【名前】
リュドミラ=アッサイア(ジゼル)
【疾患名】
《カブクラ症候群/カブクラシンドローム》精密に動く模型を作る。元となる物があれば作成自在。
再現度は対象への造詣の深さ次第で、作成者と常に意識を共有しているが、操作は作成者が行う必要がある。彼女は自分のプラモデルを無数に作る事で負担を軽減している。
【所属組織】
コンビナート
| Arcanum |
The Wheel of Fortune (運命の輪) |
| 体力 |
敏捷 |
知力 |
感受 |
器用 |
| 2 |
3 |
6 |
3 |
6 |
【疾患者カルテ】
身長168cm 体重42kg
背中までのストレートのプラチナブロンド。蜂蜜色の瞳。左目元にほくろひとつ。
男装にサラシ不用の体型。
モノクロを基調としたシンプルなエナメルボンデージを季節感なく着まわす。武器は改造トカレフ二丁。命中率はお察し。
首からホイッスルを提げていて体育教師的タイミングで鳴らしたりする。そういう宗教というわけでもないらしい。
某国東側生まれ。体制は崩壊仕掛けており、政府は内部へ内偵を放っていた。市民を殺して成り代わらせる極秘作戦が実行され、
彼女の両親は摩り替えられ、彼女も偽両親に殺されかけた所で発症。後、一人でいる所をコンビナート関係の宗教組織に拾われ、組織へ足を踏み入れた。
【履歴】
【Руслан и Людмила】
――某年冬、某国首都の住宅街。 技術省職員スヴェトール=アッサイ宅。
「それでね、貴方と、私と、ラトミールとゴリラが、月明かりの谷間で野宿をするの。
その頃にはもう、ラトミールとゴリラは愛し合っていてね」
小さなランプの灯の下、ベッドの上に広げられた古い戯曲のページを拡げたままに勢いこんで続けられる少女の物語。
何度も繰り返し読んで半ば諳んじているのか、開かれた本の文字をたどる様子はほとんどない。
傍らに腰かけた長身の僧侶風の銀髪の青年は微笑んで聞いていた。しかしさすがにそこで軽く首をかしげる。
「ちょっと待って、リューダ。ゴリラはどこから出てきたの」
「ゴリラはどこにでもいるわよ。それに、そこはもともとあんまり関係ないわ。ルーシャ。
ルスランの3人の仲間の騎士の中にゴリラと愛し合ってた騎士がひとり居たってだけ。
……それでね、その谷間でリュドミラ姫は攫われて、魔女の力で眠りにつくの。ずっと離れた王宮でよ」
「君ももう、眠ったほうがいい」
「どうして?まだ眠くない」
もしもっと遅い時間だったとしても、ルーシャ――ルスランが――わたしの大好きな背が高くて美男子で優しい憧れの従兄が、
こうして部屋を訪ねてきてくれているその夜に、眠くなったりする筈もないのに。
「私まだまだいろいろ話したいことがあるのよ。……お話のことじゃなくても……最近、ね。
お父様やお母様が、たまにゴリラに見えることがあるの」
「へえ? ……どういうこと?」
明らかにうろ覚えに語られる古い戯曲――彼と彼女の名を冠した物語なんかよりもよほど興味深い、という表情で、
ベッドの脇に腰かけた男は少女の話の先を促す。
「……顔や姿はそっくりよ。声も、ちょっとしたしぐさも、そっくり。
だけど……笑わないでね。頭のおかしな子だなんても思わないでね?
ときどき、まるでゴリラが人の皮をかぶって、お父様とお母様の振りをしてるんじゃないかって、
そう思うことがあるのよ。とても怖いの」
――彼は笑いはしなかった。だが、思い過ごしだと優しく頭の一つも撫でて彼女を慰めることもしなかった。
「なるほど、報告の通り、危険だな」
ただ、椅子から立ち上がり、酷く冷めた声でそう呟いた。
それが合図だったかのように部屋の扉があけられて、二人の男女が部屋へ入ってくる。
彼女の父と母……いや、同じ顔をした、父母とすり替わった誰かは、もう芝居をする気は無いようで、
冷たい双眸でベッドの上の彼女を見やると、サイレンサーつきの拳銃を構える。
「もういいですか? 我々の要請は認可されたということで?」
「許可する。速やかに処分せよ。さよなら、リュドミラ。
君と同じ名前のお姫様の物語は、またいつか。君と同じ名前の女の子から聞くことになるだろう」
彼もまた、優しい従兄の仮面を脱ぎ捨て、彼女には解らない話を彼女の両親としていた。
処分?殺される?何故? 私が一体何をしたというのだろう。
――違う、こんな終わりは違う。白い魔術師とよい魔女の力を借りて、魔法の指輪が届くのよ。そうして私は黒い魔女の悪夢から目覚めるのだ。
そのあとのことよくは覚えていない。壊したのは自分の心と贋物の人形を3つ。
裸足で駆け出した石畳の道の冷たさ。酷くお腹がすいているのに何度も吐いたこと。
――数週間後、薄汚れた寝間着姿の少女がコンビナート関係の宗教組織に拾われた。
彼女はその後も長い間口もきかずにただ人形を作り続けていたらしい。
「あなたは、本物?」
やがてようやく最初に口にしたのは、そんな言葉だったと担当医師のカルテには記録されていたという。
最終更新:2016年01月09日 00:04