ケイエスミラクル(ウマ娘 プリティーダービー)

登録日:2023/09/27 Wed 10:55:11
更新日:2025/04/29 Tue 10:50:01
所要時間:約 26 分…それでおれのこと、知ってもらえたら嬉しいな。


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おれ、いつか絶対、"奇跡"を起こします。
見ていてください、どうか



ケイエスミラクル(K.S.Miracle)とは、『ウマ娘 プリティーダービー』の登場キャラクターである。
CV:佐藤日向

モチーフ元である競走馬『ケイエスミラクル』は当該項目を参照。

+ 目次

◆プロフィール

キャッチコピー:感謝のしるしに奇跡を。優しく穏やかなウマ娘
生年月日:3月16日
身長:156cm
体重:スマート
スリーサイズ:B79・W51・H77
靴のサイズ:左:22.5cm 右:22.0cm
学年:高等部
所属寮:栗東寮
得意なこと:道案内、耳コピ
苦手なこと:濃すぎる味付け、サイレンの音
耳のこと:笑い声が聞こえると少しだけ揺れる
尻尾のこと:せっけんの香りがする
家族のこと:両親と話す際は少しだけ言葉数が多くなる
ヒミツ:①好きな絵本の影響で白鳥モチーフの持ち物が多い / ②寝言がけっこう大きい
自己紹介:…おれは、ケイエスミラクルです。この命をくれた、みんなに報いて…必ず、奇跡を起こします
担当トレーナーの呼び方:トレーナーさん、あなた


◆概要

デビュー前に命の危機に瀕するもその名の如く奇跡的に回復し、そして僅か8ヶ月という短い期間を駆け抜けたスプリンターの競走馬『ケイエスミラクル』がモチーフのウマ娘
2022年8月21日のぱかライブTVにおいてダイイチルビーと共に新規追加が発表されたウマ娘の1人。
史実での"華麗なる一族"というネームバリューや、アニメ2期でのダイタクヘリオスの匂わせなどで知名度のあったダイイチルビーとは対照的に、
ウマ娘界隈は勿論、競馬界隈においてもかなりの意外なチョイスであったことで当初から話題を呼んだりもしていた。

クリアブルーのショートヘアーに儚げな蒼い瞳、スラリとしたスレンダーな体型、両耳の黄色いイヤーカバーなどが特徴。

一人称は「おれ」。「」でも「オレ」でもなく平仮名で「おれ」な点に要注目。
しかし他の俺っ娘たちのイメージとは少し違い、荒々しさや男勝りといった要素とは程遠い、線の細い見た目に違わぬ非常に温和で心優しい性格をしている。

周囲との接し方も非常に物腰穏やか、困っているウマ娘を目にすれば迷わず手を差し伸べる他者愛に満ち満ちた立ち振る舞いから、
正に儚げな王子様といったイメージで、他のウマ娘から黄色い声援を浴びたりすることも。

ルームメイトのダイイチルビーをはじめとし、クラスメイトや同期のライバルからもその優しさから慕われている人気者、
また入院・通院における交流から同じように体が弱く入院生活を送っている多くのちびっ子たちからも慕われている。
両親をはじめとした親しい間柄の人からは「ケイちゃん」という愛称で呼ばれている。

そんな彼女だが史実が史実なだけあり、内に抱えている過去の経験とそこから来る決意は数あるウマ娘の中でも非常に重たいもの。

幼少期は体が弱く病院で寝たきりの状態が日常、両親が一生懸命に食べやすい食事を作ってくれても体の弱さからすぐに戻してしまう程。
時には生死の境を彷徨うような危機的状態にまで陥ったこともあったが、両親や病院の先生、その他多くの人たちの支えによって生き抜いてきた。
そしてその先で一命を取り留め体の状態も回復するという、正に"奇跡"のような出来事の果て、
嘗て幼少期に病院のベッドのテレビで、レースを走るウマ娘の姿を目にして芽生えた「あんなふうに走ってみたい」という思いの下、
高等部からの編入という形で、トレセン学園に入学し今に至る。

そういった経緯から、今は学園内で他の生徒と共に当たり前の日常を送れる程度には容態は安定しているものの、生来の体の脆さは依然付き纏っており、
ふとした弾みですぐにまた全てが壊れてしまうという危うさを孕んでいる。
プロアスリートという側面から大半が平均以上の大食漢な他のウマ娘たちと比較すると非常に小食でもある。

