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最新版ゲゲゲの鬼太郎

登録日:2017/11/30 Thu 19:51:52
更新日:2026/05/28 Thu 17:18:22
所要時間:約 6 分で読めます





『最新版ゲゲゲの鬼太郎』とは、アニメ第3期放送期間中に『コミックボンボン』で連載されていた、『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズの一作品である。
ただし、水木しげる本人はほとんど関与していない。


水木しげるはほとんど関与していない。


大事なことなので2回(ry


【概要】

同時期、水木しげるが古巣『少年マガジン』で『新編ゲゲゲの鬼太郎』を連載していたこともあり、本作は作画を当時の水木のアシスタントだった森野達弥、脚本を東映トランスフォーマー(ヘッドマスターズマスターフォースビクトリー、ゾーン、バトルスターズ)に参加していたことでも知られる特撮番組評論家の金田益実が担当している*1
そのため本作は、厳密には「水木しげる作品」というより「水木プロ作品」として扱われており、水木しげるは名義貸しに近い立場での参加に留まっている。

そんな本作だが、当時発売された単行本全4巻(終盤エピソードは未収録)を最後に、一度も復刊されていない

KADOKAWAが水木作品を大量に文庫復刊していた時期にも、同じボンボン連載の『鬼太郎国盗り物語*2は全話収録で刊行された一方、本作は完全にスルー。
さらに講談社『水木しげる漫画大全集』でも、本作については一切触れられていない(当時の児童誌グラビア記事の再録のみ)。

公式には、
「水木プロ作品であり、水木の作品とも森野の作品とも扱いづらい」
という事情が理由とされている。

しかしファンの間では、

丸投げされたのをいいことに好き放題やりすぎて、
水木しげるの逆鱗に触れたのでは?

という噂も根強い*3

……実際、本作には「水木サンが怒りそう」と言われても仕方ない要素がかなり多い。
  • 鬼太郎がやたらヒーロー然としている*4
  • 少年マガジン版の続編という体裁で、原作(オリジン)に独自要素を大量追加している*5
  • 地獄童子まわりの設定全般
とはいえ、アニメ3期直撃世代にとっては「最初に触れた漫画版鬼太郎」が本作だった、という人も少なくないはず。

だからこそ、完全版復刊を望む声はいまだ根強いのである。

【主な登場人物】

ご存知、幽霊族最後の生き残り
アニメ3期準拠の作風ということもあり、原作以上にヒロイックな描写が強調されている。髪色も原作の灰色ではなく茶色(スクリーントーン処理)になっており、見開きで必殺技を放ったり、特訓でパワーアップしたり、果ては車に乗ったりもする*6

本作は貸本版『墓場鬼太郎』ないし『鬼太郎夜話』から少年マガジン版へ続く世界観の直接的な続編という扱いになっている。
そのため、過去にやらかした喫煙や横領まで蒸し返され、精神的に追い込まれる場面も存在する。

『墓場の鬼太郎』*7で原始時代へ追放された、あのぬらりひょん本人。
「おばけは死なない」の歌詞そのままに億単位の年月を生き延び、その過程で忠臣蔵、太平洋戦争、戦後の混乱、高度経済成長に伴う人心の荒廃など、様々な理由で発生した人間の負のエネルギーを吸収。
かつての小物然とした姿から一転、小ビル級の巨体と、閻魔大王に匹敵するほどの妖力を持つ大妖怪へと変貌した。

日本各地の悪党妖怪を従え、「ぬらり帝国」を築き上げて日本征服を目論む。

なお服装は、原作の背広姿でもアニメの和服姿でもなく、勲章付きの軍服姿。
このデザインは、同時期の『月曜ドラマランド』版にも流用されている。

ちなみに一緒に古代流しになった蛇骨婆がどうなったのかは不明。
気にしてはいけない。

ぬらりひょんの襲撃によって各地へ分断され、長らく鬼太郎と合流できなくなる。
ぬりかべ、一反木綿、シーサー、猫娘だけは鬼太郎の側に残るものの、活躍は控えめ。

目玉おやじや砂かけ婆が不在なのをいいことに、案の定ぬらりひょん側へ寝返る。
鬼太郎の社会的信用を失墜させるため暗躍する一方、「ゲゲゲの森」の所在地だけは最後まで教えなかった。

