登録日:2010/08/29 Sun 17:22:30
更新日:2025/03/18 Tue 19:31:58
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仮面ライダー・
左翔太郎は私立探偵である。
ジョーカーメモリの力を使い、仮面ライダージョーカーとなって、風都の平和のため、一人でも戦い抜くのだ!
どうやら“切り札”は、常に俺んとこに来るようだぜ……。
カチッ\ジョーカー!/
……変身……!
\ジョーカー!/
お前は…!?
“仮面ライダー……ジョーカー”……!
概要
見た目は文字通り、
仮面ライダーWのジョーカーが両側になっただけ。真っ黒なW。
『
仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』では、ディケイドがWの
ファイナルフォームライドを使用したことで、
Wが二人に分裂してそれぞれサイクロンサイクロンとジョーカージョーカーになったが、当然ながらそのジョーカージョーカーとはほぼ同じ外見で、
違いは変身アイテム及び変身後のベルトがダブルドライバーではなくロストドライバーであることと、
Wの左右の境目であるセンターライン〈セントラル・パーテーション〉が消えている(一応あるが、黒く塗りつぶされている)ことだけ。
出番は極めて少なく、TVシリーズの
最終回と劇場版3作のみだが、
- 黒いボディに真っ赤な目、元が「半分こ要素以外はシンプル」なことによるシンプルなデザイン
- 純粋な徒手空拳による近接格闘スタイル
- さらに必殺技が伝統的なライダーキックとライダーパンチ
- ある種のロマンがあるスペック設定
- 初登場した『運命のガイアメモリ』における鮮烈なインパクト
スペック
身長:195cm
体重:85kg
パンチ力:1.25t
キック力:3.0t
ジャンプ力:30.0m
走力:100mを6.2秒
ガイアメモリ2本分のパワーを有する本来のWに比べるとジョーカーメモリ単体分の性能しかなく、基本スペックはWの半分程度しかない上、
ロストドライバーにはガイアメモリが一つしか装填できないため、Wの醍醐味であるハーフチェンジも当然行えない。
仮面ライダーサイクロンもそうだが、言ってしまえば「Wの劣化版」に等しい。
しかし、ロストドライバーには
使用出来るメモリが1本だけである分、メモリの能力が限界を超えて発揮されるという利点があり、翔太郎とジョーカーメモリの適合率の高さから本来有する
「身体能力と潜在能力を極限まで引き出す」という特性がフルに発揮。
生身で
ドーパントに立ち向かう事も多い翔太郎の格闘能力が極限まで向上し、局面によってはW以上の立ち回りを見せる。
更に
漫画『
風都探偵』ではジョーカーメモリになんと
所有者の感情によってメモリの性能の上限を超えるという性質がある事が判明した。なんなら出力が1/3に落ちたメモリを使っても使い手のメンタル次第で「“たったの”1/3”しか“下がらないので幹部クラスのドーパントが相手でも互角以上に渡り合える」という実例まで出てきてしまった。
これによりジョーカーが基礎スペック上はWの半分しかないはずなのに劇中で次々とドーパントを撃破出来た理由も、翔太郎のメンタルがジョーカーメモリの性能を引き出していたから十分な力を発揮できていた、と説明出来るようになった。
だが、この性質は
変身者の精神状態が戦闘力に直結するという欠点の裏返しでもある。
精神攻撃系の能力を持つ敵には基本的に不利であり、特に
テラー・ドーパントは恐怖を克服できない状態では
天敵中の天敵。シュラウドが打倒テラーのために
照井竜を推したのも納得出来る。
ただし、もしも変身者がテラーの精神干渉波が齎す恐怖を跳ね除けるほどの精神力を発揮した場合、テラー本体が格闘戦能力には長けていない事もあって、今度は
あべこべにテラーの天敵となりうる可能性も持っている。
このように、
ポーカーにて自身の持ち手次第では最強の役を出せるジョーカーのように、本人の精神力次第で極端なまでに相性が変化する性質は、まさに「切り札」を体現していると言えるだろう。
総じて
単純なカタログスペックでは戦闘力を測れないライダーであり、劇中での活躍やフィリップ不在の1年間風都を守り抜けた実績も納得である。
⚪︎TV本編
- アノマロカリス・ドーパント(3体目)
- コックローチ・ドーパント(2体目)
