新生ネオ・ジオン

登録日:2021/08/07 Sat 23:43:44
更新日:2025/03/05 Wed 01:06:37
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ここに至って私は人類が今後、絶対に戦争を繰り返さないようにすべきだと確信したのである!

それがアクシズを地球に落とす作戦の真の目的である。
これによって、地球圏の戦争の源である、地球に居続ける人々を粛清する!

諸君!自らの道を拓くため、難民のための政治を手に入れるために!
あと一息! 諸君らの力を、私に貸していただきたい!

そして私は、父ジオンのもとに召されるであろう!




新生ネオ・ジオンとは、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を初めとする一部ガンダムシリーズ作品に登場する組織。
機動戦士Ζガンダム』及び『機動戦士ガンダムΖΖ』にも同名のネオ・ジオンという組織が存在するが、実質別組織であるとされることが多い。そちらの詳細はリンク先を参照。
ハマーン・カーンの率いたネオ・ジオンと区別するため、こちらは「新生」の名前で呼ばれることが多いが、ハマーンのネオ・ジオンを「アクシズ」と呼称することで区別するパターンもある。

【概要】

宇宙世紀0090年代におけるジオン系の反地球連邦組織で、シャア・アズナブルが総帥を務める。
サイド1に存在する難民収容用コロニーの「スウィート・ウォーター」を組織の拠点としている。

第一次ネオ・ジオン抗争におけるネオ・ジオンと同名の組織であり、実際に組織の人員の多くもそのまま引き継いでいる。
しかし、新生ネオ・ジオンはザビ家やハマーンに否定的な姿勢を見せており、かつてのネオ・ジオンの後継組織としては意識されていない。

新生ネオ・ジオンはザビ家主体のジオン公国には重点は置いておらず、歴代のジオン系残党組織として見ると旧公国軍の系譜としての色は濃くない。
実際ネオ・ジオンからの人員も多いが、そこに反連邦&シャア派のスペースノイド、エグム等エゥーゴ残党、かつてシャアが敵対したティターンズ残党等多種多様な人材が在籍している。
正確に言えば「ジオン公国軍残党」と言うよりは「ダイクン派残党による反連邦組織」と表現した方が正しいだろう。
純粋なジオン残党とは言いにくい組織事情からサイド3のジオン共和国との繋がりは薄い…が、裏では活動資源の援助やジオン共和国内のダイクン派だった人材の流入などの関係が結ばれていた。

組織の理念としては、ザビ家を否定すると同時に総帥の父であるジオン・ズム・ダイクンの理想に基づいたスペースノイドの自治権確立実現を掲げる。
この理念はジオン公国及びその系譜の残党に否定的なスペースノイドからも多くの支持を集めることに成功し、巨大勢力へと発展した。
ダイクンの遺児であるシャアのカリスマ性により、組織の士気は高い状況で保たれている。
連邦からも半ば「シャアの私設武装団」のように扱われており、この勢力の事を言及する際に「シャア」と呼ぶ事もある。

しかし自治権確立とはさほど関係ない目的*1で地球への隕石落としを実行して*2それでも離反者が出た様子が確認できなかったり、逆にいざ隕石が落ちる段階になると「地球がダメになるから」と止めようと無茶する者も現れる結末から、
シャアは正しい、地球に住むものは腐っている*3*4程度しか考えず*5その場のノリで動いている者が多かった可能性が高い。
子供とは言えシャアの意のままに軍事活動や大虐殺に加担したクェスなどはその典型と言えるだろう。

また作中では地球連邦と講和条約を結んでいる(ネオ・ジオンはルナツーで武装解除する代わりに、地球連邦はアクシズをネオ・ジオンに資源惑星として譲渡し、またネオ・ジオンを国家として承認する、というもの)。
実際の交渉場面と賄賂を贈ったことはシャアも隠蔽していたが*6、この条約自体はほどなくネオジオン国民および全世界に公表された。にもかかわらず、ネオ・ジオンはこの条約をあっさり破って奇襲攻撃した。
シャア以下ネオ・ジオン首脳部は「こんな条約、最初から破棄するつもり」でいたが、それはもはや「我々は国家ではなく条約など結ぶに値しない武装勢力だ」と宣告するに等しい。
実際、クェスはシャアの兵士たちの闘志を煽る演説を聞きながら「ルナツーで武装解除するって話、嘘なのかな……」と呟いていたが、子供でも分かる欺瞞を、雁首揃えた大人たちが本当に誰一人気付かなかったとは考え難く(おそらく「連邦を痛めつけるためなら自分たちは何をしてもいい」ぐらいの考えだったのだろう)、結局のところ自治権独立の意味などを本気で考えている構成員はシャア含めてほとんどいなかったようだ。
結果として、ザビ家やハマーンに否定的な姿勢ではあったが結局は同じである(目的と行動からもっと酷いとすら言える)。

