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雅(彼岸島)

登録日:2026/06/27 Sat 17:36:59
更新日:2026/08/08 Sat 03:08:06
所要時間:約 28 分で読める項目などこの世にはいっぱいある




(みやび)は、漫画「彼岸島」の登場人物。


概要


吸血鬼のリーダーにして、ほぼ全ての吸血鬼から神のごとく崇拝される存在。主人公である宮本明にとっては最大の宿敵。
吸血鬼軍団の始祖である事から、主に作中外のメディアにおいて「マスターバンパイア」とも称される。



プロフィール


身長:186cm
体重:不明
特技:鉄扇
好きなこと:人間に苦しみを与えること
嫌いなこと:人間が喜ぶこと
誕生日:9月5日*1
演:山本耕史(映画)/栗原類(テレビドラマ)



外見


白髪と赤黒く染まった瞳、額に影を落とした表情が特徴の男。不老の存在である吸血鬼ゆえに、数百年を生きた現在でも若々しい容姿を保っている。
編み笠と着物を身に着けた他の吸血鬼とは違い、タキシードを好んで着用する。この衣装にはこだわりがあるのか、画面に登場する時はタキシードを着こんでいるか、そうでなければ全裸である。
普段はそのタキシードに隠れてわかりにくいが、肉体は筋骨隆々。その外見に恥じない…どころではないパワーを秘めている(後述)。



性格・人物像


冷酷非情で傲岸不遜。人間を深く憎悪しており、女子供であっても一切の容赦なく手にかける。明からは「自分勝手でナルシストな単なる殺人鬼」と評された事も。
それでいて、力を得るために日本軍を利用したり、利用価値のある人間(宮本篤・明や、邪鬼使いの才能があった田中ナオトなど)ならば迎え入れる狡猾さや柔軟さも持ち合わせている。

明との戦いを心から楽しむ武人然とした面がある一方、他人の婚約者を目の前で慰み者にしたり、女性を犯した後に頭から食べてしまう*2など好色かつ悪辣。
部下にも武人(斧神、金剛、姑獲鳥など)と変態(太郎の主人、まり子、金剛の片割れなど)が目立つので、なんというか吸血鬼の総大将にして総決算みたいな男である。

邪鬼使いの育成を自分の屋敷で行ったり、斧神が手に負えなかった邪鬼・満腹爺の封じ込めに協力したりと意外と面倒見は良い。
自身に「髪の色」が原因で差別された過去があるからか、誰からも笑いものにされるような容姿だったまり子の事も他の者と同様に扱っており、外見を理由に評価を歪めない公正な面もある。

実力主義者でもあるが、そこらにいるような普通の吸血鬼を粛清するような厳しさはなく、割と普通に接している*3
どちらかといえば才ある吸血鬼に試練を課し、更に強く鍛え上げる事を好んでいる節がある*4
他ならぬ雅自身が死を賭した生体実験を経て現在の力を得た事も、この趣向に影響しているのかもしれない。

本心かどうかは不明だが、腹心である斧神に対しては「病気のない世界」が自身の理想であると語っていたらしい。
ただし、それを実現する手段はすべての人間を吸血鬼にする事であり、斧神からそれを聞かされた明は「吸血鬼化自体が病気じゃねェか」と即座に拒絶している。



統治能力


吸血鬼軍の発足初期から必需品である人間の血の確保に取り組んでおり、日本本土から人間を定期的・かつ秘密裏に誘い出す手法を確立(後述)。
後の「48日後…」では、雅の統治下にない吸血鬼は自分で血を確保する必要に迫られており、それが原因で日本各地が弱肉強食の無法地帯と化してしまった。
同じく「48日後…」において、雅が去った後の彼岸島に残った吸血鬼たちは、内戦を繰り返す山賊のような集団に落ちぶれている。
これらと比べると雅軍ははるかに統制が取れた集団であり、雅がカリスマ性だけのトップではなく、組織運営能力にも優れている事がうかがえる。

