『あずみ』は、小山ゆうによる日本の漫画作品。
『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて、1994年から2008年にかけて連載され、「第1部・完」となった。単行本は全48巻。引き続いて、幕末を舞台にした続編『AZUMI』が連載されている。
江戸幕府初期、太平の世を作り上げるため、内乱の芽を摘む暗殺集団の一人として「爺(小幡月斎)」に育てられた少女「あずみ」の戦いと苦悩を描く。戦国から太平の世へと移りゆく中で必要とされなくなった武人たちの不満にスポットが当てられており、過渡期ゆえの社会不安が物語のベースとなっている。
1997年度第一回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞のほか、1998年には第43回(平成9年度)小学館漫画賞青年一般部門を受賞した。
あずみ
本作品の主人公。小幡月斎によって育てられた少数精鋭の暗殺集団の1人。さっぱりした無邪気な性格で、子供に好かれる。常人を遥かに超える動体視力と俊敏さを兼ね具える少女。珍しい双頭刃の刀を難なく使いこなす。目が青みがかっており、髪の色も茶色っぽい事から外国人の血が混じっているらしい。髪型はポニーテール。月斎との旅路で南蛮織のマントを買い与えられ、以後トレードマークになる。下着は褌。
小幡月斎(おばた げっさい)
あずみ達を幼少より育てあげた人物。剣の達人でもある。戦によってかけがえのない仲間たちを亡くしていた故に再び戦乱の世にならぬよう、深く尊敬している人物であった天海の命を受け、天下平定の為の枝打ちをする刺客としてあずみ達を育てた。天海からの使命はほとんど果たしたと言っても過言ではないが、柳生宗矩の陰謀により柳生の刺客団に暗殺される。また、その直前であずみに対して「お前は、何処までも生き抜くのだ!!」と川に放り出し逃がした。
南光坊天海(なんこうぼうてんかい)
徳川家康のブレーン。川越・喜多院の住職。また、天台宗の大僧正でもある。家康をして「お坊を知るのがあまりにも遅すぎた…」と言わしめた。しかし、その素性は謎に包まれ、生年はハッキリとしない。天下平定のため、月斎に不穏勢力の除去(枝打ち)を要請し、後に刺客に追われる身となったあずみを庇護する。徳川や豊臣といったものを超越した、はるかに高い所から天下のことを考えている稀有な人物である。後に、勘兵衛の配下であった甲賀忍者の飛猿を召抱え、あずみには再び天下の為に働く使命を与える事になる。
飛猿(とびざる)
井上勘兵衛に仕えていた忍者。勘兵衛亡き後は暫く無気力だったが、天海に保護されあずみとともに密命を果たしていくことになる。剣の腕ではあずみに一歩引けを取るものの、卓越した忍の技で幾多の修羅場をくぐり抜けてきた。途中、怪我を負い使命から外れることはあるものの、敵味方関係無く使命に関係した登場人物のほとんどが死んでいく本作『あずみ』の中では珍しく初登場から長きにわたってあずみと行動を伴にしている。
井上勘兵衛(いのうえ かんべえ)
加藤清正の側近。史実では2代藩主加藤忠広に仕えた後に僧侶として尼崎で人生を全うするが、本作では、両親と姉を徳川家康に惨殺され、復讐のみに生涯を捧げる人物として描かれている。あずみによって君主加藤清正を討たれ、旗頭と仰いだ豊臣秀頼も失ってしまう。大坂城落城の際には、徳川本陣に単独で斬り込み、家康に届く所まで単身で突進をしたが、相手方の体当たりにより、灯りの火に突っ込み、身体に火が燃え移ってしまう。半身を炎に巻かれながら射た矢は家康に届くことは無かった。あずみによってその場を助け出され火傷の治療を受けることになる。その後は素性を偽り、小野忠明の弟子となって復讐の機会を狙っていた。しかし、家康の側近である本多正純が忠明の道場を訪れた際に、素性を見抜かれてしまった。松井凛太郎と木刀での一騎打ちをさせられ、両腕を折られ、刀を握ることも出来なくなる。悲願であった家康への復讐は、あずみによって果たされたが、君主・加藤清正の仇として、あずみに勝負を挑み散って逝った。仕えていた飛猿によって埋葬された。
千代蔵(ちよぞう)