上述した心優しさ、他者愛の強さについても、自分は周囲の人たちの助けによって今、この場に立っていられるという思いの強さから来るものであり、
常日頃からそんな周囲の人々に恩返しをしたいという気持ちが彼女の原動力になっているといえる。
だがこれは悪く言うと「周囲の助けと優しさ無しには自分は今を生きることすらできなかった」という、
いっそ異常と呼んでもいいくらいの自己肯定意識の低さの裏返しとも呼べるものであり、
恩返しのためならば文字通りの意味で"自分の全てを捧げても構わない"という悲痛な覚悟すら秘めているのである。
その上で自分に返せるものは、レースで走ること、勝利することくらいしかないという感情も併せ持っており、
それが後述の走りの在り方にも大きく影響している。
また、自身の体質で周囲に心配をかけさせ続けたという自責の念からか、逆に優しくされることはかなりの苦手意識を持ってしまっている。
彼女の優しさに友人たちが返そうとすると、当のミラクルは微妙な気持ちになってしまい会話が嚙み合わなくなってしまうこともしばしばである。

デビュー前の時点でその実力はエリートの集いである中央トレセン学園においても抜きん出たものなのだが、
その高い才能に対して脆い体が追いついていないこと、そしてそれ以上に自己犠牲の強さから精神面でも非常に危うい部分があり、
限界に対して「止まれない」のではなく「止まらない」その在り方は、ゾッとするような走りだとも称される程である。

プロフィールのヒミツの一つである白鳥モチーフの持ち物が多いという記載については、史実競走馬が唯一勝利した重賞がスワンステークスであったことに因んだものである。


◆舞台版での活躍

Sprinters' Story

2023年1月に上演された舞台版。演者を務めたのはCVを担当する佐藤日向氏。
ダイイチルビーダイタクヘリオスヤマニンゼファーと共に主役で登場。
クライマックスでも1991年、かのスプリンターズステークスに体調が思わしくない状態で出走することになるのだが…


◆アプリ版での活躍

性能

バ場 芝:A ダート:G
距離 短距離:A マイル:B 中距離:G 長距離:G
脚質 逃げ:E 先行:A 差し:B 追込:C
2023年9月20日に☆3「Prism」として実装。
ヤマニンゼファー、ダイタクヘリオス、ダイイチルビーといった他の舞台出演ウマ娘たちが先んじる中、
9月のスプリンターズステークスに合わせてか、遂にケイエスミラクルも育成実装と相成った。

距離適性は史実に合わせて予想通りの短距離が最高適性のスプリンター型、次いでマイルもBと高適性。
絶対数の少ない短距離高適性持ちのウマ娘のため、それだけでも重宝する存在。
残る中距離と長距離は最低のGのため、よほどの修羅トレーナーでもない限りは基本的に短距離・マイル特化型のウマ娘として育成するのが無難であろう。

脚質適性は最高適性の先行を始めとして、何気にどの脚質適性も補正次第で全てAに持って行くことが可能な下地を備えている。
とはいえ固有スキルや覚醒スキルのことを考えるならやはり基本的には先行での運用がメインであろう。

[Prism(プリズム)]

みんなの優しさ、努力…
全部の結晶みたいな服なんです。

画像出典:ウマ娘 プリティーダービー「[Prism]ケイエスミラクル」勝負服
© Cygames・JRA

馬主である高田喜嘉氏の「ケイエス」冠名の勝負服カラー「黄襷黒袖黄一本輪」をベースにした衣装。
グラテーションのかかった濃紺色をベースに、イエローラインの飾りや胸元に白いリボンなどをあしらったパンツスーツスタイルであり、
ミラクルの王子様イメージにピッタリな、ボーイッシュな意匠となっている。

Prism=プリズムは光を分散、屈折させる光学素子を指す単語であり、転じてそれらを含めたガラス、水晶などの透明な多面体も表す。
儚くも脆いケイエスミラクルの姿を率直に表現するワードと言える。

成長率はスピードと根性にそれぞれ+15%。

所持スキル
短距離及び先行スキルに特化したラインナップとなっており、特に覚醒スキルは両方とも先行限定スキルのため、
やはり彼女の真価を発揮させる場合は基本的に先行での育成が推奨される。
特に鍔迫り合いについてはレース終盤における貴重な加速スキルなため、できれば覚醒レベルを上げきってから育成に臨みたい所。

通常スキル:
抜け出し準備、善後策、真っ向勝負、(覚醒Lv2)先行直線〇、(覚醒Lv4)軽い足取り

レアスキル
(覚醒Lv3)スピードスター(最終コーナーで前方にいると速度が上がる/先行)
K.Speed(最終コーナーで前の方にいると速度が上がる、さらに短距離レースならわずかに前に出る/先行)

(覚醒Lv5)鍔迫り合い(レース終盤始めの方で前方にいると加速力が上がる/先行)
命の火花(レース終盤始めの方で前方にいると加速力が上がり、その後残り200m地点で速度がわずかに上がる/先行)



燃えろ、光れ、おれの全部──


ただ一瞬の、


奇跡のために!