組織内では、主に混血種(アマルガム)邪鬼(オニ)使いを幹部級として抜擢。
アマルガムの斧神金剛は自身の片腕とし、まり子は自身の研究施設である五重塔の三階に住まわせ「二階に来た者はすべて好きにしていい」という特権を与えていた。
斧神や金剛に比べれば地位は劣るものの、邪鬼使いにも各地の集落の長の役割を与え優遇している。
「48日後…」では選抜した5名のアマルガムに息子の称号を与え、斧神と金剛に代わる組織の新たな幹部に加えている。



反乱分子への対応


組織の絶対的トップゆえに内部から命を狙われる事も多いが、そういった企てを起こす反乱分子の懐柔にも長けている。

元々彼岸島の抵抗組織の一員だった村田(後の斧神)は吸血鬼化した後も雅の命を狙い続けたが、雅はそんな村田と対話を繰り返し、ついには忠誠心を抱かせるまでに至っている。

吸血鬼化した後の宮本篤には、大量の人間の血と引き換えに自分の命令を遂行する契約を押し付ける。
篤は婚約者である涼子を含む多くの善良な吸血鬼に慕われており、彼女らの邪鬼化を免れるため雅の命令に従わざるを得なかった。

息子の一人・豹丸は凶暴な性格で雅にも戦いを挑んだが、雅は彼を叩きのめしたうえで「五年後にまた私を殺しに来い」と告げて放免した。
その後の豹丸はある経緯から知性に目覚め、吸血鬼軍でも指折りの統治者・為政者として覚醒する。
雅がどこまで先を見越していたのかはわからないが、豹丸を処分しなかったのは結果的に正解だったといえる。

このように、対話・強迫・実力行使を状況に応じて使い分ける柔軟さも雅の特徴にして長所である。
過去にはギロチンを使って反乱分子を処刑していた事も描写されているので、単に甘いだけではなく相手の利用価値・将来性を見定めた上で判断を下している事もわかる。
ただし篤には501ワクチン関係で思いっきり寝首を掻かれたので、この判断が常に適切であるとは限らない。



雅が実行した計画


うっかりさんな所もあるが雅は頭脳明晰な男でもあり、作中では配下の吸血鬼を縦横に駆使して様々な計画を実行している。

女狩り

「彼岸島で女性を捕える」→「その女性に、彼岸島を偶然訪れていた人間の免許証の情報から関係者を探し出させて、彼岸島に誘導する」→
「その人間の免許証からも同じように関係者を探させ、また別の人間を彼岸島に誘導する」…といった段取りで、人間を定期的・継続的に補充する計画。
人間を使うのは吸血鬼自身が動く事によって正体が発覚するリスクを避けるためであり、女性を使うのはその方が相手が油断するという考えによるものである。

誘導役の女性は同行する吸血鬼に厳しく監視されるため、自由に行動する余地はほとんどない。
それでも何らかの方法で女性が裏切りを働いた場合、人質として捕らえられている女性の身内は容赦なく処刑される。

この「女狩り」に使う免許証の中に冷が宮本篤の免許証を潜り込ませ、絶望からの救いを求めて明と接触した事で「彼岸島」の物語は動き出した。

邪鬼(オニ)使いの育成

邪鬼と化した吸血鬼の関係者に特別な訓練を行い、邪鬼を操れるエリート吸血鬼「邪鬼使い」に育て上げる計画。
その訓練は危険を伴うが、邪鬼が暴れた場合は雅に救援を乞う手筈が整っているため、失敗=即死のアマルガム化よりはまだ安全。
「48日後…」では強制的に邪鬼使いにされた幼子である「星の邪鬼使い」が登場するが、これに雅が関与しているかどうかは不明。

吸血鬼の混血種(アマルガム)

吸血鬼の体内に他の吸血鬼の血液を取り入れるとほとんどは爆散するが、1%以下の低確率でアマルガムとして覚醒し、場合によっては邪鬼を上回る力を得る。
かつては雅自身も乗り越えたこの混血実験を他の吸血鬼にも行い、強力な部下を増やす事を目的とした計画。

