疑似科学

登録日:2019/07/25 Thu 22:57:38
更新日:2022/05/19 Thu 10:26:05
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疑似科学(“ニセ科学”“トンデモ科学”とも)とは、科学的姿勢をとっていないにもかかわらず、あたかも既存の科学的事実を否定できるかのように詐称している何かのこと*1

教養が無い者が騙されやすいと言われるが、高学歴のインテリ層などが騙されることも珍しくない。
中にはその道の学者やプロが信奉しており、知ってか知らずか金儲けに利用している/されていることすらある。
詐欺同様に「自分は絶対に引っかからない」と思う人も注意が必要。そういう人こそ危険という意見もあるのだ。

少しでも不安に思ったのならばまずは「周りの情報」をきちんと取捨選択すること。一方の情報だけを受け取っているばかりが正しいとは限らないからだ。特に英語などは前後の単語で意味が変わったりすることもままある。自分の知らない言語に対しては意外と無頓着であるため*2、「海外の〇〇教授が××には□□が有効だと発表した!」なんてものが意外と鵜呑みにされたりする。


科学の定義

まず基本として科学の定義は「個人の主観に頼らず、客観的にかつ理論的に物事を解析・理解できるか」を追求することにある。
そのためよく「科学的に否定された~」みたいな文があるが、これは厳密には誤りで「科学的に矛盾している」という表現が正しい。

1982年にアメリカのアーカンソー州で行われた進化論裁判で、裁判官は判決文で科学の定義をこう書いた(意訳)。

「科学とは、自然界を分析する事で、自然界の法則について大勢相手に説明するものである(超自然の存在を差し込んで分析のしようがない状態に持ち込んではいけない。査読にかかるべき論文を出さず、外部からの分析を拒んでもいけない)。」
「異論を持つ人はいつでも再検証してよいし、するべきである(超自然の存在を差し込んで再検証(疑う事)をためらわせてはいけない)。」
科学法則に絶対はない。科学法則は常に仮説である。新しい発見や技術によっていつでも反証されるし、されるべきである(「絶対」とか「真実」とかいうものは科学ではない)。

つまり、再検証で間違いが見つかったり、反証を証明することで「矛盾するBが証明された事でAを副次的に否定できる」事はあっても、
「科学」自体には立証する機能はあっても否定する機能はないのだ。
実際、疑似科学というのはこの否定しない性質を悪用しているものも多い。


未科学・宗教・スピリチュアル・占い・オカルトとの違い

未科学は「現在の科学で事実と断言するのは困難だが、明確に否定するのもまた難しい」事象である。
ただし、立証する方法もないために実際の科学的論議の場で使われることはほとんどない。立証できない物をいつまで議論しても結論が出るわけもなく不毛なままだしね。
疑似科学の信奉者が「あくまで立証されていないだけでこれは未科学です!」と主張することもままあるので注意。

宗教は突き詰めれば仏教のように「人間はどう生きるのが幸せか?」「どうすれば社会の平穏・秩序が保たれるか?」を解き明かすのが目的であり、科学とは相反するどころか「そもそも論じている土俵が違う」ため本来は対立しあう関係ではない。
ただし、「ノアの大洪水は実際にあった歴史的事実であり、地質学的にも立証されている」「物理学による魂の立証」なんてことを実際の科学的証拠を無視して論じ始めるとそれは疑似科学になる。

スピリチュアル・占いも科学とは違う分野の事象である。
宗教同様にQOLの向上や自己啓発といった部分に重きが置かれており、これも基本的には宗教同様に科学と対立する立場ではない。
しかしこれも「オーラは科学的に実証された」「科学に基づく占い」なんてことを実際の科学的証拠を無視して論じ始めるとそれは疑似科学になる。

オカルトはラテン語の過去分詞「 occulta(隠されたもの)」を語源とし、目で見て触れる事のできない超自然的な物を指す。
科学で実証されていない分野を総称してオカルトと呼び、上記のスピリチュアルやこれから説明する疑似科学もオカルトの一種と言える。
明確な線引きは難しいが、「超能力の科学的トレーニング」「科学に基づく未来予知」なんてことを実際の科学的証拠を無視して語れば単なる疑似科学と言える。


疑似科学の特徴

  • 自分に都合のいい証拠はどれだけ怪しくても採用、不利な証拠はどれだけ信頼性が高くても無視
  • 自説に反証可能性がない
逆に言えば「まず信じる」ということが前提にあり、どれだけ論破されても決してそれを認めない態度のこと。
そもそも科学と言うのは「まっさらな状態から実験・観察で得られた証拠・事実を互いに照らし合わせ、どのような考え方をすれば最も矛盾が少ないか」を探す方法論なので、このようなまず結論ありきの考え方を取った時点で既に科学からはかけ離れている
このような有様のため、当然ながら反証可能性*3を用意するという発想すら出てこない。
確かに、「この仮説が正しいことを前提にすれば、こうなるはず」という考えの元で実験や観察を行う場合はあるが、それはあくまでも検証のための思考実験に過ぎないのであって、実際に仮説が正しいかどうかとは次元の異なる問題である。
ぶっちゃけこれが許されると、どんなトンデモ理論でも立証可能になってしまう。
絶対がない科学に絶対という概念を持ち込もうとするため、断定的な見方を避けたがる本来の科学よりもインパクトがあり、無知な人ほどこれを信じてしまうのだ。
しかもこれが「エコーチェンバー現象*4」を引き起こしてしまう可能性もある。


  • 事実ではなく感情や信念、不可視な概念を重視
「そんなことは我々の信念から認められない」「従来の科学で説明不可能なエネルギー」など。
あるいは自身の感情や信念を「定説」「〇〇では常識」といった形で正しいように主張するケースも。
最初から自身の信条に沿う結論ありきで論理を組み立てるため、傍から見ればツッコミ所満載な理論が多い。
宗教系・イデオロギー系の疑似科学に多い。


  • 相関関係と因果関係の区別がつかない
例えば、「テレビの普及率が増えるとガンで死ぬ人が増える!テレビにはガンを増やす作用がある!」というような論調。
実際、それぞれのグラフを比較すると割と強い相関関係を示すことは可能であるが、 相関関係があるからと言って即因果関係があると断じることはできない
この例の場合、テレビが普及したからといってそれがガンの死亡率に何かしらの影響を与えると言い切るには、単純な相関関係以上の何かしらの証拠の提示が必要になるのだが、疑似科学者にはこの区別がついておらず、「相関関係を示せた=説を立証できた」という理屈に走りがち。

なお、日本のガン死者が増えているのは事実であるが、それは結核などの他の病気で死ぬ人が減ったことで説明できる*5
極端なこと言えば、ガンで死ぬ人が増えているのではなく、ガン以外で死ぬ人が減っているのである。

ちなみに、この理屈を応用すると例えば「美少女フィギュアの普及率と若者の自動車購入率の間には負の相関関係がある→美少女フィギュアを普及させたのは、自動車を買わせまいとするフィギュア業界の陰謀だったんだよ!」という(一見説得力のある)因果関係を示した論文(もどき)を割と簡単に作ることができる。
良い子は悪用しないように。*6


  • 自分たちをガリレオやパスツールに例えたがる
いずれも画期的な科学的理論を構築しながらも、当時の異端として批判に晒された人々。「彼らと同じように自分も画期的な理論を唱えているが故に頭の固い科学者から批判されているのだ」と言う理屈。
ガリレオやパスツールが正しかったのは彼らが批判されたからではなく、彼らが他の科学者・後の科学者を納得させるだけの証拠を提示できたか、後日別の人物が根拠を提示したからだ ということがわかっておらず、「批判されているのだから自分も正しい」という謎の理論に走りたがる。

既存の科学がすべて正しいとは限らないのは確かであり、科学的姿勢のもとに検証・批判を行うこと自体は重要なことであるが、既存科学が正しくないからと言って疑似科学が正しいということにはならないことを忘れてはいけないのである。

上と重なるが、当然自分たちが科学的にお粗末すぎて認められていない。
ところが、認められない原因を自身の説が間違い、百歩譲っても検証不足に由来することを認めず、政府・大企業・学界、医療機関、製薬会社、
極端な例になると秘密結社などから目の敵にされていると思い込んでいる、
これが明らかになれば既得権益に不都合が生じる為に圧力がかかっている、学者の頭が固すぎて新説を認められないなど。

一方で、ルイセンコ主義やEM菌のように政府や為政者に気に入られたため、体制が認めることを強いてくれるという正反対のケースも見られる*7


  • 論文は書かない
大抵こう指摘されると「論文を書くだけの時間的余裕がない」「頭の固い科学者に論文の雑誌掲載を阻止される」などと返ってくる。
しかし、前者の主張をする人は大抵一般向けの書籍執筆やテレビ出演はしっかりやっていたりするので何をかいわんや。
後者については、「大抵のまともな雑誌には論文の査読がある」というのが真の原因と思われる。
すなわち、雑誌編集部は、投稿された論文を同じ分野の科学者にチェックしてもらい、そのコメントを元に論文を掲載するか否か決定する。
疑似科学は大抵、実験条件を厳密に整えていなかったり対照実験をしっかりやっていなかったりするため、査読者にボツを食らいやすいのだ。

+ 査読について
科学雑誌の世界では、非常に厳しい査読に耐える論文だけが生き残れる。
明らかな間違いや、検証の進んでいない仮説が正しいものとして前提になっていたりすると容赦なくボツを食らうのである。

何故なら科学の世界はこうした論文の成果を前提に新たな研究を進めていくので、こうした査読に耐えられないような論文が研究の土台になっていると、
せっかく多大な労力を支払った新たな研究が崩れ去ってしまう徒労が起きることがあるからである。
そのため「とりあえず載せる」と言うような緩い対応が取れないのだ。
査読をする科学者の人選も厳格だ。公平・厳正を期するために論文投稿者と個人的な面識がない査読者が選ばれ*8、査読者は投稿者に伏せられる*9

そして、初回から「そのままで可」「軽微な修正が必要」となることは少なく、大抵は「大幅な修正が必要」「掲載拒否」の判定とともに厳しいコメントが返ってくる。
それに加えて(きちんと査定する価値があると判断された上で)難解な物ともなれば数カ月~年単位の査読の時間が必要になる場合だってある。
査読者だって論文を理解するには相応の時間が必要だし、自分の研究もある以上、他人の論文の評価にだけ時間は割けないのだ。
もちろん査読者だって人間なので、意見が変わることも当然ある。
酷いときには投稿論文の審査を遅らせ、その間に投稿論文のアイデアを盗用して自分の論文として発表する査読者すらもいる。
しかし、科学の世界ではこれだけのリスクを飲んででも科学の健全性を保っているのである。

