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第235回
バーンハウスエフェクト
小田桐太郎さん
今回のクリエイターズファイルのゲストは『コンバット チョロQ』や『チョロQ HG4』などを手がけられた、バーンハウスエフェクトの小田桐太郎さんです。
クルマをこよなく愛し、前回のゲストであるガンホー・堀さんと飲んでいるときもついつい、クルマの話になってしまうという小田桐さん。
そんな小田桐さんが作ってみたいゲームとは!?
それでは、お話をお伺いしていきましょう。
Q1.
小田桐さんが現在のお仕事についたきっかけは、どのようなものですか?
また、これまでに手掛けられてきた主な作品をお教えください。
小田桐氏: 元々は、とあるPCゲームのメーカーになんとなくアルバイトで入ってしまったのが、きっかけです。 大学生の頃でしたが、まさか生涯の仕事になるとは思いもよりませんでした。 初めはデザイナーとして参加しました。今考えると不思議ですが、モンスターとかデザインしていましたね。 その会社には正月とかでも、朝に出社すると、机の下にたくさんの人が寝ていて、初めはびっくりしました。 その会社に山本さんというプログラマーがいて、当時とにかくずっと仕事をしていました。 すごい速さで作るのにずっと仕事をしているんです。凄い速さで作る人が昼も夜もずっと仕事をしているのですから、もう本当に凄いわけです。 ゲーム業界って、とんでもないところだなと、本気で思いました。 山本さんには、ゲーム作りの心意気を教えられました。 これまでの仕事としては、タカラさんと組んだ『チョロQ』シリーズですね。 実はゲームの『チョロQ』は回を追うごとにゲームスタイルが違いまして、担当のディレクターも違います。 私自身はPS『コンバット チョロQ』や、PS2『チョロQ HG4』のディレクターを務めました。 前者は戦車アクションで、後者はF1レースをテーマにしたゲームになっています。 『チョロQ』はもちろん子供向けタイトルなのですが、この両作品については大人が遊んでも納得できるように、できる限り頑張ったつもりです。 なので、個人的に気に入っているタイトルです。 また、『チョロQ』の前にはPS『ディープシーアドベンチャー/海底宮パンタラッサの謎』という無名のゲーム(笑)を苦労して作りました。 その前にもタイトルは省きますが、3DOやレーザーアクティブといった特殊なゲーム機のほか、富士通タウンズ用ソフトなんてのもやりましたね。
Q2.
なるほど。なかなか懐かしいハードのタイトルも手掛けられていたのですね。
今度、そのあたりのお話もお伺いしたいですね。
ところで、『コンバット チョロQ』『チョロQ HG4』にはかなり思い入れがあるように感じたのですが。
小田桐氏: そうですね。やはり『コンバット チョロQ』『チョロQ HG4』には思い入れが深いです。 そういえば『コンバット チョロQ』の開発当時、戦車の形を把握するために、社員みんなでひたすら戦車模型を作っていました(笑)。 一方『チョロQ HG4』では、ジャンルがRPGであったため、「チョロQ」とは思えないほどの人間ドラマを組み込みました。 そのためにたくさんのシナリオを用意したのですが、なかなか話がまとまらなくて連日唸っていました。 ちなみに最近公開中の映画「カーズ」に世界観が近いですが、こちらが先です(笑)。
Q3.
大勢の社員が戦車模型を作っている姿というのは、なかなか壮観なのではないでしょうか。ちょっと交じってみたいです(笑)。
というのはおいといて、何でも小田桐さんはクルマが大変お好きで、前回ご登場いただいた堀さんとも良くクルマのお話をされるとか。
小田桐氏: 堀さんとは、普段は硬い話が多いです(笑)。 ですが、堀さんも私もクルマが好きなので、やはり飲み屋でクルマの話になった時は、いつまでもクルマの話をしていた気がします。 それも、いかにクルマで酷い目にあったかとか、苦労したとか、そっちの方向へシフトしますね(笑)。 私のクルマは堀さんのとは違い、圧倒的なまでのポンコツなので、動かないのが当たり前。エンジンが一発で掛かると嬉しくなってしまうんです。
Q4.
どうやら相当クルマがお好きなようですが、現在、最も興味を持っていることも、やはりクルマですか?
小田桐氏: やはりクルマでしょうか。古いクルマですね。1950~1960年代ぐらいがいいです。もちろんスーパーカーも好きですが。 スタイリング重視なので、クルマの持つ歴史などより、あっと驚くエキセントリックないでたちに惹かれます。 1950年代のアメ車や、1960年代のヨーロッパ車、それにガンディーニのデザインは大体好きです。 そして好きが高じて、フロリダから50年前の古いスチュードベーカーを輸入したりしました。 これは通関も車検も自分で通しました。 現在はポンコツのE-typeが入院中で、超おんぼろのディアブロに毎週手を焼いています。 それと、クルマではありませんが、挑戦というわけではないのですが「能」を習っているので、仕舞がもう少し上手くなれたらなと思っています。
Q5.
なんと、クルマと「能」ですか!?
いやはや、一般ではあまりお目にかかれない組み合わせですね。
こういった小田桐さんのご趣味は、今後の作品に影響していくのでしょうか?
小田桐氏: 今、作りたいゲームは、抽象的で申し訳ないですが、それがゲームだと判別付かないものです。 たわごとを言わせてもらえれば、SF作家のコードウェイナースミスの世界をゲーム化したいです。 それと、ゲーム業界は、将来、テクノロジーと自然回帰がせめぎあって、現在あるゲーム業界とは全く違った形で進化していくのではないかと思います。 本当は偉そうなことは言えないのですが…ゲーム作りにとって大切なことは、いろいろありますが、多分、観察と再定義です。 普段、人間はとても複雑なことを、いとも簡単にやり遂げています。 その一つ一つは“センス・オブ・ワンダー”に満ち溢れているのですが、当たり前にできるので、いちいち考えてから行動はしませんよね。 しかし、それらの行為を一旦抽出して、頭の中のテーブルに載せ、観察し、動作を分解して再構築します。 たとえば「滑って転ぶ」とはどういうことなのか…。 するとその動作がとても面白いことに気づくんです。 そしたら、今度はそれをゲームで実現することを考える。 皆さんも一度考えてみると面白いですよ。
「“観察”と“再定義”を日常生活に当てはめ、客観的に考察する」という小田桐さん。
こうした注意力と分析力が『チョロQ』シリーズを、子供から大人まで楽しめるタイトルに仕上げているのでしょう。