リナ=インバース


「暴れるモンスターあればとことんぶちのめし、
 輝くお宝あれば無理矢理独り占め。
 大胆不敵、電光石火!

      勝利はあたしのためにある!!」

BASTARD!!』と並ぶ厨二病患者の必修呪文
ロードス島戦記』に次ぐライトノベルブームの立役者と言える神坂一氏の小説『スレイヤーズ』の主人公
(『ロードス島戦記』の方が先輩だが、影響力はこちらの方が上。本作のヒットがなかったら所謂「なろう系小説」も存在しなかったかもしれない)。
担当声優は 林原めぐみ 女史。

「美少女天才魔道士」を自称する少女で
(美少女かはともかく、天才魔道士である事は本編開始前から郷里の魔道士協会にも認められている
 その証として贈られたローブが「ピンクのふりふり」であり、家族にも笑われたため、消したい過去になっているが)、
年齢は本編物語開始時は15歳(物語の途中で16歳になる)、
その約2年後が舞台の2部終了時点では17~18歳となっている。
身長147cmと舞台となる世界では同年代と比較しても小柄で、特に胸が小さい事は「大平原の小さな胸」とネタにされたり、
本人も年下の仲間より小さい事を気にしている。
だがイラストを見る限り胸はしっかりある方で、何故この大きさなのに悩む必要があるのか分からない
周囲の人間がもっとでかいために、「あの世界の女性としては小さい」という事なのだろうか?*1

生まれはゼフィーリア王国という田舎かつ辺境の商家で、金勘定に厳しい上に「転んでもただで起きたら貧乏人」と商人根性を叩き込まれている。
また、食事に対しては凄まじい執着があり、その体形からは想像もつかない大飯喰らいでもある。
家族構成は上述のように商人をやっている両親と、故郷のレストランでウェイトレスのアルバイトを行っている姉の「ルナ」。
特に姉の事は「郷里(くに)の姉ちゃん」として劇中で回想するシーンが度々挟まれるなど良くも悪くも影響を多大に受けており、
作中時点では、姉の「世界を見てこい」という一言がきっかけで当てのない流浪の旅に出ている。

性格はかなりフリーダムかつ破天荒。「悪人に人権はない」という主張をモットーとしており、
懐がさみしくなると趣味と実益を兼ねて盗賊のアジトを襲撃して全滅させ盗品等をかっぱらう(通称盗賊いぢめ)という習慣を持つ。
これが原因で「盗賊殺し(ロバーズ・キラー)」の通り名で知られており、壊滅させた盗賊団は数千にも上ると噂されているが、
本人曰くこれは誇大であり「桁が1つ多い」との事。
この他にも行く先々で大きな騒動を起こしているためリナの名は(悪名扱いで)轟いている。
有名なのが「ドラゴンも(踏んでしまったら仕返しが怖いので)またいで通る」として「ドラまた」という異名であり、
他にも様々な尾鰭が付いて彼女の噂が広まっており、他人に対する悪口として通っていたり、名前を聞いた途端盗賊が棒読み口調で怯えたり、
果てはリナを崇める邪教も存在する(リナ当人に滅ぼされたが)。
とはいえ、仲間には筋を通したり、自分のせいで不利益を被った人間には無償で仕事を請け負うなど一般的な良識は持ち合わせている
(一方で、仲間であろうとも言葉尻をとらえて自分に有利に話を進める事も多い)。
また、悪人は容赦なく殺す一方で年相応の感性は持っており、回避不可能な悲劇的な事件に対して嫌悪や動揺を示したり、
悪の存在でありながら同情に値する理由がある存在と敵対し、情を押し殺しながら止めを刺すという展開も幾度となく描かれている。

