安倍晴明

登録日:2019/07/27 Sat 12:46:25
更新日:2025/01/22 Wed 00:18:45
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☆安倍晴明☆

安倍(あべの)晴明(せいめい)は、平安時代に実在した陰陽師。


【概要】

延喜21年1月11日生まれ、寛弘9月26日没*1と伝えられる。
伝承によれば大阪生まれだが異説もある……というか、よく解っていない。

父は大膳大夫・安倍益材、あるいは淡路守・安倍春材と伝えられる。
ほかの史書では『竹取物語』にも登場する右大臣・阿部御主人や、遣唐使となった後に安南(ベトナム)で総督とまでなった後に客死した安倍仲麻呂の子とも言われるが、実際にはそうした上級貴族の子ではなく、阿部氏は阿部氏でも下層の難波氏の出身であると予想される。
古文書にて阿部御主人直系の上級官僚である安倍『朝臣』ではなく、下層の難波氏等が用いる『宿禰』を含む“安倍宿禰晴明”と記されたものがあることがこの説の信憑性を高めている。
しかし、安倍仲麻呂の子というのは、どうやら安倍氏自らが晴明の神格化と共に推し進めた系譜であるようで、これは日本の陰陽道の祖とも云われる吉備真備の子孫を名乗った賀茂氏に対抗する意味もあったと考えられる。

創作での父親や先祖としては安倍保名や安倍仲丸といった名前が挙げられており、特に保名は晴明の父親といえば……という位のイメージであろうと思われる。
仲丸は仲麻呂のことだが、当時は唐に行って死んだと思われていたのか、唐でになった等と云われている。

母親や母方の血筋は不明。
特に有名なのが、創作にて上記の保名と子を設けた信太の白狐であり、この狐の名として伝わるのが葛の葉。
“彼女”は稲荷大明神の第一の遣いで、伝承では晴明の誕生も大明神の思し召しによるものだ……と伝えられる。
……このように伝わるのもなにかしらの理由があるのかもしれないが、真相は不明である。

なお、現在では名を“あべのせいめい”として多く伝えられるが実際には正式な読みは不明である。
安倍はともかく、晴明をはるあき(●●●●)やらはるあきら(●●●●●)と読むのではないか?とする説もあったりする*2


最終官位は従四位下・播磨守、天文博士

陰陽寮を修める賀茂(加茂)忠行、保憲の親子に陰陽道を学び陰陽師となる。
賀茂保憲は自分の息子である光栄には暦道を、親しくしていた晴明には天文道を伝授し、元は一つであった陰陽道宗家をそれぞれの氏族に二分させた。
これを安賀両家といい、実際に子から後の世代によって陰陽道に関わる要職は両家のいずれからかしか出なくなった。
このことに不満のあった光栄と、保憲よりの信頼を喧伝した晴明のあいだには諍いがあったとも云われるが、ともかくも晴明や光栄より後の、技を引き継いだ代によってさらなる地位を築いた両家は、安倍氏は土御門(つちみかど)家を、賀茂は勘解由(かでの)小路(こうじ)家を名乗り公卿に列するまでになったが、中世(江戸時代)までに後継者が居なくなり勘解由小路は衰退して、土御門一家が陰陽寮を管轄した。


……ここまで読んできただけでもわかるように、非常に伝説的な逸話の付きまとう人物として、古くから説話や創作に登場している。
没後すぐに藤原氏の隆盛や権力争いを描いた『大鏡』*3に登場しており、ここで既に“花山天皇が出家しようしたのを天文から察知し、使役する式神(十二神将)を走らせて朝廷に報せようとした”……などといきなりトンでもない姿で描かれている。


