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*ZOIDS2 ヘリック共和国VSガイロス帝国 【ぞいどつー へりっくきょうわこく ぶいえす がいろすていこく】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B00005U0LW)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|トミー|~| |開発元|ウィル|~| |発売日|2002年2月21日|~| |価格|5,800円(税抜)|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[ゾイドシリーズリンク>ゾイドシリーズ]]''| #contents(fromhere) **概要 ''共和国と帝国の覇権を巡る戦争が再び繰り返される・・・!'' 太陽系から、はるか数万光年の彼方に存在する惑星Zi(ズィー)。 そこに生息する巨大な金属生命体「ゾイド」は、「メカ生体・ゾイド」に改造され、戦争に投入されていた。 ガイロス帝国とヘリック共和国の覇権を巡る果てしなき抗争は再び幕を開けたのである……。 (説明書より引用) ゾイドのアニメが『/0』へと代替わりを果たした2002年((しかし、発売された時点では放送は既に終了していた。))、満を持して発売されたPS版ゾイドシミュレーションゲームの2作目である。基本は前作を踏襲しつつ、物語に重点が置かれている。~ 今回はアニメのストーリーとバトルストーリーが適度にミックスされた内容であり、バトルストーリーから取られた部分もあればアニメから取られた内容もある。~ 一方、前作ほどミリタリーに重点は置かれてなく、子供向けアニメ作品らしくとっつきやすいつくりになっている。 ---- **評価点 //あって当たり前のことは書かない。 ***登場ゾイドの種類 今作では前作に登場しなかった新世代ゾイドが多数登場し、共和国・帝国あわせてその数100体以上。~ その中にはアニメで活躍したブレードライガー、ライガーゼロ、ジェノザウラーだけでなく、「ZOIDS SAGA」からオリジナルゾイドが2体登場し、前作で未登場が嘆かれたグレートサーベルもグレートセイバーという名前で登場し、さらにはライジャーの勇姿も。 -ゾイドは前作と同じくすべて3DCGで再現されていて、戦闘では変わらず軽快な動きを見せてくれる。 -改造のバリエーションが前作よりも増え、新型機は勿論、旧型機も多くのバリエーションを持つ。 -アニメ登場ゾイドはもちろん強力だが、だからといって旧型機相手に無双ができるほどではなく、戦略次第であっさり墜ちる。シミュレーションゲームとしてのバランスは破綻していない。 ***ストーリー・設定 賛否両論部分もあるが、固有名詞を持った登場人物が姿を見せるようになり、より深く作品に没頭できるようなった。~ 帝国、共和国いずれもただの軍人だった主人公が戦いを通じて、その裏で暗躍する陰謀に気づき、国家の枠を超えて惑星のために真の敵と戦うという王道の物語が展開される。 -当然、ストーリーに絡んでイベントも多く、プレイヤーは多くの選択をしなければならない。選択によって支給されるゾイドの種類が変わったり、一見寄り道のようなイベントを通過することで入手できるゾイドやアイテムがある。~ 前作のように只言われるがまま、戦場を渡り歩くのとは一味違う。 -アニメ、バトルストーリーとのクロスオーバー --名前が出ただけでは終わらず、バトルストーリーやアニメと同様のイベントが進行するステージが存在する。 --前作でも地球人が乗ってきたグローバリー3世が登場するなどしていたが、今作は当事者として行動しなければならない。 --帝国基地に忍び込んでゾイドを盗むステージや、ライガーゼロを入手した主人公を宿敵と見なして追い回すライバル登場など。 --ライガー系ゾイド乗り最高の称号であるレオマスターの名を冠するアイテムが登場。ライガー系ゾイドに装備させると、アニメや漫画でも登場した強力な必殺技が使用可能になる。 ***前作からの改善点 ''搭載武装の再現度向上'' -前作では標準装備も含めて6つまでしかパーツが装備出来ず、設定上強力なはずの重武装ゾイドが装甲板を装備した骨ゾイドよりも弱い…と言うことがよくあった。~ 今作では固定装備とは別に管理されるようになり、種類を問わず4つまでパーツを装備ができる仕様に変更された。~ これにより、前作では設定だけで存在していなかった補助的な役割の武装が一つ一つ可能な限り再現されるようになり、ゾイドの個性が大きくなった。 --シールドライガー等のEシールドがON/OFF切り換え型の特殊能力として登場。戦闘中のダメージの減少だけでなく、フィールド上で発動させて範囲攻撃や奇襲攻撃のダメージを減少させることが出来る。~ ただし、ターン毎にエネルギーを消費するため燃費が悪く、こればかりに頼ることはできない。 --マッドサンダーの反荷電粒子シールドも再現され、荷電粒子砲を完全に無効化できるようになった。こちらは無効化する度にエネルギーを消費する。 --ゴルドスやディメトロドン等の電子戦ゾイドには索敵範囲の広いレーダーが標準搭載となり、射撃戦以外の強みをもつことができた。 --ブースターを搭載したゾイドには「加速」という特殊能力が与えられ、一時的にフィールドでの移動範囲を強化することができる。高い機動力を戦闘中だけでなく、フィールド上でも推進力として再現した。 --前作でマップ兵器でしか使えなかった武器が戦闘でも使用可能に。