「彼岸島」では、信用できる幹部20名ほどにアマルガム化を提案。はじめに挑戦した3名は死亡したが、村田は成功し「斧神」の名を与えられ雅の片腕となる。
それとは別に、まり子と金剛もアマルガム化に成功。これらの実験に使用した血液は吸血鬼一族の生き残りである青山龍ノ介(通称「師匠」)から採取したもので、注射器を使って体内に血を入れている。

「48日後…」では、東都ドームに数万人の志願者を集め、数百人のアマルガムを一気に誕生させた。
直後にこの数百人を殺し合わせ、残った五人を「息子」として吸血鬼軍の幹部に据えている。
この時はコップ一杯の血液を全員に配布し、一斉に飲ませている。誰の血を使ったかは不明。邪鬼化した師匠の遺体から絞ったのかもしれない。

吸血鬼ウィルスを保持した蚊の培養

詳細は蚊の育成施設(彼岸島)を参照。
雅の計画の中でも最大級の規模を誇り、そして最大級の成功を収めた。

血に頼らず生きる方法の研究

厳密には斧神が「我々は目下研究中」と語っただけだが、斧神の性格を考えると雅に無許可でそんな研究を行うとは考えにくい。
研究の詳細は一切不明。そして通算100巻を越えた2026年現在も吸血鬼たちは元気に人間の血をすすっており、血に頼らない方法が完成した様子はない。

都市の構築

「雅の息子」たち5人に部下と権限を与え、東京各地に都市(集落)を作らせる計画。
姑獲鳥は上野に力の都市を、蟲の王は国会議事堂に地下都市を、豹丸はお台場に血の楽園を、卑弥呼は浅草に邪馬台国を建てた(2026年時点では、最後の息子が作った集落は未登場)。
なお姑獲鳥の勢力圏はインフラ整備などロクにされておらず、蟲の王の地下都市は彼の生み出した変異体だらけの人外魔境、
豹丸の都市運営は適当、邪馬台国は女盗賊の集団と見紛うような有様…といった感じであり、完成した都市はどこもかしこもマトモとは言いがたいものだった
(血の楽園は豹丸がある人間を食べたことで優れた知性を獲得して以降、急速に発展。それに続き、邪馬台国も同じような経緯で治安が改善する)



戦闘能力・特殊能力


作中最強クラスの実力の持ち主。

純粋な腕力・格闘能力だけでも並の吸血鬼の比ではなく、怪力を誇る鮫島を組み伏せるくらいは朝飯前。
本気を出せば巨木をまるごと引き抜き「丸太」と称して振り回した挙句にぶん投げる事さえ可能。

得意武器は、自身のシンボルでもある陰陽の模様を入れた二振りの鉄扇
軽く投擲しただけでも邪鬼の首を落とすほどに切れ味は鋭く、両手に鉄扇を携えての猛攻は明でさえ防戦一方に回るほど。
割と大きく(広げると頭二つ分ほど)耐久力も高いため、つばぜり合いや防御にも使える。ただ、明には力尽くで破壊された事がある。

鋭く生えた牙と大きく開く口を用いて、人間の頭部をまるごと嚙み千切る事もできる。
しかし明には初見で反撃されており、以後の明との戦いではまったく使用しなくなったので、実力者に通じるような攻撃手段ではないのかもしれない。
その後も抵抗する力を持たない人間をバリバリと食べてしまう場面は多く、インパクトは絶大。

爪にも十分な殺傷能力があり、人間の肉程度ならたやすく引き裂く。
強敵相手であっても不意打ちの手段としては有用であり、宮本篤に切り付けられた瞬間に反撃で彼の顔に傷をつけ、返り血を浴びせて強引にウィルスに感染させた事も。
その他、人間の血を嗅ぎ分ける優れた嗅覚、血を吸う事で人間を麻痺させる能力など一般的な吸血鬼が持つ特性も一通り有している。

