チキチキマシン猛レース

登録日:2011/05/14 Sat 23:20:21
更新日:2025/04/15 Tue 20:03:59
所要時間:約 4 分で読めます





チキチキマシン猛レース(原題:Wacky Races)』とは、アメリカ合衆国のアニメ作品。日本では1970年に放送。
続編として本作以外にハンナ・バーベラプロが製作した、作品のキャラクターが登場する『新・チキチキマシン猛レース ケンケンのフェンダーベンダー500』がある。
また2017年にはリメイク版『チキチキマシン猛レース!』(2018年日本語吹き替え版配信)が制作された。

かつての吹替版はブラック魔王を演じた大塚周夫曰く「台本がない」といい、ディレクターから「どこ出身だ」と聞かれて「東京です」と周夫が答えると、江戸弁でまくし立てようということになったらしい。
ケンケンなどの愚痴などもかなりアドリブ性の高いものになっている。


◇ストーリー

11台のヘンテコマシーンがゴールを目指して大爆走!!
ブラック魔王と相棒のケンケンは、10台のマシンに様々な妨害工作を行うが、必ず因果応報を受ける。
最強のマシーンは、どのマシーンだ!?チキチキマシン猛レース、始まるよ!!


◇主な登場キャラ

1970年版/2018年版の順で記載する。

ゼロゼロマシンの運転手。ケンケンと共に様々な妨害工作を行うが、必ず因果応報を受ける。因みに何時もビリ……と思われているが、表彰台に近い4位だった場合や失格になったケースもある。
さらに「ケンケンのフェンダーベンダー500」ではいくつかのレースで勝利しているので、あながち「いつもビリ」でもない。
ともかく、マシンの性能は全車でもトップクラスなので、真面目に走行すればトップでゴールできるはずなのに他者への妨害の方を優先してしまっているという、後の庄司慎吾と同じような思想を持っている。
ちなみにレモンパイが大嫌い。

日本語吹き替え版では大塚周夫が担当し、リメイク版では山田先生に続いて息子の大塚明夫が演じた。
特に大塚周夫にとっては代表的な役だが、息子かつ二代目を担当した明夫曰く「ねずみ男あってのブラック魔王だと俺は思ってる」と語っている。

  • ケンケン(神山卓三/上田耀司)
ブラック魔王の相棒。「シシシ……」と笑う。オリジナルの名前はマットレー。

日本語吹き替え版では、初期は神山卓三が担当。
そのためカラー版では『おそ松くん』のダヨーンで、リメイク版では『おそ松さん』版デカパン。

  • ドクターH(槐柳二)
マジック3の運転手。通称・天才発明家。吹き替え版ではなぜか科学=忍法にされている。

  • ドン・カッペ&ビーバー(雨森雅司&小宮山清)
トロッコスペシャルの運転手。木こりのドン・カッペと相棒のビーバーのコンビ。木こりであることから、コース上の木を切って道を作ったり、ブラック魔王の罠を伐採で突破したりもする。

ヒュードロクーペの運転手。デカイモンスターと吸血鬼・ドラチビのコンビ。無口。
ハンナ・バーベラの別作品である「アダムスのお化け一家」をオマージュしたようなキャラクターでもある。

  • ヨタロー&熊っ八(高田竜二&細井重之)
ポッポSLの運転手。主人のヨタローが居眠り運転をしているせいで、熊っ八は何時もガクブルしている。
こちらもハンナ・バーベラ制作の別作品「じゃじゃ熊一家」を彷彿とさせるキャラクターで、ヨタローの風貌がポー・ラグに似ていたり、熊と田舎者、貧乏くさい要素で共通している。

  • 軍曹&新兵(細井重之&小宮山清)
タンクGTの運転手。大柄な軍曹とちょっぴり気弱な新兵のコンビ。新兵は軍曹を「軍曹閣下」と呼んでいる。軍曹が「撃て―!」と言えば新兵は「撃つー!」というような掛け合いでのやり取りが多い。ブラック魔王に隠れがちだが、レースの成績は悪い。

プシーキャットの運転手。皆の憧れで、この作品の紅一点。
後に彼女が主役のスピンオフが制作されるが、放送局の違いから名前が「ペネロッピー」に変更されている。

  • タメゴロー&ドンキチ(加藤修&緑川稔)
岩石オープンの運転手で原始人のコンビ。
こちらはハンナ・バーベラ制作の別作品「原始家族フリントストーン」を彷彿とさせるキャラクターでもある。実は入賞回数が多く、優秀なコンビ。

  • コウモリボス(梶哲也)
クロイツェルスポーツの運転手。他のレーサー達が濃すぎる為、結構地味。
なお飛行機乗りである彼のキャラ的には合いそうな下記のスピンオフ作品、「スカイキッドブラック魔王」にも登場せず。

