下書きの記載に関するルールの変更について (24/5/26変更)
記事が完成するまでの間は最低でも週に1度は記事作成相談スレを確認するようにしてください。
記事作成依頼の判断は初稿者に委ねられますが、下書きが完成したと判断しても別の利用者が追記や修正を行うことも踏まえ、記事化依頼前にスレで意見が挙げられているか確認してください。
記事を直接投稿できるメンバーの方も、「記事下書きページを利用する場合は」性急な記事化は避け、スレを確認することを推奨します。
詳しくは利用法をご確認下さい。


記事下書き3

ゲーム記事や用語集項目など、Wikiコンテンツ作成時の下書き用ページです。ここにある記事は正式作成前の扱いのため、リンクの作成や修正依頼・要強化依頼の添付は禁止です。
また、表示負担軽減のため動画はコメントアウト状態で記載してください。
下書きに画像をアップロードするのは控えてください。記事化後も画像が下書きに残り続けてしまうためです。
アップロード画像を使用する場合は記事化後に該当記事にアップロードしてください。
また、記事化前に画像のチェックが必要な場合には、外部の画像アップロードサービスを利用してください。

メンバー権限がない人は新規ページ作成ができないため、記事の作成は下書きページを経由する必要があります。
メンバーではない人は記事作成依頼所からページ作成を依頼してください。

権限がある人は下書きを経由せず直接ページを作成して構いませんが、以下の場合は下書きページの利用が推奨されます。

  • 記事内容の質に自信がない場合や、第三者によるチェックが欲しい場合
  • 有名作・話題作で編集合戦が頻発することが予想される、判定について揉める可能性が高い場合

加筆、修正、下書きを元にした新規記事の作成は自由です。ただし、 自分がプレイしたことのない作品の記事化は禁止 とします。
また「このWikiで扱う作品」及び「記事作成のガイドライン」を参照の上でお願いします。記事作成相談スレも活用してください。


「記事下書き」は用途別にページが分かれています。


利用法

  • 1. 記事を載せる。
    • 下書きは縦に並んでいますが、新しく下書きを載せるときは必ず最下部に追記してください(下書き作成日が古いものが下部に行くと削除期限日がわかり難くなるため)。
      また、編集が楽になるので記事の最初と最後にareaeditプラグインを付けることをお勧めします。
    • ここに載せた下書きは、初稿作成から1ヶ月が経過すると基本的に削除されます*1 記事の投稿時には、必ず記事冒頭に初稿作成日を記述して下さい。記述の無い場合、1か月より早く削除されてしまう可能性があります。
      事情により長期間更新できない場合、個人でバックアップを取る事をお勧めします。
      • その場合、初稿執筆者が不在の際に第三者が下書きに直接手を加えることもありますので、執筆に復帰する際は下書きの確認とスレでの相談を忘れずに行いましょう。
    • 新規記事の判定については基本的に初稿執筆者自身の判断に委ねられています。記事作成のガイドラインに則る限りは自由に付けて構いません。ただし記事作成後に異論が生じた場合、判定変更議論依頼が提出されることがあります
  • 2. 記事を完成させる。
    • 基本的に初稿執筆者が記事の完成に責任を持つようにしてください。 記事は大勢の手で完成させるものですが、下書きに投稿したからといって必ずしも他のユーザーの手が加わるとは限りません。未完成の記事を長期間放置するのは迷惑行為です。
    • もちろん一般記事同様に初稿作成者以外が編集を行うことも可能です。ただし、第三者が以下の事項を行う際は必ず記事作成相談スレに報告を入れてください。悪質な場合は規制されることがあります。
      • 下書きを削除もしくは移動する場合。
      • ゲーム記事の判定を変更する場合(未定のものに付与することも含む)。
      • 下書きを記事として作成する、もしくは作成依頼を出す場合。
      • その他、記事のニュアンスに大きく変更が生じる編集をする場合。
    • 記事が完成するまでの間は、 少なくとも週に1回程度は記事作成相談スレを確認してください。
      • 作成している記事に対して、スレ内で意見や指摘が出ることもあり、初稿作成者が意見や指摘を確認しなかった場合、スレ内の意見や指摘にしたがって大きく内容を書き換えられてしまう可能性もあります。
  • 3. 記事を作成する。
    • 記事が完成したら、作成する前に記事作成相談スレで意見や指摘が出ていないかを確認し、意見や指摘が出ている場合は、その意見や指摘を解消してから記事作成してください。
      • 記事完成後、2,3日の間は意見や指摘が出ないかを確認するといいでしょう。スレで記事が完成した旨を報告し、意見や指摘を募るとより確実です。
      • 意見や指摘を無視して記事作成をした場合、自分では問題ないと思っていても「文章が簡素で内容が薄い」「文章が支離滅裂でわかりにくい」「他のサイト・Wikiからの無断転載」などの理由により、 記事化後すぐに修正依頼や要強化依頼が出されたり、記事化自体が見合わせとなる場合があります。
    • 記事が完成したと判断したら、好きなタイミングで記事を作成して構いません。新規記事作成は管理者とメンバーのみ行えるため、ログインIDを持っていない人は、記事にする際に『記事作成依頼所』で依頼してください。
      • なお、代理作成依頼によって作成された記事の内容に関する責任は執筆者・依頼者に帰結するものとし、代理作成者は責任を負いかねます
    • 記事内容によっては、単独記事として作成するよりも既存の記事への追記の方が良いと判断される場合もあります。
      なお、追記の場合はログインなしでも作業可能です。
      • 追記を想定して記事を作成する場合、下書きの冒頭に追記先の記事名を表記しておくのもいいでしょう。

注意点

  • 発売直後のゲームの記事を執筆したい場合、発売日から3か月経過していることが条件となります(3か月ルール)。
    • 移植版や、海外で先行発売された後に国内で発売された作品も、その発売日から3か月の経過を待つ必要があります。
  • 一度に投稿する下書きは一つとし、その下書きを完成させて記事化依頼してから次の下書きを投稿するようにしてください。
+ 下書き用テンプレート。書き方の詳細はテンプレのページを参照

contentsプラグイン(19行目)は必ずコメントアウト状態(先頭に「//」が付いたまま)で記載してください(記事作成時にコメントを外す)。
コメントアウトしない場合、全下書き項目の見出しが目次化されてしまいます。

↓↓↓ここからコピー↓↓↓
----
#areaedit
初稿投稿日: yyyy/mm/dd 追記修正歓迎
*タイトル
【読み】
|ジャンル||~|
|対応機種||~|
|発売元||~|
|開発元||~|
|発売日| 年 月 日|~|
|定価|, 円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO: ()|~|
|廉価版| : 年 月 日/, 円|~|
|配信| : 年 月 日/ |~|
|備考| |~|
|判定| |~|
|ポイント| |~|
//----
//#contents(fromhere)
----
**概要
**あらすじ
**特徴
**評価点
**賛否両論点
**問題点
**総評
**余談
#areaedit(end)
↑↑↑ここまでコピー↑↑↑

一般的な編集の練習などは「サンドボックス」へどうぞ。



初稿投稿日: 2025/04/28 追記修正歓迎
記事草案作成者はSwitch版のみプレイ済みですので、あれば不具合に関して他バージョンのものや過去のアップデートで修正されたものの記述を追加して頂けると幸いです

キュイジニア ポムとまんぷくダンジョン

【きゅいじにあ ぽむとまんぷくだんじょん】

ジャンル ローグライトアクション

対応機種 Nintendo Switch
PlayStation 5
Xbox Series X/S
Windows(Microsoft Store)
発売元 【Switch/PS5】ハピネット
【XSX/Win(MS Store)】Marvelous Europe
開発元 BattleBrew Productions
発売日 2025年1月28日
定価 【Switch/PS5 パッケージ版】4,400円
【Switch/PS5 DL版】3,300円
【XSX/Win(MS Store)版】3,500円
プレイ人数 1人
レーティング 【Switch/PS5】CERO:B(12歳以上対象)
【XSX/Win(MS Store)】IARC 7+
判定 なし(暫定)
ポイント レストラン経営×ローグライトARPG
可愛い世界観と硬派な難易度のダンジョン(そして飯テロ)
雰囲気は良好だがそれ以外は粗削りな点多し

概要

シンガポールのインディーゲームスタジオ「BattleBrew Productions」によって、2023年11月にWin(Steam)にてリリースされたインディーズゲーム。
その後2025年1月にSwitch/PS5/XSX/Win(MS Store)版が発売された。本稿ではSwitch版を基準に紹介する。

アクションアドベンチャー形式のローグライトと、レストラン経営を掛け合わせた独特のゲーム性が特徴。

特徴

  • ストーリー
    • 主人公は冒険好きで料理が得意な猫耳の少女・ポム。
    • ある日ポムが長旅から故郷の町パエルに帰ると、彼女の実家であったレストランは閉店しており、店主であった両親はその借金を残して出奔していた。ポムは愛するレストランを自身の手で立て直すべく、ダンジョンで食材を採取し、店にて調理・提供する生活に乗り出す。
  • ダンジョンパート
    • 世界各地のダンジョンに乗り込んで探索し、モンスターからの食材や建築用の資材を集めていく。ダンジョンは主に全4か所あり、借金を返済してストーリーを進めることで順次解禁されていく。
    • ポムは2種類の武器を装備し、XボタンとYボタンで直感的に使い分けることが可能。片方のボタンを連打することでコンボを繰り出せる他、Aボタンのダッシュの終わりから派生するダッシュ攻撃、ZR/ZLボタンで繰り出せる特殊攻撃(強力な範囲攻撃だがクールタイムあり)などが存在する。
    • 入る度に構造の変わるダンジョンは基本的に6階層あり、各階層のどこかにある階段を見つけて進行していく。3層目に中ボス、6層目にボスが待ち構えており、倒すことで装備や食材が多く入ったチェストをドロップする。
    • 装備には一つ一つ異なる特殊能力(パッシブスキル)が付与されている。ダンジョンでのドロップの他、町にある「醸造屋」で料理を素材とすることにより付け直して厳選することが可能。
  • レストラン運営パート
    • ダンジョンで持ち帰った食材から料理を作り、レストランに訪れる客に注文の品を提供していく。料理は各種調理器具にインタラクトすることで自動で作られていき、殆どの客は完成した料理の並ぶカウンターから自分の注文したものを自動で取りに来てくれる。
    • 店の客は種類ごとに特性がある。例えば子供や兵士は「安価な/すぐ完成する料理を注文するが、長時間待つのが苦手」、貴族は「高額な料理を注文するが、ポムが直接席まで料理を運ぶ必要がある」など。これらの特性を理解することで、より効率的な接客が可能となる。
    • 料理のレシピは町でのサブクエストを達成することで報酬として得られる場合が多い。営業時間外でも調理し、ポム自身が食べることによりその日に限って使用食材によるバフを得ることができる。
  • 主人公のポムは朝9時に起床して、ベッドを調べるか夜12時になると睡眠へと向かいその日は終了となる。レストラン経営は朝9時から夜11時までの時間なら何度でも開け閉め可能で、途中1時間だけ休憩を取るなどのロールプレイも楽しめる。
    • 一方ダンジョン探索は朝早くに出てすぐ帰還選んだとしても帰ってくるのは夜10時である。ダンジョン内では時間の概念がなくどれだけ時間をかけて探索しても日を跨いだりはしない。ただし出発できる時間が夜6時前までであり6時以降は探索には向かえない。先に店の経営をすることは可能だが長く時間がたつにつれ疲労度が蓄積して、最大30%のHP減少が起きる。

評価点

  • 可愛らしく暖かみのある世界観・グラフィック
    • 獣耳の住民たちが生き生きと暮らし、自然に満ちたダンジョンが広がる様は、さながら絵本の世界のよう。
    • 料理をテーマにした作風ということで、食材となる作物や動物が可愛いモンスターとして襲い掛かり、調理器具を武器にそれを撃退する、という発想はビジュアル面でも殺伐さを感じさせず秀逸。フライ返しを片手剣、出刃包丁を大剣、などのように見立てたモーションも面白く、見ていて飽きない。
    • 料理のグラフィックもイラストによって丁寧に描かれており、見ているだけで食欲がそそられる程。
      • 開発元の国柄もあってか、「カヤトースト」「パッピンス」「ラクサ」「ミー・ルブス」など聞き馴染みの無い料理もエスニック方面中心に少なからず実装されており、料理への興味もまたそそられること請け合い。
    • BGMのクオリティも良好。主張こそ決して強くはないものの、優しい響きで世界観の美術に合う旋律の曲が多い。
  • 経営系ゲームにありがちな煩雑な要素がかなり削られており、遊びやすいレストランパート
    • レストラン客の待ち時間は(子供を除き)かなり猶予がある設定がされており、食材さえあれば一つのボタンを押すだけで簡単に料理を作り、提供することが可能。「数行程を要する料理」「一人ひとりの客に配膳」など、面倒だったり理不尽だったりする要素は悉く撤廃されており、(貴族への配膳を考えない場合)プレイヤーのすべきことは料理の予約とこれまたワンボタンで済む会計のみ。総じてワンオペで店を切り盛りする系のゲームとしては非常にとっつきやすい出来となっている。
    • 同時に上述したような客の個性、とりわけ作業を増やす代わりに多くの額を払ってくれる貴族、ラッシュ時間の戦略的な調理順の思考、そして時たま出没する食い逃げ犯への対処など、単純作業に終始させない工夫がなされているのもミソ。
    • 加えて内装の模様替えも家具単位で割と自由度高く行うことが出来るため、これらの要素がハマれば長く楽しめるゲームたりえるであろう。
  • 難易度調整を筆頭としたオプション
    • 難易度は「ふつう」を最高難易度とした4段階からいつでも変更可能。UIにさりげなくアイコンが追加されるのみで、ペナルティらしいペナルティも無い。
      • 変化点はポムの受けるダメージが25%刻みで変化するだけだが、「事故要素を減らし周回を容易にする」「ボス戦を低難易度で練習する」など柔軟な遊び方へと対応できるのは有難い。
      • ただし後述のようにかなり粗のある難易度であり、それにもかかわらず最高難易度の「ふつう」がオススメとされている。アクションの腕に覚えがないなら、躊躇わず低難易度でプレイすることを推奨。
    • また、料理を食する際の咀嚼音のSEも、設定により有無を切り替えることが可能。料理を軸としたゲームにおいて、どうしても生理的に好みが大きく分かれる部分なので、そこを任意に設定可能なのは地味ながら良いオプションと言える。

