下書きの記載に関するルールの変更について (24/5/26変更)
記事が完成するまでの間は最低でも週に1度は記事作成相談スレを確認するようにしてください。
記事作成依頼の判断は初稿者に委ねられますが、下書きが完成したと判断しても別の利用者が追記や修正を行うことも踏まえ、記事化依頼前にスレで意見が挙げられているか確認してください。
記事を直接投稿できるメンバーの方も、「記事下書きページを利用する場合は」性急な記事化は避け、スレを確認することを推奨します。
詳しくは利用法をご確認下さい。


記事下書き3

ゲーム記事や用語集項目など、Wikiコンテンツ作成時の下書き用ページです。ここにある記事は正式作成前の扱いのため、リンクの作成や修正依頼・要強化依頼の添付は禁止です。
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メンバー権限がない人は新規ページ作成ができないため、記事の作成は下書きページを経由する必要があります。
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権限がある人は下書きを経由せず直接ページを作成して構いませんが、以下の場合は下書きページの利用が推奨されます。

  • 記事内容の質に自信がない場合や、第三者によるチェックが欲しい場合
  • 有名作・話題作で編集合戦が頻発することが予想される、判定について揉める可能性が高い場合

加筆、修正、下書きを元にした新規記事の作成は自由です。ただし、 自分がプレイしたことのない作品の記事化は禁止 とします。
また「このWikiで扱う作品」及び「記事作成のガイドライン」を参照の上でお願いします。記事作成相談スレも活用してください。


「記事下書き」は用途別にページが分かれています。


利用法

  • 1. 記事を載せる。
    • 下書きは縦に並んでいますが、新しく下書きを載せるときは必ず最下部に追記してください(下書き作成日が古いものが下部に行くと削除期限日がわかり難くなるため)。
      また、編集が楽になるので記事の最初と最後にareaeditプラグインを付けることをお勧めします。
    • ここに載せた下書きは、初稿作成から1ヶ月が経過すると基本的に削除されます*1 記事の投稿時には、必ず記事冒頭に初稿作成日を記述して下さい。記述の無い場合、1か月より早く削除されてしまう可能性があります。
      事情により長期間更新できない場合、個人でバックアップを取る事をお勧めします。
      • その場合、初稿執筆者が不在の際に第三者が下書きに直接手を加えることもありますので、執筆に復帰する際は下書きの確認とスレでの相談を忘れずに行いましょう。
    • 新規記事の判定については基本的に初稿執筆者自身の判断に委ねられています。記事作成のガイドラインに則る限りは自由に付けて構いません。ただし記事作成後に異論が生じた場合、判定変更議論依頼が提出されることがあります
  • 2. 記事を完成させる。
    • 基本的に初稿執筆者が記事の完成に責任を持つようにしてください。 記事は大勢の手で完成させるものですが、下書きに投稿したからといって必ずしも他のユーザーの手が加わるとは限りません。未完成の記事を長期間放置するのは迷惑行為です。
    • もちろん一般記事同様に初稿作成者以外が編集を行うことも可能です。ただし、第三者が以下の事項を行う際は必ず記事作成相談スレに報告を入れてください。悪質な場合は規制されることがあります。
      • 下書きを削除もしくは移動する場合。
      • ゲーム記事の判定を変更する場合(未定のものに付与することも含む)。
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    • 記事が完成したら、作成する前に記事作成相談スレで意見や指摘が出ていないかを確認し、意見や指摘が出ている場合は、その意見や指摘を解消してから記事作成してください。
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      • 意見や指摘を無視して記事作成をした場合、自分では問題ないと思っていても「文章が簡素で内容が薄い」「文章が支離滅裂でわかりにくい」「他のサイト・Wikiからの無断転載」などの理由により、 記事化後すぐに修正依頼や要強化依頼が出されたり、記事化自体が見合わせとなる場合があります。
    • 記事が完成したと判断したら、好きなタイミングで記事を作成して構いません。新規記事作成は管理者とメンバーのみ行えるため、ログインIDを持っていない人は、記事にする際に『記事作成依頼所』で依頼してください。
      • なお、代理作成依頼によって作成された記事の内容に関する責任は執筆者・依頼者に帰結するものとし、代理作成者は責任を負いかねます
    • 記事内容によっては、単独記事として作成するよりも既存の記事への追記の方が良いと判断される場合もあります。
      なお、追記の場合はログインなしでも作業可能です。
      • 追記を想定して記事を作成する場合、下書きの冒頭に追記先の記事名を表記しておくのもいいでしょう。

