ガルベルス

登録日:2014/07/10 (木) 06:21:25
更新日:2022/09/13 Tue 13:11:34
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ODEL‐



◆前史~- ツェントル・プロジェクトとMODEL-X -◆

スーパーロボット大戦MX』におけるオリジナルメカは全て『ツェントル・プロジェクト』という計画を元に開発されている。

これは、地球連邦軍が数十年先を見据えて新機軸の機動兵器を開発するために立ち上げた計画で、
長きにわたる戦乱により機体及び人材の消耗を軍上層部が懸念した結果、
修理・整備・補給を必要としない『完全なメンテナンスフリーの兵器』が目標として設定されていた。

+ ...
※なお、MXのプロローグ以前の段階で地球圏の経験した大まかな戦乱を挙げると



…これでも、まだ序の口ってところだよ…?よく生き残ってるよね、人類…
(この密度ゆえ、ファンの間では「MXは前日談だけでもスパロボが1本できる」と称される)



この計画の最終目的たる
自己修復機能を持つ新素材『ラズムナニウム』
及び永久機関としての可能性を秘める『TEエンジン』の二つの新技術を軸とした
完全にメンテナンスフリーな自律機動兵器こそがツェントル・プロジェクト試作10(Ⅹ)号機・開発コード『MODEL-X』である。


計画責任者のミタール・ザパト博士は調整の難航から
自身の発明したラズムナニウム装甲を試作5号機メディウス・ロクス
TEエンジンを試作6号機サーベラス及び試作7号機ガルムレイドに採用し、
双方を強奪されたメディウスの奪還ミッションという自作自演の下に交戦させ両技術のデータを効率よく収集することで
短期間でより安定性を増した新型TEエンジンの開発に成功、搭載機もサーベラス/ガルムレイド両機の更なる発展型となる
試作8号機サーベラス・イグナイト、試作9号機ガルムレイド・ブレイズが造られ、
MODEL-X誕生の基盤を確かなものにしていく
(ゲーム内では新型エンジンの片方が『事故』で失われたため、実際にロールアウトしたのは片方だけ)。


次世代の兵器=量産型を目指していながら単価が高く需要にそぐわぬ特機タイプのガルムレイドが開発されたことからも薄々わかるように、
実のところ、『連邦軍の計画』というのは表向きの隠れ蓑であり、ツェントル・プロジェクトの裏にはゼーレがスポンサーとしてついていた。
真のツェントル・プロジェクトは多元世界補完計画という更に巨大な計画の一部という位置づけであり、
MODEL-Xは計画を妨害する者を排除・あるいは計画失敗時に世界に表象的な破滅を齎すための機動兵器となることが期待されていた
(いずれにせよ今ある形の人類は残さず死滅させねばならないため、人間の手で動かす必要のない『自律型』であることが求められたのである)。

しかし、ザパトはさらなる研究の為に自分の発明をカネと名誉に換えることだけを考えている俗物だった。
彼は、自分の目的を果たすうえで他人を生き地獄に蹴落としても平然としているくらいには冷酷だったが、
研究の行きつく先を見届けるためなら世界の存亡も眼中にない狂気は持ち合わせていなかったのである。
よって、ゼーレの計画にも最後まで付き合う気もなく、MODEL-Xからもメディウスのテストと並行して行っていた
人工知能『AI1』は排除し純粋な人の手による機動兵器にする考えだった。

しかしAI1の開発者であるエルデ・ミッテは、AI1の進化に執着していた。
それぞれの思惑や利害の不一致は徐々に表面化し、最終的にはエルデがAI1の破棄を決定したザパトを殺害、
彼女がAI1に取り込まれて死亡したこと、ゼーレの壊滅などが理由でツェントル・プロジェクトは解体。

それと共にMODEL-Xも幻の機体となった……

ゲーム内でもプロジェクトの最終到達点として要所で不気味な存在感を醸し出していた機体であり、
『ラスボスはそいつか?』と考えたプレイヤーも少なくなかった。
しかし、結局エルデの暴走によるプロジェクトそのものの瓦解により開発されず仕舞いという冴えないオチが着き、
MODEL-Xはせいぜい『ゲームタイトルに絡めた小ネタ』程度の存在としてプレイヤーの記憶の隅に留まるに終わった。

しかし、スーパーロボット大戦OG外伝にてMX展開の予兆が示されたとき、
『幻のMODEL-XがOGシリーズで登場するのでは?』という予感がファンの間に走った。
折しもその予感は当たり第2次スーパーロボット大戦OGでMODEL-Xはその姿を現したのである。






私の子が、ガルベルスがあなたを噛み砕く……!