賛否両論点

  • 良く言えば硬派で遊び応えもあるが、やや不親切度の高いダンジョンパート
    • レストラン経営と並び、本作の根幹を担うダンジョンパートだが、これが意外にも世界観やビジュアル以上にシビアかつ粗削りな設計がなされている。難易度選択次第でローグライト特有の硬派さを求める層にも応えている一方、そこが肌に合わないと「食材を調達する実質唯一の手段」として(人によっては決して楽でない)作業感が強くなってしまうという難点も抱えている。
    • あくまでRPGではないということなのか、経験値とレベルの概念が存在せず、いくら戦闘してもポムの能力が強化されることは無い。その為装備や料理のバフを組み合わせることによってしか攻撃力・耐久等を上げることが出来ず、面倒になりがちな戦闘を楽にする手段に乏しい。
    • ダンジョンにはダメージギミックやモンスターハウスが数多く設置されてあり、特に後者は敵からの被弾を防ぎ切れない構成も散見される。一方でプレイヤーが狙って有利に活用できる設備はランダムで配置される「1回限りHPを50回復できる泉」「お参りすることで一定時間近くの敵に燃焼ダメージを与えるバフをもたらす像」くらいしかなく、回復手段が他にドリンクしかないことも相まって慎重な立ち回りが常に要求される。
      • またダンジョン内の設備もこの2種しかなく、商店など後付けでダンジョン攻略を楽にしてくれるような設備や探索欲を掻き立てる構成は存在しない。精々資材を得られるオブジェクトが群生する小部屋がある程度。にもかかわらずモンスターを探して倒す為に隅まで探索することを強いられる為、作業感がより強まっている。
    • ダンジョン内にはダッシュで渡る必要のある地面の切れ目が点在しているのだが、渡れる隙間と渡れない隙間の(目視での)判別がかなり困難。各ダンジョンでの隙間の大きさが均一でない為に、「近道しようとして渡れたと思ったら渡れず落下する」という事態がしばしば起こる。
      • それ以外にも「氷結フィヨルド」の冷水が噴き出るギミック、「コンペイトウ沼地」の倒れ込んでくる棘のある植物など、風景に同化し視認性の悪いダメージギミックも少なからず散見される。
    • 中ボスやボスの多くはこちらが攻勢に出られる隙が思った以上に少なく、長い間こちらが逃げ回らねばならない攻撃を行ってくる。その為「大振りだが瞬間火力だけは高い武器」よりも「手数で攻められる武器」が重宝され、利便性を追求するなら使用武器種は自ずと狭まっていく。
    • 状態異常を付与して隙を増やす、またはコンスタントにスリップダメージを与えることも重要となる。むしろ瞬間的に大ダメージを与える手段がほぼ無く、後述のバフ仕様も踏まえると 「状態異常ゲー」 とも言える環境が構築されており、突き詰めると「逃げ回りながら小技と毒・燃焼ダメージでちまちま削る」という、よく言えばストイック、悪く言えばあまりに地味な戦闘になりがち。
      + これらを踏まえた詳細な武器のバランスについて
    • ロマンやビジュアルの好みを考慮しない場合、最終的な武器構成は「コンペイトウの拳」+「ドリアン爆弾」or「投げ皿」でほぼ固定されがち。
      • 「コンペイトウの拳」は手数で攻める手甲タイプの武器で、敵の僅かな隙でも少しずつ攻撃を確実に入れられるのが強み。加えて「隙の少ない範囲攻撃」「クールタイムが5秒と非常に短い」「パフィー、チキン等小粒で鬱陶しい敵をちょうど一撃で一掃できる威力」と三拍子揃った特殊攻撃が魅力的で、メインウェポンがこれかこれ以外かでダンジョンでの立ち回りはかなり変わってくる。
        • 加えてコンボの終わり際に出る5連撃は1発ごとに「コンボの最終段」判定があるため、「コンボの終わりに○○を付与する」系の特性とも非常に相性が良く、瞬く間にスリップダメージや異常を複数付与することができるのも強み。
      • 「フライ返し」「スマカレル」の片手剣タイプも隙が少なく決して悪くは無いのだが、前者は攻撃範囲に対するクールタイムの長さ、後者は制御が難しくダメージギミック等にも突撃しかねない突進と、特殊攻撃の性能に難があり一歩劣る性能。
      • 対して「肉叩き」「出刃包丁」の大振りなタイプは不遇寄り。どちらも小さな敵を対処するには有用だが、中ボス以上を相手取ると隙の多さが目に余り使いづらさが露呈してくる。特に後者は特殊攻撃も非常に当てにくい。瞬間火力だけは随一なので、光る所は確かにあるのだが。
      • 「メカジキの槍」や「ケバブ串」といった槍系は通常コンボこそやや火力不足だがリーチが少し長く、ダッシュ攻撃も移動に回避にと使いやすく拳に次いで高性能といえる。拳系はダッシュ攻撃の隙が大きく難がある為、相互互換的に十分メインとして使える性能は有している。特にメカジキは特殊攻撃も前方広射程に素早く水流を放つもので強力。
      • 投擲武器について、「ドリアン爆弾」は貫通性能に加え敵に毒を付与する性能を標準装備している為、硬い敵の体力を安全に削るのに役立つ。「毒状態の敵へのダメージ増加」のパッシブを活用する構築を用意しやすいのも利点。「投げ皿」は飛距離にムラがあり一見扱いにくいが、「プッシュバック」「コンカッションプッシュ」等の構築で使用するとかなりのダメージを特殊攻撃で叩き出せるポテンシャルを秘めている。
  • 食材と料理の選出について
    • 食材は肉類・魚介類が「牛肉/鶏肉/豚肉」「魚/エビ/カニなど」のように細分化されて別個に存在する一方、野菜は「葉物野菜」と雑に括られていたり*1、乳製品が「チーズ」、果物が「トロピカルフルーツ(ココナッツ)」しか存在しない、何故か「氷(アイスクリスタル)」が食材として独立しているなど、それらの選定に関しては首を傾げたくなる点も少なくない。
    • 食材の一つに「イカやタコなどの足」がある。その野暮な名前はともかくとして、ドロップする敵はタコ型の「オラクトパス」一種のみであり、「イカ」「など」から得ることは無い。キービジュアルに大きく描かれているイカ型モンスターも、どういうわけか登場しない。なら単純に「タコ足」でも良かったのではないか。
    • 低ランクの料理の中には「ブレンドした香辛料」「カヤ(ココナッツミルクと卵を和えたジャム)」など、それは料理じゃないだろと突っ込みたくなるような品も一部ある。特にこれらの品種はグラフィックも瓶詰めそのもので、注文した客もそのまま美味しそうに食べるのだが……バカゲー的要素として受け入れるか、「他の料理を押しのけてまで実装すべきものだったのか」と感じるかはプレイヤーによる。
    • 拠点となる町「パエル」の語源は料理のパエリアから、という設定がNPCからも語られるのだが、当の料理はゲーム中に未実装。恐らく「米+魚介類」の組み合わせの料理として寿司系のそれと立場が被ってしまう為だと考えられるが、「鶏肉」なども使えば差別化・実装する余地はあったと思われる。
    • フルーツやクリーム等の食材が無い為、甘味系のメニューが非常に少なく、上述したアイスクリスタルを使用したかき氷系を除くと「ココナッツミルク」「キャラメルケーキ」くらいしかない。
    • 最高位であるレベル4の料理は、要求素材もグラフィックもそれまでの料理を組み合わせたようなものがほとんど。完全な新規料理は2種しかなく目新しさに欠ける。
      • 一応「そばとエビ天セット」も前段階に当たるランク3料理がエビ天うどんであり、そばが登場する唯一の料理であるため新規とも言えるか。
  • かなり薄味な町の住人との交流要素
    • 町には多くの住人がおり、施設の店員を務める者には固有グラフィックも用意されている。
    • 彼らはほぼ例外なくポムに対し友好的で、レストランの再建も応援してくれるのだが、親密度を深めるイベントなどというものは実装されていない。精々料理のレシピを貰えるサブクエストを1~2つ提示する程度であり、どうしても今一歩愛着が沸く決め手に欠ける。
      • 台詞パターンも進行状況と年の行事によるものが数種ある程度で決して多くはない。メインストーリー制覇後はごく数種への固定になってしまうのでより寂しく思えてしまう。
    • また店を営む住人には曜日に応じた定休日があるが、特にその曜日特有のイベントがあるわけでもなくただ不便なだけである。せめて「休日はレストランに顔を出してくれることがある」などの要素があれば好意的に受け入れられただろう。
    • 彼らもまた可愛らしいデザインであり、特にタピオカティー屋の「ナイチャ/ゼンズー」姉妹や大工の「アルダー」は内面も含め好評。それだけに交流要素の少なさは非常に勿体ない印象を受ける。
  • セーブは自宅で寝て日付が変わった時に自動でされるのみ。
    • 手動でのセーブや何かあった場合のオートセーブなども一切なく、後述のエラー落ちが発生した場合はその日一日のプレイがすべて無駄になる。ちなみにセーブデータは3つあるがデータのコピーや移動はできない。
      • 一応、この仕様が幸いして、多少の時間を惜しまないなら醸造屋での特性付与を所謂リセマラによって最低コストで厳選出来るという利点もあるにはある。とは言え手動でより手軽にセーブできる機能は欲しかったところ。
  • 翻訳について
    • 日本語訳は比較的良好な出来で、台詞や各種解説文を読む限りにはほとんど違和感は無い。
    • 一方でサブクエスト報酬のレシピを解説する下りがやけに説明台詞じみていたり、ユーモア的な言い回しを訳しきれていないなど、人によっては気になるであろう点もちらほら見られる。

