ギュネイ・ガス

登録日:2011/12/14 Wed 19:24:40
更新日:2025/03/05 Wed 00:58:25
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あれをやりゃあ、大佐だろうが総帥だろうが…!





機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の登場人物。
初期設定ではグラーブ・ガスという名前であり、小説版『ベルトーチカ・チルドレン』ではこの名前で登場する。

CV:山寺宏一松本保典(グラーブ)

ネオ・ジオン軍に所属する強化人間
専用のヤクト・ドーガを与えられている。

強くなるためにあえて強化を志願したらしく、天然のニュータイプへの憧れからか「強化人間」と呼ばれることを嫌う為、NT・強化人間嫌いのレズン・シュナイダーとは仲が険悪。
劇中でもシャア・アズナブルが「お前はニュータイプ研究所で強化して、金がかかっている」と言っている通り、
よほど費用がかけられた上で調整されているのかフォウ・ムラサメやロザミア・バダムのように精神的に不安定な面はクェスが合流するまであまり見られない。
不安定さを見せるシーンもないわけではないが、それは強化人間というより「思春期の男の子」の健全なものであり、シャア曰く「若いのさ」とのこと。

ちなみに彼の上司であるシャアは、グリプス戦役時にもニュータイプを人工的に作る方法に興味を示していた描写がある(TV版『機動戦士Ζガンダム』にて)。
その理由は「人類の自然な変革を待っていては時間がかかりすぎる」というもので、小説版『Ζガンダム』第4巻でもアムロ・レイとの対決を仄めかしており、既に今回の戦いを引き起こす片鱗を見せていたと言える。


シャアがニュータイプであることに嫉妬し、内心反発している。
また、一年戦争時のコロニー潰しで両親を亡くしているため、アクシズ落としに関しても快く思っていなかった。

その一方サイコフレームを使わずにファンネルを使用出来るNTとしては本物と言われるクェス・パラヤに心を惹かれていたが、
彼女はシャアに夢中になっていた事と、シャアを扱き下ろして自分は凄いんだと陰口を叩くギュネイのアピール方法が陰湿だったためにその想いが報われることはなく、
クェスから関心を向けられる嫉妬もあり、ますますシャアに対する反発心と対抗心を深めることになった。
なお、人から伝え聞いた噂でシャアの事を昔の恋人に取り憑かれたロリコンの病人扱いしていたギュネイだが、クェスとの年齢差的にはシャアの事をあまりバカにできる立場ではなかったりする……

同じくニュータイプであるアムロにも対抗心を燃やしており、「νガンダムを手に入れ大佐を倒し、クェスを手に入れる」という野心を抱いていた。

劇中でアムロと対峙した際には、一度目はリ・ガズィに撃墜されかけたもののシャアの介入で後退。
二度目ではヤクト機の盾を囮にしてアムロの目を逃れ、その隙にケーラ・スゥのリ・ガズィを中破させ、機体のマニピュレーターで捕獲し、彼女を人質にしてνガンダムの武装放棄を要求。
それを受け容れたアムロは手持ち火器と機体のフィン・ファンネルを切り離すが、ネオ・ジオンのデータには存在しなかった形状のソレをファンネルではなく放熱板と誤解したギュネイは、武装と偽って放熱板を切り離したと逆上。
そのままνガンダムに攻撃を加えさせるが、それに本能的に反応したファンネルによって妨害されたことで反逆と見なし、マニピュレーターに保持していたままのケーラを握り潰し、死に至らしめている。

戦闘時には専用のヤクト・ドーガに乗り込み、戦いに不慣れなクェスをサポートすることも多かった。
ブライトの核ミサイルをファンネルで全て撃ち落とす場面は、シャアも褒めていた通り強化人間として最大の功績にして見せ場。

執着のあまり味方機のギラ・ドーガを誤って撃墜したり、焦りからフィン・ファンネルの性能を見抜けないこともあった*1

しかし、作中最強のパイロットであるアムロとの間に因縁が出来てしまったことが、彼の運命を決定づけた。
序盤の戦いでリ・ガズィの分離したバックウェポンシステム(BWS)に一瞬気を取られるシーンがあり、この時にアムロに「目が良すぎるため、戦闘中でも余計なモノに気を取られてしまう」癖を見抜かれていたギュネイは、
あえてアムロが手放したとバズーカに気を取られたまさにその一瞬、νガンダムのライフルでバックパックを撃ち抜かれ、機体ごと爆散し帰らぬ人となった*2
なお、シャアはワイヤーで遠隔操作されたバズーカによるアムロの攻撃を回避している。一年戦争を生き抜いた伝説的なパイロット達との経験値の差も、ギュネイのの要因の一つと言えるかもしれない。そういう意味ではあまりにも相手が悪すぎた。
実際、(向こうは5thルナに目が向いているものの)アムロの相手をしながら後にラスボスになるボッシュ・ウェラーのジムⅢを難なく撃破している事から一定水準を遥かに超える実力はあったと思われるが……

ちなみに最期の言葉は「あっ?」である。
しかもこの時にコンソールから手を離してしまっており、どのみち対応が追い付かず落とされる運命だったのだろう。
ニュータイプである2人の男に執着し、皮肉にもニュータイプの少女を求めた男の末路は、あまりにも呆気なく、そして悲惨なものだった。