画像出典:ウマ娘 プリティーダービー「[Prism]ケイエスミラクル」固有スキル発動」
© Cygames・JRA

固有スキルは「幸せの青い光」。
効果は「終盤始めのどこかで前方にいると少し前に出る、短距離かマイルレースの場合は効果が増える」というもの。
発動条件が終盤始めのとこかで前方とかなり緩めになっており、位置関係的に得意とする先行でなら発動は容易だろう。
その分、素の効果量は固有スキルとしてはかなり控えめなのだが、基本的にミラクルは短距離かマイルを走るのが決定的なため、そちらはあまり気にしなくてもいいか。
よりにもよって育成実装時点でのメインとなっていた育成シナリオが、ほぼ中距離メインだったりしたが。

発動演出において夜の水面を流星と共に駆け抜け、照らし出された明るい空の下で笑顔を見せるケイエスミラクルの姿が何とも幻想的。その演出は某ジブリ映画を思い出すトレーナーが続出。
また故意か偶然か演出ラストのアングルが、史実において似たような最期を迎えたサイレンススズカのそれと似通ってもいる。

おれの走り、おれの全部…
受け取ってもらえたかな。

固有二つ名は「奇跡の立役者」。
取得条件は「スプリンターズSを勝利し、基礎能力[スピード]と[根性]がそれぞれ1200以上、ファン数が320000人以上になる」。
URA、アオハル、グラライ、グラマスといった個別目標達成系シナリオにおいては、スプリンターズステークスの1着が育成目標の1つに含まれるため、これはほぼ自動で達成できる。
残りの条件がなかなかに厄介であり、スピードだけならともかく根性も同時にカンストさせないといけないというのは骨が折れる他、
短距離・マイル特化型のミラクルが320000人以上のファンを獲得するのも厳しいものがある。
根性タイプのサポカやファン数ボーナスなどを意識した編成を心がけないと、取得は難しいと言える。
因みにラークシナリオにおいてはスプリンターズステークス開催の9月後半が海外遠征期間と被っているため、取得不可能となってしまう。

特殊実況はシニア級のスプリンターズステークスで勝利することで発生。
サイレンススズカと同様に史実の悲劇を乗り越えた先の奇跡を称える名実況のため必聴。



サポートカード

2022年9月20日に共通のRとSR【The 3rd MIRACLE】
2023年1月20日にSSR【To you】
2024年3月29日にSSR【白い鳥のアラベスク】がそれぞれ実装されている。


SR【The 3rd MIRACLE】

得意練習は根性。
ミラクル自身の得意とする短距離や先行に関連したスキルが揃っている他、
完凸時には65という高めの得意率、固有効果でスキルPtボーナスなども揃えている。
が、練習性能については友情ボーナスと根性ボーナスくらいしか持っておらず、トレーニング効果アップややる気効果アップは共にゼロのため、練習性能に乏しく評価的には微妙だろうか。


SSR【To you】

得意練習は根性。
完凸時の得意率65や根性ボーナスはそのままに、やる気効果アップが追加されたため、トレーニング性能はそれなり。
また、固有効果で絆ゲージを80以上まで上げればパワーボーナスも追加されるのが魅力的。
連続イベントを完走することでミラクル自身も所持するレアスキル「鍔迫り合い」を取得可能なため、先行育成時におけるレアスキル要員としても重宝するだろう。

さらに、このカードの大きな特徴として「練習周りのステータスは1凸でほぼ完成する(根性ボーナス妥協なら無凸でも可)」ことがある。
真の出力を出すためには3-4凸を要求されるカードが多い中で、固有ボーナス効果が大きいことで無凸から実戦投入できる性能であるというのはそれだけでも大きな魅力である。
他のサポートカードを狙っているガチャですり抜けて入手したり、交換チケットで入手して即デッキに投入しても問題なく働いてくれる。

サポカイラストでは個別ストーリーなどでも描写される病院のプレイルームにおいて、多くの子供たちに囲まれながら得意のピアノ演奏を披露するミラクルの姿という微笑ましい光景が描かれている。