アナハイム・エレクトロニクス社とは裏で契約関係にあり、モビルスーツなどの兵器の生産を発注している。
新生ネオ・ジオンの兵器はグラナダ工場で生産されていたが、独立採算制の会社の体制が影響して新生ネオ・ジオンとの協力関係を把握していないアナハイムの社員も多かった。
協力関係の背景としてはアナハイムがとにかく儲けたいという意図はあるが、新生ネオ・ジオン側がアクシズの消失でMSの生産環境を持っていなかったことやシャアがエゥーゴ時代にアナハイムと深い関係を築いたという事情もあったようだ。
そのため、シャアの反乱における戦場は「アナハイムVSアナハイム」と化していたと言える。これはアナハイムが「死の商人」と呼ばれる原因の一つだろう。

なお、あくまで『ベルトーチカ・チルドレン』のみの描写ではあるが、新生ネオ・ジオンのパイロット達は全員シャアのことをロリコンだと思っているらしい
いくらシャアがロリコンと視聴者にネタにされているとはいえ、さすがにこれは怖すぎる

【略歴】

◇設立

グリプス戦役で行方不明となっていたシャアだったが、宇宙世紀0090年頃に組織の設立に向けて動いていたと伝えられている。
この時期のシャアについて描いた作品は複数存在するが、現時点で明確に「正史」と言える作品は存在しない(ただし作品の作中時代がズレている作品が多いため、一部を除いて一つの流れにしても大きくは矛盾しない)。

この時期のシャアを描いた作品に共通して描かれていることは、ハマーンの死によって敗走したネオ・ジオン勢力に接触していたことである。
旧ハマーン派の最大勢力派閥のダンジダン派や、エゥーゴから離脱したジオン系の反連邦組織エグムなどを取り込んでいくことになる。
動きを掴んだ連邦やロンド・ベルはシャアの捜索を行うが、シャアに共感したスペースノイドの一般市民によって妨害されたことで捕まえることに失敗した。

宇宙世紀0092年12月、新生ネオ・ジオンの総帥及びダイクンの遺児としてシャアは表舞台に再度姿を現す。
スウィート・ウォーターの占拠を地球圏に宣言し、宇宙世紀0093年2月末に連邦政府に事実上の宣戦布告をする。

◇シャアの反乱

宇宙世紀0093年3月、シャアは艦隊を率いてスウィート・ウォーターを出発して「第二次ネオ・ジオン抗争(シャアの反乱)」が勃発。
ロンド・ベルの抵抗を退けると、小惑星5thルナを連邦軍の本部が置かれていたチベットのラサに落下させる。
『ベルトーチカ・チルドレン』によればこれは自分たちが地球を危険に晒せるだけの実力と意思があることを見せるデモンストレーションであり 事前に連邦政府上層部へ通告済。
映画本編においても連邦政府がシャアとの交渉方針をまとめて連邦政府公式の調印文書をアデナヴァーに預けて向かわせたのがラサ壊滅の 翌日、交渉成立が2日後 なので事前に話が通っていないということはあり得ないだろう。
このため連邦政府の本部としての機能は既に移設しており、無視ではなく交渉(または全面戦争)が必要な相手と判断する。
ラサへの攻撃を終えたネオ・ジオンは連邦に極秘裏の和平交渉を提案し、サイド1のコロニーのロンデニオンにてシャアが自ら赴く会談となった。
シャアのロンデニオン潜入を成功させるため、ネオ・ジオン軍はロンド・ベルへの陽動攻撃を仕掛けて作戦を完了させた。
和平の内容はネオ・ジオンの武装解除の代わりにアクシズを譲り受けるという交渉であり、連邦の高官に賄賂として金塊を与えていたネオ・ジオンの工作によって交渉はあっさりと成立する。