……もっとも、それは友情ゆえではない。
戦争を長引かせて双方から利益を得ようという、実にねずみ男らしい打算からである。

  • 夜行さん
百鬼夜行衆を率いる実力者。
当初はぬらりひょん配下だったが、以前から冷遇されていたこともあり、後に鬼太郎側へ寝返る。

アニメ版では発明家キャラとして知られるが、本作ではその設定は存在せず、鬼太郎の特訓相手まで務める武闘派として描かれている。

  • 天童ユメコっぽい少女
アニメ3期のヒロイン枠。
3期直撃世代にとっては紛れもないメインヒロインなのだが、本作ではほぼ顔見せ程度の出演に留まる。
アニメでは小学生だったが、本作では中学生となっており、後述する山田健太のクラスメートとして登場。
ちなみに水木しげる本人も、『続 妖怪画談』収録「妖怪の森」など、ごく少数ながらユメコのイラストを描いている。

  • 山田健太
水木ファンには説明不要の「眼鏡出っ歯」。本作では中学生となっており、いじめを苦に自殺を図ったところを鬼太郎に助けられる。
その事件をきっかけに妖怪の存在を知り、鬼太郎と交流を持つようになる。

  • 鳥目刑事
かつて鬼太郎を冤罪で逮捕した「天狗ポリス」所属の特別捜査官。
額の第三の目を使った幻術を得意とし、ぬらりひょん率いる悪党妖怪たちを取り締まるため鬼太郎と協力関係を結ぶ。

その外見や設定から、後年のアニメ5期オリキャラ「黒鴉」「蒼坊主」の原型ではないかという説もある。

  • 地獄童子
地獄で獄卒として働く少年。
西洋妖怪への対抗策を探るため地獄を訪れた鬼太郎と衝突するが、その騒動を経て意気投合し、以後は鬼太郎の友人兼ライバル的存在となる。
高い戦闘能力を持ち、首に巻いたマフラーを武器として使用する。だからと言って流派東方不敗波紋も使えないし男塾の生徒でもないが。

当初は単なる亡者として描かれていたが、突如として髪の毛針を使用したことで、鬼太郎と同じ第一期人類の血を引く存在「霊類」であることが示唆される*8
「幽霊族最後の生き残り」という鬼太郎の根幹設定に関わる重大要素であり、本作を語る上で避けて通れない存在でもある*9

水木しげるが『新編』連載終了後に執筆した『ゲゲゲの鬼太郎 地獄編』がアニメ化された際、満を持してアニメにも登場。CVは堀川亮トーマスとヘンリー
その後も高い人気を維持し、鬼太郎版ガメラ4とも言うべき伝説の二次創作アニメ『女媧』でも鬼太郎・猫娘と並ぶ主役級として扱われた。

アニメ5期で猫娘のデザイン変更が話題になった際には「萌え路線化」を批判する声もあったが、地獄童子と鬼太郎の薄い本が出回っていた時代を知るファンからすると、今さら感も否めなかった*10

アニメ3期をベースにしたSFC用ソフト『ゲゲゲの鬼太郎 復活!天魔大王』ではプレイアブルキャラクターとして登場。
ただし隠しエンディングでは、本作オリジナルの宇宙妖怪に肉体を乗っ取られるという妙に後味の悪い退場を迎えている。
近年ではスマホゲーム『ゆる~いゲゲゲの鬼太郎 妖怪ドタバタ大戦争』にも参戦、「令和3年の奇跡」と童子ファンを歓喜させた。

なお、地獄童子の実質的な生みの親である森野達弥は、水木プロ独立時に「のれん分け」のような形で地獄童子関連の権利を引き継いだとされる。
後年には再び金田益実と組み、地獄童子を主人公にした漫画を執筆している。

