ゲームにおける死亡・消滅エフェクト

登録日:2021/08/11 Wed 11:32:03
更新日:2024/10/31 Thu 23:19:57
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当頁では、ゲームにおける死亡・消滅の演出(エフェクト)について扱う。


概要

ゲームにおいては、大抵の場合、何かしらの敵を倒しに行くことが目的になることが多い。
なので、敵を倒した、または失敗して味方が倒されてしまった時には、それが分かるよう何かしらの演出(エフェクト)が、施されることになる。
この演出について、当項目では、キャラの死体等が残る場合は死亡エフェクト*1、最終的に消えて無くなる場合は消滅エフェクトと呼称し、まとめて取り扱う。

なお、敵を倒した時ではなく戦闘そのものが終わった時の勝利のファンファーレやリザルト画面、ゲームオーバー画面等は『勝利・敗北画面』であり別物なので、本項では取り扱わない。
この境界線が曖昧なゲームもあるが、この項目では死亡・消滅エフェクトについて
「キャラクターのHP等の個別の体力を示す数値が0になってから完全に動かなくなり沈黙するまでの、対象のキャラクターにのみ施されるエフェクト」
と定義し、それ以外は勝利・敗北画面といった様に分けて考える。


なぜ死亡・消滅エフェクトは必要なのか

敵を倒した時、最も理想的な表現は何だろうか。
それは、その死をリアルに、正確に描写することだろう。
しかし、斬った敵が血しぶきをあげながら悶え苦しみ血の池と化した地面をのたうち回り、死ぬか否かに関わらず倒れるシーンなぞ、ゲーム機の能力で表現できるわけもなければ(今現在の据え置きハードでならまぁその気になれば可能だろうが)、残酷な描写として規制されるだろうし、スプラッターな趣向な作品でもない限り割に合わないだろう。
ゲームの敵なんて雑魚的であれば大量に湧いて来るし、そんなやつらがやられたシーンにいちいち構っている時間もなければ、その死体も邪魔でしかない。わざわざゲームで死体蹴りというのも気が引けるし、倒さずにやり過ごす方が良いケースも多かろう。

でも一方で、ボスキャラクターであれば敵を倒した爽快感は楽しみたい
ただパッと敵が消えて無くなればそれいい、というわけにはいかないのだ。
ゲームにおける死亡・消滅演出は難易度やストーリーには影響しないものの、撃破時のエフェクトが気持ちのいい物だとプレイヤーの達成感を強めることにつながる。
逆に、この演出がいい加減だと、イマイチ敵を倒した実感が沸かない、ということで作品の評価すら落ちることがある。
強力な力を持ち世界を支配せんとする闇の魔王を倒したのに、テレレン♪という軽いSEと共に魔王がスッと消えたら、本当に倒したか疑わしい物だろう。
とはいえ、ザコ敵を倒すたびにいちいちド派手にやられてもゲームの進行テンポが削がれたり視覚的に邪魔にもなるので、ここらへんの匙加減も意外と難しいと言えるかもしれない。

そんなプレーヤーの要求に応えるべく、演出に使える技術やハードの限界、容量の都合等に縛られながらもどうにかして、敵を倒したこと、または味方がやられたことをプレイヤーに伝えるべく、様々な試みがなされてきたのだ。


よくある、ゲームにおける死亡・消滅エフェクト

ここでは、代表的なパターンについて一つ一つ解説していく。
なお、普通はこれらの演出は組み合わせて使われるものである。
例えば、B2W2までの本編のポケットモンスターの場合、ポケモンが倒されると
「〇ポケモンの鳴き声が流れる+〇ポケモンのグラフィックが下に落ちるようにスクロールアウトする+〇その際、ヒュン、というSEが鳴る」
という3つの組み合わせになる。
なお、据え置き型やXY以降の本編だと、スクロールアウトせずに縮んで消える。トレーナー戦の場合はモンスターボールに戻る描写もされる。

  • 専用のSEが鳴る
演出に応じて、専用のSEが流れる。ほぼ全てのゲームで存在すると言っていいだろう。
敵が消えるならズガァァン…みたいな音が、爆発四散するならボォォォオオン!!みたいな爆発音が、倒れ込むならドサッという音がしたりする。
あまりにも特徴的な効果音だと、ゲームの名物になることも。

