人工知能搭載人型ロボ・ヒューマギアが、様々な仕事をサポートする新時代。
AIテクノロジー企業の若き社長が、人々の夢を守る為、今飛び立つ!
『令和仮面ライダー元年』
「世界最強の社長はただ一人!オレだ!!」
2019年9月より放送の特撮ドラマ『
仮面ライダーゼロワン』に登場する
仮面ライダー。
平成ライダーシリーズと入れ替わる形で始動した、令和ライダーシリーズの1作目の主役である。
変身者は
飛電或人(ひでん あると)。演者は高橋文哉氏。
元々は飛電インテリジェンスの創業者である飛電是之助が自社の製品を悪用しようとする勢力の暗躍を察して、
秘密裏に進めていた「ゼロワン計画」の要となる、セキュリティ用のツールである。
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変身者「飛電或人」の詳細 |
「笑うなよ……何も分かってない癖に、人の夢を笑うんじゃねえよ!」
「人の夢ってのはなぁ!検索すれば分かるような、そんな単純な物じゃねえんだよ!」
本編開始時点にて お笑いピン芸人「アルト」として活動していた22歳の青年。
しかし、笑いのセンスが壊滅的であり、鳴かず飛ばずの日々が続いていた *1。
出演先の遊園地から 「お笑い芸人型ヒューマギア・腹筋崩壊太郎の方が面白いから」という理由で解雇通告を言い渡され路頭に迷っていた所、
他界した祖父「飛電是之助」の遺言により、
彼が経営していた大企業「飛電インテリジェンス」の二代目社長に突如任命されてしまう。
遺言の内容を知らなかった会社の重役達から「経営の私物化」と非難を受けるが、
或人は「多くの人を笑顔にしたい」という自分の夢を諦め切れなかった事や、経験も無い経営職に就く事は不相応である事は理解していたため、
祖父に申し訳なく思いつつも一度はこれを断ったが、
前述のヒューマギア・腹筋崩壊太郎がサイバーテロリスト「滅亡迅雷.net」にハッキングされて変貌した戦闘兵器マギア「ベローサマギア」に遭遇。
「人間の夢」を嘲笑い、踏み躙るマギアの所業に我慢できず、
社長秘書「イズ」から受け取った飛電ゼロワンドライバーで変身し、これを撃破する。
飛電インテリジェンス社長にしか使用権限がないゼロワンドライバーを使用した事で、是之助の遺言に承諾したとみなされ戸惑うが、
マギアを倒し、人々を危機から救い笑顔を守った事で自分なりの笑いの取り方を心得た事から、
一度は拒否した二代目社長の座に就き、ゼロワンとしてヒューマギアの暴走に立ち向かう事を決意する。
生まれて間もなく両親は他界したと劇中で言及しており、家族は1話時点で亡くなった是之助のみだったらしい。
このため、多忙な祖父に代わり、幼少期は亡き父と同じ姿・名前をしたヒューマギア「飛電其雄」に育てられた経歴を持つ。
しかし、本編の12年前に住んでいた区域で街1つが壊滅する程の爆発事件「デイブレイク」が発生し、
其雄は爆発から或人を庇い、「夢に向かって飛べ」という言葉を遺し、修復不可能なまでに大破してしまう。
或人が「人を笑顔にする」職に拘っていたのは、幼き或人が其雄がヒューマギアと理解した上で「父」として慕い、
旧型故に感情表現に乏しかった其雄を何とか楽しませて笑わせようとしていた経験と、
自分は機械だから無理だろうと諦念の態度を取りつつも、決して”息子”の夢を否定しなかった其雄の遺した言葉がきっかけとなっている。
この出来事は或人の人格形成に大きな影響を与えており、
或人はヒューマギアをモノ・道具ではなく、1つの存在・機械の生き物として見なしている *2。
しかし或人には機械の技術や知識、経験などは一切なく、ヒューマギアについてもド素人並みに知らない事ばかりであり、
ほぼコネのみで会社のトップに収まったため、元から飛電インテリジェンスの重役の座にいた社員達からの心象は良くなく、
公の場所でこそ「社長」呼びで敬語を使われているが、
副社長の大島福添准を中心に、裏工作や嫌がらせこそされないものの、仕事を学ぶという名目で外回り営業など下っ端のような仕事をさせられ、
何かにつけて社長の座を降ろさせようと企まれている。
このため、或人のまともな仲間は通信衛星ゼアとヒューマギア、つまり機械ばかりであり
(歴代作品によく出るおやっさんポジションすら本作に存在しない。あと、戦闘用のヒューマギアはおらず主に裏方支援の上、
機械故にハッキングされて敵対したり、バックドアを仕込まれている無自覚なスパイもいる)、
ライダー作品の主人公の中でも突出して孤立無援の戦いを強いられている。
唯一、有事には所属の垣根を越えて助力する不破諫/仮面ライダーバルカンのみが明確な協力者と言える。
その不破でさえ敵対する可能性があったり……(ただし、これは不破側の意図するものではない。不破個人はむしろ或人には好意的)。
とはいえ、滅亡迅雷.netに対抗するにはゼロワンに変身できる或人の存在が不可欠であり、
或人自身、自分が横入りした異物である事は十分承知しているため、そうした社員達の態度にもとやかく言わず、
「ヒューマギアの社会普及」という目的意識は一致している事もあり、或人が会社に不利益な事態を起こさない限り基本的には協力して会社を運営している。
また、或人が文字通り命懸けでゼロワンとして戦っている事は重役達も承知しており、その点はきちんと評価されてもいる。
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作品概要
本作は「
AI(人工知能)」と「仕事」を作品のメインに据えており、
高い
自立稼働機能を備えて多種多様な職種に派遣される人型ロボ「ヒューマギア」を主軸にして、
*3
主人公は
ライダー作品の主役では初となる企業の社長という、ヒーローとは別に重大な立場にも就きながら、
自社のヒューマギアがハッキングされて変貌した兵器「マギア」や、