魔道士としては上記の自称に違わない実力者で、常人離れした魔力容量(キャパシティ)を持ち、
多数の精霊魔術・黒魔術を取得している他、一般に最強の攻撃呪文とされる「竜破斬(ドラグスレイブ)」すらも連射できる。
また、精霊魔術・黒魔術問わず既存の魔術をアレンジしたり、それらを元にオリジナルの術を多数編み出している。
ただ、術を覚える基準が実用性よりも見栄えの良さや面白さを重視する傾向にあり、
趣味に合致している派手な火や風の魔法を中心に攻撃のレパートリーは多い半面、本人が目立ちにくい儀式魔術や召喚術、
回復・治療などの白魔術などは基礎的な物しか取得しておらず、それが原因で悔やむ事態に陥った事もある。

+ 『スレイヤーズ』世界の魔法について
この世界の魔法は主に「黒魔術」「精霊魔術」「神聖魔法」の3つに分かれる。

黒魔術は魔族の力を借りるものであり、高度な黒魔術は名高い高位魔族から力を借りて実行するものである。
リナの得意魔術である竜滅斬も「赤目の魔王(ルビーアイ)シュマゴラスシャブラニグドゥ」の力を借りる魔法である。
そのため力の源である赤目の魔王に対して竜滅斬を使おうとしても、「お前を殺すのにお前の力を貸せ」と言うのと同義であるため、
何かの間違いで大元の魔族が自殺でも望んでいない限り、効かなかったり、そもそも不発だったりする。
(魔族は種族的に「自身も含めた世界全ての破滅」を望んではいるが 
 「世界の全てを滅ぼす前に自分が滅ぶつもりはない(同時はOK)」と言う形で生存欲も持っているため、無意味な自殺は作中でも明確に拒んでいる)。
逆に言えば、力の源である高位魔族が滅べばその魔族の称号を冠する術は使用不可能になり、
何かの間違いで赤目の魔王を滅ぼす事に成功してしまったら竜滅斬は誰も使用できなくなってしまう
(実際作中でも第一部で滅んだ冥王や魔竜王の力を第二部で使おうとしたら不発でピンチと言うシーンがある)。
なお、何故魔族と戦う人間に対し魔王達が力を貸すかと言えば、自身を含め世界全てを滅ぼす事が目的な魔族は平気で同族殺しをするからである。
また、人間はどれだけ天才であったも種としての魔力容量は魔族に遥かに及ばないため、力を貸したところで疲労すらしない事も影響している。

精霊魔術は地水火風の四大元素に加え、「精神」の属性を加えた五属性の精霊から力を借りて行使するものである。
また、白魔術や召喚魔術も広義では精霊魔術の一種に属している。
黒魔術は攻撃力の大半を直接相手の精神世界面に叩きつけて、その余剰エネルギーが爆発などの物理現象となるのに対し、
精霊魔術は精神属性を除いて、各属性を具現化した上で物理的な作用を相手に与えるものであるため、
攻撃系の魔術は肉体を持つ生物に多大な影響を及ぼす反面、精神にダメージを与える特性を持つ者以外では、
精神世界の存在である魔族にはダメージを与えられない。
攻撃呪文が多い黒魔術と比較すると、光源を創り出す「明かり」やこの世界の電話代わりとなる「隔幻話」など生活に根差した呪文も多いのが特徴。

「神聖魔法」は神族から力を借りるものだが、第三部まで劇中で使用される場面はなかった。
と言うのも、約1000年前にスレイヤーズの舞台となる土地を、赤目の魔王の「5人の腹心」の内の4人が「神封じの結界」で覆い、
そこを拠点としていた赤の竜神の(四分の一)分体である水竜王ラグラディアを弱体化させ、
赤目の魔王の(七分の一)分体と腹心の残り1人で倒したためである。
一方で赤目の魔王の分体も水竜王の悪あがきにより氷漬けになって封印されたため、
魔族側も魔王を守るため結界を解かず、それにより他の3竜王も干渉できなくなり、その土地で神の力を借りた魔術は行使できなくなった
(代わりに魔族達も結界の外に干渉できなくなってしまったが)。
ただし、これは人間に限った話であり1000年以上前から生きている竜が腹心の1人が滅び結界に綻びが出た後で、一度だけ神聖魔法を使用した場面がある。
このため前述の白魔術は「神聖っぽく見える精霊魔術」の事を白魔術と呼んでいるだけだったりする。
小説第三部及びアニメやコミックでは「結界の外なら使用可能」と公言されているが、
いずれの作品でも使用者は長命なドラゴンやエルフであり、短命な人族は1000年もの歳月の間に忘れ去ってしまった模様。

