アナザーアギト



   『アギトは俺一人でいい……』


 ■スペック
 身長:200cm
 体重:97kg
 パンチ力:約15t
 キック力:約30t
 ジャンプ力:一跳び70m
 走力:100mを約5秒
 必殺技:アサルトキック(40t)

仮面ライダーアギト』に登場する仮面ライダーの一人で、作中4人目のライダー。『仮面ライダーであろうとする男』。
「アナザーアギト」とは便宜上の呼称で、実際の劇中ではこの名は登場せず「もう一人のアギト」等としか呼ばれていない。
シャドームーン等とは違い、一応は仮面ライダーの一員扱いになっている模様。
媒体によっては「仮面ライダーアナザーアギト」と表記されることもあるが、あまり一般的ではない。

ギルスと同じく生物的な外観をしており、肩からマフラー状の羽「ライヴウイング」を生やしている
(アギト・ギルスに続く三人目のアギトということで、V3の両肩のマフラーをイメージしたものらしい)。
アギトの力の解放を司るクロスホーンが常時開いており、その力はアギトのシャイニングフォームにも匹敵する。
しかし基本的に武器の類は一切持たず、徒手空拳でのみ戦闘を行う。
戦い方も他のライダーと異なり、どっしりとした構え(もしくは仁王立ち)から相手の攻撃を的確に捌き、強烈な反撃を叩き込んでいくスタイル。
もちろん自身から積極的に攻めることもあり、実力は他のライダーに引けを取らないどころか、
作中ではノーマル状態のアギトと互角以上、ギルスをフルボッコにした上アサルトキックで瀕死の重傷を負わせるなど、
かなりの強さを誇っていた。

必殺技は口のクラッシャーを開き、足に紋章のエネルギーを取り込んで放つ飛び蹴り「アサルトキック」。
破壊力は40tと、武器を用いない必殺技としては作中でもトップクラスの威力を持つ。


他、ロックがかかっているはずのGM-01スコーピオンを普通に撃ったことがあるので、
関連書籍などでは「機械を操る超能力がある」と説明されることもある。
(媒体によってはこの時「力ずくで引き金を引いた」とされることもあり一定しない)

あまり有名ではないが「ダークホッパー」という専用バイクも持っている。
また、デザイン段階では「仮面ライダールデス」と表記されていたが、こちらは正式な設定にはなっていない。
デザイナー曰く、設定が確定する前から作業を進めていたためアギトとアンノウンのどちらでも違和感のないデザインとなったらしい。

主人公・津上翔一の変身するアギトとは似ても似つかない外観をしているが、
作中では氷川誠からなぜか翔一アギトと誤認されたことがある。
公式設定では説明がないが有力な考察として見た目が違うのはテレビ的な演出のせいで、
作中世界では実際にはアギトもアナザーアギトも似たような外観をしているという説がある。*1

変身者は木野薫(きの・かおる)。菊池隆則(現:樋口隆則)氏が演じた。
木野は物語の発端であるあかつき号事件にあった乗客たちのリーダー的存在であり、
人望が非常に厚く、またどんな手術も成功させる天才的な名医でもある。
しかしその根底にはかつて弟を救えなかったことにより「全ての人間は自分が救わなければならない」という強迫観念があり、
そのため他のアギトを排除しようとしたこともあった。
最終的には弟の遺志を知ることで和解するが、一時的にアギトへの変身能力を奪われ、
生身の状態で遭遇したアンノウンの攻撃を受けてしまい重傷を負う。
同じくアンノウンの特殊攻撃を受け死の危機に瀕した翔一を応急手術で助け、紆余曲折の後に変身能力を取り戻し、
翔一たちと共にアンノウンを退けたが、戦いの後に自宅で静かに息を引き取った。

仮面ライダー1号とV3(及びスカルマン)をモチーフとした出渕裕氏による渋いデザイン、
変身者が歴代ライダーの中でも珍しい中年のナイスミドルである点が、
かつてリアルタイムで仮面ライダーを視聴していた同世代ファンの心をがっちり掴み、非常に高い人気を誇っている。
演じた菊池氏自身もリアルタイム視聴者の一人であり、初の変身シーン放送後はファンのみならず周囲の知人からも絶賛されたとのこと。

また『HERO SAGA』ギルス編では、アギト本編に登場した木野以外の人物が変身したアナザーアギトが登場している。

経年劣化によるスーツの破損・腐食が激しかったため、仮面ライダーギルス同様に当時のスーツは現存していないらしく、
後の『仮面ライダーディケイド』などのお祭り系実写映像作品には残念ながら一切登場していない。
アナザーアギトやギルスのスーツに使われた素材「フォームラテックス」は変質しやすく、
塗料との相性によってはその寿命は更に短くなるらしい。一年保たせるのがやっとだったのだろう。
+…とそんな状況であったが
…とそんな状況であったが、2017年の配信限定作品仮面戦隊ゴライダー』にて復活

