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シャイニング・フォース 神々の遺産 - (2015/07/27 (月) 10:44:50) の編集履歴(バックアップ)


シャイニング・フォース 神々の遺産

【しゃいにんぐふぉーす かみがみのいさん】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 メガドライブ
発売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 クライマックス、ソニック
発売日 1992年3月20日
定価 8700円
分類 良作
シャイニングシリーズ関連作品リンク

概要

  • 「シャイニング」シリーズの二作目。シリーズ初代の『シャイニング&ザ・ダクネス』とゲームジャンルは異なるが、同じ世界観を共有している。時系列としては前作より更に古い時代の物語である。
  • SRPGというジャンルは「RPG要素(育成)のあるSLG」と考えがちだが、本作でのニュアンスは「SLGの形式で戦闘を行うRPG」であり、町などの拠点で準備を行うパートと戦闘パートを交互に繰り返してゲームを進める。全8章構成であり、章をまたぐと以前の場所には戻れなくなる。
  • 世界観は一般的な中世ファンタジーであり、仲間キャラクターに亜人や人外といった個性派が多い。キャラクターデザインは玉木美孝が担当した。
  • 当時のキャッチコピーは「人と同じ戦い方はいやだ。」
    • キャラクターの多彩さや、それによる取れる戦略や育成の方針の違いが人によって大きく出るこのゲームをよく表している。
    • もっとも後述の問題点故に、ある程度使うユニットは偏ってしまいがちであるが……

システム

  • 拠点では一般的なRPGのように、本陣やショップなどの施設を利用したり、町人と会話して情報収集したりする。時には、新しい仲間キャラクターと出会うイベントなどもある。
    • 仲間にするには特殊な条件のいるキャラクターも多く登場する。中でも突出して条件の複雑な「ヨーグルト」の存在はファンに強烈な印象を与えたのか、後のシリーズ作品にも同様の高難度隠しキャラクターがたびたび登場した。
  • 特殊な勝利条件がつくこともあるが、基本的には敵軍を全滅させるかボスを討ち取ると勝利。指揮官ユニットが倒されると敗北となる。
    • 「リターン」の魔法か「天使の羽」というアイテムを使うと、獲得経験値やレベルなどを引き継いだまま拠点に撤退し、戦闘マップを最初からやり直す事ができる。各面ごとのセルフ式難易度調整といえ、手詰まりを防げるため、初心者でも安心。
    • 戦闘で倒されたキャラクターは死亡扱いになるが、教会でお金を払えば復活できる。
  • 戦闘シーンは画面の上下を黒領域で塗りつぶしたシネスコ風ワイド画面で、向かい合った敵味方のグラフィックが大きく表示される。
  • その他の戦闘面の特徴は以下の通り。
    • 戦闘は自軍ユニットと敵軍ユニット全体に対し、素早さのパラメータの高い順から1人ずつ行動順が回ってくる。
  • 味方ユニットは敵を攻撃する事などで経験値を獲得し、100ポイントに達するとレベルと能力が上がる。
    • 獲得経験値の量は敵とのレベル差が大きく影響し、極端にレベルの低い相手では撃破経験値が1になる事もある。逆に言えば100回攻撃等すればレベルアップはできるということでもある。
    • レベルが10を超えた仲間は、教会で上級職に転職できる。転職するとレベルが1になり、その後の成長率が高くなったり強力な武器が装備可能になるが、一時的にステータスが下がってしまうというデメリットもある。
      • 10を超えればというのがミソで、以降どのレベルでも転職が可能。しかも転職後のステータスが高くなり、転職後の成長は従来通り。どれだけ我慢するか、タイミングはどうするかなどの考えどころがある。
    • キャラクターの強化方法は、上述のレベルアップと装備品(武器とアクセサリーを1個ずつ)、この2系統が主だったもの。転職後の上級職でないと装備できない品も存在する。転職にデメリットがあるとはいえ、長い目で見るとメリットの方が非常に大きい。
  • 前作『ダクネス』から一部のシステムを継承している。
    • コマンドメニューは一度に4個まで、十字型の配置で表示される。十字キーにそれらが対応しているため、選択操作は快適。
    • 入手の難しい非売品アイテムでも委細構わず手放す事ができるが、「掘り出し物」として買い戻す事が可能。
  • 魔法は基本一定ダメージ(一部弱点アリの属性に対しややダメージ増)で、広範囲攻撃も可能。
    • しかも命中率100%で外れない。直接攻撃のように会心の一撃や二回攻撃は発生しないが、期待値は高い。
    • ただしMP消費が結構大きく、魔法使いはMPが無いと攻撃防御とも最弱レベルのため、使い所と敵の誘導が重要。
    • 食らう側としても同様のため、「防御は高いがHPは低い(物理攻撃に強い)」と「防御は低いがHPは高い(魔法攻撃に強い)」の運用上の差異は大きい。