だがよく見るとイラスト後ろの方に車椅子に座るもう一人のミラクルらしきウマ娘のシルエットが映っており、
背後のミラクルこそが現実で、ピアノを弾いているのはミラクルが夢見ている幻の姿、などというとんでもなく重い考察がされていたりもする。

余談だが、このサポカと同時に実装されたのはSR【添付ファイル、温めますか?】アストンマーチャン。夭折したスプリンター繋がりである。


SSR【白い鳥のアラベスク】

得意練習はパワー。
固有ボーナスは「絆ゲージが80以上の時、パワーボーナスとスキルPtボーナス」というもので、
絆ゲージが80以上ならパワーとスキルPtボーナスがそれぞれ1ずつプラスされる。

完凸すると友情ボーナス25、トレーニング効果15、やる気効果30、パワーボーナス+1となり、
友情トレーニング時のパワーの伸びは随一な上、得意率やヒント発生率もそれぞれ65、40%と優秀。

「短距離直線〇」「スプリントギア」といった短距離のスキルや、
「序盤巧者」「急発進」といった序盤の位置取り争いに使えるスキルが入手できるため、
短距離ウマ娘を育成する際には、所持しているなら是非とも採用したいところ。

連続イベントを進める事でレアスキル「スプリントターボ(「スプリントギア」上位スキル)」を入手可能。
最後まで進めるとヒントLv2or3で入手できるが、2回目のイベントで下を選ぶとヒントLv1で入手でき、
さらに1回目のイベントで下を選ぶと、レアスキルが貰えなくなる代わりに体力+30と「直線巧者」のヒントをLv3で入手する事ができる。
育成での残りターンやサポートカードの発生状況に応じて臨機応変に選ぼう。


個別ストーリー

あのっ……どうか、お願いします!
おれの担当トレーナーに、なってもらえませんか……!?

就任して数日の新人トレーナーが突如としてケイエスミラクルからそんな懇願を受けることに。

事の発端は数刻前、スカウト相手を探すわけでもなくぶらりと立ち寄ったレース場。
トレーナーはその時丁度トレーニング中だったケイエスミラクルの走りに目を奪われていた。

すごい……なんて速さだ……!

一筋の閃光、夜闇を切り裂く流星…いや、それとも正に"奇跡"の走りか。
兎にも角にも鮮烈なミラクルの走りを見てトレーナーは感動のあまりそう呟いていたのだが、
それに反応したミラクルの方がいきなり逆スカウトを仕掛けてきたというわけである。

新人であるトレーナーの側からすれば願ってもみない申し出なのも間違いなかったが、
専属契約というのはトレーナー、ウマ娘双方にとって今後を左右する非常に重要なこと。
興奮気味に捲し立ててくるミラクルを一先ず落ち着かせた上で場所を移動し、改めて詳しい話を聞くことに。

そしてミラクルの語る自身が走る目的…自分を支えて来てくれたたくさんの人たちに恩返しがしたいという、
彼女の熱意と真剣さを改めて感じ取ったトレーナーは新人の自分なんかで良ければと打ち明けた上で快く専属契約を承諾することに。

ところが更にその後、嬉しさが顔に出ていた所をたづなさんや同僚トレーナーから声を掛けられ、
ケイエスミラクルが自分の担当となったことを嬉しそうに告げるのだが、
その直後、たづなさんも同僚もどこか浮かない顔で心配そうな視線をトレーナーへと向けてくるではないか。
『ケイエスミラクルには何かがある』、そう察するに十分すぎる反応にトレーナーは2人に詳しい事情を聴くことに。

再び場所を移した上でトレーナーはたづなさんや同僚からケイエスミラクルというウマ娘──
幼少期から続く体の弱さや奇跡的な回復、才能の高さに追いつかない肉体、そしてそれ以上に恐ろしい限界を容易く超えようとする意志の強さといった、
彼女に関する全てを知らされることになる。

放っておいたらすぐに限界を超えて崩壊する…彼女の担当になるということはそれを制御する高い覚悟と技術が求められる。
真剣そのものな同僚の警告に新人の身の上であるトレーナーは返答に窮してしまうのであった。

翌日、一晩考えた末にトレーナーはミラクルに悪いとは思いつつも、先日の契約を断ろうと思い至ったのだが、
しばらくした後、トレーナー室へとやってきたミラクルは「契約の話は全部忘れてもらって大丈夫だから」と先んじて告げてきた。

聞けばミラクルの方も、担当になってもらえた喜びで舞い上がっていたものの、後からトレーナーは自分の体のことを知らなかったのではないかと思い至り、
ずっとそれが原因で担当が付かなかったのに、それでは自分が騙して契約させたようなものだという後悔の念から、そのようなことを申し出てきたのだという。

