ゴブリンソード

【ごぶりんそーど】

ジャンル アクション
対応機種 Nintendo Switch
メディア ダウンロード専売
発売元 Rainy Frog
開発元 Gelato Games
発売日 2020年4月30日
定価(税込) 700円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント レトロ調横アクション
派手な要素はないが手堅く丁寧な作り


概要

同名のスマートフォン用アプリの移植作。ジャンルはステージクリア型の横スクロールアクション。
ストーリーは「悪の魔導士が伝説の剣ゴブリンソードを奪ったので、勇者が立ち上がる」というようなもの。
ぶっちゃけあってないようなものである。

システム

  • 十字キーもしくは左スティックで移動、AもしくはYで攻撃、Bでジャンプ(2段ジャンプ可)、Xでレリック(後述)の能力使用。
    • 基本的に必要なアクションはゲーム全体通してこれだけである。
  • 6つのワールドに分かれており、それぞれに複数のステージがある。全89ステージ。解放済みのステージは任意で選択可能。
    • 基本的にはステージをひたすら右に進んでいき、ゴールにたどり着いたらステージクリア。敵の攻撃などでハートが尽きるか穴に落ちるとミスでステージの最初から。残機やコンティニュー制限はないが、ミスするとステージ内で集めたものは全てリセットされる。
      • ボスステージはボスとの対決のみでゴールはない。ボスを倒せばクリア。
  • ステージ中に落ちているアイテムはお金となるコイン/ジュエル、回復のハート、マジックオーブ、鍵が存在する。
    • マジックオーブを手に入れると魔力が尽きるまでマジックを使用できる。
    • 鍵は扉を開けるのに必要。持ち越しはできず、必ずステージ内で手に入れる必要がある。
  • 通常ステージ内にはコレクション要素としてクリスタルが3個と宝箱が2個設置されている。
    • クリスタルは直接的には特に集めても効果はないが、隠しステージを出現させるのに必要。
    • 宝箱はジュエルが入っているもの、装備品が入っているもの、インテリアが入っているもの、4つ集めるとライフアップの効果があるポーションが入っているものがある。
      • インテリアは自宅を飾るのに使える。
  • 装備品は商人の家で交換可能。
    • 武器は最も重要な要素。それぞれに攻撃力やリーチ、攻撃速度が異なる。
      • 表示されているステータスは同じでも、それぞれに攻撃方法は異なる。またマジックの種類も変わってくる。
    • アーマーは特に効果はない。単なるコスプレである。
    • レリックは様々な効果をもたらす。移動補助や攻撃補助、一度だけ穴に落ちても大丈夫なものなど。一部のレリックはXボタンで機能を発動する。
    • 商人の家で購入できるのは基本的な装備品のみで、多くは宝箱から集める必要がある。

評価点

  • アクションに癖がなく、非常にとっつきやすい。
    • 王道タイプのアクションであり、この手のゲームに触れたことがあればすぐに飲み込める簡単さ。チュートリアルも完備しているため、すぐに始められる。
    • 基本的な部分はシンプルだが、武器ごとに攻撃モーションやマジックが異なるため、色々と試したくなる。
  • 基本アクションは簡単めながらも、ゲーム全体は歯ごたえのある適度な難易度。
    • 単にクリアするだけならそこまで苦労はしないが、宝箱とクリスタルを集めようとすると、随所にある隠し通路をくまなく探していく必要があり、適度に頭をひねる難易度に仕上がっている。
      • 隠し通路は原則ノーヒントだが、よく観察すれば「なんとなく怪しい」箇所を絞り込めるはず。配置そのものはこの手の探索要素のあるアクションゲームの王道ともいえるものが大半で、慣れてくれば見極めるのも容易。
    • トロフィーなどのやりこみ要素もちゃんと用意してあり、やりこみ甲斐がある。
  • 難易度は「難しめ」ではあるが、決して理不尽ではない絶妙なバランス。
    • 原則即死トラップの類は穴以外に一切なく、その穴の配置もさほど意地悪ではない。よって本作のミス要因は「1ダメージの蓄積による累積ダメージ死」が大半を占める。難所を一つ越えられれば、それだけでクリアがグッと近づく腕前の向上を実感しやすいバランスになってる。
      • ミス後のリトライは非常に早く、メニューからの再挑戦も一瞬なのでミスしても再挑戦のモチベは維持しやすい。
    • 一つ一つのステージは短めなので、サクッと挑戦してサクッとクリアできる。
  • ボス戦も繰り返し挑戦して色々と試せる仕上がり。
    • 昔懐かしの死に覚えゲー要素が強く、基本初見では嬲り殺しにされるケースが大半。だが、つけ入る隙そのものは十分あり、何度も死にながらパターンを覚えて攻略していくタイプのボスとなっている。
      • ボス前の道中などは一切なく、撤退もいつでもできるため、武器とレリックの組み合わせを色々と試行錯誤できる。
  • 値段に対してボリュームが多い。
    • 全89ステージでボスも13種類いるなどボリュームは十分。前述のようにステージそのものは短めだが、探索要素が多めなので内容の薄さは感じない。
    • ステージバリエーションも比較的幅広くそろっている。ワールドごとにギミックの傾向もちゃんと変えてあったりと、地味に芸が細かい。
  • SFC風のレトロなグラフィックもほどよく仕上がっている。