とはいえ、論文の掲載数で評価が定まることの多い研究者たちは、掲載してもらえないと今後大学院に在籍することすらできず、研究の継続どころか明日の生活さえままならない。
そうでなくても、本人なりに真面目に行った研究成果を否定されるというのは精神的にかなり来るものがある。
そういう研究者の論文掲載点数稼ぎに協力するために、ろくに査読をしない雑誌が「捕食出版」「ハゲタカジャーナル」として現在学会で極めて深刻な問題になっている。
「ハゲタカジャーナルに論文が掲載された」ことでその後のキャリアが閉ざされるケース、ハゲタカジャーナルのリストを作ったところジャーナル側が訴訟も辞さないと食って掛かってくるケース、ちゃんと査読しているのかということを確かめるためのあからさまな釣り論文を送って掲載された際に査読をしなかった雑誌より釣り論文を送った学者側が強く批判されるなど、非常に根の深い問題になっている。
しかし論文すら書いてない疑似科学と言うのは、こうした科学の健全さを害するハゲタカジャーナルに載せるレベルのことすらやっていない。つまり彼らはスタートラインにすら立っていないのだ。

なお、「学会で発表した」というのを功績か何かのように語る疑似科学者も多いが、学会発表は論文発表よりも審査のハードルが低いため、割と疑似科学も素通りだったりする。
実際、あんまり厳密にやっても科学の権威化として批判されてしまうのでその辺はバランスを取っているようである。
そもそも学会発表は「こういう考えがあるんだけど知ってほしい&手伝ってほしい」アピールをする、「こういう考えがあってこの考えを補填する意見が欲しい」という議論の場を作る場所であって、厳密な定義を作る場ではない。
特に立証ができない(真っ当な)未科学分野なら尚更であろう。

そのため「学会で発表した」=「学会で認められた」かのように語る輩は要注意。
重要なのは活字化されたものであるか否かであることを忘れてはならない。

ちなみにこの手のトンデモ発表は大抵初日の早い時間にまとめられており、本来の真面目な発表を邪魔しないようにスケジュールが組まれているらしい。


  • 特許や採用実績を強調する
特許・実用新案は「新規性(既存技術と被っていないか)」「進歩性(既存技術から簡単に思い付くものでないか)」のある技術を保護するだけで、永久機関など明らかに自然法則に反したものでない限りは技術の検証では却下されない。
そもそも特許庁に科学論文を審査できる様な仕組み・能力などないのである。

  • 有効範囲が異様に広い
単純に「顧客」の数を増やすために、疑似科学商品は「これ一つで何にでも効く!」という宣伝文句がおなじみである。
医療系なら、ガンからエイズまで何にでも効くと言ったり、「特殊な電磁波でどうのこうの」というものは人間の調子を整えるだけでなく、機械などにも効果があると謳う。
中には何も考えていないのか、「腐敗を防ぐ」と「発酵を促進する」の両方の効果が一度に現れるなどと宣伝している商品もある*10
科学的には、例えば「○○という新薬は××という病気の平均生存期間を△か月伸ばす」ということを証明するだけでも、長い時間と多額の費用が必要になる*11ので、「何にでも効く」と宣伝した時点で疑似科学、百歩譲って検証不足と見て間違いない。


  • でも言質は取られないように気を付ける
ハッキリと「病気が治る!」と断言してしまうと薬事法その他に引っかかってしまうため、大抵の販売業者は「 ※個人の感想です 」と小さく注意書きをしたりして訴訟リスクを回避している。
また、「100%治る!」ではなく、 「100%完治への挑戦」 という謳い文句なら、「あくまで挑戦しているだけですよ」と言い訳できる。
後述のホメオパシーも、現在は「ほかの医療と併用して効果が出るものだ」という趣旨の文章を掲載している。ガンガンガン速かな?
何にせよ、データを示さず、使用者の体験談ばかり載せているならば注意した方がいいだろう。


疑似科学の問題点

  • 科学的に正しい説まで疑似科学扱いされてしまう
科学的に正しいと認められるまでは、相当多くのプロセスを踏まなければならない。
そして、そのプロセスの過程を読みこなすのも、決して片手間にできる作業ではない。査読は数ヶ月、場合によっては1年以上かかることもあることは前記した通りである。
結果として、読む側も「どーせまた疑似科学でしょ」と科学的な検証を踏まえた説まで見向きもしなくなってしまう。
決めつける側の態度にも問題はあるが、多くの疑似科学が読む側にオオカミ少年現象を起こさせているのである。
実際に日本では、2018年にWHOが「ゲーム障害*12」を新たな病気と認定した際、名前が似ているからか後述するゲーム脳と混同する人が非常に多かった。


  • 悪徳商法に使われる
人々は効果が期待できると考えるからこそ、もしくは不安を拭いさりたいために高い金を出して効果のある商品を買うのである。
だが、実際には効果が全くない品物を疑似科学の理論でもって効果があると誤信させるなら、それは悪徳商売に他ならない。
消費者庁も、しばしば「こんなのは疑似科学だ。科学的な面して商品を売るな」と命令を出している。


  • 健康被害が起きる
疑似科学を信じた人々は、医者による治療を拒絶して疑似科学によるトンデモ医療に頼ろうとすることが少なくない。
どんな名医も、自分の言うことを聞かない患者を治すことはできない。
結果として、疑似科学は信じさせることで人を殺すことができてしまうのである。
アメリカでは、新型コロナウイルスについて「タダの風邪」「ワクチンは危険」と言った疑似科学言説を信じてワクチンを拒否した人々が結局コロナに罹患してワクチンを懇願するも、医者も「もう手遅れです」と絶望的な宣告しかできないまま患者が死んでいくという例が報告されている。
自分が被害を受けるだけならまだしも、日本でも後述するように「助産師がホメオパシーを信奉していたせいで赤ちゃんに必要な栄養を与えられずに死亡する」という大事故が起きている。
人の命を預かる立場の人間、たとえば「幼児の親や教師」「老人や重病人のの介護者」が疑似科学にかぶれてしまうと、それはもはや先述のコロナワクチンの例とは比べ物にならない実害を及ぼすのだ。


代表的な疑似科学


  • ホメオパシー
疑似科学の代表格にして、トンデモ医療の代表格。
「極端に薄めた毒物(レメディ。大抵は砂糖に染み込ませた状態で用いられる)を摂取すると、そので発症する病気が治る」という、ワクチンとは似て非なる謎理論によって成り立っている。
希釈の度合いはあまりに極端であり、計算上、レメディには元になった毒物が 一分子も含まれていない ため、単なる砂糖玉としか言いようがない。
しかも、ホメオパシーでは 薄めれば薄めるほど薬効は高くなる とのことで、この方がよく効くらしい。何度聞いても理解に苦しむような理屈である。
後述する「水の記憶」云々と結び付けて語られることも多い。

一応擁護しておくと、この理論が提唱された当時(1796年)はあからさまに有害な医療がまかり通っていた(別名「英雄医療」)。
例えば、「病に汚染された血を抜く」と言う理屈で大量の瀉血(血を抜く)を行い、病人をみすみす衰弱させて死ななくてもいい患者が死んでしまうことも多かった。
19世紀末になっても、近代看護の祖であるフローレンス・ナイチンゲールは「医療知識のない一般人が薬を取り寄せて診断無関係に善意で配るような行為が横行している」と書いている状態である。

それに比べれば「単なる砂糖玉」に過ぎないレメディは完全に無害であり、患者の治癒率は結構高く見えた。もちろん実際は自然治癒の賜物であったわけだが、センメルヴェイスが手洗いや消毒の大切さを提唱したのが大体1850年前後で、しかも当時は細菌論なんてなかったのでこの消毒法がオカルト扱いされていた時代が長く続いた。そのため現在なら卒倒するような医療行為*13がむしろ科学的とされていたのだ。
ホメオパシーはその点下手なことをしない分安全だったのである。ナイチンゲールも「薬を配って善行をしたと思いたがる素人にはホメオパシーを配らせておけばいい」と言っているぐらいである*14*15
提唱当時である18世紀末は分子論も存在せず、キニーネ*16の危険性が問題視されていたこと、そもそも原料を偽ったものを売るようなことが平然とあったという事情もあるので致し方ない面もある。
つまり現在の科学の観点から見ると「消毒していない医療器具を使って手術をする」「本来の薬の代替品で毒になりかねないものを投与する」という、むしろそっちの方が病気の原因になりそうな医療に比してホメオパシーは砂糖玉に頼るだけ。
マイナスよりはゼロの方がましという意味では正しい理論であり、これは当時のマイナスにしかならない医療がはびこっていた社会情勢とうまく噛み合っているものだったのだ。

現代では二重盲検法*17によるテストも重ねられており、「ホメオパシーの薬効はプラシーボ*18を超えるものではない」と結論付けられている。

もっとも、レメディに限らず本人が効果があると信じ込んでいる偽薬を与えることで、患者に精神的満足を与えることは、一概に悪いとは言い切れない*19
プラシーボ効果は症状によってはある程度有効ではあるし、医師がどれほど適切な医療を行っても、自分の状態が不安な患者はしばしば医師に対して不信を抱き、結果として医療が効果を発揮しなかったり、医療関係者へのハラスメントにつながってしまうことがある。
そうした患者の不安を解消し、医療への信頼を保つという視点からは偽薬にも一定の有効性はある。
とはいえ、レメディに関して言えば宣伝する人がいなければ最初から効果があると信じる人も出ない言わばマッチポンプである。医者が患者の要望に応えて効果がないと分かっているレメディを投与するなら、医者が宣伝者の尻拭いをさせられている状況であることに注意しなければならない。

それでもここまでなら比較的害は小さく済むところではあったが、ホメオパシー始めトンデモ医療は 標準医療を否定して全てトンデモ医療に頼りましょう! と言い出してしまい、問題が更に深刻化してしまった*20
実際日本でも、ホメオパシーを信奉する助産師によってビタミンKの代わりに勝手にビタミンKのレメディを与えられた新生児が死亡するという事件も起きている*21*22

近年のホメオパシー業者はレメディを売りつけるために他の疑似科学や陰謀論を組み合わせたり、左右問わない市民運動系に食い込んだり騙されやすい性格の芸能人を利用したりと銭ゲバっぷりが露わになっている。
また、現代の日本のホメオパシーは元になった理論とはかけ離れたところに向かっている。通販サイトでは1,000~3,000種類ものレメディがあるとされ、なんと 般若心経のレメディ とか ベルリンの壁のレメディ まで売っている。もはや完全にオカルトである。
とりあえず、「般若心経をどうやって希釈するのか?」「ベルリンの壁を摂取する事に何の意味があるのか?」ということを是非とも教授いただきたいものである。


  • バッチフラワー
フラワーレメディ、フラワーエッセンスとも言う。ホメオパシー信奉者の1人だった欧州の医者が編み出したもの。
花の癒しのエネルギーを転写したと称する水を飲み物に垂らしていただくことで心に作用すると称している。
作り方は「花を水に浮かべる」「花を煮出す」とかほとんど子供のおまじないレベルであり当然のことながら、科学的にはただの水である*23
アロマテラピー用のエッセンシャルオイルは植物の成分は入っているが、こっちはまるっきり有用成分はない*24
結構その辺の店でもアロマグッズに混じって売られているので要注意。
上述のホメオパシー含め、検索してみると通販ショップや病院などが宣伝しているのがよくわかる。