自我が芽生えたヒューマギアを”解放する”ために戦うサイバーテロリスト「滅亡迅雷.net」の仮面ライダー達、
裏で暗躍する敵対企業「
ZAIAエンタープライズ」の仮面ライダー、ヒューマギアに悪意を持った
人間が変身する「レイダー」に立ち向かうという、
近未来的なテクノロジーを扱ったSF色の強い作風となっている。
また、本作は
「単なる男の子向けに限らず、子供も大人も関係なく楽しめる」をコンセプトに製作していると公言されており、
主人公の或人が元お笑い芸人だけあって全体の雰囲気としては明るいのだが、
ほぼ毎回罪のないヒューマギアの犠牲が出たり、状況次第で或人が孤立無援になってしまったり、
高性能なヒューマギアによって仕事を奪われた人間の悪意が描写され、それに呼応するかのようにヒューマギアもまた悪意に目覚めてしまったり、
劇場版『令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』では、歴史改変によるif展開とはいえ、
人類を絶滅させようとするヒューマギア達とそれに抗う人類のレジスタンス軍との戦いが描かれたり等、
平成ライダーシリーズに負けずハードかつシリアスな作品でもある。
「ゼロワン」という名前は令和最初のライダーという事で「令和の
1号」という意味の他にも「01(れいワン))」という
とても面白いギャグ語呂合わせ、
「0と1が羅列するデジタル世界を駆け抜ける」、「企業のナンバー1」など複数の意味があり、
劇中でも決めゼリフの「〇〇できるのはただ一人、オレだ!」という形で更なる意味が付加されている。
また、本作で主役ライダーのスーツアクターが、多くの主役ライダーの中の人を務めた「ミスター平成ライダー」こと高岩成二氏から、
縄田雄哉氏へとバトンタッチされた。
*4
また、スーツ自体も縄田氏の頭にぴったりフィットする非ヘルメット型の頭部による小顔でスマートなシルエットの実現、
新素材の採用やパーツ配置の工夫で腕組みすら可能な程に向上した可動域など、これまでのスーツとは一線を画す画期的な試みが随所に見られる。
基本形態のモチーフであるバッタは仮面ライダーシリーズにおける定番だが、
それに加え、他のライダーの基本形態のモチーフに
狼、隼、
蠍などが使用されたり、作中で「
アーク」という名称が用いられるなど、
旧約聖書、新約聖書を連想させる要素が多いのも特徴。
バッタ自体も旧約聖書にサバクトビバッタによる蝗害の記述があるなど関連付けられるモチーフの一つであり、
実際にそのサバクトビバッタと蝗害のイメージを反映したフォームも登場している(後述)。
全くの余談だが、2022年にAIによる自動画像生成ツールが実用化され始めたことで、
『ゼロワン』の劇中で描写されたように仕事を機会に奪われるのではと絵師の間で物議が醸され、
先見の明があった作品として再注目される出来事があった。
形態
A jump to the sky turns to a rider kick.
「ライジングホッパープログライズキー」によって変身するゼロワンの基本形態。
その名の通り
バッタを投影した戦闘能力を持ち、強靭な脚力を武器とする。
必殺撃はライダーキックに相当する「ライジングインパクト」。
一度相手を上空に蹴り上げてからジャンプで追い越し、空中でキックをお見舞いするパターンと、
地上の相手にそのまま飛び蹴りを浴びせるパターンの二種類。
また、本作のライダーは必殺技の発動の際に文字による演出が入る。
変身の際には衛星ゼアから「ライダモデル」というバッタ型のエネルギー体が照射され、
このライダモデルが変身者の周囲を跳ね回る事で敵への牽制をする(変身時の隙を隠す)のだが、
衛星軌道上から照射される都合上、
「屋内で変身すると巨大なバッタが天井を突き破って降ってきて、周囲を破壊しまくる」
という結構傍迷惑な変身シークエンスをとる(演出などの都合上、省略される事も多いが)。
シャイニングホッパーなどの中間フォームが登場してからは上位互換のそちらに直接変身したり、
後述の事情で一時変身不能になったりしたため中盤以降は出番が減ったが、
第30話でカタログスペックで勝る仮面ライダーサウザー相手に或人の戦闘センスでスペック差を埋めて、
(止めこそメタルクラスタホッパーに譲ったものの)圧倒したりと、少数ながら見せ場は与えられていた。
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派生形態及び強化形態など |
Fangs that can chomp through concrete.
鮫を投影した能力を持つ「バイティングシャークプログライズキー」によって変身する形態。
水から酸素を抽出して疑似的な鰓呼吸ができる「ラビリンスラング」やフィールドを展開して自身の形状を流線型に近付け、
サメ肌状のテクスチャーで抵抗を軽減させる「フィールドスキナー」等、水中戦に適した機能を多数搭載している。
必殺技は前腕のシャークガントレットから発生したエネルギー刃で、獲物を噛み砕く鮫の顎に見立てて敵を挟み込む「バイティングインパクト」。
この能力で水中に潜伏中のアークを破壊しに行かなかなかった事はよく突っ込まれる。
Spread your wings and prepare for a force.
ハヤブサを投影した能力を持つ「フライングファルコンプログライズキー」によって変身する飛行能力を持つ形態。
必殺技は「フライングインパクト」。
先行登場した劇場版『Over Quartzer』ではこの形態で仮面ライダーゾンジスを倒し華々しい印象を残したが、
TV版では序盤にプログライズキーが奪われ敵の変身用に使われたため、その敵を倒して取り戻すまで長らく使う機会に恵まれなかった。
Explosive power of 100 bombs.