このように身体能力だけ見ても十分に強い雅だが、脳波干渉(サイコジャック)という能力によってすべての邪鬼を手足のように自在に操る事も可能。
ただ邪鬼の中にも「操りづらい邪鬼」というのがいるらしく、そういった邪鬼は剥製にしたうえで五重塔の最上階にコレクションしている。
人間相手にも使用できるが、遠隔で洗脳できる邪鬼と違って洗脳が難しいのか、作中では直接頭に触れた状態から能力を発動して洗脳を行っている。
また、脳波干渉は周囲の人間に激しい耳鳴りをもたらすので、単純に広範囲の全体攻撃としても強力である。

そして雅を無敵たらしめているのが、アマルガム化によって獲得した不死の力
腕を切断された程度なら瞬時に組織同士が結合し、首を斬られても胴体を両断されても死なず、挙句の果てには全身がバラバラに砕けた状態からも再生する。
その再生能力の限界は、雅本人ですら把握できていないという。



弱点


雅の無敵と言える体質を突破する手段は、かつて日本軍が雅に対する抑止力として作成した「501ワクチン」のみ。
501ワクチンは一時的に血液を分離する事で吸血鬼の体質を変化させ、血の混合によって得た能力を失わせる効果がある。
つまり501ワクチンを撃ち込まれた雅は「脳波干渉能力や不死の力が失われた、通常より生命力がはるかに強い吸血鬼」にまで弱体化する。
しかし、雅にワクチンを注入する事自体が困難である上、ワクチンそのものに殺傷力はない(別の手段を用意する必要がある)ため、ワクチンさえあれば雅を簡単に殺せるという訳ではない。




作中での経歴


誕生と半生

数百年前、彼岸島の吸血鬼一族の長男として生を受ける。
年齢は不明だが、雅自身は「四百年も前、江戸時代と呼ばれていた頃からこの国の人間どもを見てきた」と語っており、文献にも江戸時代の頃から雅が存在していた事が記されている。


家族構成や一族の規模も詳しくは分かっていないが、雅を含む吸血鬼一族で撮影した写真には11人ほどの吸血鬼の姿が確認できる。
弟が一人いたことも判明しているが、この弟は吸血病を発症するタイミングが遅かったため雅と違って老人の姿をしている。
この弟の人物像や末路も一切不明だが、雅は「彼岸島」で「兄弟の情などくだらん感情だ」、「48日後…」で「兄弟愛など虫唾が走る」と吐き捨てており、雅と弟の関係が良いものでなかった事は想像に難くない。

一族としては異端の白い髪を持ち、その特異体質ゆえに一族からは忌み嫌われていたという。
「村人と仲良くやってる一族の連中が大嫌い」とも発言しており、島民との関係も察せられる。
ただ雅が一族の者や島民から直接迫害されている描写はないため、実際どのような扱いを受けていたのかははっきりしない部分も多い。

このあたりの過去は冷を通じて明もある程度把握しており、彼は自分の「人間なんか大嫌いだった」思春期の頃の感情を思い出し
雅が「あの頃のまま孤立してしまったもう一人の自分に見える時がある」と語った事がある。

日本軍との遭遇

是非 私をその 最強の兵士にしていただけないでしょうか?

昭和17年(西暦1942年)10月、五十嵐一郎中佐率いる日本軍が彼岸島に上陸。「徴兵」の名目で吸血鬼一族を対象とした生体実験を開始する。
協力を拒んだ吸血鬼一族は日本軍によって一人残らず蜂の巣にされ、半死半生の状態で研究施設に収容された。
雅は屋根の上でこの一部始終を眺めていたが、一族が鎮圧された後に自ら日本軍の前に姿を現し、わざわざ自分から捕虜となっている。

「最強の兵士」を作るために苛烈な実験を繰り返す中、五十嵐は吸血鬼同士の血液を混ぜ合わせると増殖反応が起こる事を、そして生物の体内でこの反応を起こせば強力な力を得る事を発見する。
吸血鬼一族にとって同族の血を取り入れることは禁忌(タブー)であり、一族の者からは激しい抗議を受けたが「お国のため」という名目に取りつかれた五十嵐は吸血鬼を使った混血実験を決行。