  • ルイセンコ主義
数少ない国家主導の疑似科学にしてソ連崩壊の一因、そして疑似科学の危険性を一発で理解できる悪例。

1930~60年代にソ連の生物学者トロフィム・ルイセンコが提唱した学説だが、
その内容は「低温処理によって春まき(秋まき)小麦を秋まき(春まき)小麦に変質させられるように、遺伝的性質は後天的に変化させられる」というもの。
一見すると画期的であるが、ぶっちゃけ科学的には不細工な人に整形を施せば子孫は皆生まれつき美形になるというレベル。
こんな戯言は獲得形質の遺伝を是とするラマルクの学説に基づくものであると同時に、現代遺伝学の定説にして資本主義国の主流であるメンデル遺伝学に真っ向から反するものである。

普通の国なら科学的に否定されるはずだが、ここはソ連。
「努力すれば必ず向上する」「革命によって人類は急速に進化する」という、共産主義のイデオロギーと合致した理論が時の最高指導者にいたく気に入られ、あろうことか国策として用いられてしまった
その最高指導者とは?ルイセンコが活動した年代で想像がつくだろう。そう、スターリンである。
スターリンの庇護を得たルイセンコは、反対する他の科学者を「反動的なメンデル主義者」として片っ端から粛清。
邪魔者を一掃した彼は自身の学説に基づく農法を推し進めたが、その方法は「雪の上に種を撒く」といった斜め上のものばかり。
当然のように失敗して深刻な凶作をもたらしても、「富農が私の理論を歪めた」とイデオロギーの話にすり替えるばかりで一切反省しなかった*25
DNAが解明された今となってはルイセンコの学説を支持する者は消えたが、彼に弄ばれて失った資源や人材は最早戻ることは無い。
こうしてロシアの農業・生物学は今日に至るまで他国に大きく後れを取る羽目になった。

ロシアに限らず、当時の東側共産陣営にもルイセンコ農法は広まり、受け入れる国が続出してしまった。
日本にもルイセンコ主義に基づく農法は入ってきたが肝心の効果を疑問視する声が大きく、影響は比較的軽微であった。
ただしルイセンコ主義は徹頭徹尾間違っていたかというと実はそうではなく、「小麦を低温にさらしておくと開花時期が変わる」という経験が現在でも春化という処理として出荷時期をずらす技術として活用されている他、
日本では「後天的に獲得した性質が遺伝する」という点を立証するためにルイセンコ支持者が接木キメラを研究し、その成果として新しい野菜を開発するなど良い意味での影響ももたらしている。
部分的に正しかったからこそ大多数を占める間違っていた部分がすさまじい被害を及ぼしてしまったのである。


  • 偽放射能医療
放射能に関する知識が今ほど確立されていない時代(大体戦前である)に主にヨーロッパで起きたもの。
放射性物質が発見されてX線などの革新的な医療技術が開発され、人々はそのブームにあやかろうと色んなものに放射性物質を使い始めた。
なんせ青白く光っているのである、昨今のゲーミングパソコンみたく付加価値が生まれて一大ブームを引き起こした。

蛍光塗料、歯磨き粉、化粧品…あらゆる消耗品や医療に放射能が使われ、ラジウム水を薬品として薦める者まで現れる。
これを薦められた裕福な資産家は、飲んでみると一時的に体調が良くなった。
…が、放射能に対する防御反応によるものであり、それに気付くことはないままに飲み続けた。
気が付いた時には手遅れなほどに放射能に蝕まれており、骨が溶けるなど被曝による様々な疾患を併発し死亡、センセーショナルに報道され大きなショックを与えることとなる。
後に虚偽の成分表示をした包装が禁止されて放射性物質を含む商品は販売できなくなり、ブームに終止符が打たれることとなった。

現代でも放射線照射をがんの治療などに使うことはあるが、ドリンクを飲むなどと言うような大雑把な方法ではなく、厳密な管理の元で行われる。
放射性物質が含まれた水も厳密に検査を受けた上で供給・販売されており、間違った用法をしなければ人体に被害を与えることはない。
ただ、日本の場合は偽放射能医療より遙かに悲惨な放射能被害の実例があるため、陰に隠れがちである。


日本で最もメジャーなトンデモ。詳細は項目参照。
健康増進などに効果があるとされたが、現在では否定的な意見が多い。


  • ピラミッドパワー
ピラミッドの中ではエネルギーが活性化だかなんだかするというアレ。
食品が腐らないだとか、錆びたナマクラ刃物がまた切れるようになるだとか言われるが、実際にピラミッド型のオブジェを作ってもそのような効果は実証されていない
まして毒素が抜けてビームになって飛んでいくなんてことはまずない。
結局のところ、形状より地理的要因の方が高いとされる。


多くのゲーム好きを恐怖させ、ゲーム業界に悪影響を与えた脳科学理論(?)。詳細は項目参照。
近年問題視される「ゲーム依存症」とは全くの別物


単なるバーナム効果*26やラベリング効果*27
星座占いと同じような感じで話題のタネにするぐらいはいいかもしれないが、深入り無用。……なんだけど、大体周囲のアレな人が信じちゃってるヤツ。
そもそも人間の性質を血液型や星座だけで判別できると考えること自体がおかしい。

この理論にナチス起源説が存在すること、たいていA型が持ち上げられてB型が貶されていること、そしてドイツ人にA型が多くユダヤ人にB型が多いという事実を踏まえると……もう皆までは言うまい。
戦後日本で流行した原因となる能見親子の本のスカスカぶりも凄まじい*28
現在のアラフォー以下の世代だとかなり否定的に捉えられているが、一時期は教育の現場でもまことしやかに語られ、企業でも上司や人事がこれを性格分類に取り入れてしまうこともあるなど非常に根強い影響を持っていた。
学校の先生が「だいたいお前はAB型だから~」と叱りつけるなんてのも割とあったとか。今同じことをしたら不祥事炎上コースだろう。

なお血液型による占いや性格診断が日本で流行しているのは、日本人はABO式4種で血液型が満遍なく分かれている点が大きい。*29
アメリカ合衆国など諸外国では血液型が1~2種に偏りがちなため占いのベースにする事自体が難しい事から、血液型に因む占いや性格診断へ信頼度、ひいては馴染み自体が薄いとされる。
それどころか血液型を聞くと「なんでそんなこと聞くんだ?」と、個人情報でも尋ねられたかのようにものすごく嫌な顔をする人も多いとか。
以前ある政治家が失言の釈明をする際に「私はちょっとB型で短絡的なところがある」と発言したことがあったが、実はこれは国内よりも海外(アイルランド、南アフリカ、イギリスなど)で「遺伝的形質のせいにするのか」という方面で話題になった。
こうして考えてみるとマイナスイオンや反ワクチンのような疑似科学というよりも、どちらかというと「箸の持ち方」「着物を左前にしない」のような日本文化に近いかもしれない。江戸しぐさ?なんのこったよ


  • ゲルマニウム
未だに多く販売されている謎健康金属。特に健康に影響があるという証拠は存在しない*30
まぁ着けている分には単なる金属のブレスレットなので、それだけなら害はないが、これを信じて効果のない品物に高額な金銭を出してしまう消費者被害にはつながってしまう。
ちゃんとした大学・研究機関・政府機関がゲルマニウムに注目するとしたらほとんどは半導体関連だ。


  • 右脳左脳
「左脳に言語野がある人が多い」というのは事実だが、「創造力の右脳」「理論力の左脳」のような極端な差は基本的に存在しないとされる。
残念ながら(?)「左利きは右脳が活発なので天才が多い」というのも単なる俗説


  • 反ワクチン論
この場合、「事情があってワクチンが打てない」「副作用に遭ったことがあるためワクチンはなるべく避けたい」という人より、極端な自然主義者や医療機関などの反対派たちが「ワクチンは有害」としてワクチン接種を拒むために掲げられることが多い*31
しかし多くは統計の取り方がおかしかったり理論がおかしかったりであるため、論ずるに値しないものがほとんど。
確かにワクチンの副作用が馬鹿にならない事は少なく無いが、それでも副作用の確率などを参考にして計算した場合、ワクチンを打った方が良い事が立証されている。
もっとぶっ飛んだ方面では「ワクチンにマイクロチップが仕込まれていて大企業や政府に操られている」というほぼ妄想の域になっている。マイクロチップの製造費とか行きわたらせるためのコストとか考えたのだろうか。
フィクションならよくある設定だが、現実にそんなハイスペチップがあればどこのメーカーも苦労しない
この理論の危険な点は、ワクチンを拒む人が増えることで感染症も拡大することが懸念されること。これに関してはWHOも本気で危惧している
また母親の乳児の健康や「子供に痛い思いをさせるのは可哀想」という不安に付け入って持論を展開し、誤った各種処置で乳児の生命を脅かしていることも危険点の一つである。
ちなみに上記のホメオパシーなんかとも相性が良い。

反ワクチンの厄介な点は、ほとんどの疑似科学と異なり論拠とされる論文が存在しているという点。
少し前の話になるが、一時期アンドリュー・ウェイクフィールドの「ワクチンを投与すると自閉症になる」という論文(否定済み)がよく取り上げられていた。
ウェイクフィールドが事前に記者会見をしたせいもあって反ワクチン派にセンセーショナルに取り上げられてしまい、これが否定されるまでの12年の間で麻しん感染者が増えてしまうというすさまじい実害をもたらしたのである。

従来はHPV(子宮頸がん)ワクチンの陰謀論が勢いが良く、極右思想や所謂自然派左翼の間で「民族根絶やしワクチン」などという風説がばらまかれていた。近年では市民団体や医師らによる積極的勧奨再開や情報の発信などを行っている。
COVID-19(新型コロナウイルス)対応のmRNAワクチン*32で「遺伝子組み換えワクチン」「マイクロチップが埋め込まれ5G接続」「身体が磁石のようになり金属が引っ付く」などという珍論が跋扈。
なお、「5G接続」の論拠と称して出回った回路の画像はギター・エフェクターの電気回路図であるため、ギターキッズやミュージシャンの間から失笑を買った。
また、ワクチンを接種した際に「遺伝子組み換えで(イケメン、美女タレントの名)になれると思ったのにならないぞ!」「5G接続できないぞ!」というジョークツイが定番となった。

実はアメリカで反ワクチンが流行するのには「医療費がやたら高い」という経済的な理由もある。子供にワクチンなんて打たせていたら金がいくらあっても足りなくなるというものだ。
そういった貧困や、高額をせびられる医療への反感が反ワクチンの温床となっているという考え方も存在している。
実際ワクチンをかたくなに受けさせない親の中には「周囲の子供がワクチンを打っておけばその子たちが病気にかからないので病気を運んでこない、結果的に自分の子供を守ることができる」という「集団免疫」の考えを悪用するために反ワクチンを掲げる人もいるんだとか。
早い話がタダ乗りしたいがために狂人の真似をするというわけ。
他にも反ワクチンを掲げれば反ワクチン派から支持(=資金)を集められるため、医者や看護師の肩書を掲げて反ワクチンを理論面からサポートすることで名を馳せて自分の病院に通ってもらったり、胡散臭い商材を売りつけたりということにもつながっている。
儲けという字は信者で作られる、なんて話があったがまさにそれである。