ゲームでの活躍

スパロボシリーズに参戦した時は基本的に敵で、プレイヤーからは「ちょっと強いだけの名あり」の認識を抱かれがち。
実際、SFCやPSなど古いシリーズではイベントにほとんど絡まず、ザコ敵に紛れて出現して何度か交戦した後、所属する部隊との決戦シナリオで戦死してしまうなどが普通の扱いであった。

…だったが、『スーパーロボット大戦D』ではギュネイが最高の活躍を見せる。

ネオ・ジオンのパイロットという立ち位置は原作と同じだが、本作では序盤に発生した地球消滅という異常事態でアクシズ落下作戦が失敗。
そこでネオ・ジオンはリガ・ミリティアをはじめとした各組織と同盟を結び事態収拾の為に動く事となり、ギュネイもクェスやシャアと共に最後まで自軍に参加。
序盤の宇宙ルートでは漂流していた主人公を救助した縁で知り合いになり、共にネオ・ジオンで戦っていくことになる。
場の空気を読もうとする苦労人属性も身に付けた。

多くの人間を取り込んだインベーダーがブラックゲッターに虐殺されていく様子を目の当たりにして「人の死」を感じて戦慄する場面もあり、強化人間からニュータイプへ進化しつつあるような描写もある。
クェスとの関係も険悪ではなく、終盤には良い感じになる。
よかったね。ハサウェイは涙目になるが

特筆すべきは男主人公であるジョシュア・ラドクリフとの関係だろう。
序盤で彼を助けた事が縁となり、後に「親友」と呼べる関係を築いていく。
年齢が近いことに加え、自分のコンプレックスを理解してくれたジョッシュの存在はギュネイにとって心の救いになったと言えよう。
ジョッシュがルイーナの研究所で爆発に巻き込まれた際には、剣鉄也と共に一番に心配していた。
あとシャワーシーンもある。

「良き友人・理解者に恵まれた」という点においては、シン・アスカ碇シンジと並んで救われた人物と言える。
親友繋がりで、同じポジションの鉄也と共に一軍で使うプレイヤーも多い。
ふたりはプロギュネ。


また、νガンダム系の機体でフィン・ファンネルを撃つと「俺だってガンダムに乗れば!」と叫んでくれる。
流石スタッフ、良く分かってらっしゃる。
一軍で使う時は、是非ファンネル付きの機体に乗せてあげよう。
クェスも同様にファンネル付きの機体に乗っていると合体攻撃も使えるようになる。

ちなみに『スーパーロボット大戦R』でも歴史が改編された後のEDでは、
立派に政治家としてコロニー連合の大統領になったシャアの親衛隊長を見事に務めている。
寺田P曰く、この描写は前述のDの布石になったとか。

第3次スーパーロボット大戦Z』では『時獄篇』から登場。
同じくシャアが目をかけていた若者であるカミーユ・ビダンや、Ζシリーズではそのカミーユの親友であるシンとライバル関係になる。
また、ネオ・ジオンでは同じ強化人間であるマリーダ・クルスとも交友を深めるが、フル・フロンタルに心酔するアンジェロ・ザウパーとは馬が合っていない。

中盤から限定的にスポット参戦し、正式に仲間にはならないものの最後まで死亡しない上に、
アクシズ落下阻止の手伝いをしてくれるというおいしい役どころをやってくれた。
「大佐の無茶を止めるのはいつだって俺の役目だからな!」

『天獄篇』ではフロンタル側に付いているが、フラグを満たすことで正式に仲間になる。
仲間にしなくても死亡はしないのでご安心を。

その後、『スーパーロボット大戦T』にも登場。
条件を満たすと、終盤のシークレットシナリオを経て正式に自軍参入する。


余談だが、かつてスパロボの公式アンソロジーコミックに参加していた漫画家・景山まどか氏のお気に入りキャラクターの一人でもあり、
氏が手掛けた漫画では『IMPACT』の一篇『流星群』など、スパロボで扱いが向上した『D』以前よりも何かとピックアップされる事が多かった。
そして当然ながら『D』のアンソロではメッチャ出番が優遇されている

機動戦士ガンダム Extreme vs. MAXI BOOST ON』ではヤクト・ドーガで参戦。
ジオンの先達には純粋な敬意で対応する珍しい姿勢や、恐竜化を続ける機体の最盛期には大佐の機体と比べたりと反応を示す。一方で大佐を知る者なら全否定する偽物を本物かどうか判断しかねていたり、ただ小さいというだけで後年機体を過小評価するなど甘い部分も多い。
レオス・アロイの学ぶ姿勢に一定の理解を示す、男女で一緒の機体を操縦する事に否定的、少年兵相手にクェスを重ねるなど妙に人間味のある台詞がある。一介の軍人、そして強化人間という以前に彼は理想に燃える若者だったということなのだろうか。



追記・修正は研究所で強化されてからお願いします。

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最終更新:2025年03月05日 00:58

*1 クェスと二人がかりとはいえ怒涛のWファンネルによる猛攻でアムロに死を覚悟させるくらい追い詰めており、事実フィン・ファンネルによるバリアがなければ撃墜できていた。

*2 たとえ本体に反応したとしても、後述のシャアに使ったワイヤーによる遠隔操作バズーカでギュネイはどの道詰んでいた可能性もある。