実験体となった吸血鬼はことごとくが破裂して死亡し、計画は頓挫するかと思われたが、爆散した一族の遺体から状況を察した雅は自ら実験体となる事を志願する。
五十嵐は他の吸血鬼よりもはるかに生命力が強い雅に可能性を感じつつも、その底知れない雰囲気に恐怖を感じており、万が一に備えて血液分離剤「501ワクチン」を作成。
これを用いて雅を威圧しつつ、昭和18年の8月27日、ついに雅を対象とした混血実験を開始した。

吸血鬼ウィルス

私は 人間が嫌いなんだよ だからすべての人間を吸血鬼にしてやる

肉体の一部を破裂させながらも、雅は混血実験に耐えきった。それどころか不死の力を覚醒させ、失った左目を難なく再生させた。
この結果に高揚した五十嵐は実験を継続し、合計三人分の吸血鬼の血液を雅に注入するが、この判断が取り返しのつかない事態を招く。
混合された血液は雅の体内で何らかの作用を起こし…吸血鬼病の病原体は、人間を吸血鬼に変えてしまう「吸血鬼ウィルス」へと変異した。
この事実を理解した雅は、すべての人間*6を吸血鬼へと変えるべく行動を開始する。

ウィルスによる混乱の末に部下が全滅した五十嵐だったが、501ワクチンの駆使、そして吸血鬼一族の生き残りである青山龍ノ介との共闘により辛くも雅を制圧。
龍ノ介は雅を殺す事を主張したが、五十嵐は「研究の唯一の成果」である雅を殺したくないと考え、冷凍室への封印を提案した。
最終的には五十嵐案が採用され、龍ノ介は雅の封印が解かれないように見張りを行う事とし、五十嵐は本部への報告書を書き上げるために研究所へと戻った。

この後、五十嵐は研究所に戻ったタイミングで再び米軍の爆撃を受け、地下に閉じ込められた末に吸血鬼ウィルスに感染*7
龍ノ介は30年間孤独な見張りの役目を果たした後、典子という少女との出会いを経て自分が人間の姿となっていた事を知り、人里へと降りていく。
そして、雅が封印されていた冷凍室はいつしか吸血鬼を祀る神社の一部となり…彼岸島の「吸血鬼信仰」文化は、伝説へと変化していった。

復活

時は流れ、平成12年(西暦2000年)。彼岸島出身の女性である涼子と恋仲になった宮本篤は、結婚の許しを得るために涼子の両親の元へと赴く。
そこで涼子の父から提示された結婚の条件は、村はずれの神社に赤飯を納めるというものだった。
「吸血鬼が封印されている」という伝承を恐れる彼岸島の住民は、その神社の中に入る事はない。しかし結婚を許されてどこか浮ついていた篤は、好奇心のままに神社の奥へと踏み入ってしまった。

57年の時を経てもなお生きていた雅は外の気配を察し「誤って閉じ込められてしまったんだ」「もう2日も何も食べてない」と妙にリアルな設定をでっち上げて篤を誘導。
ついに冷凍庫からの脱出を果たし、篤たちの手で病院へと搬送される。

こうして復活を遂げた雅は不死の力を発揮するまでもなく彼岸島の住民を殺戮、あるいは吸血鬼へと変えていった。
生き残った住民は抵抗組織(レジスタンス)を組織し、龍ノ介や合流した篤を中心に吸血鬼との戦いを続けるも抵抗は局所的なものにとどまる。
状況が大きく変化するのはそれから2年後の平成14年。篤の弟である宮本明が彼岸島を訪れ、篤と再会してからの事となる。

明との邂逅

ようこそ 私の島へ

「有能な人間」として宮本篤に目をつけていた雅は、彼を部下にするチャンスを待ち望んでいた。
自身の屋敷に忍び込んだ明や篤と対峙した雅は、邪鬼を利用して明を執拗に攻撃する事で篤に隙を生じさせ、脳波干渉で篤を支配。
しかし明の必死の抵抗によって篤は正気に戻り、そのまま一行は脱走。追討の果て、篤は決死の覚悟で雅に突撃し、二人は共に濁流に飲み込まれる。

