーを発射できる。
また、鋼鉄の翼はデビルマンの攻撃を弾くとなる。
空からの攻撃でデビルマンを圧倒するが、ララが投げた剣で左目を失い、さらに助けに来たダブルスペイザーに右手を破壊される。
逃走を図るがダブルスペイザーに追跡され、サイクロンビームとデビルアローの同時攻撃で倒された。

  • エバイン
ケンタウロスのような姿をした妖獣。
腕はないが、鏡の中に下僕である千本の腕を従えている。人間の腕を支配下に置き、操ることができる。
欠点はその場の鏡を割られると現実世界にはじき出される点、そして現実世界では超能力を発揮できない点。
水落ち+やったかという二重のフラグを折った珍しい敵。
なお、本編でもデビルマンを鏡の世界に閉じ込めて戦ったが、それは妖将軍ムザンから授けられた鍵を使ったからであって、本来エバインに人間を鏡に閉じ込める能力はない。

  • ラフレール
普段はスタイルのいい美女の姿をしているが、正体は般若のような顔を持った巨大な人面花。
口から睡眠作用のある花粉を吐き出すことができ、ハニーやマリアの誘拐のために動く。

  • サイコジェニー
巨大な頭部だけの妖獣。
本編では催眠能力を使ったが、今作では髪の毛を使ってデビルマンと戦った。

  • ガンダー
本編では兄のガンデエ、ガンダガンと共にデビルマンと戦ったが、本作では女デーモンであるガンダーのみ登場。
目が本体であり、目さえ無事なら体はいくらでも再生できる。
逆に言えば目が唯一の弱点

  • メグ
顔を見た男を骨抜きにして操る、所謂魅了の魔力を使うナメクジの妖獣。
兜甲児をその能力を使って虜にしようとするが、近付いたところへバックミラービームを受けて怯み、シャフトガンで倒される。

  • ベラ
死人を操って人を殺し、殺した人間を更に操るという方法で、一つの集落を全滅させたこともある妖獣。
本編ではそれなりに強力な妖獣だったが、今作ではなんの見せ場もないまま、メグもろとも倒される。

  • 妖女ゾルドバ
様々な超能力を使うデーモンで、食い殺した相手に変身する能力を持つ。
キューティーハニーを超能力で圧倒し、マリアを食い殺そうとしたが、デビルマンに倒された。

  • イヤモン
ヤモリのような手足と尻尾をもつデーモン。
気配もなく人間に忍び寄って、長く伸びる舌で生気を吸い取る。
生気を吸われた人間は原因もわからないまま衰弱していき、やがて死に至る。
本作では舌を使ってハニーの剣を奪い、兜甲児を殺そうとしたが、マリアに撃たれて死亡。

  • マーメイム
水を操るデーモン。
今作ではから水を発射してキューティーハニーを攻撃した。
仲間のデーモンが全て倒され、逃げようとしたところをキューティーハニーに切り捨てられる。

  • 妖元帥レイコック
直接は登場せず、セリフと回想のみで言及された。
配下の妖獣をアクセサリーとして身にまとっており、魔王ゼノンから次期魔王の座を約束されていた。
デビルマンの攻撃をいくら受けても再生する、不死身の能力を持つ。
妖力が強すぎてコントロールができず、復活が見送られ、そのことが計画の綻びに繋がった。
なお、話の都合上、ララの裏切りを知る女デーモンであるオーロラとアルロン、比較的友好的な性格であるファイアムも登場しない。

呪術によって蘇った、パンサーゾラの妹。
配下の妖獣を使って作戦を遂行する。
表向きはDr.ヘルに従順な態度をとっているか、裏では空中元素固定装置の独占を企んでいる。

  • ユニコーンクロー
  • バズソークロー
非常にごつい見た目だが、一応女性型アンドロイド。
ユニコーンクローは頭部に一本角を持つマッチョ、バズソークローは回転ノコギリを背負った肥満体型のアンドロイドである。
変身できないハニーを襲い、ハニー救出に来た兜甲児と戦った。

  • パンサーゾラ
こちらもセリフでのみ言及。
多数のデーモンを呪術で蘇らせるが、デビルマンの味方となったララも蘇らせてしまうというミスを犯す。
自身も、蘇りという禁断の術を使った代償に長い眠りについた。

