羽人非獍


台湾の人形劇『霹靂布袋戲』の登場人物。「うじんひきょう」と読み、「羽人」「羽仔」とも呼ばれる。
異度魔界に対抗する神刀の使い手として選ばれた青年で、胡琴の名手でもある。
吹き替え版では八鳥浩一氏が声を担当している。

大悪盗の父と身持ちの悪さで有名な母を持ち、罪惡坑という劣悪な環境で育つも高潔な剣客であろうとする神刀天泣の使い手。
本名は「羽人梟獍」。梟、獍はどちらも親を食う悪獣とされ、
「梟獍」は恩知らずで残忍な人間の意だが、彼を悪人ではないと判断した忠烈王により「羽人非獍」の名を賜名した。
寡黙で無表情だが、見た目よりはるかに情が深く血が熱い。その誠実な人柄は、彼を狙う暗殺者を感服させるほど。
親しい人が次々と不幸になっていく運命の下に生まれ、母を殺したトラウマを持つが故に、人と距離を置いて生きようとする。
また、技を放つ時には背中に白い翼が現れる。
この翼は通常6枚3対だが、本気を出すと最大8枚まで出現し、増えた分だけ威力も高くなる。

+ 『霹靂布袋戲』とは?
『霹靂布袋戲』とは台湾の伝統的な人形劇「布袋戲」による、台湾で最も認知され、高い人気を誇る作品である。
1985年頃から黃文擇と黃強華の兄弟により製作され続けているロングランシリーズで、
世界で最も長く放送された人形劇としてギネス世界記録にも認定されている。
人形劇といえば日本では『ひょっこりひょうたん島』『ざわざわ森のがんこちゃん』『サンダーバード』などが有名だが、霹靂布袋戲の作品群は、
などから、ハイターゲットを中心に非常に高い人気を獲得している。

日本では映像ソフトの入手が難しくコードも異なり、吹き替え作品も限られた所でしか視聴できず、ほとんど流通していなかったが、
2010年代後半において『Fate/Zero』のイベントで台湾を訪れていた虚淵玄氏の目に留まったのをきっかけに、
ニトロプラス、グッドスマイルカンパニーおよび霹靂社による、
日本・台湾共同制作のテレビ人形劇『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』が放送され、日本でも知名度が急上昇した。

霹靂の臨場感溢れる人形のアクションもさることながら、
虚淵氏特有の勧善懲悪には程遠い展開要素を持ちつつも、
巧妙な伏線の張り方と回収方法、敵味方全員一癖以上ある個性豊かなキャラ達(大半が外道だが)による、
氏が所謂「バッドエンド症候群」だった頃からは想像もつかない爽快な群像活劇となっており、
TV3作品、劇場版2作品作られ、宝塚でも舞台化されたほど話題になった他、
2期から登場したキャラの声をOP主題歌も担当した西川貴教氏が担当したり、
虚淵氏も関わった『レッドドラゴン』の婁震戒と七殺天凌スターシステムで登場したり、見所の多い作品となっている。
『霹靂布袋戲』とは異なる世界が舞台だが、『霹靂布袋戲』のキャラや小道具が小ネタとして使用される演出もあり、
元ネタを知っているとニヤリとできる。
そして3期では本家のキャラが登場して、日本と台湾の両視聴者が驚愕する事態になったりした。
(余談だが、本家でも第71作目『霹靂驚濤』で談無慾が長日錕鋙に与えた人斬りリストに、
 『東離劍遊紀』に関わるキャラの人名や「西幽戰神 虚淵玄」という表記があったりする)
いずれにせよ、人形劇と思って見くびると度肝を抜かれる完成度の高い作品となっているので、
機会があればご覧になってはいかがだろうか。

さらに、2019年7月からはNetflixにて『PILI Fantasy War of Dragons(原題:霹靂英雄戦記之刀説異數)』が配信を開始。
これは、内容的には1990年頃の劇集『霹靂異數』を現在の最新のキャラクターデザイン、特撮、演出に作り直したリブート作品であり、
残念ながら羽人非獍は出てこないが、現在数少ない「日本語字幕で鑑賞することの可能な霹靂本家の布袋戲」である。
最初は何の説明もなくポンポン大量に出てくるキャラクターや設定に呆気に取られること請け合いだが、霹靂ではいつものこと*1なので、
カンフーアクション武侠が好きな人はぜひ一度視聴してみよう。


MUGENにおける羽人非獍

Joey Josta氏の製作した『JUS』風ドットのちびキャラが公開中。
ダッシュやジャンプの度に羽根が舞い散る神々しい演出が用いられている。
機動力が高く突進技が強力な他、空中ダッシュだけでなく翼を出して滑空できる。
飛び道具も所持しており、距離を問わず戦えるオールラウンダーなキャラとなっている。
AIは未搭載。
上記の通りちびキャラではあるのだが、霹靂などの布袋戲用の木偶は大体サイズが70~90cm程度で人間の半分くらいなので、
ある意味画面に出すと木偶がそのまま戦ってるような感じに見えなくもないかも。*2
DLは下記の動画から

出場大会

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*1
霹靂布袋戲のシリーズは、いくつかの話数(集or章)をまとめて一つのタイトルを冠した「劇集」で分けてまとめられているが、
実は1988年の『霹靂金光』以来、ストーリーそのものはずっと連続していて、中断したことが無い。
日本の特撮シリーズなどと違い、1シリーズで取り敢えず区切りを付けて次からは全く新しい話に切り替え…とはなっていないのである。
そのため、誰が何時、どこから入ろうとも、常に話の途中。
以前の話や設定を知らない人は見ながらなんとなく察していけというストロングなスタイルなので、その辺は気にしても無駄である。
だが、「何も分からないまま始めるのは流石にちょっと…」という方は、WoDについては このあたり を見るとある程度の事前情報が得られるので、
参照してみると良いだろう。

*2
霹靂シリーズに限らず、布袋戲の角色(キャラクター)とその木偶は御当地ではそれ自体がタレントのような扱いを受けており、
CMの他バラエティ番組などにもそのキャラクターとして出演したりすることがあったりする。
アニメと違い番組に出ている実物が物理的に存在しているジャンルならではである。


最終更新:2021年10月27日 13:43