水中での死闘では篤に後れを取って首を斬られた雅だが、その程度で絶命する訳もなく、脱出を図った明・篤らを水中型の邪鬼を利用して襲撃。
彼らを殺す事には失敗したものの、彼岸島からの脱出(=吸血鬼に関する情報の漏洩)を防ぐ事には成功した。

この一連の戦いよりも前には明の幼なじみの一人・ポンを亡者*8へと貶め「役立たずはやっぱり何をやっても役立たずなんだな」と嘲笑した。
それまで明にとって「吸血鬼軍のボス」でしかなかった雅はこの一件によって「友人の仇」となり、明は雅を殺す力をつけるため、険しい修行に臨む事を決意する。

八か月後

八か月の修行を重ね、見違えるように強くなった明と雪山で激突。明の強さを「兄と同等かそれ以上」と認め、この時からその名を記憶するようになる。
とはいえこの時点ではまだ篤の方を欲していたらしく、吸血によって麻痺させた明を囮として篤を翻弄し、ついには彼を吸血鬼化させてしまった。
しかし篤は吸血鬼化の症状に苦しみながらも雅の動きを抑え込み、最終的に二人は戦いの振動によって発生した雪崩の中に姿を消す。

「不死の力」が現在のように描写されるようになったのはこの時期から。初期の段階でも首を斬られても死なない異様な生命力は発揮していたが、切られた部位が即座に再生するような描写は確認できない。
この「不死の力」の謎を解く事、そしてそれを突破する手段を獲得する事が「彼岸島」中盤の主軸となる。

501ワクチンを巡って

雪崩からは当然の如く生還。同じく生きていた篤の事を、婚約者である涼子を利用して命令に逆らえない手駒へと変えてしまう*9
篤には501ワクチンの破壊を指示するが、様々な経緯を経て篤は死亡し、ワクチンは明の手に。
しかも雅は篤の報告を信用し「501ワクチンは破壊された」と誤認していた。この勘違いが原因で、後に雅は人生最大の危機を迎えることになる。

明への誘い

吸血鬼軍と抵抗勢力がついに全面戦争に突入した矢先、雅は人質を利用して明を密かに誘い出し、自分の部下になる事を提案する。
当然交渉は決裂し、雅は出口を塞ぎつつ「一太刀でも私の体に当てられたらここを通してやる」という条件をつけて戦闘を開始。
太刀が重くなった」と明の成長を認めながらも軽々とあしらうが、ここで仲間への思いを胸に奮起した明の太刀が急に重くなり(2回目)、雅の鉄扇を破壊。見事に一太刀を入れられる。
約束通り明を解放する雅だがこれは恩情などではなく、明に地獄を味わわせ、復讐の鬼となった彼を自身の下僕とするための手順に過ぎなかった。

VSケンちゃん

明との戦いからしばらく後、散歩がてら寄ってみた吸血鬼の村で囚われている人間の女性を物色。
折しもこの時の村には、明の幼馴染であるユキを含む女性たちを救うため、同じく明の親友であるケンちゃんが侵入していた。
ケンの陽動作戦を一瞬で看破した後は彼を捕えて余興の道具にするが、そこでユキを守るためにケンが取った決死の行動に冷や汗を流して驚愕
「雑魚のくせに私の思いどおりに動かんとは!」と吐き散らし、凄まじい表情で激昂する。
ただこれだけ怒り狂いながらも部下ではなく壁に対して怒りをぶつけており、その後は声を荒げつつも部下の言葉にきちんと耳を貸している。

五重の塔

ケンちゃんの一件が終わった後は同じ村にある五重の塔にこもっていたが、親友の死に怒った明が塔に攻め込んでくる。
塔の上層で明が強化ガラスをぶち破った際は思わず呆気にとられた顔をしてしまう。どうもこの時期の雅様は顔芸が目立つ。

その後の明との戦いでは「また太刀が重くなったな」とその成長を評価。
全体として明を圧倒しつつも仕留めきれず、戦いは五重塔の最上階にもつれ込む。そこで逃げ腰になった明を執拗に追跡するが…





なんだここは 滑るぞ!!


!? これはさっき私が斬った明の血か!!