次に名前が出てくるのは『今昔物語集』*4内の“安倍晴明随忠行習道語”で、

①少年晴明が師匠の忠行の夜行に同行していた折、百鬼夜行を察知して忠行に報せて命を救い、忠行は晴明に陰陽道のすべてを教えた話。*5

②播摩の国よりやって来た陰陽師(これを道満とする説もある)に勝負を挑まれたが、たやすく懲らしめた話。

③寛朝和尚の前に集まった時、公卿たちに陰陽道の術を見せて欲しいと頼まれ、葉っぱに“呪”を込めて手を触れずに蛙を真っ平に潰した話。

④晴明の屋敷では誰も舎人がいないのに勝手に門や扉が開閉していた話

……といった、晴明伝説の中でも特に有名で基本となるエピソードがこの時点で登場している。


これらの話は晴明を重用した花山天皇や一条天皇、藤原道長の日記や、晴明の行った祈祷についての公式の記録を元ネタにしているようで、どの記述でも卓越した占いや祈祷の腕が伝えられており、
雨乞いや天皇の病を治した話のほか、天狗封じを行った話も記録に残っている……いや、祈祷や禊であって戦ったわけではないみたいだけれども。
ここからさらに『宇治拾遺物語』や『平家物語』にも記述があり、ここまで行くと式神を見破ったとか、渡辺綱が切り落とした鬼の腕を封印したとかという話ばかりになる。
このように、平安のころからすでに超人的な伝承を残しており、こうした英雄的人物としての安倍晴明の成立には、末法と例えられた社会情勢の悪化や、蔓延する絶望感の中から人々に渇望された英雄の姿が伝説的人物である晴明に込められたのだ……とも分析される。

また、晴明の生きた時代から100年以上も後の時代に出現したとされる、鳥羽上皇を籠絡して悪政を為させた玉藻の前こと白面金毛九尾の狐の正体を見破り対処したのは、史実では晴明より六代後の泰親の子として名の見える安倍泰成だが、晴明が対処したと云われている場合もある。
玉藻の前のモデルは鳥羽上皇の寵妃から異例中の異例で皇后となって権力を振るったと云われる美福門院(藤原得子)とされる。

また、このほかの有名な話として播磨の国の陰陽入道・芦屋道満と帝の前で呪法勝負を行い、長持の中に何が入っているかを当てあった話が伝えられる。
いくつかのバリエーションがあるが、最もよく知られているのが道満は長持の中に大柑子(蜜柑)が15個あるのを確かに言い当てたのだが、晴明は鼠が15匹と答え、蓋を開けてみると晴明の呪法で蜜柑が姿を変えた鼠が四方八方に走り、驚いた道満は晴明の弟子となったというものがある。

また、晴明の活躍や説話は主に書として記されてきたのだが、江戸時代中期*6に古浄瑠璃の『しのだづま』を元にして描かれた浄瑠璃、歌舞伎の『芦屋道満大内鑑』にて多くの人々に触れられる形で晴明伝説が公開され、これが現代までの晴明象の基本となった。

同作を初め僧形の陰陽師芦屋道満(または道摩法師)とはライバルとされるのだが、基本的には晴明に破れた道満は死罪や島流しとなっている。



やがて江戸時代も終わり、急速に近代化が推し進められた近世以降は、またもや古い伝承や芸能の中にのみ残る人物となっていたのだが、80年代に荒俣宏が『帝都物語』をヒットさせたことによって再び陰陽師が脚光を浴びる。
中でも様々な晴明伝説を元に描かれた夢枕獏の『陰陽師』以降、現在のラノベにも通じる伝奇小説やコミック、アニメ作品に多く取り上げられたことで、世代を越えてオタク文化界隈では非常に知られた名となっている。
ヒーローから悪役までなんでもござれの大活躍で、大概は美青年とか少年としてイメージが統一されている。
本人じゃなくてもなにか直系の子孫が善いことしたり悪いことしたりする。
……しかし、実は後述のように伝承の時点で史実とは大きくイメージが異なっている。