問題点

  • ロード時間の長さ
    • 自宅と町の間を出入りするだけでも10秒ほどかかる他、ダンジョン突入時、及び階層移動時はフロアの生成という都合もあるとはいえ30秒~1分弱かかることもザラにある。
    • ちなみに外に出るボタンを「長押し」することで店を開店するのだが、このときうっかりボタンをすぐ離すと当然外に出てしまいロード、入るのにまたロードである。
  • 直感的でなく死に要素も多いバフ・特性関連
    • 装備の特性には「無条件で攻撃力アップ」のような分かりやすく使い勝手の良いものはほぼなく、「特定の状態異常を付与する」+「同じ状態異常の敵に与えるダメージが増える」「同じ状態異常のスタック数や持続時間を増やす」 というように、特定の状態異常を軸に複数組み合わせることが前提という環境が構築されている。それらを揃えるには(ドロップにしろ醸造にしろ)少なからず運が必要となり、ビルドとして一式揃えるには余裕の少ない序盤こそ苦労する造りを助長している印象が否めない。
    • その特性も「○○のダッシュ」系は雑に使いやすく有用だったり、上述のドリアン爆弾のお陰で毒主軸の構築は再現難易度が低い一方、「シールド」系のものは効果時間が短い上に防御できるのが飛び道具限定、「○○のスキン」系は攻撃を受けることが前提でゲーム性と噛み合っていないなど、明らかに使いづらいものも多い。まともな実用性を考えると構築の選択肢はかなり少ない。
    • また「タピオカティー屋」ではダンジョンに最大4個持ち込める使い切りのドリンクを購入・開発することができるのだが、開発によって解禁されるものはいずれも多少の回復に加え「数秒間微量ダメージと状態異常を与えるゾーンを展開」といったもので、使える個数に対して戦術へ組み込みにくく持て余しがちなものが殆ど。大抵の場合、特殊な効果のない代わりに即効性があり回復力もやや高い初期実装の「新鮮ミルクティー」で事足りてしまう。後述のようにドリンク開発がやや面倒な仕様になっているのもこれに拍車をかけている。
      • 一応徐々にHP回復のリジェネ効果を持つチーズミルクティー系は同レベルの新鮮ミルクティーよりも総合回復量が多く、最終レベルで新鮮が55に対してチーズは9×8の72回復するので作る価値はある。4スロットの合計で70近い回復差になる。
  • 単調かつ粗の多いストーリー
    • シナリオ序盤から中盤にかけては、「親の借金が発覚→(新たなダンジョンが解禁→)レストランの利益で返済→翌日更なる借金が発覚」という展開が繰り返される。借金先やその理由が異なるということもなく、流石に理不尽さと天丼感が否めない。
      + そして最終的に借金を返済すると……(ネタバレ注意)
    • 店に来訪した高慢なリーグ委員の女性「キャビア」との悶着を発端に、ポムは世界最高峰の料理人たちと腕を競う「料理人リーグ」へと挑戦することとなる。借金返済と同じ要領で参加費を支払った後、全3戦を勝ち抜く必要がある。
      • その対戦方式は、「コロシアムの四隅に各ダンジョンを模したモンスターハウスが設置されており、そこで戦って得た食材で注文の料理を作って審査員に提供しポイントを得て、制限時間内に多くのポイントを得た者の勝ち」というもの。因みに対戦相手のNPCは戦闘を免除されており、調理場から殆ど動かない。
      • ゲーム的な攻略面に関してだが、はっきり言って相手の調理ペースはそう速くなく、最低限揃えられる食材をある程度持った上で注文の品を提供していけばわけなく逆転し勝利することができる。食材が足りない注文を捨てる猶予も十二分にあるが、一方で「米」など多くの料理に使う食材があまり手に入らなかったり、一つの食材に注文が偏りすぎると事故に遭うケースも十分あり得る。総じて運が大なり小なり絡む点は否定できない。
        • また、こちらが習得していない料理も平気で要求されるので、低日数クリアを目指すなどでサブイベントを無視してきて覚えているレシピが少ないと途端に難易度が跳ね上がり、運ゲー具合が加速する。
          + そうして勝ち抜いた先には……(更なるネタバレ注意!)
        • ラスボスとして立ちはだかるリーグチャンピオンは、なんと物語冒頭から家を空け、姿をくらましていたポムの両親その人たち。
          • 曰く、家財まで売り払って店を空け、未納の税金諸共ポムに押し付けたのは「ポムに強くなってもらうため」とのこと。優し気な雰囲気こそある両親だが、いくらなんでもスパルタというか独善的というか……。
            • 因みに期間限定でNPCから聞ける台詞に「両親は料理人リーグとの提携を蹴った」という旨のものがあるが、明らかにこの展開とは矛盾が生じている。設定の摺り合わせが上手く行っていなかったのだろうか。
          • そうして直接戦闘することとなる両親だが、これがまた恐ろしく強い。行動ルーチンは完全固定のパターンなのだが、一撃一撃が重い上に一瞬でも判断が遅れると回避不能となる攻撃が多く、その上耐久力もそれまでのボスとは比にならない。フレーム単位でパワフルな攻撃への対処を求めてくるお母さん、俊敏な動きとノーダメ回避を想定していないレベルの弾幕が脅威のお父さん、そしてその(お母さん主導の)コンビと、回復・休憩無しでの3連戦を強いられる。回復用のドリンクは持ち込むこともできるが、一発一発が重い為ゴリ押しには全くといっていいほど使えず、フル活用しても初見撃破はほぼ無理ゲーレベル。
          • 何とか勝利すると、両親は料理人としても冒険家としても強くなったポムを褒めるだけ褒め称え、そして再び放浪の旅へと姿を消してしまう。エンディングらしいエンディングもなく、翌日リーグ側から記念品が郵便で贈呈されることでメインストーリーは幕を閉じる。 作中ぶっちぎりの最安値で買える美術品「お母さん/お父さんの手配書」を店内に貼り続けようと決意するプレイヤーもしばしば。
            • 一応ゲーム的に再戦することは可能で、勝利すると☆3の特性を持った装備を確定でドロップする。最低難易度で周回して 鬱憤を晴らす 装備を揃え、高難易度での勝利を目指すのも一考。
  • 一部設計ミスの散見されるUI
    • 食材・資材等を複数要求するサブクエストでは部分的な納品が可能で段階的に進めることが出来るが、同様に複数種・複数個の料理を要求するドリンクの開発に対してはそれが出来ない。開発用のレシピを店外で確認することもできず、覚えるか確認するかしながら自宅で必要数作って納品する必要がある。
    • また日本語版ではガイドから各料理の解説を閲覧すると、一部の料理で説明文が見切れてしまい最後まで読むことが出来ない。
  • Switch版の不具合
    • 「町を出てダンジョン選択画面に移った直後」「ガイドの各ページを開閉する時」など、画面が切り替わる際に稀に進行不能となるバグが確認されている。
      • 何よりたちが悪いのが「ダンジョンで帰還を選んでリザルト画面が出る時」のエラー落ち。当然その日にダンジョンで稼いだものが全て無に帰してしまう。出発前に店の営業もしていたらそれも無駄になる。
    • 他にもスリープを挟んで長時間起動していると、ガイドを始めとした各テキストのフォントが黒い四角に置き換わってしまい判読困難となる不具合も確認済み。

総評

余談

  • CS版のパッケージ版初回特典には、YouTube等にて活動している料理研究家「リュウジ」氏によるゲーム中の料理「ローストチキン丼」「ラクサ」「チーズたっぷりベイクドポテト」のレシピカードが付属していた。
    • このうち「ローストチキン丼」は料理を実演する動画も公開されている。

初稿投稿日: 2025/5/7 追記修正歓迎

スターコントロールII

【すたーこんとろーるつー】

ジャンル シミュレーション・アドベンチャー他
対応機種 3DO interactive multiplayer
発売元 バイス
開発元 クリスタル・ダイナミックス
(原作:Toys For Bob)
発売日 1995年3月24日
定価 9,680円
プレイ人数 1人
(対戦モードは1~2人)
レーティング 3DO用審査:E 一般向
備考 MS DOS用ソフト(日本未発売)の移植
DOS版はSteamで『I』とカップリング配信中
PC向けにオープンソース化されたリメイク版を無料入手可能
判定 良作
ポイント 英語圏で90年代初期の最高傑作に度々挙がる伝説のゲーム
初代『ゼルダ』ライクな先進的オープンワールド
終末の宇宙文明を舞台に、たった一隻の船から始まる逆転劇
当時としては破格の、広大かつ濃密な世界観
綿密な情報収集が求められるシビアな難易度


概要

1992年に北米で発売された宇宙探索アドベンチャー。ないしはシミュレーション。
初出はDOS用ソフトだったが、1994年には3DOに移植され、日本でも翌年にローカライズ販売された。
副題は「ア・クアンマスターを打倒せよ!(The Ur-Quan Master)」。

日本での知名度は低いが、英語圏においては「史上最高のPCゲーム」の話題でしばしば名前が挙がる伝説の作品となっている。
同様に、唯一CS移植された3DO版は同ハード前期の数少ないキラータイトルとなり、英語圏で「最高の3DOソフトは何か」という話題を扱ったウェブサイト・レビュー動画においては必ずと言っていいほど今作が上位(多くは最上位)に挙げられている。
後年の様々なオープンワールドに与えた影響は大きく、90年代における欧米のビデオゲーム文化を知る上で外せないタイトルの一つでもある。

2002年にオープンソース化しているため、2025年現在もソフトをネット上からダウンロードすることにより、無料かつ合法的にプレイできる。
このフリーソフト『The Ur-Quan Master』(以下『UQM』)は本ウィキで扱うソフトの対象外ではあるが、一番手に取りやすいバージョンには間違いないので、参考記述として一部言及する(詳しい変更内容は記事末尾に掲載)。
ちなみに『UQM』は日本人の有志による翻訳パッチが存在し、これから日本で遊ぶ場合には一般にこちらの訳を目にすることが想定されるので、訳語が公式と異なる場合はそちらも併記する。
(<>で囲まれている方が有志翻訳)

本記事は日本で唯一商用販売された3DO版をベースに解説する。

1作目との関係

本記事で扱うのはナンバリングタイトルの2作目だが、単体でも問題なくプレイ可能であり、シリーズ作品の代表格としても1作目を差し置いて語られる機会が多い*2(ビデオゲームではよくあること)。
1作目と『II』は戦闘システムが共通していることを除き、全くの別ゲーとなっている。
本項は1作目を参考程度に軽く解説する。

1作目にあたる『Star Control』(日本未発売)はDOSとGenesis(海外版メガドライブ)で展開され、現在ではSteamにて『II』とともにカップリング販売されている(日本語未対応)。
ジャンルはシューティングゲームで、「トップビューの画面で宇宙船を操縦し、自チームの艦隊で敵チームの艦隊を落とす」というものであった。

背景ストーリーは説明書で語られているがゲーム内の描写はほとんどない*3
代わりに「戦略SLGの要領で、戦争の特定の場面を再現したシチュエーションを一つ選んで戦う」というのがメインコンテンツとなっていた(日本の有名なゲームで言うと、『パワプロ』のシナリオモードや『スマブラ』のイベント戦のようなイメージ)。
副題も『Famous Battles of the Ur-Quan Conflict, Volume IV(ア・クアンとの名高き闘争 第4集)』となっており、"壮大な宇宙戦争の一端を切り取った物語"というコンセプトが窺える(おそらく『スター・ウォーズ』1作目のオマージュ)。

この他、編成を自由に決めて対戦できるMeleeモードも実装されている。

以上が1作目の内容だが、そちらから引き継がれたのは戦闘システムとMeleeモードのみ。
『II』はこの内容から大幅なボリュームアップを遂げ、約5年にわたる地続きの宇宙戦争を模したストーリーモードが本編となっている(先のゲームで例えるなら「サクセスモード」や「亜空の使者」が追加されたようなレベルの大進化と言えるだろうか)。
背景設定でしか無かった世界観はプレイヤーが実際に体験できるようになり、当時のテキストアドベンチャーに劣らない膨大なテキストも用意された。

ちなみに『II』の時系列は1作目の後日談にあたり*4地球を含む同盟軍が敗走して滅亡寸前に追い込まれたところから物語が始まる。
敗北ルートから続きが描かれるゲームというのも中々珍しい。

あらすじ

西暦2134年、全宇宙を支配せんとする巨大勢力ア・クアンの手により、地球を含むあらゆる文明は終わりを迎えつつあった。
ア・クアン率いる同盟軍「ヒエラルキー」に対し、地球人を含む反乱軍「自由星同盟」は激しい戦いを繰り広げていたが、結果は惨敗であった。
自由星同盟のある種族は敵の手に落ち、ある種族は壊滅し、ある種族は逃走、ある種族はア・クアンに監禁される道を選び、もはや戦える種族は残っていなかった。

時を同じくして、地球からのある一団が宇宙の片隅にある星・ベラに漂着し、取り残された。
地球との交信が途絶えて以降、残された者たちは惑星の地下に巨大な工場を発見した。 それは数万年前に栄えた謎の種族が遺した最後の技術だったのだ。

漂着から20余年、人々は限られた資源を全て工場につぎ込み、空洞だらけのスターシップを建造し、最低限の燃料を詰めこんで地球へと出発した。
運用を任されたのは、ベラで生まれ育ち、類稀なるメカニックの才能をもって技術のサルベージに貢献した青年・イサム<ゼルニック>。つまりあなたである。 スターシップはカムイ<ヴィンジゲーター>の名を授かり、地球へと飛び立った。

帰還した地球は変わり果てた姿となっていた。ア・クアンの手によりあらゆる遺物を焼き払われ、人類が築き上げた全ての歴史が失われていた。かつて青かったその星は真っ赤なシールドで覆われ、人類はその内側へみじめに監禁されていた。
自由星同盟が生き残る道はただひとつ。空っぽのスターシップだけを頼りに、再び仲間と資源を集め、ア・クアン打倒の鍵を見つけ出すしかない。

