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ドラゴンクエスト - (2020/12/23 (水) 22:04:35) のソース

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*ドラゴンクエスト
【どらごんくえすと】
|ジャンル|ロールプレイングゲーム|&image(0006-1.JPG,https://www.amazon.co.jp/dp/B000068HWB,width=160)[[高解像度で見る>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/3440/1593/0006-1.JPG]] [[裏を見る>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/3440/1594/0006-2.JPG]]&image(Dragon Quest.png,https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/3440/2612/Dragon%20Quest.png,width=160)|&amazon(B005B7EUQM)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|~|
|メディア|512KbitROMカートリッジ|~|~|
|発売元|エニックス|~|~|
|開発元|チュンソフト|~|~|
|発売日|1986年5月27日&br()25周年記念:2011年9月15日|~|~|
|定価|5,500円&br()25周年記念:4,440円|~|~|
|プレイ人数|1人|~|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|~|
|備考|パスワードコンティニュー(20文字)|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|ポイント|『ドラクエシリーズ』一作目&br;一作目故インターフェイスはまだ未成熟&br;戦闘は1対1&br;緻密なゲームバランス|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[ドラゴンクエストシリーズ]]''|
//|>|>|>|CENTER:''[[公式サイト>http://www.dragonquest.jp/25th/dq123/]]''|
//一覧部分の公式サイトリンクはなしが基本のはず
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**概要
日本を代表する国民的RPGと言って差し支えないドラゴンクエストシリーズの第一作。初のファミコン用RPGとして認識されている。~
漫画「ドラゴンクエストへの道」によると、プログラマーの中村光一も「ファミコン初のRPGにしたいと意気込んでいた」といい、後述の数々の特徴から日本国内における''『RPG』''という言葉の意味を独自に定義づけてしまうほどの影響力を持つ作品となった。

シナリオ・ゲームデザインは堀井雄二、メインプログラマーは中村光一、モンスター(キャラクター)デザインは鳥山明、音楽はすぎやまこういちと、各分野のプロが結集し作り上げられた。
//鳥山明だけ代表作を書くのは不自然に見える。かといって全員に代表作を列記すると冗長になるので、ここでは名前だけでいいだろう。

プレイヤーは伝説の勇者ロトの子孫となって、平和なアレフガルドに突如現れた邪悪の化身「竜王」を打ち倒し光の玉を取り戻すべく旅をする。


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**特徴
ファミコン初のRPGということもあり、RPG未経験者にもとっつきやすいよう、「遊びやすく、かつRPGの概要を理解しやすいシステム」に重点を置いたつくりになっている。

基本部分はコンピュータRPGのパイオニア『[[ウルティマ>ウルティマI 第1暗黒期]]』と『[[ウィザードリィ>Wizardry]]』を参考に、それぞれのゲームからプレイヤーの理解を促しやすい要素を抽出して導入、両者のいいとこどりともいえるシステムとして構築している。~
このスタイルは後続の国産RPGにも採用され、標準的なスタイルとなった。

-ゲームスタート時、主人公にはひらがな4文字まで好きな名前を設定できる。
--ただし、容量の関係上「濁点(゛)」と「半濁点(゜)」も1文字として扱われる。
--「自分の名前でゲームができる」のは、当時のファミコンソフトとして画期的だった。

-フィールドは『ウルティマ』と同様の2D見下ろし型。
--上空から見下ろしているような視点であり、周囲の地形が分かりやすい。

-フィールドを歩けばランダムで敵と遭遇し戦闘に突入。
--戦闘システムは『ウィザードリィ』と同様のターン制。基本的にプレイヤーが行動を決定するまでは、敵も攻撃してこないので、じっくりと考えて行動できる。
--行動はコマンドで選択する方法であり、武器で直接攻撃を行う「たたかう」や、MPを消費することで特殊な効果を発揮する「じゅもん」などを状況に応じて使いわける。
--背景のグラフィックスは、フィールドとダンジョン二種類用意されている。

-ゲームの中断機能の実装
--本作ではパスワード(復活の呪文)によるセーブを実装しており、ゲーム途中での中断と再開が可能になっている。
---平仮名の「あ~ば」までの64文字を使用。復活の呪文は20文字。5・7・5調+3文字構成で、これ以上文字数が増えることはない。

***DQIならではの特徴
当時の新技術を使ったコンピュータRPGと比較して、ハード上の制約も絡んで様々な簡略化がされた。その中には、当時の家庭用ゲーム機では未知のジャンルであった「RPG」を、プレイヤーに理解してもらうための配慮も含まれる。

-最初から最後まで主人公ひとりの冒険。戦闘も1対1である。
--ファミコンで当時主流だったアクションゲームに慣れた子供たちには、いきなりパーティーでの戦闘は難しいのではないかということで、この仕様にしたとのこと。

-後作とは違い、武器防具と道具類は別々に所持欄が用意されている。また道具の中でも「やくそう」と「かぎ」はそれぞれ6個までまとめて持てる。
--入手した武具は自動的に装備され、それまで装備していた武具は自動的に破棄(武器屋なら売却)される。任意で着脱することはできない。
---「りゅうのうろこ」や後述の「のろいのベルト」など、任意で装備できるアイテムは道具欄での扱いになる。
--武器には属性や武器種といった概念は存在せず、単純に数値の大きい武器が強い。防具には特殊効果を持つものもあるが、これも守備力の高いほうが上位互換となっている。
---装備名も強さがわかりやすいネーミングであり、武器は剣だけでなく棍棒や斧などバラエティに富んでいる。
--ゲーム開始直後の主人公はなにも持っていないグラフィックだが、武器を入手すると右手に、盾を入手すると左手に装備したことがグラフィック上でも反映され、「モンスターと戦う準備ができた」と一目でわかる。

-敵の出現範囲や頻度もわかりやすく調整されている。
--橋を渡り、ゲーム開始地点のラダトームから離れることで、強敵が出現するようになっている。
--また平原に比べて森や山は敵が出現しやすい。