トラを投影した能力を持つ「フレイミングタイガープログライズキー」によって変身する形態。
前腕の「タイガーガントレット」には1800℃の炎を発する「パンテラバーナー」が装着されている他、
「モビフレクサー」によって全身の柔軟性が向上している。
必殺技は炎を纏って突撃する「フレイミングインパクト」。
Fierce breath as cold as arctic winds.
ホッキョクグマを投影した能力を持つ「フリージングベアープログライズキー」によって変身する形態。
前腕の「ポーラーフリーザー」から凍結剤を放ち、手足の「ベアークロー」で敵を砕く。
また、極低温装甲「トランスパー」で触れた物質から熱を奪う事ができる。
必殺技は冷気で敵を凍らせてからチョップで砕く「フリージングインパクト」。
Larger than life to crush like a machine.
マンモスを投影した能力を持つ「ブレイキングマンモスプログライズキー」によって変身する形態。
元々は大規模災害時に個人単位で運用できる救助・防災装備として設計され人工衛星ゼアに搭載されたシステムで、
変身時にはゼアを構成するパーツの一部が分離・圧縮して転送された後、
ゼロワンはライジングホッパーの形態でパワードアーマーに乗り込み、操縦するような形で戦う。
必殺技はプログライズキーを模した左腕のパーツ「マンモスプレッサー」を切り離して巨大化させ、キックの要領で敵を押し潰す「ブレイキングインパクト」。
When I shine, darkness fades.
「シャイニングホッパープログライズキー」によって変身する強化形態。
額に演算処理装置「シャイニングアリスマテック」を備え、
敵をラーニングする事で行動を予測して約25000通りの対処パターンを算出、約0.01秒で最適解を導き出す事ができる。
しかし、変身者がそれに追随できるように潜在能力を強制的に引き出す能力も備わっているため、
戦闘後は強烈な負荷に見舞われてしまうリスクが存在する。
バッタモチーフのままでの正統進化的なデザインに人気はあるが、
程なくして出た後述のシャイニングアサルトホッパーの方が設定上上位互換かつ低リスクなため使用頻度が高く、
シャイニングホッパー自体の活躍はほとんど無い。
No chance of surviving this shot.
シャイニングホッパープログライズキーにアサルトグリップを装着して変身する強化形態。
胸部に戦闘補助装置「オービタルユナイト」を備え、
リアルタイムの出力調整を行う事で、肉体への負担を極限まで抑えたままシャイニングホッパー時の演算処理や高速移動能力を維持できる。
一方でアサルトグリップには形態の動作効率を最大化する補助を行う代わりに、安全装置やリミッターの類が一切廃されているリスクが存在したが、
シャイニングホッパー側の機能がそれらを担当する事で補い、互いの欠点を潰しつつ利点を最大限に引き出す構造となっている。
アサルトグリップは本来は滅亡迅雷.net専用に製造された装備であり、
確たる理由があって使用できたバルカンはともかく、ゼロワンまで使用できた理由は不明。
アサルトグリップとシャイニングホッパープログライズキーに互換性があったのはゼアが滅亡迅雷.netの行動を予測していたためだが、
認証などの都合によりそれだけで使用可能になるはずではなく、使用者の或人自身に何らかの理由がある事が示唆されていたが、
結局本編で明かされる事は無かった。
It's high quality.
通信衛星アークを利用して敵対企業の「ZAIAエンタープライズ」で作られた、
「メタルクラスタホッパープログライズキー」による形態。
これは、ZAIA日本支社社長の天津垓が部下の刃唯阿に命じてアークに作らせたプログライズキーで、
天津が或人に視聴者視点で1か月近く嫌がらせと圧勝を繰り返し、自分への強い怒りと憎しみを抱かせた上で、
アサルトグリップを通じてアークと同期させ、強制的にベルトに装着してこの形態に変身させた。
特殊金属「飛電メタル」による高い強度と柔軟性を持ち、ボディを無数の小型バッタ型「クラスターセル」に分離したり、
クラスターセルをあらゆる形に変形、分離、融合を行い攻守共に他のライダーをも寄せ付けない強力な能力を持つが、
変身中は意識がアーク内の悪意で満たされたデータ空間に囚われて自由が効かなくなる上、
一度変身を行うとメタルライザー内にあるプログラム「プリズメントチェイン」によって、以降は他のプログライズキーが読み込めなくなってしまう。
「強大な力の代償に想定外の制御不能な副作用がある」「常人は制御できないが変身者だけ特別だから使える」
というのが定番のライダー作品の暴走フォームの中で、
前代未聞となる完全に制御度外視で変身者を暴走させるためだけに作られた形態。
おまけに上述のようにその場しのぎで他のフォームを使う事もできず、
或人は変身しないか、暴走を覚悟で使うかの2択を迫られる事となった。
しかし、イズを中心にそれ以前に或人と共に活動してきたヒューマギア達が、
「悪意に対抗できるのは善意」という言葉をヒントに、
各自がラーニングした仕事のスキルを最大限に駆使して必要なデータを揃え、
ヒューマギア達の善意のデータをプログライズキー化した「ヒューマギアプログライズキー」と「プログライズホッパーブレード」により、
クラスターセルを刀身内のエネルギー増殖炉「メタルブレードリアクター」に吸収。
小型のライダモデル「リトルクラスタ」に統合させて、そこから再度クラスターセルを展開し、アーマーを再構成させる事で、
ヒューマギアの善意によってアークの悪意を相殺し、或人の意思を保ったままその力を振るえるようになった。
戦闘時は「アタッシュカリバー」と「プログライズホッパーブレード」を合体させた巨大武器を振るって戦う。
制御できた代わりに能動的にクラスターセルを使用しなくなった(できなくなった?)が、
プログライズホッパーブレードの青い刀身「ブレードマーカー」にクラスターセルを吸収・制御する事で、
斬撃として放出、またはそのまま斬り付ける攻撃が使用可能になっており、
単体の必殺技でクラスターセルで自身の複製を生み出し同時にキックを相手へと放つ「メタルライジングインパクト」、
武器の必殺技でクラスターセルを斬撃に乗せて放つ「プログライジングストラッシュ」がある。
また、メタルクラスタを制御できるようになった副作用として、プリズメントチェインによる他形態への変身ロックも解除された上に、
変異してしまったヒューマギアを撃破しても破壊すること無く元のヒューマギアに戻す事が可能になった。
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ネタバレ注意 |
Road to Glory has to Lead to Growin' path to change one to two!