仲間も資源も失われた地球、残されたのはたった1隻、それも空洞だらけのスターシップ。
だが宇宙を救うには十分だ。
この船の艦長はあなたなのだから……

  • ちなみに3DO版以外のバージョンでは、主人公・スターシップの名前を変更可能。
    • 日本語版は独自のデフォルトネームが使用されている。

特徴

  • ゲームジャンルについて
    • 今作のジャンル定義は諸説あるが、具体的に例えるなら「シミュレーションゲームの要素を強めた初代『ゼルダの伝説』式オープンワールドアドベンチャー」といった内容である。
    • ゲームを始めると、プレイヤーが操る宇宙船が太陽系の外周に放り込まれた状態で物語が始まる。このあとプレイヤーは宇宙を自由に旅し、ア・クアン打倒の鍵となるアイテムを揃え、最終イベントを消化すればゲームクリアとなる。
    • ここまでの説明だけだとADVに近いが、今作では「資源を集めて宇宙船を強化し、探索範囲を広げていく」といった要素があり、シミュレーションゲームにも近い。
    • 加えて、RPGでいうシンボルエンカウント制を採用しており、宇宙空間で敵に出会うと戦闘になる場合がある。
      • 接触相手が味方陣営や中立陣営だった場合や、対話を上手く行った場合には戦闘回避可能。
      • このとき行われる戦闘は、前作同様のトップビューによるシューティングとなる。
    • 以上のように、今作のベースはアドベンチャーではあるのだが、シミュレーションの要素にRPG・シューティングといった様々な要素も複合しており、独自性の強いゲームに仕上がっている。
  • ゲームの進行
    • プレイヤーはスターシップを操り、大宇宙の星々を探索する。最終的にア・クアンを倒すための条件を揃え、本拠地を破壊するのが最終目的となる。
    • ただし宇宙を巡るには燃料や人員が必要であり、初期状態ではまともなリソースが手元に無い。
      • そこで星々から資源を集め、スターシップを改造し、探索範囲や資源回収効率を少しずつ上げていく必要がある。RPGで言うところのレベル上げのようなものだろうか。
    • スターシップの改良は、本拠地の地球でしか行うことができない。
      • このため、今作の流れは「資源や情報を集めに遠征する」→「地球に帰還してスターシップを改良する」→「改良されたスターシップで更に遠く・または多くの星を探索する」→「また地球に戻ってさらに改良する」→……の繰り返しとなる。
      • なお燃料補給は地球に戻らなくても別の手段から代替可能なので、ゲームが進むと帰還すら必要なくなるケースも。
    • 画面右には現在の日付が表示されており、少しずつカウントが進む。一部のイベントは時間経過に伴って進むようになっている。
      • そして今作には時間制限が存在する。ある日時になると様々な種族が滅亡していき、最終的には地球も滅ぼされてゲームオーバーとなる。
      • よってプレイヤーは、その日までにア・クアン打倒の手筈を見つけ、打ち破らなければならない。
      • この具体的な日時はゲーム内のヒント(もしくは3DO版説明書巻末のヒント)から確認可能(『UQM』は確認不可、評価点で後述)。イベントの進行によっては発生が延長する場合もある。
  • 資源集め
    • 宇宙に散らばる星からは、様々な鉱石を回収できる。
    • 集めた鉱石を地球に持ち帰ると、様々なエネルギーをゲーム内通貨のように画一化した単位「RU(リソースユニット)」に変換してもらえ、この量に応じて改良や人員投入ができる。
      • 一度装備した部品・人員等は等価なRUに戻すことが可能。あれこれ試せるので融通が利く。
    • RUの取得は鉱石集めだけでなく、宇宙空間でエンカウントした宇宙船を撃破することでも入手可能。
      • この場合は地球に帰る必要はなく、直接その場でRUが得られる。
  • 移動
    • 星々を旅するにはもちろん移動が必要。今作の星間移動はプレイヤーが実際にマップ上でシップを動かして進めていく。
    • マップは「星系周辺」「ハイパースペース<超空間>」の2種類が存在する。
      • いずれもトップビューで、画面に映るスターシップをラジコンの要領で操作し、目的地に進んでいく。
    • このゲームには大量の星系が存在するが、その内部にいる間は星系周辺用のマップとなる。
      • ゲーム開始時は、太陽系内部を模したこのマップがスタート地点となる。
      • この画面では目的の星までスターシップを動かすことで、その星を探索できる。
      • マップは惑星周辺や恒星付近に近づくほどその周辺にズームされる。惑星付近にいる場合は近くの衛星も視認でき、降り立つことが可能である。
      • 無重力空間ゆえ、宇宙船は強い慣性が働くようになっている。スターシップの改良に伴って操作性は改善できるが、慣れが必要。
    • 星系周辺から外に出ると、星系の間を高速でワープできる「ハイパースペース」画面へと移行する。
      • 慣性がかからないこと、シップが大きくズームされることを除き、操作はほとんど同じ。
      • この空間では通常よりも極めて速いスピードで時間が経過するので、星との間を移動していたら数ヶ月経ってしまう場合も。
    • 世界全体のマップ(スターマップ)はメニュー画面からいつでも開くことができる。
      • ここで好きな星系を選んで決定ボタンを押すと、その星系まで自動で移動してくれる「自動操縦」が開始する。
      • 選択時には要する燃料も表示してくれるので、これを参考に探索を進めていけば良い。
    • 宇宙空間は特定の種族の縄張りになっているエリアがあり、その周辺では該当する種族とエンカウントする場合がある。
      • いずれの場合も敵アイコンはシンボル表示されており、接触することでエンカウントが発生。
      • 味方や中立の艦隊であれば会話画面に移行し、敵艦隊であれば艦隊数が表示されたあと交渉に移るかすぐ戦闘するかを選べる。
      • 後者の場合はセーブも可能だが、3DO版では非推奨(問題点で後述)。
    • マップ画面の移動速度はスターシップの改造に応じて向上できるが、移動に要する燃料は変わらないので注意。
      • ただし速度が速いほど、敵機を振り切れるようになる。
  • 資源の回収
    • 惑星や衛星の軌道に突入したあと、その惑星から資源の回収ができる。
    • 画面下にマップが表示されるので、燃料の消費して好きな場所に着陸船を下ろし、星に落ちている鉱物を回収することができる。
      • これもトップビュー・ラジコン操作で進行。
      • 着地位置は星の環境によりブレが生じる。
    • また星によっては生物がはびこっており、これも回収可能。
      • ボタンを押すことで正面に冷凍光線を打ち込み、一定のダメージを与えるとカプセル内にコールドスリープすることが可能。このカプセルに触れることで生物を入手できる。集めた生物はRUにはならないが、後述する買い物でまた別のゲーム内通貨に変換できる。
    • 一度回収した資源は復活しない。
    • 着陸船が一度に持ち歩ける資源の量は制限があり、ストックが埋まったら一旦スターシップに帰還する必要がある。
      • 一度にストックがどれくらい埋まるのかどうかは、拾うまでわからない。所持制限を超過した分の回収物は破棄されてしまうので、制限のギリギリ手前で帰還するのがコツとなる。
    • 一部の星は環境が悪く、以下の現象がランダムに発生する。資源回収中に着陸船が接触するとダメージを受ける。
      • :星のどこかで長距離状に伸びる稲妻が一瞬だけ発生する。
      • 地震:星のどこかから同心円状に振動が広がり、これに接触してもダメージ。
      • 熱波:炎の線が突然発生し、地面を這うように星中を動き回る。
      • 星によってはこれらが激しすぎてまともに探索できない場合がある。それらはゲームを進めることで機体を増強し、防御性能を上げることで探索が可能。
    • この他、生物に衝突してもダメージを受ける。特に高速で船を追ってくる生物には注意が必要。
    • 着陸船は一定のダメージを受けると破壊され、二度と使えなくなる。
      • 地球にて量産ができ、スターシップ内に10隻までストックすることも可能。
      • ただしこまめにセーブとロードを行っていれば、着陸船を複数生産する必要はない(壊れた直後にやり直せば問題ないため)。
    • 探索開始前には星のスキャンが行われ、星の気候や資源の配置を確認できる。
      • この時点で、着地に要する燃料が確認可能(重力の2倍)。
      • それ以外にも天候・地震の危険度から雷や地震の頻度を確認でき、星の気温から熱波の発生頻度も予測できる。あまり危険そうな星なら降りるのを回避するのが吉である。
    • 到着した星が木星や土星のようなガス型惑星だった場合、着陸できない。
  • 体力(いわゆるHP)について
    • 上述の惑星探索や戦闘シーンでは共通した体力の概念が存在する。今作では乗組員の数が体力として扱われるのである。
    • 乗組員は地球から1人3RUで支給でき、戦闘に使う宇宙船や着陸船着陸後の人員として載せることができる。
      • 宇宙船の乗組員数は船の種類によってまちまち。
    • スターシップにはデフォルトで50人まで乗組員を乗せることができ、探索の際は最大12人を着陸船に乗せることになる。
    • 戦闘・探索それぞれの場合において、船がダメージを受けるたびに人が減っていく。着陸船や宇宙船の乗組員が0になったとき、その船は破壊される。
    • 航行中は、宇宙船とスターシップの間で乗組員の移動がいつでも可能。
      • よって宇宙船は単なる戦闘機としてでなく、乗組員を持ち歩くためのタンクとしても活用できる。
    • 人の数がそのまま体力の値に換算される都合、今作は命の価値があまりにも軽く、ただの数値としか扱われていない。ピクミン』も『レミングス』も比べ物にならない無常っぷりである。
      • 「最も命の価値が軽いビデオゲームランキング」なるものを作ったら、今作は間違いなく上位にランクインするだろう……
      • 『ピクミン』でありがちな不殺プレイは困難を極めるのでおすすめしない。*5
      • とはいえゲームの進行次第では、乗組員のぞんざいな扱いが判明してRUが増加してしまうので要注意。人事は大切。
  • ホームワールド
    • 一部の惑星は特定種族の本拠地となっており、作中では「ホームワールド」と総称されている。
      • ここでは種族のリーダーと対話ができるため、シナリオの進行においてしばしば重要な星となる。
    • 敵対する種族の場合は強制的に戦闘が発生する。
      • この場合は敵機が無限に沸いてくるため、逃げる以外の対処法は存在しない。
  • 買い物
    • 舞台となる宇宙ではメルノームと呼ばれる種族が各地を巡航しており、様々な"情報"を買い取ることができる。
      • ゲーム攻略のヒントはもちろん、スターシップや着陸船を強化するための"技術情報"も購入できる。前者は悪天候などのダメージを無効化でき、後者は新たな装備をスターシップに搭載できるので、重要度は大きい。
      • この他、燃料も購入可能。
    • 購入にあたっては「クレジット」というゲーム内通貨が必要になるが、これは捉えた生物1体につき2点分と交換できる。
      • 生物がいる星は限られているので、メルノームとの交易をこなすためにはどんどん生き物を集めたほうが良い。
    • メルノームは特定の星に常駐している他、特定の条件を満たした場合は即座にかけつけてくれる。
      • 後者に気づいてしまうと、攻略がグッと楽になる。
    • なお情報を聞くだけ聞いて支払い前のデータをロードしてもペナルティは特にない。
      • プレイヤーにしか使えない手段を通じて情報を強奪されるという、何とも不憫な商人である……
  • 対話
    • 出会った異星人とは様々な会話ができる。ゲームクリアのためには、対話を通じて様々な情報を引き出さなければならない。
    • 会話中は選択肢が表示され、何を選ぶかによって進行が変化する。
      • 友好的に接するか、敵対するかはプレイヤー次第。
    • 会話の内容に応じ、デバイスと呼ばれる進行必須アイテムがもらえる場合もある。
  • 戦闘
    • 前作からほぼそのまま引き継がれている要素。トップビューの宇宙空間で宇宙船を360度動かす2Dシューティングとなっており、敵機に一定のダメージを与えれば撃墜できる。
    • 無重力空間が舞台となるため、移動時は無限に慣性が働き、氷の上を滑っているかのような難しい操作感が待ち受ける。上キー入力によって前進しない限り、衝突や攻撃の反動であらぬ方向に飛んでいく。
    • 攻撃にはエネルギーを消費する。
      • これはゲーム開始時に満タンとなっており、時間経過に応じて回復する。
      • 普通のシューティングゲームのように弾を好きなだけ撃てるわけではないので、敵に近づいた時にのみ慎重に撃たなければならない。
    • この戦闘は、1vs1の戦闘を繰り返すチーム戦として行われる。
      • プレイヤーは地球から前もって宇宙船を用意することができ、この中から一機ずつ選んで戦いに臨む。
      • その他、スターシップ自体も戦闘に参加させることができ、地球で整えた装備を使って戦闘に臨むことができる。
      • 敵機を全て撃墜すればプレイヤーの勝ちで、スターシップが撃墜されればゲームオーバーとなる。
    • 宇宙船の性能は、登場する種族によって個性豊かな性能を持つ。
      • 一定確率で自動復活したり、ホーミング弾を撃ったり、途中まで姿を消せるなど千差万別。
    • 戦闘中にBとRを同時押しする(PC版はescキーを押す)ことで、緊急脱出装置が発動する。作動から一定時間で戦闘から脱出し、宇宙船であれば機体を選び直して仕切り直し、スターシップであれば戦闘からの離脱ができる。
      • 要はRPGで言う「にげる」コマンドに近い。
      • 作動中は無防備となるので注意。
  • 本編とは別に、スーパーバトル<スーパーメイレー>と呼ばれる対戦モードも実装されている(前作から引き継がれた内容)。
    • ここでは様々な艦隊を編成して1対1で対戦ができる。CPU対戦と対人戦の両方が可能。
      • 本編での戦闘を練習する目的にも使用できる。

評価点

今作が海外で絶賛された最大の理由は、92年のゲームとして規格外な規模の世界観・自由度にある。

  • 「宇宙を探索してラスボス打倒の鍵を見出す」というのが本作の目的だが、その過程でどこを旅するかは基本的に自由。ゲーム開始時に地球に向かい、一通りのチュートリアルを済ませた後は、プレイヤーは本当に何をしても構わない。
    • ゲームの最終目的は、ア・クアン率いる敵軍を打ち滅ぼし、地球に平和を取り戻すこと。このゴールにさえ辿り着くならば、その過程で基本的に何をしても良い。
    • 一般的なJRPGのような一本道の攻略順序は決まっておらず、必要なアイテムを好きな順番で回収することができる。
      • レベルの概念は無いのでどこから回っても問題なく、様々な情報を推理して気になる場所から探索を始められる。
    • 相対する異星人とは仲間にも敵にもなれる。これもプレイヤーの自由。
      • ひたすら喧嘩を売ってRUを稼ぐもよし、慎重に話を進めて情報を引き出すもよし。
      • あまり対立してばかりいるのは一見デメリットにも見えるが、異星人の中には対立したほうが良い情報を教えてくれる者がいたり、むしろどんどん戦った方が有利になるケースも見られる。決して不利一辺倒になるわけではない。
      • このシステムは今で言うフリーシナリオに近いが、そのルーツにあたる『ロマンシング サ・ガ』は今作と同年。ジャンルとして成立する前に似たシステムを取り入れていた先進ぶりである。
      • ついでに、広大な世界の領地がプレイヤーの行動に応じて次々変化していくシステムは『ロマサガ2』をも先取りしている。
    • 詰み対策も整っており、攻略に有利な情報の大半は複数のルートから入手できる場合がほとんど。
      • フリーシナリオ制ゆえ取り返しの付かない要素は多いものの、フラグ管理による詰みは無く、大抵の状況において*6理論上は必ずゲームクリア可能。必要なアイテムが入手できなくなっても、ゲーム終盤のとあるイベントで強引に回収することができる(意図的に狙う場合はゲームを長時間放置しなければならないが……)。
  • その自由度が活きてくるのは、広大な世界観あってこそ。今作の冒険の舞台はとにかくだだっ広い。
    • その世界の広大さたるや、ビデオゲームが3D化して以降のよく知られるオープンワールドにも引けを取らない。目一杯の大きな銀河がプレイヤーの庭となる。
      • 登場する惑星の数は約3000にも及び、星系で言えば100以上。その一つ一つが探索の対象となる。
    • 以下、今作の世界観の広さを視覚的にわかりやすく解説する。