注意点

  • 発売直後のゲームの記事を執筆したい場合、発売日から3か月経過していることが条件となります(3か月ルール)。
    • 移植版や、海外で先行発売された後に国内で発売された作品も、その発売日から3か月の経過を待つ必要があります。
  • 一度に投稿する下書きは一つとし、その下書きを完成させて記事化依頼してから次の下書きを投稿するようにしてください。
+ 下書き用テンプレート。書き方の詳細はテンプレのページを参照

contentsプラグイン(19行目)は必ずコメントアウト状態(先頭に「//」が付いたまま)で記載してください(記事作成時にコメントを外す)。
コメントアウトしない場合、全下書き項目の見出しが目次化されてしまいます。

↓↓↓ここからコピー↓↓↓
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#areaedit
初稿投稿日: yyyy/mm/dd 追記修正歓迎
*タイトル
【読み】
|ジャンル||~|
|対応機種||~|
|発売元||~|
|開発元||~|
|発売日| 年 月 日|~|
|定価|, 円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO: ()|~|
|廉価版| : 年 月 日/, 円|~|
|配信| : 年 月 日/ |~|
|備考| |~|
|判定| |~|
|ポイント| |~|
//----
//#contents(fromhere)
----
**概要
**あらすじ
**特徴
**評価点
**賛否両論点
**問題点
**総評
**余談
#areaedit(end)
↑↑↑ここまでコピー↑↑↑

一般的な編集の練習などは「サンドボックス」へどうぞ。



初稿投稿日: 2025/5/18 追記修正歓迎

都市伝説解体センター

【としでんせつかいたいせんたー】

ジャンル アドベンチャー

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション5
Windows(Steam)
Linux(Steam)*1
発売 集英社ゲームズ
開発 墓場文庫
発売日 2025年2月13日
定価(税10%込) パッケージ通常版: 3,740円
パッケージ限定版: 6,930円
ダウンロード版: 1,980円
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
ポイント オカルト✕SNSの現代ノベル
優れたピクセルアートと演出
ゲームとしての遊びはカジュアル寄り

概要

インディーゲームメーカーの墓場文庫が開発したタイトル。
本作の前身となる同メーカー開発の『和階堂真の事件簿』がGoogle Play Indie Games Festival 2021にて集英社ゲームクリエイターズ賞を受賞した縁から集英社がパブリッシングを務めている。

ストーリー

怪異、呪物、異界などの調査・解体を行う、都市伝説解体センター。
主人公の福来(ふくらい)あざみは、都市伝説解体センターのセンター長であり、
国内屈指の能力者である廻屋渉(めぐりやあゆむ)とともに、
“都市伝説”絡みの依頼を解決していくことになるが……。

(公式サイトSTORYより引用)

