登録日:2020/12/29 Tue 23:32:00
更新日:2024/12/07 Sat 15:56:29
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【概要】
「胴体部となる中核のトランスフォーマー(TF)に、手足となる4体のTFが
合体する」というオーソドックスな変形方式ではあるが、なんと「
手足の各TFが右腕、左腕、右脚、左脚のどれにもなれる」というすさまじい汎用性を持っている。この設定自体は後述の前身である「自在合体ロボ」時代からの流用である。
スクランブル合体登場以前から純粋な合体兵士として、
合体兵士デバスターが存在していたが、以降しばらくはこの機構を持つ
ロボットが発売される。
しかしアニメでは、合体こそ描かれていながら、スクランブル合体を利用したシーンはごくわずかである。おい、販促しろよ。
書籍『変形・合体ロボット完全攻略書』には海外の玩具メーカー・ハスブロ側から「子供が混乱するから」という理由でアピールしなかったからとされている。
一方、国内ではOVA『スクランブルシティ発動篇』やテレビマガジンに於ける雑誌展開、トランスフォーマーテレフォン、テレビCMなどでこの面を大きく宣伝しており、同書籍でも「苦しい展開」とも揶揄されていた。
スクランブル合体機構は当然玩具でも再現されており、両手両脚の換装はもちろん、ジョイント規格が共通であるため、別のスクランブル合体兵士との合体遊びも可能である。G1当時の玩具は単品とセット両方で発売されていた。また初期の商品はサイバトロン側(
エアーボット・
プロテクトボット)が「メトロフレックス」と、デストロン側は(スタントロン・
コンバットロン)が「ダイナザウラー」と連携して遊べるようになっていた。
その後も
リデコされたり、ジョイントこそ異なりながらもこの機構を持つTFは存在しているが、2015年に展開された『コンバイナーウォーズ』(日本では仕様変更を施されユナイトウォーリアーズとして発売。)、その3年後に展開された『パワーオブザプライム』では、G1を踏襲した設定でのリメイクが施された。これに関しても詳しく説明する。
【部隊一覧】
基本的にG1シリーズを紹介する。一番上に記載されたリーダーのTFが胴体を、残りの4体が手足になる。()内は変形モチーフである。
ちなみに各部隊のリーダーは、タートラー以外は基地等の第2の変形モチーフを持っているが、アニメ本編で使用されたのはスキャッターショットの砲台形態のみであり、他はシルバーボルト、ホットスポット、オンスロートの基地形態が漫画版で使用されたのみである。
部隊ごとに記事があるため、詳しくは部隊名からそちらを参照。
サイバトロン
- エアーボット司令官 シルバーボルト(コンコルドと発進基地)
- 副官 スリング(ハリアー)
- 偵察員 ファイアーボルト(F-4)
- 戦士 エアーライダー(F-15)
- 航空戦略家 スカイダイブ(F-16)
合体戦士スペリオン
全員が航空機に変形する。サイバトロンに足りない航空戦力を補うために誕生した。実はコンボイの誕生にかかわっているという重要キャラクターたちである。
- 防衛指揮官 ホットスポット(消防車と防衛基地)
- 航空支援員 グレイズ(UH-1/ベル204救助ヘリ)
- 救助員 ファーストエイド(救急車)
- 追撃員 ストリートワイズ(フェアレディZ Z300ZX Z31型パトカー)
- 偵察員 グルーブ(ハーレーダビッドソン ツアーグライド 白バイ)
合体戦士ガーディアン
人命救助を目的としており、消防車や救急車など、救急車両に変形する。
玩具オリジナル展開である『トランスフォーマー合体大作戦』では、G1当時の廉価版である「合体救助戦士ガードシティ」が発売された。
- 攻撃指揮官 スキャッターショット(SFジェットと砲台)
- 砲撃員 ノーズコーン(ドリル戦車)
- 狙撃員 ストレイフ(SFジェット)
- 探査員 ライトスピード(スポーツカー)
- 射撃員 アフターバーナー(SFバイク)
合体戦士コンピューティコン
『
戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』より登場。電気ショックで大天才になったグリムロックが制作した。全員がSFチックなビークルに変形する。
コンピューティコンはテックスペックの知能が合体兵士唯一の10となる。
玩具は放送と販売期間の兼ね合いから後番組の『ザ★ヘッドマスターズ』開始時に発売された
デストロン