実際はシャアは和平などする気はなく、ネオ・ジオンは交渉を破ってルナツーを強襲した末に連邦軍を壊滅させて核兵器を奪取。
核兵器を利用した地球へのアクシズ落としを決行し、ロンド・ベルを主力とする連邦軍と大規模な戦闘を繰り広げる。
総帥のシャアもサザビーで連邦軍を攻撃しながらアムロ・レイの搭乗するνガンダムと激突するが、交戦の末に敗れたシャアは脱出ポッドによる逃亡にも失敗してアムロに捕らえられる。

アクシズはロンド・ベルの内部からの爆破工作によって両断されたが、片割れは落下の軌道に突入することになる。
これを知ったシャアは作戦自体の成功を確信するが、νガンダムとアムロを初めとする連邦軍の一部が無謀にも落下を食い止めようと動き出す。
あまり深く考えず協力していたのかネオ・ジオンの一部の軍人もアムロに協力することを表明し、その時にサイコフレームの力による奇跡の現象によってアクシズは地球圏から離れていった。

奇跡の現象は「アクシズ・ショック」と呼ばれることになるが、奇跡の最中でアムロと共にシャアは行方不明となって姿を消す。
この時にネオ・ジオンの完全敗北は確定となり、総帥を失ったネオ・ジオンは団体として崩壊した。

なお、ここまで大きなことをしでかしたシャアの目的は『アムロとの因縁に(MS戦で)決着をつけたい』という理由が大きかったようだ。
(共闘した時期もあるように、シャアがおかしなことをしなければアムロ側がシャアと戦う理由は特にないため)
地球人類は悪、地球人類全員を強制的に宇宙に進出させて人類全員NTにさせたい*7、地球環境のために地球を破壊したい辺りはアムロにも最後まで訴えているので一応本心ではあるが、建前程度のものでもある。*8
ちなみにジオン再興などの政治部分についてはナナイとの約束もあったのでアムロに勝利して帰還できたら嫌になって逃走するまでは多分続投していたと思われるが、シャア的にはやりたいことではなかったと思われる。
……というか項目冒頭演説の結びがなぜか「そして私は父ジオンのもとに召されるであろう!」であるので、下手するとアムロに勝ったらそのまま全て投げ出して自殺してしまうつもりだった可能性さえある。

◇組織の崩壊とその後

アクシズ落下に失敗した新生ネオ・ジオンの残存勢力は敗走、雑多の勢力として分解することになる。
それでも反乱から数年後に「シャアの再来」と呼ばれるフル・フロンタルによって「袖付き」という新生ネオ・ジオン残党が勢力を伸ばす。
しかし、この袖付きはラプラスの箱を巡る「ラプラス事変(第三次ネオ・ジオン抗争)」で崩壊し、新生ネオ・ジオン勢力は完全に沈黙する。

ジオン共和国の自治権返還に伴い、宇宙世紀0100年代からは宇宙世紀における新生ネオ・ジオンの存在感は消えていった。
一応、宇宙世紀0116年にはダイクン派系列のジオン残党組織を中心として武装蜂起が発生したり、宇宙世紀0118年にはインドで旧ネオ・ジオン派の反連邦組織が反乱を起こして鎮圧されるなどの出来事があった模様。
ついには宇宙世紀120年代になると連邦政府はネオ・ジオンの残党討伐を禁じて生存権を認めるに至ったが、一部の連邦軍人にはそれを無視して殺戮を行う者もいたようだ。というか連邦が寛容すぎる……
結果としてジオン残党勢力による大規模な反乱は宇宙世紀0120年代のオールズモビル戦役まで起こることはなく、またこのオールズモビル戦役におけるジオン残党勢力は新生ネオ・ジオン派が主力ではない。

シャアの反乱から100年以上経過した世界を描いた『ガイア・ギア』では、新生ネオ・ジオンの存在は「シャアが創設した私的軍隊」という扱いで歴史に残されている模様。
しかし、新生ネオ・ジオンはジオン残党に祭り上げられたシャアが渋々設立し、反乱も彼ら残党のために起こした一時の行動という解釈になっているようだ。
アクシズ・ショックも「シャアの力が起こした奇跡」と伝えられており、ある意味新生ネオ・ジオンは後世の人々がシャアの伝説を作る踏み台にされてしまったとも見れる。