ちなみに、彼を奉る晴明神社が日本各地に存在するほか、後世の陰陽師が晴明にあやかろうと晴明塚を各地に建立していることからも、なにも伝承好きやオタクのみならず、本職の方々にとっても信仰対象となるほどの人物であったことが窺える。


【晴明伝説】

前述のように浄瑠璃や歌舞伎、伝承によって広まり、よく知られるようになった晴明の生誕伝説は『葛の葉』または『信太の狐』として知られている。
民間伝承としての“葛の葉伝説”は当該項目があるので、そちらを参照。

なので、ここでは『芦屋道満大内鑑』での設定や、それに関わる記述を記す。


芦屋道満大内鑑

朱雀天皇の御代に天に起こった凶兆を取り除くべく、先だって急逝した大陰陽師・加茂保憲の弟子のうち、秘伝書の『金烏玉兎集』を受け継ぐ権利を持つ後継者として、安倍保名と芦屋道満のいずれかを定める裁断に端を発した権力争いに絡む陰謀と、陰謀の犠牲となって恋人を失い出奔した保名の妻となって子をためした信太の狐と子と、人としてのモラルと忠義に悩む息子の道満を助けるべく自らの命を懸ける父親との親子と、二つの親子の情愛を軸とする。

全五段からなり、作者は初代竹田出雲。
1734年に大阪竹本座を率いる二代目義太夫により演じられたのが初。
『しのだづま』からの派生作品であるが、先行する晴明伝説との差別化のためか、物語がよりドラマチックに、通常は悪役として描かれる芦屋道満を善人として描き、保名や晴明との対立も道満の意思ではないといった違いがある。

ただし、本来の五段設定で演じられるのは浄瑠璃のみで、翌年より演じられるようになった歌舞伎等では四段目のみを演じるので道満を主体とした表題が使われずに『葛の葉』の表題となっていたり、明治以降は通しといいつつも五段目まですべてを演じた記録が無く、近年では歌舞伎と同じく狐と子の別れの場面と狐が信太の森に帰る四段目前半のみの上演となることが多い。

また、平安を舞台としているといいつつも、内容に描かれた当時の江戸時代の習俗を含み、公家社会が武家社会風に描かれたりと、あくまでも現代の漫画やゲームなどの解釈に近い、架空の平安ワールドを描いた物語だとして注釈されている。

本作での晴明は全体的にはチョイ役(主役は父の保名と道満)なのだが、前述のように晴明の誕生と母との別れの部分を描いた四段目が主に上演されるので、結局は晴明に関わる物語のバリエーションの一つとしてのみ認識されているような感がある。

この物語では保名を守って死んだ元恋人で、師匠の加茂保憲の養女の榊

その榊の実の妹で、信太の荘園領主 信太庄司の娘である本物の葛の葉

そして、ほかのバージョンでも良く知られる、保名が信太の森で石川悪右衛門*7に追われているところを助けた恩義から彼の妻となって子を生んだ信太の白狐こと本作では偽の葛の葉

……と、三人ものヒロインが登場してくるのが特徴で*8、幼き童子は偽の葛の葉より本物の葛の葉に預けられるが、本物の母親(白狐)を思って童子は泣き、保名も後を信太の森まで後を追うが、母は白狐の姿を顕わして今度こそ去っていく。
しかし、母狐は京に上がるまでにさらなる苦難が待ち受けている夫と子供を仲間の力も借りて陰ながら守り、ついには敵方の陰謀が砕かれ、幼き晴明に官位が与えられるところで物語は終わるのである。

前述のように本作での道満は敵ではなく、むしろ保名と同様に主君の計画した陰謀に心ならずも巻き込まれる犠牲者となっている。
陰謀への荷担を迫られつつも実父の覚悟で罪を背負いつつも救われ、さらには葛の葉と保名に仇と憎まれていることを理解していながらも保名に『金烏玉兎集』を渡すために赴き、そこで保名に請われて狐の子である童子に秘伝書を渡し、そこで母狐の助けもあって聡明な知恵を示した童子の烏帽子親となることを申し出て晴明の名を与えるのである。