飛電ゼロツードライバーにゼロツープログライズキーを装填して変身するゼロワンの後続機。
ハード(ベルト)に新規ツールや外付けアイテムの上乗せで強化する事が多かった平成ライダーと異なり、
変身道具を最新の機器に丸ごと一式取り換えるという前代未聞の強化形態。
サブライダーであれば一応 前例こそあったが、これまでの主役ライダーはベルトは替えの効かないワンオフなアイテムとして扱い、
ハードはそのままにソフト交換や外付けアイテムによりフォームチェンジや強化を演出していたため、視聴者を驚かせた
(作品内で既存の変身アイテムを型落ちの中古品扱いにしかねないという点もある。
本編では飛電ゼロワンドライバーが破壊されるという展開で説得力を持たせている)。
衛星ゼアのサポートを受けて変身していたゼロワンと異なり、
ゼロツープログライズキー自体にゼアの人工知能が搭載されているため、衛星が乗っ取られた現状でも変身が可能。
ライジングホッパーに似た非常にシンプルな姿だが、スペックは大きく向上しており、
加えてシャイニングホッパー以上の空間転移としか形容できない超高速移動、小型化された「シャインシステム」、
マスク部分を含む各部装甲に飛電メタルの技術が取り入れられるなど、既存のホッパー系の形態の技術が小型化・最適化して搭載されている。
加えて、ゼアのライダモデルや様々な武器や変身アイテムなどを生成する照射成形機「ビームエクイッパー」がライダーの能力として搭載されており、
瞬時に武器や変身ツールを精製する事が可能となっている。
しかし、最大の特徴は演算能力。
ゼロワンに登場する仮面ライダーは多くがラーニングによる行動予測能力を持っているが、
ゼロツーは人工知能ゼアが一体化しているために他のライダーや形態のそれを上回り、
0.01秒毎に2兆通りもの予想から最適解を選び出し変身者に伝える事を可能としている。
その描写は単なる行動予測の範疇を超えた、機械的な未来予知と言っても差し支えなく、
敵が何をしようが 必ず最適解で対応し、かつワープの速度で回避・防御・迎撃が可能。
首元にある「02」の形状に見えるパーツだが、「0」の部分は「クォンタムリーパー」という次元量子跳躍装置であり、
同一世界線上にゼアの予測する結果を同時に存在させる事が可能。
左肩へ流れる「2」の部分は「ゼロツーストリーマ」という姿勢制御装置で、
指向性を持たせた光を放つ事で高速行動中の制御を担うスタビライザーとして機能する。
その光景は、さながら 赤い光のマフラーが棚引いているようにも見える。
ちなみに『ゼロワン』は全45話なのだが、登場は40話と大分終盤であり活躍も少なめとなっている。
これは新型コロナウイルスの流行に伴い、撮影が1か月半に亘って止まってしまった影響が大きい。
結果として、劇中最後の活躍が「憎悪と悲しみ捕われ、それを救わんとする仮面ライダーバルカンを一方的にあしらう」という、
到底ヒーローとは思えない場面となった。
「人と人工知能が共に歩んでいく証」と称したゼロツーが、「ヒューマギア・亡と人間・不破が想いを一つに力を合わせた証」である、
オルトロスバルカンをねじ伏せるというのが何とも皮肉である。
また、「ヒューマギアの善意の結晶」であるプログライズホッパーブレードを邪魔だとばかりに無造作に投げ捨てた事も物議を醸した。
尤も、或人の方からは手を出していない事や後述のアークワンではなくゼロツーで対応した事(つまり、バルカンに敵意や憎悪を向けていない)から、
バルカンの言葉は届いていて、それが或人が立ち直る切っ掛けにもなっており、
一連の全てが「悪意に対抗するのは力では無く善意」という終盤の展開を象徴するものにもなっている。
もっとも、不破がこの時初めて或人に名前で呼びかけるという熱いアドリブが無情にも不採用になったという事から、
スタッフとしては「2人にはそこまでの絆は存在していない」という見解であるようだ。
そして、劇場版『REAL×TIME』では「別のベルトで変身する」という点が功を成す事となる。
破壊! 破滅! 絶望! 滅亡せよ!コンクルージョン・ワン…
人類とヒューマギアの滅亡を目論んだ通信衛星アークこと仮面ライダーアークゼロは撃破されたが、
ヒューマギアのため次なるアークを生みかねない人類は滅ぼさねばならないと考えた滅は、
説得を試みたイズを迷いを断ち切ろうとするかのように破壊。
それにより憎悪と悪意に飲まれた飛電或人が、アークゼロの発展版であるアークドライバーワンとアークワンプログライズキーを使い変身した形態。
ライダー作品史上前代未聞となる、洗脳や暴走ではない主人公の変身者が己の意思で闇堕ちした形態である。
装甲「パワードスーツシュレーディングテクター」は変身ベルト「アークドライバーワン」から放出された液体金属が、
装着者を包み込む事で形成される。
耐靭性、耐摩耗性に優れた特殊生地内には流体金属が封入され、柔軟性を維持したまま装甲としての機能を果たしている。
他のライダーシステムと比較して、生命維持や人命尊重のための装備が極端に軽減されており、
変身者の負担も大きいが殺傷能力も高く、さらに変身者の「悪意」を力に変換し悪意の波動「スパイトネガ」を生み出す事ができる。
また、変身者の悪意以外の感情を鎮静化させ、意識をネガティブな面に集中させる事で悪意の化身とも言うべき存在と化させる効果を持つ。