一方の金田本人は、『ゲゲゲの鬼太郎 解体新書』収録の回顧録で
美形の母も、美少年ライバルも実際の水木漫画にはタブーである。
確立した世界に大きな変化が生じるのは、アニメスペシャルだけで良いだろう。
と、やや自虐的に書き記している*11*12

……そんな人気キャラである地獄童子だが、本作では『墓場鬼太郎』「水神」回のアレンジエピソードにて、コーヒーを飲んだ結果、身体が溶けて死亡するという衝撃的な最期を迎える。
後に最終回では、鬼太郎の母・岩子や先祖たちの暮らす「霊類の世界」にいることが判明した。
森野がファンクラブの会報誌で語ったところによれば
「3作目の鬼太郎は優等生になり、原作が持っていた暗さや毒が無くなってしまいましたね。
そういったものをかわりに持てるキャラクターを金田先生と一緒に作り上げました」

「おかげさまで人気者になりましたが、本来脇役だったのでストーリーでの扱いが難しくなり、
「じゃあ、溶かしちゃえ!」ということで…」
という身も蓋もない判断があったそうな。

  • 幽子
地獄童子の恋人。十二使徒に同じ名前の少女がいるが一切関係はない*13
『墓場鬼太郎』の寝子のエピソードをベースにした回で登場し、ねずみ男プロデュースのもと歌手デビューを果たす。
なお、指導役は吸血鬼エリート、さら小僧、ぬっぺっぽうという謎のドリームチーム。
当然のように悲劇的な結末を迎える。

【エピソード一覧】

1巻

  • 「大妖怪がしゃどくろ復活の巻」
いじめを苦に自殺を図った中学生・山田健太を救った鬼太郎は、彼が富士山旅行以来クラスで孤立していることを知る。
原因は、青木ヶ原樹海に眠る死者たちの怨念が妖怪化した「がしゃどくろ」。
樹海で立小便をした健太を呪っていたのだった。

本作のがしゃどくろは、後頭部が異様に長く伸びた独特のデザインが特徴。
3期「妖花の森のがしゃどくろ」に登場する個体に流用される。

近代的な街、日本文化の中心、そして世界が注目する都市、東京。
しかし、東京ほど人々の心が汚れた街はない。
それに目を付けた謎の「妖怪総大将」は、再び本所七不思議の呪いをよみがえらせ、邪魔な鬼太郎を倒そうと画策する。

3期最終回「鬼太郎ファミリーは永遠に」の原作エピソード。

  • 「妖怪コンビ!わいらとサガリの巻」
東京の裏側では、すでに妖怪同士の戦争が始まっていた。
妖怪総大将の刺客・わいらとサガリは、鬼太郎側妖怪を次々襲撃。
さらにねずみ男を脅し、ゲゲゲの森へ通じる異次元通路「ゲゲゲホール」*14の在り処を聞き出そうとするが……。

  • 「電木妖怪さかばしらの巻」
妖怪総大将の配下・逆柱は、とある村を占拠。
人間を食べ、そのコピー人間を吐き出すことで日本侵略を開始する。
さらに鬼太郎までも取り込まれ、コピー妖怪エレキタロウ+/-が生まれてしまった。

逆柱は原作にも登場する妖怪だが、そちらについては一切触れられない。

  • 「出現!妖怪総大将の巻」
クリスマスを迎えた人間界。
平和な日々も束の間、日本各地で怪事件が同時多発する。
鬼太郎が東京で暴れる「カニ料理屋の看板」と戦っていたその時、ついに妖怪総大将がその姿を現す!