-理解しやすく調整されたシナリオやゲームバランス
--ゲーム開始直後はラダトームの城の王様の前におり、王様の会話からゲームが始まる。
---王様のいる部屋から外に出る過程で、「はなす」「とる」「とびら」「かいだん」などのコマンドをひととおり使うことになる。RPG未経験者でも、安全な場所で自然と基本操作が身につくようにという配慮である。
---じつは本作が完成した直後のVerでは、ゲーム開始直後にラダトーム城近くのフィールドに放り出されるという仕様だった。だが、地元の子どもたちを集めてテストプレイをさせてみたところ、基本的なインターフェイスすら理解できず、武器も防具も持たずにフィールドを歩きまわったあげく、モンスターにやられてしまう子どもたちが続出し、さらには「最初に何をしたらいいのか分からない」「城や町はただの背景だと思っていた。入れることに気づかなかった」という苦情が殺到したため、「このままでは不親切な内容のゲームになってしまう」と危機感を抱き、現在の仕様に変更されたとのこと。
--城の1階では旅の知識を聞ける。城の近くにあるラダトームの町では、屋根のある家への入りかたや、カウンターごしに会話が可能なこと、武器防具の購入方法を覚えられる。
---この時点での所持金では不完全な装備しかできないが、そのおかげで装備をプレイヤーが選ぶことができ、開始直後は入手できない装備品を買うため、お金を貯めるモチベーションの向上につながっている。
--初期状態では呪文は使えず、また呪文を使ってくる敵も出てこない。最初にできることを少なくすることで、段階を踏んで敵との戦いかたを理解できる。
---ただし、「できることの少なさ」は単調な展開の繰り返しになってしまう。そのため、序盤はレベルが上がりやすい調整になっており、ストレスを感じにくくなっている。
--覚える呪文も、効果がわかりやすい回復呪文「ホイミ((HPを15程度回復させる。消費MP:4))」を最初に、攻撃呪文の「ギラ((敵に10程度のダメージ。消費MP:2))」をその次のレベルで覚える。
---ホイミを最初に覚える事で宿屋に泊まる回数が減ってゴールドが貯まりやすくなり、ギラの習得により、通常攻撃だけでは倒しにくいモンスターにも勝てるようになる。
---その後も、遠出するようになり攻撃が強力な敵が出現するころに「ラリホー((敵を眠らせ、こちらが一方的に行動できる。消費MP:2))」、敵も呪文を頻繁に使ってくるようになるころ「マホトーン((敵の呪文を封じ込めて使えなくさせる。消費MP:2))」といったぐあいに、必要なタイミングで呪文を習得するよう調整されている。
--ちなみに後のシリーズやリメイク版では必中である「会心の一撃」も、通常攻撃同様に外す事もある((これは『IX』でも復活している。))。
---一方で、敵側に「痛恨の一撃」は無い。
//1の特徴であっても問題点ではないと思うのでこっち。あと普通のモンスターが通常攻撃を避ける事があるのはシリーズ通して当たり前では?
--また本作では原則シナリオ進行に関わるフラグは全てアイテムの所持/非所持のみで管理されている((ふっかつのじゅもんにイベントフラグのオンオフ切り替えはいくつか仕込まれているのだが、「戦士の指輪を装備したかどうか?」など割とどうでもいいことにしか使われていない。))。そのため、竜王到達までの過程をわかりやすく言えば「たいようのいしとあまぐものつえとロトのしるしを集めてにじのしずくを手に入れる」というだけだったりする。もちろんそれまでに必要なアイテム自体はそれなりに存在しており、全体のシナリオがものすごく短いというわけではない。



-バッドステータスも、行動を封じるものやわかりやすいものに限定している。
--戦闘中は、眠りの呪文「ラリホー」や魔法封じの「マホトーン」によるもののみ。どちらも行動の制限のために、効果がわかりやすく、かつ使う敵の強さを引き立てている。
--移動中は、装備による呪いのみ。「のろいのベルト」などの呪われたアイテムを装備すると外せなくなり、更に復活してもHPが1しか回復せず、城にも入れてもらえなくなる。
---ラダトームの町にいる老人に話しかけることで、呪いを解いてもらえる。このため、序盤からきちんと情報収集をしていれば、呪いに悩まされることはない。

-真っ暗なダンジョン。そのままでは地形がまったく見えない。
--「たいまつ」又は灯りの呪文「レミーラ」を使えば自分の周囲だけは明るくなるが、広々としたフィールドとは違い視界の利かない中を歩むのは不気味である。
---なお、最初に訪れる事になる「ロトの洞窟」では敵が出現せず、洞窟内での移動方法を学習できるようになっている。
--BGMも、1階層下に下りる毎ごとトーンやテンポが低く遅くなっていき、不気味さをみごとに演出している。

-スタート地点のラダトーム城は、パスワード(復活の呪文)を聞くことができる唯一の場である。移動アイテム「キメラのつばさ」や移動呪文「ルーラ」も移動先はラダトームで固定されている。
--また、自キャラが死んだときにもゲームオーバーにはならず、「死んでもゴールドが半分に減らされるだけで、レベルや経験値、所持アイテムやゲームの進行状況はすべて維持」したまま城から再開される。
---当時のPCのRPGは「死んだらゲームオーバー」→「セーブ時の状況まで戻ってやり直し(セーブ後の行動はすべて「なかったこと」になる)」が主流だった。
---これも子どもたちへの配慮であり、当時のPCのRPGにみられた理不尽さを極力排除し、途中で投げ出されないようにするための措置だった。
---とはいえ、今作のゴールドはかなり稼ぎにくい((以後のシリーズと異なり、今作には敵からのアイテムドロップはない。宝箱に入っているお金も、大半がせいぜい十数ゴールドで、アイテム売却も隠しアイテムのひとつを除き、市販品のみか、または非常に安い値段でしか売れない。))ので、そのゴールドが半分に減らされるというペナルティーは厳しい。~
ただし、その時点の強敵と渡り合えるようにさせるための意図的なレベル上げの強要ともとれる。
--遠く離れた場所や洞窟の奥深くで、所持ゴールドが少ないときなどにわざと敵にやられて城に戻るというテクニックもあり、通称「デスルーラ」または「デスリレミト」とも呼ばれる。これはまた同時にダンジョン内で迷った場合のハマリ防止措置になっている。