昨今はインターネットの発展により「エコーチェンバー現象」「確証バイアス」「フィルターバブル」といった問題が広く知られるようになり、この手の問題はそれを好む層が政治・民族問題などを好む傾向もあるということで、そういった燃えやすい話題と結びついてたやすく燃え広がるようになっている。
最近では「有名なYoutuberなどのコンテンツインフルエンサーを使えば、教養が無い人にでもワクチンが受け入れられるのではないか」ということもかなり真面目に検討されているようである。
コロナ禍時代には日夜デマが喧伝されて情報戦の様相を呈してきており、さらに反ワクチンが陰謀論の旗印になっていたりする始末*33
2022年3月にはツイッターに「ベネッセのチラシに反ワクチンのビラが入っていた」とするデマが流れてベネッセ側が否定と謝罪に奔走し、ビラの製作者ですら「そういう嘘はやめようよ」と諫めるという一幕があった。じゃあ作るなよ。
果てには反ワクチンに端を発したカルト宗教もどきなんていうのまで出てきており、単なる医療絡みの思想や疑似科学とは完全に異なるひとつの文化を形成してしまっている。
これを読んでいる人の中には「反ワクチン」という言葉で反薬害や自閉症、集団免疫ではなく「予防接種会場の襲撃」「光の戦士」「地震兵器」のような言葉を連想する人もいるのではないだろうか。


  • 千島学説
「血液は腸でつくられる」「細菌で病気が発症するのは間違いで汚れた血液が原因」などとするトンデモ理論。
この理論が正しいとすると、生物体内での血液の細胞分裂を観測している多くの科学者、医療関係者は、全員重大な事実に気づいていないノータリンか、気づいていながら陰謀に加担して黙っていることになるのだが……。


特殊相対性理論は中学生でもわかるほどに平易な理論であるためか、攻撃対象にされることが多い*34
あまりにも攻撃者が多いため、と学会では反相対性理論に関する書籍は「 相ま *35」という独立したジャンルとして扱われている。
「物体の長さや時間が自由自在に変化するなんて明らかに感覚的に信じられない!」という感覚的な観点からの批判が多い*36
「相ま」系の論客にありがちなものとしては「既存の学術用語を使わずに造語を作る」「実験(特にマイケルソン・モーリーの実験)の解釈がそもそも間違っている」「何らかの事象を自分のトンデモ論を補佐する超便利アイテムだと思い込んでいる」、もっとひどいものだと「舌を出しているアインシュタインの肖像は『俺はペテン師だ』というあっかんべーの意味」「そもそもアインシュタインは日本の天皇制を支持したような奴だから信じるに値しない*37」なんてものまであり種々様々。最後の方は単なる人格攻撃はおろかデマを頭から信じている時点でお察しください。
また「宇宙の果てからUFOが来ている」派の人には「物体は決して光速を上回れない」とする相対性理論は邪魔なためか批判されやすい。
なお、SF諸作品に登場する超光速粒子「タキオン」は「もしも相対性理論に反せずに超光速で運動するものが存在したら」という仮説上の存在であり、反相対性理論とは無関係。
タキオンの存在は現在でも確認されていないが、こちらはこちらで「タキオン靴下」などの疑似科学グッズとして商品化がなされている。
もっともタキオンは光速以下の速度になることはできないのだが。

ただし一部の物理学者(トンデモ系ではなくホーキングなどと肩を並べるレベルの超一流)の間では「相対性理論でうまく説明できない事象」を説明できる新しい物理学モデルが必要な時代が来ていると説く人もいる。
相対性理論は「それまでのニュートン力学でうまく説明できなかった『水星の近日点移動』を矛盾なく説明できた」という話が有名だが、これと同じように相対性理論でうまく説明できないものを説明できる新しいモデルが必要なのではないか、という観点による意見である。
ただし間違えないでいただきたいのは、こういった新モデルが必要だという意見を出している学者は{決して「だから相対性理論は間違っている」なんて一言も言ってないという点。
だいたい「相対性理論は間違っている」と言っている人は最初から「間違いだ!間違いなんだ!」と結論ありきでまくしたて、かつ論点がどんどんずれていくためこの手の学者とはすぐに見分けがつく。
……っていうか「相ま」系の人って水星の近日点移動とかどうやって説明するんだろうね?


  • 反進化論
アインシュタインと並んで攻撃されがちな理論。特にキリスト教系の原理論者からは聖書の記述と真っ向から反するために攻撃されやすい。
中には『種の起源』を読みもせずにダーウィンを批判している人すらいる*38
一部では宗教色を薄めて科学を装った「創造論」「インテリジェント・デザイン(ID)論」などの理論に化けて身近に迫ることもあり、
アメリカではキリスト教保守派が強い州で「進化論とID論はどっちもどっちなので学校では両方教えるべき」という頭が痛い状況になった事も。
実際に成立したとしても我々を創造した存在を創造した存在を創造した…と無限ループになってしまう。
それを皮肉って「ならこういうのもアリになるよな?」と生まれたのが、かの有名な空飛ぶスパゲティモンスター教である。


  • EM菌
EMとは「Effective Microorganisms(有用微生物群)」の略で、「有用微生物群」の意。人間にとって有益な多種多様の効果を持つとされている。

元々は農業用語であり、ぼかし肥*39の精製に役立つような微生物の総称を指す言葉だった。
ところが、ぼかし肥の持つナチュラルかつファジー、そして汎用性の高いイメージからどんどん変な方向に拡大解釈されていったらしく、いつしか土壌改善のみならず川や海の水質改善など全く別の用途に転用されるようになっていった。

特に問題なのは、行政や政治家への汚染が酷いという点。
学校教育などで取り上げられた例もあり、「EM菌を川にまく」とかアホな行事をやっている自治体も結構ある*40
さらに水質改善などは一見よさげに見えるのだが、自然環境とはかなり繊細かつ複雑なもの。一見害に見えるものを無造作に取り除いたらもっとひどいことになった、というのは中国の「四害駆除運動」の大失敗によって立証されている。
つまり行政や、その許可すらとっていない市民団体による活動が環境破壊を引き起こしかねないのだが、このEM菌に大した能力がないので逆に平和な結果をもたらしているという皮肉にもつながっている。
「EMは神様だと考えることです」「いいことはすべてEMのおかげ、悪いことが起きたのはEMの極め方が足りないから」「重力波で元素転換」など宗教じみた主張を繰り広げる団体も存在し*41、もはや和製ルイセンコ主義一歩手前である。


  • 外気功
東洋医術、気功法(気功療法)の用語のひとつで、軟気功から派生した概念。対義語に「内気功」がある。
内気功は動的・静的な特有のフォームにより体内の“気”を練り、自らの活力を高めるというもので、言ってしまえば瞑想や体操に近いものなので、よっぽど過度にやらない限り健康に悪いわけもない*42
そして、内気功によって発生した“気”を相対した他人に分け与える術のことを外気功と呼ぶ……のだが、これは各種気功法の中でもかなり古い時代に提唱されたものであり、科学的に立証はされておらず、現代となってはオカルトの域を出ないとする意見のほうが圧倒的に多い。
ドラゴンボール北斗の拳じゃないんだから、十中八九プラシーボや催眠の範疇と思って良いだろう。


エネルギー問題の解決を夢見させ、資金調達がやりやすい部類のため多くの疑似科学者が提唱している。
ただ、大抵は機械が動かないか理論の構築が間違っている。
例として「動的作用反作用の法則」を挙げると加加速度運動の式の導出途中に等加速度運動の項がなぜか表れているのでエネルギー保存則が成り立たなくなるように見えるトリックがある。
また永久機関というのはちゃんと定義された言葉なのだが、この点をわざと曲解して論点をずらすというトリックも存在する。
たとえば「アニヲタエネルギーが存在していれば最初にそれを受け取ることでずっと動き続ける。つまりこれは永久機関だ」という理論を説いた時、「いや、アニヲタエネルギーなんて存在してないしそもそも永久機関っていうのは~」という反論が来ることは自明である。
この時に永久機関の解釈という方向に論点を持っていくことで、肝心のアニヲタエネルギーという根幹部のガバ理論をうやむやにしてしまうのだ。
もちろん実際にはそんな一目でお遊びと分かるような名前ではなく、もっとそれっぽい名前にしたり、ガバが存在するのが機械や理論の方だったりするわけで、こういうところで騙されてしまう人が出てくるというわけ。
いずれにせよ永久機関を自称するものは例外なくフェイクと見て間違いない。逆に言えばどこにガバがあるのかを探すという性格の悪い楽しみ方もできる。


「真空に触れると肌がスパッと切れる」という、創作物ではおなじみの現象。
だが現在では真空に触れても皮膚は切れないと完全に否定されており、実際はただのあかぎれ・ひび割れや、高速で飛んでくる砂粒などで切れるだけであることが判明している。


  • 経皮毒
皮膚から有害物質が体の中に入るという説。
もちろん明らかな有害物質やアレルギー持ちの人が触ってどうにかなるという話で収まる範囲なら問題はないのだが、シャンプーや合成樹脂の成分まで体内に浸透するかのように言い出す物は疑似科学である
インチキ商法への取っ掛かりとして多用されており「デトックス」を称するもの、生理用の「布ナプキン」販売業者で経皮毒ネタを使っている店舗がとにかく多い。
普通に売れ。


  • タバコは人体に対して然程の有害性はない
  • タバコは人体に対して激甚な有害性がある
真逆の主張が同時に存在するという珍しい例。
特徴的なのは「然程の有害性はない派」「激甚な有害性がある派」両方とも極論が極めて多いこと。
また、科学とは直接関係が無い喫煙マナーや臭いやゴミ(吸い殻)などの公衆衛生といった問題も絡んだ熾烈な議論になりやすく、感情論めいた主張になっている事もしばしば。

まず第一にタバコの煙には有害物質が含まれており、これが様々な病を発症する要因の1つとなる事は間違い無い。
しかし、病にかかる要因はタバコ以外にも様々な要因があり、タバコが原因と断定する事は難しい。
更に、タバコの悪影響が現れるまで数十年以上のタイムラグがある事も珍しくなく、タバコの悪影響が出やすい人も出にくい人もいる。
このタバコの特異な性質が上述した真逆の主張が生まれる背景といえる。