- 参謀 モーターマスター(ケンワースK-100エアロダイン トレーラートラックと発進基地)
- 斥候 ブレークダウン(カウンタックLP500S)
- 兵士 ドラッグストライプ(ティレルP34)
- テロリスト ワイルドライダー(フェラーリ308)
- 兵士 デッドエンド(ポルシェ928)
合体兵士メナゾール
デストロンに足りない陸上戦力を補うために制作されたため、全身が車に変形する。
そのためかサイバトロンと誤認されるシーンもあったが、そのことを利用した作戦は考案しておらず、むしろ
サイバトロンに利用された。
- 攻撃参謀 オンスロート(コンバットトレーラーと発進基地)
- 宇宙兵 ブレストオフ(スペースシャトル)
- 偵察兵 ボルター(ヘリコプター)
- 狙撃兵 ブロウル(戦車)
- 補給兵 スウィンドル(軍用バギー)
合体兵士ブルーティカス
いつものごとくリーダーの座を狙う
スタースクリームがデストロン反逆者の頭脳と第二次世界大戦の兵器をもとに誕生させた。
そのくせスペースシャトルがあるけど。
玩具オリジナル展開である『合体大作戦』では、好敵手たるプロテクトボットと同様にG1当時の廉価版が発売。名称も「合体攻撃兵士バトルガイアー」に変更されている。
『
トランスフォーマー カーロボット』で再びリデコ、「戦闘スペシャリスト バルディガス」名義で発売された。その後も『トランスフォーマー アンコール』でブルーティカスが再販されている。
- 破壊指揮官 ハングルー(双頭竜と防衛基地)
- テロリスト リッパースナッパー(サメ型モンスター)
- 追撃兵 シナーツイン(双頭竜)
- 急襲兵 カットスロート(鳥型モンスター)
- 火炎歩兵 ブット(ミュータント)
合体兵士オボミナス
『2010』より登場。全員が乗り物ではなく、モンスターに変形する。
リメイクが2010までのスクランブル合体ロボで唯一「コンバイナーウォーズ」で登場せず、「パワーオブザプライム」にてようやく登場した。
- シーコンズ指揮官タートラー(亀)
- 海中破壊兵オーバーバイト(サメ)
- 海中爆破兵ロブクロウ(エビ)
- 海洋工作兵クラーケン(エイ)
- 機雷攻撃兵テンタキル(イカ)
- 深海攻撃兵ガルフ(シーラカンス)
深海合体兵士キングポセイドン
『
超神マスターフォース』より登場。海洋生物に変形する。唯一手足を構成するTFが5体いるが、それぞれが武器にも変形可能であり、両手両脚と合わせて5体、
というわけである。ちなみにシーコンズは、タートラー以外は量産されているため、設定上は手足と銃の全てを同一種のTFに構成させる事も可能と思われる。
『
ビーストウォーズⅡ』で「
宇宙海賊シーコンズ」としてリメイク。こちらは合体兵士の名前が「合体海神ゴッドネプチューン」に名称変更。他にも、銃パーツやロブクロウにあたるTFがオミットされている。
組み合わせ合体
以下の公式合体例が存在する。
- コンペリアン(胴体スキャッターショット、右腕スカイダイブ、左腕グレイズ、右足エアーライダー、左足ライトスピード。当時の広告に記載)
- オボメナティカス(胴体ハングル―、右腕デッドエンド、左腕カットスロート、右足スインドル、左足ブレストオフ。当時の広告に記載)
- デストロン最強合体スクランブル7(胴体タートラー、右腕ブレストオフ、左腕カットスロート、右足ブロウル、左足デッドエンド、右銃ロブクロウ、左銃テンタキル。漫画に登場)
- サイバトロン スーパースクランブル(胴体スキャッターショット、右腕スカイダイブ、左腕エアーライダー、右足ノーズコーン、左足グレイズ。テレビマガジン1987年6月号に掲載)
- デストロン スーパースクランブル(胴体ハングル―、右腕ブレストオフ、左腕デッドエンド、右足カットスロート、左足ブロウル。テレビマガジン1987年6月号に掲載)
ちなみにG1当時の玩具のキングポセイドンは体格的に他の合体戦士との相性が悪く、スクランブル合体に使用すると不格好になりやすい。
【カーロボット~Fall of Cybertron】
G1以外のシリーズでもリメイクされており、手足の構成要員を交換して合体できる5体合体というコンセプトは継承されている。
一方で派生パターンも登場している。
『
トランスフォーマー カーロボット』に登場した
ビルドマスターズの合体戦士「鋼鉄大王ビルドキング」は変則的なパターンになっており、4体で3形態を切り替えるようになっている。
こちらは手足を構成するメンバーがジョイントを出して逆Y字型に合体してから変形する構造となっており、上に来たメンバーが両腕とバックパック部分、残りのメンバーが両足になる。