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**評価点
-やりごたえがあり、ボスはボスらしく強い。第一作目の基本システムはシンプルであるが、だからといって甘くはない。シンプルなぶん、要求される作業量は膨大でシビアな管理が求められる。『[[II>ドラゴンクエストII 悪霊の神々]]』が調整不足から生まれた大ざっぱな難しさなら、『I』は計算されつくしたシンプルな難しさである。
--武器、防具は「高嶺の花」で、その町周辺の敵とひたすら戦ってゴールドを稼がなければ購入できない。
---また金額や販売店の位置関係もあり、序盤からいきなり不相応に強い武具を手に入れるのはほぼ不可能である。
--とにかく厳しいのは経験値の入手バランス。以後のシリーズ作品と異なり「低レベルで強くなる」という方法はほぼないので物語の進行をたびたび妨げ、終盤以外でもレベル上げを強要するバランスは、現代のRPGに見られない特徴。

-HPの回復もまた楽ではない。呪文「ホイミ」で回復するHPは10前後で、HPを30前後回復する薬草は24ゴールドと序盤では高価。
--中盤以降になると、ホイミでは回復が追いつかないので、移動時にはHPを満タン近くまで回復しておく必要がある。
---ベホイミを習得したり、歩いているとHPが回復する魔法の鎧またはロトの鎧を入手後は、この負担が緩和される。
//魔法の鎧は4歩ごとに1回復、ロトの鎧は1歩で1回復
--手間こそかかるものの、パスワードによる再開時は完全にHPが回復した状態となるので、これを利用する手段もある。

-RPGの根底にある「敵と戦って勝利する面白さ」がうまく表現されている。
--前述のとおり、戦闘バランスはやや厳しめの方向((あくまで当時の基準であり、近年のゲームと比較すれば大変厳しい。))で調整されていて、洞窟の1階層奥に進んだり、橋を渡って新しい大陸に進んだりすると強い敵が出てくる。手持ちのアイテムを使い切って辛勝したり、命からがら逃げ出したりといったケースはよく起こるが、きちんとレベルを上げて装備を整えればちゃんと勝てるようになる。
--分かりやすいシンプルなシステムと、こういった厳しさからくる達成感と面白さがRPG初心者に受け入れられた。

-BGMは、数こそ少ないが非常に効果的に使用されている。
--地上フィールドで流れる孤独な一人旅の心情を表現した哀愁漂うBGMはファンの間でも人気が高い。~
また、ダンジョンのBGMを、メロディ自体は同一のままでテンポやトーンを階層ごとに変えていく演出は、他作品やシリーズ後発作品でもそう多くは見られない巧みな表現である。

-アドベンチャーRPGなどとも言われたように、攻略のヒントやどうでもいい自分語りといった町人の会話なども丁寧に作られており、スタッフが隠しキャラのように各地の町に隠れている等、素朴な遊び心もある。
--本編に関連する台詞は現在のRPGと比べ台詞の数やセリフそのものの文量が少ないが、シリアスかつシビアな内容((「ここ ラダトームは そのむかし らくえん でした。 それを まものたちが…」「ラダトームのおしろのみなみから うみのむこうに おしろが みえるでしょう。りゅうおうは そのしろに いるとか…。 おお こわい…」「おおくのゆうしゃが まちから とおくに たびにでて そして しんだ。 ゆうしゃ (プレイヤー名)よ おまえを しなせたくないものだな」「うわさでは まものたちに ほろぼされた まちも あるらしいです。」etc.))で印象に残りやすい。簡潔なセリフながら世界がどのような状況に置かれているかが端的に表され、打倒竜王へのモチベーションを高めてくれる。
--また独特な台詞回しから多くのファンを獲得して、パロディを生み出した。

-鳥山明のモンスターデザインの人気はポップで親しみやすく、人気が高い。姿と名前を一致させやすい、系統ごとの特徴がよく出ている点も評価されている。
--魔物だというのに''かわいい''敵すらいる。その代表格である「スライム」は、今やDQのマスコットとなった。

-アイテム名の分かりやすさ。
--それまでは当時主流であった海外製RPGの固有名詞を日本語表記に置き換えたもの(ポーション等)がほとんどであったが、本作ではアイテムや装備の名称はすべて日本語(ひらがな)で名づけられており、見た目のイメージが膨らませやすい。
---回復アイテムは「やくそう」という分かりやすい名称で、武器は「たけざお」「こんぼう」「どうのつるぎ」「てつのおの」といった具合に、材質によって直感的に強さのランクをイメージしやすい。今持っている武器と、町で売っている武器のどちらが強いのか、名前を見比べれば大体分かるようになっている。

-ビジネスソフトに使われていた、ウィンドウに別ウィンドウが重なるマルチウィンドウシステムを採用したゲームとして有名であり、のちのゲームのインターフェースに多大な影響を与えた。
--実際には既に『[[ハイドライド・スペシャル]]』で採用されていたのだが、知名度的な点からそう呼ばれやすい。

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**賛否両論点
-主人公の能力が名前依存となっており、名前によっては能力が偏ることがあるので、難易度も多少変化する。
--ただし、全ての能力値が強い(弱い)成長タイプは存在しない。成長タイプによってそれぞれ個性があるものの、それが原因でぬるくなったり詰むといった極端な変化は起こらない。
---本作の仕様上、ステータスの価値はHPと力が最も高く、MPがそれに次ぎ、素早さが最低((後述するように、終盤で役立つ魔法はほぼベホイミだけであり、MPが高いことによるメリットがさほどない。また本作時点では行動順が完全固定で素早さは「素の守備力の半分」でしかない上ダメージ計算式の都合上、力と比べるとダメージレースへの影響力が全く異なるため。))という順になるため、MPと素早さだけが高いタイプ(タイプCなどと呼称される)は、難易度が高くなりがち。クリア不可能というわけではないが、レベル20まで鍛えた上で最強装備を整えて最良の選択肢をとり続けても、竜王に押し負ける危険性がちらつくためやや苦行になりうる。自分の名前でクリアしようとした子供にはやや厳しい仕様ではある。