「然程の有害性はない派」は、「タバコと肺癌の因果関係」のような、ほぼ事実とされていることすら乏しい根拠から否定したりする。
代表的なのは、「喫煙率は下がっているのに肺癌発生率は上がっている!」という理屈だが、
喫煙の影響が実際に肺癌発生率として反映されるのに数十年単位の時間がかかることをスッポリ忘れている事が指摘される。
煙草と肺癌の因果関係に懐疑的な専門家すら、「(煙草のせいで肺癌にならなくとも)いざ肺癌になった時、喫煙者である事を理由に最新治療を受けられず、今や治せる癌をみすみす助からない段階まで悪化させねばならない場合もある」と、
そして「(煙草のせいで肺癌にならなくとも)タバコの有害成分によって罹患しうる病気は肺がんだけではない」と、
喫煙には直接的にも間接的にも健康リスクがある事、肺癌以外の健康被害が無い訳ではない事を指摘している。
また、「煙草無害論」というものもあり、特に「有害なのは巻紙とフィルターと添加物である!」という主張はよく見られる。
確かに市販のタバコの多くには香料や保存料、燃焼材などが添加されており、紙巻き煙草は無添加の葉巻よりも毒性が強いとされる。
しかし、葉巻であってもニコチンやタールが含まれており、別に無害という訳でもない。

逆に「激甚な有害性がある派」は「副流煙は主流煙より有害物質が多い!タバコは非喫煙者が喫煙者の側を通るだけでも致命的な影響を与える!」などと主張することがある。
確かに煙それ自体の有害物質量はフィルターを通している主流煙より副流煙の方が多いのは事実であり、長期的な受動喫煙に曝された非喫煙者にも悪影響が出やすい事はよく知られている。
しかし、そもそも煙自体を直接体内に入れる主流煙と違い、副流煙は空気で希釈されるので直接害を比較することはできない
健康体の人間が喫煙者の側を通ってしまった程度であれば、直ちに致命的な悪影響が出る可能性は低いと言える(悪影響が無いとも言い切れないが)
もちろん、臭いやゴミなどの問題はあるし副流煙が有害なのは間違いないので、「副流煙を一切気にするな!」というのもまた極論ではあるが、
だからと言ってまるでサリンでも垂れ流しているかのように扱うのも違うだろう。
受動喫煙をしないに越したことはないが、気にしすぎてストレスを溜めてしまっては本末転倒かもしれない。
また、「妊婦がタバコを吸ったら赤ちゃんの肺がタールで真っ黒になって死んでしまった!」というショッキングな話もあるが、
そもそも胎児は肺呼吸をしておらず、肺にタールが蓄積するわけがないのでこれもタバコの害を過大宣伝する作り話である。
もちろん妊婦の喫煙の害に関する議論は別途するべきである。が、そのためにデマをばら撒いていいという理屈はない

いずれにしてもタバコに有害性がある事は間違いなく、喘息持ちの人間など煙を吸うだけで冗談抜きにその場で命に関わる事もあるため、タバコを吸う場合は周囲への配慮が必要であり、自己責任で吸う物である。
喫煙マナーは守りましょう。


  • バーストラウマ
「妊娠中や出産時に母親がストレスを抱えると子供の成長後もトラウマになる」と称する言説。
「順調な自然分娩至上主義、帝王切開や陣痛促進剤、無痛分娩はトラウマになる」という売り文句が主。
一部の産科クリニックや助産院で取り扱われており、要注意医療機関を見分けるキーワード。
元ネタは精神分析における『出生時の』心理的外傷、赤ん坊側のトラウマだと思われるが、なぜか入れ替わっている。民間資格商法的な業者にも使われている。

似たようなものに「胎教」というものがある。
「私がママよ、俺がパパだぞとささやく」などの我々が想像するような素朴なものではなく、「歌にのせて日本の山脈や都道府県を教え、生まれる前から英才教育を施す」というもの。
これ自体は否定も立証もされていないそうだが、一番分かりやすいのは胎教を受けてきたことをアピールしている成功者がほとんどいないこと。特に日本や韓国は儒教精神の濃い国だから、母親への感謝アピールにも使えてちょうどいいはずなのだが……。
ただしこれは「母体へのストレスを軽減する」「母親が趣味を持つことでマタニティブルーを乗り切る」という意味では割と合理的ではある。


  • 水からの伝言
「名勝の水や「ありがとう」等のいい言葉を見せた水からは綺麗な結晶ができ、水道水や「ばかやろう」等の悪い言葉を見せた水からはいびつな結晶ができる」と称するトンデモ。
いわゆる「波動ビジネス」の実業家の著書で創作されたものである。
何より問題なのが、「いい話だからいいじゃん!」なノリの教育関係者が道徳の授業などで使っている事*43
普通に「きれいな言葉を使いましょう」って言えばいいだけなのに。


  • 角の三等分線の作図
定木*44とコンパスを用いて与えられた角を三等分できるかという幾何学の問題。どんな大きさの角でも有限回でできる方法、である。
角の二等分線は非常に簡単であるため、これも可能ではないかと古代ギリシャ時代から考えられ続けてきた。
これと「与えられた立方体の2倍の体積の立方体(立方倍積問題)」「与えられた円と等しい面積の正方形(円積問題)」は「ギリシャ三大作図問題」などと呼ばれ、いずれも古代から人類を悩ませた……が、19世紀になって、3つとも作図不可能であることが証明された*45

しかし、その中でも三等分については未だに諦めない人が多く、できもしない作図に取り組み続けている。
そして彼らは数学者たちにいくら「方法」を送り付けても「どうせ不備があるから見るだけ無駄、不備を指摘しても懲りずに直してまた送り付けられるだろう」と相手にされず、やはり「自分は理解されない」と思うのだ。
彼らに「三等分が不可能であることの証明を読む、およびその背景知識を学ぶ」という発想はおそらくない。
もっと言えば、無理と言われたものを根気で何とかできるケースとそうでないケースがあることもおそらく知らないのだろう。

ちなみに、定規の目盛りや折り紙など最初に挙げた以外の道具を用いた方法、定木とコンパスを用いて近似的に三等分する方法はある。
また90度や180度といった特定の角であれば、定規・コンパスのみで作図が可能。
そしてこの問題は「どんな角でも三等分できる」という点がキモなのだが、「一つでも三等分できる角があればいい」と履き違えた、あるいは勝手に解釈を歪めた者がこういった「特定の角の三等分」によって解けたと主張することもある。言うまでもなくこれは証明の根拠にはなっていない。
また「否定的に解決」「不可能であると証明」ということは数学的な見地では立派な解決なのだが、これが一般的な考え方だと「解決や証明を諦められた」と捉えられやすいのも原因のひとつだろう。


  • O-リングテスト
人差し指と親指で丸を作り、それを両方から引っ張って診断するという偽医療。
体の異常がある方から指が開くとされているが、ほとんど指相撲である
これの信奉者をやりこめた指相撲の強者による笑い話もちらほら。
なお、人体の構造上人差し指を引っ張ると開く、親指は開かないのでいんちきも簡単である。


  • ズンズン運動
アトピーが治るなどと称して行われた健康法。
ズンズンという名の通り乳幼児を激しく縦に揺さぶる他、ロシアのサンボ使いが白目を剥いて気絶するほどの角度にまで首を曲げるといった行為が行われた。
乳幼児虐待としか言いようがない光景であるが、当然のように乳幼児が死亡するという痛ましい事件が起き、その名は一躍全国区となった。
検索するとかなりショッキングな画像がヒットするので注意。
なお、この健康法の主催者は既に検挙され団体も解散した。


  • フードファディズム
簡単に言うと、「食物の人体への影響を過大なほどに信奉する」考え方のこと。
もちろん食べ物が人間にとって重要なファクターであることは言うまでもないが、フードファディズムと揶揄されるような考え方の人々はその度合いが極めて極端なところに行っている。

例えば、「カップラーメンや清涼飲料水の消費量が多いと少年犯罪が起きやすくなる」など、明らかに健康とは関係ないところまで食物が影響していると考える*46
また、有名どころだと「買ってはいけない」のようにごくわずかな食品添加物の影響を針小棒大に騒ぎ立てる一方、食品添加物より遥かに危険なアルコール類の危険性にはノータッチだったりする輩もいる。
基本的に極端な自然主義傾向が強く、砂糖や食品添加物を過剰なまでに忌避することが多い。「マクロビ」などと絡めて紹介されることも。
他には「発掘あるある大辞典Ⅱ」の「納豆ダイエット事件」などもフードファディズムの考え方に近いと言えるか。


  • 宿便
よくネットの美容広告で見かけるアレ。
医学用語では類似用語として滞留便や便秘という言葉も存在するが、宿便は「人間には誰しも腸内に排出されない便のカスが何キロも溜まっている」というもの。
腸は蠕動運動によって中の物は常に前進していく上に、古い細胞などの老廃物も便として排出されるため滞留するなどということはあり得ない
特に小腸の上皮細胞は24時間程度で剥がれ落ちる、非常に入れ替わりの激しいところである。
もしそんなものがあるならX線検査などではっきりと見えるし、こびりついている部分の炎症や腸閉塞といった形ではっきりと人体に悪影響を及ぼしているだろう。
健康や体重に関わることから、フードファディズムに通ずる部分がある。


  • 素粒子の名を冠する商品
クォークと電子以外の素粒子は物質への干渉力が非常に小さく、食品や雑貨などのサイズではまず体に影響を与えないのだが、素粒子による効能を謳う商品は多い。
とくにタキオンとグラビトン(重力)は観測が現在の理論では不可能であるにもかかわらず、サジェストに「野菜」「セラミック」などの商品が出てくるほどに販売されている。


  • NMRパイプテクター
日本システム企画が鉄パイプ内の赤錆を抑える・黒錆に変えるという効能で売り込んでいる商品。
動力源減の説明がころころ変わる上に、そのすべては論破されてからの後手対応という始末。そのうえどの説明でも必要なエネルギーが出せない。
ただ、疑似科学組織の御多分にもれず番外戦術が非常に得意で、
  • マンションや病院に売り込むのは常套手段
  • 批評を潰したことを検索時の広告に出す
  • 行政の報告書を引用したフリの捏造発言
  • ラジオ、テレビ番組に出る
  • 電車や空港に広告を大量に出す
  • 途上国支援に名を挙げる
ただ、RikaTanを潰したときはそれが拡散され大いに逆効果となった。


  • 副腎疲労
フードファディズムの派生形のような事態を引き起こす可能性のある、近年台頭してきた概念。
体内時計の調整、炎症の抑制、抗ストレス作用など多種多様な働きを持つ重要なホルモン、コルチゾール*47を分泌している臓器・副腎(副腎皮質)が、長期間の度重なる酷使により疲弊し、コルチゾールを正常に分泌できなくなり、慢性的かつ重篤な疲労感や、うつ病に近い症状を発症する…というもの。

コルチゾールが人間の体内において重要な役割を持っているのは事実であるし、もし慢性的に欠乏すると上述したような症状が起こるのも事実であるが*48、この説を唱えている専門家は、大抵の場合「副腎がコルチゾールを分泌するのは脳下垂体が指令を出しているから」という事実を見落としているのか言及していないことが多い。
主体的に動いているわけではないこともあってか、副腎も別に「疲労」したりすることはない臓器である、という説が主流である。
もしも患者の症状の原因が副腎ではなく脳下垂体にあった場合、いくら副腎にアプローチを掛けても当然改善することはない。