シャアは数度隕石を落とす理由に「地球がもたん時が来ているのだ」とも言っていたが、後に(スペースノイドが)地球環境を破壊するようなことを繰り返しても一応何だかんだ存続している
少なくとも元も子もない環境破壊や蛮行をする必要性は薄かったようだが、その一方で後年の時代でも地球の生態系の破壊や海水汚染などは着実に悲惨な状況に進みつつあることも描かれており、杞憂とまでは言えないのもまた事実ではある。
また、地球保護を口実にした極端な発想を唱える反連邦組織はシャアの敗北後も度々登場したり、連邦側でも地球環境の保護を口実の一つにした虐殺と変わらない人狩りの行動が加速している

【メカニック】

□モビルスーツ


□艦船

  • レウルーラ
  • ムサカ
  • エンドラ
  • ムサイ
  • ティベ
  • ムサック

□その他

  • シャクルズ

【主な所属人物】

◯上層部

  • シャア・アズナブル
  • ナナイ・ミゲル
  • カイザス・M・バイヤー
  • ホルスト・ハーネス

◯構成員

  • ギュネイ・ガス
  • レズン・シュナイダー
  • クェス・パラヤ
  • クロエ・クローチェ
  • ヴィンセント・グライスナー
  • カール・シュビッツ
  • イリア・パゾム
  • パミル・マクダミル

【関連組織】

◆エグム

エゥーゴ構成員の中にいたジオン系の過激派が、グリプス戦役の後に離脱して立ち上げた反連邦組織であり、上述したように新生ネオ・ジオンの設立に深く関与したとされる。
機動戦士ガンダムF90 FastestFormula』によると、エグムにおけるエゥーゴ系のシャア・ダイクン派の一部はフロンタル主導のザビ家との糾合を拒み、袖付きへの合流を拒否した。
そのため、ラプラス事変の終結によって袖付きが無くなった後も影響を受けずに活動を続けていたようだ。

◆ジュピター・ファントム

雑誌『コミックボンボン』の『MSV90』にて登場。
新生ネオ・ジオンの地球冷却化作戦の失敗後、残存勢力が木星に逃亡した末に宇宙世紀0095年に「ネオ・ジオン」の名前を捨てて立ち上げた残党組織。
木星圏と連邦の資源補給ルートを絶やす戦略に出ており、これを危険視した連邦軍は新型ガンダムを開発して木星圏に向かった。

袖付き

機動戦士ガンダムUC』に登場。宇宙世紀0096年時点で現存する新生ネオ・ジオン軍の残党勢力。
反乱の失敗による逃亡の末に朽ち果てそうだった新生ネオ・ジオンの勢力を「シャアの再来」と呼ばれるフル・フロンタルがまとめ上げた。
新生ネオ・ジオンを母体にしているが、ミネバ・ラオ・ザビを抱えることでハマーン派の旧ネオ・ジオン勢力や新生ネオ・ジオンに参加しなかった地球圏のジオン残党を取り込んでいる。

ジオンの各派閥の共同体が実現しているが、裏を返せばそうまでしないと勢力として成り立たない台所事情の苦しさとも言える。
実際にジオン公国の各派閥を集結した状況でありながらも、新生ネオ・ジオンよりも人員や資源は大幅に縮小している。
構成員は「ネオ・ジオン」を名乗ることに固執しているが、実際は歴代のネオ・ジオンと違って法的にも規模的にも「軍隊」ではなく「テロ組織」のレベルでしかない。

◆ゼブラゾーン宙域のジオン残党

機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』に登場。月の裏側の暗礁宙域ゼブラゾーンの廃コロニーに隠れ住む新生ネオ・ジオンの落人。
連邦軍の残党狩りから逃れてきた集団であり、外部との関わりを断ってひっそりと暮らしていたのだが、連邦軍、クロスボーン・バンガード、そしてアナハイム・エレクトロニクスによる裏取引がこの宙域で行われた結果それに伴う戦火に巻き込まれることになる。
ブレイウッドのクルーからは保護を打診されるもそれを断り、隠れ里でそっとしておいてもらうことを望んだ。
戦力としてギラ・ドーガを保有し続けているものの、もはやテロリスト残党とは言い難い存在であり、自分たちの行いが巡ってきたとはいえ同作の被害者である。

