グルーシャ(ポケモン)

登録日:2022/12/10 (土曜日) 23:32:00
更新日:2025/01/31 Fri 02:16:34
所要時間:約 13 分で読めます







雪山は 危険だ 簡単に 人生のコースを 狂わせる

ポケモン勝負も 同じ

……いつだって 慣れ始めが 一番 恐ろしい



出典:ポケットモンスター、56話『リコVSチリ!バトルの先に』、
2023年4月14日から放送中。
OLM、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon


グルーシャ』とは、ゲーム『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の登場人物である。



概要

パルデア地方のナッペ山にあるナッペ山ジムのジムリーダーを務める男性。年齢は不明だが外見からして二十代くらいか。
こおりタイプ使いで、キャッチコピーは『絶対零度トリック』*1

なお、本作ではグルーシャのみが街中にジムを構えていない。ならどこにあるのかというと険しい雪山の頂上付近というかなりの辺境。こんなとこに学生を行かせていいのか?
雪山深くにあるためジムの受付には雪山登山用グッズフル装備の登山客しかおらず、ジムが実質的な休憩所の機能も兼ねていると思われる。

一応こんな場所でもポケモンセンターはある。
……が、ポケモンセンターの外観変更に伴い、ポケセンおねえさんやショップ店員はまともな壁もない野晒しも同然のポケモンセンターで防寒装備なしで立ちっぱなしの仕事をする羽目になるという、歴代でも随一の過酷な環境での勤務を強いられることになってしまった。
一応ポケモンセンターの敷地内は野生ポケモンが一切入ってこれないため*2、何らかの技術で環境は整えている可能性はあるが。
ともあれ、こんな辺境ではあるが試合中は何処からともなく観客が現れる。

かつてはパルデア地方開催の大会で6大会連続王者という輝かしい成績と、世界ランク2位を誇るプロのスノーボーダーだったが、不慮の事故により現在は引退している。
そのため、今作のジムリーダーで兼業しているかどうかがはっきりしていない唯一のキャラ。
また行動する際は相棒であるアルクジラがとことこ彼の後を付いていく。


容姿

分厚いセーターとマフラーを着込み口元は隠れているが、テラスタル発動時の反動でチラッと見える。青いグラデーションの入った水色の髪に、淡い黄色のハイライト、水色の瞳、長い睫毛が特徴的。
ゴツい防寒着に隠れて見えにくいがその素顔は中性的な顔立ちの美男子。つまり男性である。
イケメン度合いでいえばチリと双璧を為す今作の美麗イケメンの筆頭格
一見すると女性にも見えるため、公式サイトを見てないと騙される可能性もある。誰が言ったかグレイシア♂の擬人化」(なのだが、アニメやゲームなどの媒体でのCVは低音の男声である)。

事故で現役を引退はこそしたが普通に歩ける辺り、日常生活には問題無い程度には回復している模様。テラスタル発動時にオーブが放つエネルギーの反動にも耐えられているので、足腰にも重い後遺症が無いようなのは幸いというべきか。
だがの恐怖とは、心は克服できたとしても体が覚えてしまうものなので、いわゆるイップスめいたものと思われていた。


人物

一人称は「ぼく」
二人称は「あんた」だが、パルデアポケモンリーグトップチャンピオンのオモダカなどの目上に対しては「さん」付け。

過去の挫折経験からか基本ちょっと斜に構えたような態度を取っており、主人公に対する言動は皮肉屋っぽく若干辛辣気味。
また何かに否定的な態度を示すときには「サムい」と表現する。

「最強のジムリーダー」としての経歴から多くの挑戦者を屠ってきたようで、戦う際は
  • 「ぼくも仕事だから悪く思わないで」
  • 「ぼくは止めたからね 打ちひしがれても知らない」
  • 「踏み外せばすぐに奈落だ」
  • 「いつだって絶望は隣りあわせ。……震えながら眠って」
と一見するとこちらを見下しているような辛辣な言動が目立つ。
だが、よくよく台詞を聴くと「失敗しなかった時」から「失敗して転落してしまった時」へと移り変わるのは一瞬のことなのだ、という挫折の怖さを親切心でひたすら説いているだけで、決して陰湿で冷徹な人物ではなく寧ろ優しい性格と言える。
彼の忠告はほぼ間違いなく実体験からの経験則であろう。個人的感情としては若い挑戦者を倒すのは気乗りしないらしい。
だが、夢を諦めてしまった複雑な背景や心境と、やや口下手な側面が相まって冷めた印象を与えがちなのがネック。