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**問題点
-インターフェイスが未成熟。
--移動画面での人物のグラフィックは正面しか作られておらず、通行人に話しかける際にはその人のいる方角を選択しなければならない((話したい相手に対して南側から接触した時のみ、「はなす」コマンドを指定すると、「きた」の方角にはすでにカーソルが付いているので、この場合はAボタンを連打するだけですぐに話すことができる(方角を指定する手間がわずかながら簡略化される)。))。
---ただし当時は容量が少なかったので(64KB)仕方の無い部分でもある。後発のNES版では前後左右のグラフィックが追加されている。
---また、誰もいない場所でも方角選択ウィンドウは表示できるため、見下ろし型の探索ゲームに慣れていないプレイヤーにとっては画面上の東西南北をいつでも確認できて地道に有難かった((追記者の実体験より。))。
//---本作に先行して発売されたアクションRPG『[[ハイドライド・スペシャル]]』や『[[ドルアーガの塔]]』は本作より容量が少ないが、システム上必須である前後左右のグラフィックは存在し、別の方向で容量が節約されている((モンスターグラフィックが小さい(チップキャラは一枚絵より容量が少ない)、マップが狭い(ドルアーガだと壁と床しか存在しない)、町人が存在しない(当然台詞も存在しない)、等の本作より容量が少なくて済む要素が多数ある。))。一方、本作が参考にしたCRPG『ウルティマ』シリーズはシステム上必須ではないためか長らく正面のグラフィックのみであったため、本作はそれに倣った形と言える。
//明確に制作人が意識したというのならソースが欲しいところ。「といえる」だけでは推測に過ぎないので。
//((後年のSLG等では(アクション要素が無くても)キャラクタの向きで戦闘力が変わるシステム(背後から攻撃されると回避力半減など)が導入されている場合もある。))
//SLGを例に出しても仕方がない
//---また、方角指定のコマンドは十字型に東西南北として配置されている。このあたりも『ウルティマ』の表記に近い。
--宝箱を開けたり、階段を昇り降りするには、それぞれの上に立って「とる」「かいだん」といった個別のコマンドを選ぶ必要がある。
//---「どうぐ」から鍵を消費することができるのに「とびら」というコマンドもあり冗長である。鍵の種類が複数になった『II』以降では役立つコマンドとも言えるが、この作品ではあまり必要がなかった。
//↑DQ1でも道具欄からいちいち鍵選ぶより、とびらコマンド使った方がワンタッチで楽だ
---ただなにか障害物があるときに「どうぐ」を使ったり「しらべる」というのは現在でこそ当たり前となっているが、初RPGの最初の段階ではコマンドを細分化して分かりやすくし子供たちに何をすればどうなるか覚えさせる為の配慮が必要であったともいえる。

-間違って洞窟に入ってしまうと悲惨。
--前述の通りレミーラの呪文やたいまつの用意がなければ移動もままならず、用意もなしにうっかり入って動き回ると出るためにも必要な「かいだん」コマンドをどこで使えばいいかわからないまま暗闇の中をさまよう事になる。
---「ロトの洞窟」以外では死んでもゴールド半分になって蘇るのでハマりはないが、準備が整っていない状態で不用意に洞窟に入るべきではない。
---一応、入った直後に「かいだん」コマンドを使えば安全に脱出できる。しかし、いきなり迷い込んだついでに移動してしまっていたら当然元の位置は判らなくなってしまっているだろう。

-敵のラリホーは100%成功してしまう。
--その為、''一度眠らされたら攻撃を一方的に受け続けてそのまま永眠''というケースもよく起きる。最強の雑魚敵ダースドラゴンとの戦いは敵のラリホーが先か、こちらのマホトーンが先に効くかの正に命懸け。
---経験値が多いメタルスライムの出現場所にもラリホーを使うメイジキメラが出現するため、本作のメタル狩りは異様に危険なものとなってしまっている。

-最強の攻撃魔法であるベギラマの使用機会が少ない。
--ベギラマの威力自体は「防御無視で約60前後のダメージ」と大半の敵のHPが2桁((HP100以上あるのはストーンマン・ダースドラゴン・竜王(両形態とも)のみ、いずれもラストダンジョンでしか出てこない。))の今作では強力なのだが、守備力が2桁しかないモンスターが大半(守備力が100以上のモンスターは呪文攻撃も最上位耐性ありなので、それらには役立たない)である。そのため、習得するレベルだと殴っていれば勝てる状況が大半であり、ベギラマを使いたいと思える程の相手がおらずMPを回復用に温存しがちである(本作は敵が一匹しか現れないことに留意していただきたい)。~
おまけに攻撃呪文の属性別(火の魔法は無効だが氷魔法は効くなど)などがない上、呪文の耐性が確率式((耐性が強くても当れば100%の威力だが、当たりにくくなる。外れれば当然ノーダメージ。))なので、終盤の大半の敵は攻撃呪文全般(2つだけだが)耐性もちであることを考えると威力の期待値はぐっと下がる。
---ただしHPが減るとベホイミを使う敵に対しては、1発殴ってからベギラマを唱えることで一気に倒せるため、マホトーンが効きにくい死神の騎士が相手の場合下手にマホトーンを唱えるよりも確実に倒せるので、まったく使い所がないわけではない。

-文字列をメモしなくてはならないのでセーブ作業に手間がかかる。
--モニターがブラウン管TVであり画面表示がRF接続なのでにじみ易いため字が読みづらく、何度も確認して間違いがないかチェックしたにも関わらず「復活の呪文が違う」と言われることも度々。「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」などの同音異字もあるため、音読しながら書き留めると間違える可能性もある。

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**総評
ハードルの高かった「RPG」という遊びを子供でも気軽に遊べるよう熟考しながらシステムを整えていったことにより、当時より定番であった「剣と魔法のファンタジーRPG」を国内に浸透させる事に成功した。~
徹底されたとっつき易さの中に含まれた適度な歯ごたえこそ本作の魅力であり、シナリオ自体がシンプルで本筋以外のやりこみ要素などもまだ存在していない分、『''キャラクターを鍛えて強化し、旅の範囲を徐々に広げていく''』という、シナリオそのものだけに寄らないRPGの本質的なおもしろさの純度は非常に高い。~

システム、シナリオ両面においてRPG初心者に向けて徹底されたシンプルさは、今の時代となっては物足りなさに通じてしまうものではあるが、~
長大なシナリオや複雑なシステム、膨大なやりこみ要素を良しとする大作志向の強い昨今のRPGに食傷気味な人は、国産RPGの原点たる本作に立ち返って遊んでみてはいかがだろうか。

