S:Pリトルナイト(遊戯王OCG)

登録日:2023/12/15 Fri 23:42:48
更新日:2025/04/13 Sun 19:59:33
所要時間:約 6 分で読めます




《S:Pリトルナイト》とは、遊戯王OCGのカードである。
初出は2023年7月22日発売のカードパック12期第2弾「AGE OF OVERLORD」。

《S:Pリトルナイト》
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リンク・効果モンスター
リンク2/闇属性/戦士族/攻1600
【リンクマーカー:左/右】
効果モンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが融合・S・X・Lモンスターのいずれかを素材としてL召喚した場合、自分か相手のフィールド・墓地のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを除外する。
このターン、自分のモンスターは直接攻撃できない。
(2):相手の効果が発動した時、自分フィールドのモンスターを含むフィールドの表側表示モンスター2体を対象として発動できる。
そのモンスター2体をエンドフェイズまで除外する。


概要

軽装の忍者のような装いをした少女のモンスター。
特定のカテゴリにこそ属していないものの、そのかわいらしい絵柄と、一目でわかる使い勝手の良さで発売直後から話題となった。

まず召喚条件、「効果モンスター2体」 以上。
トークンなどを使用できないだけの極めて緩い条件である。
もっとも、(1)の効果の都合上、実質的にはもう一段階縛りがあるという見方もできるが。

(1)はリンク召喚時にカードを除外する効果。
条件としてEXデッキのモンスターを素材とする必要があるため、一見重い条件に見える。
しかしLモンスターが範囲に含まれているため、《リンクリボー》などのリンク1を展開に組み込めるデッキなら、普通のリンク2を出すカード消費でこれを適用できる。
簡易融合》などを採用したデッキや、(特に一時的な)コントロール奪取を扱うデッキも良い。
それ以外でも、複数枚のカードを使っていても効果が使い切りだったりして「雑に素材にしても惜しくない」というケースは現代では多く、それらをこのカードに繋げる選択肢を持てることは珍しくない。

「自分or相手」の「フィールドor墓地」のカードを「種類を問わず」除外するため、単純に除外先の選択肢が広い。
もちろん基本的には相手のカードを除外する。
この場合は、相手ターン中にL召喚して妨害の形をとれるとなお良い。

自分のカードを除外するとすれば、【サンダー・ドラゴン】【相剣】などの除外関連効果のトリガーとして利用することになる。

ただし、そのターン直接攻撃が一切できなくなるというデメリットがある。
一気にゲームを終わらせるのは諦めざるを得ず、盤面の優位を取る形で動くことになる。
痛手にはなりえるが決して致命的ではないため、大きく評価を下げる要因とはなっていない。
この効果に気軽に繋げられるようなデッキは多くの場合アド取り・制圧能力が整っていることも一因だろう。
また、相手ターンならこのデメリットは全く関係ないため、その点でも相手ターンで出す運用が強い。

(2)は、自分と相手のモンスターを一定期間だけ除外する効果。
受動的かつトリガーの効果を無効にはできないものの、条件そのものとしては「緩い」と呼んで差し支えない条件ではある。
主に以下の用途で使用される。

  • 自分の《S:Pリトルナイト》と相手のモンスターを除外
一番普通の使用方法。
《S:Pリトルナイト》は特段場に維持したいカードではないため、自分の損失を抑えて効果を使うための除外先として都合がいい。
戻った後は再度(2)の効果を使用でき、継続的に運用ができる。
また、戻ってきた後はリンクマーカーがメインモンスターゾーンに向くため、後のP召喚とL召喚に繋げやすい。
一方相手の立場では、鍵となるモンスターであれば1ターンでも失えば筋書きが狂うため、普通に除去されたのとそこまで変わらない損害となりうる。

  • 《S:Pリトルナイト》以外の、自分のモンスターを除外
除去目的では無くとも、コンボに繋げるという明確な想定があればこちらも有効。
例えば、相手の除去効果にチェーンして発動することで自分のモンスターを除去から守ることができる。
かの【チェーンビート】のギミックを、様々なデッキで再現できるようになる。
他には《フルール・ド・バロネス》《ファイアウォール・ドラゴン》などの「フィールドに存在する限り一度しか使えない効果」の再発動、
何らかの理由で効果が無効になったモンスターを除外し効果を有効にして戻すなどの用途が挙げられる。

  • 実質的な効果無効
この(2)は相手の効果発動を無効にしないものの、「効果を処理するときに、そのモンスターがフィールドにいないといけない」場合は不発にできる。
要するに幽鬼うさぎと同じような使用方法である。

ちなみに《サクリファイス》などの「モンスターを装備カード扱いにする」場合は通用しない。
確かに装備効果に対して《S:Pリトルナイト》の(2)を発動すれば相手モンスターを不在にできるが、その場合「装備対象が不明」ということで装備効果を受けたモンスターが墓地に送られてしまう。

運用法

上で挙げていない内容で、このカードの他の利用方法は以下の通り。

  • 「フィールドを離れた時」というトリガーのモンスター効果を発動する
緩い素材条件と(2)の一時除外を、《地縛神 Aslla piscu》《輪廻天狗》等のフィールドを離れた時に発動できる効果のトリガーとして無理なく使用できる。
《S:Pリトルナイト》自体が汎用性が高いため、「フィールドから退かしたいがために○○を使う」などのデッキスロット圧迫を回避できる。

