ある日、原発の爆発が起き、その時、爆風下に炭坑夫チェルノブがいた。
九死に一生を得たが、彼の体は異状能力に支配されていた。
超人として生きる決意をした。だが…デスタリアンの触手はすでに彼にも
行け!チェルノブ
我前に敵は無し
プロフィール
- 名前:チェルノブ(Chelnov)
- 出身国:ロシア共和国(?)
- 職業:元炭坑夫(移植版では科学者)
- 生年月日・年齢・身長・体重・血液型・格闘スタイル:すべて不明
普通じゃないものを作らせたら天下一品の伝説のゲーム会社、
今は亡きデータイースト(通称「デコ」「DECO」)が発売した
デコ三大奇ゲーの一つ(後の二つは『
カルノフ』と『
トリオ・ザ・パンチ』)、
強制横スクロール型アクションゲーム『
チェルノブ』
(正式タイトル『ATOMIC RUNNER CHELNOV -
戦う人間発電所-』)の主人公。
アーケード版『チェルノブ』
1986年4月26日に旧ソ連ウクライナ共和国北辺で発生した、原子力発電所の悲惨な事故「チェルノブイリ原発事故」。
その世界規模の大惨事から僅か
2年後にデコが
何をとち狂ったのか発売したゲーム、それが『チェルノブ』である。
元DECO社員曰く、チェルノブという名前は本当にチェルノブイリから取ったそうである。無論、上記の事故が起こる前の話ではあるが…。
*1
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デコにはよくある事 |
そもそもタイトルからしてもう限りなくアウトに近いアウトな香りがプンプンしていたのだが、ストーリーがそれに輪をかけて凄まじく、
「 原発事故で被曝した炭坑夫チェルノブが、
放射線の影響で備わった異状能力(注:原文ママ)を駆使して、その能力を狙う悪の組織デスタリアンと死闘を繰り広げる」
という、 DECO直球すぎだろと 言わざるを得ない内容であった。
おまけにサブタイトルは アトミックランナーに 戦う人間発電所、タイトル画面にはバックに 自由の女神が映し出され、 左上には 共産主義のシンボルが燦然と輝いているというヤバさで、当時マスコミにも取り上げられ波紋を呼んだ。 しかし、ここまで盛大にはっちゃけておいて
「チェルノブは カルノフ(同じくデコ三大奇ゲーの一つ)の 従兄弟であり 深い意味はない」
という 見苦しい言い訳説明をした辺りは流石デコであった。 *2
その後はメガドライブとX68000で移植版が作られ(メガドラ版はほぼリメイクに近い)、
セガサターン版も作られる予定であったが、発売中止となってしまった。
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しかしこの『チェルノブ』、単なる一過性の話題だけで終わったゲームではない。
ゲーム自体としても相当変な作品で、そういう点からも伝説的な作品となっている。
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デコだからしょうがない |
上記の通りチェルノブは常に走り続けている訳だが、 その動きが滑らかすぎる。
その滑らかさたるや正直ちょっと キモイくらいである。
多数の武装を持つが、その武器の名前が 重力分銅や 赤城山ミサイル、
またアイテムの名前にも 円高コインや ドル安コインなど、相当に危ないネタがある。
悪の組織「デスタリアン」と闘うのが本作の目的だが、
敵キャラがどいつもこいつも意味不明なデザイン&名前をしている。
意味不明すぎてこれは ある種の芸術なんじゃないかとすら思えてくるほどである。
ボスは割と分かりやすいが、ラスボスは 殆どエイリアンにしか見えない。
他にも 土偶っぽいボスがいたと思えば、巨大な軍用ヘリがボスだったりとやっぱり良く分からない。
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このようにかなりの異質さを誇る本作だがアクションゲームとしての完成度は高く、
独特な操作にさえ慣れてしまえばスピーディーかつ大胆な動きを楽しむ事ができる。
また彼のテーマ
BGMは非常に単調ながら、妙な中毒性があり人気も高い。後述の『溝口危機一髪!!』でもこの曲が聴ける。
AC版では
全7ステージ中5ステージでこの曲が鳴り響き、
果てしなく聴かせ続ける事で否応なく脳髄に叩き込まれる仕様となっている。
このためテーマ曲が特に有名だが、もう一曲の方もかなりの名曲で、MD版では最終ステージ用に抜擢されている。
さらにMD版で追加されたBGMにもいい曲が多く揃っている。
結局、全部いい曲である。
AC版の洗脳仕様のためテーマ曲しか頭に残ってないという人は一度聴いてみよう。
そしてこのゲームを語る上で欠かせないのがエンディング。
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行くなぁー!チェルノブー! |
いきなり ローマ字表記で 「OWATTE SHIMATTA」と言われるだけでも十分凄いのだが、
エンディングロールが終わるとそれまで走っていたチェルノブが画面外に消え、
するといきなり 敵の軍用ヘリが現れて彼を追って画面外へ。
次の瞬間、激しい銃撃音とチェルノブの死亡音「ミョーン」が連続で聞こえ、
その直後画面に大きくエンド(「END」ではなく「エンド」)の文字が表示される、という超ダークなものであった。
このまさかの 死亡エンドに、独特の操作方法に苦悩しながらやっとクリアした、
多くのプレイヤー達が大きなトラウマを植え付けられた事は想像に難くない。
ちなみにエンディングの文字はローマ字だけどエンドがカタカナなのはデコだから 気にするな!