+ 第四の魔法(ネタバレ注意)
上記の3つに当てはまらない魔術に「金色の魔王(ロードオブナイトメア)」の力を借りた魔法が存在する。
本編開始以前、リナは姉のツテで出会ったある賢者から、
「(作中世界で最強クラスの存在であるはずの)赤目の魔王の上に一般的に知られていない『金色の魔王』がいる」
という話を聞く機会があり、ふざけ半分でその力を借りる呪文を構築した所呪文が完成してしまった
それは、リナが常人を上回る魔力容量と金色の魔王との適性の高さ故に実現した呪文であるが、
そうして完成した「重破斬(ギガスレイブ)」は一般的に最強の魔術とされる竜破斬すら凌駕する威力を誇ると同時に、
魔王を上回る存在が実在する事の証明でもあった。
あまりの威力と制御の困難さ故に、リナも仕事料ケチった依頼人のプライベートビーチを破滅させた1回を除き使用した事は無かったが、
本編第1巻で赤目の魔王(七分の一)の復活に直面したためやむを得ず使用を解禁した(前述のエピソードは、この時にがシレっと語られた回想である)。
なお、リナも当初は金色の魔王の事を「魔王の上にいる大魔王」のように考えていたが、
1部後半において金色の魔王は赤目の魔王より格上の存在という認識こそ間違っていなかったものの、
実際には「魔族だけではなく精霊や神族や人間等も含めた世界全ての母、と言うか世界そのものである混沌の海」であると言う書物
(厳密には水竜王の記憶)がリナに提示された
(『スレイヤーズ』や『ロストユニバース』の世界は「混沌の海に突き立てられた杖の上の存在」とされている)。
1部前半でリナが金色の魔王の力を借りた呪文は便宜上黒魔術として扱われていたが、
これはリナが金色の魔王を「魔族」と定義して呪文を構築していたからであり、金色の魔王を正しく表していない不完全な代物でしかなかった。
しかし完全版はリナでも制御不可能なため、完全版の完成後も不完全版の使用がメインとなっている。

『スレイヤーズ』の魔法は難易度が低いものであれば一般人でも呪文を丸暗記すれば使えるが、単に呪文が使えるだけなら魔道士とは見なされない。
正規に「魔道士」とされる人間は、魔道士協会に所属して専門の講義を受けるか、相応の魔道士に直に弟子入りした者達に限られる。
ただし、悪用者の続出を防ぐため教えるのはあくまで理論や概念のみという規律があり、
魔道士は一定レベル以上の魔法は自力で呪文を構築しなければならない。
分かりやすく例えれば、
  • 丸暗記で呪文が使える一般人(設計図を見て完成品を作れる)
  • 呪文を作れる平均的な魔道士(教科書を見て設計図から完成品まで作れる)
  • 1流とされる魔道士(高度な設計図を作れたり、既存の設計図を魔改造し、かつ完成品を作れる)
というイメージで魔道士の格が分けられている。ちなみにリナ達主人公パーティの魔道士はほぼ3番目の1流以上である。
このため、RPGでよくあるようにレベルが上がればぱぱーんと新しい魔法に覚醒するという事はほぼ無く
(そもそもリナ達はRPG的言ったら本編開始時点でレベルがカンストしている。
 なお、SFC版では「記憶喪失したソックリさん」と言う形で成長要素を与えている)、
事前に魔道書等を読み力を借りる対象について研究する事が重要である。
同じく魔法攻撃力的な概念も無く、呪文への適性など細かい要素を除いて、魔法の出力は使用者の魔力容量の大きさと呪文の完成度に比例する。
当然高度な魔法を取得しようとすれば、その研究に相応の予算・資料・時間が必要であり、リナが白魔術等を基礎しか取得してないのも怠惰からではなく、
白魔術を研究する余裕があったら黒魔術につぎ込んでいたからである。