『
トランスフォーマースーパーリンク』では、エアーボットとコンバットロンが同コンセプトでリメイクされているほか、G1ではスクランブル合体機構ではなかったビルドロンが
ミックスマスターを除いてこの機構でリメイクされている。
この際、合体兵士の名称は「デバスター」ではなく、「ビルドロン」に変更されている。
サイズは胴体がデラックスクラス、手足組が一回り小さいエネルゴンクラス(当時の分類)。
各チームの手足組が二種類の型をリカラーで水増ししていたり、手持ち武器が変形して合体後の手足首を兼ねるためやや強引な形状だったり、胴体担当に固有武器がなかったりと今の視点では痒いところに手が届かない部分もあるが、スクランブル合体とフル可動、良プロポーションを成立させた点は高く評価されている。
「POWER CORE COMBINERS」というシリーズでは1体のTFをコアに非単体変形の4体のドローンが合体する。こちらは手足での左右入れ替えは可能だが腕のパーツを脚のパーツに、といった芸当はできない。日本では「トランスフォーマーユナイテッドEX」として発売。
「Transformers: Fall of Cybertron」ではコンバットロンがリメイク。
ゲームのデザインをもとにしたため、過去とデザインは異なるが、ブルーティカスへの合体はもちろんスクランブル合体もしっかり再現されている。しかし、デラックスクラス5体での合体になるため、胴体がやや小さくなってしまっている。日本ではリカラーで「ジェネレーションズ」名義で発売。
【コンバイナーウォーズ/ユナイトウォリアーズ/パワーオブザプライム】
ここでは、2015年以降に発売されたリメイク版のことを記述する。
これらのリメイクでは、(スクランブル合体でないデバスター、
プレダキングを除き)胴体がボイジャークラス、手足組がデラックスクラスであり、可動など単体でも十分遊べる内容になっていたり、拳や足首になるギミック武器があるほか、シリーズ問わず全てコンバイナージョイントという共通規格で合体するため、非常に多くの組み合わせが実現する。自分だけのお気に入りのスクランブル合体を探してみてもいいかもしれない。
まずは2015年より、トランスフォーマージェネレーションズの一環として、『コンバイナーウォーズ』というリメイクシリーズが発売された。2018年より続編にあたる『パワーオブザプライム』が発売されている。コンバイナーウォーズの時点でテラートロン、シーコンズを除く上記の合体TFがリメイクされた。
また、各グループに新規メンバーが登場しているのも特徴で、エアーボット・プロテクトボット・スタントロンの場合はなんと手足のキャラクターそのものが差し替えられている。
差し替えられたメンバーは後述のグルーブのように仕様変更されたり、一方でしばらく無かったことにされたメンバーも存在する。
また、デラックスより小型の新メンバーが各グループに存在、それらは合体TFの胴体に追加したり、武器になったりする。
面白いのは
ショックウェーブで、初代アニメで銃形態のままブルーティカスに使われたシーンの再現が可能となっている。
グルーブがバイクに変形するという都合上、手足ではなく胴体追加合体にあてはめられたり、リデコの関係でブレストオフがスペースシャトルではなくジェット機になったり、と変更点が存在する。
G2カラーもセットで発売されている他、上記の都合で新メンバーに押し出されたオリジナルメンバーも後にラインナップ復帰を果たしている。
さらにスクランブル合体でないデバスターがリメイクされたり、同じくスクランブル合体でなかったが、
ほぼ別人になったがスクランブル合体機構を与えられて
ブレストフォースがリメイクされたり、オプティマスプライム、スカイリンクス、サイクロナスなど既存TFがスクランブル合体機構持ちで登場したり、メンバー全員女性の「ヴィクトリオン」など、リデコで新規の合体TFが追加されたりした。
日本では『ユナイトウォーリアーズ』という名称で仕様変更を施し輸入。単品販売の海外と異なりセット販売方式で発売された。
カラーリングが玩具基準のコンバイナーウォーズからアニメ基準に変更される、グルーブやブレストオフが新規造形でかつてと同じ仕様になる、新規キャラクターをリカラーし、異なる設定の新キャラクターや過去のキャラクターに変更する、コンバットロンのリカラーでバルディガスが登場するなど、大幅に仕様が変更されている。
小型の新メンバーは日本では一部が『