格闘ゲームはほぼこれ。RPGでもポケモンは倒れる時に鳴き声をあげるし、アクションゲームでもメタルスラッグのように敵が個別に断末魔を持っているゲームもある。
逆に、敵を倒した側が「やったぞ!」とか喜びの声を上げることが死亡演出に含まれていることも。

  • 徐々に薄くなって消える・点滅しながら消える
FC・SFC・PS1の頃のファイナルファンタジーなどのRPGを筆頭に、主に非アクション系のゲームで多用される演出である。
撃破のSEと共に少し時間をかけて消滅する。
赤みがかったり、エッジ抽出したような状態になったり、徐々にバーコードの本数が減るような感じで薄くなったりとバリエーションも豊富だ。

  • 弾ける・爆発する
花火や、爆風・爆発のエフェクトが敵の上に表示され、爆風が収まると敵が消えているパターン。
スペースインベーダー等でもお馴染みの由緒ある演出で、こちらはアクション系のゲームに採用例が多い。
爆炎や爆煙と一緒に「BOOOM!!!」「ドッカーーン!!」メメタァといった擬音が表示される事も。

  • 両断される・切り刻まれる
斬撃によるとどめによくあるパターン。有名なのはFFシリーズのオーディンによる斬鉄剣
多いのは横一文字や縦一文字で切った方向に応じて真っ二つ。作品によっては滅多切りに合わせて細切れになるパターンも。

  • コナゴナになる・砂になって崩れ落ちる・光の粒子のようなモノになって舞い散る
バラバラに分離したり、体が徐々に粉微塵となり消えてゆく。
かつては、時間がかかるためザコ敵で使われることはほぼ無く、元々多数のパーツで構成された巨大ボス(シューティングのボス等)に用いたり、FF6ケフカ七英雄(ロマサガ2)などラスボスクラス専用なことが多かった。
近年ではハードの進化によりこの撃破演出を処理しつつ平行して戦闘続行できるようになったので、ほとんどの敵がこれ、というゲームもある。
90年代中頃のローポリ全盛期にはガラス細工が砕けるようにポリゴンがバラバラになって飛び散る演出もよく見られた。
また『FINAL FANTASY Ⅹ』では、「魔物は死ぬと光の粒子状な『幻光虫』に戻って散る」という形で世界設定と死亡エフェクトの整合性を取っていた。
凝ったゲームだと、敵を石化・凍結で倒した時のみ砕けて消滅したり、火達磨にして倒した時のみ消し炭になって崩れ落ちるものもある。

  • 回転する
特にアクションゲームのプレイヤーキャラの死亡時に多い演出。回転軸は視点によってさまざまだが、その場で数回回転した後、倒れるなどする。
スーパーファミコンでは回転機能と拡大・縮小機能をハード側でサポートしていたのが売りだったこともあり、特に初期のタイトルほどボスキャラクターが死ぬとグルグル回ったり拡大縮小することが多い。

  • その場に倒れ込む・突っ伏す
キャラクターがその場でヒザを付いたり、意識を失って倒れ込む。
ファイナルファンタジーで味方が倒された場合は敵が死んだ場合と違ってこうなるし、格闘ゲームは普通これ。
近年のポケットモンスターの様に、3Dグラフィック技術が発達したため、この演出に変更されたゲームも多い。
普通に倒れたのでは面白くないのか、大げさなポーズをとって倒れたり、スローモーションでゆっくり倒れたりもする。

味方側にこの演出があるゲームの場合、何かしらそこから復活させる方法がある事がほとんど。
倒れた味方にも判定があり、攻撃されると消滅したりすることもあれば、味方の死体で敵の進軍を食い止めたりできてしまうことも。
敵側にこの演出がある場合、モンスターハンターピクミンの様に死体から資材をはぎ取ったりできる印象が強い。
まぁ、ダークソウルの一部の敵の様に意味も無く死体が残り、視界を塞いでくるパターンもあるんだが。

  • 画面下まで落ちる
かつてのマリオカービィ等の2Dアクションゲームで愛用されたおなじみの演出で、画面外のはるか下までキャラが落っこちていく。
ゲームによっては落ちていくキャラにも判定があり、画面下側にある宝物をこのミス落下で回収するとかいう無茶苦茶な仕様のゲームもあった。