ズィー・ジオン・オーガニゼーション

ガイア・ギア』に登場。宇宙世紀0110年代から活動が確認されている「ジオン」の名前を利用する謎の機関。
シャアを慕ったグループが「シャア・コンティニュー・オペレーション」というシャアの復活計画を掲げ、長期的な工作活動に走っていた。
組織自らがネオ・ジオンと名乗ることはあるが、組織自体はジオン残党及び新生ネオ・ジオンの関連組織として作ろうとはされていない…が、ジオン公国の信奉者も組織に参加していた模様。
活動期間や計画内容などから察するに、新生ネオ・ジオンのダイクン派を中心とした一部ジオン残党が関与している可能性がある*9とする推測はあるが、組織のルーツには謎が多いため現状は考察の域を出ない。
100年近くの活動の成果によってシャアの肉体と記憶を持つクローンの作成に成功するが、そのクローンの意向によってジオンの名前を捨てて改名することになる。





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最終更新:2025年03月05日 01:06

*1 5thルナによるラサ地球連邦軍本部攻撃までならば、「毒ガス攻撃でスペースノイドを虐殺したティターンズのような真似をしたら隕石落としで報復する」、と一応の筋はぎりぎりだが通らなくもない。とはいえ戦力は連邦が圧倒的有利のままであることと、こんな真似をする相手など信用できないし存続させるのもまずいので条約を結ぶ気など失せる可能性も十分ある。

*2 連邦の腐敗として描かれているが、ZZでもコロニー落としされたばかりなのにシャアとも高官に賄賂を渡す程度であっさり停戦条約を締結『できる』あたり、客観的に見ると連邦は凄まじく物分かりが良い。そのため隕石落としは地球環境のために地球環境を破壊するという頭のおかしい理由が主目的である。

*3 念のための補足として宇宙世紀の地球に住んでいる人の実情は現実と同様にピンキリ。地球には腐った特権階級の層がいたこと自体は事実だが、地球在住者が全員裕福だとか特権階級の証というわけではない。不満の捌け口としてアースノイドへの憎悪やその感情を利用されている部分もあった

*4 一例として、『ZZ』のタマンは現地で漁師として働いているが、(妹を養うという動機もあるが)ネオ・ジオンに協力してMSに乗らなければならないほど生活に困窮していた(他の漁師も同様)。更にはブライトと結婚したミライさんは地球暮らしで子供たちを育てているが、その暮らしぶりは「決して贅沢なものではなく、むしろ貧乏に近い」ことが『逆襲のシャア』の作中からうかがえる。先述のタマンとは異なり、ブライトは有能な軍人で給料もそれなり以上に貰っているだろうし、ミライさんは「名門ヤシマ家の令嬢、その上非正規兵なのに一年戦争を精鋭の最前線部隊で戦い抜いた功績持ち」にも関わらず、である。

*5 『ベルトーチカ・チルドレン』ではアクシズ落下を阻止しようと取りつく連邦軍のMS達を見て「お前達がここまで潔かったのなら、俺達もこんな事しなかったのに」と嘆く将兵がいる。連邦兵からすればふざけるなと言いたくなるであろう酷い発言だが。

*6 言うまでもなく贈賄は全然清廉ではない。収賄する連邦政府高官が腐敗しているなら、贈賄するシャアたちも同じぐらい腐敗している。さすがにシャア本人も自覚があったようで「私は阿漕な真似をやっている」と内心で呟いている。

*7 NTの記事にも記載されているが各種描写から逆算すると、人類が宇宙に行ってもNTになる確率が少し高まる程度でシャアの希望とは程遠い。そもそもNTやスペースノイドも地球人類と全く同じ理屈で戦争するのでそこらの認識もシャアは誤っている。

*8 小説版2種では事情が異なり、『ベルトーチカ・チルドレン』では早々にアムロに「決着を付けたいから戦争を起こした」と魂胆を見抜かれるくらいあからさまだったのに対し、『ハイ・ストリーマー』ではアムロとの決着という魂胆があった事は認めつつも「地球潰しをしようとしている自分が恐ろしくなり、だからこそアムロに地球潰しを阻止してほしかったのでサイコ・フレームの情報を渡した」という地球潰しの意図そのものは本心でその上で自殺願望に近い罪悪感を抱いてしまった事になっている。

*9 小説版ではシャアのクローンの中でシャア本人が意識として存在していて組織の機体の開発に関与したような発言があったり、パラレルだがラジオドラマ版ではクローンが新生ネオ・ジオン時代のシャアの記憶を思い出している描写がある