アドベンチャー』などの玩具として登場。リカラーなので合体はできるが、それに関する説明はない。
コンバイナーウォーズのヴィクトリオンはこちらでは大幅に設定とカラーリングを変更し「メガトロンの妻を自称する破壊大帝メガエンプレスと、それぞれG1デストロン兵士と縁のあるウーマンデストロン4体」という異様に濃いキャラクター性を引っ提げ「メガトロニア」としてリリースされた。
ヘッドマスターギミックの『タイタンズリターン』を挟み、2018年の『パワーオブザプライム』で再度大幅にスクランブル合体TFが追加された。
テラートロンがリメイクされたほか、スタースクリームやエリータ1、
ダイノボット5体など、既存TFにこの機構が搭載され手リメイクされた。
これらは日本でも同じ仕様で輸入されている。中でもドレッドウィンド(バスター)とブラックウィング(ハイドラー)はスクランブル合体とは別に、ドレッドウィング(ダークウイングス)への合体も可能である。
こちらでは前述したギミック持ち武器が拳のみ、足首のみと別になり、拳は手足担当に、足首は胴体担当に2つ付属する。これらには胴体付属の合体能力をもたらす『エニグマ・オブ・コンビネーション』や同シリーズもう1つのメインギミックである「プライムマスター」を取り付けることもできるようになっている。
特にダイノボット5体が合体するというありそうでなかった合体戦士ボルカニカスはカラーリングも統一されていて、体がやや貧弱だったりするがなかなかかっこいい。またコアがグリムロックであるため、両手足をホイルジャック、ラチェット(リンクスマスターに付属)、スキャッターショット以外のテックボット2体にした3世代合体なんて芸当も可能である。
シーコンズのみリメイクされていなかったが、2020年になり『ジェネレーションセレクト』というシリーズでようやくシーコンズもリメイク。武器機構もしっかり再現されている。同シリーズではオボミナス、ボルカニカスの日本限定仕様も存在する。
『
ビーストウォーズⅡ』に登場した宇宙海賊シーコンズも後に発売。原作では第三勢力であったが玩具でデストロンとして扱われており、今回もそれに倣っている。目玉として、女性兵士であるスキュウレが新規造形になっている。漫画でのみロブクロウに対応する兵士が登場。
ちなみに、これらのシリーズは
リデコがかなり多く存在するが、一部非常にカオスな事になっている事でも有名。ホットスポット(消防車)の前後を入れ替えて上物を交換してオンスロート(コンバットトレーラー)とかどんな発想だ。
これらの玩具はいずれも過去商品のリデコ、リカラーで、ビースト戦士も(サイバトロンモード扱いで)ビークルに変形する。
【余談】
この機構は元々、『
ダイアクロン』の「自在合体シリーズ」として開発されていた物で当時は開発中途段階の物だった。TFに流用されたのはTF自体ダイアクロンを前身の1つとしているためだが、前述の通り商品化前の開発段階に留まっていた物である為、正規の流用品扱いされておらずノーカウントされるケースも有る。
『トランスフォーマーレガシー』にて、スタントロンが再リメイクされるが、劇中イメージの再現がメインでスクランブル合体はオミット。それどころか両腕に関しては入れ替えできなくなっている。
その分原作の再現度や単体の満足度(特にモーターマスター)はユナイトウォーリアーズ以上のものとなっているが…
追記、修正は胴体か両手両脚それぞれに変形できる人にお願いします。
- カーロボットが別名の同デザインでスーパーリンクが同名の別デザインだったか -- 名無しさん (2020-12-30 02:50:36)
- 可能であれば、各ビークル形態の記載もお願いしたいです。 -- 名無しさん (2020-12-30 03:50:43)
- ↑作成者です。夜までに編集無かったら追加しときます -- 名無しさん (2020-12-30 13:11:23)
- スパリンの3人も欲しいな -- 名無しさん (2020-12-30 18:18:08)
- ↑2ありがとうございます。↑3の者です。うろ覚えなりに、いろいろ思い出すことができました。 -- 名無しさん (2020-12-30 22:27:10)
- そっか、プレダキングはスクランブル合体じゃなかったか・・・ -- 名無しさん (2021-07-12 11:07:35)
- キュウレンオーは30年くらいタカラから遅れたんだよな。 -- 名無しさん (2024-12-07 15:56:29)
最終更新:2024年12月07日 15:56