ダチョーン


「ほう、なかなかやるな。それではこちらも、ワルロボぐんだんシテンノウのそのイチ、」
「ダチョーン!のとうじょうといきましょう。ヤツラをじごくにたたきおとしてあげなさい!」

任天堂がファミコンで発売したロボット格闘ゲーム『ジョイメカファイト』に登場すロボット。
ワルロボ四天王の一体であり、ステージ1のボスとして登場する。『ロックマン5』のザコキャラとは無関係。
その名の通りモチーフはダチョウ。アームパーツを持たないため、パンチボタンでは首を伸ばして攻撃する
脚力を生かしたキックや長い首を用いるクチバシ攻撃がメインウェポン。
ラー」といい「ホウオウ」といい、ワルナッチ博士は鳥好きなのだろうか。ガーボーグは違うけど。

が、ステージ1は繰り返し挑戦できない(ステージ1に登場する敵がダチョーンさん以外全員主人公側に寝返る……というか改心するため)せいで影が薄い。
しかも一度ダチョーンさんを倒してしまうと、データを完全に消去するまで二度と対戦不可能という不憫なボスとなっている。
他のシテンノウロボは繰り返し対戦できるのに……。

ただ、『ジョイメカ』はクエストモードを全難易度(ノーマル→ハード→スペシャル)でクリアすれば、
対戦モードでSELECTボタンを押す事でボスキャラが使用可能になる。
逆に言えば、そこまでやって初めてダチョーンさんと再会できる。のべ89体のロボを撃破しての再会だから、感動もひとしおのはずだ。
ここまでの苦闘を乗り越えてきたプレイヤー達は多分存在を忘れている
「これでようやくダチョーンさんに会えるんですね!やったー!」と喜びを露わにすることだろう。


原作での性能

それではダチョーンさんの大まかな説明を以下に記す。
特筆すべき長所は強パンチ(→+A)と足払い(↓+B)の優秀さである。
いずれも首を伸ばすだけの技だが、威力はともかく発生速度と隙の無さ、そしてリーチの長さは天下一品で、地上での牽制・差し合いに非常に便利。
『ジョイメカ』の仕様上攻撃中は首の部分に喰らい判定が無くなるため、突進技の迎撃も問題なく可能。
低空から突っ込んでくるタイプの空中突進に対応しやすく、特に1発もらうとそのまま永パに入るレオレジェンドのニー突進を落としやすいのはかなりの利点。
上手くやれば地上ホウオウクラッシュローリングポカーンの出掛かりだって潰せてしまう。
え、空中ホウオウクラッシュ?無理無理
また、地味にジャンプ攻撃のガード硬直が長かったりするのも利点の一つ。
『ジョイメカ』にはガード硬直中にも投げが入るという仕様があるため、ジャンプ攻撃からの当て投げが決まりやすく強力。

以上、ダチョーンさんの長所はこれだけである。
「え?これで終わり?もう無いんですか?四天王の一人なんでしょ?やだー!」とツッコミが入りそうだが、これだけ。
ダチョーンさんはたしかにワルロボ四天王の一角。しかしその実態は「奴は我々の中でも一番の穏健派」。*1
ぶっちゃけ四天王どころか全キャラで見ても実力はだいぶ下の方……ダチョーンさんは敢えて自分の力をセーブしているのだ。

ではダチョーンさんは具体的に何をどう手加減しているのか。
まず挙げられるのは対空周りのどうしようもない貧弱さ守りを全て捨てている事。
強パンチも足払いも首を下寄りに突き出すようなモーションのため上方向への迎撃能力は皆無。
その他にいくつか対空技っぽい何かはあるものの、どれもこれも判定なり後隙なりに致命的な欠陥を抱えていて使えたもんじゃない
ダチョーンさんはあえて空を捨て走る事を選んだ鳥・ダチョウとしての誇りから、対空技はあくまで「魅せる」ためのものと男らしく割り切っているのである。
当然飛び道具永パなどという姑息な手も使わない。あくまで大自然の中で鍛え抜かれたその脚力としなやかな首だけで勝負するのだ。
そしてダチョウの癖して機動力すら大した事ないその脚力をフルに活かしてしまえば、
我々プレイヤーなどにはとても制御し切れないほどのスピードになってしまうため、
慈悲深い事に移動速度もイーロボ連中よりはちょっと速いくらいの所まで抑えてくれている。
そういうわけでダチョーンさんを実戦投入するなら強パンチと足払いのリーチを活かしてどうにか敵の行動を先に潰していくくらいしか希望がないという、
先の先を見極めた立ち回りが必要になるだろう。正直これでも投げの無い奴らよりかは幾分かマシ