  • 下に向かってスクロールアウトする
上記の類例だが、こちらはキャラがその場で下にスクロールしつつ足元から消える。ボッシュート
かつてのポケモンなど多くの2D非アクション系の作品で「その場に倒れ込んでいること」の表現として用いられていた。
最もわかりやすいのはメタルギア2で硫酸を踏んでしまって即死した場合だろうか。足元から溶けているのが実にシンプルに表現されている。

  • 吹き飛ぶ
画面外まですっ飛んでいく。
ワリオクラッシュ・バンディクー等のパワフルなキャラが登場するゲームで敵を倒した時のリアクションによく使われる。
乗り物や騎乗動物等による疾走シーンで敵や障害物を跳ね飛ばしていくものもよくある。
実は吹っ飛んだ敵キャラにも判定が残っており、追撃できるバグはレトロゲームのあるあるネタ。3Dゲームだと仕様からして他の敵を巻き込む場合も。

例外的に、大乱闘スマッシュブラザーズはこの吹き飛ばすか画面下に落とすことそのものが基本的な勝利条件となっている。

また以下の様な特殊な吹き飛び方もある。
「空の彼方まで飛んでいき表示が豆粒に→お星様キラーン☆」
「画面手前に向けて飛ばされる、モニター表示面(カメラのレンズ?)にビターンと張り付く事も*2

  • 転送される
相手を倒すのではなく、捕獲・逮捕したい場合等、他にも死亡をほのめかす描写を極力避けるために用いられる。
例えば、サルゲッチュは騒ぎを起こすサルは捕獲することが目的であり、アミでサルを殴る捕まえるとサルが捕獲機へ転送される。

戦闘不能になった際に、敵にトドメを刺されないよう安全地帯に撤退する装備をしているパターンもこれ。
近年ポケモン作品のモンスターボールに戻る演出なんかも分類される。

消滅エフェクトの定義からは外れるが、Splatoon等のキャラが特定の地点で復活する、いわゆるリスポーンもネット対戦ゲームが充実した近年でよく見られる。

  • 天に上る
まっすぐ上にキャラが移動する。
その際、背中に白い羽や頭上に輪っかがつき…つまりは天使が昇天するようなエフェクトがつくことがほとんど。
他には呪いの館とか。

  • 魂が抜ける
上記の亜種といえるエフェクト。
頭に輪がついていたり、「ムンクの叫び」のような表情になったり、羽が生えたり、足がなくなったりした半透明の魂がキャラから抜け出て昇天する。
キャラの姿ではなく火の玉のようなものやハートだったりする場合もある。
機械系キャラから魂が抜け出るのに突っ込むのは野暮というものだ。

  • 潰れる
マリオがクリボーを踏む時がこれに該当。
初代マリオでは他の敵がクッパも含め上述の画面下まで落ちるやられ方をするする中、地味にクリボー専用の消滅エフェクトである。
ゲームによっては、踏み潰しや叩き潰し・轢き潰し等でペタンコになるものも。

  • 色が変わる
色が白黒2色の遺影のようなデザインに変化する。赤い場合や、真っ黒に塗りつぶされるパターンもあり。
死んだキャラがいつまでも表示されるのは邪魔でしかないため、ホラーゲームや推理ゲーム等の死者が重要なゲームで採用例がある。

  • 死体を表現する専用のグラフィックが表示される
墓や・棺桶等の死亡を表すアイコンに置き換わる。いちいち全キャラの死体グラフィック等作っていられないため、全員一律、同じグラフィック。
明らかに骨がない敵なのに、死ぬと骸骨の絵が表示されることにツッコミを入れるのは野暮という物だ。
やや曖昧だが、ポケモンを捕獲するのも「敵をモンスターボールのグラフィックに置き換えている」ともみなせる。

  • 持っているアイテムをぶちまける・落とす
そのキャラが所持しているアイテムやドロップアイテムが周囲に配置される。
ボンバーマン等の「キャラは死亡して死体も爆散するが、アイテムまで消滅するとゲームバランスが悪くなってしまう」場合こういうことが起きる。
オープンワールド系のゲーム、特にオンラインゲームではこの形で敵を倒した報酬が得られる。