主人公が、倒した黒幕の後継者同然の存在になるという展開は視聴者に衝撃を与えたが、
元々或人は上述のように歴代主人公と比較してあまりに孤立無援かつ殺伐とした境遇に置かれており、闇堕ちの資質は整っていた。
それ以前にその兆候がなかったのは、イズが終始理解者として側にいた事や、幼き頃の父との思い出が支えになっていたためだった。
だがそれは或人のヒューマギアに感情移入しすぎる性質とも直結しており、
こうした負の面がイズの「死」により、支えとしていた理解者の喪失、其雄との離別に由来するトラウマ、
良心を自ら捨てるような選択をした滅への怒り等が相乗的に重なり、最悪の状況で形を成した結果である。
児童誌などでは「ゼロツー対アークワン」という本来あり得ない描写がなされており、
新型コロナウイルスの流行による撮影休止などの影響に伴い、当初のプロットから大きな展開の変遷があった模様。
実際、劇場版公式Twitterでも本来の予定では無かった事が明言されている。
なお、没になった「ゼロツー対アークワン」の構図はその4年後に放送された『 仮面ライダーガッチャード』において実現することになる。
なお、アークワン初登場(並びに或人の闇堕ち判明)回の同日にはスーパー戦隊シリーズ『魔進戦隊キラメイジャー』においても、
キラメイジャーメンバーの一人「キラメイシルバー」が闇堕ちするという展開が発生したため
偶然にもスーパーヒーロータイムが1時間「ヒーローが闇堕ちする展開」になるというとんでもない事態になっていた。
更に新型コロナウィルスの影響で公開延期した劇場版『 ウルトラマンタイガ』のCMでは ウルトラマンタロウが 半年間闇堕ちし続けており、
タイガがタロウ、或人、キラメイシルバーに 「邪悪な力に負けないでください!」と呼びかけるネタが一部で流行ってしまった。
A riderkick to the sky turns to take off toward a dream
最終話に登場した”仮面ライダーゼロワン”としての最終形態。
名前の由来は主題歌である「REAL×EYEZ」(「実現する」という意味の「Realize」との掛け言葉でもある)から。
通信衛星ゼアのサポートなしで変身するため、或人の身体にアーマーが直接装着され変身する。
外見はドライバーからわずかに覗くキー以外はライジングホッパーと全く同じ。
ライダモデルを量子分解した上で生成された素粒子をリサイズしてドライバーに還元する「リアライズ」により、
ドライバーの限界を超えた高出力を生み出しているが、負荷が大きく稼働時間は限定されている。
アークワンと化した或人を止めるべく不破が立ちはだかった際に、
手加減のためにゼロツーに変身した事で接続したゼアの内部領域で、
バックアップ消失により本来は絶対にありえない其雄の意識データとの再会を果たし、
それに伴いゼロツードライバーのビームエクイッパーにより復元された「飛電ゼロワンドライバー」と、
連動してライジングホッパープログライズキー自身が「俺を使え」と言わんばかりに変化した、
「ライジングホッパープログライズキーゼロワンリアライズVer.」(名前長すぎ)を用いて変身した。
必殺技はキックを相手へ放つ「リアライジングインパクト」。
基本スペックはゼロツーより下で時間制限もあるが、
本来仮面ライダーゼロワンはメタルクラスタホッパー以上の強化はできないという結論がゼアの計算で出ていた。
加えてアークの計算では、
「アークワンと化した或人と滅の争いが、やがて悪意の連鎖の果てに『人類とヒューマギアの争い』に発展する」という結論が出ていた。
リアライジングホッパーはそのどちらの計算においても存在し得なかった存在であり、
即ち単なる最終形態ではなく、人が技術的限界を越えたり、悪意を乗り越える事ができるという事を体現した形態である。
ライジングホッパープログライズキーがいかなる理屈で変化したかは劇中で解説されていない
(ビームエクイッパーはあくまで設計データがあるツールを製造するもので、既存のツールを後天的にアップグレードするような機能は確認できない)。
しかし、この現象はゼロワン全体の物語における数々の出来事を踏まえて、
”プログライズキー自身が自らの意志で或人の想いに応えるべく進化した”という説が有力視されている。
少なくとも『ゼロワン』劇中に登場した数々の自我に目覚めたヒューマギア達を見れば、それをロマンチストな妄言と断じる事はできないだろう。
また、後日談の映画『REAL×TIME』序盤で或人が通常のライジングホッパープログライズキーでライジングホッパーへ変身しようとしており
(結局変身完了直前で仮面ライダーエデンに妨害されたため未遂)、
その後特にキーの変化描写も無かったのに終盤でリアライジングホッパーに変身した事から、
後でリアライズverに変化したものとは別のライジングホッパープログライズキーも製作したようである。
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共演に関する余談 |
ゼロワンは、前作『 仮面ライダージオウ』の劇場版『Over Quartzer』に先行登場しており、
ソウゴが「ジオウの放送が終わり、新しいライダーが始まる夢」を見た後、