『芦屋道満大内鑑』では陰陽道の秘伝書として伝えられる『金烏玉兎集』だが、元々は晴明自身が編纂したとされる占いの専門、実用書のことである。
この書はもちろん後年の創作……だよね?天竺で文殊菩薩によって書かれたものが吉備真備に伝わり、さらに真備の配下の遣唐使で、大陸に渡った後にとなった安倍仲丸の子孫の晴明に伯道上人により手渡された……ということになっている。
この『金烏玉兎集』の注釈書である『簠簋抄』が、晴明の母親を狐であるとする『葛の葉』伝説の大元だといい、『簠簋抄』では前述の呪法比べによる道満との因縁も書かれている。
なお、この『簠簋抄』でのみ、わざとか間違いや勘違いか晴明が清明となっている。

ここではさらに後日談があり、弟子とはなったが晴明が憎い道満は、晴明の留守中に彼の妻の梨子と不倫関係となり、唐より持ち帰った秘伝の『金烏玉兎集』を聞き出して盗み出し、これを持っているかいないかの問答に持ち込み“持っていないはずの書を道満が持っていたら首を刎ねてもいい”との約束を取り付けて書を示し、約束通りに晴明の首を刎ねて殺してしまった。

しかし、晴明に書を授けた師である伯道上人は日本にやって来て晴明を復活させると復讐に向かった。
道満は梨子を妻にして悠々と晴明の家で暮らしていたが、そこに伯道がやって来て晴明と会わせてくれ、という。
道満が晴明は死んだというと、伯道はさっき会ったといい、道満がそんなはずは無いが、もし本当ならばこの首を捧げようと言ったので、伯道上人は晴明を呼び寄せて生きていることを示し、道満はもちろん、不義を働いた梨子の首も刎ねたという。

『芦屋道満大内鑑』では、桜木親王の御前での長櫃当ての勝負となっており、道満は櫃の中身が呪詛用の人形と保名の死体であることを当てる。
晴明も同じ答えで内心悔しかったものの、死んでいる父親を復活させる術法を行い、見事に保名を復活させると黒幕たちを引っ捕らえて、道満と並ぶ大陰陽師として後の世にまで名声を轟かせたとされている。


【実在の晴明】

さて、以上のようにリアルでもファンタジーでも極めて魅力的な人物像が語られる晴明であるが、実は初めて陰陽道を習い始めたのは40歳になってからであった。
というわけでオッサンである。羽生くんがプログラムに採用している場合ではないのである。

これが、史実において初めて晴明が登場した記録であり、それ以前の経歴はハッキリとはしていないが、恐らくは宮廷に務める名も無き下層役人だったのだろうと推察されている。
一応、ロマン溢れる説として宮廷には属さない民間か渡来人による秘密集団の人間であり、表舞台に立つのが遅かっただけ、とする見方もあったりする。
若き晴明が務めていたのが大舎人寮と呼ばれる、いわば何でも屋の雑用係や警備係だったようで、ここで陰陽寮が音頭を取る追儺の儀式*9の下働きで方相氏役をやったことが陰陽道への興味に繋がったのだと考えられる。
当時の平均寿命が30代と言われる中で40にして新しい職場に挑戦することになった晴明だが、いかに年寄りでもいきなり役職は付かず、最初は天文得業生という学生待遇であった。

また実のところ、現代よりも呪術が尊ばれている印象がある平安でも現実的な政治とはかけ離れた占いや易、星見を行い、ほかには祭りの時の実行委員会といった役割の陰陽寮とそこに務める陰陽師の地位は低く、占い好きの高級官僚でもパトロンに付けなければやっていけないほどの薄給だったとも言われる。