  • 除外状態から特殊召喚させる
虚空海竜リヴァイエール》などの除外状態のモンスターを特殊召喚させる効果と合わせることで、展開手段にもなり得る。
例えば(1)の効果で、自分の墓地のモンスターを除外した後に繋げれば、実質的な蘇生手段になりえる。
除外モンスターを相手が再利用する恐れがある場合も、《深淵の神獣ディス・パテル》《TG グレイヴ・ブラスター》などで奪い取ることで阻止できる。

  • 妨害を受けた先の妥協点
増殖するG》などの手札誘発で相手から妨害を貰った時の妥協点としても有効。
いくら本来の筋書きを諦めるにしても、何も妨害能力がない無い盤面で相手に出番を渡せば敗北に直結しかねない。
そのため妥協しても「少ない動きで出せる」かつ「相手に大きな被害を与えられる」モンスターを立たせる必要がある。
そこでこのカードは《No.41 泥睡魔獣バグースカ》と共に、その有力候補となっている。
さすがに1体で盤面を任せられるほどではないが、それでも複数回、そして相手ターンにも1回は相手のカードを除外できるため、妥協点としては十分であろう。

このカードと相性が良い1枚。
リンク2+素材1体でリンク2を出し直す手順となってしまうためやや非効率的に見えるが、(1)の条件に繋ぐ方法としては悪くはない。
何といっても相手ターンでL召喚を行うことで(1)の除外効果を相手ターンに使用できるのが最大の利点。
これにより対象耐性やカウンター効果を立たせられる前に発動し、確実に妨害を通すことが可能。
また《I:Pマスカレーナ》を素材にすることで破壊耐性を得、効果発動前に破壊効果で渋々退場という事態を回避できる。
ただし《S:Pリトルナイト》自身を(2)の効果で除外した場合、フィールドに戻った後は《I:Pマスカレーナ》の破壊耐性が失われる点は注意。

元々「《I:Pマスカレーナ》で相手ターン中にL召喚して除去する」用途としては《トロイメア・ユニコーン》が以前から存在していた。
デッキバウンスで「フィールドから離れた」という条件を満たさせないこと、相互リンク状態であれば手札交換もできる点は《トロイメア・ユニコーン》の利点。
一方で《S:Pリトルナイト》はそもそもの手札コストが不要、さらに(2)の効果で二段構えの妨害が可能という優位点が存在する。

評価

まとめると、このカードの長所は以下の通り
  • 煩わしい条件や制約が無く、大半のデッキで機能する
  • 効果の応用性と利便性が高く、場面を選ばす活躍できる
  • 一手間かかるとはいえ、リンク2ながら2つの効果でアドを取ることができる

(1)の条件の関係で純粋なリンク2としては特殊な使用感となるカードだが、
リンク召喚軸のデッキではリンク1を絡める難度が低くなりやすく、他の召喚方法主体のデッキでは「素材としてEXデッキのモンスターが必要だが、それ相応にカードパワーが高い」という性質が良い方向に働きやすい。

そのためこのカードは汎用性を買われ「採用しないなら相応の理由が求められる」とまで評価されている。
「相手を破壊することしかできないカード」などと異なり、できることと機会が幅広いというのが何よりの理由になる。

その汎用性の高さから、EXデッキからの特殊召喚に制限がかかる【クシャトリラ】などのデッキでも採用されている。
前述の通り、本命の筋書きに失敗した時の保険としての意味合いがあるため。

一応このカードにも、以下の通り欠点が存在する。

……とはいえこれらはどんな除外関連カード・EXデッキのモンスターにも言える至極当たり前なことであり、たかがリンク2のモンスターカードへの評価を落とすようなものではない。

12期はインフレが大きく加速したものの、その環境下で結果を残した優秀なリンクモンスターである。

余談

カードとしての有用性はもちろんだが、イラストの人物が明らかに《S-Force 乱破小夜丸》であることも大きな話題となった。
前弾のカード《リトル・オポジション》のイラストにて、《S-Force ナイトチェイサー》から《I:Pマスカレーナ》を庇うように立ちふさがっていた「姿が隠れた《S-Force 乱破小夜丸》らしき人物」の正体がこのカードだった、という種明かしであった。

この《リトル・オポジション》のイラスト、加えて「S:P」というカード名が「『S』-Forceに対して『あっかんべー(:P)』」とも読めることから
何らかの理由で【S-Force】から離反した模様。
後に遊戯王マスターデュエルにて登場した《S-Force ナイトチェイサー》のアイコンの説明文にて「不気味に輝くモノアイに捉えられたターゲットは、『運び屋』であろうと、『抜け忍』であろうと、捕縛されるまで逃れられない。」とあり、『運び屋』は《I:Pマスカレーナ》で『抜け忍』は《S:Pリトルナイト》の事を指し示していると推測されるため、完全にS-Forceから離反して《S-Force ナイトチェイサー》の執行対象になっているのが判明した。
よりによってアイドル枠+展開の要を失ったS-Forceの立場はどっちだ


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最終更新:2025年04月13日 19:59