決戦の後、クォーツァーの生き残りである仮面ライダーゾンジスの前に現れ、トドメを刺す役割を担った。
ソウゴは夢として見た光景を創造する力を持っている事は劇中で公言されているため、
順当に考えれば、ゼロワンはジオウによって因果律を確定される形で誕生したライダーと言えると共に、
同作品単品で見ればゼロワンは全平成ライダーが存在する世界線で、
ソウゴが新しい未来を切り開いた影響で生まれた仮面ライダーとも言える。
一方でTV版最終回では、ソウゴがタイムジャッカーの手で統合された世界を再構成する際に、
自分の世界を持たない 仮面ライダーディケイドを除く19の平成ライダーの世界と、
ツクヨミの元居た世界線、ゼロワンの世界線を加えた合計21個の世界に分離させたとされており、
こちらではゼロワンはリセットされた「ジオウの世界」に上書きされた歴史の仮面ライダーであるかのように扱われている。
ジオウの劇場版とTV版の繋がりがループ物かパラレルなのかはファンの間でも見解が分かれるが、
いずれにせよゼロワンの時間軸はジオウによって間接的に作られた事になっている。
劇場版『令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』ではジオウ側の設定はTV版準拠となっているが、
ゼロワン側の情報がTV版と噛み合わない部分もあり、これに関してはタイムジャッカーの時間改変のせいとも、
単純にパラレル扱いとも取れる描写となっているため、各平成ライダー作品との繋がりは不透明となっている。
ただし、公式サイトでは劇場版について「アナザーゼロワンが誕生するまでは正史」と解説されており、
実際にTV25話では『令ジェネ』の映像を一部流用したシーンもあるため、
少なくともゼロワン側単独の歴史については基本情報を共有していると考えてもいいようである。
配信作品で出てきた『エグゼイド』の檀親子は別世界からやってきた説がある
『ゼロワン』で聖書をモチーフにしたライダーが多い事や、ジオウとゼロワンが類似した未来予知的な能力を持つ事を踏まえて、
ジオウを 創造主に見立てると、ゼロワンは ある存在の暗喩とも取れる。
一度飛電ゼロワンドライバーを破壊されて変身不能になったゼロワンが最終回で再度蘇る形で変身可能になった展開など最たるものである。
ゲーム『KAMEN RIDER memory of heroez』では、
Wや オーズらと共にメインビジュアルやタイトル画面で並ぶなど同格として扱われているが、
メインストーリーは財団Xとの戦いという事もあってか主役はWとオーズとなっており、ゼロワンはゲスト的な立ち位置に留まっている。
性格面も会話の度に一発ギャグを挟み込むなど、番組の放送終了から間もない発売の割に初期に近いキャラ付けである。
なお、同作では何故か『仮面ライダーW』のキャラ以外は人名を出してはいけない縛りを強いられており
(唯一名前が出てきたのが他の名称を持たないイズ)、
当然彼もゼロワンとしか呼ばれず、代名詞「はい、アルトじゃーないと!」もギャグを連呼する割に一度も言わない。
この作品もコロナの影響を受けた事で発売延期の煽りを喰らったのかは不明。 *6
2021年の映画『スーパーヒーロー戦記』では『南総里見八犬伝』の世界にて登場。
『キュウレンジャー』のラプター283を助けると同時に恒例の 寒いギャグを披露するも、ラプターにはネタを解説される。
何の因果か彼女もアンドロイドの秘書的キャラかつ、 中の人(声の方)も『ゼロワン』出演者である。
ちなみに同じく迷い込んでいた当時現役ヒーローの 仮面ライダーセイバーを除けば唯一ライダー側から『八犬伝』の八犬士として選出されている
(他のメンバーは全員スーパー戦隊シリーズ出身)。
いつもの採石場で合流した際にはジオウと再会を喜んでいた。
また、『セイバー』と『機界戦隊ゼンカイジャー』のコラボ回ではゼンカイガオーンがゼロワンギアを使用してライジングインパクトを放っていたのだが、
動物モチーフのゼンカイガオーンがゼロワンギアを使用した事を不思議に思った視聴者も少なくなかった。
ゼロワンギアを使用した理由として「ゼロワンのモチーフでもあるバッタが動物に含まれるからではないか」という考察も上がっている。
他にも「ガオーン役の梶裕貴氏が主人公を演じている作品の原作者が『ライジングインパクト』という漫画を連載していたためではないか」 というネタ混じりの考察も上がっている
2021年の映画『 ビヨンド・ジェネレーションズ』では、精神体として未来にやってきたユーリが変身するクローンライダーの1体として登場。
この時、 仮面ライダー1号と 仮面ライダークウガも同時に登場している。
本当の意味で最初の平成生まれのシンさん?あの人撮影に使えるスーツがないんです…
また、ゼロワンをモチーフとした 仮面ライダーリバイ・バイスのフォーム「ネオバッタゲノム」も登場している。
『ガールズリミックス』ではゼロツーが登場。ただしメインキャラが女性オンリーなので…
実は映像で他作品ライダーとゼロツーが共闘するのは初めて。
騒動解決後にイズが或人を模倣したギャグを披露した際、『 仮面ライダーゴースト』の深海カノンにはウケていた。
良かったな不破さん!同じ感性の持ち主がいて!