必殺技

  • クルリンパ(←+AB同時押し 16POW)
その場でグルリと首を回して相手にぶつける素晴らしい妙技。ダチョーンさんの首周りの美しさ、計算され尽くした軌道に見惚れる事請け合い。
ダチョーンさんの華麗な首技を目の当たりにした者は、感動のあまり「う、美しい……ハッ!」とダウンしてしまう。
その隙だらけ優雅な素振りからは、ダチョーンさんの気品と余裕が溢れ出している。
ダチョーンさんの技の中では珍しく上寄りの判定を持つが、ダチョーンさんは優しいので何故か対空として使えないわない。すごいなー。
ワイルドダッシュでダウンを取った後起き上がりに重ねるとガー不にできる。
判定と隙が酷すぎて他に使い所はほぼない。その上アフリカンスラッシュや通常技によく化ける

  • アフリカンスラッシュ(→+AB同時押し 16POW)
目にも止まらぬキックの連打を繰り出し、鳥類最高の脚線美を相手に見せ付ける麗技。
かのチャイニーズ・ビューティーも嫉妬するほど見事な百裂キックだ。でも多段ではなく単発技だ。
発生が早く、判定と威力もそこそこ強いのだが、ダチョーンさんはあくまで脚線美を見せるのが目的なので、リーチが無いにはこだわらない。
勝負とこだわりは別物と割り切る彼なりの哲学、そして慈悲の心が大いに感じられるはずだ。
『ジョイメカ』におけるこの手の多段風単発技の常として、一度ガードされると攻撃判定が消えてそれ以降の持続時間が全部隙になるため、迂闊に出せない

  • サバンナスロー(相手の近くで→+A 13POW)
サバンナ生活で鍛えられた首の筋肉と足腰の強靭さを思い知る事ができる至高の投げ。
己の首を相手にひっかけて、そのまま上空へ放り投げるという豪快なモーションが、彼の首の強さを物語っている。
しかしダチョーンさんの目的はあくまでも自分の強靭な肉体を見せる事なので、低火力にしてくれている。
しかも強パンチで見せた首の長さはどこへ行ったのか、投げ間合いも平均並み。
ダチョウの脚力で蹴飛ばすよりも、強靭な首をブン回してぶつけるよりも、上空から落とされた方がダメージが低いようにできる。
これもまた、ダチョーンさんの長年の修行の賜物と言えるだろう。
同じさばんなちほー出身のフレンズも「すっごーい!」と褒め称えてくれるに違いない。
ワルナッチ博士ェ…せめて手を付けてあげてくれってばよ
……とはいえ『ジョイメカ』はそもそも「普通の投げ」がないと詰むゲーム。
先に触れた当て投げの存在もあいまって、ダチョーンさんの数少ない生命線本気を垣間見られる技の一つであることは間違いないだろう。

  • ワイルドダッシュ(←タメA 13POW)
これぞダチョーンさんが野生を生き抜くために手に入れた自慢の脚力!
ダチョウ最大の長所である脚力を最大限に発揮する究極の突進技、その名もワイルド・ダッシュである!
コマンドの関係上、ダチョーンさんは非常に分かりやすい予備動作を取ってくれる。
ぐっと後ろに体を預けたら「特別にワイルド・ダッシュを見せてやろう!」の合図なのでカウンターのチャンスだ空気を読もう。
そのスピードは本物のダチョウの如く素早い。どれくらい素早いかというと、こちらが「見てから昇竜余裕でした」ってくらい素早い。
無駄に持続が長いせいでガードされると反確「ダチョーンさんの走る姿をいつまでも見ていたい!」という我々の願いに応えた結果、
やや隙の多い技になってしまっているため、やはりここぞと言う時の決め技として出していただくのが筋。
これが入ればガー不のクルリンパまで安定していけるのだ!
そもそもこんな隙だらけの技入るわけない?入ってもクルリンパが安定して出せない?そうですね

対人戦でダチョーンさんを使うには並々ならぬが必要だ。
なんせ現実世界のダチョウも育てるのには膨大な手間隙がかかるのだから。
流石ワルナッチ博士!そこまで完全に再現してくれるとは!イジメか何かですかそこにシビれる!あこがれるゥ!


MUGENにおけるダチョーンさん

現在2体のダチョーンさんが存在する。

+ 卵寒天氏製作
  • 卵寒天氏製作
現在ははいうぇい氏によって代理公開されている。
なお、非常に分かりづらい所にあるので「ジョイメカ」でサイト内を検索する事をお勧めする。

技はそのままだがダッシュや空中ガードなど現代風のアレンジが施されている。
流石のダチョーンさんも、数多の未知なる強豪がひしめくMUGENにおいては、本気を出さずにはいられなかったようだ。
四天王の中でも最弱穏健派の仮面を脱ぎ捨てて、発生1Fという超スピードの奥義群を生かした猛獣顔負けの攻めを見せる。
これこそが彼の真の姿。まさしくダチョウ・オブ・ダチョウ……MUGENでの戦績も素晴らしい。
IX氏による外部AIも公開されている。
本気になったダチョーンさんの雄姿を目に焼き付けろ!