どこまでも他人本位な──自己肯定意識の低さから「いくらでも頑張れてしまう」彼女の意志の強さをまじまじと感じ取るトレーナー。
「恩返し」という自分の目的のために、どこまでも前へ前へと進み続けてしまうミラクルの姿に居た堪れなくなったのか、あるいは罪滅ぼしのためか、
トレーナーはパートナーとして並ぶ覚悟は未だ持てないとはいえ、だからといって全て忘れてこのまま彼女を1人にするという選択も取れなかった。

種目別競技大会に出る予定なんだよな?
? はい。申し込んでます。
せめてそれまで、練習を手伝ってもいいか?

と、そんなこんなで次の種目別競技大会までという期間限定でトレーナーはミラクルの面倒を見ることに決める。

そうして始まるミラクルとのトレーニング。
できることは可能な限り全てやっておきたいという真剣さや、
両親や担当の先生、その他多くの人が見に来てくれるからこそ、その期待に応えたいという熱意、
命も体も脚も夢も、全部周りの人たちから貰ったからこそ、今度は自分が走りでそれを返したい、
なのでそのために助けになってくれるトレーナーさんにもとても感謝しているという素直な思い、

変わることないミラクルの姿勢の全てにトレーナは本当に彼女はいい子だと益々惹かれていくことに。

時間は流れて種目別競技大会当日を迎える。
トレーナーに対して娘の練習を見てくれたことに感謝を述べる両親も見守る中、遂にミラクルの出走時間がやってくる。
父さんや母さん、先生やみんながくれた自慢の脚に、それを磨いてくれたトレーナーさんのためにも絶対に勝ってみせると思いの丈を告げ、ミラクルはターフへと向かう。

(まだだ! まだ緩めるな! まだ……もっと──!!)
(緩めるな! 速く! 速く! もっと速く! やるんだ! もっと──速くッ!!!!)

芝1200mという電撃戦、全てを投げ打つかのような凄まじい意志の下で走り抜けた結果、
ケイエスミラクルは何と2着と9バ身もの差をつけた上での圧勝を決めて見せる。

あまりの圧倒的な才能に衆目が歓声で沸き立つ中、疲労困憊ながらケイエスミラクルは真っ直ぐに自分の恩人たちを見据え、
自分が勝った、自分が1着だった、貰った恩を返せたんだと喜びに満ち満ちた表情をしていた。

父さん、母さん! 先生っ! 勝てた……勝ったよ!
あはっ……おれ、やったよ!! 1着だ!!
おれが、1番! 速かったんだよ──!!

ミラクル──

トレーナーさん! あのっ、本当に……本当に、ありがとうございます!!
見てください。みんな……笑ってくれてます。みんなに、喜んでもらえました。……おれ──!
っ、すみません。嬉しくて……! ……伝わったかなぁ。
『大丈夫』って……『ありがとう』って。おれの気持ち……伝わったかな……!

どこまでも澄み切った、透明感すら感じさせる涙まで零し、たった数日の関係でしか無かった自分にさえ心からの感謝を伝えてくる。
その姿にトレーナーは『この子は、このために生きている』と、ミラクルの持つ「恩返し」という生きる目的の輝かしさを感じ取っていた。
同時に感じていた同僚の語っていた危うさ……先程のレースでもやはり限界を無視した圧倒的なスピードを発揮して見せていた。
手綱を握る者がいなければどこまでも走り限界を超えてしまう……今の走りを見ただけでもそれは十分に理解できた。

すみません、ありがとうございます……だいぶ楽になりました。
最後まで、お世話かけちゃいましたね。

いや。……今日が最後じゃなくてもいいか?

……?

ケイエスミラクルをその場に座らせて応急処置をする傍ら、トレーナーの中で既に覚悟は決まっていた。
『もう1度、あんな顔で笑わせてやれるのなら。』
彼女の思いとリスク、全てを吞み込んだ上でトレーナーはミラクルに対して告げる。

俺は……君と、走って行きたい
おれと……? トレーナーさん、それって──
君の担当トレーナーになりたい
──!!