  • 空魔獣グランゲン
『グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大激突』に登場したグランゲンの別個体。
最初に投入された戦いでは、ボングとの連携でグレンダイザーを捕らえることに成功する。
目から発射される怪光線は、グレンダイザーやグレートマジンガーにもダメージを与えるほど。
その後、ダブルスペイザーを倒すために出現し、助けに来たグレートマジンガーと交戦。
触手で投げ飛ばし、怪光線を浴びせるなどして善戦するが、最後はマジンガーブレードを額に突き立てられ、真っ二つにされて倒された。

  • 結合獣ボング
『グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大激突』に登場したものと同系のロボット兵器。
映画ではビューナスAを痛めつけるもののグレートマジンガーに一蹴されるという少々情けない役だったが、今作ではグランゲンと二体一とは言え、グレンダイザーを捕らえるという戦果を挙げる。
その後、早乙女研究所襲撃で投入され、ゲッターロボを攻撃するが、ゲッターナバロン砲で倒された。

  • ギルギルガン
『グレートマジンガー対ゲッターロボ』にも登場した宇宙怪獣。
第一形態、第二形態、第三形態と成長していった。
基本的な能力は映画版と同じだが、防御力が強化されており、グレートマジンガーとゲッターロボGの同時攻撃も全く通じなかった。
最後はグレートブースターとシャインスパークの連続攻撃を受けて大爆発を起こす。

  • 光波獣ギルドロン
ギルギルガンの爆発の中から現れた、ダムドム星人の最終兵器。
姿はピグドロンに似ているが、ギルギルガンの体がベースになっているため、ピグドロンにはなかった巨大な翼や尻尾を持っている。
光の矢が武器で、背後にも発射できるために死角は存在しない。
ただし、この光の矢は宇宙合金グレンには通用しないという欠点がある。
また、シャインスパークで貫かれた傷が完全には塞がっておらず、小さな亀裂がある。


参考:ダイナミックロボット大戦

導入部分は双方同じだが、本作とは以下の点が異なる。
  • 兜甲児が最初からマジンガーZに乗っている
  • 地球に逃げ延びてくるのが、マリア一人が乗ったグレンダイザー
  • グレンダイザーを追撃してくるのが、多数の円盤獣
  • 早乙女研究所を襲撃するのが、メカザウルスザイ、ズー、バドの三体
また、ダイナミックヒーローズでは旧ゲッターロボはゲッター1のみの登場だったが、こちらではゲッター2とゲッター3も登場。
三つの形態を使い分けてメカザウルス相手に奮闘する。

  • デビルマンの登場の仕方が全く異なる
こちらでは『マジンガーZ対デビルマン』にも登場した妖獣ブゴに襲われた兜甲児を助けるために、皆の前に姿を現すという形で登場する。
また、シレーヌも1シーンのみではあるが登場。
奇襲を仕掛けてビューナスAを破壊し、炎ジュンを連れ去った。

  • キューティーハニーが登場しない
ただし、研究員が宝石強盗の記事を読むシーンがあるため、それが伏線になっていた可能性はあり、三巻が実現すれば登場した可能性もある。

  • 暗黒大将軍も登場
早乙女研究所の救援に向かったグレートマジンガーを待ち構え、一騎打ちを仕掛ける。
グレートマジンガーは暗黒大将軍の猛攻にボロボロになりながらも、辛くも勝利を収める。
話は、デビルマンと共にグレートマジンガーの救援に向かったマジンガーZが、ズタズタに引き裂かれたビューナスAと、シレーヌの羽を見つけたところで終了する。


余談

真マジンガーZEROvs暗黒大将軍』のラストの総攻撃にグレンダイザーが参加したのは、グレンダイザーが一度もマジンガーZと顔を合わせたことがないからだと言われているが、それは誤り。
『ダイナミックロボット大戦』では、(搭乗者はマリアだったが)グレンダイザーをマジンガーZが助けているし、『ダイナミックヒーローズ』では直接対決もしている。
マジンガーZEROがこの世界を観測できなかった理由は不明。
デビルマンという、ロボットではないがマジンガーZと戦う存在をマジンガーZEROが理解できず、観測の妨げになったのだろうか?
単に作品自体がマイナーだったからとか言わないで



追記・修正は、鋼鉄ジーグも参戦する続編を希望する人がお願いします。

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最終更新:2024年07月17日 12:36