+ アフロン氏製作
  • アフロン氏製作

アフロン氏の製作したダチョーン……ダチョーン?
ほぼ全てのスプライトが描き直されているなど、大幅なアレンジと改変が施されている。
立ちモーションからしてサバンナの王者に違わぬ威厳漂うものに。まんまイグニスのトレースだけど
技の構成とシステム回りは、必殺技の硬直を別の必殺技でキャンセル可能(超必殺技も然り)で、
なんとジャンプが可能となっており、加えてある程度の空中制御ができる。
必殺技の構成も首を鎖のように回して攻撃する「チェーンブレイド トランスアキシャル クルリンパ」、
上の技を昇龍拳のように繰り出す「チェーンブレイド サジタルエッジ クルリンパ」、
まっすぐに飛ぶ飛び道具「サバンナアロー」など、使い勝手の良い物へと変わっている。ほぼイグニスのパクリだけど
必殺技から必殺技へ繋げる事が可能になったので、コンボとは無縁だったジョイメカキャラらしからぬ連携が可能となり、
一度何か技を入れてしまえばそれなりのコンボ火力を叩き出せる。流石に10割コンボは自重したようだ
超必殺技も地面から天井まで届く衝撃波を波のように発生させる「アフリカンブレイド」、
所謂運送技である「ブルータル ダチョウ プロジェクト」、そして全地上判定の「ディスインテグレイショナル ワルナッチ」など粒揃い。
原作ラスボスであるホウオウに拮抗できる実力まで昇華された彼の活躍に期待したい。
……イグニスの完コピなだけ?
どんな手をつかおうが……最終的に…勝てばよかろうなのだァァァァッ!!

AIは未搭載だが、戯けた暇人氏による外部AIが2021年9月5日に公開された。
サバンナアローや各種地上技で牽制しつつ、隙を見せた相手にはアフリカンブレイドを、
無敵時間があるチェーンブレイドでの切り返しからブルータル ダチョウ プロジェクトを叩き込んでくる。
また、浮かせた相手にサバンナアローを連続で叩き込むお手玉コンボも搭載しているようで、気分次第とはいえ10割コンボを披露する事も。
ディスインテグレイショナル ワルナッチを絡めればほぼ即死させてくる。
ディスインテグレイショナル ワルナッチについては使用可否を設定出来るため、しっかりと設定してやろう。
簡易AIとの事で一部使わない技や連携があるものの、基本的には使用に問題は無い。想定ランクは凶下位程度。
プレイヤー操作


このようにダチョーンさんへの愛情溢れる項目ができた事で、
『ジョイメカ』を知らなかった人の間にも知らず知らずの内にダチョーンさんへの同情愛が伝わり、ネタとしての人気を獲得。
これも、このページの編集を行った一部編集者のダチョーンさん愛の為せる業と言えよう。

出場大会

削除済み

プレイヤー操作

実況付きP操作 Tarie配信(419キャラ目操作キャラ、アフロン氏製)


*1
では非情にもダチョーンさんをクビにして他のワルロボから四天王ロボを抜擢するとしたら、実は案外ちょうどいい候補がいない。
まず当然他の四天王ロボは除外。
「全員イーロボの上位互換機が勢揃い」で登場しないと意味が無いステージ4のロボ達も除外。

それから『ジョイメカファイト』の性能ランキングを参照してみると上位はガラック、レジェンド、スーパーザコ、アイの四機だが、
ガラックとレジェンドは「対戦で永パが使えるから」という理由で上位におり、基本性能が高いわけでは無い。
コンピュータ戦の一面ボスが容赦なく永パでハメてくるクソゲーにするわけにもいかんし。
スーパーザコは強いが、ステージ2のザコより先に出てくるわけにも行かないので除外。
アイはイーロボなので除外。

そうなるとステージ2か3のワルロボの中から選ぶ事になるが、
ジオーンはジオとボコボコ、ゴーストンはラーよりも先に出すわけに行かないので除外。
初心者殺しのジボル先生は「最初の壁」として一面ボスには相応しいかもしれないが、
「他の四天王ロボと比べたら弱すぎる」という点はダチョーンさんと変わらない。
なによりジボル先生はステージ2にいても個性は際立っているが、
もしダチョーンさんがステージ2の一般ワルロボの中に配置されていたらこうまで愛される事もなく、
ただの弱いロボとしか思ってもらえなかったことだろう。
やはりダチョーンさんは四天王ロボの一角として君臨していてこその存在であり、ワルナッチ博士の抜擢は間違っていなかったのだ。
レジェンドかシェンロンあたりの方が正統派ボスっぽいかっこよさじゃないかなーとは思うけど


最終更新:2024年10月11日 18:39