この回では、健太に鬼太郎誕生の秘密が語られる場面も存在する*15

2巻

  • 「百鬼夜行軍団登場!の巻」
ぬらりひょんの放った念力爆弾により、鬼太郎ファミリーは日本各地へ散り散りにされてしまう。
仲間集めに奔走する鬼太郎に対し、ぬらりひょんは日本妖怪の3分の2を支配下に置き、圧倒的戦力で攻勢を開始。

ここで夜行さんが初登場する。ついでにゲゲゲマシーンも初登場。

  • 「霊界大決戦!の巻」
夜行さんを仲間に加えた鬼太郎は、行方不明になった仲間たちを探し始める。
その頃人間界では、サラリーマン二人が、幼少期に失踪した旧友と再会していた。

いわゆる「隠れ里」系エピソードの変化球。

  • 「地獄の妖怪獣出現!の巻」
南米妖怪ヨナルデパズトーリが巨大怪獣化し、東京を破壊し始めた。
原因は、ぬらり帝国の暗躍によって日本地獄の死者が急増したこと。
労働力不足に悩む閻魔大王がヨナルデパズトーリを呼び寄せたところ、ぬらりひょんに利用されてしまったのである。
戦いの中で鬼太郎は、「仲間や先祖の力に頼りすぎだ」と夜行さんに指摘され、特訓を開始する。

だいぶ少年バトル漫画寄りである。

  • 「恐怖の地獄童子の巻」
ぬらりひょんは西洋妖怪ブイイを利用し、不良少年たちを操って校内暴力といじめ自殺を誘発する。
対抗策を探るため地獄へ向かった鬼太郎は、獄卒の少年・地獄童子と遭遇する。

記念すべき?地獄童子初登場回。

  • 「再生妖怪軍団の反撃!の巻」
秘宝・妖怪香炉──この中には、何らかの理由で一時活動をやめた妖怪たちの魂の安息場所である「妖怪摩天楼」が隠されている。
それをねずみ男が掘り起こした結果、かつて鬼太郎に倒された妖怪たちが次々復活。
鬼太郎への逆襲に燃える再生妖怪軍団が動き出す。
ぬらりひょんまで便乗して戦力拡充を狙い始め、事態はさらに混沌としていく。

3期「妖怪香炉 悪夢の軍団」の原作エピソード。

  • 「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪決戦史」
アニメ3期第1話〜46話および劇場版3作品を、戸田恵子声の鬼太郎視点で振り返るダイジェスト企画。
作画は各話の原作となったエピソードの流用が中心。
鬼太郎のテンションが妙に軽く、例えば第2話は
鏡じじいは、人間が古いものを大切にしなくなったので、
おこってあらわれた。鏡の中にとじこめられたり、
たくさんの鏡じじいと戦ったり、苦しめられたよ。
この事件がきっかけで、ユメコちゃんと知りあえたんだから、
鏡じじいには感謝しなくちゃね!
……それでいいのか正義の味方。

3巻

  • 「ぬらりひょん、最後の戦いの巻」
ぬらりひょんは、ねずみ男と砂男を利用して鬼太郎を社会的に孤立させようと画策する。
だが鬼太郎も、「人間と妖怪の共存」という理想を掲げて最後の決戦へ挑む。
鬼太郎の空いた左目を通して出る力によって、戦いの舞台は「幽霊族の聖地」*16へ移行。
ついに両者の一騎打ちが始まる。

この話を最後に、ぬらりひょんが一時退場。
最後の1コマで行方不明だった目玉おやじが唐突に帰還する。本当に唐突である。

  • 「妖怪警察vs極悪しょうけらの巻」
妖怪犯罪者を収監する「妖怪刑務所」から、妖怪・しょうけらが脱獄。
天狗ポリスと鬼太郎は共同戦線を張ることになる。

「妖怪大裁判」の後日談的エピソードでもあり、「もし鬼太郎が本当に溶解刑を受けていたら」という嫌すぎる想像もできてしまう。

  • 「霊界ビデオの逆襲!の巻」
近年流行りのレンタルビデオ屋で借りたビデオを見た人間の魂が抜かれる怪事件が発生。
犯人は、以前鬼太郎に倒された夜叉の姪・夜叉姫と夜叉一族
ビデオテープに魂を封印する「霊界ビデオ作戦」で復讐を企てていた。

「夜叉」の続編。
夜叉一族は動物と合体してそのパワーを数十倍に強化する能力を持ち、夜叉姫以外の4体はゾウ夜叉、トラ夜叉、タカ夜叉、クマ夜叉として襲い掛かる。
……元ネタは間違いなく劇場版スーパー1だろう。金田益実の趣味か?