……しかし、ここからが晴明の逆転人生であり、非凡な処であった。
まず、晴明は兼ねてからの目標だったのだろうか、陰陽寮に入ると熱心に占術を学んだ。

そして、58歳にして陰陽博士に就任。
66歳で天文博士になっている。

……遅咲きの中途入社組としても早いとは言えない出世スピードだが、本人は中途入社の気楽さで出世街道から外れたところで占いを極めていったらしい。
鎌倉時代の説話集『続古事談』では「晴明ハ術法ノ者ナリ。才学ハ優長ナラズトゾ」とあり、占いだけでないかもしれないがは非常に優れているが、ほかの知識や学問はからっきしである……と記されている。
しかし、逆を言えばあまりに術法(占い)に優れていたので、ほかに伝えられるべき言葉が無かっただけかもしれない。

晴明は70歳ほどで陰陽寮を引退したが、フリーとなったことで晴明はさらなる活躍を見せていくことになる。
そもそも引退したのに晴明には前天文博士という占いの達人であることを示す特殊な称号が付けられ、一条天皇や藤原道長に重用された。

そして、75歳の時に主計権助(民部省主計寮副長)に、79歳で穀蔵院別当(民部省穀蔵院長)に、82歳で大膳大夫(宮内省膳職長)に、同じ年に左京権大夫(京職長官)と名誉職とはいえ引退した老人に官職が与えられ、最終的には従四位下という、晴明は付けなかった陰陽寮長官(従五位下)をも超える地位にまで到達した。

晴明の占いが優れていたのは、それまでの大陸より渡った技術をそのままの形で延長させていた占術を、完璧に日本式に生まれ変わらせて新しいものにしたことだと言われる。
中国の暦を参考にしていた占いよりは日本の暦なり気象情報なりを参考にしたほうが当たるわけで、ともかくも当たり過ぎるほどに当たる晴明の占いは貴族たちの間で評判になる。
藤原実資の記した『小右記』では、時の関白が陰陽寮の出した結果よりも晴明の出した結果を支持して、実際にその通りだったので、以降は陰陽寮も晴明の答えに従うようになり、晴明以後の陰陽道が始まったという。

なお、晴明は式神を一条戻橋の下に隠して呼び掛けて使役していたとする話から、実際に晴明が遣っていた式神とは、名も無き(地位も無き)下層民や異民族だったのではないかと予想する声が根強い。
これは、単に「社会的な地位の高い人間が地位の低い人間を使役していた」というわけではなく、晴明の経歴不明の出自や、古来より日本ではシャーマニズムも鬼道と呼び、その使役(協力)する、時として鬼と呼ばれたまつろわぬ民の存在が確かにあったことは否定出来ない部分である。
呪術や占術も正式に朝廷に伝来する以前より日本に入り込んだ渡来人の持つ技術の一つであったし、それらは驚くほど早くに広くに分布していたのも確かなようである(道満も播磨の国の民間陰陽師集団の出とされる)。
特に、晴明自身の出自がハッキリしていないことも含めて、彼自身が何かしらの異民族の血を引く人物であったのだろうとの予想もされている。

また、こうした経歴を見ればわかるように当時としては極めて長命であり、このことも様々な伝説を生むきっかけになったとも分析されている。



【創作の晴明や陰陽師】


帝都破壊を目論む魔人・加藤保憲は手袋に「ドーマンセーマン」を刻み呪具にしており、原作1巻では加藤の猛威に晴明の子孫たる土御門家の術者が立ち向かっている。

創作や伝承に於ける晴明像を現代文により再構成して描く平安ロマン。
映画やドラマ、岡野玲子による漫画版もヒットした。

京極夏彦によるレンガ本シリーズ。
本人は登場しないが、シリーズのシンボル的キャラクターである京極堂は武蔵晴明神社の神主でもあり、彼のシンボルも晴明桔梗。
また彼の曽祖父が登場した『了巷説百物語』『狐花 葉不見冥府路行』では、陰陽師だった曽祖父が抱える「葛の葉」の逸話のごとき背景が語られている。