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**NES版『Dragon Warrior』について
-1989年5月に北米で発売された。発売元はNintendo of America。
--当時HAL研究所に所属していた岩田聡氏がローカライズを担当した。((出典:社長が訊く『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』))
-タイトルが異なる理由は、北米では『ドラゴンクエスト(DragonQuest)』と言う名のTRPG((TRPGこと「テーブルトークRPG」は和製英語である。これは日本では紙のRPGよりも先にコンピューターRPG、特に本作品のシリーズが爆発的に広まり、日本で単にRPGと言うとコンピューターRPGを指すようになってしまったため、その対称として、紙のRPGを「TRPG」と呼ぶようになった、いわゆるレトロニムである。…が、2019年現在、RPGの本場アメリカでも、「Tabletop RPG」という意味で広まりつつあるという。))が1980年に発売されており、当然商標も登録されていたためである。
--一方、このTRPG『DragonQuest』はホビージャパン社から日本語版が発売される予定になっていたのだが、日本国内では『Dragon Quest』の商標はこちらのファミコン版で登録されたため、TRPG『DragonQuest』の日本語版の発売が中止に追い込まれている。
--なお、2003年にスクウェア・エニックスが北米での商標を取得した事により、『VIII』以降は北米でも『Dragon Quest』のタイトルで発売されるようになった。

//正確な発売日が調べられなかったのでわかる方は追記をお願いします。
''日本版からの変更点''~
-主人公の名前はアルファベット8文字まで。大文字小文字の併用は可能。
-グラフィックの強化
--キャラクターの向きに横向きと後ろ向きが追加された(『II』以降と同様)
--ドットデザイン自体も刷新されている。
--フィールドに海岸線の描写が追加された。

-バッテリーバックアップ機能の実装


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**移植・リメイク・派生
-&bold(){『ドラゴンクエスト』(1986年/MSX,MSX2)}

-&bold(){『[[ドラゴンクエストI・II]]』(1993年/SFC)}
--『I』と『II』をリメイクした上でカップリング収録。

-&bold(){『[[ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II>ドラゴンクエストI・II#id_b7f37b23]]』(1999年/GBC)。}
--上記のSFC版をベースとした移殖。

-&bold(){『ドラゴンクエスト』(2004年/携帯アプリ)}

-&bold(){『ドラゴンクエスト』(2013年/スマホアプリ)}
--ガラケー版をベースとした移植。

-&bold(){『ドラゴンクエスト』(2017年/プレイステーション4・ニンテンドー3DS)}
--ダウンロード専用、スマホ版をベースとした移植。『XI』のクリア特典として2018年1月28日まで無料ダウンロードが可能となっていた

-&bold(){『剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣』(2003年/テレビ玩具)}
--剣の形状をしたソフト内蔵の本体をTVに直接繋いで遊ぶ、いわゆるテレビ玩具型の特殊な作品。~
テレビの前で剣を振る事により、直接モンスターに攻撃している感覚を味わえる体感型のRPGとなっている。
--キャラクターやひらがな主体のメッセージなど低年齢層を意識したデザインとは裏腹に、大きなお友達ものめり込める”隠れた名作”となっている。
--『[[ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズ]]』では、『I』の主人公と『剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣』の主人公は同一人物という設定になっている。

-&bold(){『ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』(2011年9月15日 / Wii)}
--FC版『I』『II』『[[III>ドラゴンクエストIII そして伝説へ…]]』、SFC版『I・II』『[[III>スーパーファミコン ドラゴンクエストIII そして伝説へ…]]』の5本を収録した豪華太っ腹のアニバーサリー仕様ソフト。
--SFCソフトのバーチャルコンソールの仕様では、クラシックコントローラおよびGCコントローラを必須としているが、こちらはWiiリモコン単体でも遊べる。
--単に当時のゲームがそのまま収録されている(バグまで忠実に移植されている)だけではなく、中断セーブの付加や当時の手書きの設定資料集も収録されており、付加価値は高い。
//ボタン操作に関わるものを除けばテキストの変更は無いはず
--但し中断セーブにはソフトの状態をまるごと保存してしまうので、中断した部分より先に進んでいる状態で記録している冒険の書を中断から再開したその瞬間に巻き戻ってしまうといった問題点有り。
---ただし、これを逆手に取ってセーブデータに悪影響与えるが手順の途中でセーブ必須なバグ技を安全に試すこともできる。(中断セーブ→バグ技実行して冒険の書に記録→危ないと思ったら中断からやり直す)
--復活の呪文は昔のものがそのまま使用可能。
--付属の『ファミコン神拳奥義大全書 復刻の巻』のスタッフインタビューや、設定資料集を読めば、本作が初心者にRPGの楽しさを伝えるために如何に様々な工夫を凝らしたかが分かるはず。ドラクエの原点を知りたいのであれば、ぜひ目を通しておくのもいいだろう。
//--値段は5つのソフトが合わせて4,440円とかなり安い。
//バーチャルコンソール換算なら別に安くない。

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**ゲーム機以外の展開
-双葉社からゲームブックが発売された。小説版やモンスター物語などに先んじて発売された、「ドラクエシリーズ初の公式二次書籍」である。
--後にエニックスからも別のゲームブックが発売されたが、そちらは『III』・『II』に続けて3番目の発売となった。

-『III』発売後、本作のノベライズ『小説ドラゴンクエスト』が刊行され、以後『VII』まで刊行され続けた。『I』~『III』の著者は、脚本家の高屋敷英夫氏。
--『モンスター物語』『アイテム物語』といった関連書籍と設定を共用しており、これらと同様「竜王六魔将」という敵幹部が設定されている。
--本作の小説版では、オリジナルキャラクターとして主人公の相棒が登場する。小説版『III』のあとがきにある通り、ゲーム同様の1人旅では話が膨らまないため考案された存在である。
---…問題はその相棒が無口かつ無愛想な性格で、主人公と特にかけ合いをしてくれるわけでもなく、それほど話が膨らんでいないという事だが。

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**余談
-それまでスライムといえば粘液質の不気味なデザインが主流だったが、本作でのその愛らしいデザインが後発の様々な分野の作品に多大な影響をもたらした。と同時に、本家のTRPGでは「剣でも切れない粘液質の強敵モンスター」と位置づけられているスライムのイメージを覆してしまった。このため、DQのスライムを嫌う者もいる。((当時は主に今風に言えば「ファンタジー厨」が相手より優位に位置する為に上から目線で使う事が多く、余計ドラクエファンから嫌われる悪循環の元になる事が多い。))
--だが、ドラクエが強く参考にした、当時の代表的なコンピュータRPGである『ウルティマ』や『ウィザードリィ』でもスライムは最弱クラスのモンスターとして登場しているため、DQのスライムの弱さはその影響が大きい。DQが責められるのはその知名度による所が大きいだろう。なお、この点はナムコのアーケードゲーム『[[ドルアーガの塔]]』におけるスライムも同様であり、製作者の遠藤氏は自身を指して「スライムA級戦犯」と自称している((ただし『ドルアーガの塔』におけるスライムはフロアを上がるごとに色が変わりレッドスライムから魔法を放つようになるなど、むしろ強い部類に入る))。
//遠藤雅伸のスライムA級戦犯発言ならゲームセンターCXをはじめ色々な所で言われている。