いずれも長射程で高火力。弾数は範囲攻撃用と戦闘用で別々に管理されている。 ---この中でもデスザウラーの大口径荷電粒子砲は、エネルギー消費量が凄まじいが長射程・高火力・高クリティカル率。設定通り小型・中型ゾイドなら一発で蒸発させられるほどの凶悪な武装となった。~ ジェノザウラー系やデススティンガー等も荷電粒子砲を同じように使用可能。新型ゾイド寄りではあるが、帝国ゾイドの射撃戦において大きなアドバンテージとなっている。 --再生能力に優れているという特徴のある『ハイドッカー』は、HP再生をデフォルトで持つようになるなど装備以外でも特徴づけられている。 --また、前作にはなかったゾイド固有の機動力と装甲値が再現され、高機動ゾイドは回避率が高く、重装甲のゾイドはそれだけダメージを受けづらくなっている。 ---実は前作でも機動力は(何故か隠しパラメーターとして)存在していた((実際、同じ攻撃でも相手によって命中率が変っている。))。ただしサイズ補正の方が高かったのでサーベルタイガー(大型高機動ゾイド)よりもイグアン(中型普通ゾイド)の方が回避率が高かったのも事実である。本作ではサイズ補正が減らされている。 ---装甲値は全体的に低めの為((一番硬い部類のゴジュラスでさえ、スパロボに例えるとリアル系上位(スーパー系下位)レベルである。))、無いよりマシ程度である。 --ネタ要素ともなるが、ゴルドスやウルトラザウルス、ブラキオスやゲーターといった本来鈍重なゾイドに付いている格闘兵器も使用可能。大きく首を下ろして噛みつくウルトラザウルスや、首をしならせて頭突きのような噛みつき攻撃をかますブラキオスは必見。 ---尤もこれは原作再現。旧大戦時代は格闘兵器を持っていなかったこれらの機体が現大戦で改良されたと設定されている為((そのためか原作において、旧大戦では互角扱いだったバリゲーダー(格闘主体)とブラキオス(砲撃主体)が現大戦ではブラキオス優勢と言う評価に変っている。))。 ''戦闘AIの改善'' -行動順がまず一般のゾイド、最後に隊長機に変更された。このため、少なくともやみくもに突撃して、真っ先に小隊長機が撃墜されて全滅と言う事((敵味方共に、隊長機が撃墜されると部下は無条件で撤退するため。要は『ラングリッサーシリーズ』と同じ。))は少なくなった。 -しかしあいかわらず砲撃主体のゾイドが接近戦を挑んできてあっさり返り討ちなんて事も多発する。((射程の長い武器を弾切れやエネルギー切れで使えないようにさせるとよく発生する)) ''ゾイドの改造バリエーション'' -前作に登場した改造キットのバリエーションが増え、より多くの種類の派生機体を作成できるようになった。 --セイバータイガー系、レッドホーン系、シールドライガー系、ジェノザウラー系などなど。 -一部の改造機体はバトルストーリーでつけられていたコードネーム((シャイアン、マーキュリーなど))がつけられ、また色も変化するようになった。 -さらに改造に加えて、装備品を取り替えることで能力が変化する『換装』が一部のゾイドの機能として追加された。 --ライガーゼロの売りであるCAS(チェンジング・アーマー・システム)を再現した機能だが、旧世代ゾイドのグランチュラなどもこの機能により能力と外見が変化する。改造と違って、純粋な強化ではなくある性能に特化させるものが多い。 --換装は改造と異なり元に戻すことも出来るため、気軽に変更することが出来る。輸送型ゾイドに搭載しているときにも換装可能なため、任務中でも状況によって使い分けが出来る。 ''スキルポイント・特殊能力の見直し'' -遠距離射撃、近距離射撃と別れていたのが射撃に統合され、より分かりやすく、そして無駄なくポイントを割り振れるようになった。特殊能力にポイントを振る余裕も作りやすくなった。 -特殊能力の名称も変更され(「精神集中」→「猛進特攻」など)、%%中二病な%%特徴を捉えた個性的な名称になった。 ***その他システム -前作のセーブデータがあると、今作にそれをロードして前作で鍛えたゾイドを登場させることが出来る。シナリオを進めるごとに、前作データの各部隊長のゾイドが増援として支給される。本来ならイベントでしか手に入らないレアゾイドも容易に入手できる。 -セーブデータを持ち寄ってチーム対戦が可能。 --友人・知人相手に自慢の部隊でゾイドバトルを行うことができ、結果問わず本編でも使えるゾイドや資金などを入手できる。 ---尤も『[[大戦略シリーズ]]』『[[スーパーロボット大戦シリーズ]]』と同じく「待ちが圧倒的に有利((隠蔽や潜水能力のおかげで実際はその2シリーズより更に有利。))」なバランスなので、対戦ゲームとしての評価は高くないが。 --審判として『ゾイド新世紀スラッシュゼロ』からジャッジマンが登場。さらに低確率でダークジャッジマンが乱入し、プレイヤー同士で突然共闘することになるイベントがある。 -設定を変えることで戦闘アニメを省略できるようになった。 ---- **問題点(前作との比較部分有り) ***戦力の偏り 登場するゾイドの基本性能は、今作でも共和国に有利となっている。 -前作同様、帝国側には飛行ゾイドが少ない。 --帝国の空中戦は今作でも『レドラー』を主力に戦わないといけない。ただし、今作ではレドラーは改造可能であり、運動性は若干落ちるが射撃戦も可能な『レドラーキャノン』に改造することが出来る。((とはいえ、拘りがなければ共和国ゾイドを使った方が良い。)) --もっとも、共和国に存在するはずの新型飛行ゾイドも登場しないため、共和国も前作と同じくサラマンダーやレイノス、プテラスを主力として使っていくことになる。 -地味に響いてくる点としては、帝国ゾイドの武器は全体的に火力が高いかわりに命中率が低いものが多い。共和国ゾイドの小型・中型の機動力重視なメンツも相まって、序盤で結構苦戦するポイント。 -帝国側に与えられたアドバンテージとしては、上記の荷電粒子砲や、ステルス・隠蔽機能を持つ大型ゾイドが挙げられるが、いずれも搭載ゾイドが与えられるのは後半から。 ***未登場ゾイド 念願叶って登場したゾイドもいる一方、軍の編成バランスを調整するためか未登場に終わってしまったゾイドもいくつか存在する。 -共和国側はストームソーダー、ハンマーヘッド、ガンスナイパー、シャドーフォックスなど。 -帝国側はレブラプター、エレファンダー、ザバットなど。 --ストームソーダーは空軍バランスが更に共和国に傾くことを懸念しての未登場と思われるが、ハンマーヘッドが居ないのは帝国海軍が有利なままである((潜水(隠蔽)からの不意打ちでもない限りレドラーより弱いはずなので空軍への影響は少ない。))。 --同時参戦ならバランス的には影響が少ないはずのガンスナイパーとレブラプター((余談だがアニメ『機獣新世紀ゾイド』だと逆にレブラプターは登場したがイグアンが登場しなかった(帝国でもゴドスを使っていた)。))、アニメ『ゾイド新世紀スラッシュゼロ』の前半においてライガーゼロのライバル機でもあったエレファンダーが登場しないのはやはり残念。 --帝国側の新型飛行ゾイド『ザバット』は基本的に無人操作で特攻も任務の内の爆撃機と言う設定のため、登場させづらかったと思われる。残念。((今作のシナリオ中ではスリーパーと呼ばれる無人操作のゾイドも登場していた。)) -また登場はするものの、ダークスパイナーが原作と同様の「背びれから発生させた強電波で敵ゾイドを操る」という能力が再現されていない。尤もスパイナーの能力は途中で変更された((TVCMでは背びれでEシールドを発生させる様に描かれていたが、後のバトルストーリーでは背びれで発生させた電波で敵を操るに変更された。))うえ、アニメ『ゾイドフューザーズ』だと背びれには何の能力も無かったので原作側が悪いのかもしれないが。当然ゲームバランス的な問題もあったろう((バトルストーリーでも共和国が電波対策を完成させるまで文字通り「無敵時代」を築いた。なにせスパイナーの数と同数の味方が(おそらく強い順に)敵に回るのだから。逆に言えば本作の共和国では既に電波対策が完成していると言い訳が出来るかもしれない。))。 ***戦闘アニメ、カットシーンが省略 OPやEDも含め、いずれも簡略化・省略化されている。 -前作は小型ゾイドにまで破壊されたときの動作があり、一部には撃破時の動作まであった。 --今作ではカメラ位置の変更もあってゾイドが小さく見え、小型・中型はゾイドが撃破されると多くはフェードアウトしてしまい、非常に味気ない物となっている。((例外的にライジャーとライトニングサイクスは、中型でありながら勝利・撃破演出のある好待遇を受けている)) -マップ兵器使用時に流れるカットシーンは今作では完全カットされ、戦闘アニメの流用とエフェクトのみで表現されるようになった。((マップ兵器が戦闘でも使用できるようになった弊害か)) -好評だったOPは至極あっさりとした物になり、EDも共和国・帝国で共通の物が流れるようになった。 --一応、一部でムービーは流れるが前作と異なり、ポリゴンモデルを流用したものとなっている。 ***システム上の問題 -マップが狭くなった。 --狭い一本道が続くマップもあり、前作と同じ感じで遊んでいると狭くてゾイドが上手く展開できなくなっている。 -一部マップ兵器の弱体化 --荷電粒子砲シリーズはまだ何とか使えるが、前作でも使えた共和国のロングレンジバスターキャノン、帝国のビームランチャーは軒並み円形から細い直線範囲になり、使い物にならなくなった。((ただし、どちらも戦闘では強力な遠距離武器になっている。)) -ステルス・隠蔽能力を持つゾイドの弱体化 --ステルスゾイドは前作で猛威をふるっていたが、今作ではレーダーを標準搭載したゾイドが増えたため、その脅威が薄れている。 --さらに、マップ画面で敵ゾイドにカーソルを合わせて△ボタンを押すと、そのゾイドのステータスを閲覧できる機能があるのだが、これがステルスで不可視状態であるはずの敵ゾイドにも使用可能で、レーダー無しでもステルス状態のゾイドを発見できてしまう。 -&bold(){回避は可能だが、進行不能になる致命的なバグがある。} -前作からそのまま残っている問題点 --前作で強すぎた特殊能力がそのまま残っている。特に猛進特攻(前作では精神集中)は名前が変わっただけで、相変わらずの壊れた性能をしている。今作ではレオマスター専用技をはじめとした強力な格闘攻撃が増えたので、様々な機体でとんでもないダメージを叩き出すことが可能。 --今作でもレベリングが訓練頼りでなかなか進まない。その代わりに次から次へと新型ゾイドが登場するのだが、それまで鍛えていた同型機よりレベルの高いゾイドを下賜され、それなら別のゾイドのレベルを上げれば良かった…となることもしばしば。~ 前作同様に、下手にゾイドを戦いで鍛えるより、捕獲用ゾイドを使って捕まえた方がより強いゾイドを簡単に入手できてしまう。 --金策に関しては、今作は無償で一定数のゾイドが支給されるので、まずゾイドが購入できずに頭数不足…ということにはなりにくい。アイテム補充に関しては、フィールドで丁寧に残骸・財宝の回収を行い、あとは上記のような理由で前線に立てなくなったゾイドを(泣く泣く)売却したりすれば何とかなるはず。 **賛否両論部 ***ゾイド支援システム -戦闘アニメ有効時のみだが、戦闘中に指定されたボタンを連打することで攻撃力が1~2割ほど増加する。 --親切な機能であることは間違いないが、戦闘アニメ省略時には使えない機能であるため、戦闘アニメを省略したくても出来ない…という人も。((さほど大きな差になるわけでもないため、気にしないのが一番なのだが、せっかくある機能を使わないのももったいないので…。)) -アニメ省略中は一部の特殊能力の成功率が0%になってしまう。 ***水中のゾイドを地上から攻撃可能 -前作では武器に対潜適応がないと水中にいるゾイドは攻撃できなかったが、今作ではダメージ半分になるものの、攻撃できるようになった。~ 前作の潜水ゾイドは攻撃を受けにくい環境にあったため、骨ゾイド並みにHPが低く設定されていた。ところが本作でもその低HPが調整されずに継承されてしまい、その気になれば地上からゴリ押しで撃破可能になってしまっている。 ***状態異常の回復率 状態異常の種類は前作と同様だが、『ショート』『炎上』『サビ』からの回復が非常に早くなった。ほぼ1ターンであっさり回復してしまう。 -帝国ゾイドの有用性と特徴が低下。 --状態変化系武器とマップ兵器が陳腐化したこと、共和国側に近接戦闘が得意なライガー系が大量に登場したこともあって、ますます帝国と共和国での特徴の違いが少なくなった。 --また、前作にもまして戦闘が強力な攻撃をひたすら当てるだけのごり押しになってしまった。どうせすぐ回復するのだから、帝国大型ゾイドに接近戦を挑むリスクが小さくなり、ゾイドの配置や距離を余り考慮しなくとも良くなった。 ***パイロットの存在 -固定の名前が付いた登場人物、主人公の存在は感情移入を高める一方で、やはりそれが嫌われる場合もある。 --特に帝国編の主人公はかなり粗忽な行動を取るので…。 ***シナリオの問題 -途中から帝国・共和国でシナリオがほぼ共通となってしまう。 #region(終盤から大量に出現するアイツが…) -元ネタのバトルストーリーやアニメが同様なのだから仕方ないことだが、物語の終盤になると『高HP』『高攻撃』『高防御』『高移動力』の3Kならぬ4Kのデススティンガーが大量に敵として登場するようになる。 --一体一体がボス級の強さというかボスそのものであり、大量の高性能武器、広範囲マップ兵器、潜水に砂漠ステルスを備え、さらにリーダー格は特殊能力『HP回復』まで持っているため、撃破は非常に困難。 --上記の「地上からでも水中のゾイドを攻撃可能」という特性を利用して戦っても、攻撃を回避されるか、当たってもEシールドの効果+水中補正によって雀の涙ほどのダメージしか与えられず、逆に荷電粒子砲で返り討ちに遭う。 ---では潜水ゾイドで対抗できるのはどのぐらいいるのかというと、帝国側では『デススティンガー』自身か『ジェノハイドラ』、共和国側にいたっては『ウルトラザウルス』ぐらいしかいない。~ 前作同様、いわゆる「早解き」を要求されないので、ターン数を費やしてでも何とかして地上に引きずり出す方法も考えねばならない。 --後半の勝利条件はほとんど各部隊長機であるデススティンガーを全て撃破するというものになるので、システム的にも逃げ道は無い。 --シナリオ中に登場するデススティンガーはほぼ全て部隊長機なので、捕獲することもできず、特殊能力『咆吼』に耐性持ち。 --一番辛いのは、こんな敵が佃煮に出来るくらい大量に出現すること。後半のステージは忍耐力が試されることになるだろう。 ---あまりにも大量に出てくるため、1周目でも残骸回収からのデススティンガー入手にありつける…なんてことも。 ---簡単に言えば、育成次第では最初からやり直した方が速いくらいに絶望的な状況。((おまけにデススティンガーが出現するとどこでも絶望的なBGMに切り替わる)) #endregion ---- **ゾイダー限定の問題 -%%俺のアイアンコングがこんなに弱いわけがない。%% --装甲値が設定されたことで、本来なら互角だったはずのゾイドに大きな戦力差が発生するようになってしまった。((むしろゴジュラスが強化されすぎてるかも。もっとも前作のゴジュラスは苦手な砲撃戦どころか得意の格闘戦もコングより弱かったりもしたが(威力命中率共にコングが上。当然装甲は双方共0。命中率のみは原作設定とも言えるが)。)) --MkIIもしくはPKまで強化すれば頼もしい。冷凍砲を搭載したままPKに改造できるバグも実はそのまま残っている。 -原作では3年以上かけて展開していたストーリーを25話前後に収めているためか、些か駆け足気味。 ---- **総評 -前作同様、ゾイドのゲームとしては奇跡と言っていいほどの出来映えを持っている。しかしながら前作があるからこそ、評価が辛くなる部分や改善して欲しい部分があるのも事実である。単純にシミュレーションゲームとして見ると、原作つきゲームの宿命としてどうしても一部機体(ライガー系とジェノザウラー系)のごり押しせざるを得ない部分があり、ライガー&ジェノザウラー派生機だらけとなりバランスが悪くなってしまった。アニメ側から輸入されたライガー系の『必殺技』はゲームバランスを崩壊させるほどの強力な性能を持つため、バトルストーリーを重視する層に嫌われる面がある。 -しかしながらセーブデータを使って帝国・共和国と繰り返しプレイでき、さらにクリアデータを新規ゲームで読み込むことで、敵平均レベルが80越えのハードモードとも言うべき内容で遊べたりと、長く遊べる要素は評価ポイントである。 -キャラクターゲームという特性上、前作より大味なバランスが出てきたところや細かいところの詰めの甘さがあり、万人に勧められる内容ではないが限りなく良作に近い凡作ではないだろうか。 ----