※投稿者注:記事作成時に画像追加予定

+ 詳細

今作では、地球からスターシップを飛び立たせ、以下のような星を舞台に資源採集を行う。

画像:資源採掘

この星は、下記のような惑星や衛星ひとつにつきひとつずつ中身が用意されている。

画像:惑星周辺

これらの星は下記のような星系ごとに1〜9つ用意されており…

画像:星系全域

そんな星系が宇宙空間に多数。下記マップの光る星一つ一つが星系である。

画像:スターマップ直近

これをズームアウトしていくと…

画像:スターマップ全体

この全てが冒険の舞台である。

  • ゲームを初めて遊んでマップを開いてみれば、思わず声をあげたくなる広大さが待ち受けている。
    • ただしこれらの星全てを探索するわけではなく、プレイヤーは断片的なヒントを頼りに手がかりのある星だけを見つけ出す必要がある。文字通り、藁の山から針を探す覚悟で挑む必要がある。
  • この広大なフィールドにおいて、プレイヤーが異星人との遭遇を果たすたび、その種族の勢力圏が地図にマッピングされていく。
    • 始めは全貌の見えない世界観だが、遊ぶにつれて彩りが増していき、達成感と高揚感を得られる。
  • 後述する複雑な仕様も相まって、そのボリュームは3DOソフトとしても最高峰。
    • ノーヒントで挑むなら、エンディングに辿り着くまでに40〜100時間は想定されるので、腰を据えて遊ぶことができる。
    • 長丁場ゆえ、エンディングにたどり着けた際の感動もひとしお。
  • 今作を語る上でもう一つ欠かせないのは、徹底的に練り込まれた世界観である。
    • このゲームの舞台は『スター・ウォーズ』や『スタートレック』を彷彿とさせる綿密な世界観が構築されている。
      • 後年の開発者インタビューによると、今作は多数の著名なSF作品からインスピレーションを受けたとのこと。
      • 方向性としては『D&D』『ウォーハンマー』といった、欧米の非電源ゲームに見られる徹底的な背景設定に近いだろうか。
    • ストーリー自体も、単純明快ながら燃える内容。
      • 「たった一機しか残されていない絶望的状況から、かつての仲間たちを見つけ出し、勝利を手にする」という熱い背景設定に始まり、ラスボスの倒し方もまた、このゲームへの愛着に比例した葛藤が待ち受ける。
    • 作中の種族は攻略の範疇にとどまらないレベルで背景設定が作り込まれており、聴いているだけでも楽しい。
      • 宇宙の存亡をかけた物語なのに、出会う種族は地球人と同じ「人間臭さ」を持つものばかり。他種族との軋轢に葛藤するもの、自らの哲学を信じて敵に立ち向かうもの、自らが状況を利用して悪事にいそしむ者もいれば、卑屈さに喘ぐもの、好きなスポーツの話をして仲間に止められるものなどなど……「巨大勢力によって滅びかけた世界」というシリアスなイメージと裏腹に、登場する種族からはお茶目な俗っぽさが垣間見える。
      • 節々に見られる、欧米らしい小気味なジョークも印象的。
      • 次はどんな異星人に逢えるのだろう?という好奇心は、このゲームを進めるための大きな動機づけとして機能している。
    • 以下、今作の雰囲気を知ってもらうための解説を兼ねて、登場する印象的な種族の一部をここで紹介する。
      • ただし今作は未知の種族との遭遇も魅力の一端であり、ゲームを楽しむうえでは大きなネタバレになりかねないため、これから遊ぶ可能性のあるプレイヤーは無理に全部読まないことを推奨する。
+ 詳細
  • ゲームを始めて序盤に会える種族・スパティは、別種族(後述)のイタズラで意図せずラスボスとの同盟を結ばされたかわいそうな背景の持ち主。
    • 高めのボイスに加え、『寄生獣』のミギーを彷彿とさせる単眼の見た目は愛嬌があり、今作序盤の癒しと言っても良いキャラ。
    • そんな愛嬌に反し、酷い臆病さから卑屈な言動を繰り返してプレイヤーを振り回す一面もあり、ゲーム早々にして壮大なストーリーと対照的な人間臭さに戸惑うことになる。
      • そして彼らとのイベントを最後までこなすと、その印象が変わってくることに……
  • 特徴の項で触れたメルノームは「情報」の探求に快感を覚える種族であり、売買するのは実体のない「情報」がメインとなる変わった商人である。
    • 商人らしくやりとりは礼儀正しく、低くて落ち着いた声で語りかけてくるのだが、堅苦しそうな設定に対して見た目は愛嬌があって何とも憎めない。洋ゲーらしいクリーチャー感はあるものの、星形の体に単眼という、ともすれば『星のカービィ』に出てきそうなデザインが特徴*7。見た目とのギャップが激しい。
      • 彼らもまた、ライバル業者のネガキャンをジョーク混じりに話すという、どこか憎めない一面がある。
  • そこでネガキャンされた商人・ドルーグ<ドルージュ>にはゲームを進めると出会えるが、ストーリーが進むにつれメルノームのネガキャン行為に納得せざるを得ない悪辣さが浮き彫りになる。
    • 場合によってはプレイヤーも彼らの悪事に加担できる。今作の自由度の高さが生きる場面である。
  • 先述のスパティを陥れた種族・ウンガはジョークに定評のあるイタズラ好きの種族ということで、銀河中で一目置かれている。
    • しかしそのイタズラというのは上述のように一種族を戦争に巻き込むことに始まり、邪教を信じている種族に神を騙る通信を送り大虐殺・紛争を引き起こすなど、ジョークと言えば何をしても良いと言わんばかりのお茶目さを持つ。
      • ある種族に対しては今作の戦争の原因になった危険生物を送り込もうと企んでいた。
      • 幸い、その生物にウンガが種族ごと洗脳されてしまったことで未遂に終わる。当該の生物もウンガを乗っ取って好き放題始めようとするのだが、ジョークのキレが悪くなっていることを理由に洗脳がバレる。
    • 紆余曲折してウンガを助け出すと、ジョークと称して主人公に「最大の敵」という名誉を与え、遭遇するたびに面白がって攻撃してくるようになる。ゲーム的にも性格的にも関わり合いになりたくないタイプの種族である……
  • 宇宙のジプシー・サイリーンは人間の女性に近い姿をしており、その隊長は今作のメインヒロインと言うべき立場。
    • ゲームを進めると母星を滅ぼした種族に復讐すべく立ち上がる。シリアスな背景の持ち主。
    • ところがそんな背景設定とは裏腹に、彼女と話す際は露出度の高い格好に突っ込みを入れられたり、セクハラじみた発言を含む選択肢が選べたりする悪ふざけっぷり。同ハードの『ポリスノーツ』のようなノリである。
    • 特にゲームを進めると攻めた選択肢が待ち受けており、主人公のキャラ崩壊っぷりは必見。
      • 今作は今で言う全年齢レーティングが付けられているが、Steamのストアページでは彼女のせいで性的表現周りの注意書きが記されている。
  • 日本人をエスニックジョーク全開で擦りまくった、濃すぎるアライグマ・ショフィクスティ<ショフィックスティ>
    • おそらく元ネタはマーベルヒーローのロケット・ラクーン。2025年現在でこそそれなりに知られているアメコミキャラクターだが、映画『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』(2014)で銀幕デビューする以前は知名度が低く、後に『MVC3』へ参戦した際は世界のプレイヤーから「誰?」と言われたほどだった。スタッフの先見性おそるべし。
  • たまたま容姿をバカにしたのがバレたのをきっかけに、人類と絶縁状態を貫く種族・VUX
    • 作中に登場する司令官は唯一友好的な姿勢を見せるのだが、海外のファンをして「ア・クアン以上に地球に来てほしくないヤバい奴」と評される変態である。その抜け目のなさから末路までキャラが濃く、何だかんだで人気者。
  • 戦闘民族……と言えば聞こえはいいが実質おバカ枠の脳筋・スラダッシュ
    • リーダーが交代するたびに「第(数字)文明」と適当な名前を付けたり、「忘れ物したから取りに行かせてくれ」と言われて危うく種族の宝を奪われそうになったりと、現在まで生きているのがある意味すごいオツムの弱さ。
    • 作中では彼らのおマヌケっぷりを活かして宝を強奪することになるが、別種族のマイコンは似たような行動を取るにもかかわらずしっかり警備しているのに、こっちは警備を全部放置するという、これまた丁寧なキャラ描写がある。
  • いわゆる"現場猫案件"で全宇宙に殺戮マシンを繁殖させたガス型生命・シランドロ<スライランドロ>。
    • このマシンはメルノームが売却したものだが、彼らは契約時の免責事項を盾に責任を逃れている。
  • 短足が生えたキノコのようなかわいい見た目をしていながら、地球型の青い惑星を次から次へと溶岩まみれにする破壊爆弾をばら撒く害悪種族・マイコン。見た目とのギャップがすごい。
    • 関連イベントは攻略必須なのに取り返しがつかず、それでいて正規ルートがわかりづらいので、最終手段としてラスボスに絶滅させてもらったプレイヤーは少なくないと思われる。因果応報?
  • レイマンを小学生並みのセンスでデッサン崩壊させたような、凄まじい見た目の種族・プカンク。ゲーム画面からデッドスペースを徹底排除したルックスは必見。
    • しかもその性格を有体に言えばスピオタ。勝手な預言を受け取って自滅へと向かい始める。
      • 3DO版は彼らのせいでマップを開くたびに遅延が発生するので、ヘイトを貯めた人も多いのでは……
    • そんな彼らの船は破壊されても一定確率で復活する脅威的な能力を持っており、キャラの電波っぷりに反してプレイヤーからの人気は高い。
      • いちいちハレルヤが流れるのも強烈なインパクトを誇る。
  • 高いプライドを持ちながら、自軍の臆病ぶりとショフィクスティの恐るべき行動力に苦心し、対立しながらも主人公たち地球人を気にかけてくれるイエハット
  • 3人1組で現れ、他愛のない掛け合い漫才を披露するゾック・フォト・ピック
    • 彼らもメルノーム同様の一頭身。かわいい。
    • 1人が好きなスポーツを布教しようとして別の1人にウザがられたり、真ん中の奴だけ絶対に喋らないので主人公に突っ込まれたりと、彼らもまた癒し要員となってくれる愛嬌の持ち主である。
  • そしてタイトルにもなっているア・クアンさえも、ゲームを進めていくと単純な悪ではないことが判明する(説明書のヒントでネタバレしているが)。
    • 「全宇宙種族の奴隷化」を目標に動いていた彼らは地球人たちにとって絶対悪でしかないのだが、実はもっと危険な種族と戦っており、ア・クアンはそれを抑え込めていたことが発覚する。
      • その種族コー・アーは全種族の殲滅が目標で、しかもア・クアンよりも強大な勢力。早くクリアしないとこいつらがア・クアンを打ち滅ぼし、作中の種族をひとつずつ順を追って根絶やしにしてしまう
      • 最終的に、その魔の手が地球に及ぶとゲームオーバー。今作最大の敵はア・クアンではなく、後から登場するコー・アーなのである。
    • そんな2つの種族だが、ある惑星に住む種族から話を聞くと、その動機も知ることができる。
      • 単なる快楽で暴力を振るっていたわけではなく、屈辱に満ちた歴史が明かされ、単なる善悪二元論では収まらない世界観を味わうことができる。
  • 3DO版は先に出ていたPC版に比べ、様々な要素が改良されている。
    • 惑星探索時、PC版では資源・生物・攻略関連施設を別途手動でスキャンする必要があったのだが、3DO版ではまとめて実施してくれるようになった。
      • スキャン時の演出をスキップし、結果だけ見ることも可能。
    • 惑星探索時のカメラの視野が大きくなり、プレイが快適になった。
    • ハード性能向上によりドットの拡大縮小が容易となったため、戦闘シーンでカメラのズームがスムーズに行われるようになった。
    • CD媒体になったことでボイスが追加された。
      • ありがたいことに、昨今のフルボイスゲームでもなかなかお目にかかれない早送り・巻き戻しを実装。聞き逃した際の再確認やロード後のスキップを快適に行える。
      • ちなみに日本語版は青二プロダクションの声優陣による吹き替えが行われているのだが、あの塩沢兼人氏がなんと6役*8も担当しているのでファンは必聴。各種族を細かく演じ分けたうえでボイス加工も加わっているので、全部当てられたら相当なマニアだろう。
    • 同じくCD媒体の採用により、ムービーが追加された。
      • オープニングやエンディングは3DCGによるプリレンダリングムービーが実装されている。
      • 注目すべきは、スーパーバトル<スーパーメイレー>に各機体の簡単な紹介ムービーが追加されたこと。本編では小さくデフォルメされていた宇宙船がCGでリファインされ、ドット絵からは想像もできないカッコ良さになっているので、一通り遊んだらふと立ち寄って見てみるのもおすすめ。
    • BGMはCD音源を活かして大きく強化。DOS特有の音質から大きくグレードアップしている。
      • 中でも、作中で聴く機会の多いHYPER SPACEは壮大で耳に残る名アレンジとなっている。
    • 日本語版に限り、原語版でカットされた重要な会話が吹き替え付きで正しく収録された。
      • PC版では、ある日時までにクリアしないと全種族が滅亡するイベントの存在をメルノームが教えてくれたのだが、重要度の高さにもかかわらず英語版では聞けなくなっている。
      • 『UQM』でもこの点は改善されていないので注意(もちろん翻訳パッチを当てた場合も同様)。
      • とはいえ、3DO版では説明書巻末のヒントとしてもこの事実が掲載されているので、全部自力で解きたいというプレイヤーでなければ実害は小さかったりする。