そして、この副腎疲労の真の恐ろしさはそれだけではなく、メチャクチャ金が掛かるということである。
副腎疲労を取り扱っている医療機関は意外と沢山あるが*49、診察代は全て保険適用外の完全自己負担であり、万全を期そうとすると、最初の健康診断だけでも軽く10万円単位の金額がフッ飛ぶことも。
更にこの副腎疲労、どういうワケか「糖質制限*50」「分子栄養学*51」「遅延型アレルギー*52」「リーキーガット症候群*53」などの特殊かつ前衛的な健康法とセットで語られることが多く、それらの知識をコツコツと勉強しながら大量のサプリメントを服用し、厳しい食事制限をし*54、腸内環境の改善の為にプロバイオティクスに励み*55、それだけやっても症状が改善するかは完全に運次第*56

ちなみに、こんな概念が日本にもたらされたのは、どうやら現職の医師が当該の症状に罹患し、海外から仕入れた情報を元にして見事独力での克服に成功し、その体験を手記にまとめて出版したのがきっかけのようであり*57、その事から「日本人の9割は知らない」が売り文句となっているが、副腎疲労を明確に否定している海外の論文が存在する
この事は、NMRパイプテクターの項でも名前が出てきたRikatanでも言及されており、むしろ「(既に海外で否定されていることを)日本人の9割が知らない」とでもいうべき皮肉な事態が発生している。

なお、「副腎疲労」は極めて疑わしい概念であるが、それとよく似た「副腎不全」という疾患は確かに実在しており、その症状は、内科の一部門である“内分泌内科”に行けば診てもらう事が出来る*58
まさか、内分泌内科がマイナーだから副腎疲労の台頭を許してしまったんじゃ…


  • 生来性犯罪人説
イタリアの犯罪学者であるチェーザレ・ロンブローゾ(1835年~1909年)が唱えた、「犯罪者は隔世遺伝による先祖返りである。犯罪者の7割は生来性だ」という学説。
ロンブローゾ自身が処刑された受刑者の頭蓋骨などを集めて導いた説であり、科学の場に一度は現れた学説である。
それまでの犯罪学の大半が机上の学問でしかなかった中で、学問的知見を集めて実証的に犯罪を検証しようとしたと言う点で、現代の犯罪学につながる先駆者でもあった。

しかし、現在では更なる研究が進められており、生来性犯罪人説は疑似科学の域を出ないと結論付けられている*59
特に犯罪にまつわる疑似科学による犯罪者・犯罪者予備軍扱いはしばしば激烈な差別の発生を伴うため、科学の場に現わすためにより慎重さが求められる。
「人道上の観点、そして為政者によって恣意的な運用がなされるリスクから、この手の学説は疑似科学や迷信であるということにしなければならない」などと言ってしまうと「陰謀論」に発展してしまうため注意。

とはいえ、それ自体はれっきとした科学理論であるダーウィンの進化論が優生学という疑似科学の母体となり、ナチスのT4作戦や日本の優生保護法といった悲劇を引き起こしたという前例がある。
人類史で度々発生した大虐殺の原因究明も、「究明できるとは思われないばかりか虐殺の正当化につながりかねない」として究明そのものを批判する立場も存在するほどなのである。
他にも「日本人にはアルデヒド脱水素酵素の欠損率が高い、つまり遺伝的に下戸の人が多い」という話があるが、これが飲酒という素朴なレベルの話ではなく、もし何らかの能力に関するものだったらどうだろう?それはもう単なるレイシズムの合理化、差別の温床に過ぎなくなるのだ。
「科学的な正しさの追求が社会の利益につながるとは限らない」ことは、弁えておかなければならない視点である。ましてや疑似科学となれば何をかいわんや。*60


  • YAP遺伝子
最近ホットな疑似科学……というかオカルトというかスピリチュアルというかナショナリズムというか都市伝説というか、そんな感じのもの。
現在地球上に70億ほどいるとされるホモ・サピエンスの遺伝子を調べた場合、地域や民族ごとに遺伝子的な特徴をもってグループ化することが可能である。
このグループ化のことを「ハプログループ」といい、日本人が所属するハプログループDおよびEを特徴づける遺伝子が「YAP遺伝子」である。
要は「日本人にはYAP遺伝子ってのが多いんだよ」って程度の話で、ここまでなら立派な遺伝学、つまり本物の科学の範疇。

しかしGoogleで調べてみると分かるがとにかく怪しいサイトがやたらヒットする。
たとえばスピリチュアル界隈では「YAP遺伝子は宇宙人や神に由来する遺伝子」「覚醒することで超能力を得られる」のように喧伝されている。
さらに「ハプログループD」に特殊な性格付けをしている記事も見受けられる。ONE PIECEの「Dの一族」に無理やりこじつけることで特別感を煽ろうというものだ。
「日本人はDの一族だった!」なんて言えばどこからどう見てもふざけているが、これを「Dの一族のモデルはハプログループD」なんて風に紹介すると途端に信憑性を帯びてきてしまう
ここからさらに「ONE PIECEは現代世界を高度に表現している」「尾田先生は日本人の特別な遺伝子に気づいていた」なんていう愛国論的な話につないでいく論もある。ONE PIECEは考察が非常にさかんな漫画であり、再生数や閲覧数欲しさにこういう論に手をつける人も増えている。最近ルフィがアレになったんでますますこの理屈が活気づきそうである。
当然だがONE PIECEがそんな漫画ではないことはファンの皆さんの方がよくご存知だろう。もちろんここまでの話程度で終わるものなら、分別ある大人なら笑い話にできてしまう。
しかしここまで大げさでなくとも、「日本人は他とは違った特徴を持つ民族である」という考え方には飛びつきやすい
たとえば「日本人の文化である温厚・利他性・礼儀正しさなどを司っている」「日本人が兼ね備えている優しさの証拠となる遺伝子」のように喧伝するものがあるし、ハプログループの分布から大雑把に「お米が好き!?」「冒険好き!?」といういいかげんな類型をしているサイトもある。完全にラベリング効果やバーナム効果の範疇であり、やっていることが血液型性格診断と変わらない*61
さらにこのYAP遺伝子が中国大陸や朝鮮半島の人々には備わっていないというところから「日本人のみが持つ特別な遺伝子」と位置付けるものもあり、差別感情との相性も抜群にいいという始末。
しかもそのために「YAP遺伝子を持つ著名人物一覧」という記事があり、だいたい世界中の都合のいい偉人が何の裏付けもなく載っている。なんと2022年4月14日の時点ではwikipediaにすら載っている始末*62

民族や地域に特有の遺伝子的な特徴というものは、「○○は特別な民族である」という自尊心的な部分をくすぐりやすいため非常に好まれやすい。
実際にはハプログループがどこに属しているからといって、それは「先祖をたどると有名な人に行きつく」「生まれつきどこにほくろがある」といった話とそんなに変わらない。
だが遺伝子は生物を特徴づける要素であるため、白人至上主義やネオナチ、移民差別やツチ・フツの対立など、人種差別を正当化する理由としてたやすく結びついてしまう。
生まれながらにして嫌いな相手と異なっている、そして自分の方が実は優れているという安心感は、日常生活で劣等感に苛まれがちな人々には非常に好まれる話題である。
だからこそナチスは政権を取ったし、昔の貴族は庶民と自分を同じ生き物と見做していなかったし、今でも白人至上主義や民族主義が活発だし、日本では血液型性格診断が大流行したのだ。
このままだとレイシズムなどにもつながっていきかねない上にスピリチュアルやオカルト以外の方向でも有名になりつつある、ちょっとヤバげな疑似科学である。


  • 補完代替療法
読んで字のごとく「通常の医療行為を置き換える療法」。
これだけ書いても意味不明だが、要は「まだ効果を実証するエビデンスが足りない伝統医療などで通常の医療行為を代替する」というものだと思っていい。
「鍼灸療法」や「漢方薬」など、「科学的な検証こそ為されていないが、長い経験の蓄積により医学的効果があること自体は証明されている」伝統医療は存在している。
副作用や薬品アレルギーの問題で通常の医療が受けられない人に、代替措置として施術されることもあるなどこれ自体は(きちんと扱えばだが)普通に有用である。

問題は「明らかに科学的におかしい理論が補完代替療法として横行している」点だ。
きちんとした医療を受ければ治癒するのに胡散臭い代替医療にばかり傾倒して結果死亡してしまうケースも後を断たない。
挙げ句効果がないことを分かった上で患者から高額な治療費を巻き上げる*63詐欺行為を働く悪徳医師まで存在し社会問題となっている。

有名どころで言えば「血液クレンジング療法」がこの「トンデモ代替医療」に該当する。
これは「採取した血にオゾンガスを混ぜ体に戻す」一種の自己輸血法とでも言うべき療法。
これを提唱する団体では「血液がサラサラになる」「HIV、肝炎、白血病、アレルギーに効果」「糖尿病の合併症、子供の注意欠陥多動性障害、抗がん剤治療の副作用に有効」など
トーシロでも詐欺だと分かるような胡散臭いフレーズが掲げられているが、信じられない事に芸能人などが実践し宣伝したため大炎上した。

施術前に採取した血液にオゾンを通すと赤黒い血液が真っ赤になり「血液が綺麗になった」などというパフォーマンスが行われることもあるが、これはオゾンにより血中に含まれている鉄分が酸化されただけ
むしろ赤黒い血液が本来の正常な血液なのだが、手っ取り早く嘘を信用させるためにこのようなインチキが行われている。
オゾンガスは酸素原子が3つ連なった酸素の同素体だが、フッ素並みの非常に強い酸化力を持った猛毒である。
いずれ酸素に分解され無毒化するとはいえ、体内に侵入すれば酸化作用で細胞を破壊し、人体に重篤な影響を及ぼす可能性すらある。


地球は岩で出来た球体だが、中は空洞で、中心には小さな太陽があり、生物が生息しているというもの。詳細は項目参照。


  • 地球平面説
地球は球体ではなく周りを氷の壁に囲まれた円盤というもの。極端な場合は、南極大陸や重力、宇宙空間は存在しないと付け加えられることもある。
アメリカを中心に信じている人が増えているという。
実際には球体でないと重力は発生せず、プレート運動も起こらないため、この説は当然誤りである。


  • 放射線ホルミシス
微量の放射線は人体に有益であるという理論。
放射線が活性酸素*64の分解を促進させるという言い分が用いられているが、客観的なデータが存在せず、研究をしていた電力中央研究所も「ホルミシスを低線量放射線の影響として一般化することは難しい」と声明。
そもそもこの「微量」「低線量」というものが問題で、提唱者のトーマス・ラッキーはこの値を年間100ミリシーベルトとしているが、これは国際放射線防護委員会が定める平常時の被爆限度の100倍である。そして被爆の方法が「廃炉した原発を教室や会議に利用する」…もはや何も言うまい。