そして迎えた放課後、契約書類を交わした上でミラクルと正式なパートナーとして歩んでいくことが決まる。
夕暮れのトレーナー室の下、正規担当となったことでお願いしたいとミラクルが申し出てきたのが「責任は全て自分に取らせてほしい」ということだった。

まともな競争生活を送れるかもわからない、自分の脆い体のせいでトレーナーさんに迷惑をかけることに耐えられない、
だからトレーナーさんに責任を負わせたくない、全て自分のせいにして構わないと一切の曇りなく語る姿。
どこまでも他人に優しく──自分に対する気持ちが欠けすぎている無私そのものな姿に、
トレーナーは胸が締め付けられるような思いになりながらも決意する、自分がミラクル本位に動けばいいと。
ミラクルがそうするのなら、自分もまた自分の未来も彼女がいなくなった後のことも、次があるかという話も全て二の次にして、彼女のために全てを捧げればいいのだと。

ミラクル。俺は、
はい……?
君が最初で最後の担当でもいいと思ってる

ケイエスミラクルというウマ娘のパートナーになるためには、いっそそれくらいの覚悟が必要なのだと。
真っ直ぐに告げてくるトレーナーの姿を見て、ミラクルもまた「トレーナーさんは、自分が思ってるよりずっとずっと優しい」と、困ったように笑うしかなかった。

後日、各種資料の取り寄せや勉強会への参加など、ミラクルのためにできることは全部やるという思いの下、トレーナーは奔走する。
がむしゃらに懸命に頑張るその姿は、嘗て警告を促した同僚からも応援の声をかけられるものだった。

ありがとう。じゃあ、もう1曲。
そうだな、何にしよっか――

……あっ。ボク、いいもの持ってるね。

うん! じゃあ、その曲にしようか。
……――

同刻、お世話になっていた病院にて、入院中の子供たちにせがまれたミラクルの演奏するピアノの音色と「しゃぼん玉」の歌が響いていた──。


育成シナリオ

個別ストーリーの時点で悲壮感と不穏さ全開、トレーナーとミラクルの覚悟ガンギマリっぷりをこれでもかと見せつけられた上で始まる育成シナリオ。
彼女の持つ最大の強みである一瞬のスピードに全てを賭けるべく、短距離・マイル戦線をメインとしたレースに挑んでいくことになる。
育成目標も基礎固めであるファン数集めから始まり、各種短距離重賞を中心に見据えて言った上で、スプリンターにとっての最大の栄誉の一つである、スプリンターズステークスに挑むことに。

同じ同期のウマ娘たちからもデビューを温かく祝福される中、
シナリオ内で主に語られるのはこれまで幾度も取り上げられてきたダイイチルビーとの関係性。
ルームメイトにして「誰かのために」という同じ決意の下で駆ける2人の交流がミラクルの育成シナリオ内でも大きく語られていく。

…だが、台頭してくるライバルたちに、刻々と迫ってくる奇跡の時間の終わり──
それらの要因から徐々に焦りを強くしていくミラクルの思いはやがて、彼女に全てをと決意した筈のトレーナーですら制御できないものになっていく。
育成目標スケジュールにもそれが如実に表れているかのようで、中盤はキーンランドカップ→セントウルステークス→スプリンターズステークスと、
夏合宿の期間すら巻き込んだ怒涛の重賞3連闘を要求する過酷なものとなっている。

繰り返し述べてきたが、ケイエスミラクルという競走馬の史実が史実だけに、
育成シナリオも当初から相応に重い展開が繰り広げられるだろうと身構えていたトレーナーも数多かったのだが、
それに応えるかのように公式は、育成システムすらも巻き込んだ予想をはるかに上回る代物を用意してきたのである。



◆関連キャラクター

  • ケイエスミラクルの両親
ミラクルにとっては最も身近な恩人であり家族。

父母共に生まれた当初から娘のミラクルのためにできることは何でもしてきたとても心優しい人物であり、
時に自分の体調を気遣う余りに涙を零すことも多かった両親の姿に幼少期のミラクルはとても心を痛めていた。

そんな中でミラクルが初めて発した自分の意思「あんな風に走りたい」という夢も全力で支えているが、
ミラクルの体の弱さを誰よりも知っているが故、恩返しのためにと無茶をしがちな今のミラクルのこともとても心配している。

寮におけるルームメイト。華麗なる一族の末席にして、一族の誇りのために駆けるお嬢様ウマ娘。
凛とした佇まいを崩さないおすまし顔のお嬢様なルビーなのだが、
一族の誇りと周囲の人への恩返しという「誰かのために走る」という共通した姿勢を持っていることから、
ミラクルに対しては比較的柔らかめの対応をしており、同時にミラクルの側もそんなルビーの姿勢を好ましく感じているため関係は良好そのもの。