⚪︎劇場版
- ヒート・ドーパント
- メタル・ドーパント
- 仮面ライダーBLACK RX(バロンとの同時攻撃)
技
ジョーカーの技名は、Wの技名を考えている翔太郎が付けたにしてはだいぶシンプルだが、元々Wの技名は二人の呼吸を合わせるための合図でしかないので、一人で変身しているジョーカーは本来言う必要自体なかったりする。
しかし、ジョーカーメモリの特性と翔太郎の性格からして、この行為が威力を上げている可能性もある。
翔太郎役の桐山漣氏が『仮面ライダーBLACK』のファンだったため、彼が出したアイデアが元で生まれたライダーであり、
それもあってBLACKの
オマージュ要素が所々に盛り込まれており、効果音もBLACKのものが使われている。
ちなみに完全に偶然なのだが、BLACKは昭和ライダー11号であり、Wは平成ライダー11号という意外な繋がりが。
また、2人変身であったヒーローが1人変身となるのは、同じく2人変身の『
ウルトラマンエース』にて、
一時的に1人になった本作と違い、南夕子の離脱以降、
北斗星司が1人でエースに変身することになったことへの
オマージュである。
ジョーカーメモリのマキシマムドライブ。拳に紫のエネルギーを溜めて殴り飛ばす。
メタル・ドーパント戦のクロスカウンター、アノマロカリス・ドーパント戦の右ストレート、ヤミー戦の跳びかかって殴りつけるタイプなど、シンプル故にバリエーションも様々。
ジョーカーメモリのマキシマムドライブ。右足に紫のエネルギーを込めて放つ渾身の飛び蹴り。
対ヒート・ドーパント戦で発動した際は、エフェクトが紫色である事以外は
仮面ライダーBLACKの「
ライダーキック」そっくりだが、キックの軌道がやや異なる。
その後も飛び上がってキックの流れこそ同じだが、やや細部が異なるキックを披露している。
【仮面ライダージョーカー】
画像出典:劇場版『仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ』より
劇場版「W・ゴセイジャー」製作委員会 ©2009 石ノ森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
変身のポーズは以下の流れ。
① 右手にロストドライバー、左手にジョーカーメモリを持ってガイアウィスパーを起動
② ロストドライバーを装着。メモリを装填し右拳を体の前で力強く握りしめる
③ 変身と同時に拳を開く右指の形がJになっているのがポイント。一応同じJポーズがある
仮面ライダーJと構えは少し違う。
この変身ポーズは桐山氏が考案し、採用されたものであり、上述のJとの違いに拘っていた。
製作発表会にて桐山氏の口から登場する事が明かされ、後に雑誌でも写真付きで取り上げられていたのでサプライズライダーではない。
また、番組開始当初から「翔太郎は単独変身するのでは」と予想されていたり、「『MOVIE大戦2010』のジョーカージョーカーの使い回し」と揶揄されたり、
「敵である
NEVERがWと同じメモリでドーパントになるのだからジョーカー・ドーパントの方が見たい」などと、翔太郎ファン以外からはあまり注目されていなかった。
予告編でも
ライダーキックを放つ姿が見受けられ、これに拍車を掛けていたと思われる。
しかし、映画公開後は今までのマイナスを大きくプラスに傾けた人気ライダーと化した。
見事なまでの掌返しである。
ハーフボイルドで三枚目で甘い性格の翔太郎が切り札たる所以を全て詰め込んだ圧巻の変身シーン及びそれまでの
伏線、
劇中での不利な流れすらぶった切る怒涛の活躍と戦闘シーンに涙を零したファンも多い。
だが、エターナルとの戦闘でロストドライバーは破損し、T2ジョーカーメモリも盗られ、ラストでメモリブレイクされ粉々に。
そのため出番も劇場版のみと思われた。
いくぜ、フィリップ……
カチッ\ジョーカー!/
……いけねぇ、また癖だ……。変身。
俺は仮面ライダー……ジョーカー。
TV本編では、最終決戦にて消滅した
フィリップから、遺言と共にこれから1人で戦う相棒へのプレゼントとしてロストドライバーを託された翔太郎は、
それ以降はロストドライバーと通常のジョーカーメモリを使い、仮面ライダーWではなく仮面ライダージョーカーとして風都を守っていた……
と、
「相棒を失った後、その想いを背負って戦う」姿として
