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*奇々怪界あどばんす 【ききかいかいあどばんす】 |ジャンル|アクションシューティング| |対応機種|ゲームボーイアドバンス| |発売・開発元|アルトロン| |発売日|2001年10月5日| |価格|| //株式会社は入れなくていいです。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 SFC版の制作を担当したナツメ(現:ナツメアタリ)に代わり、アルトロンの製作によりゲームボーイアドバンス用ソフトとして開発された奇々怪界シリーズの新作。作風的には、初代AC版に回帰しており、数々のオマージュ要素を盛り込みつつサブウウェポン攻撃などの新要素を加味した作風となっている。~ これ以後、現在に至るまで奇々怪界の新作は製作されておらず、事実上のシリーズ最終作となっている((本作の後にPS2で新作が発表されたが制作中止となっている。))。 **ストーリー かつて神通力を宿した巫女に封じられた悪の大蛇ヤマタノオロチが復活した。~ そのことを察知した巫女・小夜ちゃんは、見習い巫女の美紀ちゃん、化け狸の魔奴化と共にヤマタノオロチを封じるべく旅立つのだった。 **ゲームシステム -初代AC版同様、道中に落ちている鍵を拾ってボス妖怪の待ち受ける部屋へ入り、ボスを倒すとステージクリアとなって次ステージへ進む。ライフなしの即死制+残規制。全7ステージ構成。~ 近接攻撃のお祓い棒と、ショット攻撃のお札を使い分けるのは従来作同様だが、本作では初代AC版のゲーム性を踏襲しているため、これ以外の攻撃方法や回避アクションは存在しない。 -キャラクター選択システム --本作では「小夜ちゃん」「美紀ちゃん」「魔奴化」の三人の誰を選ぶかによって、アイテム「紫のお札」を取ってショットをパワーアップさせた際の攻撃の特性が異なっており、ゲーム開始前に誰か1人を選んでゲームを進めていく。 -アイテム(お札) --&bold(){[青色のお札]}-ショットの飛距離が伸びる。下記の3種のお札と効果が併用される。 --&bold(){[黄色のお札]}-お札の連射速度が上がる。取るたびに速度が上がる。 --&bold(){[赤色のお札]}-お札が貫通弾になる。 --&bold(){[紫のお札]}-各キャラ固有のお札の特性に準じた効果が現れ、取る度に強化されていく。 ---黄色、赤色、紫のお札の効果は重複せず、別のお札を取ると効果が上書きされて消滅する。 -サブウェポン・その他アイテム --&bold(){[青の水晶玉]}-画面内の敵の動きを一定時間止める --&bold(){[黄色の水晶玉]}-画面内の全ての敵を殲滅する --&bold(){[鈴]}-取ると一定時間無敵になる。 --&bold(){[仁王剣]}-取ると仁王像が出現し、一定時間、近づいてきた敵を自動的に倒してくれる。 --&bold(){[お払い棒]}-1UPアイテム。特定の場所でお祓いすると出現する。 これらのアイテムは全て道中の灯篭・地蔵をお祓いする事で出現する。 **キャラクター -小夜ちゃん --シリーズでお馴染みの戦う巫女さん。復活したヤマタノオロチを再封印すべく立ち上がった。 ---お札の特性は&bold(){[爆風]}。お札で敵を撃った際に爆風が発生して周囲の敵を巻き込む。お札を重ねて取得すると爆風の範囲が広がっていく。 -美紀ちゃん -- 幼い頃に小夜ちゃんに助けられたことをきっかけに、見習い巫女として小夜ちゃんの下で働いている少女。 --お札の特性は&bold(){[拡散]}。枚数を取るごとに投げるお札の枚数が増え、扇状に広がっていく。 ---元はディスクシステム版『奇々怪界 怒涛編』で登場した、CMでタイアップした元アイドル伊藤美紀の名前を冠した色違いの2Pキャラクター「美紀ちゃん」がモデルである。 -魔奴化(まぬけ) --小夜ちゃんの大親友の化け狸。キャラクターデザインはSFC版に準じている。 ---お札の特性は&bold(){[追尾]}。木の葉を投げた後、相手を追いかける追尾性の木の葉が自動的に発射される。追尾性の木の葉の数が増えていく。 **評価点 -AC版に原点回帰した作風。 --ステージ構成はAC版に準じた神社の境内の他、雪原、森の中、渓谷などSFC版同様バラエティーに飛んでいるが、どれも壁で区切られた通路を通り鍵を拾ってボスのいるエリアへ到達…という流れがAC版を完全に踏襲している。 --自機のドットデザインや、歩行、お祓い攻撃といったアクションの数々や、AC版から続投している敵妖怪たちのデザインや攻撃パターン、、タイトル画面のデザイン等も、AC版からほぼそのまま受け継がれている。AC版をリアルタイムでプレイした人にはとても懐かしく映るだろう。 --外観のみならずゲーム性自体も原点回帰しており、主人公のアクションはお祓い攻撃とショットのみと非常にシンプル。画面内に多数登場する敵を、限られた自機の可動範囲の中で上手く立ち回りつつ裁いていくという原作のゲーム性もしっかり継承している。 -和風を意識したBGMも質は良い。 --AC版やSFC版に比べると、派手さや印象の強さはそこまでではないが、各ステージの雰囲気に良くあっており、奇々怪界らしい和風の情緒感を損ねていない。 -簡単過ぎず、かといって難しすぎないちょうど良い難易度。 --AC版ほど高難度ではないが、かといって、全くもってぬるい……というわけでもなく、携帯機向けにちょうどいい塩梅の難度に作られている。 --敵を自動的に攻撃してくれるアイテムや無敵アイテムの追加など、今の時代に向けて追加された要素もちょうど良く作用している。 **難点 -AC版のゲーム性を踏襲しているため、自機の動きが遅めで、融通が利きにくい。 --この辺りは原作をプレイ済みで慣れている人であれば問題なく適応できるかも知れないが、プレイ経験のないプレイヤーや、SFCしか知らないプレイヤー、アクションゲーム初心者にはやや厳しく感じられるかもしれない。 -ボス妖怪のデザインと名称が没個性的。 --初代AC版では、水木しげるが創出した妖怪のユニークなデザインをモチーフにしつつ、ゲーム独自のコミカルかつ独特な味付けによるデフォルメとユニークな名称を与えられた個性的な妖怪たちが多かった。 --それに比べると、本作では「烏天狗」「酒天童子」など、実際の名称と外観をそのまま取り入れたデザインがほとんどで、従来作に比べるとやや没個性的。 -OP・EDデモが簡素。 --どのキャラを選んでも、1枚絵の背景やせりふは共通でキャラが違うだけ。 --そのあたりもアーケードゲーム的といえなくもないが、演出的にはSFC版を意識しているところも見受けられるので、奇々怪界というキャラの魅力も大きな要素のひとつだけに、もう少し凝ってくれてもよかったのではないだろうか。 **総評 携帯機で発売された本作は、SFC版にプラットフォームを移したことで複雑化の傾向があった操作形態から、AC版のシンプルな操作性とゲーム性に回帰しつつ、簡単過ぎず難しすぎない程よい難易度に調整されている。更に、AC版『奇々怪界』が内包していた純和風の世界観とデザイン性にも回帰したことで、新規ファンには新鮮に、古参ファンには懐かしい作風に仕上がった。 奇々怪界の世界に初めて触れるのであれば、高難度のAC版よりも気軽に楽しみ易いこちらから入ってみてはいかがだろうか。