  • 東洋医学の誤解
疑似科学ではなく、疑似科学の被害者
本来は「人体への負担の大きい薬や手術に頼る前に、人体の調子を普段から整え病気の際にも自己免疫を促すことで人体への負担を減らす」のを主眼にしているため、野菜(や漢方)を中心とした生活を推奨しているのだが、
そこへ健康ブームや動物愛護運動によるベジタリアン主義が結び付けられてしばし誤解を招いている。
そもそも病気になる前に病気にならない健康な体を作るための医学面で優れているのであって、
ガンのような難病に侵されても手術せずに克服できるわけではないし、肉食を否定しているわけではない。
特に肉食については本来の東洋医学でもむしろ適度な量摂取する、それができないなら別途でタンパク質を意識して確保するのを推奨しているくらいである。
実際この妄信を貫いた結果、手術が必要な難病発覚後も手術しないばかりか、野菜をより沢山取れば治ると踏んで放置してしまい手遅れになったケースも散見され問題がある。
これはアメリカなどでもかなり問題になってきている。医学をリードする西洋医学界において、東洋医学は非常に神秘的かつ伝統的なもののように喧伝しやすいため。
しかも悪いことに、かつての超先進国である中国と現在の技術大国である日本が取り入れている上に、アメリカはとにかく医療費が高くつくので「飯を工夫するだけで病気が治る」という俗説は飛びつきやすいのである。


疑似科学かどうか未知数な理論

  • 水素水
その商品展開の非科学さから一部で嘲笑と共に話題になった商品。
ただ、「水素が体に与える影響」についてはいまだ検証段階であり、実際のところ本当に健康にいい可能性は否定できない。
水素水にとって不幸だったのは、その効果がハッキリしない内からメーカーによる過剰な宣伝がされてしまい「インチキ健康食品」のイメージが世の中に広まってしまったことだろう。
今となっては「水素吸入施設に通ってます!」という意識高い系と、それを物笑いの種にする層とではっきりと対立状態を起こしている始末。
もはや新たに検証しなおすのも困難なのが現状であり、検証は次の世代に託すことになりそうだ。

一つハッキリしているのは、水素は水にほぼ溶けない事。
なので仮に水素が体にいい影響をもたらすとしても『水素水』では効果が極めて薄いぶっちゃけ普通の水と大して変わらないため「水素水がインチキ健康食品」という部分は合ってるようなもの。
牛乳を体内で発酵させた方がよっぽど水素が出るので、どうしても水素で健康になりたいと思っている人は牛乳を飲む方がマシだろう。

  • 化学物質過敏症
化学物質に長く晒され続けると、化学物質に対する耐性が低下してしまいわずかな化学物質に対しても過剰な反応を示してしまう……とされる病気。
ただし、医学的にその実在が確認されたことはない*65
決してありえない病気と言うわけではないが、問題なのはこの病気が「精神的な疾患」である可能性が否定できない点である。
特に実際に化学物質が含まれているかどうか、よりも患者本人が化学物質が含まれていると認識しているかの方が症状に強い影響を与えているケースが散見されるのだ。
例として「天然木材のアロマで症状が改善される」という患者の報告もあるが、天然の木材でもダイオキシンなどの有害な化学物質は発生しうる。
むしろ、「自分は化学物質過敏症なのだ」と認識してしまい過剰に化学物質から距離を置こうとすることが、余計に強迫的に症状を悪化させてしまっている可能性すらある。
精神科にかかれば改善されうる患者が、病名そのものによって不利益をもたらされているとすら指摘されている。


  • PATM
People (are) Allergic To Me」の略で、「他人にアレルギー症状を引き起こす病気」とされる。
ただしこちらも化学物質過敏症同様に医学的には認められていない。
やはり医学的にありえない病気というわけではなく、「PATM患者は皮膚から有害ガスを多く発生させている」とする報告もあるのだが、患者の症状の多くが統合失調症の「自臭症*66」と酷似していることが指摘されている。

PATM患者と自臭症患者を明確に区別する方法論は確立されておらず、これもやはり「自分はPATMなのだ」と思って精神科を避けてしまうことが症状の悪化を招く危険性がある。
また、何よりこの病気が疑わしいのは実際にPATMがあるなら、PATM患者に数十倍するアレルギー患者が出るはずなのに「自分の周囲にいる人がアレルギー症状を起こしている」とする患者は多くいるのに、「特定の人に近づくとアレルギーが起きる」とする実際にアレルギーに苦しんでいる患者がほとんどいないことだろう。


  • 地震予知
大地震をある程度の精度で予知できれば被害を大きく軽減できるのは間違いないため、多くの研究者が取り組んでいるテーマ。
地震の初期微動を検知することで数秒後の地震を予知し、緊急地震速報として流して咄嗟に身を守ることができるというレベルの地震予知であれば既に行われているが、
それ以上の予知と言えるものになると、現状は科学と呼べるか疑わしいレベルのものがほとんど。
Twitterでも「当たる地震予知」をしている有名なアカウントがあるが、その理論は学会では冷笑され、地震予知のトリックも暴かれ、それらを黙殺して信者を集めている……とやっていることが完全にカルト宗教と同じ。
そりゃ毎日「地震が起こる確率が高くなりました!」なんて言ってたらいつか起きるに決まってる。

例えば「地震の直前には地震雲という特殊な雲が発生する(地震雲)」というのは有名な話である。
これは「地震が起きる直前には地下深くで地盤が崩壊するためその電波が雲の形成に異常な作用をもたらす」と説明されることが大半。
原理的に考えてありえないと断言できるわけではないが、現状「どういう雲が地震雲なのか」という具体的な定義が全くなされていない
ごく普通のうろこ雲(空にびっしり浮かんでるとちょっと気持ち悪い)なこともあれば、俗にラピュタ雲と呼ばれる積乱雲の塊だったり、地面から立っているように見えるまっすぐな雲(単なる飛行機雲が角度の都合でそう見えるもの)、
ひどい場合は露骨に合成した写真や、うろこ雲ですらないごくごく普通の雲に地震雲論者や統合失調症の患者が「地震雲だ」と言っているだけのものが当たり前のようにヒットする。

というか、「地震雲」とされる写真の大半は、雲を見慣れた人からするとごく当たり前の雲だったりする*67
雲は毎日のようにその姿を変えているため、場合によっては不気味に見える雲も観察され得る。
そう言った雲がたまたま地震が起きる直前に撮影されたりすると地震雲と騒がれたりするわけだ。
実際地震雲の投稿サイトもあるが、大地震の直前に特に投稿数が増えたりすることはなかったりする。

また「地震の前に動物が騒ぐ」というのもよくある話だが、実際動物だって毎日同じ行動をとっているわけではないだろうし、大地震ならばその被害範囲で飼育されているペットの数も大きくなる。
「たまたま地震の直前にペットが騒いだから記憶に残った」という可能性も十分ありそうである。
他にも地震の直後に空を見上げたら奇妙な形の雲が浮かんでいたというのを曲解してしまった可能性なんかもあるだろう。
「受験の日に起きた印象的な出来事」「好きだった親類の葬儀の時に出た食事」みたいなものをまざまざと覚えているような感じ。

いずれにせよ、「地震の直前にこんな異常な現象が起きた!」という事例だけをどれだけ集めても、それは無駄である
大事なのは「異常な現象が起きて地震が起きた割合」と「異常な現象が起きたが地震が起きなかった割合」をキチンと比較し、前者の方が有意に高い、と証明することなのだ。
これは他の科学的検証の際にも共通する考え方なので覚えておくといいかもしれない。


  • 副腎疲労の項で言及した一部の健康法
副腎疲労と縁の深い用語では、「遅延型アレルギー」など学会が明確に存在を否定したものもあるが、全てのものが完全に否定されているわけではない*68
また、副腎疲労が科学的に解明された疾患ではないことは研究している専門家も重々承知している事が多く、自身が運営している医療施設のパンフレットにその旨をキチンと明記し、現代医学との折り合いを建設的に考えて模索していたり、患者の金銭的・肉体的な負担を憂いたり*69、自分の研究が周囲には理解されないのを承知のうえで、何とかして現代医学の発展に役立てたいと闘志を燃やしている殊勝な心掛けを持った研究者も少なくない。
副腎疲労にまつわる各種健康法は、精神病・慢性疲労・挙げ句は発達障害など、現代医学で綺麗に割り切れるような問題ではない疾患を何でもかんでも請け負わされているような側面があるが、裏を返せば、これらに何とか解決の糸口を見出したいという希望が収束しているということでもあり、研究が進んだ結果、本当に突破口となる可能性もないとは言い切れない。
21世紀の錬金術とでも呼べるものである。


  • 磁気治療器
エレキバンと言った方が分かりやすいかもしれない。
磁気の力でコリを取るという商品で、割と長年生産されている。
シール型のだけでなく、ネックレス型とかブレスレット型とか種類も豊富。
しかしこれ、明確なエビデンスがある訳では無い
コリというのがどういうものかという定義自体が無い上、実際貼って治ったからというって、コレの効果で治ったのか、自然治療したのかがわかりにくいというのも問題。
貼るタイプの場合、コリの部分に貼り付ける事により、プラシボもしくは指圧効果(これも疑似科学に近いけど)が発生して治る、なので別に貼るものは磁石でなくとも小石とかで良いという説も。
もっと強い磁気に頻繁に当たるMRI技師や、MRIに頻繁に入る治験者が「私は肩こりが酷い、故に磁気なんて効果が無い」という発言をすることもある。
ただ効果がある人も居るので「弱くても至近距離で長時間磁気を当てる」に何かしらの影響があるのではないだろうか…と思いたい。


貧乳に悩む人が一度は聞いたことがあるかもしれない話。実際に揉んで大きくなったという話はあるものの、科学的に有意と言える根拠や理論が不十分で疑似科学の疑いが強い。
ただ強い好意を抱く相手に揉まれると女性ホルモンの分泌が活性化され、結果として胸が大きくなるという話もあるため、有意な根拠や理論が整えば疑似科学から正規の科学へと昇格する…かもしれない。
類似ケースとして「精液を飲むとおっぱいが大きくなる、美肌にいい」という話もあるが、こちらも科学的根拠はない。

余談

ここでは医学や生物学等の自然科学ばかりを取り扱ったが、人文科学や社会科学にも疑似科学は存在する。
前者は歴史関係の偽書がこの範疇であるが、当Wikiの利用者には江戸しぐさが最もなじみ深いであろう。


追記・修正は疑似科学に騙されない方にお願いします。

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最終更新:2022年05月19日 10:26

*1 あくまでも「科学的手法を取らずに科学を自称している」存在に対して向けられる言葉であり、そもそも科学で扱えない範疇の事象に関してこう呼ぶのは不適切である。

*2 新型コロナウイルス発生当初、中国にて「日本新型冠状病毒肺炎疫情」という表現が出た当時、『「日本新型コロナウイルス肺炎」と読むに違いない!中国は日本を侮辱している!』と一般ユーザーのみならず、著名人や政治家までもが沸き立った。因みにこの単語は「日本に於ける新型コロナウイルス肺炎」という意味であり、google翻訳にかけてもほぼ同じ意味の訳が出てくる。

*3 仮説が実験や観測で覆される可能性。例えば特殊相対性理論なら、静止しているか光速未満の速度で運動しているものを光速以上に加速できたか、加速の痕跡を発見できれば誤りを発見できたことになる