貴様!! わざと私をここへ!!





明が作った血だまりにいいように誘導され、足を滑らせた挙句に五重塔から蹴り落とされて地面に激突、粉々に四散する。
だいぶ情けないシーンだが、それはともかく不死の力を持つ雅はこれでも絶命せず、わずかな時間で砕けた肉体をつなぎ合わせてしまう。

復活した雅は力尽きた明をひっ捕らえ、五重の塔の屋根裏にある研究室に移動。吸血鬼ウィルスを保持した蚊を見せつけ、それを使って日本全土を吸血鬼の島とする計画を明へと暴露する。
更に「お前が吸血鬼になるならば住んでいた街には蚊を放たない」という交換条件を明に突きつけるが、明は誘いに乗るフリをして近づき、切り札の501ワクチンを使用。
がああああ ぎああああ」だの「アギャーー!!」だの奇声を上げて苦しむ羽目になる雅だが、ワクチンを散々ぶち込まれた上に顕微鏡を頭に叩き落されながらもしぶとく生存。
ついにはワクチンの効果が切れるまで戦いを長引かせ、今度こそ明を制圧し磔にしてしまう。

明の殺し方を思案する雅だが、磔にされてなお戦意を失わない彼を見て「思えば明との戦いはいつも奇想天外で面白かった」とその価値を再確認。
ここで戦いを終わらせるのはもったいないと考え、蚊を本土にばらまくまでの47日間の間に自分を殺してみろと明に挑戦状を突きつけてその場を後にする。

最後の47日間

前線に出て戦う場面はほとんどなくなるが、邪鬼化した師匠に引導を渡したり、501ワクチンの保管庫に邪鬼・牛乳女を放つよう命じたりと随所で登場。
明との戦闘は物語の最終局面、最後の蚊の育成施設での出来事となる。この時の雅は「前よりもさらに太刀が重くなった」とその成長を称賛するが、今回はほとんど戦う事なく明を地下へと叩き落した。

地下に住まう邪鬼・椿との死闘を制し、壁を伝って雅の元に戻った明だが、満身創痍かつまともな武器もない状態で敵うわけもなくあっさりと制圧されてしまう。
万策尽きてなお抵抗を諦めない明だが、雅は明を宙づりにしたまま鉄扇を構え…


そうだ!! それが絶望の顔だ!!


彼の右腕を切断し、そのまま明を地下深くへと再び転落させる。
こうして抵抗組織は敗北し、明は生死不明、吸血鬼軍が散布した蚊によって日本は崩壊…という、この上なく絶望的な状況の中「最後の47日間」は完結した。

48日後…

全体として出番が少なくなった一方で、絵面で攻めてくるパターンがやたら多くなった。
  • 変な神輿に乗って日本を行脚
  • どこからかふらりとやってきて、池の水を手ですくって飲んでそのまま帰っていく
  • クソみてェな旗
  • 雅の息子の部下に過ぎないハンディ・ハンディと同じサイズで描かれたあげくバカ呼ばわりされる
  • 明が雅軍との戦いを想像したシーンで、明側の戦力が多種多様なのに対して雅軍が雅以外全員モブ
  • ページをめくったら大ゴマで紅茶を飲んでいる雅
  • 雅様ショップを作られる
  • テーマソングを作られる*10
などなど。
鮫島精二を容赦なく喰らったり、まだ小学生の山本勝次の腕を躊躇なく切断したりと恐るべき存在としての描写も多々あるので、面白いだけの男になったというわけではない。

日本本土に来てからは何かと退屈を訴える事が多くなった。燃え尽き症候群…?
ただ、息子の一人である早苗に対して「お前の変化がとても楽しみだよ」と語った三話後に「私には何も楽しい事がない」と口走ったりもしているため、適当に喋っている可能性も否定できない。
明の事は現在でも「私を唯一楽しませてくれる男」と評価しており、再会・再戦を強く望んでいるが、50巻をとうに越えたというのに未だに会える気配がない(邪馬台国でニアミスはしている)。