少女漫画にして熱血バトル漫画。白面の貴公子然としてはいるが、本性はわりと過激派。得意技はだいばくはつ

電撃文庫から発売されたライトノベルで作者のデビュー作。
主人公慶滋保胤(賀茂保憲の弟)を何かと構う出世の遅い天文得業生ベテラン陰陽師として登場しており、イラストでの姿は頑丈そうな壮年男性。
この世界では何と芦屋道満の娘「梨花」を妻にしており、彼女との間に吉平・吉昌と2人の息子がいる*10

  • 平安風雲伝
平安時代を舞台としたSFC用シミュレーションRPG。1995年発売。
作中の年代は長保2年(西暦1000年)のため、当時としては珍しい老齢の晴明が登場する。

平安時代を舞台とした人間ダビスタと称されるPS用RPG。後にPSPでリメイク版も出された。
公式討伐隊選考会というトーナメント形式の大会において、終盤に突入すると「安倍晴明社中」という一団で出場してくる優勝候補。
専用職業である陰陽師に就いているので固有のグラがあり、補助をかけて強化した強力な全体攻撃術を使ってくるためそこらのボスよりも明らかに強い。
しかし実際に晴明が討伐に行くことはない。お前が行け。
続編では主人公一族にあらぬ罪を着せて皆殺しにし、ダビスタ化する呪いまでかけた黒幕として登場。その強さの理由も明らかとなる。

最初はPSで発売され、以降もさまざまなハードで発売された、時代をまたぎ転生する魂の紡ぐ光と闇の闘いを恋愛アドベンチャーに落とし込んだ意欲作。
平安編にて主人公の前世の兄、また主要登場人物の前世として登場。

平安時代で鬼共を統率し、竜馬とゲッターロボがやって来るのを待ち構えていた黒平安京の支配者。
神の尖兵たる四天王より情報を得ていたようだが、ゲッターの力を計りかねて敗北。
さらにタイムスリップまでしてゲッターを追う執念を見せるも、更なる力を得た竜馬とゲッターに敗北し、呪詛を吐きつつ消滅した。

  • O・TO・GI ~百鬼討伐絵巻~
フロムソフトウェア製のXboxアクションRPG。
前年の『O・TO・GI ~御伽~』の続編で、今作では頼光と共に晴明がもう一人の主人公格を務める。
キャラとしては所謂遠距離系の魔術師系キャラで得物は一対の扇だが敵を掴んで「巫力(MP相当)」を吸い取ったり投げたりする事が可能。
また本作では女性である。

  • 九怨
こちらもフロム製のPS2ホラーアクションゲーム。
2人の主人公のシナリオをクリアしたシナリオラストの最終章で主人公のプレイヤーキャラとして登場するが、本作でも女性である。
こちらの得物は短めの薙刀っぽい短槍である。

ヒラコー流英雄大戦。異世界に転移させられた偉人=漂流物(ドリフ)の一人で十月機関という組織の長。本名は「はるあきら」説を採用している。
死亡時に呼ばれる*11とあって実年齢は80歳の老爺とのことだが、見た目は洋装の美青年。
世界を蹂躙せんとする廃棄物(エンズ)に抗するべく、異世界でとった弟子を中心とした術者の組織を立ち上げ、軍事に長けた他のドリフに異世界の軍隊を指揮させようと考えていたが、
本人は学者肌で政治・軍事の見識の低かったことが災いし、黒王軍の後塵を拝することに。
ぶっちゃけ伝説での晴明無双っぷりはどこへやらの呉学人ポジであり、そもそも最初の目論見の時点で見通しがべらぼうにアマい。
同じく転移してきた島津豊久は「源頼光の鬼退治」の絵巻を知っていたのにそこで頼光に助言した安倍晴明のことを まったく知らなかった
作中世界の歴史では存在しないのか、豊久がアホなので鬼との戦闘シーン以外をスルーしていたのかは不明。

