今は亡きデータイースト(通称デコ、DECO)が発売した
デコ三大奇ゲーの一つ、横スクロール型アクションゲーム『カルノフ』の主人公。
フルネームは「ジンボロフ・カルノフスキー」。
原作のストーリーは、
「天界の神の使いカルノフが、平和なクリミア王国を襲う邪悪な魔物軍団を討ち取るために奮闘する」というもの。
主人公が
スキンヘッドでひげ面の太っちょなおっさんで「
神の使い」を名乗り、中東風の怪しげな世界観の中
口から火を噴きながら敵モンスター達を蹴散らしていくという強烈な設定で、
その他社には決して真似
しないできない世界観によってデコの名を一躍世に知らしめた作品である。
また全体的に
もっさりとしたアクション性、
やけに滞空時間の長い直角ジャンプ(通称
DECOジャンプ)、
ハシゴがアイテムとして使えるなど、その独特のゲーム性に魅力を感じたゲーマーも多く、
後に
デコゲーと呼ばれる概念を生み出した。
その後も
デコの他作品に何度も(主に敵キャラ、ボスキャラとして)登場し、
データイーストの看板キャラクター的な存在となった。
溝口誠や
チェルノブと並ぶ同社の人気キャラクターである。
ちなみにアーケード版の製作はデータイーストによるものだが、FC版はデータイーストと酒田SASの共同開発で、販売をナムコが行っている。
*1
『ファイターズヒストリー』における設定、性能
「拳を振るう者は拳に倒れる。
それが運命というもの…」
格闘スタイル:?
出身国:ロシア
職業:
元・神の使い
生年月日:1944年12月25日
身長:167cm(『FH』)、180cm(『FHD』以降)
体重:98kg(『FH』)、 135kg(『FHD』以降)
血液型:A型
好きなもの:財宝、権力、
はしご
嫌いなもの:懲りない挑戦者、農作業
弱点:ターバン(『FH』)、ネックレス(『FHD』以降)
格ゲーキャラとしては、同社の格闘ゲーム『
ファイターズヒストリー』初代と続編『ダイナマイト』にて
ラスボスを努めた。
ラスボスではないが『溝口危機一髪!』にも登場している。
15歳の頃から村一番の怪力自慢として名を轟かせていたが、する事は悪事ばかり。
ある日、神殿の神像を破壊したために、神の怒りに触れてしまい、天上界の召し使いをさせられる事になった。
しかし、天上界の金銀財宝を独り占めにした挙句、再び己の怪力を試すために大会に出場。常勝無敗の帝王として君臨している。
……というのが、初代『FH』のストーリー。
このシリーズ内での設定としては「ロシアの大富豪」であり、
謎の主催者「K」として大武闘会「グレートグラップル」を主催。
自身も参加し、世界最強を自負する格闘家達をことごとく倒し常に優勝し続け、常勝無敗の帝王として君臨している。
その強さと決して表の世界には姿を現さない彼を、人々は
「伝説の神の使い」と呼び恐れていた。
初代『FH』の時だけターバンを被っている。このターバンが弱点で、攻撃するとお馴染みの気絶モードに入る。
しかし、このターバンを被った風貌と、おまけにカルノフステージが砂漠で、EDではお金持ちを匂わせていたせいで、
「こいつ
アラブ出身の富豪じゃないの?」と勘違いする可能性(ファミコン版のBGMもアラビアンチックだし)が……
……ロシア出身という設定は、間違いなく
チェルノブの
従兄弟という設定の逆輸入だと思う。
*2
しかし、己の力を過信していたが故に初代では見事に敗北し、何もかもを失ってしまう。
その後、自分を鍛え直す為に祖国ロシアの極寒の地で厳しい修行に明け暮れ、
続編の『FHD』ではリベンジを目的に再びグレートグラップルを開催する。
『ダイナマイト』の海外名が
「KARNOV'S REVENGE(カルノフズリベンジ)」となっているのは、このストーリーが由来である。
『溝口危機一髪!』でも
一部キャラが
リストラされる中、続投。
溝口モードではタコのハリボテを探しに来た
溝口に、瓶詰めの
タコのツケモノを渡すというしょうもないギャグをやっていたが、
自身のストーリーモードでは神に天上界へ戻るよう告げられ、
はしごで
大空へ登って行った。
《格闘家諸君へ》
-グレートグラップル開催のお知らせ-
突然で恐縮だが、上記の通り今年もグレートグラップルを開催する運びとなった。
恐らくこれが最後の大会となるだろう。
一年前の大会では不覚を取ったが今年はそうはいかん。
あの時受けた屈辱は倍にして返す!