特徴・システム

  • 基本的なシステムは上記の『和階堂真の事件簿』シリーズがベースとなっている。
    • 2Dマップ内でプレイヤーは主人公のあざみを操作し、各人物との会話や特定の箇所を調べることで情報を集めることになる。
    • 必要な数の証言・証拠が集まればそれらを元に得た情報を整理することが可能となり、ストーリーが進行する。
    • 2Dマップ内ではあざみが眼鏡をかけると「念視」を発動し、現場の過去の痕跡を見ることができる。
    • 捜査は基本的にSNSでの情報集めから開始し、ゲーム中の架空のSNSツール上で気になる投稿の深掘りや絞り込み検索による状況把握を経て現地調査に移る。
  • 章仕立てになっており、各章はSNS捜査→現場での探索→SNS捜査…を繰り返してストーリーを進行する流れになっている。
    • SNS捜査では作中のSNSにて語られている事件に関するコメントを精査し、事件に関連する情報を導き出すためのキーワードを発見することでさらなる情報を入手できる。
      • SNS捜査中にも念視を使うことは可能で、進行に必要な特定の単語を見つけ出すことができる。
    • 現場での探索は概ね『和階堂』シリーズや一般的な推理アドベンチャーと同様、会話やオブジェクトの調査を重ねて、ある程度情報が集まるとそれを元に仮説を立てられるようになり、有力な説を導き出すことで進行する。
      • 十分な証拠を集めて推理の方向性が固まると、事件現場で起きた都市伝説の「特定」(扱っている事件が何の都市伝説にカテゴライズされるものなのかの判断)、および、実質的な事件解決にあたる「解体」が行える。
      • 「解体」後はその章のエピローグが綴られ、話に区切りがついた場面で幕引きとなり次章に続く。
  • 人物の関係や章のあらすじなどは調査メモに記録される。
    • 話題に上がった都市伝説についても記録され、都市伝説解体センターのキャラ「トシカイくん」による解説が記録される。

評価点

  • 登場人物のキャラがしっかりと立っている。
    • 純粋でかわいくも独特のシュールさも備えた主人公のあざみ、いかにもな胡散臭さを見せながらここぞという時に頼りになる廻屋、俗っぽさと裏の顔の両面があるジャスミンと、メインの三者それぞれが魅力的。
    • 関係性としても「騙されやすくふわふわとしたあざみを翻弄する廻屋」「そのあざみを一見冷たく突き放しながらもしっかりサポートするジャスミン」といった、異なるキャラクター性による掛け合いがハマっており、相関がゲームの面白さに寄与している。
    • 各章の登場人物も個性的だが過剰なキャラ付けをしすぎず、非現実的な存在にならないようになっている。
  • ドット絵を用いたビジュアル・各種演出がとても良い
    • 『和階堂』ではシンプルなビジュアルというコンセプトとは言えど物足りなさもあった美術面が大きく強化されている。
      • 前作では会話場面でも各登場人物の顔をフィールドでのドット絵を引き延ばしたものを使用していたため、各人の感情把握に難があった(そもそも誰が誰なのかが一目で分かりにくかった)が、本作では表情が明確に描かれるようになり、更に豊富な差分も用意され、そうした問題は解消された。
      • ゲーム全体で明度を抑えた色合いに統一されつつ、血や念視で見えるものに赤色を強調的に使うという特徴的な配色は本作でも踏襲されており、正体不明の物が強調されることでしっかりとしたホラー感がある。