お鏡の弟。「庭内」を取り仕切る番人的な存在。耳がまったく聞こえず顔が歪んでいる(何らかの発達障害を抱えていると思われる)。長身の割に身のこなしも素早く、長刀を操るその腕前はあずみに匹敵する。彼には姉のお鏡が世界の全てであり、お鏡の命令であれば何でも言うことを聞くため、お鏡は千代蔵の武力を元に力をつけ庭内を統括していた。身体は大きいが知能と性格は幼児と変わらず、感情に任せ滅茶苦茶な行動をとってしまうことも多い。お鏡の死後はあずみがお鏡の代わりとなって引き取り、ともに天海の密命を果たしていくことになった。その類い稀な剣の腕により数々の死線を越えあずみの頼れるパートナーとなっていったが、幕間のある道中で、刺客に不意を突かれ刀を手放してしまっていたあずみに自らの長刀を投げ与えたため無防備になってしまい命を落とした。
柳生宗矩(やぎゅう むねのり)
柳生新陰流。柳生宗厳の五男。江戸柳生家の祖、徳川3代に仕え剣術を伝授する。大坂の陣においては八の首を取るという戦功をあげ、2000石の所領を受ける事になった。その他、政治面でも非常に優れており、総目付となりキリシタンを取り締まるなどの任務に当たった。最終的な石高は12500石で、兵法者で大名になったのは宗矩一人である。2代将軍徳川秀忠の参謀役。「あずみ」の劇中においては、あずみを利用し家康を暗殺させるという謀略を放つ。その後、あずみを暗殺する為に次々に刺客を差し向ける。
やえ
佐敷三兄弟に弟の太助を殺され、一時期にあずみらと共に旅をする事になる。控えめで優しい性格をしており、常に他人を優先する。その後、あずみらと別れ丹後に行くが、京で女郎をしている時にあずみと再会。あずみを追い倉石左近と知り合い、彼に片思いする事から、あずみとの関係に一時亀裂が入る。あずみと柳生の争いに巻き込まれ、そのあとあずみと左近の果し合いに立ち会うことになる。
最上美女丸
真田雪幸村の放った刺客で居あい抜きの達人。ひゅうがを殺す。女装をしており、言葉使いも女性の様に話す。性格は、うぬぼれている相手をじわじわと痛めつけることに快感を覚える。なお、戦う前に自分が刀の鍔をつけていないのは、相手の攻撃を受けたちしないからだと相手に説明する。あずみに倒されるが、死ぬ前に花を抱いて死んで行く。
きく
柳生が放った、「騙し討ち」の暗殺を得意とする一族の一人。男の体と女の心を持つ。あずみを騙し討ちにするつもりだったが、一緒に旅を続けるうちに、あずみの優しさがきくを変えていった。「あずみとずっと一緒にいたい」と言う思いはかなわず、毘沙門天たちの人質となり、非業の死を遂げる。
倉石左近(くらいし さこん)
早くから柳生の里では有名な天才剣士であり、17歳で江戸の柳生道場に入門してきた際には、噂を聞き「倉石左近何するものぞ」と待ち受けていた柳生江戸道場の師範代たちを、一本も取らせず、すべて打ちのめした程の達人と言われている。終生のライバルと思っていた小野派の竜虎、松井凛太郎と貢喬助に打ち勝ったあずみに対して興味を抱いていた。だが、肺を病み、残りわずかの命となった時、最後は病で死すより、自らの誇りをかけ、彼はあずみとの勝負と選んだ。そして、その死闘の果てにあずみを道づれにする事もできたが、あえて彼はそれをしなかった。最後まで誇り高き、剣のみに生きた剣士だった。
真弓俊次郎(まゆみ しゅんじろう)
武家の次男坊。向学心に燃える青年。学問を志し、師の烏丸天山と共に諸国に旅する夢を持つが、その為に、結果として父と兄を切腹に追い込むことになってしまった。あずみに惹かれ、あずみも俊次郎に思いを寄せる。あずみを守ろうとし、左近に斬られるが実は致命傷をまぬがれていた。後に雪国の死闘編で再登場するが、理想の実現のために烏丸天山ら友人を陥れることも辞さない歪んだ人間に変貌していた。挫折の果て、麻薬に手を出し、幻覚を見ながら事故死する。
烏丸天山(からすま てんざん)
真弓俊次郎が師と仰ぐ、道々の輩の1人。諸国を巡り、技術、知識を交流させ産業の発展に努める。一行からは先生と呼ばれるリーダー的存在。道々の輩を一網打尽にする大名の計画を、あずみの助けによって逃れることが出来た。その後はあずみ、きくとは別行動で西へと向う。あずみの気持ちを裏切ってしまった俊次郎を諭す場面などもあった。後に再び登場。雪国から出て行く事を許されず、俊次郎によって金山にある牢屋に監禁されていた。衰弱状態の所をあずみによって助け出され介抱を受けるが、その後どうなったかは不明である。
金角(きんかく)・銀角(ぎんかく)
無法者集団の首領。傾き者。顔に隈取の化粧をし、派手な着物を着て、乱暴の限りを尽くす。とある領国で、大名の罠にかかり乱暴の限りを尽くしたが、最後、結果的には「道々の輩」たちを助けることになる。映画版の銀角はあずみが好意を寄せていたなちに瓜二つである。金角のことを兄貴と呼ぶ。原作のような悪さはしていない。
最終更新:2010年08月14日 22:22