更なる修行を積んだ諸君の参加を心待ちにしているぞ。
追記:今年は君達がまだ知らない格闘家も若干名参加する予定だ。楽しみにしていたまえ。
登場キャラの中では唯一初代と『ダイナマイト』でグラフィックが全面的に変更された。
デザインも初代では頭にターバンを巻き、設定によらず割とスリムな体型だったのが、
『ダイナマイト』では首にネックレスをかけ腹に
大きな傷が付いた姿に変更、お腹周りもかなり
太ましくなった。
「やはり私が世界一だった様だな」
ちなみに、二回勝利時に火の玉に浮き出る
победаという文字は「
パビエーダ(pobjeda)」と読み、
ロシア語で「勝利」を意味する言葉である。
デコ的には
「勝ち」の方が適当だろうか。ちなみに同じロシア出身の
ザンギエフも
勝ちポーズで叫んでいる。
性能的にはその太ましい体型に似合わずかなりのスピードを持ち、ボスキャラだけあって性能の高い
必殺技を多く持つ。
突進技「スーパー100キック」や空中技「バルーンアタック」から繋げる連続技は、
上手くいけば
永久を狙える鬼設定で、さらに
飛び道具の「
ファイヤーボール」も牽制技として非常に強力である。
+
|
必殺技解説 |
低空で一気に突っ込み3連蹴りを放つ突進技で、主に奇襲や連続技に使う。
蹴りを上中下に放つため、ほとんどのキャラの弱点に当たる。
また3発目の蹴りのみがダウン判定を持っており、
この3発目が当たらないように間合いを調整して出すと各種 通常技に繋げていく事も可能である。
溝口危機一髪では対空版のスーパー100キックである はしご蹴りという技がある。
「ファイヤ~~~!」
口から蛇のような軌道を描きバウンドする火の玉を吐く原作再現系の技。
ヒット時に 燃焼ダウンを奪う上、スライディングで抜けられないので、牽制で非常に強力。
スピードが遅く、たまに軌道の関係で相手の飛び道具を相殺できない時もあるので、
飛び道具の打ち合い合戦には不向き。
ファイヤーボールの亜種で、炎を目の前に留まらせる技。
上下に撃ち分け可能で、ファイヤーボールなどと併用して使う。
「バッルゥ~~ン!」
お腹を風船の様に大きく膨らませて空中に浮かび滞空する技。
膨らんでいる間に無敵時間があり、左右に動かせるため、相手の対空迎撃をスカしたり
低空で出して飛び込みの起点として使ったりする。
発動後のボディプレスに攻撃 判定があり、またその後にジャンプ通常技を出す事も可能で、
それらを キャンセルすると着地するまで何度でも膨らむ事が可能である。
ちなみに小Pやしゃがみ大Pからキャンセルで出す事で、地上からも発動できる。
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2003年、『ダイナマイト』が稼働してなんと
9年越しにバグが発見された。
現在「カルノフワープ」や「スーパー100ワープ」などと呼ばれているが、ゲーマーのちぇる氏が偶然発見し、
そこから世間に広まったらしい。あくまでバグなので製作サイドの想定した性能ではないワケだが、
大会などではテクニックとして「有りか無しかで言えば有り」と認識されているようだ。
まず、←にタメを作ってから弱Pを出し、その最中に空キャンセルで↘+Dを押しヘッドスライディングを出す
*3。
するとスライディングのモーションを取っているにも拘わらず前に進まず、
数瞬後に
いきなり反対側の画面端に瞬間移動する(しかも相手が画面端を背負っていても
必ず裏に回る)というもので、
相手の飛び道具に合わせて出してバックをとったり、自分の撃ったファイヤーボールと挟み撃ちにする事で、
ほとんど
ガ-ド不能の状況を作る*4など、戦術が格段に広がる事となった。
2004年に行われた『FHD』の全国大会『グレートグラップル2004』を収録したDVDには特典として、
実際のワープ映像が収録されており、現在でもDVDのページやYouTubeなどでサンプル動画を見る事ができる。
なおこのワープ、セガサターン版でも可能である。
ちなみにカルノフの
ステージBGMは原作のテーマのアレンジバージョンである。
やたらと耳に残る非常にデコらしい曲なので、気が向いたら聞いてみて欲しい。