      • イベントスチルやアニメーションも多用し、見せ場で効果的な演出を行うことで、本を読み進めるようなじわじわ進むテキストパートとの間でメリハリがついている。
      • そのため『和階堂』シリーズからの進化としても、あるいはアドベンチャーゲームのジャンル全般としても、演出面のレベルは高いといえる。
    • 特定、解体という一連の流れは「アイ・オープナー!」との決めゼリフと共に廻屋の精神世界のような背景で行われる。廻屋の変人的な振る舞いとオカルト・超現実感がないまぜとなった独特の雰囲気で進み、本作を象徴する場面となっている。
      • 作者曰く特撮の変身ポーズをヒントに考えた演出で、各話の「お約束」となると共に外連味が効いている。
    • 各章のラストでは主題歌「奇々解体」が流れつつ、その話での主要人物たちのその後が断章的に提示される。いわばテレビドラマのエンディングに近い手法であり、余韻を残しつつも次章への引きとなる終わり方をする印象的な演出となっている。
      • ここで描かれるごく短いシーンがいかにも暗示的な、この先どうなるのか気になる描写をちりばめているため、物語への期待感を大きく高めている。
  • 結末に向けて集束してゆくストーリー
    • 一見章ごとに都市伝説を特定し解体していくという1話完結作品と思わせて、それぞれの事件の裏には一本の大きいストーリーがあり、各章の出来事が結末に向けて繋がっている。
    • プレイ中に違和感を覚えるであろう箇所があるが、それこそがちゃんと結末及び「最後の真実」の伏線になっている。
  • リアリティのある生々しいSNS
    • ネットを取り扱う作品でたまにある失敗例として、作者のセンス・ネットの認識が一周遅れてて古さを感じてしまったり、既に寒くなったスラング等が出てきてしまい興ざめすることがあるが、本作は違和感がない2020年代のネット社会のそれとなっている。
      • 「現在は社会人の元・配信者」や「配信者自身が自らビジネスも行う」など個人の配信者が既に一般化された世界観で、作中のSNSの書き込みも往年の匿名掲示板のような独自文化に基づくムラ社会のようなものでなく、リテラシーが薄い若年層や陰謀論に傾倒気味の一般人などが書きこんでいるような現実に足ついたリアリティを感じさせる。
      • SNSの書き込みの中にはここに記述するのは憚られるような内容もあるが、あざみ・ジャスミンのツッコミや、双方のシュールなコメントで緩和しているため見てて不快になりすぎないように配慮もされている。
    • そして一見ただの情報収集に使うネットそのものが結末に向けた種蒔きとなっており、この点は構成の巧妙さを感じる。
  • 後述の様な問題点もあるが、システム部分ではベースの『和階堂』から改善されている。
    • 入手した情報をプレイヤーが手動でセットしなくても、一度聞けば自動で関連する情報も聞き出せるようになった。
      • また、『和階堂』では話を聞くたびにカーソル位置が一番上に戻ってしまったため、誤って同じ話を何度も聞いてしまうことになりがちだったが、本作では自動的に新しい選択肢にカーソルが合うようになっている。
    • 『和階堂』では聞き込みをしている最中に別のマップにも行けたり、話の展開であっちこっちに行ったりしたが、本作では基本的には勝手に場を離れられないようになり、進行が分かりやすくなった。
    • 情報整理の場面で『和階堂』ではまぎらわしい選択肢(解答とほぼ同義だが、進行上正答の前段階で取得した情報なので不正解扱いになるなど)も表示されていたが、本作では確定情報と明らかな間違い選択肢だけになった。