賛否両論点

  • 意図的な部分もあるだろうが、やや不親切な部分も…。
    • 特にマジックの使用が強制であり、ゲージを残したまま通常攻撃ができないのは地味に不便。また宝箱を空けるために攻撃してもマジックを空撃ちするのもなんだかもったいない。
    • 一部の足場が移動してしまうともう二度と戻ってこない。隠し通路への移動に必須な足場だったりすると、ワンチャン逃したら再挑戦するしかない。
      • ただ、この辺はある程度「そういうバランス」とあえて調整されている節はある。
  • レリックのうち、3段ジャンプができる「ウィングブーツ」の汎用性が非常に高く、ウィングブーツ入手後のレリックはほぼこれ一択でOK。
    • 一部隠し通路への移動に必須になるだけでなく、本来のルートを無視したシーケンスブレイクができたり、穴に落ちそうな場面でギリギリで復帰できたりと、有用なシーンが他のレリックに比べて桁外れに多い。隠し通路開通に特殊レリックが必要な一部のステージ以外はこれでほぼ安定。
      • さすがにボス戦では有用性は薄れるので他のレリックの方が有用。また、ある意味では難関ステージへの救済措置として機能している部分もある。

問題点

  • ストーリーは極薄。
    • 別にストーリーに期待する作風ではないので、さほど問題ではないと言えなくもないが……。
    • ただ、グッドエンディングは、条件がわかりづらいうえにやたらと淡泊なので、グッドだと気づきにくい。
  • チュートリアルで、「レリックの操作」について何も教えてくれない。
    • そもそも、各レリックの説明がものすごくシンプルであっさりしているため、具体的に何がどうなるのかイマイチよくわからないレリックも多い。とりあえず手あたり次第装備して使ってみるしかないだろう。
    • 特に、あるブロックをすり抜けるところは、該当するレリックを使ったことがあったとしても、そういう効果があるという想像が全くつかないため、不親切極まりない。
  • クエスト「たいまつを10回消す」何を使えば消せるのか、全くのノーヒント。手当たり次第試すのも面倒。
  • 仕方ない部分はあるだろうが、装備品のバランスはイマイチ。
    • 中盤辺りで手に入る「チェーンウィップ」は、かなり長いリーチを持ち、威力もそれなりな上2段ヒットするため見た目以上に火力が高い。しかもなぜかこの2段目はガードの上からダメージを与えられるため、盾持ちの敵を強引にごり押せる。マジックもシンプルだが強力な破裂する火球を飛ばす使いやすいものである。
  • ジェム稼ぎ。
    • 1ステージで稼げるジェムは、宝箱を除くと、多いステージでも200程度。なのに、終盤である武器の修理に2000、あるステージの壁を開けるのに3000を要求される。
    • 1度取った宝箱は復活せず、ボス戦の儲けも2回目以降は激減するため、稼ぐのが余計に面倒になる。
    • 壁開けで「少し出してくれたら」と言って提示されるこの額は店売りのどの武器アイテムよりも高額なので、その言い方自体癪に障るし、そもそも、仕掛けではなく金を払って壁を開くというシステムをそこにだけ持ってくるのは、イベントとして必要性が全く感じられない。
  • 宝箱は収集してステージクリアすればその時点で実績として反映されるのだが、なぜかクリスタルは3個集めずにクリアするとノーカン。
    • 1~2個だけ集めてクリアしても何の意味もない。集めた分だけお金に反映されるなどの救済措置も一切なし。システム的に同じ収集要素の宝箱と一貫していないし、単に不親切という以上に釈然としないものがある。
+ ネタバレ
  • 実は漆黒の洞窟の2体目のボスがラスボスなのだが、この後まだ闇の寺院など2エリアがあるうえに、普通に倒すとバッドエンディングになる。しかも、名前も「悪の魔導士ソーダス」ではなく「ダークウィザード」になっているため、ラスボス感が薄過ぎる。下手をすると聖なる遺跡最後の大ヘビをラスボスと勘違いして「倒したのにエンディングが出ない」と思ってしまいかねない。

総評

昨今割と多い「レトロゲー風ゲーム」、その中でも奇をてらった部分こそないが、全体的な作り込みが非常に丁寧な一作。
「とりあえず、深いことを考えずにやりこめるアクションゲームをやってみたい」という人にはお勧めできる作品である。

最終更新:2024年06月03日 20:49