当初は自分に負けるだろうと思い込んでいたが主人公が勝つと評価が一転。
「逆境をものともせず未来を切り開く熱意…!昔の自分を思い出すよ……」と主人公の熱に打たれたかのような反応を一瞬見せ、ついにその実力を認めてくれる。
ちなみに勝利後の写真撮影に対しては「そういうのはサムいから普通に嫌なんだけど」と言い、全くと言っていいほど乗り気ではない。
だが自分を倒した記念ということで特別に応じてくれ、戸惑い気味な表情を浮かべながらも結局一緒に写ってはくれる。この時の表情はかなりあざとい。

総じて基本的に明るく前向きな傾向にある(※約一名を除く)といえるパルデア地方のジムリーダー達の中では、異端と言っていいレベルでバックボーンやメンタルがやたらと重い。

なおアカデミーの図書館では、彼が現役だったころのスポーツ雑誌の記事を読める。
このころは希望に満ち溢れた熱血寄りの性格だったようで、

ぼくに 勝てるやつが いたら いつでも 挑戦 受けて立つぜ!

という若干イキリ気味の生意気の入った挑発的な口調でライバル達を煽り、やる気を燃え上がらせていた。
この発言の2週間後にナッペ山での大会があったため、そこで起きた事故により引退してしまったと思われる。

とはいえジムリーダーとしての台詞も暗に自分を「圧倒的な力を持つ存在」として扱っており、良くも悪くも自信家なところは怪我の一件があっても変わっていない。
現実を知り夢を打ち砕かれても直自分というものを信じられるのが、グルーシャという男の強さなのだろう。



ジムテスト

ライドポケモンを使ってナッペ山に作られた専用コースを滑り降りる「雪山滑り」
規定タイム以内のゴールが目的だが、コースにはスキー競技よろしくチェックポイントがあり、ここを通らないとタイムにペナルティが入る。
とはいえチェックポイント自体は大きいので、注意して進めば良い。
ちなみに、今作の8個のジムで唯一ポケモンバトルの発生機会が無いジムテストである。

ジムクリア後はタイムアタックに挑戦できるミニゲームとして遊ぶことができるようになる。


手持ちポケモン



雪のように 冷たい 現実を 教えてあげるよ


正規ルートにおけるジムテストでは、ラストの8番目に相当。
マップの紹介文でも「パルデア地方最強のジムリーダー」とされており、手持ちのレベルは文句なしでジムリーダーの中では最大。
また関連して、今作から氷天候は「あられ」ではなく「ゆき」に名称が変更
継続ダメージが無くなった代わりに、こおりタイプの防御を上げる仕様になったため、その恩恵を生かしてパーティ全体が割とタフになっている。
おまけに戦う場所が雪山という関係で、フィールドの自然現象変化で高確率で自動的に天候が「ゆき」になるため、
実質霰パ構築のような状態になっている。

戦闘では
  • メタわざこそ無いが「おいかぜ」で後衛をサポートしてくるモスノウ
  • じしん」と「アクアジェット」でほのおタイプ対策を施したツンベアー
  • 『あついしぼう』でほのお技のダメージを軽減させて「アクアブレイク」を決めてくるハルクジラ
といった具合できっちり弱点への対策を施している。
とはいえラウドボーンならばテラスタルで強化した「フレアソング」でモスノウとツンベアーを蹴散らしながらとくこうを上げる事で、『あついしぼう』もおかまいなしでハルクジラとチルタリスを粉砕し4タテを狙う事も可能。ただし、ラウドボーンはすばやさが低めである点には注意しよう。

勝負と 雪山は 似てるんだ
あっという間に 姿を 変える

切り札はチルタリス。何気に全ジムリーダーの中では唯一わざが4種類揃っているポケモン。
開幕のテラスタルでこおりタイプ化させ、テラスタルボーナス付き「れいとうビーム」を打ってくる他、「りゅうのはどう」「ムーンフォース」「ぼうふう」といった広い範囲をカバーする高威力のサブウェポンで武装している。

ただし、わざ構成ははがねタイプへの対策が薄いという隙があるため、戦いが苦しいと思ったらこのタイプを用意すると楽。
ぶっちゃけ、こおり単タイプに変化する都合、耐性面が貧弱になる上、チルタリスの特攻は70と低く決定力不足なので低レベルでも弱点を突かれなければ等倍ゴリ押しでもどうにかなったりする。
特に特性『どしょく』のミミズズは相手の攻撃技をほとんど半減以下にできる*3のでおススメ。

勝利するとジムバッジ:こおりと「アイススピナー」のわざマシンが入手できる。その後は「若い芽を摘まなくて済む」という心理的プレッシャーから解放されたのか、初めて優しい笑顔を浮かべて主人公を見送ってくれる。


サムいの 嫌じゃなかったら またおいで…… それじゃ






余談

  • 名前の由来はロシア語で梨を意味する「груша」。こおりタイプ使いなので英語で氷河を意味する「glacier」もかかっているか?