*ZOIDS2 ヘリック共和国VSガイロス帝国 【ぞいどつー へりっくきょうわこく ぶいえす がいろすていこく】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B00005U0LW)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|トミー|~| |開発元|ウィル|~| |発売日|2002年2月21日|~| |価格|5,800円(税抜)|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[ゾイドシリーズリンク>ゾイドシリーズ]]''| #contents(fromhere) **概要 ''共和国と帝国の覇権を巡る戦争が再び繰り返される・・・!'' 太陽系から、はるか数万光年の彼方に存在する惑星Zi(ズィー)。 そこに生息する巨大な金属生命体「ゾイド」は、「メカ生体・ゾイド」に改造され、戦争に投入されていた。 ガイロス帝国とヘリック共和国の覇権を巡る果てしなき抗争は再び幕を開けたのである……。 (説明書より引用) ゾイドのアニメが『ゾイド新世紀スラッシュゼロ』へと代替わりを果たした2002年((しかし、発売された時点では放送は既に終了している。))、満を持して発売された『[[ZOIDS 帝国VS共和国 メカ生体の遺伝子]]』の2作目である。基本は前作を踏襲しつつ、システム面での改善と物語に重点が置かれている。~ 前作が1980年代のゾイドを中心としているのに対して、今回は現在進行中のバトルストーリー((当時のゾイドのパッケージ裏に書かれたお話。正確には、そのお話に沿うように作られた「公式ファンブック」の物語が使われている。))をベースにしたオリジナルのストーリーが展開する。~ そのため、前作ではある意味置いてけぼり状態であった、低年齢層の新規ファンにもとっつきやすいつくりになっている。 ---- **前作との変更点 &bold(){ストーリーの強化} -前作では名もない主人公が次の攻撃目標の説明を受けて、出撃することの繰り返しであった。~ 今作では名前を持ったキャラクターが多数登場し、彼らとやり取りをしながら自軍の置かれた状況を踏まえた作戦展開となる。 --ストーリーは共和国と帝国で対になっており、それぞれに登場する主人公とライバルが入れ替わるという形になる。 --キャラクターには顔グラといったものは一切なく、あくまでメッセージに名前が入っているだけである。しかし、高速4足ゾイドが好きなヒロインや、絵にかいたような嫌な上司と非常に個性豊かである。 ---文字だけなので、別陣営で視点が変わった時にようやくヒロインだということに気付くことも… ---ストーリーの背景として、バトルストーリーに登場する大統領や摂政といった勢力トップの名前だけが登場する。 -これに合わせて、前作では総司令機の「撃破」「被撃墜」がすべてだった勝敗条件も、今作ではかなり豊富なものとなった。 --総司令機や要護衛ゾイドの特定地点の到着や、対象のゾイドの救助や防衛など多岐にわたる。 --ミッション中の選択や進行によってその場で条件が変わるといった演出もある。 -訓練の内容も、相手陣営ではなく自軍と同じ陣営のゾイドが相手となるほか、シナリオの状況によって一時選択不能となることもある。 &bold(){登場するゾイドの増加} -ジェノザウラー、ブレードライガーをはじめとする前作には登場しなかった新世代ゾイドが多数登場し、共和国・帝国あわせてその数100体以上。 --グレートサーベル(今作ではグレートセイバー表記)やライジャーといった、前作には登場しない旧世代のゾイドや『ZOIDS SAGA』からもオリジナルゾイドが参戦している。 --前作とは年代が異なるため、ウルトラザウルスやモルガといった旧カラーで登場していたゾイドは全てが新カラーとなっている。 &bold(){装備パーツの仕様の改善} -前作ではパーツの装備枠がゾイドの武装と共有しており、合計で8つまでしか装備できなかった。これにより、武装が多いほど装備可能なパーツ数が減り、結果的に弱体化を招く要因となっていた。~ しかし、今作では武装を含む「固定パーツ」と、「装備パーツ」として枠が分かれ、この「装備パーツ」の枠に4つまで装備できるようになった。 --武装の豊富なゾイドが弱体化することもなくなり、ためらうことなくゾイドの強化と運用ができるようになった他、後述のゾイドの再現性の向上につながることとなった。 &bold(){ゾイドの再現性の向上} -上記のように「固定パーツ」と「装備パーツ」で分かれたこともあって、多くのゾイドの武装や装備がより豊富で再現度の高いものとなった。 --前作登場のゾイドの多くに、格闘装備が追加されている。 --- --多いと武装だけでも前作の枠を超える9つも装備しているゾイドも。 --固定パーツには武装の他にもレーダーやブースターやセンサーといった装備があり、ゾイドの設定に合わせて標準装備されるようになった。 ---例えば電子戦ゾイドにはレーダー類、高機動ゾイドにはブースター類など。 --荷電粒子砲といった前作ではマップ兵器でしか使うことができなかった武装も、通常戦闘用とマップ兵器用で分かれ、通常戦闘で使用できることとなった。 --Eシールドや反荷電粒子シールドといった特殊な装備も再現されている。 ---Eシールドは毎ターンEPを消費しながら被ダメージを減らす兵装で、反荷電粒子シールドは荷電粒子属性攻撃被弾時にEPを消費する代わりにダメージを0にする装備。 &bold(){ゲームバランスの改善} -スキルポイント・特殊能力の見直し --遠射、近射と分かれていたのが射撃に統合され、分かりやすくなっただけでなくポイントを集中することができるようになった。 --レベルも全体的に前作より数値が上がっているため、その分スキルポイントが豊富で特殊能力の採用も十分視野に入る。 --特殊能力の獲得に必要なポイント数も全体的に少なくなったことで、前作より気軽に使用できるようになった。 -各種ステータスの変更 --HPが全体的に高くなったことで、上記のパーツ選択時にHP強化に固執する必要が多少は薄れ、選択の幅が広がった。 --前作にはなかった機動性と装甲値というステータスが設けられた。 ---機動性は前作でも隠しパラメータとして存在していた((同じ攻撃でも相手によって命中率が変化する。))ようだが、開示されることでより分かりやすいものとなった。 ---装甲値はダメージ値からその分がストレートに引かれるという計算のため、高レベルで武器の威力が上がっていればあってない程度のものである。 -AIの行動順変更 --相手のターンにおいて、小隊長機が最後に行動するようになった。このため、やみくもに突撃されて真っ先に狙える状況が少なくなった((こちらもそうだが、小隊長機が撃破されるとその小隊の残った機体が撤退する。))。 &bold(){その他の変更やシステム} -一部演出の簡略化 --前作では手の込んだオープニングが流れていたが、本作ではカットされてしまった。 --Sサイズ、Mサイズのゾイドにあった被撃墜時のアニメーションも、フェードアウトという形でカットされている。 --マップ兵器使用時はプリレンダムービーが流れていた前作と異なり、通常戦闘のアニメの流用となっている。 -UIの改善と変更 --前作ではUIがあまり洗練されておらず、部隊編成(部隊編成)やゾイドの改造(研究所)、整備(工場)など画面が分散されていた。今作では全て「格納庫」で行うことができる。 --低年齢層を意識してか、ふりがなやひらがな(例えば斥候(せっこう)など)が多く使用されており、英語もミスやクリティカルといったカタカナに変更された。 -前作セーブデータの引き継ぎ --前作のセーブデータがあると、それをロードして鍛えたゾイドを引き継ぐことが出来る。 ---シナリオを進めるごとに、ロードしたデータの各部隊長のゾイドが増援として支給される。本来なら終盤やクリア後でしか手に入らないゾイドも容易に入手できる。((ただし、強力なゾイドほど加入時期が遅くなる。)) -クリア後のゾイドデータの引き継ぎ --前作においては軍資金と図鑑情報しか引き継げなかったが、今作ではゾイドとレベル、パーツ、アイテム類まですべてを引き継ぎ、強くてニューゲームができる。 ---陣営も最初に選びなおすことができるほか、高難易度モードも用意されている。 -VSモードの実装 --セーブデータを持ち寄ってチーム対戦が可能。 ---友人・知人相手に自慢の部隊でゾイドバトルを行うことができ、勝敗の結果を問わず本編でも使えるゾイドや資金などを入手できる((景品としてはあまり大したものではない。))。 ---審判としてアニメ『ゾイド新世紀スラッシュゼロ』からジャッジマンが登場。さらにそこそこの確率でダークジャッジマンが乱入し、プレイヤー同士で突然共闘することになるイベントが発生する。 -設定を変えることで戦闘アニメを簡略化できるようになった ---- **評価点 //あって当たり前のことは書かない。 &bold(){登場ゾイドの種類} -100体以上という数でありながら、前作同様そのすべてが3DCGで再現されている。 --小さいヒレや小銃といった細かいパーツもしっかりと再現されているほか、全てのゾイドに鹵獲カラーが設定されている。 -武装や装備も元の設定に合わせて可能な限り再現されたことで、差別化ができているところも大きい。 -新旧のゾイドが入り混じっているにもかかわらずステータス的には大差ないので、シミュレーションゲームとしてのバランスを保っているところもポイント。 -数が増えたこともあり1周だけでは図鑑のコンプも不可能なので、コレクション要素としても高くなっている。 &bold(){ゲームバランスの改善} -パーツの仕様変更は特に大きく、ステータスを特に気にすることなく好きなゾイドを使用できるようになった。 --例えばサーベルタイガーとシールドライガーは設定上ライバル機同士ではあるものの、装備可能のパーツ数の関係から前作における使用感は全く異なる。 -入手した改造パーツで文字通りゾイドの強化ができるので、ミッションを進める上で気になる要素のひとつとなった。 --パーツの種類や改造可能ゾイドも多いため、不足しがちになる点も発見時の嬉しさにつながる。 --前作ではパーツの仕様もあって、気にならないかむしろ弱体化を知ったガッカリ感にしかならなかった。 -スキルポイントや特殊能力の見直しも大きい。マップ兵器を持たないゾイドは「範囲」がほぼ死にステになるため、その分で特殊能力を獲得しやすくなり、選択の幅が広がった。 --引き継ぎによる周回プレイも行えば、「範囲」を犠牲に特殊能力を設定した上で「格闘」「射撃」「補助」をそれぞれ99にすることも可能。一点振りでしか99にできなかった前作では考えられないことである。 &bold(){オリジナルストーリーに沿った展開} -本作はオリジナルストーリーのため、ゾイドを知らなくてもストーリーを楽しめる。 --バトルストーリーがベースとなっているため、知っていれば展開の予測ができるのも面白いところ。 -主人公に名前を付けることができるほか、選択肢が出現することでより没入感が強くなった。 &bold(){その他のこまかな部分の改善} -最初のミッションはチュートリアルとなっており、初心者にもわかりやすくなっている。 --ミッション終了後も必要に応じて説明が表示されるため混乱は少ない。 ---- **問題点 &bold(){戦力の偏り} -共和国と帝国がそれぞれ保有するゾイドの関係から、戦力が偏っている部分がある。 --前作同様、帝国側には飛行ゾイドが少なく、Sサイズが2対0、Mサイズが4対4、Lサイズが2対0となっている。 ---帝国側にLサイズの飛行ゾイドがいないのが痛いが、ゲームバランス的に登場させられそうなゾイドが残っていないため、仕方のない部分ではある。 --とはいえ、前作と異なり同陣営のゾイドとの戦闘も多いため、そこまで気にはならない。 &bold(){未登場のゾイド} -念願叶って登場したゾイドもいる一方、両軍の編成バランスを調整するためか未登場に終わってしまったゾイドもいくつか存在する。 --同時参戦ならバランス的には影響が少ないはずのゾイドや、アニメ『ゾイド新世紀スラッシュゼロ』で活躍したゾイドも登場しない。恐らくは開発期間や容量の問題だと思われるが、残念である。 #region(共和国の主な未登場ゾイド) -ストームソーダー、ハンマーヘッド、ガンスナイパー、シャドーフォックスなど。 --飛行ゾイドであるストームソーダーや、水空両用のハンマーヘッドが登場しないのは、戦力のバランスが共和国に傾くことを懸念しての未登場と思われる。 #endregion() #region(帝国の主な未登場ゾイド) -レブラプター、エレファンダー、ザバットなど。 #endregion() &bold(){戦闘アニメ、カットシーンの省略} -上記で述べたように、演出の一部が省略されている。 --前作のオープニングは演出、内容、クオリティ的にも評価が高かっただけに残念である。 --また、ゾイド撃破時にフェードアウトという形をとってしまったことで、非常に味気ない物となっている。((例外的にライジャーとライトニングサイクスは、Mサイズでありながら勝利・撃破演出のある好待遇を受けている。))。 --マップ兵器使用時のプリレンダムービーも、SEの効果もあって迫力のあるものとなっていただけに非常に残念である。 ---しかも、戦闘アニメの流用でロード時間が発生し、エフェクトの時間と合わせて冗長になりがち。 --ただし、要所において流れるムービーは前作よりは増えている。((前作は2種、今作は4種。)) &bold(){システム上の問題} -マップが狭くなった。 --狭い一本道が続くマップもあり、前作と同じ感じで展開していると狭くてゾイドが上手く展開できなくなっている。 ---一応、そのようなステージだと捉えることもできるが。 -一部マップ兵器の弱体化 --一部の荷電粒子砲シリーズはまだ何とか使えるが、前作でも使えた共和国のロングレンジバスターキャノン、帝国のビームランチャーは軒並み円形から細い直線範囲になり、使い物にならなくなった。 -ステルス・隠蔽能力を持つゾイドの弱体化 --ステルスゾイドは前作で猛威をふるっていたが、今作ではレーダーを標準搭載したゾイドが増えたため、その脅威が薄れている。 --さらに、マップ画面で敵ゾイドにカーソルを合わせて△ボタンを押すと、そのゾイドのステータスを閲覧できる機能があり、これがステルスで不可視状態であるはずの敵ゾイドにも使用可能で、レーダー無しでも位置がわかる。((ただし、位置がわかるだけでステルス状態が解除されるわけではない。)) -&bold(){回避は可能だが、進行不能になる致命的なバグがある。} -アニメ省略中は一部の特殊能力の成功率が0%になってしまう。 ---- **賛否両論点 &bold(){ゾイド支援システム} -戦闘アニメ有効時のみの機能として、ゾイド支援システムがある。戦闘中に指定されたボタンを連打することで、攻撃力が1~2割ほど増加する。 --親切な機能であることは間違いないが、戦闘アニメ省略時には使えない機能であるため、戦闘アニメを省略したくても出来ない…という人も。 &bold(){前作からの変更で生じた賛否} -水中のゾイドを地上から攻撃可能 --前作では武器に対潜適応がないと水中にいるゾイドは攻撃できなかったが、今作ではダメージ半分になるものの、攻撃できるようになった。~ その気になれば地上からゴリ押しで撃破可能になっており、簡単になったと思える一方で、戦略性においては薄れてしまったと捉えられることも。 -状態異常から復帰しやすくなった --状態異常の種類は前作とほぼ同様だが、『ショート』『炎上』『サビ』からの回復が非常に早くなった。ほぼ1ターンであっさり回復してしまう。 --この影響で帝国側の多くの大型ゾイドに装備された、「高圧濃硫酸噴射砲」が脅威ではなくなり、接近戦を挑むリスクが小さくなり、ゾイドの配置や距離をそこまで考慮しなくとも良くなった。~ これにより、通常戦闘が前作にもましてどちらかが倒れるまで強力な攻撃をひたすら当てるだけの状態になってしまった。 ---ただし、前作においての「高圧濃硫酸噴射砲」による『ショート』状態は、受けた側の行動を数ターン封じる効果を持っており((ついでに一部の属性武器のダメージも上昇する))、使い方次第ではハメ殺し状態にできる強力な兵器である。~ こちらが使用するなら頼もしい兵器であるが、相手から使われるとストレスにしかならず、弱体化によってむしろ陣営間のバランスが取れたとも考えられる。 -前作ではマップ兵器の多い共和国と状態変化系武器の多い帝国という特徴があったものの、どちらも仕様の変更や同じようなレベルになったことで違いが少なくなった。 --それぞれの個性がなくなったとも思えるが、陣営にとらわれることなくゾイドを使えるようになったとも考えられる。 -重視する内容 --今回はストーリーにも重点を置いている。このことが歓迎される一方で、前作で押し出していたゾイドという存在が薄まってしまったことを残念に思うファンも。 &bold(){ストーリーの内容による賛否} -バトルストーリーがベースではあるものの、本来は主要な登場人物が戦死するほど重々しいものがあるのに対し、こちらは状況こそ深刻ではあるが、雰囲気的にはアニメゾイドに近い明るいものとなっている。 --これらは何を重視するかによって、良くも悪くも大きく評価が分かれる要素となってしまった。 ---特に「前作の雰囲気をそのまま引き継いだ続編」を望んだファンからは不満点となっている。 --また、シナリオの関係で帝国側の主人公はかなり異例な道筋を辿ることになり、それもまた賛否両論となっている。 -途中から帝国・共和国でシナリオがほぼ共通となってしまう。 --ストーリーの内容から戦うことになるゾイドにも賛否が… #region(終盤のネタバレのため反転) -物語の終盤になると、敵としてどちらの陣営にも属しないデススティンガーが大量に出現するようになり、これらの撃退が主となる。 --問題なのは、このデススティンガーが非常に手強いということ。~ 一体一体がボスそのものの強さであり、大量の高性能武器、広範囲マップ兵器、潜水に砂漠ステルスを備え、更にリーダー格は特殊能力『HP回復』まで持っているため、撃破は非常に困難。~ 上記の「地上からでも水中のゾイドを攻撃可能」という特性を利用して戦っても、攻撃を回避されるか、当たってもEシールドの防御効果+水中補正によって雀の涙ほどのダメージしか与えられず、逆に荷電粒子砲で返り討ちに遭う。 ---一番辛いのは、こんな敵が大量に出現すること。どれも部隊長機なので捕獲することもできない。 --しかし、初期位置が水中の個体はそこまで多くもなく、不用意に接近さえしなければ動かない個体も多いため各個撃破も十分に可能なので、最初からやり直すほどでもない。 --問題ないと思うプレイヤーもいれば、マンネリや強すぎると感じるプレイヤーもいて評価が分かれる。 #endregion &bold(){前作からそのまま残っている仕様} -前作で強すぎた特殊能力がそのまま残っている。特に猛進特攻(前作では精神集中)は名前が変わっただけで、相変わらずの壊れた性能をしている。今作ではレオマスター専用技をはじめとした強力な格闘攻撃が増えたので、格闘武器を持つ多くの機体でとんでもないダメージを叩き出すことが可能。 -今作でもレベリングが訓練頼りでなかなか進まない。その代わりに次から次へと新しいゾイドが支給されるのだが、それまで鍛えていたものよりレベルの高い同じゾイドが配備され、それなら別のゾイドのレベルを上げれば良かった…となることもしばしば。~ 前作同様に、下手にゾイドを戦いで鍛えるより、捕獲用ゾイドを使って捕まえた方がより強いゾイドを簡単に入手できてしまう。 --とはいえ、相手のレベルが高いほど得られる経験値は多く、いいパーツを装備して上記の強力なスキルを利用すれば、レベル差はそこまで苦にはならない。 --更に訓練で相手をしてくれるゾイドのレベルは低く、小遣い稼ぎ程度にしかならない。 &bold(){ゾイドファン限定の問題} -ゴジュラスとアイアンコングのように、本来は互角の強さを持つゾイドに差が生じている --ただし、バトルストーリー上の設定ではアイアンコングは対ゴジュラス用のゾイドであり、その上位であるアイアンコングPKはアイアンコングの3倍の性能、ゴジュラス・ジ・オーガはゴジュラスの5~10倍の性能となっており、忠実に再現すると当然ゲームバランスは大きく崩れる。 -原作では3年以上かけて展開していたストーリーを25話前後に収めているためか、些か駆け足気味。 ---- **総評 -前作同様、ゾイドのゲームとしてはかなりの出来栄えを持っている。システム周りが大きく改善されたことで、前作では使いどころが難しい強力なゾイドも問題なく使用できるようになった。~ アニメとバトルストーリーをうまく融合したシナリオによって、当時子供であってもとっつきやす内容となった。 -しかし、これによってアニメにおいて人気の機体(主にライガーやザウラー系)はやや優遇されている部分があり、特にライガー系は強力な「必殺技」がアニメから輸入されて性能差に拍車をかけることに。~ これらの変更は、バトルストーリーを重視する層や「前作の雰囲気をそのまま受け継いだ続編」に期待した層にとっては受け入れられないものでもあり、前作があるからこそ賛否両論や評価が辛くなる部分が出ることとなってしまった。 -それでも、クリアデータを使って帝国・共和国とゾイドを引き継ぎながら繰り返しプレイでき、さらに敵平均レベルが80越えのハードモードとも言うべき内容で遊べたりと、長く遊べる要素は評価ポイントである。 -キャラクターゲームという特性上、前作より大味なバランスが出てきたところや細かいところの詰めの甘さがあり、万人に勧められる内容ではないが限りなく良作に近い名作ではないだろうか。 // 要必殺技と換装機能の追記 ----

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