  • 「無限増殖妖怪、どくろの怪の巻」
デパート建設予定地で怪事件が続発。
原因は、増殖能力を持つ妖怪「どくろの怪」だった。
鬼太郎は得意のちゃんちゃんこ包みで撃退に成功するが……。

どくろの怪は「目競」という名前で知られる。
そのままアニメに流用できそうな話だが、現在まで原作として使われたことはない。

  • 「妖怪以津真天、悪魔の契約の巻」
いじめられっ子・林田は、「クラスメートを皆殺しにしてほしい」と妖怪・以津真天へ願ってしまう。
だが実際に惨劇が始まると、今度は自分が怖くなり鬼太郎へ泣きつくことに。

本作らしい後味の悪さが際立つエピソード。ラストでは地獄童子が再登場する。

4巻

  • 「暴走!妖怪超特急の巻」
霊界テレビのクイズ番組で「地獄旅行」を当てた帰りのねずみ男とシーサー、さらに休暇中の地獄童子を乗せた現世行き妖怪超特急が、突如レールジャックされてしまう。
犯人は、地獄鬼四天王。
獄卒としての誇りを賭け、単身立ち向かう地獄童子。
一方、鬼太郎と元四天王の夜行さんも独自に動き始める。

この回から地獄童子のデザインが変更。
さらに夜行さんの過去も明かされるなど、終盤への転換点となるエピソードである。

なお、アニメ3期第15話に登場した「妖怪手袋」も登場する。

  • 「恐怖の妖奇病の巻」
前回の戦いで妖怪超特急から放り出され、人間界へ流れ着いた地獄童子。
彼はとある町医者に助けられる。
その頃東京では、「妖奇病」──通称「子供版エイズ」と呼ばれる奇病が流行していた。
事件の背後にいたのは妖怪・疱瘡婆。
鬼太郎は病の正体を暴くため奔走する。

鬼太郎(あるいは地獄童子)が輸血によって一命を取り留める展開が、後のアニメ3期地獄編「鬼太郎VS地獄童子」「二大妖怪の罠」に流用された。

時代性が妙に生々しいエピソードでもある。

  • 「世紀の妖怪アイドル、幽子の巻」
ねずみ男のプロデュースにより、亡者の少女・幽子が歌手デビューすることになった。
地獄から脱走した身である地獄童子も、しばらくゲゲゲの森へ身を隠しながら幽子と交流を深めていく。
しかし、そんな平穏が長く続くはずもなく……。

なお、幽子の歌手修行を担当するのは、
  1. 吸血鬼エリート
  2. さら小僧
  3. ぬっぺっぽう
という謎すぎる面子。どういう人選なのかは金田益実のみぞ知る。

  • 「妖怪水ころがしの巻」
地獄童子抹殺のため送り込まれた妖怪・水ころがし。
奴は水道水へ紛れ込み、東京中へ浸食を開始する。
そしてついに地獄童子は、水によって身体を溶かされ死亡。
目的を果たした後も、水ころがしはなお暴走を続け、東京そのものを恐怖へ陥れていく。

地獄童子退場回であり、本作でも屈指の衝撃回。
水ころがしのデザインは実写版『悪魔くん』に出てくる「水妖怪」の流用。

  • 「地獄の妖怪なべの巻」
無実の罪を着せられた鬼太郎とシーサーは、立ち寄ったラーメン屋を追い出され、山寺で一夜を過ごすことになる。
そこには、無銭飲食の末に逃げ込んできたねずみ男の姿もあった。
だが、その山は妖怪・蟹坊主の縄張り。
鬼太郎たちは、蟹坊主の「妖怪なべ」の具材として捕らえられてしまう。