が、そんな2者の姿勢にも実は決定的に異なる点が存在する。
「華麗なる一族」であるという出自に対しての誇りもその強さに繋がっているルビーとは対照的に、
ミラクルは滅私の覚悟が極まった結果あまりにも自らの身の危険を省みない様子が目立つ走りをしており、その壮絶さは時にルビーですら危うさを感じるものだったようである。

ルビーの育成シナリオではミラクルはクラシック級のスプリンターズステークスにおいて全てを投げ打ってでもと覚悟を決めていたのだが、
そんな彼女の覚悟に待ったをかけたのがルビーであり、ミラクルが壊れる前にルビーの意志の強さが彼女を救うこととなった。

そしてミラクルの育成シナリオでもまた、ルビー自身がミラクルの光によって救われていたという側面が判明すると同時に、
シナリオ中盤で訪れる悲劇において、ミラクルを救った最大のキーパーソンは間違いなくルビーだったと言える。

史実ではダイタクヘリオスと並ぶ、短距離・マイル戦線で戦った1頭であり、ミラクルが最後に走ったレースを勝ったのもルビー。
ミラクル自身の史実もあって期間こそ短かったものの、間違いなくライバルと呼べる関係でもあった。

常に全力全開ハイテンション、憧れのお嬢ことダイイチルビーに特にお熱な太陽のように明るいパリピウマ娘。

ルビーとミラクルの新規発表当初は、ヘリオスが憧れのルビーに塩対応される一方でミラクルとは仲良さげだったことから、複雑な関係性を予想するトレーナーもいたりしたのだが、
ヘリオスにとっては「ルビーへの思い」と「ルビー自身の交友関係」はそれはそれ、これはこれのスタンスであり、
その心優しさから自分とも気兼ねなく接してくれること、ミラクル自身も自分には無い明るさと前向きさを持つヘリオスに憧れているような一面もあるため、
ルビーと同様にこちらとの関係性も良好そのものである。

ヘリオスの育成シナリオにおいてミラクルはルビーや自身の育成シナリオと異なり、史実の悲劇を回避しきることができずに一度全てが崩壊してしまい*2
同じく他のシナリオと比較して精神的に余裕の無かったルビー共々、心身共にかなりの所まで追い詰められてしまうのだが、
そんな友人たちに自分が奇跡を見せるべくヘリオスが最後の大レース、有馬記念へと果敢に挑んでいき、2人に一筋の光明を見せることになる。

史実でもルビーと同じく短距離・マイル戦線でライバルと呼べる間柄だった。

そよ風という名の暴風を巻き起こす、自身もまた風になることに憧れるウマ娘。

ルビーやヘリオスと並ぶ短距離・マイル路線におけるライバルにして友人の1人。
ミラクルの学園編入当日、偶然出会ったゼファーと共に私服姿で全力で走り合ったという馴れ初めがあったようで、
あんな風に誰かと競い合ったのは初めてだったと、ミラクルにとって特別な思い出となっている他、
ゼファーもまたミラクルを一目見た瞬間から、自分と同じ時代を駆ける一陣の風なのだと運命的な何かを感じ取っていたようである。
以降、共に早朝トレーニングを行ったり、クラシック夏合宿の息抜きを共に楽しんだりと、付き合いの長いウマ娘の1人となっている。

史実では同期であり、ケイエスミラクルの運命の分かれ目となった1991年スプリンターズステークスにおいて対戦経験がある。

オグリキャップら永世三強の時代において短距離・マイル戦線を駆け抜けた熱血風紀委員長ウマ娘。

ミラクルの視点からでは短距離・マイル戦線における大先輩に当たり、
デビューを熱烈にお祝いしてくれた他、以降もレース、プライベート双方においてちょくちょく出番がある。

史実ではバンブーメモリーの晩年期において、スワンステークスやマイルチャンピオンシップで対戦している。

同じミラクル=奇跡の名を持つ、ごくごくふつ~の一般ウマ娘。

ヒシミラクルの育成シナリオでは「小さな癒し見つけ隊」なるものを結成していたり、
ケイエスミラクルの方の育成シナリオでも福引イベントでにんじんの買い忘れに困っていたところを助けたりといった形で登場している。

史実では年代も出走レースも異なっているため縁は無く、あくまで名前繋がりでの関係性にとどまる。
ただ、双方の史実に目を向けると、
パッとしない血統ながら突き抜けた速さで駆け抜け続けた先、栄光に手が届く前に砕け散ってしまったスプリンターのケイエスミラクル」に対し、
それなり以上の良血ながらなかなか芽が出ないまま幾度も走り続けた先、いつの間にやら複数のGⅠを勝ち取り、引退後はのんびり余生を謳歌するステイヤーのヒシミラクル」と、
何もかもが正反対、鏡映しとでも呼べる対照的な馬生を送ってきた2頭と言える。