賛否両論点

  • 選択肢でのバッドエンドや特定のイベントの失敗分岐などがない
    • 一本道という問題だけではなく、システムに慣れていない序盤はともかくそれ以降はあざみや現場に来ない廻屋が致命傷を負わないことがメタ的に予想できてしまう。そのため、どんな凶悪な怪異や狂人が出てきても緊張感に欠けがち。
      • 都市伝説を題材としたゲームの場合、主人公自身が都市伝説になぞらえて悲惨な目に遭うバッドエンドが用意されている作品もあるため(流行り神シリーズなど)、そうした手法を取り入れる手はあったかもしれない。
    • もっともあまり選択肢次第の即死トラップを入れすぎてもテンポが悪くなる上に、変な選択肢を選んだ際のあざみのコメントに面白い物もあるので、ペナルティがない方向にしたのも一概に悪いとも言いにくい。
  • ゲームの難易度は実質なし。
    • PVなどを見ると推理ゲームのように思うかもしれないが実際はそうではなく、推理ゲームと思って買ったら違ったとの感想もある。
    • ゲームオーバーがないのは前述の通りだが、仮説を立てる場面では間違い続けていると正解以外の選択肢はどんどん消され、特定・解体場面等で間違えてもあざみと廻屋のかけあいがあるだけなので、初心者向けの救済措置と考えたとしても手厚すぎる。
      • 近年のゲームではこうした救済措置を使うかどうか選べるソフトもあるが、本作ではオン/オフ切り替え機能などもない。
    • 失敗分岐がないことを含め総当たりでどうにかなるため、インタラクティブな遊戯性のある作品ではなくあくまであざみ視点で読み進めるノベルゲームと言える。
      • そもそもかなり十分な手がかりを集めて初めて推理シーンに進行するので、普通にプレイしても9割方間違えることはない。
      • ゲームの評価とは離れるが、公式サイトや各種ストア等に「怪異を解き明かすミステリーアドベンチャー」と書かれているため、(当然物語の紹介としては正しいが)プレイヤー自身の発想で推理できるものと誤解を生んだ可能性は否めない。
  • 各章の展開は冒頭のSNS調査→現場検証→特定→解体…と大筋が同じで「お約束」的な流れになっているものの、ややマンネリも感じる側面もある。
    • 証拠をあと〇個集めたら進行する、一区切りついたらSNSを見てからまた仕事に取り掛かる…という流れが見えているため、探索中に突然のタイミングで予見不可能な事が発生してユーザー側の感情が振り回されることはない。
    • ただ最終章では「お約束」を踏まえた特殊演出が発生するので、この部分は好評。
  • 現場での情報収集時にはある程度順不同で攻略されることを許容しているため、発見済の要素について知らない体で会話するなど流れがおかしくなることがある。
    • もっとも作者の想定以外の進行以外許されないような雁字搦めのゲームよりは、こちらの方が遊びやすくはある。
+ ストーリー・設定面に関する重大なネタバレを含むので注意
  • 衝撃度は高いが無理もある「最後の真実」
    • 致命的なネタバレなので具体的な中身は記載しないが、物語の最後の最後で明らかになる真実については「完全に予想できなかった」「ショックで呆然とした」という旨の感想が見受けられ、多くの読者の予想を裏切ることに成功したとは言える。
    • 一方でその性質上「ここまでの物語が全部茶番ではないか」との感想も出る超展開でもあり、プレイ直後こそ衝撃はあれど、時間の経過に伴い「これはありなのか」と脚本の姿勢として疑問を抱いてしまうユーザーも存在する。
      • 後述の様な整合性を考えた時に無理も見受けられるため、黒幕の正体までは流れとして妥当だが大オチに関しては蛇足だとの意見もある。
  • オカルト要素について
    • 本作のストーリーの根幹として実はオカルト事件など存在しなかったというオチがあるのだが、一部には実際に超常現象が発生していると思しき箇所がある。
      • あくまで事件解決に関係ない部分ではあるし、「人為的な事件と思わせて実は超自然的な事件も発生していた」というのはオカルト物の鉄板要素でもある。物語の雰囲気づくりとして役立っており、その「全て解決されないこと自体」を好むプレイヤーもいるが、数々の伏線が仕込まれた物語だけに、人によっては物語の咀嚼にあたって邪魔になってしまっている面もある。