アニメ3期のエンディングの開始1秒目で出てくる蟹坊主が登場。
シーサーが「こいつよく見る顔ですね」メタ発言をかます。

未単行本化

金田益実によれば、単行本されなかった理由は単純に「ページ数が単行本1冊分に足りなかったから」とのこと。
後年にも、同様の事情で未収録となった作品が「封印作品」扱いされるケースは存在しており、どうやら当時のボンボンKCではそこまで珍しい話ではなかったらしい。

そのため、以下のサブタイトルは正式名称ではなく、後年に資料系同人誌の編者らが便宜上付けた仮題である。
もっとも、『少年マガジン/オリジナル版 ゲゲゲの鬼太郎』など一部資料でも既に使用されているため、本項でもそれに倣う。

  • 「地獄の妖怪狩りツアーの巻」
寂れた山奥の旅館を立て直すため、ねずみ男は「妖怪サバイバルツアー」なる企画を立案。
しかし実態は、人間たちが妖怪を面白半分に虐待する悪趣味極まりないイベントだった。
見かねた鬼太郎は、妖怪たちと共に悪人どもへの反撃を開始する。

3期「謎の妖怪狩りツアー」の原作エピソード。

  • 「武器をうばわれた鬼太郎の巻」
見上げ入道・見越し入道の「入道ブラザーズ」によって、鬼太郎の武器が次々奪われてしまった。
髪の毛針、霊毛ちゃんちゃんこ、リモコン下駄を失い、体内電気や指鉄砲まで弱体化。
絶体絶命の鬼太郎の前に現れたのは、あの迦楼羅様だった。
迦楼羅様によれば、太古の昔、人類の繁栄によって海へ追いやられた霊類たちは、ある武具を遺していたという。

そして登場するのが、本作屈指の問題設定「霊類のヨロイ」である。
  1. 兜になる先祖の頭蓋骨
  2. 鍔に隠れた敵を見通すスコープが付いているのだが正面からだといかがわしい形にしか見えない
  3. 盾(特に装飾があるわけでもない、ごく普通の盾)
から成る。黄金聖衣とかロココ様みたいなド派手でヒーローチックなデザインじゃないだけマシかもしれないが、「鬼太郎が武装強化される」という時点でかなり異質。
「これで水木サンが怒った説」が囁かれるのも、ある意味では納得である。

  • 「ぬらりひょんの逆襲の巻」
死んだはずのぬらりひょんが、またしても復活。悪行妖怪たちを再結集し、人間界への総攻撃を開始する。
そんな中、人間の産業廃棄物を吸収した妖怪・黒坊主が変異し、黒雲主(くろくもぬし)という異形の怪物へと変貌。鬼太郎たちに襲い掛かる。

最終章前編にあたるエピソード。
黒雲主はFC用ソフト『ゲゲゲの鬼太郎2』にも登場したが、それ以降の作品で顧みられたことは一切ない。

  • 「大決戦!鬼太郎よ永遠にの巻」
ぬらりひょんと黒雲主が三原山火口へ落下してから5年後。
地殻変動によって大島が裂け、火口から黒いアメーバ状の怪物が出現する。
その正体は、人間も妖怪も自然も区別なく喰らい尽くす怪物「食妖鬼」と化したぬらりひょんだった。
もはや通常の妖怪ですらない存在となった食妖鬼に対し、自衛隊も妖怪もまるで歯が立たない。
妖気を求める食妖鬼は、ゲゲゲの森へ向かって進撃を続ける。

敗北し魂だけとなった鬼太郎は、「霊類の世界」で母・岩子、そして地獄童子と再会。
さらに鬼太郎の祖先たちを束ねる「古代霊類の王」*17は言う。
「これがやつとの最後の戦いとなろう。今こそ霊類の力を一つにして戦うのだ、万類平和のために!」

最終回だけあって、森野達弥の作画テンションも極限まで上昇。
食妖鬼は異様なまでに描き込まれ、歴代鬼太郎漫画でも屈指のグロテスクさを誇る。
一方で、砂かけ婆と子なき爺は扉絵にしか登場せず、本編には一切絡まない。
あと霊類のヨロイも一切出ません。やはり怒られたのだろうか……?