-本作の企画には『週刊少年ジャンプ』が大きく絡んでいる([[参考インタビュー>https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/torishima/2]])
--元々ゲームソフトの卸に参入したばかりのエニックスが売るソフトを作ろうとクリエイターを発掘するため1982年にコンテストを開催し入賞したのが天才プログラマー中村光一である。中村は入賞後1984年にゲーム会社「チュンソフト」を設立した。
--コンテストは『ジャンプ』の独占協賛の形で行われ、その後『ジャンプ』とのタイアップの形で「ファミコン神拳」のライター堀井雄二、天才プログラマー中村光一、そして『ジャンプ』の人気漫画家の鳥山明をキャラクターデザインに据えることで国産初のRPGを作ろうと企画したものである。
--説明書は土居孝幸、タイトルロゴは榎本一夫が制作。またさくまあきらは編集者の鳥嶋和彦を堀井に紹介するなど、『ジャンプ放送局』との関わりも強い。

-発売当初の売上はパッとしなかったが、『週刊少年ジャンプ』の度重なる紹介記事などで徐々に知名度を伸ばしていった。
--シリーズの知名度の拡大と人気振りを急激に促進したのは『III』の大成功によるところが大きいと言われているが、~
日本国内において''「RPG」といえば「DQのようなコンピュータゲーム」''とイメージさせてしまう程の強い影響力を有するにいたり、~
国産コンピュータRPGの進化方向を決定付けた名作シリーズとなりえたのは、作品の基礎を第1作目で既に確立していたからに他ならないだろう。

-本作に対して「ファミコン初のRPGにしたい」という意気込みがあったことは概要の通りだが、コマンド選択型RPGに限らなければARPGの傑作『[[ハイドライド]]』を家庭用にアレンジ移植した『ハイドライド・スペシャル』が同年3月18日に発売済みであり「自称」RPGの『[[頭脳戦艦ガル]]』は前年の発売。更にアーケードのARPG『ドルアーガの塔』がその前に移植され既に発売していた。

-当時はRPGというジャンルが大人向けのマニアックな物だと認識されており、またファミコンでのRPGの開発は過去に前例が無かった事から、プロデューサーの千田氏が本作の企画を立ち上げた時は社内から猛反発があったのだという。
--本作の前に発売された『[[ポートピア連続殺人事件]]』が大ヒットを記録した事から、千田氏に対して「RPGなんてマニアックな物ではなく、『ポートピア』の第2弾を作るべきだ」という声もあったらしい。
--堀井雄二作の『ポートピア連続殺人事件』は本作の制作に先立ってチュンソフトの手によりファミコンに移植されていた。これは移植できるものを探していた中村にエニックスが提案したものである。そして本作に先立ち堀井と中村が組んだ最初の作品となった。
--なお、本作の前年に、『ポートピア連続殺人事件』を第1弾とする一連のアドベンチャーゲームシリーズ、いわゆる「堀井ミステリー3部作」の最終作である「[[軽井沢誘拐案内]]」が発売されている。~
そちらでは本作に先駆けて「マップ上を移動して調査する」「RPG風の先頭画面で敵と戦う」というRPG要素が導入されており、本作発売に先駆けた実験作という見方もされている。

-制作側には「各分野のプロを集めて作品を作り上げたい」という考えがあり、プログラムのプロである中村氏、ビジュアル分野のプロである漫画家の鳥山明氏がスタッフとして集められたが、サウンドだけは社内のサウンドスタッフが手がけたものであった。~
それがどうも今一つよくないということで、作曲のプロとして活躍中であったすぎやま氏が招かれたが、プロとは言え外部の人間がゲームの制作現場に入ってくることに対し、チームの視線はかなり冷たいものがあったらしい。
--すぎやま氏曰く「当時のゲーム業界は、大学のサークル活動の延長線上のような感じでアマチュアの熱気でゲームが作られている環境にあり、プロがゲームの制作現場に入ることは批判的な目で見られやすい時代だった」という。~
ドラクエ制作現場においてもそんな風潮があり、最終的に現場に携わることになったすぎやまに対する視線も「しょせんプロの音楽家にゲームなんてわかるはずはない」という、冷たいものであった(中村氏ですら「本当にゲームに適した曲が作れるのか?」と懐疑的だったそうな)。
---そこで場の雰囲気を和らげるべく自分もゲームが好きであることを伝え、ゲーマー気質の強いスタッフたちを囲んでゲームに関する話題で座談会を催した結果、すぎやまの方がはるかにゲームに詳しいことが発覚。軽蔑的な視線が次第に尊敬のまなざしに変わり、こうしてゲーマーとして受け入れてもらえるようになったということである((ニンテンドードリーム2005年11月号・すぎやまこういち×近藤浩治ビック対談より。))。
---音楽番組『題名の無い音楽会』の1990年8月5日の放送では、司会を務めていた作曲家の黛敏郎氏が童話御伽話という放送回の題材に関連して、現代の子供にとって童話の役割を持つとされる漫画やゲームを批判、『III』のBGMを「音楽が無機質で単調」と批判しており、逆説的に(クラシック)音楽関係者とゲーム音楽との隔絶を証明している(ただし、黛氏はポピュラー音楽にも批判的なことは多かった)。
---なお時代の変化や番組関係者の何度かの代替わりもあり、2000年以降のプロデューサーである鬼久保氏が2009年にゲーム音楽のコンサートに行ったのをきっかけに2010年に同番組で初となるゲーム音楽の演奏が行われ、すぎやま氏本人も番組に招待されて自作曲の指揮をしている。[[参考>https://post.tv-asahi.co.jp/post-46243/]]
--すぎやま氏が制作に参加したのはほぼ完成に近い状態であり、マスターアップ期日直前だったため「1週間で作ってくれ」と注文されたという。~
そのことに関し「CM音楽や映画の劇伴は制作期間が短いことが多く、夜10時に打合せして翌日の10時までに作ってとかしょっちゅうだった。そういう仕事を生業としてやってきたから1週間と言われてもビクともしなかったですね」と語った。さすが巨匠である。
--なおエニックスがオファーした理由は、すぎやま氏がエニックスに1985年発売のPCゲーム『森田和郎の将棋』のアンケートハガキを送っていたため。その際、当時から名前の読み間違えを避けるために本名をひらがな表記にしていたため、ハガキを受け取ったスタッフに小学生と勘違いされたらしい。