問題点

  • システム面での問題点
    • 各章の調査メモは次章に移ると見返せなくなってしまうため、後から事件や関係性を振り返ることができない。
    • 一部の箇所の調査や、人に話しかける際の挙動がやや不安定で、思っているところと違うとこを調べてしまう場合や、話しかけるつもりが中断されてしまいやすい。
    • 探索パートの移動スピードは常に固定でダッシュ機能がないため、画面端に調べに行く場面では遅さが気になる。
    • チャプターセレクト機能がなく、既読スキップなどもできないため、特定の章だけ見返すことはできず、周回プレイにも向かない。
      • 一応オプションの復旧機能から章を選んで再プレイできるが、これは公式曰く進行不能不具合が発生した場合の処置として搭載された機能であり、セーブデータの内容との不整合が発生する可能性がある。
      • なお、チャプターセレクトと二周目以降の既読スキップ機能は2025年6月上旬に追加予定とアナウンスされている。
    • フラグ管理に大雑把な場面があり、まだ入手していないはずの情報が手帳に記載されてしまうことがあった。→2025年4月のVer 1.0.3で修正
  • 考察するにも難しい場面が存在する
    • 多くは初見でわからなくても2周目で「これはこういう事だったのか」と気づかされる物が多いが、演出重視で仕込まれたようなセリフや展開等、やり直しても結局よく分からず、解釈しようがない箇所がいくつかある。
      + 終盤のネタバレ注意
    • 特に疑問視されるのが5章ラストのジャスミンとSAMEZIMA管理人が向き合うシーン。ジャスミンが何かに気づき、「ゼロ枚目」について言及する等、思わせぶりなシーンになっているのだが、全て解決した後に見返してもこれらがどういう事だったのか明確な答えが出ない。
    • また、最終盤にて発覚する解体センターの状況からして、ジャスミンの言動にも疑問符が付きやすい。
      • ジャスミンは解体センターの何を調べてたのか、ろくに調べもせずに報告していたのか、廻屋とどういうやり取りをしていたのか等、物語開始前~物語前半頃のセンターとジャスミンの関係や行動内容には疑問を抱くプレイヤーが多い。
    • どちらも推測できなくはないのだが想像の域は出ず、オチの衝撃度を優先して整合性を放棄しているのではと言われる事もある。
    • 上記ほどではないが、4章で蔵に閉じ込められた原因、5章の依頼人のドッペルゲンガーは誰なのか、あざみが出会ったドッペルゲンガーは何だったのかなど、ただのドッキリシーンにしては意味深なこともあり話題にあがりやすい。
  • 一部の無理のある展開
    • 明かされた事実にも少々無理のある展開があり、これらは指摘される事も多い。
      + 描写の例、ネタバレ注意
    • 2章で扱う過去に発生した事件は「警察はそんなところに気が付かなかったのか?」と言いたくなるようなツッコミどころがある。
    • 3章の登場人物にはある共通点があるのだが、3章の事件の首謀者はどうやってその情報を入手したか、各人とも必ずしも常時その状況に至るとは限らないのに何故事件当日はそのような状況だったのか、という点は話のご都合さが否めない。
    • 作中で披露される廻屋のハッキングスキルや黒幕が起こす事件は、さすがにハッキング(クラッキング)が過剰に万能視されている。具体的にどのような技術で行われているかは不明で「できるものはできる」という前提で話が進んでおり、往年のネットスラングの「スーパーハカー」のようななんでもあり状態。
    • 「最後の真実」を考慮する場合作中の廻屋のいくつかの行動に関して、物理的に困難なタイミングで行われてたり、周囲が不審さを抱くのではないか? との指摘がある。
      • いわゆる「信頼できない語り手」のトリックで済ませられる、との意見もあるが作中で提示された情報のみからしか察することができない読者側にとってアンフェアさを指摘する声もある。
  • 「特定」の段階について
    • ゲーム進行において各話で必ず発生する「特定」についてはやや否定的な声もある。
      + ネタバレ注意
    • 特定作業はまだ何が起きているのか詳しくわからない段階で、今起きている事象から既存の都市伝説の何に当たるのかを「特定」する作業になるのだが、前述の通り「実はオカルト事件など存在しなかった」という話なので、事件の詳細も分からない段階で都市伝説と紐づける行為はある種捜査妨害を行っているような形になってしまっている。人の起こした事件を都市伝説だと特定し、その後で人の起こした事件だと解体する流れから、マッチポンプという人までいる。
      • 事件は人の起こしている物というのは全話そうなので、物語を進める程に気になっていきやすい。
      • ただし、物語の雰囲気づくりの役に立っている一面もあるので、そういうものとして気にならない人もいる要素でもある。

総評

キャラクター及び演出面が優れており、結末から計算された仕掛けも素晴らしい。
「都市伝説」という伝奇的な要素とSNS社会を融合させ、妖しさを醸し出す本作は同ジャンルの他作品に埋もれない独自色の確立に成功している。

だが、ノベルゲームとして一番重要なシナリオ面を注視した場合、力技的な部分はちらほらある。
全ての未解決事象が説明され、一切のしこりを残すことなく完全に種明かしされ、瑕疵のない納得が提供されることを望む人には合わないかもしれない。

また、公式が提示する「ミステリーADVとして謎を解いていくゲーム」というのはあくまで「ドラマとしての紹介文」であり、
ストーリー分岐やプレイヤーの積極的な推理への参加、偶然性からの揺らぎなどのデジタルゲームらしい遊びは搭載されていない。