ハンサムV9の運転手。オカマ口調で喋るハンサムボーイ。吹き替え版では声優のアドリブで名(迷)言が多いイッポコペン。

  • トラヒゲ一家(水島晋(ボス)&神山卓三・加藤修・緑川稔・細井重之・たてかべ和也・雨森雅司など(下っ端))
ギャングセブンの運転手。七人のギャング一味。レース中、警官に追われる事もしばしば。
上述のミルクちゃんが主役のスピンオフにも登場している。

ほぼ声のみの登場で、解説の他ツッコミも行う。


【ケンケンのフェンダーベンダー500に登場】

ハンナ・バーベラの他作品のキャラクターがオリジナルのメンバーから入れ替えで登場し、さながら「ハンナ・バーベラオールスターズ・大レース」という感じのお祭り作品の雰囲気となっている。

  • マックとルイ
早撃ちマック」からエントリー。
お馬の保安官マックで、ソンブレロを被ったロバ、ルイのペア。
エキバシャビークル5000に乗り込む。

  • クマゴロー(ヨギ・ベア)とブーブー
「クマゴロー」からエントリー。
普段はジェリーストーン公園に住む熊の2匹。
スーパーピクニック1に乗る。

  • マジックおばさんとラッキー
「マジックおばさん」からエントリー。
魔法使いのおばさんとその相棒。
ガイコツ1.3カブリオレに乗る。

  • ドラ猫大将・チューチュー
「ドラ猫大将」からエントリー。
紫のベストと帽子が特徴の黄色いの大将とその仲間の2匹。ネコジャラシGT4に乗る。

  • チュースケとチュータ
ハンナ・バーベラ版の「トムとジェリー」と言うべき作品、「チュースケとチュータ」からエントリー。
彼らの愛車はチーズで出来ているチョロチョロチーズコンマ6。

  • ゴリラのゴンちゃんとワニのワーリー
ゴリラのゴンちゃん」と「ワニのワーリー」からエントリー。
それぞれ両者、別作品の主人公によるチーム。
ワニゴリバギー300に乗る。

  • ハックルとスナッグルパス
「珍犬ハックル」と「マウンテンライオン」からの登場。
青い犬のハックルとピンクのライオンのスナッグルパスのコンビ。
こちらも別作品同士の主人公のチーム。
キャタピラマーク2に乗る。

  • オギーとダディー
「オギーとダディー」からエントリー。
子犬のオギーと父親のダディーの親子犬チーム。
ホネツキZ700に乗る。

◇マシーン一覧

※以下、ゼッケン順

ゼッケン00番・ゼロゼロマシン
ブラック魔王とケンケンの愛車。基本性能はピカ一で格好いいのだが、ブラック魔王自身のミスで必ずビリになる。
マッハ号ボンドカーばりに様々な妨害用の特殊装備を兼ね備えつつも、それを使わずとも速いという大神博士の思想と共通した設計となっている。

ゼッケン1番・岩石オープン
タメゴロー&ドンキチの愛車。岩石で出来ている。ショボい外見だが、意外にも総合成績は一番良い。

ゼッケン2番・ヒュードロクーペ
モンスター&ドラチビの愛車。お化けやらドラゴンやらが収納されている。

ゼッケン3番・マジック3
ドクターHの愛車。科学の結晶と言っても過言ではなく、様々な物に変身出来る。

ゼッケン4番・クロイツェルスポーツ
コウモリボスの愛車。いや、愛機と言った方が良いか。飛行機だし。

ゼッケン5番・プシーキャット
ミルクちゃんの愛車。お化粧道具が収納されている。

ゼッケン6番・タンクGT
軍曹&新兵の愛車。名前の通り戦車。「撃てえ!」「撃つ~!」ちなみにゼロゼロマシンを除くと総合成績は一番低い。

ゼッケン7番・ギャングセブン
トラヒゲ一家の愛車。普通の
だが、床が抜けて一味が足を出して走ることで加速ができるという「原始家族フリントストーン」の車と同じような仕掛けを備えている。

ゼッケン8番・ポッポSL
ヨタロー&熊っ八の愛車。廃品の寄せ集めで出来ている。

ゼッケン9番・ハンサムV9
キザトトくんの愛車。伸びたり縮んだりする。そしてよく壊れる。

ゼッケン10番・トロッコスペシャル
ドン・カッペ&ビーバーの愛車。木製でタイヤは鋸。

◇「Wacky Raceland」について

2016年にハンナ・バーベラ・プロダクションの作品を基にしたコミックシリーズ「Hanna-Barbera Beyond」の1作品として刊行された作品。
だが、こちらは劇画調でリアルなタッチで描かれており雰囲気的には「マッドマックス」に近いものとなっている。
さらにはキャラクター設定も大幅に思想・科学・軍事的に過激な設定となっており、コウモリボスがナチズム信奉者、新兵が戦争の後遺症でPTSDを発症し戦争狂と化していたり、ヨタローがアルコール中毒だったりなどだいぶヤバいものも……。
だいぶコミカルだった原作とは雰囲気が違いすぎるが、ぜひ興味があれば読んで欲しい。