スーツは一から新造された もようで、菊池改め樋口氏もこれは喜んだ事だろう。
本作にて、映像作品としては初めて「アナザーアギト」の呼称が木野本人の口から呼称された。


『仮面ライダーバトル ガンバライド』『レンジャーズストライク』『ライダーズレジェンド』などではカード化している。
中でもライダーズレジェンドのアナザーアギトは、場に出す条件が「木野薫が場に出ている(木野薫が変身する)」というものだが、
特殊能力によって満32歳以上のプレイヤーならこの条件を無視して直接場に出すことができる(あなたが変身する!)。
……バランスブレイカーと化したのは言うまでもないが、彼という中年ライダーの存在が当時いかに衝撃的であったか窺い知れる。

+『ジオウ』における アナザー アギト
2019年の平成仮面ライダー20周年記念作『仮面ライダージオウ』では、
歴代ライダーの力を歪められた形で持つ怪人「 アナザーライダー 」が登場している。
彼らの名称は「アナザー+元のライダー名」という命名パターンになっており、
例えば仮面ライダービルドの力を持つアナザーライダーは「アナザービルド」となる。
そのためこのパターンでいくと、アギトのアナザーライダーは「 アナザーアギト 」になってしまい、
『アギト』本編に出た木野のアナザーアギトと名前が被ってしまうのではないかという疑問が放送前から話題となり、
区別するために「アナザーアナザーアギト」や「アギトアナザー」にでもなるのか、などと言われていた。

その後、アギト編となる第31話・第32話でついにアナザーライダーとしての「アナザーアギト」が登場。
気になるその姿だが、なんと木野のアナザーアギトを色濃く継承したデザインで登場した。
ただしオリジナルと違い口周りが常に歯を食いしばった人間の口状になっている、複眼の奥に人間と似た目があるなど、
アナザーライダー共通の意匠が追加されており、また胸に「2019」「アギオメガAGITΩ」の文字が刻まれている。
他、こめかみ部分に仮面ライダー1号同様の菱形のモールドが追加され、ベルトの発行部分が青から赤に変わっている、
他のアナザーライダー同様に身長と体重がアギトと同じ数値になっているなどの細かな違いがある。
なお、登場後は区別の為に木野アギトは「仮面ライダーアナザーアギト」へと正式に改名される事になった。
ウルトラセブンの有名な呼び間違いである「ウルトラマンセブン」を開き直って公式化するようなものな気がしないでもないが
「仮面ライダー」が称号も兼ねている事を考えるとなかなか気の利いた改名と言えるだろう。

   スウォルツ『アギトは一人じゃない……』

木野アギトにはない能力として、襲った人間を新たなアナザーアギトに変貌させるというゾンビのような性質があり*2
量産された警察のG3ユニットを次々に襲撃し、数の暴力でジオウらを圧倒する……。
と、似ているのは見てくれだけで、その立ち位置は木野版や他のアギトに対するアンチテーゼとなっている。
そしてこれ自体が、アギトやG3と深い関わりを持っていた津上翔一を誘き出すためのタイムジャッカーによる挑発であった。
さらにはアギトの力を宿したライドウォッチを吸収して翔一アギトそのものの姿になるなど、
(オリジナルとディケイド版両方の)ギルスを意識した演出も見られた。


増殖した個体のマスクはどうやら他ライダー作品のバッタ系怪人からの改造であるらしく、
予告などではバッタヤミーが混じっていたり、イナゴ怪人の面影が残っていたり、
と個体によって顔が異なっている(流石にバッタヤミーは本編では合成で顔を差し替えられたようだが)。
『ゴライダー』の際に新造されたマスクもどうやら増殖個体のほうに流用されているようだ。

なお、アナザーアギトウォッチを埋め込まれた大元の変身者がどんな人物だったのかは最後まで不明のままであった。
増殖軍団も含め、アギト本編の肩書に例えるなら 『仮面ライダーにされてしまった者』 というべき存在だろうか。
むしろこの事が「アギトの力は人間が潜在的に持つ」という面を表現しているのかもしれない。
なお、劇中での最初のアナザーアギトはG3ユニット装着者を中心に襲っていたため、
変身者はG3ユニット装着者の審査を落とされた人物ではないかという考察もある。