評価点

  • 迫力のある戦闘シーン。
    • アニメーションのコマ数は限られているが、コスチュームの動きも大きく捉えた非常に躍動感のある絵で描かれている。
    • 装備を変えるとちゃんとアニメーションに反映されたり、一部の敵はブレスやビームなどの特殊攻撃を放ってきたりと芸も細かい。
    • 数はかなり少ないが、特定条件で出る隠しアニメーションもある。
    • 戦闘アニメーション時間は短く済ませており、SRPGで重要なテンポが軽快に進められるのもマル。
    • 当時の他SLGの戦闘シーンなどは、弾が飛ぶ演出があったりミニキャラが震えれば良い方だった。そうした中での本ゲームの「画面一杯に大きいキャラが動く」というのは、非常に革新的であった。
  • テンポの良さ
    • 操作性は快適。先述の通り、コマンドメニューも素早く選ぶことができるし、攻撃シーンの時間も演出がしっかりありながら時間は短い。CPUの思考時間もかなり短く、ほとんど止まっている間がない。
    • 移動可能範囲が表示されてその範囲内は好きに動けたり、敵が攻撃可能であれば自動選択する、攻撃や決定するまでは何度でもキャンセル可能など、ユーザーインターフェースも十分。
  • バラエティに富んだ仲間ユニット。
    • 中世ファンタジー世界ではあるがその仲間は多彩。たとえば他作品で言う「騎士」に当たるユニットはすべてケンタウロスである他、ホビット・エルフ・ドワーフといった中世ファンタジーでおなじみの種族を始め、機械で空を飛ぶユニット、卵から孵った魔法生物、果てはロボットやドラゴン、忍者・侍といった東洋風キャラまで出てくる。
    • 味方キャラクターのバリエーションの豊富さとデザイナー人気の相乗効果が、本作の人気を支えている。
    • 例えば、魔法が使える騎士や銃を使う騎士、レベルアップしてもレベル1のままで全能力も最低のままであるマスコット「ヨーグルト」などなど。
    • 獣人が味方にも多い(狼、犬、鷲、アルマジロなど)のも、以降のシャイニングフォースシリーズの特色を形作ったといえよう。
    • またバラエティに富んでいるのは種族や外見ばかりではなく、成長曲線もユニットごとに大きく異なる。レベルが低い頃は全く伸びなかったパラメータがある時期に急成長するユニットや、転職後に真価を発揮するユニットなどがいる。
      • シリーズを通して見ても本作の味方キャラクターの成長曲線は一際個性的であり、そこを「ユニークキャラを数多く擁するSRPGならではの良点」として支持するファンも多い。
  • BGMにハズレがない。
    • ストーリーの冒頭で、主人公の育った国は敵軍の攻撃を受け壊滅してしまう。戦闘マップBGMはそんな逆境からの出発を盛り立てる、どこか物悲しくも勇猛な曲が中心。数こそ少ないものの、いずれも強く印象に残る。
    • ただ、一番長く聞く事になる戦闘マップの曲は、戦闘アニメを挟むと最初からかかり直しになってしまうのが難点。
  • 程よい難易度と半セルフ式難易度調整
    • 抜け道が多いためSLGとしての戦略性はさほど深くないが、元々の難易度は高すぎず低すぎずの中間点を終始キープしていて、煩雑さがなく分かりやすい戦闘システムは逆に長所と言える。
    • 前述の通り「厳しければ撤退」で手詰まりを防げるし、「成長させるため撤退」で使わないキャラが(レベルの問題で)使えないキャラになるのを防ぐことができる。ヌルイと思えば撤退しなければ段々歯ごたえが増していく。
    • 魔法の使い所と敵の誘導、逆に敵の魔法や攻撃に対する陣形など、敵に合わせて戦術を取る必要性もある。
    • 敵にダメージを与えたことによる経験値が多いため、経験値稼ぎにどうトドメにならないようにするか、など考えどころもあり。