MUGENにおけるカルノフ
あだむすきー氏の製作した『ダイナマイト』仕様のカルノフが存在。
2019年のYahoo!ジオシティーズ終了に伴いサイトが消滅したため、現在はhamer氏によって代理公開されている。
キャラのインパクトや知名度からか、公開当初からいくつかの大会には出場していたが、AIが無い事もあり活躍の機会は少なかった。
どちらかと言うと
サムチャイ・トムヤムクンや
溝口誠の
ストライカーとして活躍する方が多かったようだ。
あまりに火力が高いためか、デフォルトでは攻撃力が50に低下している。
2009年2月に更新され、新たにカルノフワープが実装された(その他の
通常技も変更されている)。
NNC氏によってAIが製作されている。
小パンチからの
コンボ、バルーン攻めやファイヤー固めなどで攻め、追い詰められるとカルノフワープで反対側に脱出し、反撃してくる。
デフォルト攻撃力は100になり、原作同様の破壊力になった。
一瞬の内に体力半分持っていく事もしばしばで、攻撃力50に下げようと考えるのも納得のパワーである。
この他には、くねくね氏も本体同梱でAIを公開している。
NNC氏のものと比べると通常ジャンプでの飛び込みが多めで、遠距離での牽制からのスーパー100キックが脅威。
攻撃力は50のままだが、それでも相変わらず強い。
また削りダメージは変化が無いので、スーパー100キックをガードさせて通常技→スーパー100キック……で延々削り続ける戦法が恐ろしい。
ガードキャンセルなどで抜ける事ができないとそのまま死ぬ(これはNNC氏のAIでもしばしば起きる)。
また、下記の分身バグ修正も行われている。
+
|
分身バグ修正方法 |
飛び道具のヘルパーのhitoverrideの
trigger1 = Time = 0
attr = SCA,AP
を
trigger1 = 1
attr = SCA,AA,AT,AP
に変えれば修正できる。
また、あだむすきー氏のreadmeに書いてある
「CPU操作の時にInvalid Action 103とかwarningがでます」というのは「Invalid Action 183」の見間違いで、
statedef184の時にanim183を指定しているのだが、この記述を消してしまえばエラーメッセージが出なくなる。
|
お前は何を残すのか?」
出場大会
+
|
一覧 |
シングル
タッグ
チーム
その他
削除済み
更新停止中
|
出演ストーリー
*1
所謂「
アタリショック(粗製乱造)」対策として、任天堂は各社毎に1年間で発売できるFCゲームのタイトル数に制限をかけていたため、
大ヒットメーカーとして特例を認められたナムコ等に代理で発売してもらったり、ダミー会社を興して別会社から発売した事にする等の回避策が取られていた。
*2
もしくは、アクションゲームで活躍した地域であるクリミアの現代の記述と言うべきか。
ロシアの隣国であるウクライナ内の自治共和国となっており、独立運動が起きたりしている。
しかし「出身地:ウクライナ」とか「クリミア自治共和国」と書いたら多くの格ゲーマーはどこか分からなさそうなので
取り敢えず「ロシアの方から来ました」という感じにしたのかもしれない……。
ソ連の影響下にあった国だし。
ただし、カルノフがかつて活躍したクリミア王国(現実のクリミア汗国?)を、
ロシア人が滅ぼして征服したという歴史的経緯があり、クリミア王国のカルノフにとってロシア人は仇敵という可能性がある。
アクションゲームのカルノフと『FHD』のカルノフが同一人物なのか、先祖と子孫なのかは不明だが、結構複雑な話である。
*3
必ず空キャンセルでなくてはならず、弱Pが敵に当たっていると普通にスーパー100キックの方が出る。
なお、一般に屈弱P限定だと思われているようだが、要は通常技チェーンがかかれば良いのであり、立弱Pからでも出る。
*4
この状況でファイヤーボールをガードするには後ろに回り込まれ自キャラが振り向く瞬間に合わせ、
ガードの入力方向を切り換えなくてはならず、毎回完璧にというのはちょっと無理な話である。
最終更新:2022年11月08日 20:49