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俺がMUGENキャラで、仮面ライダーゼロワン!
qzak氏の制作したものをベースに複数の製作者の手が加えられたものが仮面ライダー製作Wikiにて公開されている。2020年4月5日に正規版となった。
WinMUGENとMugen1.0以降の両方に対応している。
4ボタン形式のキャラで、
スプライトは手描きで製作されている。
各種フォームチェンジは
必殺技及び
超必殺技として搭載されおり、演出面も凝って作られている。特に超必殺技の文字演出はファン感涙ものである。
性能は
通常技が強いが、フォームチェンジによる牽制もこなせるオールラウンダー。
また、オプションとしてイズ
*5が随伴し、戦闘には参加しないが様々なアクションを行う。
2020年9月の更新により、ライフ15%の時のみ使用可能な
即死技「リアライジングインパクト」が実装された。
AIも搭載されており、近接時のラッシュや当身技を巧みに使ってくる。
出場大会
非表示
*1
ピン芸人として活動していたため、気付かなかったのかもしれないが、
イズのギャグ解説や持ちネタを取られた時の反応(「ギャグの解説をしないでー!」等)からも分かる通り、
或人は
ボケ向きではなくツッコミ向きである。
そして顔芸
番外編でよりによって腹筋崩壊太郎から断言されてしまっている。
ちなみに彼のギャグは「名刺を見つめる名シーン!」「輝け!社長なのに新入シャイーン!」等、
ほぼ駄洒落ばかり(これは寒いギャグだとどうしても駄洒落になるからという観点によるもの)。
或人と同年代の若手芸人からネタを募集して特につまらなかった奴を採用していたとか。
或人は「俺にとって人間とヒューマギアに境目なんてない」「ヒューマギアの死は人間と同じだ」と言うように人間とヒューマギアを同一視している節がある。
にも拘わらず、ヒューマギアを破壊する事を本質的には忌み嫌ってはいるものの、ヒューマギアはあくまでマシンであり、
壊れてもまたデータから復活させる事ができると完全に割り切ってもいるし、
ヒューマギアの心や自我を素晴らしいものであると認めている一方で、「転身」システムで素体の姿と人格をボタン一つで変え、
ヒューマギアは人の助けになるものであるともしながら、作られた役割を放棄してでも自分の夢を持てと説く。
一見すると矛盾するが、これは要はモノを大切にするモノを正しく扱うという考え方を更に推し進めたものだと言える。
当然、これは作中の社会や現実の視聴者からはあまり理解されない価値観でもあるが、
言ってしまえばそうした新しい価値観と存在で社会をよりよくしようとする、今までの歴史の中でも数多いた様々な分野における、
先駆者・開拓者のそれと同じであり、そういう意味において或人は社長でライダーというコンセプトに違わぬ人物でもある。
一応、第一話では「人工知能に人間のお笑いは理解できないでしょ」と発言していたが、
実際に多数のヒューマギア達と関りを持った事で徐々に考えも変わっていったようだ。
その反面、ヒューマギアに肩入れしすぎる面も目立ち、公平な価値観とは言い難い。
ただ忘れてはいけないのは、ヒューマギアの暴走は人間の悪意を学んだがためである。
ヒューマギアそのものに最初から人間を害そうなどという意思は存在せず(むしろ人間の道具として造られた故に人間のために働くのが当たり前と考えている)、
ヒューマギアが善か悪かになるのは、全て人間がヒューマギアというテクノロジーをどう扱うかという所にかかっている。
そして、作中には扱いを大きく間違えてしまったが故に自発的に人に歯向かうヒューマギアが出現した。
ハッキングによる暴走にせよ、自我による行動にせよ、殺人マシーンとなる危険を孕んでいるのは事実である
(当初はマギア化は滅亡迅雷.netのゼツメライザーとゼツメライズキーによるものと思われたが、
なくても変身でき、ヒューマギア自体に何故か元々備わっている機能である事が判明した。
尤も、ヒューマギアはインプットされたデータによって形態を自在に変化させられるため、
キーが無くともデータを書き換えればマギア化するのは別段不思議な事ではない。
第一話から登場している戦闘員のトリロバイトマギア等や中盤以降のアークマギアはその典型例である)。
「ヒューマギアは悪くない、悪いのは心無い人間だ」という或人の一貫した主張は間違ってはいないが、
社会からの不安に対して抜本的対策を行うべき開発・販売元の社長としては無責任とも取られかねないのも否定できない。
ではヒューマギアが危険なテクノロジーなのかと言えばそうだと言い切れるものでもなく、
正しい扱い方をしたために人間と強い信頼関係を結んだヒューマギアも多く登場しているし、
無体な扱いを受けて不満や怒りを抱いたヒューマギアが、改心した人間と接している内に優れた成長を遂げたケースも存在する。
劇場版などにおいてはヒューマギアが人間を支配し殲滅せんとする世界であるにも拘らず、
多くのヒューマギアが人間と共に在るべきだという結論に到達する等、ヒューマギアが人間のパートナー足り得る可能性と希望もまた確かに存在するのだ。
人間が正しくテクノロジーを扱えるようになる事=人間とヒューマギアが笑い合える社会にする事が或人の夢であり、
新しいテクノロジーにどう向き合うべきかという事が、社会と人に突き付けられている事を忘れてはならない。
また、「ヒューマギアの父親」によって人類を憎むよう歪んだ教育を施された仮面ライダー迅とは真っ向から主張が対立しているようでありながら、
お互いを非難する言葉が正論でありながら自分自身にもブーメランとして返るなど、どこか鏡合わせの存在のように描かれている。
祖父の是之助に対しても嫌っている様子こそ無いが、葬儀に出席せず(第一話がその当日)、重役達も孫の存在すら知らなかったりと、
肉親に対する情が感じにくい。
一応祖父の墓参りには行ったが、或人にとっての親はあくまで「ヒューマギア・飛電其雄」という事なのか、