問題点

  • ほど良いところに落ち着いた難易度ではあるが、撤退の頻度に反比例してグングン下がっていく。使いすぎるとヌルゲー化するため、注意が必要(もっとも、そのさじ加減が最初からわかったら誰も苦労はしない)。
    • もっとも、精鋭キャラにしても1回でクリアし続けられるほどには経験値を貰えないので、数回の撤退はほぼ前提である。
  • 隠しキャラクターの隠し方が理不尽。
    • 具体的には、何の変哲もない壁や木*1を調べるといったもの。
    • (一部極端に弱いユニットを除くと)確かに隠しキャラクターたちは「特別な存在」にふさわしい強さを誇っているが、外部から情報を得ない限り何度やり直そうと自力で気付くのはムリなレベルである。
      • ただ当時は、独力ではわかりようがない「隠しキャラ」や「裏ワザ」がほぼどのゲームでもあり、プレイヤー間でも話題の中心となる時代であったことは考慮されるべきだろう。
  • マップの構成は洗練されているとは言いがたい。
    • 回り道で開幕数ターンを浪費させられたり、マップの広さに対して敵の数が少なく数ターンただ歩くだけになるマップも多い。
    • 特に野外マップの森・山の多さは凄まじく、終盤はほとんどマップ一面がそのどちらかという事も珍しくない。そのため、足の遅いキャラはもとより本来高機動なはずの騎士ですら2マスほどしか進めない*2。このため、地形を無視して進める飛行系ユニットや森・山に強いタイプのユニット以外はまともに進むことすらままならない。もっともそういう面が無いと、高移動力で攻撃・防御・汎用性に優れた騎士の使い勝手が良すぎるのだが。
  • 敵の回避率が高い。
    • 特に飛行系やボスユニットは相当高めに設定されている上、乱数の偏りにより連続回避が生じやすく、テンポを大きく損ねている。
  • ユニットの能力は個性豊かだが、裏を返せば強いユニットとそうでないユニットの格差が大きい。
    • 特に槍玉に上がるのが武器が装備できない上に攻撃力も低く、回復魔法をおぼえてはいるがMPも少なくすぐに息切れする「ゴング」というユニット。苦労して育成してもさして攻撃力は上がらず、魔法もいいものを覚えるというわけでもない。
      とどめに、競合する僧侶キャラクター三人は「貴重な魔法持ちかつ早期加入」「戦士としても通用する高い成長率」「チート級の強力な回復魔法」とそれぞれに何らかの強みがあるのも辛いところ。
      • 一応、(任意だが)最序盤に加入する為にメンバーが足りない時期は使ってもらいやすいのは救いか。
    • 騎士は多数参入するのだが、そのため性能差の間に埋没してるキャラも居る。加えて参入タイミングが悪いため、そのまま倉庫送りになったり。
      • 今作では能力差はリターンを用いる事でレベルを上げる事で補いやすく、これまで育てたキャラに愛着が沸いて外すのがためらわれ易いので尚更である。
    • 逆に、マップ構成の関係で飛行ユニットは総じて使い勝手が良い(ただし地形効果を受けれられないので防御は貧弱なため、注意は必須)。加入方法を知ってさえいれば隠しキャラ二人もお手軽かつ強力。
    • 魔法生物は、戦士以上の防御力とその3倍のHPを持ち、魔法使いの倍程度のMPをも持つため強力な魔法も複数回使え、浮遊しているため壁・高山以外の地形を無視して移動可能なのに地形効果は受けられる。打たれ強さは全キャラ中でも隔絶して高く、敏捷が味方最速クラスで回避率も高いのに敵に狙われやすい(魔法使いは敵の攻撃優先度が高い)とターゲット役としても凄まじい。盾としても矛としても超一流すぎる。
  • 細かい問題がかなり多い
    • 使ったため壊れた道具(もう1回使うと消滅)が、どれが壊れたか覚えていないと武器屋などに持ち込んでイチイチ修理を依頼しないと識別できない。武器屋で他を選んでしまい「それは壊れてないよ」と言われること多々。
    • スリープの魔法などで寝てしまうと数ターン起きない。コマンドRPGならともかく、20キャラくらい番が回って1ターンのSRPGで3,4ターンともなれば、とんでもない時間*3になりストレスマッハ。
    • 敵の隠し攻撃にブレスがあり、防御無視の大ダメージを食らう。1発ならまだスパイスだろうが、稀に2連発される。耐えられるキャラはほぼ居ない。それが主人公だったら…
    • レベルアップに必要な経験値は一律100ポイントだが、1回の上限が48ポイントとかなり低く*4、MAXでも2回+α~3回必要。しかも持ち越しが無いため毎度毎度繰り返すことになり、後期参戦キャラなどの低レベルを育成するテンポがかなり悪い。これも倉庫キャラが放置になる一因。
    • ステータスアップのアイテムがあるが、実は転職する前に使っても効果がリセットされてしまい、全く意味が無い。当該アイテムは結構前半でも手に入るが(裏ワザを使わない限り)貴重品なので、この真実を知ってふざけるな!と激怒した人多数。
    • 他にも、スリープなど補助攻撃魔法の成功率が低すぎ、敵はともかく味方側では使い物にならなかったり、本陣で味方のステータスを連続して見られなかったり。
    • これらはシリーズ最初が故の作り込みの甘さというところか。制作サイドでも気づいたらしく、続編などでは解消している。