以上の事から、ゲーム限らず緻密な設定の作品に慣れ親しんでいる層、またはゲームのインタラクティブ性を重視するコア層にはそぐわない部分もあるだろう。
しかしながら、特異なキャラクターやビジュアル・奇抜な事件による外連味のある展開は高く評価できるものであり、その点で強い魅力を持った作品である。

余談


初稿投稿日: 2025/5/25 追記修正歓迎

ゴールデンアックス・ザ・デュエル

【ごーるでんあっくす ざ でゅえる】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 アーケード(ST-V)
セガサターン
発売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼動開始日・発売日 【AC】1995年2月21日
【SS】1995年9月29日
プレイ人数 1~2人
判定 ゲームバランスが不安定
ゴールデンアックスシリーズ


概要

セガが発売した名作ベルトスクロールアクション『ゴールデンアックス』の対戦格闘。
時系列的には『ゴールデンアックス デスアダーの復讐』の80年後となっている。
セガサターン互換基板である「ST-V」のデビュー作でもある。

特徴

基本的なシステムは一般的な6ボタン系の対戦格闘のシステムに準じているが、本作固有のシステムとしては以下の通り。

  • 画面上には時折シーフが登場しており、攻撃を加えると肉やポーションを落とす。
    • 上記のポーションを5つ集めてパンチボタンかキックボタンを3つ同時押しすると一定時間パワーアップ及び超必殺技であるハイパーマジックが利用可能な状態になる。
      • ハイパーマジックはパワーアップ中であれば何度も繰り出すことは可能。
+ 登場キャラクター一覧
  • カイン・ブレード
    • 本作の主人公で、戦災孤児であったが高名な剣士に拾われ成長した剣士の青年。自分は剣を持ったまま戦って死ぬ事を理想として、ゴールデンアックスを巡る戦いに身を投じた。長剣と炎の魔法を使う。
  • ミラン・フレアー
    • ウィンドウッド王国の王女。ティリスの妹の子孫にあたる。デス・アダーによって王国に危機が迫った事でゴールデンアックスを巡る戦いに身を投じる事になった。曲刀と風の魔法を使う。
  • ギリアス・ロックヘッド
    • かつての英雄ギリアスの名を受け継いだドワーフの勇者。大地の魔法も使えるパワフルな斧使い。ゴールデンアックスを悪用されないように封印するために戦いに赴くことに。
  • ジャム
    • 獣神デガースに拾われ育てられた女の子。強力な爪使い。育ての親であるデガースを甦らせるためにゴールデンアックスを探し求める。
  • パンチョス
    • 発明マニアの肥満体の大男。発明をくり返すうちに強力な爆弾が完成。ゴールデンアックスの噂を聞きつけ、それが何でできているかに興味を持ち参戦。
  • グリーン
    • 並大抵でない体力と生命力を持っている森に住む巨人族。彼の一族はデス・アダーの下で奴隷として望まぬ戦いを強いられていたが暴動により唯一の生き残りになり、処刑されそうになったところを人間の少女に助けられ、人間になるためにゴールデンアックスを求める。
  • ドク
    • 遥か東方の島国へ渡り剣の腕を磨いた剣士にして医師。恋人がデス・アダー軍の手によって殺されたことで仇討ちに乗り出す。
  • キール
    • 劣等感から強さを求めて狂戦士と化したハーフエルフ。一度は仲間たちの手により氷漬けにされて封印されるが、デス・アダー軍の手によって覚醒。敵味方の区別なく怒りと狂気の赴くままに暴れまわる。短剣二刀流と氷の魔法を使う。
  • ゾマ
    • すべてが謎に包まれている魔術師。得意の魔術で相手を翻弄する。何故ゴールデンアックスを求める戦いに赴いたのかも謎。
  • デス・アダー
    • シリーズおなじみの悪の帝王。巨大な斧使い。プレイヤーキャラとして使用する際は通常の斧だが、CPUで中ボスとして対峙する際にはゴールデンアックスを携えて襲ってくる。
+ ボスキャラクター
  • ゴールデンアックス
    • デスアダー撃破後に残されたゴールデンアックスが人型となった形態。行動は比較的シンプルだが火力はラスボスにふさわしい高さ。