最終回に登場することになった。
ちなみに、T2ジョーカーメモリで変身した場合と通常のジョーカーメモリで変身した場合で能力に違いがあるかは不明。
【ロストドライバー】
ダブルドライバーのスロットを右のみにした一人用のドライバー。スカルやエターナルと同じタイプ。
最初は探偵事務所に突然現れた死んだはずのスカルから託された物を使用した。
その後、スカルから託されたドライバーは破損して使えなくなったものの、
上述の通りフィリップから遺言と共に新たなロストドライバーを託されて以降は、彼から渡されたものを使用している。
『
風都探偵』でも稼働可能な状態で現存しているが、「戦闘はWで事足りる」「翔太郎が1人で無茶をしないように」というフィリップの判断でどこかに隠されている(そのせいで喧嘩になり、敵を逃してしまう遠因になったが……)。
【メモリ】
◆T2ジョーカーメモリ
AからZまでの26本の〈T2ガイアメモリ〉のうちの一つであり、仮面ライダーWのメモリの一つ〈ジョーカーメモリ〉のT2バージョン。
そしてNEVERによる回収を免れた唯一のメモリ。まさに最後の切り札。
エターナルがT2メモリを奪う際に起きた爆発で鳴海探偵事務所に落下。天井に穴をぶち開け、雨漏りを発生させた。
Wへの変身が封じられ、フィリップが捕らわれ、事務所内に乱入したヒート・ドーパントにより絶体絶命の危機に見舞われた中、
「人とメモリは惹かれあう」という言葉を思い出した翔太郎が『切り札』として使うことになる。
この一連の流れは、伏線も相まって非常に熱い。
ここに来てたのか…!何て運命だ…。最後の一つが、こいつだったなんて…!
…風都中で捜索されたT2メモリの中で唯一見つからず、惹かれあった翔太郎のピンチに発見されたジョーカー。
翔太郎同様にカッコつけで、キメるときはキメるメモリである。
◆ジョーカーメモリ
画像出典:「DETAIL OF HEROES 仮面ライダーW特写写真集 KIRIFUDA」より
株式会社ホビージャパン『宇宙船』編集部刊行
©2009 石ノ森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
仮面ライダーW用の6本のメモリの一つ。『切札の記憶』を宿したボディサイド用の黒いメモリ。
近接格闘戦に優れ、どのソウルメモリと組み合わせてもそれなりに使えるなどバランスが良い。
また、翔太郎との適合率が最も高いことから、暴走の危険がある〈ファングメモリ〉を抑えられる唯一のメモリでもある。
ロストドライバーに挿すことで仮面ライダージョーカーに変身する。
翔太郎の代名詞のようなメモリ。
『MOVIE大戦MEGAMAX』では
財団Xの研究員達を相手取りダブルドライバーを装着するも、
フィリップがせんべい汁の検索にハマっていたため、仕方なくロストドライバーを取り出して単独でジョーカーに変身。
マスカレイド・ドーパント達を一蹴し、カマキリヤミーやカブトヤミーを圧倒する強さを見せた。
坂本浩一監督曰く「いつもの『MOVIE大戦』とは違う事をやりたかった」そうで、サプライズ的な登場に劇場では歓声があがったらしい。
『仮面ライダー大戦』でもフィリップが不在のためにロストドライバーでジョーカーに変身。
カメコ…もとい、
駆紋戒斗と共にBLACKと
仮面ライダーBLACK RXの相手を務めた。
この時、BLACKと対峙した翔太郎が変身前に
「黒のライダーか。あんたらとは何か近いものを感じるぜ……」と不敵に微笑むシーンがあるが、
これは翔太郎役の桐山氏のアドリブによるものである。
TV本編では最終回のみ登場したが、フィリップ消滅から復活までの1年間の間はジョーカーに変身していたという
裏設定があり、
桐山氏は空白を描く「仮面ライダーW RETURNS ジョーカー」を作りたいとのこと。
また、脚本の
三条陸氏も、既にVシネマで『
アクセル』『エターナル』、小説で「Z」及びサイクロンの回収が行われたためか、
ジョーカーのVシネマ製作を「最後の宿題」と呼んでいる(『W』登場ライダーの中で、単独タイトル作品がないのはジョーカーだけである)。
この宿題に手を付ける日はいつか来るのか。
《ジョーカージョーカー!! ジョージョーカジョーカジョーkジョーカー!!》
行くぜ……フィリップ。編集だ
カチッ\シュウセイ!/
――いっけね、また癖だ……
最終更新:2025年03月18日 19:31