星雲仮面マシンマン

登録日:2023/06/13 Tue 23:48:20
更新日:2024/12/22 Sun 19:39:18
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『星雲仮面マシンマン』は、1984年に日本テレビ系列にて放送された特撮ヒーロー番組である。

+ 目次

番組情報

放送期間 1984/1/13-1984/9/28
放送局 日本テレビ系列
放送日時 毎週金曜17:30-18:00
話数 全36話(本編35話、最終回は総集編)
OP Mojo「星雲仮面マシンマン」
ED Mojo「おれの名はマシンマン」
前番組 ピュア島の仲間たち
後番組 機甲界ガリアン


概要

当時スーパー戦隊シリーズ、及びメタルヒーローシリーズを制作していた東映が、バンダイからの打診に「もう一本くらいはいける」として制作された作品。
元々は当時人気を集めていた『マシンロボ』の発展として企画された作品だが、明確に繋がりがあるわけではない。

がメインターゲットとなる児童よりも高い年齢層の支持を得たのを受け、よりそちら世代への訴求力を増す事に注力していた同期の『超電子バイオマン』や『宇宙刑事シャイダー』と比べると、比較的低年齢層を意識した作品作りが行われており、「ご町内を舞台に繰り広げられる正義と悪の小規模な戦い」というテーマと合わせ、ちょうど戦隊/メタルヒーローと東映不思議コメディーシリーズの中間のような位置づけの作品となった。

小林修氏による視聴者へ語り掛けるような、親しみやすい(時に馴れ馴れしくも聞こえる)ナレーションや、番組中盤から導入された番組に寄せられたマシンマンへの質問を紹介するコーナーも、そういう方向性を如実に示していると言えるだろう。

……しかし、このコーナーでは投稿者の名前や住所をがっつり読み上げており、当時と現在の個人情報に関する認識(コンプライアンス)の違いを意識して見ると困ったコーナーでもある。

バイオレンスな描写も少なく、敵首領であるプロフェッサーKとレディーMを除き、人間の死者が最後まで出なかったのも特徴。
「罪を憎んで人を憎まず」をどこまでも貫く“強く優しい星雲仮面”の雄姿は、『すごい科学で守ります!』において「宇宙最強のご町内の神様」と評された。
それじゃ美少女仮面だろ、とは言わない

原作はお馴染み石ノ森章太郎氏。
メインライターはこれまた東映特撮ファンには説明不要のベテラン・上原正三*1氏や高久進氏を起用。
また、刑事ドラマ『太陽にほえろ!』などで活躍していた杉村升氏の特撮シナリオデビュー作ともなった。
音楽にはルパン三世シリーズで知られる大野雄二氏を起用しており、主題歌を含めジャズ調の一味違った音楽を楽しめる作品となっている。

なお、本作は単独作品であり続編などはなく、後番組もアニメに変わったが、後に放送された『兄弟拳バイクロッサー』が同じ「正義の味方VS子供をいじめる意地悪じいさん」路線の第二弾として位置付けられており、どんな媒体でもおおむねセットで扱われる。


あらすじ

アイビー星の大学生ニックは、相棒のボールボーイと共に太陽系の惑星群に関する卒業論文の制作のため地球にやってきた。
地球の文化や人々に触れたニックは地球を気に入るが、子供を狙う悪の組織「テンタクル」の存在に気付く。
ニックは高瀬健の名を使ってしばらく地球に滞在し、星雲仮面マシンマンとして子供達のために戦うことを決めたのだった。


登場人物

ニックと周囲の人々

  • ニック/高瀬健
演:佐久田脩
プレアデス星団・アイビー星からやってきた大学生。
元々は地球に限らず他の惑星も回るつもりだったのだが、地球や真紀の事を気に入ったので長期滞在する事に決めた。
当然地球の文化や有名人については疎く、当初は信号のことでさえ理解していないほどで、真紀や子供達に「そんなことも知らないの?」と度々呆れられる。
穏やかで心優しい性格であり、地球に来て僅かの間に多くの人に慕われるようになった。
健としての姿では変装のために伊達メガネをしている。
彼の乗ってきた宇宙船「スペースコロニー」は湖の底にあり、普段はそこで過ごしている。
彼の変身するマシンマンについては後述。

  • ボールボーイ
声:曽我町子
野球ボールに目がついて手足の生えた小型ロボット。
体の小さいことを生かして偵察をしたり、戦闘時にもファイティングボールとして投げつけられたりしている。
少々生意気なところもあるが、ニックと共に戦う立派な相棒である。
なお、アイビー星ではみんな彼のようなロボットをパートナーとして生活しているらしい。