+どけ貴様ら!
終盤のジオウ トリニティ とアギト トリニティ フォームの共闘シーンでは、
サプライズとして『アギト』本編の挿入歌「BELIEVE YOURSELF」が流れ、アギトファンを喜ばせた。
この場面では、既に二人がダブルライダーキックのモーション待機状態に入っているにもかかわらず、
アナザーアギトは自ら 増殖させたアナザーアギト軍団をかき分けて 二人の前に現れ、Wキックを受けて爆散した。

これはおそらくアンノウンをオマージュした描写と思われるのだが、
そもそもアナザーアギト本体が無事であるなら増殖アナザー軍団は安泰である筈なのに、
何故か必死に彼らをかき分けて進み 自ら当たりに行ったようにしか見えない ところや、
やられた時の絶叫が 「やったぁぁぁぁぁぁ!」 と聞こえる等の空耳から、
「(変身者の正体は)ダブルトリニティと挿入歌でテンション上がって自ら必殺技を受けに行った重度のアギトファン」、
「量産G3ユニットの装着者を襲撃していたのはオリジナルの氷川G3以外を認めない原作原理主義者だったから」、
「アナザーアギトを増やしていたのは『仮面ライダーアギト』の布教活動」等とネタにされる事もある。

どけ貴様ら!
本編で二回しか出ていないトリニティの本人客演版で
Believe Yourselfが流れてる上に新旧トリニティダブルライダーキックで
しかも劇中で一回しか使っていないライダーシュートだぞ!!!
お前らみたいにアギトオフ会に私服で来る腑抜けが受けていい技ではない!!!!

……もちろん、本編でのアナザーアギトはうめき声のような奇声しか発していないため、あくまでも ネタ である。





MUGENにおけるアナザーアギト

KEI166氏による手描きのものが公開されている。現在のバージョンは1.02。
技は独自ゲージで発動するバイク技「ダークホッパー」以外は原作通り徒手空拳のみ、
超必殺技は3ゲージ技のアサルトキックのみという漢仕様かつ接近戦に特化したキャラ。

AIもデフォルトで搭載されており、中の人の低い声と共に当身からの強烈なラッシュで相手を叩き伏せ、
必ずとどめにアサルトキックを使う姿は、技の演出も相まって「渋カッコいい」の一言。
2014年1月14日の更新でスプライトの大幅な描き直し、AIの更新や特殊イントロの搭載が行われた。

出場大会


*1
この描写に関して、ファンの間では「アナザーアギトが翔一の変身するアギトと同じ姿をしている」と
「翔一のアギトが、アナザーアギトのような姿をしている」という二通りの説が存在している。
ただし、それ以前の戦闘でアギトが氷川の前で度々フォームチェンジを行っている事
(=アギトは状況に合わせて姿が変化すると氷川は認識している)、
アナザーアギトは氷川の前でアギトとギルスを見分けるポイントの一つである
「地面に紋章を浮かび上がらせるキック」を見せていることから、
アナザーアギトが翔一の変身するアギトが姿を変えた物と誤認した可能性も否定できない。
加えて、氷川がアナザーアギトと遭遇する前に見た最後のアギトはバーニングフォームに変身しており、
常時展開状態のクロスホーンや前腕から発達したカッター状の器官など、
劇中のように暗がりに浮かび上がったシルエットだけを見ればアナザーアギトと混同するのも
(マフラーの有無という大きな違いはあるものの)全く無理のある話ではない。

また『ジオウ』におけるアナザーライダーとしてのアナザーアギトの公式解説によると、
『アギト』におけるアナザーアギトは人によって外見の見え方が異なるという性質があり、
純粋な心でアギトを見ていた氷川にはアナザーアギトも普通のアギトと同じ姿に見えていた、とされている。

尚、漫画版『仮面ライダークウガ』にも複数のアギトが存在しているが、こちらは翔一アギトをベースに個体差を付けた感じの姿であり、アナザーアギトほど露骨に姿の違う個体は現在まだ登場していない。

一つだけハッキリしているのは、劇中世界ではアギトとアナザーアギトの外見に
(視聴者が認識している程)大きな差異は無いということである。

*2
このエピソード内では「 アギトは一人ではない 」「一人が目覚めれば次々目覚めるのがアギトの力」と表現されており、
恐らく「多くの人類がいずれアギトに進化する」という『アギト』全体の原作設定に由来し、人間の中のアギトの因子を歪んだ形で目覚めさせる能力と思われる。
何にせよ、当初はただ一人のアギトになろうとしていた本編のアナザーアギトである木野とは真逆を行く能力なのが皮肉である。