-本作はシリーズで唯一のBADエンドが用意されている。
#region(ネタバレ)
''「 もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを (プレイヤー名)に やろう。」''
-今作のラスボスである竜王との会話シーンにおいて、上記の台詞の後「どうじゃ? わしの みかたに なるか?」という問いかけに2度「はい」と答えると、「闇の世界をやろう」と言われた直後、復活の呪文を教わった直後に画面が真っ赤に暗転した状態でフリーズしてしまい、リセットを押すしかなくなってしまう。
--教わった復活の呪文は&bold(){「全ての装備品・所持金・経験値を没収された上にレベルが初期値に戻された上でラダトームから再開する」}というとんでもないもの。つまり今までの進行状態がリセットされ最初からやり直しを余儀なくさせられるというペナルティである。~
ラストダンジョンに向う前のパスワードを正確に書き留めた上で捨てずに保存していれば通常通り再開できるが、書き間違えたり破棄してしまっていた場合はこれまでの苦労が文字通り水泡に帰す。
---このイベントが起きるのは今作最長の竜王の城の最深部で発生し、たどり着くのも一苦労の場所で、しかも今作で倒すべきラスボス戦の直前で起こる。それだけに、このトラップに引っかかってしまった時のショックは計り知れないものがある。会話の内容や「プレイヤー=勇者」という図式上からも「いいえ」と答えるのが正解というか当然ではあるのだが、まさかこのような仕打ちが待ち受けているとは知らず、面白半分で話に乗ってしまったり、会話をAボタン連打で読み飛ばして「はい」と答えてしまって上記の憂き目にあった人もいたことだろう。~
ダンジョン最下層で流れる暗いBGMと赤と黒に染まった画面の不気味さ、そして上述のペナルティも相まってこのイベントを本作におけるトラウマに挙げる人も少なくない。~
ラスボスの勇者勧誘(罠)の代名詞として有名になっており、様々なRPGで似たような勧誘、バッドエンドが存在するようになった。
--ちなみにすぎやま氏はこのイベントの内容について「分かりやすく言えば、あそこで「はい」と答えてしまうようなズルい政治家を生み出してはいけないんです」と雑誌のインタビューで述べ、「プレイヤーに対しイベントを通じて祖国愛を確かめさせるものだった」と捉えて再評価しているとか。
--『XI』の真エンディングでは過去の作品の名場面が流れるが、本作からはこのシーンが採用されている。ここで表示される竜王の復活の呪文を入力するとクリア特典としてPS4・3DS版を無料でダウンロードすることができた。当然所持金・装備品なしなどということはなく、通常の状態からのスタートとなる(オリジナル版からは初期装備にたけざおが追加されている)。

-そして竜王は非常に強い。
--最初は貧弱そうな人間形態でベギラマとマホトーンしか使ってこないが、真の姿を現したときは凄まじい威力の打撃と炎を繰り出してくる。すべての呪文がほぼ効かないので((一応1/16の確率で効くのでラリホーで眠らせることも可能))、こちらも攻撃の合間にベホイミで回復と、戦闘パターンは単純ながら、その存在感は今のゲームではなかなかお目に掛かれない。到達レベルと思われる17前後ではまともにダメージを与えることすら出来ない。倒すには最低レベル19は必要で、それでも竜王までの道中は苦戦を強いられMPを満タン近くに温存しておくことが勝利の前提条件になる。しかもこの間のレベル上げは上記の通り大変そのもの。
--逆にベホイミとロトの鎧((高い防御力や炎耐性のみならず、自然回復と毒の沼などのダメージ床無効により回復呪文の使用頻度を大幅に抑えられる。))さえあれば、よほどMPを浪費していない限りまず負けることはない。ラスボス戦における適正レベルや適正装備品といった概念を導入した点は後の日本のRPGに大きな影響を与えたと言えよう。
--また「スタート地点の城の対岸に自らの拠点を構え、堂々と自身の存在を誇示」したり、上述のように「対面時に友好的に応対し仲間に引き込む振りをして罠を張る」など、シリーズでも類例のない大胆さと存在感を持っている。
--また竜王はロトの剣でなければ倒せないとされている。実際には他の剣でも倒す事ができ、ロトの剣の次に強い炎の剣とのダメージの差は6ポイントしか無く一見炎の剣でも問題が無い様に見える。現に竜王以外の敵では炎の剣でも大差は無いが竜王は守備力が異常に高くレベル19でロトの剣を装備していてもダメージは僅か10ポイントであるため((成長パターンによって前後する))炎の剣ではダメージは半分以下になり、これでは絶対に倒す事はできない。炎の剣で同じダメージを与えるにはレベル23まで上げる必要があり、実にダースドラゴン160匹分の経験値が必要であるためロトの剣でしか倒せないというのは決して誇張した表現では無いと言える。((竜王戦は変身前・変身後とも会心の一撃が絶対でない))「○○でしか倒せない」というのを数値の調整のみで表現した稀有な例と言える。

-ロト伝説シリーズの時系列上『III』から『I』に至る間の物語として設定された外伝マンガ『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』では、本作で登場した竜王の若かりし頃の姿が描かれている。
--ラスボス異魔神によって洗脳された善なる竜の神と設定されており、最終回のエピローグではゲーム中に登場する姿と同じローブを身にまとった姿で、世界征服を目指さんとする様子が描写されている。

-『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト(ソーシャルアプリゲーム・2015年)』のCMに竜王に扮した俳優の北大路欣也が演じている。おなじみの「世界の半分を~」というセリフも発しており竜王の%%貫禄%%威厳をまざまざと見せつけている。

-外伝作として発売された「[[ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ]]」は本作のIFのストーリーとなっている。
--勇者が竜王の誘いに乗ってしまった後の顛末が描かれる。更に、本作の勇者自身も驚きの姿で再登場を果たすことになる。
#endregion()