過去の偉人を強化クローニングした肉体に魂を呼び戻した強化人間[ブレイバー]の一人として登場。
なおZ/Xの世界において安倍晴明は女性であったという設定になっており、「紅の魔女」の異名を持つ。
同じく安倍晴明をベースとしたクローンとしてアドミニストレータ ポラリスが存在する。こちらは遺伝子のベースが晴明なだけで魂は独自のものを持ち性格も異なる。
また、安倍晴明の流れを汲む陰陽師の一族にして日本有数の財閥『百目鬼』が世界の七大財閥《円卓会議》に名を連ねている。

『陰陽師物語』という短編シリーズがあり、主役は阿部を名乗る陰陽師。もちろん安倍晴明のパロディである。
ギャグマンガ日和では歴史上の人物をそのまま題材にすることが多いが、阿部はおそらく苗字の読みが同じというだけで安倍晴明とは何の関係もない人物であると思われる)
現代を舞台に心霊事件の解決に臨むことを生業にしているのだが、陰陽師のくせに極端に霊を恐れており、霊の話を聞くだけで嘔吐や失神、脱臼を引き起こす。
式神を召喚する能力があるが、召喚できる式神はほぼランダム。サラリーマンや謎の生き物、スカートを二重に履いた中年男性など意味不明なものばかり呼び出してしまう上、一度呼び出した式神をひっこめることは出来ない。
しかし、レギュラーキャラの式神「ニャンコさん」は人気がある。

玉藻前蘆屋道満等の関係者から何度か言及があったが、2部5.5章にて本格登場。
……と言っても立ち絵は全くなく、紫式部をパシって空中に字を書いて遠隔で会話したり、「泰山解説祭」で人の内心を勝手に解説するなど割とやることは軽い。
とはいえ蘆屋道満を手玉に取っている他、現代の知識も持っているなど単なる平安最強の陰陽師ではすまされない存在であることが匂わされている。

サーヴァントとしての登場・実装を心待ちにしているファンは多い。

本人は出て来ないが重要人物の陰陽師・麻倉葉王が、晴明の著書『 占事略決 』を明らかに意識した『 超・占事略決 』を著している。
リアルではTCG化もされた。

御門院家の開祖にあたる天才陰陽師にして、千年前に京妖怪を率いていた大妖怪。
妖怪としての名称は
京妖怪の首魁である羽衣狐の息子で、人間と妖怪の間に生まれた半妖怪。
生前は表向き陰陽師として活動しつつ、裏では妖怪として百鬼夜行を率いていた。
当初は人間()妖怪()が調和した理想郷を創ることを夢見ていたが、ある日、人間の醜さに絶望し、妖怪上位主義に傾倒してゆく。
妖怪の血を継いではいるものの、肉体は人間寄りだったのか、短い寿命を克服すべく、反魂の術(死者蘇生)や不老不死の研究を行っていた。
中盤で復活を果たすも、ここら辺から作品自体が迷走を始めたため、本作のラスボスでありながら歴代のボスキャラクターの中でも読者人気が著しく低い。

黄金騎士・牙狼こと雷吼の仲間である女魔戒法師・星明(せいめい)と、
その祖父の陰陽師・安武晴明(あべはるあき)という、祖父と娘とで別々のキャラクターという扱いで登場。