ガルベルス



ガルベルスは第2次スーパーロボット大戦に登場するオリジナルメカ。
MXにあったような複雑なストーリー上の背景は廃された、純粋なツェントル・プロジェクト試作10号機にして事実上の最終型である。

メカニックデザインはガルムレイド/サーベラスと同じ青木健太氏が担当。


◆概要◆

分類:TEアブゾーバー
型式番号:YTA-10
全高:57.0 m
重量:328.2 t
動力:TEエンジン
装甲材質:ラズムナニウム
MMI:AI1
開発者:ミタール・ザパト他
所属:ガイアセイバーズ⇒独自行動
主なパイロット:AI1,エルデ・ミッテ(半オペレーター)



ガルムレイドとサーベラスの運用データ、そしてブレイズとイグナイトの設計を参考に、双方の長所を兼ね備えて造られた機体。
開発コードは「MODEL-X」または「MX」。
名前も「ガル」ムレイドとサーベラス=ケル「ベルス」(ケルベロスの異称のひとつ)の合成になっている。

TEエンジンとラズムナニウムの同時運用、というプロジェクトのコンセプトをようやく実現した機体であり、
無人機なのでオペレーターのミッテ先生がDFCスーツを着用しなくても良い。NDK?嬉しい?残念?
イグナイト同様のリバーシヴル・トランスフォーム機構を搭載しており、
ガルムレイドに似た通常形態「フォームG(ガルムレイド)」と、砲撃戦形態の「フォームC(サーベラス)」を持つ。
リアルとスーパーのいいとこ取りとは言え、やはりサイズはスーパー系基準にあわせねばならなかったので
実にかのコン・バトラーVヴァルシオンと並ぶほどの巨体を持つことに。


なお、ザパトは例によってAI1はオミットした上で補助的にガイアセイバーズの量産機にも用いられているAI0を搭載、
アルベロ・エスト亡き後のテストパイロットにはベータ・セイバーのドゥバン・オーグをスカウトする予定でいたが、
当のドゥバンは幼女狩りのために家出してしまったので立ち消えになっている。
(エルデも「あの子はアレスLOVEだから多分乗らないわ」と反対していた)。

その後エルデがザパトを殺害し、AI1が制御する自律型機動兵器として完成を見る
(一応エルデもオペレーターとして搭乗しており、AI制御の機体でありながら戦闘ではあくどい専用台詞も聴ける)。
人間がパイロットを務める機体に比べ感情や体調といったコンディションに左右されて戦力が低下することが一切なく、
人間が生存不可能な環境下でも戦える。さらにアルベロの操縦技術を学習したことによって
究極の機動兵器の名を関するに相応しい怪物に仕上がった。


ガイアセイバーズの壊滅後もAI1の更なる進化を望むエルデの思惑で独自の行動を取り、
南極遺跡内でペルフェクティオを退けた鋼龍戦隊の前に逐電したドゥバンの駆るアレス・ガイストと共に出現、
遺跡内のクロスゲートの力で暴走したアレス・ガイストをドゥバンごと取り込むことで最終進化を遂げ、
機体の姿すら捨て去り全てを取り込み肥大し続けるAll In 1=AI1そのものと化した。
この顛末から、本機はMXにおけるメディウス・ロクス(最終形態)の役割を持たされていたといえる
(専用BGMも『MEDIUS LOCUS』のまま)。