  • 葉山真紀
演:塚田聖見
雑誌のカメラマンをしている女性。ボールボーイ曰く、気が強いがチャーミング。
健の事はなんだか頼りなく放って置けないと思いつつ、次第に惹かれていくようになる。
勝という弟がおり、彼も健を兄のように慕っている。
なお、マシンマンの名前も彼女がつけたものである。

  • 荒田
演:江藤漢
真紀の上司である編集長。
横暴で自分勝手な性格で、部下に無茶苦茶な命令を出す一方自分はふんぞり返って何もしない事が多い。

テンタクル/オクトパス

作中に登場する悪の犯罪組織(一応)。
テンタクルはプロフェッサーKの作った組織だが、近所の意地悪じいさんが趣味で運営しているようなものであり、戦闘員などは存在せず、K→モンス→アンドロイド兵士(ドリル男など「○○男」と呼ばれ毎回変わる片腕の武器と2種類ある頭以外はスーツを完全に使いまわしている)という完全縦割り構造になっている。

テンタクルはマシンマンにモンスとアンドロイド兵士全員を倒されて事実上壊滅、その直後にKの姪のレディーMが率いる「オクトパス」という組織が現れた。
戦力としてはレディーMの友人の犯罪者と、Kから贈られた7体の新型アンドロイド兵士が存在する。

オクトパスは宝石強盗などの犯罪をする事も多かったが、テンタクルはそういった窃盗関係の悪事すら数少ないという異端の組織。
二つの組織に共通する目的は子供をいじめ、泣かせて、首領のストレスを解消する事。そしてついでに、その障害となるマシンマンを倒す事である。

  • プロフェッサーK
演:天本英世
テンタクルの首領である孤高の天才科学者。
人間にも変装可能で強力なアンドロイド兵士を作る技術力と資金を持っているが、世界征服を俗な事として興味を示さない。
個人的な欲望もあまり無いが、切手のコレクションをしているようで、その際には子供の夢を奪う目的も兼ねて盗もうとした事はある。
最大の特徴として、なんと子供の笑い声を聞くとくしゃみが止まらなくなるという特異なアレルギー体質を持っている。
子供の泣き声を聞けばそれが治まるため、その優れた科学力を子供をいじめる事に全て注ぐという困った性格の持ち主。
しかし子供は子供でも赤ん坊相手にはアレルギーも出ないようで、文句を言いながらも世話を焼いた事がある。
趣味は絵画で、後に空飛ぶ自転車を発明してアジトの外でも絵を描いている。
また、部下のメカオウム(声:太地琴恵)やアンドロイド兵士には非常に強い愛着を抱いており、右腕でもあったモンスが倒されると傷心旅行のためにスペインに旅立ち、一時的にマシンマンの前から姿を消したほど。
後に帰国してレディーMと共に子供をいじめ倒すが、マシンマンに追い詰められたため、カタルシスウェーブによる改心を良しとせず、自ら消滅の道を選んだ。

  • 鉄人モンス
声:西尾徳
プロフェッサーKの右腕でもあるテンタクルの最高幹部。
Kの忠実な部下だが、その科学力で世界を征服するべきだと考えており、しばしば文句を漏らす事がある。
が武器で、胸からは破壊光線を発射可能。
物語中盤の17話で強化されるもマシンマンによって倒されるが、帰国したKにより3倍の力を持つゴールデンモンス(声:飯塚昭三)として復活、マシンマンに最後の戦いを挑んだ。

  • 井守蛇吉
演:天本英世
Kと瓜二つの老人。
テンタクルのメンバーではないが、一時的にKと協力関係になった。
Kと同様子供嫌いで、彼の場合は子供の笑い声でしゃっくりが止まらなくなってしまう。
そのせいで趣味の彫刻制作も上手くいかず、人に認められないでいるため子供を憎んでいる。
マシンマンのカタルシスウェーブにより善人となり、その際、しゃっくりの発作も治まって子供と仲良くするようになるが、それを見ていたKは自分が子供と仲良くしているみたいだとして立腹していた。

  • レディーM
演:湖条千秋
プロフェッサーKの姪であり、オクトパスの首領。
彼女もKと同様子供の笑顔アレルギー持ちであり、彼女は鼻が真っ赤になってしまうというもの。
美貌を誇る彼女にとってはこの上ない屈辱であり、子供に容赦の無いいじめを繰り返す。
怪盗黒猫、怪盗ソルトマなど世界中に犯罪者の友人を数多く持っており、宝石強盗などの際に呼び寄せて協力してもらっていたが、途中からはアンカー男など新型アンドロイド兵士を使うようになった。
最後はKと共に自ら消滅の道を選んだ。

  • トンチンカン
演:大島宇三郎
レディーMの側近の男性。
頭は悪いが力はマシンマンに匹敵するほどであり、幾度となくマシンマンを苦しめた。
最後はカタルシスウェーブによって悪の心を消され、子供のように純真な性格となって更生した。

星雲仮面マシンマン



「ドルフィィィィンッ!!」

ドルフィンは、マシン空間ハイウェーで
高瀬健に電送されるのだ!