どこまで雅が関与しているのかは不明だが、雅が支配してからの日本には以下のような変化が生じている。
  • 元号を「平成」から「吸血」に変更(場面によっては「吸血鬼」とも表記される)
  • 従来の硬貨・紙幣にかわり、雅の顔が刻印・印刷された雅コインや紙幣を流通させる*11
  • 各地の集落にクソみてェな旗を設置
  • 東京外環自動車道を改造し、東京全土を丸ごと壁で囲って要塞化する

文明社会を破壊した張本人として憎まれているかと思いきやそんな事もなく、下手をすれば本土の吸血鬼は彼岸島の吸血鬼以上に雅を崇拝・信仰している。
浅草(邪馬台国)では特にその傾向が強く、雅様の教会を建てたり、雅様のグッズやイメージソングを作ったり、誕生日にパーティーを開いたりしている。



余談



  • 表紙の雅様
無印の第1巻、最後の47日間の第1巻と最終巻、通算百巻目にあたる48日後…の51巻など、重要なタイミングの表紙に何度も抜擢されている。
ファンブックである「彼岸島 手引書」の増補版である「無限大」の表紙を飾るのもリアルタッチで描かれた雅である。

  • あいつは要注意だ
第1話での初登場時は篤を仏像の影から不意打ちし、右腕を負傷させている。
辛くも逃げ延びた篤は雅の事を思い出し「あいつは要注意だ」と呟くが、この時点で篤にとって雅は婚約者の仇であり、その後幾度も命を奪う事に失敗した因縁の相手。
明らかに「あいつは要注意だ」で済まされる相手ではないため、時々ネタにされる。

  • デスミヤビ
一度完全に切り離された肉体を接続しなおすかどうかは雅自身の意思で決められるらしく、切断された首を八か月も胸元につけっぱなしにしていた時期がある。
この時は自分の胴体に生首を押し込み、首の切断面から頭部を復活させてみせた

  • 足元がお留守
「なんだここは 滑るぞ!!」のシーンが有名だが、それより二十巻ほど前にも篤にすっ転ばされた事がある。
ただ、不死の力がなければ即死の可能性も高かった「滑るぞ!!」とは違い、こちらは戦いを一瞬停滞させる程度の効果しか発揮できなかった。

  • マサ
漫画本編では「(みやび)」とルビが降られているので誤読する恐れはないのだが、匿名掲示板なんかでは「マサ」と表記されてしまう事が多い。
「まさ」も人名としてはメジャーだからか、あんまり振る舞いが「みやび」ではないからか、「まささま」が回文になって収まりがいいからか…理由はよくわからない。



ハ 追記・修正を見るのは何年ぶりだろう

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最終更新:2026年08月08日 03:08

*1 「48日後…」445話「ビバ ヨーロッパ」で判明。

*2 作中では「そういう噂がある」というだけではっきり描写はされていないが、行った後と思しき場面はある。

*3 ポンを吸血鬼化させても役に立たないとみて邪鬼にしようと試みたり、戦力にならない吸血鬼を放逐したりはしているので、無制限に誰でも受け入れる訳ではない。

*4 「彼岸島」では信用できる幹部たちにアマルガム化を提案する、「48日後…」では大量のアマルガムを5人にまで選抜するなど。

*5 実験の副作用で、人間に近い姿となっていた時期の青山龍ノ介は例外。

*6 正確には、一部の人間のみは家畜として生き残らせるつもりでいた。

*7 「本部に伝える報告書」が完成したのか、および本部に送られたのかは現在のところ不明。

*8 邪鬼化に失敗した吸血鬼の成れの果て。雅はポンを邪鬼化して戦力にする予定だったが、亡者になってしまったので放逐した。

*9 涼子、および彼女の回復に力を貸してくれた村の吸血鬼には戦う力がなく、篤が雅の命令に従って血を稼がなければ邪鬼化による全滅を免れない状況だった。

*10 雅様♪ 雅様♪ 扇子ゆらゆら とろけちゃう♪

*11 崩壊した日本では商売が成立する地域自体が少ないため、雅コインを使える場所は東京の一部集落に限定される。