総評

グラフィックとゲーム性の両方が高水準でまとまっている。特に派手で華やかなグラフィック面の演出については、個性的なキャラクターデザインとアニメーションの質の良さが相まって高い人気を獲得した。どちらかというと「濃い」部類に入る絵柄の原画と、メガドライブの発色の相性も良かったのかもしれない。
操作が簡単で難易度も手頃なので、何に気兼ねする事なく作品世界を楽しむ事ができる。難ゲー揃いというイメージのあるMDソフト群では安心して遊べる良作である。

その後の展開

  • 前作である『ダクネス』とは同じ世界観・異なるジャンルという関係で発表された本作以降のシリーズ作品は、マップがマス目で区切られたタイプのSRPG形式を踏まえた「フォース」シリーズ(本編系と外伝系の2系統がある)と、これといったくくりのない「シャイニング」シリーズに分かれ、それぞれ思い思いの発展を遂げていった。
    • 本作のようなタイプ(フォースシリーズ系)のSRPGを遊ぼうと思って最新作に手を出すと、システムの違いに戸惑う事になるので注意。路線変更後はアクションRPGがしばらくの間主流となったが、当然旧作シリーズとは毛色が違い、勘違いで難癖をつける者もいたとか。
    • そもそも、シリーズの雰囲気はこれまでも度々変わっており(参考:『シャイニング・フォースII』)、その都度注意を必要としていた。初代発表から20年近く経過した今となっては、「シャイニングシリーズとは何ぞや」という問いに正確な答えを返せる者が果たしているかどうか。
      強いて言うなら「個性的な種族の味方キャラクターが多数登場する」...あたりだろうか?