評価点

  • キャラクターの個性自体は悪くなく、バリエーション自体は凝っている。
    • 新キャラクターは野生児の少女、東方の剣術使い、異様な風貌の魔術師、創作では比較的珍しいハーフエルフの狂戦士などとなかなかに個性的であり、シリーズに新しいキャラを取り込もうとしている姿勢は評価できる。
      • とはいえ、これが後述の問題点にも引っかかってくるが…
  • 演出自体はなかなかに派手。
    • 特にハイパーマジックの演出はその絶大な威力にふさわしく派手なものが多い。
    • 各キャラのスプライトやステージ背景のクォリティも前作同様非常に高レベル。
  • BGMの評価も優秀。
    • 基盤の音源性能も相応に向上し、BGMの完成度もアップ。どの曲も各キャラクターのそれぞれのイメージにマッチした楽曲となっており評価は高い。
    • SS版ではCD-DA音源で収録という形式変更に伴いアレンジされており、さらに重厚なBGMとなっている。

賛否両論点

  • キャラクターデザイン
    • 本作は過去作品よりも若干対象年齢層を下げたとみられるところがあり、過去作と比較してアニメよりの画風にして新規プレイヤーには比較的とっつきやすいデザインには仕上がっている。
    • 反面、過去作からのシリーズファンにとっては硬派な世界観の雰囲気が薄れたことによる違和感もぬぐえない。

問題点

  • 登場キャラの人選
    • 初代作主人公モチーフキャラの3人とデスアダーはいるものの、それ以外は歴代シリーズにはいないタイプの新顔ばかりで『ゴールデンアックス』らしさがいまいち*2
    • また、デスアダー陣営のプレイヤーキャラクターはデスアダーのみしかいないため、デスアダー陣営の強大さが感じられないのも問題。
      • これだったら過去作の雑魚キャラであるズブロッカやバド兄弟やハイネケン准将のモチーフキャラなどをデスアダー陣営のプレイヤーキャラクターとして入れたほうがよかったという声も。
  • 難易度が高い
    • CPUの反応がかなり早く、2戦目からすでに超反応を繰り出してくるために厳しい戦いを強いられる。
    • まともに進むためにはハメ技を使わないと厳しく、そのハメ技を駆使しても反応が早いためになお厳しい戦いを強いられる。
  • ハイパーマジックの仕様
    • ベルトスクロールアクションの仕様を引き継いだともいえるのだが、対戦格闘というジャンルにおいてはアイテムを拾わないとゲージを溜められないというのは立ち回りにも影響するために食い合わせが良いとは言えない。
      • その上ハイパーマジックを複数回出せるといってもパワーアップの持続時間が短い割にハイパーマジックの演出時間が長いために実質複数回繰り出すことは現実的ではないため、ほぼ死に設定と化している。

総評

初代ゴールデンアックスのMD版移植で対戦モードが比較的好評だったこともあり対戦格闘にした着眼点は必ずしも悪いものではなかったのだが、いかんせん個性に乏しく当時多数発売された2D格闘の中に埋没した感はあった。
加えて対戦格闘としてもCPU戦のバランスがかなりきつめで、難易度の高さによるとっつきにくさもあってインカムでも評価はいまいちであった。
もう少し練りこみがあれば化けていたかもしれないだけに惜しい作品でもある。


余談

  • 本作のジャムに関しては野生児の女の子という点で『真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変』のチャムチャムと被ってしまっている。
    • これについては開発者も先に似た様なキャラを出されて悔しい思いをしたとのこと。
  • 本作以降、セガの自社発売の対戦格闘ゲームは3D格闘ゲームに絞っていくようになる。
    • セガが自社発売作品で2D格闘ゲームを出すのは2014年の『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』まで大きく間が開くことになる。

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最終更新:2025年06月12日 09:23

*1 Proton互換動作、SteamDeck認証済み、ProtonDB - Platinum認定

*2 一応、グリーンはイメージ的には前作のゴアがモチーフ、パンチョスの武装はシリーズ下級雑魚のヘニンガーに酷似という要素はあるが。