*4 自分と似たような考えを持った人たちが集まる閉鎖的な空間でやり取りが繰り返され、自分の意見や思想が肯定されることで、自身の主張する意見や思想があたかも世の中における正解であるかのごとく勘違いしてしまう現象のことで、特にSNSのように本来開けているイメージのある場所で陥りやすいとされている。これ自体はどこでも起こりうる可能性があり、特にアニヲタwikiでもやたら項目の多いジャンルなどで普通に起こっている可能性はある。

*5 昔ならガンで死ぬ前に死んでいた人がガンにかかるまで生きるようになっている

*6 社会学などでは割と定番な他、アメリカでは「ポストモダニズム・ジェネレーター」というポストモダン論者にありがちな文章を自動生成するテキストサイトが存在する。

*7 このことを別の側面から見れば、疑似科学対策として「体制が表現の自由・学問の自由にタガをはめ、疑似科学の主張者を片っ端から投獄・処刑する」という手段は使えないということになる。

*8 高度な論文の場合、査読できる学者自体限られているため、この論文を査読できるのは世界中でも何人もいないので絞れてしまう、ということはある。

*9 投稿者の権威に惑わされないよう査読者に投稿者を伏せるケースさえある。

*10 言うまでもないが、「腐敗」と「発酵」は科学的には全く同じ現象であり、人にとって有用な否かで区別されているだけである。

*11 多数の患者を集めて投与するグループと投与しないグループを分け、更に元々の病気の進行度合や自然治癒などの影響を排除し、それに協力してくれる多数の信頼できる医者を集め…なんてことができるくらいなら最初から厚労省の承認を取りに行くだろう。

*12 いわゆる依存症であり、知能が低下すると謳う疑似科学のゲーム脳とは全く別

*13 例えば当時多かった妊婦の死亡原因である「産褥熱」はまったく消毒しない医者による医療行為によるものである。「メスを研ぐのに靴の裏を使っていた」なんて話も残っているほど。

*14 逆に言うと、ナイチンゲールの活躍した19世紀末の時点で、医師でなく看護師であるナイチンゲールからしても既にただの砂糖玉扱いされていたという事でもあるが。

*15 ナイチンゲールのこうした文章を「ナイチンゲールがホメオパシーを肯定している!」と言う理屈に使う者もいる。実際のナイチンゲールは周囲にも上層部と言わず協力者と言わず正論を叩きつけ毒を吐きまくる女傑であり、この文章もかなりの皮肉である。

*16 マラリアの治療薬で、大量投与するとマラリアに似た症状が出る

*17 どの薬にどの成分が入っているのかテスト作成者のみ知っており、患者にも、投与・分析する医師にも伏せられる。そのためテスト参加者の思い込み・バイアスの影響が極力排除される

*18 精神的な思い込みが身体に影響を与える現象。薬を飲むことで治ると信じることは不眠や痛みの緩和などに対してはある程度有効ではある。また、単なる自然治癒を薬効によると思い込む場合もある。

*19 精神的な安定のために偽薬を与えると言う行為が医療倫理に反するかどうかは見解が分かれている。効果があるならよい、という見解も多い一方、患者は自分に行われている医療を知る権利がある、という「インフォームド・コンセント」の理念に反するという指摘も強く、未だ医療の世界でも考えは固まっていない。

*20 ただし現在は「ほかの医療と組み合わせて初めて効果が実証できる」という説明をしている団体もあり注意が必要。本当に標準医療の効果を増幅させたり欠けているところをプラシーボ効果以外で補えるような代物なら、医学界でも歓迎されるだろうが、今の所そうした評価はない。

*21 「山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故」ホメオパシー医学協会に所属している助産師が担当医師らに気づかれないように母子手帳に「ビタミンK投与」と書きながらも実際は「ビタミンKの「記憶」「波動」「オーラ」、ビタミンKと同程度の効果を持つ」と主張する砂糖を舐めさせていたことにより起こった新生児の死亡事件。

*22 この件は民事裁判となり、結果は公表されていないものの和解となった。しかし助産師の所属する団体の親玉が被害者遺族を中傷するなど後を引いている

*23 商品として並ぶ場合には防腐用のアルコール類なども含まれている。

*24 勿論いい匂いならリラックス効果はあるが、体に取り入れてもなんの意味もない。

*25 そして理論を歪めたとされた農業技師たちはもちろんシベリア送りになった。おそロシア。

*26 「あなたは何か悩みを抱えていますね?」「真面目でしっかり者だけど実は寂しがり屋じゃないですか?」など「何にでも当てはまる様な例を挙げただけで真理を言い当てた様に見える」事。血液型占い含めインチキめいた占いの正体はこれとされる。

*27 バーナム効果の逆で「男なのにこれも出来ないのか?」「女にこれが出来るわけがない」など「あなたはこうであると強く断定する(ラベルを貼る)ことでそのように行動してしまう、あるいはそう行動しているように見える」事。これも占いの正体とされる。

*28 主に統計的な意味。「母集団の偏り」などの顕著な例として、統計学や社会学、疑似科学批判の文脈で頻繁に挙げられている。

*29 正しくは「一部の血液型の比率が多数派に比して有意に少ない程度には偏っている」こと。日本の場合はA型4割、O型3割に対してB型2割、AB型1割。多くの人間が信じるようなことを言えば流行として成立するため、この場合ならAB型やB型を否定的にすることでA型やO型の人々、つまり7割の人から支持を集められる。

*30 有機ゲルマニウムの場合。無機ゲルマニウムの場合は影響がないどころか有毒ですらある。

*31 新型コロナウイルスのワクチンが普及し始めた当初は「打った直後に死亡し、関係者が金一封と「口外しないでくれ」と言ってきた。だからワクチンは危険だ」…なんていうものがある。接種会場には看護師らが不測の事態にすぐに対応できるように待機している。

*32 2022年現在日本国内で出回っている物はファイザー社、モデルナ社のワクチンが該当。

*33 デマ検証系のアカウントも、反ワクチンの話題は簡単に裏を取って否定できるので非常に好む傾向がある。たとえばロシアのウクライナ侵攻などはデマの検証が非常に難しい上に政治がらみの話になってしまい、藪をつついて蛇を出しかねないのだ。

*34 一方一般相対性理論はあまりに難解なためか滅多に攻撃されない

*35 「相対性理論はまちがっている」の略

*36 中には学校で生徒に向けてこのトンデモを展開する教師なんかもいたらしい。ただし大体相対性理論とニュートン力学をごっちゃにした独自理論を展開するのですぐに分かる。

*37 「アインシュタインの予言」というインターネット上で流布している怪文書のこと。詳しくは偽書の項目でどうぞ。

*38 『種の起源』に思いっきり答えが書いてあるのに、「書かれていない」と批判している類のもの。

*39 有機物が微生物によって発酵・分解されたもので、堆肥と肥料の境目のような存在

*40 そもそも詳細が不明確な細菌を放り込むことが果たして本当に水質改善をもたらすのかは限りなく怪しい

*41 EM菌自体はかなり真面目に研究されているようだが、ここにこの手のカルト系が噛んでしまったようである。

*42 もちろん劇的な効果は期待できないだろうが

*43 これは批判が殺到したことで教科書からは取り下げられているようである。

*44 目盛りの無い定規のこと

*45 定木とコンパスで解ける問題は二次方程式までだが、三等分と倍積には三次方程式が必要。また円積については整数次の代数方程式(有理数係数の方程式)で解けない。というか任意の五次以上の方程式を代数的に(四則演算+n乗根の作業)解く方法についても存在しないと証明されている

*46 実際そういう傾向があったとしても、食べ物そのものよりも「少年時代からジャンクフードばかり食べているような荒んだ家庭環境」の影響の方が遥かに大きいだろう

*47 これを人工的に精製したものが、アトピーの治療でお馴染みの「ステロイド」である

*48 最悪の場合は死に至る事だってある

*49 実は全国区レベルの大病院でも取り扱っていたりする

*50 血糖値の急激な乱高下を抑えるための健康法であるが、副腎疲労の場合は悪質な腸内細菌の増殖を防ぐ目的で用いられる。

*51 特定の栄養素を意図的に過剰摂取することによって裏ワザ的な作用を発生させることが出来るという「メガビタミン主義」が発展・拡大して生まれたもので、オーソモレキュラーとも呼ぶ。

*52 通常のアレルギーとは違い、水面下でジワジワと発生していくとされる食物アレルギー反応で、主に内臓に炎症を起こして働きを低下させるといわれる。なお、この症状について、日本アレルギー学会は完全に否定する立場を取っている。

*53 主に遅延型アレルギーの結果発症するとされるもので、ダメージを受けた腸に微細な穴が開き、感染症に非常に弱くなるとされる。

*54 いわゆるジャンクフードを食べてはいけないばかりか、「果物も穀物も芋類も食べてはいけない」と主張する専門家もいる。しかし、こんな症状に陥っている人は胃腸が弱っている事が多く、「タンパク質中心の食生活に耐えられない」というジレンマがある

*55 特に腸内カンジダ菌の根絶が厄介。しかも、遅延型アレルギーの結果によっては酵母がアレルギーだったりして発酵食品全般の摂取を禁じられることもある

*56 もっとも、プロバイオティクスのサプリメント等は、何が誰に効くのかは個人差が非常に激しく断定が出来ないことは真っ当な専門家の間でも共通の見解である。

*57 やはりと云うべきか、当該の医師は副腎疲労の外来を受け付けている。もちろん、診察は完全自己負担である。

*58 もちろん保険も適応される

*59 ただし、犯罪と親和的な生物的要因があることは確かである。人を殴って大怪我をさせるなら、ある程度体格がたくましくなければ力が出せない為(筋肉が付きやすい)男性が加害者になりやすいだろうし、脳機能の低さが(思考を制御できず)犯罪につながってしまう例があることは認められている。

*60 この辺は「今日はカレー食ってもいいのか!?」で有名な漫画「狂四郎2030」あたりでもテーマになっているので、アニヲタ的には読んでみるといいだろう。

*61 一昔前に「日本は農耕民族、西洋人は狩猟民族」というところに論拠を求めた性格診断があったが、それに似ている。そちらも現在は完全に否定されている。

*62 ちゃんと要出典がつけられている。

*63 医療費が健康保険で一部公費負担になる関係で公定価格が決められている通常医療に対し、補完代替療法は健康保険の利かない自由診療のためその気になれば施術側がどんなぼったくり価格でも付けられてしまうのだ。

*64 DNAを損傷させる化合物の総称。ガンの原因の1つ

*65 特定の物質にアレルギー疾患が起きる場合はある

*66 自分が臭いのではないか?と思ってしまい周囲の人の些細な反応まで自分の臭いに対する反応と思い込んでしまう病気

*67 雲の研究者である荒木健太郎氏がTwitterで頻繁に啓蒙している。

*68 だからこそ、副腎疲労に翻弄される患者の負担が増え、事態がややこしくなっているともいえる。

*69 中には「諦めてください(意訳)」の一言でアッサリ突き放すような冷血漢もいる