100個のゴースト眼魂の一つとして「安倍晴明ゴースト眼魂」が登場。
デザインは視聴者公募されたもので、作中で仮面ライダーがこれを用いることはない。

陰陽術の修行ミッションにて過去の偉人枠(?)として現れ、式神(と言う名の妖怪)を繰り出して主人公の力量を試す。
DLC第2段討魔伝にてついに本編登場。ストーリーでは味方キャラクターとして主人公と共に道満の野望を阻止すべく行動する。一部ミッションでは味方NPCとして同行も行う。
DLC第3段で追加されたエンドコンテンツ「奈落獄」では、「援者招来」の効果でボス戦で共闘してくれる。
…が、どうもこの援者招来のハズレ枠として用意されているのか?と言うくらい役に立たない。*12
発動、弾速共に非常に遅い陰陽術を繰り出しては外し、接近戦でも攻撃頻度が低い為ボスの気を引かない。たまに気を引いても耐久力が低いためすぐ休憩する。
余りに弱すぎるためか、Ver1.23アップデートにて「攻撃行動の頻度増加」と言う調整がかけられた。
これにより属性やられを引き起こしやすくなり、彼の陰陽術が3属性網羅していることも相まって「混沌*13」前提の高難易度ではそれなりに有用になった。
ただし踏み入れた者を敵も味方も構わず回復してしまう活源符*14の使用頻度も大幅に上がったことや、
陰陽術のエフェクトが邪魔でボスの動きが見づらい、そもそも火力・気力削り能力や囮性能が他の援者に劣る等で、前よりはマシだが援者ガチャの中では最下位。

リマスター版にて冥術の扱いに長けたクラスとして「陰陽師」が追加。
その中でも安倍晴明、蘆屋道満をモデルとするキャラであるセイメイとドウマンは魔力・理力・素早さが高く冥術士としては他のキャラを圧倒する能力を誇る。
セイメイは冥術の威力こそドウマンに劣るが、器用さも高いため小剣や弓でも戦える。
サラマンダーを仲間にするルートでは冥術が殆ど解禁されず本領を発揮できない点に注意が必要。

ついに藤原道長繋がりで大河にも登場。名前の読みは「はるあきら」で、演じるのはユースケ・サンタマリア。

※あといっぱい。追記お願いします。



【晴明桔梗】

晴明神社でシンボルとして扱われる五芒星は、晴明が五行の象徴として扱ったとされるもので、日本では晴明紋、安倍晴明判、晴明九字、あるいはセーマンとも呼ばれる。
また、桔梗紋の変化として晴明桔梗とも呼ばれ、家紋、神紋として伝わる。
また、早九字の形を表す横五本、縦四本の線が格子状に合わさったドーマン(こちらは芦屋道満に由来するとされる)と合わせて、ドーマンセーマン、またはセーマンドーマンとして民間の魔除けにまで浸透していた。





追記修正はドーマンセーマンしてからお願い致します。

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最終更新:2025年01月22日 00:18

*1 西暦921年2月21日-1005年10月31日没

*2 2024年度NHK大河ドラマ『光る君へ』では「はるあきら」と読む説を採用

*3 白河天皇が院政を行っていた1080年代~1120年代に成立

*4 1120年代以降に成立

*5 ただし、史実の晴明は中年を過ぎてから弟子入りしているために、元は保憲の話であったと思われる。

*6 享保19年、西暦1734年に助演された

*7 本作では河内郷士の悪漢。ほかのバージョンでは道満の弟のこともある。

*8 さらに道満のエピソードにも妹の花町や妻の築羽根といった魅力的な女性キャラが登場してくる。

*9 方相氏が宮殿中の魑魅魍魎を祓う大陸伝来の儀式で、これが宮廷外の神社仏閣での鬼遣や、さらには民間の節分の儀式として広まったと考えられている。

*10 ちなみに息子の名は史実準拠だが、妻の素性は作者オリジナル。

*11 厳密には「異世界に転移していなくなったので、その時点で元の世界では行方不明(≒死亡扱い)とされた」という理屈。

*12 一度引いた援者招来は、再び道中となる彼岸を突破しないと変わらない為、再抽選が面倒な仕様

*13 複数の属性やられを同時にかけることで発生する状態異常。気力・妖力の回復量大幅低下、防御力減少等を伴う

*14 高難易度では耐えて2発、下手すりゃ一撃死のプレイヤーより、百発以上殴らないと倒せないボスの方が当然回復の効果が高い