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その後もデコの他作品に(ボスキャラとして)登場し、データイーストの看板キャラクター的な存在となった。
溝口誠や
カルノフと並ぶ同社の人気キャラクターである。 デコゲー最大の
ヒーローなのだ!
メガドライブ版『チェルノブ』
メガドラに移植を果たしたチェルノブ。
ご家庭向けに放射能などのヤバい部分は取り除かれ、チェルノブの設定も「被爆した元炭鉱夫」から「強化服を着た科学者」にチェンジ。
武器の性能や見た目、ステージの世界観も一新され(ただしサイケなデザインなのでこれはこれで…)、メガドラ屈指の名作との声も。
ストーリー
科学者の父・妹とともに宇宙服を開発していた青年チェルノブ。
ある夜、趣味のジョギング中に何者かにチェルノブの家が襲われ、妹チェルミーが誘拐、父も瀕死の重傷を負う。
父はチェルノブに作っていた宇宙服は、実はデスタリアンと戦うためのコンバットスーツだと言うことを伝え、死亡。
チェルノブはコンバットスーツをまとい、妹を救い出し、そしてデスタリアンを壊滅させるために戦いを始める。
行け、チェルノブ! 我前に敵は無し!!
冒頭でいきなり敵に捕らえられたり、
一緒に作っていた宇宙服がコンバットスーツだと
言われるまで気付かなかったり、
色々な意味でデコ節が炸裂。AC版より奇妙になっていると言う声も。
タイトル画面もビル街を背景に「こちらへ駆け寄ってくるチェルノブ」へ一新され、サブタイトルの『戦う人間発電所』も削除された。
エンディングではAC版と同様の展開の後、生存が確認されるが、死に瀕したチェルノブが幻視した光景という解釈もできる描写であり、
彼の運命についてはまだ予断を許されなかった……。
残念ながらデータイーストは倒産してしまったものの、版権は
他社ゲー続編のクソゲー化に定評のあるパオンに引き継がれ、
現在ではWiiのバーチャルコンソールで遊べるようになっている。
また、ドリームキャスト末期に出た
セガのご乱心ゲー『セガガガ』の偽ゲーム集のジャケットにもなっていた(タイトル名は
「オダノブ」)。
原作の壮絶なエンディングにて再登場など絶望的だと思われていたチェルノブだったが、
同社の格闘ゲーム『ファイターズヒストリー 溝口危機一髪!!』にてラスボスとしてまさかの復活を果たす。
通常のストーリーでは謎の主催者「C」として三度目のグレートグラップルを開催するが、
溝口誠の専用ストーリー「浪花快男児篇」では
“全世界のムダをはぶく”事を目的に
世界中で窃盗を働くとんでもない奴になってしまっている。
なにやってんだオマエ!