賛否両論点

  • ファミコンソフトばりの突き放した難易度設計
    • 92年の洋ゲーだけあって、今作は自力でのクリアがかなり難しい。システム面を正しく理解しないと攻略がほとんど進まず、謎解きについてもプレイヤーの的確な記録スキルが求められる。
      • もし今作をできるだけ自力でクリアするなら、場合によって最初からやり直し、2度目や3度目の周回プレイをする覚悟で臨まなければならない。
    • まずシステム面からしてややこしく、ゲーム開始まもなくは仕様の理解に苦労する。
+ 以下、始めたてのプレイヤーがつまづきやすいポイント(攻略のネタバレ注意)
  • クリアへの導線が全然見つからない
    • 燃料をケチって資源集めに精を出すと引っかかりやすい。
    • 今作でヒントを得るには、遠出して宇宙人と遭遇する必要がある。太陽系周辺をうろついていてもヒントのある星はほとんどなく、燃料を一気に使って遠出しなければゲームは進まなくなっている。
  • 戦闘が難しい
    • まずシステム面には複雑な部分がそれなりにあり、きちんと説明書を読まないと痛い目を見る。
    • スターシップでは武器を追加できるのだが、特定の位置にしか積めないため存在を見落としやすい。
      • 具体的には先頭3列と最後尾にのみ搭載できるのだが、ここにしか選択肢が出現しないので気付かないままゲームを進めてしまうことも。
      • この仕様は説明書にも記載されているのだが、日本語版ではこの装備だけ記載ページが一つ後ろとなっており、見落としやすさを助長している。
    • 逃走システムが実装されているが、これも初心者のうちは見落としやすい。
    • そして序盤からエンカウントする敵が極端に強く、強化版スターシップや特定の宇宙船以外では突破が困難。
    • まず今作はゲーム開始時から無限湧きする雑魚敵「シランドロ/スライランドロ」が存在するのだが、ある程度強化したスターシップを使わない限り勝つのはほぼ不可能。
      • 『ドラクエ』で言うスライムのような雑魚敵が、今作はゲーム最初の中ボス並みの強さで襲いかかってくるのである……
      • より具体的に書くと、この敵は不規則に動きつつ自機を拘束して体力を削るというもので、正面から戦うとまともに反撃できず殺される。
    • 太陽系の近くにいるせいで序盤から戦える種族・イルラスも規格外の強さ。
      • こちらは近づくまで消滅して反撃を許さず、近づいたら大量の弾を打ち込んで即死させてくる。ゲームをかなり進めないとまともに戦うことはできない。
      • ただしこちらは基本的に戦いを避けるべき相手として調整されているとも言える。
    • とはいえ機体の選択や戦法の調整などを駆使することで、方針次第ではこちらの勝利も狙えるようになっており、その戦略性の高さを評価する向きもある。
      • 後述するように3DO版は戦闘前会話画面でのセーブが非推奨のため見落としがちだが、エンカウント直前にセーブするなどして自機を失わないよう何度もリトライすることで勝機が見える場合もある。
  • RUが枯渇する
    • 実は上述の戦闘で律儀に敗北後もセーブし、いちいち宇宙船を作っていると、RUが足りなくなってつぶしが効かなくなる。
      • よって戦闘前には機体を失わなくなるまでトライ&エラーを繰り返すのが正攻法
      • どの宇宙船も逐一作り直す前提では見合わないコストが設定されており、いちいち製造しなおすのは大きな罠である。
  • 星を見落とす
    • 詳しくは問題点で後述。
  • そして謎解きの難易度がそれなりに高い。たとえ商人メルノームから全部の情報を引き出しても、プレイの段取りを間違えればわりと手詰まりに陥る。
    • 攻略に必要な情報を引き出すには様々な会話を引き出す必要があり、一度チャンスを逃すと聞けないものも多い。
    • 3DO版は説明書巻末にヒントが載っているが、これを読むのはほぼ必須。ここで掲載されているホームワールドの一部は攻略上重要でありながら、作中にヒントがほとんど無い。
    • 中でも、種族の一つであるスポックスは攻略上絶対遭遇しないとクリアできないのだが、領地が狭いせいで自力で会うのが難しい。
  • ごく僅かではあるが、ガセネタや誤情報、何の収穫もない会話を流してくる場合もある。
  • 今作でも特に意地悪なのは、ある生物の所在地のヒントとして出される星座だろう。
+ ネタバレ注意
  • このイベントでは、ある宇宙人に珍しい生物を渡すことで重要アイテムと交換するのだが、その際に伝えられる生物所在地のヒントは「生き物を喰らう細長い生物を示す星座の黄色い星」*9というもの。しかし該当する星座であるDraconis<りゅう座>の黄色い星に行っても何もなく、完全な罠。
  • 要するに、上述したガセネタのひとつである。これはあくまで「古代人の記録」という体裁なので、記録が間違っていたというものらしい……
  • 今作には「りゅう座」以外に「うみへび座」「きりん座」などが存在するが、この状況でやまねこ座が正解と言われて納得できるだろうか…
  • また3DO版では星座がラテン語なので、日本人にとって不要な翻訳を強要される。実際は全星座を訳したところで何の意味もないので注意。
  • 実は別件でヒントがもらえる会話があるので、そちらに従うのが正解である。その会話を見る条件は「ある宇宙人に喧嘩を売ってわざと敵に回す」または「ある宇宙人を25体倒して仲間になってもらう」のいずれかなのだが、どちらにしても厄介。
  • 敵対することでヒントを得られるという発想にはどうしても届きづらいのは言わずもがな。後者は作中のヒントから推測は可能だが、何体倒せば仲間と認めてもらえるか説明がなく、倒した数に応じてテキストが変わるなどの導線もないので、やはり条件に気付きづらい*10
  • ちなみに指示通りの星に行くと後者の宇宙人に遭遇できるので、おそらく本来は後者を通じてヒントを得るのが正規ルートと見られる。
  • ただし今作は「ノーヒントで総当たりしないと絶対に突破できない」という場面がほぼ存在せず、どう攻略するにしても何かしらヒントを得ることができる。
  • 何度も遊んでいればクリアに辿り着くチャンスがあるので、じっくり情報を集めて攻略の快感を味わう昔ながらのゲームさながらの魅力が詰まっているとも言える。

問題点

  • テンポが悪く、地道な作業を求められる場面が多い。
    • 今作最大の問題と言っても過言ではなく、1992年のPC洋ゲーだからこそ許されていたゲームスピードと言っても良い。
    • 今作は移動のテンポが悪く、プレイ時間の多くを移動に費やすことになる。
      • 星系から星系への移動はリアルタイムで数分かかることもあり、手元で時間を潰すための準備は必須。遊んでいるうちに漫画の1冊は読めてしまうし、PCで遊ぶならブラウザを隣で開いてアニメを何本か消化できるレベル。
    • 星系に入った後は、惑星と惑星の間を宇宙船で航行する必要があるのだが、これも少し煩わしい。
      • 宇宙空間ゆえに慣性が強く働くので、操作性もよろしくない。
      • 星系によっては惑星が最大9個あり、場合によっては複数の衛星がある。資源や情報を求めて地道に探索しようと思うと、相当な時間がかかる。
      • 星系内の移動は操作をする都合、本を読んだりもできない。現代ならPCのブラウザで動画を見ながら遊べるのが救いだろうか。
    • 補足しておくと、ある条件を満たすことでファストトラベルに近いワープ機能が使えるようになる。
      • ただし情報を手に入れるには様々な手順を踏む必要があるので注意。
      • 3DO版では、入手条件の大部分がわかるヒントが説明書に掲載されている。
  • 一部の星が小さくて見づらく、攻略の妨げになる。
    • 移動シーンの背景は遠くの星がまたたいているのだが、小さい惑星はこの背景と同化してしまい、ゲームに慣れないうちは星を見落としやすい。
      • ただし惑星の周回軌道ははっきり見えるので、ここに注目すればある程度確認しやすくなっている。そこに気づくまでが問題だが……
    • 酷いことに、ゲーム序盤の重要地点である冥王星でこの問題が発生する。
      • ここにはある異星人が駐屯し、ゲーム序盤のチュートリアルを兼ねたイベントが発生するのだが、画面上での表示が小さすぎてスルーしやすくなっている。
      • ゲーム序盤でヒントはもらえるうえ、まず発売当時は太陽系の一つであったため立ち寄りやすくはなっているのだが、それでも小さすぎてわかりづらい。
      • 特に現代の若年プレイヤーが『UQM』などで遊ぶ場合、「発売当時はまだ冥王星が惑星の一つだった*11」ということを知らないと殊更見落としやすいので注意。
    • 現代のPCは画質が向上しているのでこの問題は多少マシになっているが、基本的にアナログ出力しかできない3DO実機はドットが潰れやすいので要注意。
  • 3DO版以降は全言語共通で、マイコンという種族のホームワールド位置のヒントが欠落している。
    • 元々PC版ではマイコンに接触すると具体的な座標を教えてくれたのだが、3DO版ではこれが欠落し、『UQM』でも修正されていない。
    • この星の訪問は、ゲーム終盤のある救済策イベントを利用するのでない限りは消化必須となっている。
      • 厄介なことに、マイコンの領地はもう一つ重要なイベントの含まれる星があるため、そこと誤解して重要イベントが発生せず詰まる事例が跡を断たない模様。
    • 3DO版は説明書に全ホームワールドが掲載されているため、自力で解くのを諦めてこれに頼れば辿り着けるようにはなっている。
      • 『UQM』で遊ぶプレイヤーは要注意。
  • 攻略に必要な惑星の情報を手に入れた場合、広大なマップから自力で惑星の位置を探さなければならない。
    • 現代ではインターネットで攻略情報を見ることで対策可能。 こればっかりは自力でやっても意味がないので、素直に調べることを推奨する。
      • 特に『UQM』の日本語化パッチ配布サイトでは、スターマップ(攻略のネタバレなし)まで配布されている。
    • もしネットを使わない場合、100以上の星に一つずつカーソルを合わせ、どこにどの星があるかいちいち調べないと目的地に到達できない。
      • できれば手元にメモを用意して「どの星座がどのあたりにあるか」を管理するのが望ましい。
    • 星の配置はまばらなので、いちいち調べるのも大変。
    • 酷い罠として、マップをズームしないと見つからない星がいくつかある。
      • 攻略に関係する星でそのようなものは存在しないが、あろうことか攻略に必須だと誤認させるような星がこの問題に該当する。
+ ネタバレ注意
  • その星は、主人公の故郷であるVela。
    • 大きく輝く星のすぐ近くにあるため、ズームしないと絶対カーソルが合わせられず、そもそも視認すら困難になっている。
    • 故郷、それも今作のスターシップの設計図が置かれていた星ということで重要地点に思えるのだが、いざ行ってみると「故郷が征服された」という事実を突きつけられて戦闘になるだけで、攻略に必要なイベントは一切存在しない。
    • 見つけづらい星を攻略から外した、という意味では良心的なのだが、頑張って探した末に攻略と一切関係ないイベントしか起きないという、一種のぬか喜びを味わうことにもなる。
  • 通常のスターマップの他にも、ゲームを進めると訪問できるファストトラベル用地帯・サブスペース<準空間>も不便。
    • ここでは特定の空間に到達することでスターマップの所定の位置にワープできるのだが、どこに入るとどの座標にワープするのか入ってみるまでわからず、自力で遊ぶ場合には全座標を手作業でマッピングする必要がある。
    • ワープ先は15箇所もあるので、こちらも自力で管理するのは面倒。ストイックに遊びたいという人でなければ、素直に攻略情報を読むことを推奨する。
  • 会話シーンは字幕が無く、内容を把握するにはボイスを全て聞かなければならないのでテンポが悪い。 『UQM』では改善済み。
    • ちなみにPC版は自動で流れる字幕を眺めるというものだった*12ので、ボイスが付いて豪華になった分これでも改善されている。
    • 厄介なのは、当時の媒体による音質の悪さ。固有名詞を聞き取りづらく、メモを取る際に一苦労である。
  • 3DO版はセーブデータの管理に関する不備が多い。 いずれも『UQM』では発生しない。
    • カーソルのデフォルトが1番目固定なうえ、セーブは確認なしに即実行される。
      • 今作は多数のセーブを同時進行させるのが有用となるが、この仕様のせいで1番目のデータを上書きしてしまうリスクがある。プレイの際は先頭のファイルを使わない(もしくは消してもいいデータだけ残す)ことを推奨する。
    • 3DO本体で管理されるセーブファイル名がゲーム内表記と合っていない。
      • 今作のセーブデータはゲーム中で1〜10の番号が振られているのだが、3DOのファイル管理画面ではなぜか0〜9が振られており*13、1ずつズレている。
      • 空き容量を確保する際、ファイルの誤削除を引き起こしやすいので要注意。
    • 敵戦闘前等の会話画面でセーブするとデータが破損する恐れがあり、実質セーブ不可。
      • 説明書には別紙で警告用の紙まで同封されていた。『ザ・ホード』の時といい、何ともお騒がせな会社である……
      • 説明書なしのソフトを中古で買う人や、説明書を読まないで始めるタイプの人は気をつけるように。
      • 戦闘前というのは最もデータを保持しておきたい場面なのは言うまでもなく、かなり厄介な仕様である。
      • 今作の戦闘は難易度が高く、トライアンドエラーを前提とした難易度になっているため、この仕様はかなり厄介。
      • 特にしわ寄せが大きいのはラスボス戦。難易度の高い戦闘シーンが存在し、本来は途中のインターバルでセーブを挟めるのだが、これができなくなった事で難易度が上がっている。
  • PC版では各種族の後日談(メタ発言含む)がエンディングで見られたのだが、3DO版では削除されてしまった。 『UQM』では改善済み。
    • 散々な扱いを受けたあるキャラがちゃっかり生存している描写や、滅びかけていた種族が再興を目指すことが示唆される描写など、世界観の掘り下げにも一役買う部分があったためなんとも惜しい。
  • 3DO版はローカライズにやや難あり。どうやら翻訳スタッフ同士の意思疎通が取れていない。
    • まず一部の訳語がまともに統一されていない。
      • 作中の星座は全て右上に英語で表示されるのだが、作中で別の発音で読み替えている部分がいくつか出てくる("Pelsei"(ペルセイ)をペルセウスと呼ぶなど)。
      • 発音も統一されていない。種族名の"Orz"が「オルズ」と吹き替えられているのに、画面上だと「オーズ」になっている。*14
    • 特に以下の会話は顕著。ゲーム序盤から聞ける事もあり、特に目につくであろう内容である。
+ 詳細