同じ墓に名前が刻まれた「本当の両親」には一切言及していない。
放送開始直後から「実は自分を人間だと思い込んだヒューマギアなのでは」などと予想されたりしていたが、
人間には使用不可能なはずのアサルトグリップが使えたり、ゼアとアーク双方から何かを期待されているなど普通の人間ではない事だけは確かである。
……などと、脚本家が『
仮面ライダーエグゼイド』と同じだけに、どうにも不穏なものを感じさせていた。
……なお、或人はライダー主人公の中でも尋常じゃないくらい頑丈であり
(例えば劇場版では敵の攻撃で吹き飛ばされ、アンダースーツでビル3つをぶち抜かれても五体満足)、
ヒューマギアの耐久性が、別にそこまで高くない事が明らかになるにつれ、
「ヒューマギアならぶっ壊れてるから人間に決まってるだろ」と斜め上の評価をされている。
*3
派遣したヒューマギアが人々と関わる仕事を見守るという話の構成上、或人自身が直接人助けをする場面は実は数少ない。
勿論目の前で襲われている人間を見捨てるような事はしないが、
戦うのも敵に襲われたヒューマギアを守るためである事が殆どである。
仮面ライダーの誇りである「人間の自由のために戦う」というのを本作では「人間」を「ヒューマギア」に置き換えたようになっている。
それが特に顕著に表れているのが、消防士ヒューマギアの救助訓練を見守る話で、想定以上の火災が発生していても
フレイミングタイガー(耐熱性に優れ炎の中でも呼吸可能)やブレイキングマンモス(災害救助用)を使ったりせず外で待ち続け、
一方で今にも死にそうになっていた副社長達は不破諫が
何故か変身せず生身で飛び込んで救出したのに、
或人は
完全に鎮火してから機能停止した消防士ヒューマギアの方を助けに行った。
こうした事で
「人間の自由と生命はどうでもいいのか」などと揶揄される事も
(ただしこの時或人自身は現場から逃走した放火犯のマギアを追跡しており、
火災への対処と人命救助は現場にいたヒューマギアとプロの消防隊に任せた形ではあった。
また、迂闊に手を出すと敵対企業に付け込まれる状況でもあり、救助を待つ専務達ですらそれを気にしていた事も留意しなければならない)。
*4
ただし(この当時の各作品すべてにいえることだが)新型コロナウィルス感染症流行の影響で制作遅れが発生し、
本編も5週にわたって特別企画的な総集編を放送せざるを得なくなり、夏の劇場版も冬まで延期する形になったこともあり、
翌年の『
仮面ライダーセイバー』においては、
本作では2号ライダーのバルカンを担当していた浅井宏輔氏に主役ライダーのスーツアクターをさらにバトンタッチすることになった。
なお、次々作『
仮面ライダーリバイス』では再び縄田氏が主役ライダーのアクターに返り咲いたが、
その更に次作『
仮面ライダーギーツ』では
この年に放送されるはずだった仮面ライダーシノビも担当した中田裕士氏に変更され
(縄田氏もサブライダーであるバッファのスーツアクターとして続投)、
そのまた次作『仮面ライダーガッチャード』では長らくサブライダー(一応『リバイス』でも主役の片割れ)を演じていた永徳氏が抜擢と、
まだまだ令和ライダーのアクター配役は流動的であるようだが、誰にでもチャンスのある時代となったとも言えるだろうか。
なお年末年始の恒例映画となった『MOVIE大戦』シリーズ等で主役ライダー同士が共演する必要上、
同じアクターが担当していた場合は片方を代役にせざるを得なかったわけであるが、
毎作品で主役ライダーのアクターが違うのであればそのまま据え置ける事で負担が減ったとも言える。ある種の働き方改革と言った所か。
何?高岩さんは分身できるから問題なかった?そんなバカな話があるか仕事に戻れ
*5
本作のメインヒロイン。演者は鶴嶋乃愛氏。
飛電インテリジェンスが開発した秘書型AIアシスタントの女性ヒューマギアで、社長秘書として或人のサポートを担当している。
普段は秘書の業務を担当しているが、ゼロワン計画の中核を成すヒューマギアとされており、本来はゼロワンの変身者の支援を目的として創られたらしい。
ほぼ孤立無援の或人にとって、頼れるヒューマギアの中で最も近しい味方であり、
演じる鶴嶋氏のチャーミングな外見と演技も相まって『ゼロワン』の登場人物の中でも突出して高い人気を誇るヒロインである。
滅との戦いを終えた後は再造されているのだが、機密保持のためにバックアップを取られておらず、
先代イズのメモリーはイズの「死」と共に失われてしまったため、最終回は先代イズとの記録を電脳空間で後継者のイズと共に振り返る所で物語を終えている。
また、アークによって模倣・製造されたアズが存在している。演者は同じく鶴嶋乃愛女史。
オープニングに登場する赤い目のイズの正体にして、或人にアークワンプログライズキーを直接手渡したのも彼女である。
模倣元のイズと比べるとロングヘアで敬語は話さないのが特徴。
特に35.5話は敬語の使い方が変であり、口調もござる調でなんかユルい。「メモリーにございませぇん」とか。
TV版最終回でも破壊されず健在であり、取得したゼロワンやアークのデータを劇場版のラスボスに譲渡。
このまましぶとく生き残り続けるものと思われていたが、Vシネマ『仮面ライダー滅亡迅雷』にてZAIAのCEOからキルコードを打ち込まれあっさりと機能停止。
機能停止後はデイブレイクタウンに葬られるも、滅が確認しに行くとその姿は消えているというなんとも不気味な事態に……。
*6
本作におけるゼロワンの声も担当した高橋氏から番組開始から間もなくして声を収録したというインタビューもあり、
フォームチェンジが基本となるライジングホッパー以外は
フライングファルコン・シャイニングアサルトホッパー・メタルクラスタホッパー・ゼロツーのみに絞られている事、
ゲームにおけるゼロワンの扱いなどから本来はゼロワンが放送中に発売される予定だった事は十分考えられる話ではある。
最終更新:2025年05月13日 21:36