実際のゲームではマップ上のユニット表示はフォームGのみで、
変形機構は戦闘の演出でしか見られない。味方なら残念で済むが敵に廻した場合、
『変形を介さずに遠距離・近距離問わず強力な武装で攻撃してくる』ということになるため
結果的に射程に穴の無い強敵といえる。
スーパー系主体のために装甲値も高く、ガイアセイバーズの機体の中でも一際タフな部類に入る。
地形適応も空・陸・宇宙がS。TEスフィア、フルブロック、HP回復(小)、EN回復(大)を完備し
パイロットのAI1もカウンターと底力を高レベルで習得しているため、腰を据えて一気呵成に攻めないとかなりの長丁場になる。


デザイン的には敵か味方か、というライバル的ポジションだったメディウスとは異なり、
終始敵対関係の完全な悪役ロボということで目に優しくない色遣いの機体カラー
肥大化した凶暴性を前面に押し出したフォルムはもはや醜悪の域。
それに加えて表裏合わせて情報量が異常に多く、
変形ギミックの複雑怪奇さは戦闘デモで一度シークェンスを見たくらいではまず理解不能である。

同時に見た印象とは裏腹に、立体化した際にウソの出ないパズル的な整合性の高さは
ガルムレイド・ブレイズやサーベラス・イグナイトの合体変形システムにも見られる
良い意味での玩具っぽさが受け継がれており、メカデザ担当・青木氏の業前が光る。

ファンからはその威圧感満点の極悪造形と全身に満載されたギミックから
トランスフォーマーシリーズのデストロン戦士っぽいという意見がよく挙がる。




フォームG

ガルムレイド/ガルムレイド・ブレイズを参考にした近接格闘戦に長ける形態。
黄土がかったゴールドと紫を基調としたカラーリング。
胸部には4方向に展開した『Ⅹ』の意匠を持つ赤い装甲板が備えられている。

ガルムレイド系列共通の特徴として計4つの目を持つが、
通常時はツインアイすら露出しておらず、顔全体がカバーに覆われている。
最大出力時にフェイスカバー下に隠された目が見開かれると同時にマスクが展開し
鋭い牙の並ぶ口部が露出、凶悪な本性をあらわに敵機へ猛攻を仕掛ける。
ゲーム内ではフォームGが基本形態である。



フォームC

サーベラス/サーベラス・イグナイトを参考にした遠距離砲撃戦に長ける形態。
ガンメタルと紫を基調としたカラーリング。
外見はサーベラス系列の名残こそあるものの、こちらもサイズは50m超の巨大マシンであり、
運動性よりも超長射程の砲撃戦という特徴を濃く受け継いでいる。
言うなれば大艦巨砲主義系のリアルロボット

両腕はフォームGのサンダーボルト・スピンエッジのパーツを転用したマニピュレーターで、
そのために一部のフレームがむき出しで本体と比較してアンバランスに長い
(版権作品でいうとLFOKMFに近いシルエット)。
禍々しい外見とは裏腹に指先はスッとしていてとてもキレイな手をしている。

フォームGの時は開いている胸の装甲板はこちらでは背面で畳まれるが、
パーツの干渉でぴったりと閉じきらない、など造形の表現が異常に芸細。
また、フォームCにもサーベラス共通のカウル風装甲があり、赤く『Ⅹ』のエングローブが施されている。
イグナイトは単に担ぐだけになってしまったのに対し、サーベラスにあったターミナスキャノン発射時の
砲台形態への変形機構も受け継いでいるため、実質ガルベルスは驚異の3段変形メカともいえる。
ゲームでは戦闘デモの演出で見られるのみにとどまっており、実際のユニットとして見かけることはない。
なにげにこっちも目は4つある。





◆武装・必殺技◆
ガルムレイドとサーべラスの良いとこどりの様な武装を使用してくる。
どれも異常に射程距離が長いうえに、初交戦時は強化パーツに高性能電子頭脳を装備しているので
余計に間合いと命中精度が伸びている。なお、撃墜時にはきちんとパーツを入手できるので電子頭脳といってもAI1とは別物のようだ。


ダブル・ファング・ナックル
ガルムレイド系のファング・ナックルの強化発展型武装。
実体の牙でなく、両腕の装甲からから牙状のビームを出力するため、パーツの装着や変形は必要ない。
一旦別々に撃ち出した両腕が互いのビームファングを咬み合せることでジョイント。ひとつの大顎となり敵機に突貫し噛み砕く。
通常ロケットパンチ系の武装は「威力は凄いが戻ってくるまでがまどろっこしい」のが難点だが、
ガルベルスの場合ファング・ナックル発射後もフォームC側の両腕は健在であり問題なく戦闘を続行可能である。