主人公:お前たちに危害は与えない。落ち着け

異星人:楽にする?そうか、つまりそれはストレスを解消せよというわけだな。ならば我々はお前らを殺すことでこのストレスを解消しようではないか!

  • 字幕担当と吹き替え担当が互いの翻訳内容を把握しておらず、しゃべってもいない単語を聞き返している。
    • いずれも原語は"relax"。
    • 『UQM』の有志翻訳だとこの問題は生じていない。ちなみに日本語で自然に訳すのが難しいためか、『UQM』の該当シーンは発言者の性格に沿って大胆に意訳されており、3DO版は原語版のニュアンスにより近いものとなっている。
  • この翻訳のチグハグさは説明書にも及んでいるのが厄介である。
    • 武器名はゲーム中だと一貫して英語表記なのだが、説明書ではわざわざ日本語訳されているせいで、どの武器を説明しているのか分かりづらくなっている。
  • 一番の問題は、クリアに必須となるトーキングペット<話すペット>入手イベント。攻略の妨げになる致命的な誤訳がある。
    • 該当イベントの訳文は会話の背景にある状況がくみ取られておらず、攻略の導線が失われ、自力での突破が厳しくなっている。
    • 『UQM』の有志版翻訳は原語版を忠実に訳しており、特に問題は起きていない。
+ 詳細

このイベントを簡単に説明すると「洗脳能力を持つ生物に対し、洗脳を無効化するアイテムを所持して対話を試みる」というもの。
進行に必要な条件が満たされている場合、本来であれば以下の会話を挟んで戦闘が開始し、敵機を全て倒せばゲームが進行する。

何ぃ! お前を操れない!?
お前の精神は閉じている.. いったいどうやって?!
ならば... もっと直接的な方法だ
ウンガの司令官、戦闘艦を10隻出撃させ この侵入者を今すぐ攻撃しろ!

(有志翻訳版より。原文もほぼ同じニュアンス)

ところが3DO版では…

あぁ…お前は私に対して心を閉ざしている!
こうなったら、もっと原始的な手段に訴えねばならなくなった!
司令官よ!ただちに攻撃せよ!

となっており、洗脳が無効化されたという描写と、敵機が10隻あるという重要な情報が抜けている。

しかも上記会話の前には、この生物が洗脳によって自殺をそそのかす描写が入るのだが、3DO版翻訳班は単に「死ね」というニュアンスの煽りと誤解して訳し*15、一部会話に至っては文章そのものを不要とみなしてカットしている。

  • 本来は「お前を操れない!?」というテキストのおかげで「敵の洗脳を打ち破った」→「洗脳無効化アイテムに関するフラグが消化される重要イベントを進めた」と気付けるのだが、日本語3DO版は「生物が主人公をあおり散らかして勝手に逆ギレし、敵対的な態度を察知して攻撃してくる」という解釈になっており、重要なイベントだとわかりづらくなっている。
    • どうやらこの翻訳担当者は、この生物が洗脳能力を持っている前提情報を認知していなかったようである……
    • 幸い、勘のいい人ならば「心を閉ざしている」が洗脳のシャットアウトと解釈できるのが救いだろうか。
  • さらに本来の会話であれば「敵を10機壊せばゲームが進む」と自然に読み取れるのだが、この部分を削ったせいで無限湧きと誤解しやすくなっており*16、戦闘に入っても次に採るべき行動を見落とす羽目になる。
+ ネタバレはしたくないけど攻略情報だけ見たいという人向け

作中「デンヤリー」という生き物から戦闘を仕掛けられた場合、敵を10機倒すことでゲームが進行する。 会話からはわかりづらいが、洗脳を阻止するアイテムはここで活用されている扱いになっているので参考に。

  • ゲームの進行に影響は無いが、なぜか種族名の読み方が変わっている。
    • "Arilou-Lalee'lay"(アリロウラリレイ)が「アリロウラレイ」になっているのはまだ良いとしても、I(アイ)とl(エル)を誤読したと見られる"Slylandro"(スライランドロ)→「ランドロ」、もはや別の単語になっている"Mmrnmhrm"(マーマハーム)→「マハノマハルモ」は擁護しがたい。2文字目のハはどこから来たのだろうか。語感の良さは魅力的?
    • 原語版の音声を聞けば正しい読み方がすぐわかるはずなので*17、その発売より前に吹き替え台本のみ急ピッチで訳したのだろうか。そうだとすると訳語のすれ違いも説明がつくが……
    • 3DO版プレイヤーがこちらの名称で書くと『UQM』のプレイヤーに伝わらない可能性があるので要注意。
  • フォローしておくと、オープンソースの有志翻訳版とは一長一短と呼べる違いもあり、全ての訳が破綻しているわけではない点に注意。
    • 不自然な文章もいくつかあるが、そもそも原文からしてスラング混じりの凝った文体なので、日本語訳の難しさによる限界もいくつかある。

総評

今作を日本の有名作品でざっくり例えるなら、「ドラクエ3ばりの開けた世界に大量のテキストを加えた初代ゼルダ式ADV」と言ったところだろうか。
作中、自由な旅の先には様々なユーモアとスリルが待ち受けており、遊びながらSF小説を疑似体験できるのが今作の魅力。
JRPG不毛の地だった欧米市場に生まれながら、日本の大作RPG並みの冒険活劇を濃密に詰め込んだ今作は、海外のPCゲーマーから絶大な支持を集めるに至った。

ゲームテンポや難易度の都合、現代だと遊びづらい側面もあるものの、その自由度や広大さの魅力は今でも健在。
現在ではオープンソース化して気軽に遊べるので、レトロゲーらしい硬派な冒険に挑みたい人や、海外PCゲームの歴史に触れたい人は是非遊んでみてほしい。


オープンソース版『The Ur-Quan Master』

2002年より、3DO版は当時のスタッフによりオープンソース化され、誰でも自由にダウンロードして遊ぶことができるようになった。 今作の版権を持っていたAccoladeにゴタゴタが生じ、契約が消滅してしまったため、生みの親である2名がコンテンツを残すべく発起人となったことで実現したようである。

原作タイトルは権利上の都合で使えなかったため、代わりにサブタイトルが正式タイトルに使用されている。

基本的な内容は過去バージョンと変わらないが、細かい部分はPC版とも3DO版とも異なる独自の内容で、端的に言うと両バージョンの良いとこどりとでも言うべきもの。 特徴としては以下の通り(2025年5月現在の最新版・v0.8時点)。

  • UIは3DO版準拠。
    • 探索シーンが楽になり、スキャンも一括して三種類分行なってくれる。
  • 会話シーンは3DO版のボイス再生仕様に加え、PC版と同じく字幕も流れるようになった。
    • センテンス単位で一つずつボイスを飛ばせるため、テキストの読み取りは3DO版と比べてかなり快適になっている。
  • スターマップ表示時、特定の種族が勢力圏を移動すると長いアニメーションが入りテンポが悪かったのだが、これが一瞬で終わるよう改善された。
  • スターマップで"/"を入力すると、目当ての星が検索できるようになった(翻訳パッチ使用時はうまく機能しないようなので注意)。
  • セーブ容量はPC版と同じ50個。
    • 3DO版は10個しか無く、他のゲームのデータを圧迫していたが、心配無用である。
  • セーブデータに名前を付けられる。
    • 今作は取り返しのつかない要素が多く、小まめなセーブがどうしても必要になるが、「何をどこまで進めていたか」をメモ帳なしにゲーム内で記録できるのは大変ありがたい。
  • 主人公やスターシップの名前を自由に決められるようになった。
  • エンディングの後日談も収録。
    • PC版固有の要素だったため、ボイスは付いていない。
  • これらの特徴に加え、そもそも3DO自体があまり普及しなかったことを考慮すると、遊ぶための敷居が大幅に下がったのも長所に挙げられる。

記事内で何度か触れたように、日本人の有志が翻訳パッチを作成しており、これを使えば作中のテキストを日本語にして遊ぶことができる(リンク)。
特徴は以下の通り(2025年5月時点)。

  • 翻訳内容は3DO版と異なっており、星座は日本語名で統一され、固有名詞の訳し方も変わっている。
  • 吹き替え音声は未収録。
  • 3DO版と違って訳文が全てのシーンで統一されているため、問題点で先述したローカライズの不備は解消された。
  • サイリーンという異星人がある場面で与えるヒントは、原語版や公式日本語版よりわかりやすくなっている。
  • 3DO版に散見されたような、ゲーム進行に重大な影響のある誤訳は特にない。
  • 文体の方向性は両者で異なり、どちらが好みに合うかはプレイヤーによって異なると思われる。
  • 星座を日本語に統一したため、海外の攻略サイトを見ながら遊ぶ場合に二度手間となり、ちょっとしたデメリットになる(問題点にある通り、もし攻略情報を絶って遊ぶ場合でも、星座一覧を掲載したサイトはおそらく利便性の観点から使うことになる可能性が高い)。
  • 同様の理由から、英語版の星座名を元にしたヒントが成立しなくなった場面もある(ただしこちらは星座名をネット検索することで対応可能)。

総合すると、遊びやすさの観点や誤訳の回避という観点から、現在では基本的に『UQM』でのプレイが推奨される。可能であれば、3DO版のマニュアルに収録されたヒントブックを手元に置いて遊ぶと確実。
一方、3DO版は日本語の吹き替え音声を楽しめるメリットがあり、誤訳に目をつぶれば有志版とは違った良さがあるので、もし訳語の違いを味わいたい人は敢えてこちらを手に取るのもあり。