  • グルーシャがスノーボーダーを引退した時期は明かされていないが、少なくともおじさんNPCが「きみ(主人公)ぐらいの年の子供はグルーシャの現役時代を知らない」と判断するぐらいには昔のようだ。つまり彼はああ見えて結構な年長者だという可能性がある
    とはいえ、この種目は小柄で体が軽いほうがかえって有利に働くとされるため、10代前半からプロ入りして活躍する選手たちは現実にもいるので、ピークが早かった(早すぎた)という見方もできるか。

  • バトル前のセリフは、そのときのナッペ山の天気次第で差分がある。

  • グルーシャはこおりタイプ使いのジムリーダーとしては歴代通算6人目だが、このタイプの使い手である男性ジムリーダーというくくりなら『X・Y』のウルップ以来3世代ぶり。
    また、『ブラック・ホワイト』に登場したハチクとは、エキスパートタイプや手持ちにツンベアーがいることのほか、かつては表舞台で活躍していたものの不慮の事故によりそのキャリアを道半ばで断たれてしまった、という共通点を持つ。*5
    その他、上述の通り実は割と年長かもしれないが、これまで登場したこおりタイプ使いの男性ジムリーダーたち、及びグルーシャ以外の今作の男性ジムリーダーたちは全員壮年以上と思われるので、その中では最年少とも考えられる。

  • 街中にジムを構えていないジムリーダーは、『金・銀・クリスタル』及び『ハートゴールド・ソウルシルバー』でのカツラ以来7世代23年ぶり2人目となる。
    ただ、カツラがふたご島にジムを移した理由は「グレン火山が噴火してグレンタウン自体が埋もれたからやむを得ず」とROM容量の都合による原因をうまいこと言って隠していた語られていたが、グルーシャの方の事情は言及が無いので不明。彼自身がジムをナッペ山に置くと決めたとは断定できないとはいえ、元スノーボーダーゆえやはり雪山から離れがたいのか?

  • 2023年現在、北海道は旭山動物園では同じ名前のマヌルネコが飼育されている。

  • アニメではリコの応用テストを担当。ハルクジラを機転により倒されるものの、チルタリスがニャローテを倒したことでリコは敗北、彼から不合格を言い渡され、さらにやり直しも認めないと言われてしまった。
    • このことには「頑張ったんだし、相手は初心者に近いから認めてやれよ」「アオキでも合格させたのにこれはないべ」などといった声が続出。一方で「サトシも同じ条件下みたいなものだった*6」「今までが甘かっただけじゃないか」という声も上がっており、きっぱりと意見が二分されている。
    • ところがオレンジアカデミーで起きたエクスプローラーズによる騒動の際にリコがオニキスに勝利する活躍を見ていたグルーシャは「君の力を見誤っていた」とお詫びをした上で先の評価を撤回し、合格とした。
      グルーシャ曰く「リコは誰かを守るために戦う時に本当の力を発揮出来る」とのことなので、そもそも1対1バトルでリコが実力を発揮しにくいタイプだったことが大きいのかもしれない。ただいつもいつも自分に有利なバトルができるわけではないので、自分に不利なバトルをどう自分のものにしていくのかはリコの大きな課題と言えるだろう。事実グルーシャもリコが無事修了した際にはそれを遠回しの言葉で伝えていた。この結果、グルーシャは非常に厳しい性格ではあるものの、他者が出した良い結果は逃さず真っ当に高評価するという、厳しさの中に優しさを持つ人物であると評価されるようになった。


追記・修正は雪山の恐ろしさを知る方にお願いします。
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最終更新:2025年01月31日 02:16
添付ファイル

*1 スノーボード競技ではいわゆる「技」のことを「トリック」というため、奇術やミステリー用語としてのそれではないと思われる。

*2 ギリギリの位置で引き付けて敷地内に誘導しようとしても姿が消える。

*3 等倍となるのはツンベアーの「アクアジェット」とハルクジラの「アクアブレイク」。どちらも物理技なので持ち前の防御の高さからそこまで痛手にはならない。

*4 ジムリーダーでは唯一。特別講師で他に該当するのはジニア、タイム、キハダ、ハッサクの教師4人。

*5 ハチクは紆余曲折を経て復帰したが

*6 ただしサトシもジムリーダーに勝利しなくてもバッジを貰った事や、負けても再挑戦出来たことは何度もある