なお、通常のストーリーを溝口でクリアした際、そのまま「浪花快男児篇」へと続く流れとなるため、
恐らくグレートグラップルで敗北した後に、世界中で窃盗を働いているのだと思われる。
…もしかしたら原作のEDの影響で人格が歪んでしまったのだろうか。だとしたらすごく迷惑な話である。
作中ではアメリカ・ロサン
ジェルス
*3にて
レイ・マクドガルの追跡を振り切り来日、
グニャグニャのたこハリボテは大嫌いという理由でわざわざ大阪まで赴き、たこ焼き屋「浪花一番」のタコ看板を盗む。
「貴様には私をつかまえることすらできんだろうがな」と溝口を挑発するような発言をして行方をくらますが、
溝口が新しい看板を作った方が早い事に気付くと「そうはさせん!」とあっさりと正体を現す。
あるときは正義のロウドウシャ
あるときは科学のギセイシャ!
その実態は・・・・!
愛と正義の使者!
アトミックランナー チェルノブ!
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タコギライ タコギライ タコギライ
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☢ ☢ ☢ ☢
――――――――――――――――――――――――――――
タコギライ タコギライ タコギライ
――――――――――――――――――――――――――――
登場シーンではバックに
放射(ryのマークと無数の
「タコギライ」の文字が並ぶ。そんなに嫌いか。
恐らく「正義のロウドウシャ」はAC版、「科学のギセイシャ」はMD版のチェルノブにかけているのだろう。
そしてMD版では削除された禁断のキャッチフレーズ
「アトミックランナー」の字句が堂々復活。いいのか。
性能としては原作ゲームで登場した技を忠実に再現したキャラクターとなっており、
アクションゲームの主人公らしく数々の
飛び道具(
原作再現のもの)を主武器とする。
この飛び道具がどれも強力で、CPU戦では
レーザーを乱射されただけで固められ、
それらを飛び越えた所で
すかさず対空重力分銅で叩き落とされ、
近距離に近付いた所で
赤城山ミサイルをぶっぱなしてくる。
しかも『ファイヒー』にゲージ技は無く簡単なコマンドでこれらの技が撃ち放題なため、下手すると全く近付けずに負けたりもする。
余談だが、『ファイターズヒストリーダイナマイト』の漫画版では当然ながらチェルノブ本人は出てないものの、
敵勢力の引き連れている戦闘員が見た目かなりチェルノブっぽかったりする。
+
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その他のゲーム出演 |
この他のゲーム客演としては、『 トリオ・ザ・パンチ』における中ボスとしての登場が有名。
原作で使用しなかった巨大ハンマーを振り回し、プレイヤーに二度襲いかかる。
なお、マスクがモノアイでない等、微妙に見た目が異なっている。
主役キャラの一人「カマクラくん」がチェルノブの変装した姿だという噂があり、
そうだとすれば、この中ボスはチェルノブを模した敵兵士という事になるのだろうか。
どちらの説が正しいとしてもチェルノブ本人が何らかの形で出演している事は間違いない。
また、はっきりとした出演ではないが、『ドラゴンニンジャ』の敵勢力が運転しているトラックに「CHELNOV」の文字が書かれており、
デスタリアンに敗れて瀕死になった所を回収されて輸送中なのでは?とも囁かれた。
なお、このゲームも 何の脈絡も無く一面ボスがカルノフとか、
このゲームの主役が後に『 トリオ・ザ・パンチ』にタフガイとして出演するとか、
他ゲームとの関連も深く、ゲーム内容自体も色々とデコ節満載である。
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MUGENにおけるチェルノブ
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dobio氏製作 |
原作の様な鬼仕様ではなく、結構優しめの性能。というか、ちょっとちんまい。
CNSの記述を変更してサイズを「1」から「1.3」にすれば、他製作者のFH勢を並べても丁度良いかもしれない。
また、原作再現のオリジナルモードの他に、アレンジモード「EXチェルノブ」も作られており、
キャラ選択時にスタートボタンを押しながら決定する事で使用可能となる。
オリジナルとの大きな違いは、
- 通常攻撃でボタンを押し続けると乱舞っぽい連続技になる ドガドゴゴガガッ
- ブーメランが直線上に飛び、押し続ければ三連ブーメランになる
- 対空分銅が連続ヒットし、倒れた相手を浮かせられる