  • 暗転する・光に包まれる
一瞬、画面が真っ暗になったり、真っ赤になる。あるいはキャラが光に包まれる。
暗転・赤転が終わる、または光が消えるとキャラが死体になっていたり、消えていたりする。
ボスやそれなりの強敵が死ぬ時も、全身からハデに光を放出しながら消滅することがあるが、あれは何の光なんだろうか。

  • 服が破ける
えっちなげーむでよくある。あと龍虎の拳
倒していても殺したいワケではない、エロい目にあわせたいだけなのだ。
ただ、調子にのって大破させないように。

  • カットイン
撃破した事を漫画の一コマの様に示す画像が、割り込み表示される。
原作漫画があるゲームの場合、本当に漫画のコマを用いる事もある。
必殺技での撃破演出の他、そのステージ最後の敵にトドメを刺した時にカットイン→ステージクリアという形で演出をつなげたり、双方の演出を同時に行う事も。

  • イベントが始まる・ムービーが流れる
キャラのHPが0になった瞬間にイベントが始まったり、専用のムービーが流れる。
言うまでもないが、特別な戦闘における、かなり上級のボス格、または重要な味方専用の演出に限られる。

このタイプでの変わり種としては、スーパーロボット大戦シリーズにおけるトドメ演出だろうか。
この項目における死亡・消滅演出が豊富に揃っている他、原作に準じた演出も多く存在する。



ゲームシステム上、実質的に死亡・消滅エフェクトと言える物

以下は、死亡・消滅エフェクトの定義からは外れる、エフェクトではない、プレイヤーからは死亡エフェクトと思われていない、等の特殊な例。


  • スローモーションがかかる・セリフにエコーがかかる
他の演出と併用されることが前提で、キャラがゆ~~っくり倒れたり、うーわうーゎぅーゎ…と長い断末魔をあげる。
ストリートファイター等、格闘ゲームではお馴染み。
勝利演出との境目が曖昧なところではある。

  • パッと消える
古いゲームでは演出に割ける容量がなかったため、SEと共に敵が消えるだけ、ということも無くはなかった。
演出と言えないレベルだが、チェス等のゲームでも相手の駒がパッと消えるだけという処理で終わることもある。
近年においては、幽霊の敵を倒した場合など異質さの表現で用いられることはある他、FF10で敵を捕獲した場合の様に「撃退はしたが殺したわけではない」ということを強調するためにこの演出(?)を用いることもある。

  • 画面の色やキャラ名表示の文字色が変わる
ドラクエやMOTHERの様な、味方キャラのグラフィックが表示されないゲームで用いられる。
ただHP表示が0になるだけではなく、表示が赤くなることで、ピンチを表現している。

  • 撤退する・逃げ出す・隠れる
戦場外へ一目散に走り去る。
逃亡や撤退も、ゲーム上は戦力を失うという点で負けと同等である。むしろ蘇生ができない分、よりきつい場合も。

なお、戦闘に負けはしたが死亡したわけではない、ことを表明するためにHPが0になったら逃げ去る台詞やカットインを残すというゲームもある。

  • 石になる・氷漬けになる・痺れて動けない、等
これらの状態異常が死亡とほぼ同義のゲームであれば、死亡エフェクトの一種とも言える。

  • 特に何もない
何の演出もないパターン。
敵も味方も1体しかいない場合、わざわざエフェクト処理などせず「勝利!」とか「GAME OVER」等の勝利・敗北演出に移行すればいいだけなので。

  • 新しい敵と入れ替わる
昔のゲームはシステムの都合上、第1形態を担当する敵が倒れると第2形態を担当する別の敵と入れ替わる、ことで形態変化を表現していた。
あまり意識はしないが、ドラクエをはじめとした、多くのFC・SFCのRPG作品等で使われた手法である。
味方側でも、HPが0になったら控えのメンバーと入れ替わるシステム、がある作品がこれに該当する。




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最終更新:2024年10月31日 23:19

*1 実際は死亡しておらず、戦闘不能なだけの場合も含める

*2 ついでに画面にヒビが入ったり