◇余談

同作のスピンオフ作品として、ブラック魔王とケンケンを空軍の飛行隊員(航空兵)として登場させた「スカイキッドブラック魔王」が存在している。
内容としては敵軍の伝書鳩を捕獲しようとブラック魔王らが率いる航空部隊が出動するも、ここでも相変わらず失敗ばかりである。
日本放送版ではオリジナルOP曲があるが、なぜか阿波踊り風の曲調になっている

後に別作品としてケンケンが「刑事コロンボ」を思わせる私服警官役で登場させた「刑事ボロンゴ」という作品が制作され、
またハンナ・バーベラ作品によるオールスター作品「まんがオールスター おもしろオリンピック」では、卑怯なことが好きで、毎回本作のような妨害を仕掛ける「ロクデナシチーム」のキャプテンとして、ケンケンがボロンゴの状態で登場。ブラック魔王も"Dread Baron"(後の別作品で「ブラック魔王男爵」と命名)というキャラクターにリファインし、同チームのメンバーとして登場している。*1
また、日本でも彼らを採用した様々な企業のCMが制作されており、国内外問わずハンナ・バーベラを代表する名悪役コンビとして愛されている。

そんなブラック魔王とケンケンだが、2024年にHBO Maxで配信された歴代ハンナ・バーベラ作品のキャラクターが総登場する「ジェリーストーン!」のシーズン3にて「スカイキッドブラック魔王」版の風貌で登場。
なんとブラック魔王はジェリーストーン市のライバル都市、ニューベッドロックの市長という役柄で、さらに「まんがオールスター おもしろオリンピック」の「ロクデナシチーム」の面々を率いるという原典では実現しなかった構図を実現。ジェリーストーン市の市長である珍犬ハックルのチームとスポーツ対決を行う。
なお、ブラック魔王が市長を務めるニューベッドロックだが、「原始家族フリントストーン」でフレッド達が住んでいた地域である「ベッドロック」の地名を冠しており、事実上「フリントストーン」の街があった地域の市長を務めるブラック魔王という何気にすごいクロスオーバーも起きている。

また、AC部とThe Custom Nuts Studioの共同制作によってチキチキマシン猛レースの新作アニメが2024年現在制作中であるとの事。
日本の47都道府県を巡るという5分間のショートアニメになる予定であり、各キャラクターの車両が日本で見かける働く車を合わせた意匠になっているのが特徴。
例を挙げるとプシーキャットがデコトラ、ハンサムV9がタクシー、そしてゼロゼロマシンがゴミ清掃車などになっている。

2024年5月に企画会社がネット上にパイロット版と思しき映像をアップしているので、気になる方は「チキチキマシン猛レース AC部」とググって欲しい。
ちなみにPVの使用曲はパソコン音楽クラブ「PUMP! feat.chelmico」。


様々な作品にてパロディーにされており、90年代に人気を博したSDガンダムの短編アニメーション『SDガンダム猛レース』にて今作のパロディが行われたが、あまりにもやりすぎたせいか後の映像ソフトには収録されなかった
なお、『スーパーマリオカート』の着想もこの『チキチキマシン猛レース』を基にしている。



ケンケン!何やってんだよ!追記・修正しねぇか!

フシシシシッ

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • チキチキマシン猛レース
  • レース
  • ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!
  • カートゥーン
  • ハンナ・バーベラ
  • レースアニメ
  • チキチキマシン
  • ブラック魔王
  • ケンケン
  • 豪華声優陣
  • 愛すべきバカ達
  • おっさんホイホイ
  • 海外アニメ
  • 70年春アニメ
  • アニメ
  • テレビ朝日
  • NETテレビ
  • 大塚周夫
  • 大塚明夫
  • 野沢那智
  • 敵も味方も変な奴
  • カートゥーンネットワーク
  • 神山卓三
  • 上田燿司
最終更新:2025年04月15日 20:03

*1 当初は両者とも原典の姿のまま出そうとしていたが、当時は『チキチキマシン猛レース』はヒーター・クイグリー・プロダクションズとの共同所有をしていたため、このような処置となった。ヒーター・クイグリー・プロダクションズ消滅後はワーナー・ブラザースが権利を獲得している。