- 唯一のゲージ技としてマスタースパークばりの極太ビーム「ハイパーレーザー」が超必殺技として搭載(パワー3ゲージ&マナゲージ(霊力)消費)
などなど。
AIは搭載されていないため基本的に棒立ち状態なのだが、EXチェルノブはたまにいきなり動き出し、
連続コンボ⇒ハイパーレーザーで一気に八割持っていくこともあるので油断は禁物である。
お家氏によるAIパッチが存在していたが、現在は公開停止。
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とけい氏製作 |
こちらは『溝口危機一髪!!』のスプライトを使用しており、同氏の製作した他の『FH』勢と同じくらいのサイズ。
ただし、性能はメガドライブ版寄りのアレンジ仕様。
イントロでは捕らえられていた柱から脱出する他、様々な技がアクションゲーム風にアレンジされ、
『トリオ・ザ・パンチ』で使用していた巨大ハンマーによる攻撃を繰り出したり
従兄弟をストライカーで呼んだり アトミック繋がりの名前が付けられた超必殺技がある。
勝利すれば「Lets Go Go Go」とアクションゲームでのステージクリア曲を流しつつ、『FH』の「Chelnov Wins」のコールが入る、
正にチェルノブの集大成と言えるアレンジである。2つのゲームから組み合わせた演出が見事に合致し、まるで最初からこういう演出が存在したかのよう。
3ゲージ技「ラスト・デスタリアン」では 突如ラスボス戦を開始。
これで相手をKOすれば特殊な勝利シーンに移行するが、それは原作エンディングの再現なので いきなり出現した敵ヘリに撃たれてしまう。
なお、画面内に転がってくるのは彼のヘルメットなので、別にグロい場面ではない。
AIもデフォルトで搭載されている。
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この他にも、最終ボス戦の
ステージが海外で作られている模様。
ニコニコでは溝口誠の
ストライカーとしての出番の方が多かったが、今後の活躍に期待したい。
ちなみに、現在溝口は裏モードでしかストライカーを使えないため、そちらの出番は激減中。
昨今MUGENにも色々
原子力絡みのキャラも増えてきた事だしね。
時代がチェルノブにやっと追い付いてきたのだ!
OWATTE SHIMATTA
SHIKASI KARE NIWA
ANJYUNOCHI WA NAI
HASHIRE CHELNOV
出場大会
出演ストーリー
プレイヤー操作
*1
2022年に起きたロシアによるウクライナへの軍事侵攻をきっかけに、現在では
「チョルノービリ」とウクライナ語の発音に合わせた呼称に統一されている。
そのため呼称統一の際はチェルノブもチョルノブもしくはチョルノビに改名するのだろうかという不謹慎極まりない大喜利がネット上で勃発した
この原発事故が発生するまでの原子力発電は、「発電量も多い上に資源消費も少なく、夢の資源だ」とまで言われていた。
事故発生後に放射能汚染や維持管理の危険性など問題が浮上したとされる。
*2
余談だが、一時期「スラブ神話には実際にカルノフとチェルノブという兄弟神が存在する」
という情報がネット上に流布し、Wikipediaにも記載されていたが、実の所この説は出典に乏しかったらしく、
後の検証によって上述のスラブ神話元ネタ説は
「勘違い(もしくはジョーク)によるガセ」という見解が通説になりつつある。
「チェルノボグ」という死と破壊を司る神は確かにスラブ神話に存在しているため、ここから広がった勘違いなのだろう。
なお、「チェルノフ(Чернов)」という姓はスラブ圏に実在しており、著名人だと革命家のヴィクトル・チェルノフなどがいる。
語尾は濁らないのが正しい(厳密には「チェルノーフ」と長音あり)が、ラテン文字にすると綴りは「Chernov」なのでATOMIC RUNNERと同じ…
…ではなく、チェルノブの綴りはタイトル画面にあるように「Chelnov」である
(地名の「チェルノブイリ」の綴りは「Чернобыль/Chernobyl」)。
*3
ロサンゼルスのアルファベット表記は「Los Angeles」。
「
天使達」を意味するスペイン語(ロス・
アンヘレス)がそのまま地名になっている(英語は「The Angels」)。
そして日本においてAngelは「
エンジェル」と表記される事が多く、
「ロサンジェルス」表記も『チェルノブ』に限らずしばしば見られるので
誤植ではなく表記揺れと見るのが妥当だろう。
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最終更新:2023年04月02日 13:20