そして高瀬健は、ドルフィンの中で、
マシンマンになるのだ!!


ニック(健)が変身するヒーロー。
ニックが眼鏡を外して(←ここ重要)ワープスロットルを掲げ、マシンドルフィンを呼び出し、その中で「イクシードコンバート」する事によって赤と黄色、黒のウォーリアスーツを身に纏いマシンマンとなる。
口元の露出したヘルメットが特徴で、宇宙刑事よろしくここぞという時にはバイザーの中の目が光る。
背中には透明のマントがあったが、序盤ですぐに収納されるようになった。
なお、マシンマンの名前は元々のものではなく、真紀が「すごいマシンに乗ってきた」からと名付けたものであり、ニックもその名前を気に入ってマシンマンと名乗るようになった。
胸に輝くMマークや、名付け前から使ってたマシンサンダーの名前は多分偶然の一致。

  • ドルフィン
マシンマンの操る超高性能マシン。
陸上を走る車両形態の「マシンドルフィン」、空中を飛行する「ドルフィンジェット」の2つの形態を持つ。
しかしあまりに小型であり、乗り込むというより入るという方が正しく、走行中はマシンの中でうつ伏せで下を向いた状態になっているというとんでもないマシンである。
流石におたよりコーナーでも突っ込まれたが、正面を見えるモニターがあるので、運転には支障がないらしい。
なお、玩具ではロボット形態もあったが、作中には登場しなかった。

  • ワープスロットル/スロットルガン
ドルフィンを呼び出す小型デバイス。
戦闘時にはスロットルガンとなり、光線銃として扱う

  • イクシードパンチ
マシンマンの代表的な技の一つ。
パンチとは言うが光線技である。

  • ファイティングボール
ボールボーイを投げつける必殺技
ボールボーイも威勢よく突っ込んでいくのだが、大体打ち返されることの多い不遇な技でもある。

  • レーザーサーベル
マシンマンの扱うレイピア状の剣。
エネルギーを集めることで細身の刀身が発光する
剣技だけでなく、バリアを張る事も可能。

  • マシンサンダー
レーザーサーベルに稲妻を集めて敵を切り裂くマシンマンの必殺技の一つ。

  • カタルシスウェーブ

カタルシスウェーブは、人間の悪い心を、
善に変える作用があるのだ!

マシンマン最大の特徴とも言える光線技。
必殺技ではないのは、これが相手を倒す技ではないからである。
レーザーサーベルで相手の胸をM字に切り付けて昏倒させてから浴びせる。
すると悪の心が反転した善人となり、自首したり罪を悔い改めたりする。
早い話が洗n…改心光線である。
しかし、これに頼らず子供の説得で改心させた場面もあるため、あくまで更生の余地が無い悪人に対して使う技なのだろう。

その他

  • マシンマンという名前はダイナミックプロが元々商標登録していたのだが、永井豪氏と石ノ森章太郎氏の関係が良好だった事もあり*2、円満に譲渡してもらえたらしい。

  • プロフェッサーKを演じた天本英世氏は大のスペイン好きであり、作中でもスペインで撮影した写真が使われている。
    • 本作中盤でKが一時的にスペインに旅に出るが、実は天本氏が毎年行っていたスペイン旅行の日程と被っていたためであり、それに合わせて一時降板という形で物語から離れる事になったのだった。この逸話は、『マシンマン』という作品の持つ独特な「ユルさ」の象徴として語り草になっている。
    • また、天本氏は雑誌のインタビューで「『マシンマン』のスタッフは子供を大事にしていない」という痛烈な意見を述べたこともある。



  • マツコ&有吉の怒り新党』にて「異常に車体の低い車に乗るヒーロー」として紹介された事がある。
    • この番組では『バイクロッサー』も紹介された事があるのだが、その時のテーマは「異常に大人げない悪の組織」であった……。


追記・修正はカタルシスウェーブを浴びてからお願いします。

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最終更新:2024年12月22日 19:39

*1 氏は本作では「泉崎敬太」「木原光」という変名も用いていた。『シャイダー』との兼ね合いか?

*2 両者は師弟関係にある。