余談

  • 今作は今日の様々なオープンワールドの先駆けとなり、英語圏のクリエイターに多大な影響を与えた。
    • 中でも、『Mass Effect』シリーズは今作の精神を大きく受け継いだフォロワー作品として知られている。
    • 日本でも有名な作品だと、『No Man's Sky』『Fallout』はクリエイター自ら今作に影響を受けたことを公言しており、『Starfield』の生みの親は一番好きなゲームとして今作を挙げている。
  • 英語圏で絶大な支持を得た一方、日本ではほとんど知名度を得られておらず、3DO関連の話題で名前が挙がることも少ない。同ハードの中でもカルチャーギャップが特に大きい作品となっている。
    • 言うなれば、日本国内と英語圏での『ドラゴンクエスト』の関係に近いだろうか。
    • 3DOマガジンの人気投票でも、総合ランキングには全く名前が挙がっていなかった。
    • 人気が得られなかった明確な要因は不明。
      • 考えられる原因としては「そもそも1作目が国内展開されていないのにいきなり2が出た」「まずパッケージがよくわからない*18」「人気要因の一つである台詞回しが日本人に刺さりづらい」などが挙げられるだろうか。
      • なお海外産3DOソフトでも『オーバードライビン』『リターンファイアー』などは日本でも高い支持を得ており、単に国外産だから不人気だったということは考え辛い。
  • 説明書が全92ページと分厚いためか、3DO版はDISC1枚組にもかかわらず、2枚組用のジャケットが採用されている。
    • 中を開けるとディスクケースの片側が空なので、中古ショップで買った際には店舗スタッフによるディスクの入れ忘れ*19を疑いそうになるが、元からそういう中身なのでご安心を。
  • 3DO版デフォルトネームの由来
    • 原語版主人公のゼルニックは、今作の発売元であるクリスタル・ダイナミックスの社長から名前を取ったとのこと。
      • ソースは当時のプログラマーによる回答(リンク)。
      • 英語圏では偉い人の名前を流用する文化が何かと多く、『遊戯王』に登場する「オシリスの天空竜」が向こうのアニメスタッフの名前になったという逸話はファンの間で有名。
    • 日本語版はアイヌ語のような名前が付けられているが、これはローカライズを務めた株式会社バイス*20が北海道にあるためと思われる。
      • 社長の名前かどうかは不明。3DOやクリスタル・ダイナミックスに対して大きく関わりを持った会社なのだが、詳細なソースはあまり残されていない。
    • 『UQM』でも3DO版のデフォルトネームは引き継がれている。
      • 有志翻訳では海外版の名前が引き継がれたため、日本でも多くのプレイヤーがそちらを目にすると思われる。
  • 作中、Twitterという名前の宇宙船が登場する。
  • PC版のパッケージ裏には製品版で採用されなかった没アイテムが掲載されており、登場しないことを周知されないままあらぬ噂を立てられた。
    • 中には「実際に手に入れた」と称する嘘を流すプレイヤーまで現れ、英語圏のコミュニティでは頻出のデマとして定着したのだとか。
  • 今作に登場するアイテム「ウィンブリズトライデント」は後に同社も携わったソフト『ザ・ホード』にてカメオ出演を果たした。
    • 持ち主である「ウィンブリ」も満を持して登場している。
    • その効果の程はというと、『スターコントロールII』での扱いを知っていれば色々と考えさせられるものになっている。
+ 以下『スターコントロールII』攻略のネタバレを含むため折り畳み
  • このアイテム、元々『スターコントロールII』では商人ドルーグ<ドルージュ>が素晴らしい商品と称して押し付けてくるのだが、実際はゲーム内で何の効果もない玩具であり、言うなればプレイヤーを罠にはめるハズレアイテムとなっていた。
  • ところが『ザ・ホード』ではうって変わって、ステージ内に隕石を落下させて土地を焼き払う作中最強のアイテムとして登場する。
    • 今作は領地運営が題材のゲームであり、隕石の登場は世界観的にも型破りである。
  • ドルーグ<ドルージュ>は作中、ガラクタと思い込んでいた商品をある異星人に渡してしまい大損する羽目になるのだが、こちらもまた商品価値に気付かないまま損していたのだろうか……少なくとも、『ザ・ホード』の効果であれば『スターコントロール』の世界でも十分な有用性を持っていたのは間違いない。
  • 『スターコントロールII』を先に遊んでいれば、『ザ・ホード』での登場には度肝を抜かれるだろう。こんな物騒な物を持っているウィンブリは何者なのだろうか……

その後の展開

  • 今作はSteamでもDOS版が配信されている。
    • もちろん有料。値段はそこまで高くないが、『UQM』はタダで遊べる上、UIも改善されているので、コレクターでなければ基本的にSteam版『II』を手に取るメリットはあまりない。
    • ただし1作目もカップリング収録されているので、買うならば主にこちらが目当てになると思われる。
  • シリーズ展開
    • 直系の続編としてはその後『3』が海外で発売されたが、生みの親は一切関わっていない。
      • 『2』に比べて自由度が大きく落ち、シナリオも劣化した挙句前作とも矛盾するなど、多くの欠点を指摘された続編となっており、旧来のファンからは激しいバッシングを受けている。
      • どれほど批判を受けたかと言えば、日本で言う『聖剣伝説4』『サンダーフォースVI』のように「存在しない続編」と扱う傾向があるようで、ファンからは真の続編を望む声が多数挙がっている。
      • あまりにバッシングが相次いだためか、IPを引き継いだAccoladeに対し生みの親の2人が擁護寄りのコメントを残したことも……
    • 後に『4』の企画も検討されていたが、こちらは頓挫した。
      • 奇遇にも、このとき版権が宙に浮いたことでオープンソース化の実現に繋がっている。
    • 2018年に入り、久々の新作となる『Star Control: Origins』がWindows向けソフトとして発売された。
      • ゲームシステムは『II』に近く、リメイク作品のような側面がある。
      • 公式日本語版は存在しないが、こちらも有志により日本語化MODが配布されている。
      • 当初は名前通りシリーズ1作目の前日談を予定していたが、紆余曲折あって過去シリーズとは異なる世界観の作品となった。
    • 2025年8月、久しぶりに生みの親が関わる新作『Free Stars : Children of Infinity』の発売が予定されている。
      • これはクラウドファンディングにより企画が実現したもので、旧来のファンからは熱い期待を寄せられている。

初稿投稿日: 2025/5/17 追記修正歓迎

本記事は『神機世界エヴォリューション』の記事に追記する形で作成するものとします。

神機世界エヴォリューション2 遠い約束

【しんきせかいえヴぉりゅーしょんつー とおいやくそく】

ジャンル RPG
対応機種 ドリームキャスト
メディア GD-ROM
発売元 エンターテインメントソフトウェアパブリッシング
開発元 スティング
発売日 1999年12月23日
定価 6,800円(税別)
プレイ人数 1人
判定 なし


概要

前作が好評を博したことで制作された続編。


システム

前作から変更が入った点は以下の通り。

  • 一部の回復アイテムは3つまで合成して1つにまとめたアイテムにすることが可能となった。
    • また、一部の回復アイテムを合成して複合した効果を得られるアイテムにすることが可能となった。
  • 本作はストーリーで必ず入るダンジョンはすべて固定ダンジョンとなり、ランダム生成のダンジョンは1つだけ。
    • なお前作のクリアデータがある場合は二周目以降はランダム生成のダンジョンの構成が変わり、独自のアイテムを入手可能となる。
  • 移動の際に先頭に配置したキャラクターがサイフレーム使いの場合、そのキャラに応じたアクションが取れるようになった。
  • また、戦闘時にもキャラ固有の特殊能力を発動することが可能。効果は高いが一度使用すると戦闘を一定数こなさないと再使用できない。
    • この特殊能力も使用回数が一定値になるごとに最大3段階までランクアップさせることが可能。
  • サイフレームパーツは強力なパーツに関しては複数のスロットを使うものも登場。基本的に高威力の技があるパーツほど占有するスロット数も多い。
  • クリア時にはプレイ時間や戦闘回数などの集計からプレイヤーのランクが評価される。
    • 一部の要素は周回プレイ時にも引き継がれるため、周回を重ねるごとに高ランクを取りやすい構成となっている。

評価点

  • 前作に比べストーリー性が強化。前作では語られなかったリニアの背景も語られ、終盤の展開もよりドラマチックに。
    • ボイスイベントもさらに追加され、各種イベントシーンは前作に比べよりドラマチックに。
  • 固定ダンジョンになったことにより、最低限入手できるサイフレームが実用性の高いものをそろえやすくなった。
    • 前作では固定で入手できるパーツは1つだけだったのでこの点でもありがたい。

賛否両論点

  • 自動生成ダンジョンは1つだけ。
    • 前作がローグライクRPGということもあってバリエーションある自動生成ダンジョンがあったものの、今回は1つだけに削減されたためにどうしても物足りない。
    • 訪問が必須でもなくシナリオ上で手に入る装備やサイフレームパーツだけでもクリアは可能なので行く必然性も落ちているのもマイナス。
      • とはいえ前述のようにここでアイテム探しをしなくても十分クリアできるバランスにしているのは評価できる。

問題点

  • ボリュームの薄さ
    • 前作に比べボリュームは多少向上したものの、それでも短さは否めない。
      • また本作はランダム生成のダンジョンが1つだけとなり、ローグライクRPGとしては若干食い足りなくなったのも事実。
  • パーティ編成の不自由さ
    • ストーリー性が強化された影響故か、終盤に関しては編成に制限が出てくる。
      + 終盤ネタバレ
    • 本作でもリニアが終盤ある秘密のためにパーティから離脱し、エンディング後までパーティに復帰しなくなってしまう。当然ラスボス戦には参加できない。
      • こちらに関しては前作同様ではあるのだが、本作では前作と異なり周回時にレベル・スキルがリセットされるため、クリア後にそのままのレベルで復帰しないままとなる。
      • また前述の通りリニアは回復・支援に特化しているため、前作同様彼女の不在が高難易度化に直結している。
  • 周回プレイ時に入手した装備・サイフレームパーツが引き継がれない
    • 固定ダンジョンだけで最低限攻略に必要な装備やパーツが入手できるとはいえ、それ以外でのレア装備の入手はディスペアの塔でのランダムドロップに頼る必要があるため、再入手が非常に面倒。
      • 前作は周回状態でもパーツは残る状態だったためじっくりスキルの育成もできただけにつらいところ。
    • システム的にスキルの兼ね合いでこの方針にしたのかもしれないが、再入手の手間を考えるとサイフレームパーツの引継ぎだけでも残してほしかったところ。

総評

前作に比べストーリー性を強化し展開はドラマチックになったものの、ボリュームや難易度に関してはまだ食い足りない面が残る。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2025年05月17日 09:49

*1 厳密には「トマト」「ジャガイモ」「キノコ」もあるが、これらを野菜に含めるかは定義に左右される部分が大きい

*2 誤解のないよう補足すると、1作目も1作目で評価は高く、海外では名作レトロゲームを紹介する記事で時折名前が挙がっている。

*3 当時の洋ゲーは本編でほとんど触れられていない壮大なストーリーが何かと詳細に書かれがち。これはビデオゲームに限らず、あちらのアナログゲームのマニュアルでしばしば見られる文化である。

*4 ただし厳密には2作の間で設定の齟齬が存在し、パラレル展開ともみなせる。

*5 その代わり、拠点から人員や宇宙船を一切供給しない縛りプレイをSpeedrun.comに投稿したプレイヤーが存在する(2025年5月現在走者1名)。

*6 あくまでフラグ管理の話であり、「リソースを回収する手段が尽きる」「異星人に囲まれて逃げられなくなる」などの理由で詰む場合はある。

*7 同シリーズのファン向けにわかりやすく例えるなら「口が付いて肌色になって威厳が増したダークゼロ」と言えば多分通じる。

*8 今作は複数役を演じたキャストが複数いるが、いずれにしても最多。次点は郷里大輔氏の5役。

*9 『UQM』有志翻訳版は誤訳あり。「長く巨大な獣を飲み込んだ細長い生物」となっているが、原文に最初の「長く」は無く、正しくは「巨大な獣を飲み込んだ細長い生物」である。ただし後述の理由から特に問題はない。

*10 しかも逃走した場合はカウントに含まれず、本拠地などで無限湧きする個体を倒しても全くイベントが発生しないという罠まである。

*11 冥王星は元々惑星の中でも特異な性質を持っていたが、2006年に入って似たような性質の星が3つも観測されてしまい、これらも惑星に含むか、冥王星を惑星から取り除くか議論された結果、後者が採用された経緯がある。

*12 非ネイティブにとってはかなりスピードが速いので、こちらで遊ぶ場合は注意。

*13 プログラミングの世界では数値を0始まりで表現するのが一般的で、これに倣ったものと見られる。

*14 『UQM』は「オーズ」と訳されている。

*15 例えば「殺される相手を探しに行け!」だったのが「あぁ、お前なんか死んでしまえ!」になっているなど。

*16 今作で同時に襲う敵は多くても6機程度であり、10機襲ってくる場面は他に無いので、これもわかりづらさを助長している。

*17 一応原語版は半年前に発売されているが、アフレコはゲーム発売のかなり前に行われるのが通例なので、翻訳までに間に合わなかった可能性は十分ありうる。

*18 原語版は「地球を謎の手と謎の触手が掌握する」というアートが描かれた縦長の外箱に入っていたが、日本の3DOソフトは外箱が廃止されてジャケットのみになっており、今作もパッケージの一部だけがトリミングされている。結果、何を表しているのかわかりづらい抽象画のようなイラストに……

*19 CD媒体のレトロゲームを購入した際(特に開封確認などを行わないネット通販で)割と頻繁に起こるトラブル。後で遊ぶつもりで積んでおくと返品期間を過ぎてしまうので、入手したら即座に中身を確認するのが望ましい。

*20 クリスタル・ダイナミックスによる3DO作品のローカライズを手がけていた企業。ネットの無い時代に原語版スタッフの監修を受けながら『ザ・ホード』の翻訳を数ヶ月で完成させるという早業っぷりを発揮していた。反面そのゲームではデータ誤削除を引き起こす重篤な誤訳を行ったり、『ゲックス』の説明書で大量の誤訳を訂正する羽目になったりと、不祥事もちらほら確認されている。特に『サムライショーダウン』『ゲックス』は3DOマガジンにおいて、説明書の出来を強く批判されていた。