追記・修正は本作の完全版が出てからお願いします。

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最終更新:2026年05月28日 17:18

*1 両名は同時期の『最新版(ボンボン版)悪魔くん』にも参加している。

*2 初代ポケモンを堂々とパクったことで知られるアニメ4期版ゲーム『妖怪創造主現る!』の元ネタになった作品。こちらはちゃんと水木しげるが描いている。

*3 のちに京極夏彦が語ったところによると、水木は晩年まで本作の原稿を入れた封筒に赤い×を付けてしまい込んでいたという。また、松本しげのぶ版『鬼太郎』単行本1巻巻末の対談でも「水木さんの世界観の中で勝手に鬼太郎を変えちゃったりするのは、これは絶対にNGなんです」と発言しており、本作を知るファンにとってはこの説の信憑性を高める一因になってしまっている。

*4 水木は生前のインタビューにて「ヒーローは嫌い」という旨の発言を何度もしており、作品にも反映させていた。角川文庫『ねずみ男とゲゲゲの鬼太郎』巻末の荒俣宏との対談、短編『海坊主先生』、『鬼太郎の世界お化け旅行』『鬼太郎霊団』などでその片鱗に触れられる。

*5 後述するぬらりひょん関連の他にも、鬼太郎が以前に倒した妖怪の親族が復讐を挑んでくる話などがある。また、『妖奇伝・幽霊一家/鬼太郎の誕生』では「急速に増えた人類に圧迫され地下に追いやられた」とだけ説明されていた幽霊族の滅亡の主因についても「自然を守るため人類と戦い敗れた」と明確に設定されており、これに水木が難色を示した可能性は大いに考えられる。

*6 車については完全な本作オリジナルというわけでもなく、児童誌のグラビア記事に描かれたイラストが元ネタ。アニメ3期では「妖怪戦車」、4期では「妖怪自動車」としてたびたび登場したアレである。ただし、本作では「ゲゲゲマシーン」といういかにもな名前。

*7 『ゲゲゲの鬼太郎』に改題する前のタイトル。『墓場鬼太郎』とは微妙に違うので注意。

*8 本作では、「幽霊族」というのは人間が彼らを見て勝手に付けた名前という設定。

*9 実は鬼太郎には「雪姫」という妹も存在するのだが、現在は実質的に黒歴史化している。

*10 余談だが、山田秀一(3期大海獣)、一刻堂(4期)、蒼坊主(5期)などもそちら方面の人気が高い。そして2023年には『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』で再び鬼太郎が腐女子から大きな注目を浴びることに……かくも歴史は繰り返す。

*11 アニメ3・4期に登場する鬼太郎の母は、原作の「ざんばら髪で、片目を患った」姿ではない(当然それぞれ別人が起こしたデザインだが、どちらにしろ原作の面影はゼロ)。原作そのままのデザインでは放送コードに抵触するというのも大きいだろう。

*12 この回顧録では水木プロに寄贈された、もしくは金田の個人所有と思しき前述の女性向け同人誌の現物写真が小さく載っている。これがトラブルに発展したというような話は特にないが、90年代がまだおおらかな時代だったことを感じさせるエピソードである。

*13 ちなみに本作には第三使徒も出てくるが、ただの巨大妖怪扱い。しかも妖怪獣・蛟龍と間違えられる。えぇ……

*14 本当にこういう名前なんです。

*15 水木青年も出てくるが、水神に溶かされたわけでも追い出されたわけでもなく、鬼太郎が自分の意思で水木家を出たことになっている。

*16 『妖奇伝・幽霊一家/鬼太郎の誕生』の、鬼太郎の父が幽霊族について水木に説明するシーンに出てくるバベルの塔が建っている土地。

*17 『続ゲゲゲの鬼太郎』で、目玉おやじが「確かわしの先祖が帝位についていたのが紀元前3800年前だったかなあ」と言う場面がある。マニアックな金田なのでこれを拾った可能性もなくはないが……。