また、身長は同じでありながら、それ以外の体型、特にウエストに差がありすぎることから、
「細い方のミラクルと太い方のミラクル」やら「『ミラクル』と『ミラクル』」やらと両者を比較した上で(ミラ子の方が)イジられることが多い。

親愛の情あってこそのネタとはいえ当然ながら行儀のよろしくないド直球の容姿イジリなので、使い所には気をつけよう。

ご存知、トレセン学園にはお馴染みの理事長秘書にして名サポーター。

個別ストーリー序盤においてトレーナーに対してケイエスミラクルの抱えている事情諸々を伝えた他、
しばらくの後にその上でミラクルの担当となる覚悟を決めたトレーナーからの要望(資料取り寄せや勉強会参加の申し込み等)に快く協力してくれる。

他、上述のネタバレ格納にも記載があるように、育成シナリオ中盤でも思わぬ形で登場することになる。

メジロアルダンの時もそうだったが、やはり彼女のモチーフ元疑惑があるトキノミノルの半生からか、史実において故障に悩まされたウマ娘のストーリーに絡むことが多い。



◆余談

  • 「ウマソウル」への初言及
ケイエスミラクルの育成シナリオで未だに謎が多く解明できていないウマ娘の体質が一つ明かされた。
それぞれのウマ娘にはその生き様に大きな影響を与えることとなる別世界の存在…つまり現実世界を駆け抜けた同名競走馬の「魂」のような存在、所謂「ウマソウル」と呼ばれるものが宿っていると判明。
その前に実際はアドマイヤベガ、アストンマーチャンの育成シナリオにおいても匂わせ自体あったものの、初めて公式が触れる形になった。

あくまでこの単語自体は非公式のもの*6
公式に限りなく近い例を挙げるなら、X(旧Twitter)にて『シングレ』の作者・久住太陽が『ウマソウルパワー』という言い回しを使用したことこそあるが『シングレ』では使用しなかった。
基本的にはファン達による解釈・考察が元となった概念への俗称が広まっただけに過ぎず、アプリはもちろん漫画やアニメでもこの単語が公式サイドから正式な形で使われたことは一度もない。

しかしこのシナリオ内に登場する担当医の発言という形で「【魂】と呼ぶべきものが体に大きな影響を起こす」との設定が明らかにされたことで、「ウマソウル」の概念はほぼ公式なものであると捉えられるようになった。

なお、経緯に違いはあれど後に実装されたラインクラフトの育成シナリオにおいても「ウマソウル」が重要な役割を果たしており、この概念の重要性が高まりつつある。


  • トレーニング失敗時の演出
本作の育成で行うトレーニングは成功と失敗それぞれの演出がある。
パワートレーニングのLv1で失敗すると他のウマ娘たちの場合は「ダートコースを走っている際に砂が跳ねて目に入りのたうちまわる」というもの。
しかしケイエスミラクルは左目が髪で隠れるために砂が目に入らずにすんでおり、立ち止まって顔を手で覆うという演出になっている。 でも怪我して保健室に担ぎ込まれるが
同じような演出は目全体が眼鏡でガードされているゼンノロブロイトランセンドにも存在している。






追記・修正……おれなんかの項目を、気にかけてくれるのなら凄い嬉しいな。

この項目が面白かったなら……\おれの全部を/

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  • 「挨拶ですか?」←「説教だよ!」
  • 舞台組
  • 強制休息ターンあり
  • 南井克巳
最終更新:2025年04月29日 10:50

*1 当時は2000mのGⅡ「高松宮杯」

*2 ご丁寧に松葉杖をつく専用の3Dモデルまで用意されるなど、かなり痛々しい描写がされている。

*3 元資料に言及はないが、適距離で当時存在したのはダート6FのBCスプリントか芝8FのBCマイル、ターフスプリントは2008年新設でまだ存在しない。戦績からするとおそらくBCマイルか。

*4 ウマ娘関連だとヒシアケボノ(父ウッドマン、父父にミスプロ)も該当する。アストンマーチャン(母父ウッドマン)は牝系に含まれるため該当しない。

*5 2012,13ロードカナロア、2016,17レッドファルクス、2018ファインニードル、2019タワーオブロンドンと、2010年代にミスプロ系で6勝している。

*6 しかしメディアによってちゃんと設定がなされているものもある。