サンダーボルト・スピンエッジ
ガルムレイド系のサンダー・スピンエッジの強化発展型武装。
背部両側にマウントした半円形ユニットを分離・接続して巨大な水車の如き回転ノコギリとし、
脚部側面に装着、跳び上がって蹴り落としを見舞った後、跳び蹴りで突っ込んで切り裂く。
片脚だけにつける外付けの電ノコという見た目はガルムレイドのスピンエッジよりも
MX参戦作品の電童が使った『レオサークル』に近い。

この円形ユニットはフォームCの両腕となるが、一部変形によってフォームGのまま展開することも可能。



ターミナス・デストロイヤー
サーベラス系のターミナス・キャノンの強化発展型武装。
フォームCに変形して背部にマウントしたミサイルランチャー(フォームGの肩でもある)から
大量のミサイルを発射してかく乱した後、砲台形態に変形してターミナル・エナジーの奔流で撃ち貫く。

戦闘アニメで入る諸々の変形エフェクトは異様に力が入っており、一見の価値あり。
フィニッシュ時はOG恒例の爆発を背後にして立つカットが入るが、
ガルベルスの場合、回れ右するまでもなく、直立不動の状態からフォームC→フォームGへ変形してそれをこなす。



ケルベルス・エグゼキューション
ガルベルス最強のコンバットパターン。
ダブル・ファング・ナックルで本体の待機する上空まで敵機を運び、
残されたフォームCの腕部で捕獲し至近距離からビームを発射。
眼下に投げ捨てた敵機へフォームGの両腕が変形してミサイル斉射で追い撃ち。最後にフォームCの砲撃形態へチェンジし、
ターミナスキャノンと両腕先端から最大出力の一斉砲撃を撃ち込む。

連続攻撃のシメに最大出力の主砲という流れはMX版イグナイトの『ケルベロス・ファング』、
間に挟んだ零距離射撃はメディウス・ロクスの『スティング・アクセレレイション』を参考にしたものか。
ツェントル・プロジェクトの歩みを感じられる大技。






★余談★
◎特撮ドラマ『ウルトラマンネクサス』で同じく三つ首の犬を模したスペースビースト『ガルベス』が登場する。
無論本機とは無関係だが、ガルム+ケルベロスというネーミングや、吐き気を催す邪悪に操られたしぶとい敵という共通点がある。


◎MX作中でザパトはMODEL-Xのプランを『メディウス・ロクス (第2形態)をベースに新型TEエンジンを搭載した機体』と語っており、
仮に本機が完成したならばガルベルスとは異なる形になっただろうと考えられる。
つまりガルベルスは本来想定されていた形のMODEL-Xではなく、真のMODEL-Xは依然幻の機体のままといえる。
第2次OGにおいてはメディウスの進化は第2形態止まりで機体はAI1をガルベルスに移した後行方が知れないが、これは………


◎エルデがAI1に対して「あなたこそが真のMODEL-X」と発言するシーンもあるが、
同時にツェントル・プロジェクトやAI1計画における要素であることを否定しているため、
この台詞は単純に進化した・優れた存在という程度の意味合い…要するにミッテ先生恒例のモンペ発言と思われる。


3機の試作機の特徴を併せ持った10号機MODEL-XMX…ということで
登場作品て『スパロボMX』のタイトルにも掛っているのだが、
そもそもMXというタイトルは寺田Pが考案したものではないのにもかかわらず、インタビューで毎回
『今回のタイトル(とかとか…とかね)はどういう意味なんですか?』と聞かれるので、
それに備えて後付けでひねり出したものだとか。

これ以外にも『部隊名がマグネイト(M)・テン(Ⅹ)』MXというのもあるが、
スタッフ間のウケはかなりビミョーだったそうな。





追記・修正はガルベルスの完全変形フィギュアを自作してからお願いします。
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最終更新:2022年09月13日 13:11