-「にげる」の仕様が以後の作品と違い「絶対に逃げられるor逃げられない」ができなかったらしく、レベルの高さにもよるがラスボスの竜王を含む全ボスからの逃亡が可能になっている。
--ただし、逃亡時に1マス下がるため竜王以外は倒さずに目的地に行くことはできず、竜王も戦闘前からやり直しになるなどほとんど逃げるメリットはない。強いて言えば力を見誤って戦い、勝てないとゴールドを惜しむ場合位か。
--この「ボスでも逃亡できる」は次の『II』まで仕様として残っていた。

-本作のテキスト表示にはひらがなとカタカナが使われているが、カタカナ文字は全ては収録されていない。少ない容量にデータを収める工夫として使用頻度の高いカタカナ20文字のみ収録された。
--このため、実はゲーム中では「アレフガルド」という名前は一切登場していない。
--主人公の名前でもカタカナは使用できない。また「へ」や「り」など、ひらがなとカタカナで字体が似ている文字はひらがなが使われている。これらはFC最終作である『IV』まで続く。
--本作最強の雑魚敵「ダースドラゴン」は、本来「ダークドラゴン」としたものをクの文字を使えなかったために変えられた名前。
---おかげで(?)以降のシリーズにおいて「ダースリカント」「ダースウルフェン」等、『ダース=上位・強い』というイメージが定着したともいえる((もっとも「ダース」が「強い」と言うイメージになったのは、映画『スター・ウォーズ』の敵役「ダース・ベイダー」(こちらもダークをもじってダースになった)の影響も大きいが。))。
--「カタカナ20文字」のアイディアは堀井がとある推理小説の短編から着想を受けたもので、ファミコン版『ポートピア連続殺人事件』から使われている。
--ちなみに、これもデータ量との兼ね合いか、アイテム名は最大七文字までとなっている。

-実はローラ姫を救出しなくても竜王さえ倒せばエンディングを迎えられる((エンディングもきちんと「いない」状態で進む))。さらにローラ姫を抱きかかえた状態で竜王と戦うことさえ可能。ある意味でマルチエンディングのルーツとも言えるかも知れない。
--さらにローラ姫を抱えた状態で宿屋に泊まると「''ゆうべはおたのしみでしたね''」と宿の主人に言われる、という小ネタもある。

-プレイヤーにパスワードの法則性を解析される事を防ぐ為に、全く同じデータでも複数の違うパスワードを用意しているのも本作独自のポイント。
--ただし現在ではパスワードが解析されて、様々なお遊び文が作られている。
-FFXIIの隠し武器に記載されている復活の呪文を入れるとちょっとしたサプライズがある。
--動画サイトでは面白復活の呪文の未来予言版や綺麗版といったものが投稿されている。  
#region(面白復活の呪文・未来予言版)
&nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1932673)
#endregion()
#region(面白復活の呪文・綺麗版)
&nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm8347103)
#endregion()
 
//-この言葉になってしまうパスワードは芸人の島田秀平氏や放送作家のたむけん氏が都市伝説の鉄板ネタにしているが、2019年4月1日の元号発表直後にネットのニュースサイトにて、((ロケットニュース「ファミコンのドラゴンクエストの復活の呪文に「平成は令和へ成り新しい時代へ」と入力するとレベル15の勇者が復活する!!」))新元号の「令和(れいわ)」でのパスワードが記事になった。
//--新元号パスワード~
//「''へいせいわ れいわへなり あたらしいじだいへ''」(平成は令和へ成り新しい時代へ)。
//こんな時事ネタまでいちいち事細かに説明する必要はない

//-ゲームのことでは無いが余談として、ドラクエの各種アニメ化・漫画化等で主人公勇者は「ラリホーを使わない(使えない)」事が鉄則となっている。
//--これは、主人公側が「相手(敵)を眠らせてから攻撃するのは卑怯」という考えによるもの。シリーズ中有効な呪文であり敵が使うといやらしい代表的なラリホーだが、メディアでは不遇なのはこの為。((ちなみに、数少ない主人公側で使われた例は「ダイの大冒険」。ただし、ラリホーマだが。))
//話題として些末かな。

-2010年8月~9月に行なわれた「お気に入りの大魔王は?」のアンケートでは全9作品中、Iのラスボスが第2位にランクインしたが、同日行なわれた「一番思い入れのある主人公は?」では、全9作品中、Iの主人公は第5位だった。

-「''DQシリーズは夢幻の心臓のパクリ''」という指摘も存在した。実際、ドラクエの一部ギミックはクリスタルソフトの『夢幻の心臓』(特に『[[夢幻の心臓II]]』)から影響を受けていると思われる面も多い((また、堀井雄二の親友であるさくまあきらも、『桃太郎伝説』のゲームデザインに夢幻の心臓を参考にしたと語っている。))。ただ、元を辿れば両作品は『ウィザードリィ』と『ウルティマ』の影響下にあると考えられ、この洋ゲー2作品→『夢幻の心臓』シリーズ→『ドラゴンクエスト』シリーズ、という系譜と捉えることが考えられる。
--雑誌『マイコンBASICマガジン』の堀井氏へのインタビュー記事で、実際に参考したゲームとしてD&Dや夢幻の心臓IIの名前を挙げると共に強い衝撃を受けたことを語っている。

-ゲームセンターCXにおいて、挑戦初のRPGタイトルに選ばれた。
--いきなり遠出、物理ダメージのカス当りが続いたため竜王戦でのベギラマ使用などそこそこに盛り上がりは作ったが、経験値稼ぎが単調すぎたため、こちらも挑戦初のスタッフの居眠り(''しかも二人'')が発生した。有野課長自身も単調であったことを否定できなかったので説教よりも自虐に走った。

-鳥山明氏が『[[ドラゴンボール>ドラゴンボールシリーズ]]』で用いていた造語「ぱふぱふ」は、DQシリーズにも採用された。
--本作ではリムルダールにいる女性から「おいで ぼうや。ぱふぱふしてほしいなら 50ゴールドよ。」と言われるのみで特にイベントは起きない。
//細かいツッコミになるが鳥山明が書いたのは『ドラゴンボール』であって、『ドラゴンボールシリーズ』ではない。

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//ドラゴンクエストシリーズ,FC,ファミコン,ファミリーコンピュータ,Wii,スクウェア・エニックス