意外にも剣術の心得はあり、雑兵程度ならダース単位でも相手にできると自負しているが、
剣術だけなら相方のガウリイ=ガブリエフが世界最強レベル(ただし脳みそスライム)な事や体格のせいで膂力に乏しいため活かす機会に恵まれていない。
これは作中で登場した剣士が敵も味方も平均をぶっちぎりで逸脱したレベルの技を持つ実力者ばっかりなのも原因である。
まぁ本編の敵は魔王クラスばかりなので雑魚はお呼びじゃないし(『すぺしゃる』はギャグメインなので別)。

しかし、彼女の最大の強みは天性の観察力と推理力・直感であり、数々の危機に直面しても毎回最悪な致命傷は最小限避けている他、
巧く立ち回り生物として人間では絶対に太刀打ちできない格上の存在とされる高位魔族すら幾体も滅ぼしている
(なお当時は、これを理解していない人間が「竜滅斬を撃ちさえすれば勝ち」なノリの「俺tueee」作品を投稿しては編集部に弾かれる事が多発したとか。
 まぁ『BASTARD!』の方はそういうノリだったし(漫画なので絵の迫力で押し切れた))。
しかし非戦闘時にはめんどくさがって証拠集め等をせず「怪しい奴」を犯人に仕立て上げ、あたかも事件が解決したようにしたり見当違いな推理をしたりするため、
ガウリイから「お前さんのスルドイ推理ってのは当たったためしがない」と言われた事もある。

人間の魔道士としては間違いなく世界最強クラスであり本人も認めているものの、意外にも自分の実力を買い被る事は無い。
これは、作中世界において生物として格が違う魔族や竜種相手では、人類最強クラスである彼女ですら単純な実力だけなら及ばないという部分もあるが*2
最大の理由は姉のルナがリナをも上回る化け物じみた実力者だったのが原因である。
そもそもリナが魔導士を志したのも、この無茶苦茶な姉へのコンプレックスから何とか差を埋めようとしたためである。*3

+ 劇中の活躍

本編以前(すぺしゃる+すまっしゅ)

姉の「世界を見て来い」の一言がきっかけで旅に出たリナが、
リナのライバルを自称する魔導士「ナーガ」に金魚のフンのように付き纏われながら珍道中を繰り広げる頃のお話。
本編までの1年たらずを単行本にして35巻もかけて駆け抜け、各巻数回事件に巻き込まれてるが気にしたら負け
小説では基本1話完結のギャグメイン回であり、リナがいかにして悪名を轟かせたかが如実に描写されているが、
一部はシリアスな回もあったり、本編に繋がる重要な情報が出るエピソードもあったりする。
本編第1巻で語られた重破斬の試し撃ちが上記の通り腹いせでブッパされたものだったとかしょうもない事も判明したりもした。
スレイヤーズのタイトルに使用される単語「slay」は殲滅するという意味合いが一般的だが、人を笑わせるという意味もあり、
「すぺしゃる」では後者が強調された作風となっている。

第一部

旅の途中で賢者の石を手に入れたリナは、それがきっかけで「赤法師レゾ」という魔道士の魂に封じられていた魔王シャブラニグドゥの一片の復活に遭遇する。
不完全な復活であったレゾ=シャブラニグドゥはリハビリと称してリナ達を殺そうとするが、
道中で仲間になったガウリイ=ガブリエフが所持する伝説の武器「光の剣」に「重破斬」のエネルギーを上乗せするという奇策を決行し、
さらに不完全な復活が幸いし、リナの呼びかけに応じたレゾがシャブラニグドゥの内側から抵抗して隙を作り、
巻数1巻目にしてラスボス(の分体)を倒す事に成功した。

しかし、これにより別の分体「北の魔王」にリナが金色の魔王の魔法を使える魔導士である事が知られてしまい、
封印されている北の魔王に代わり魔族の指揮を執っていた最高幹部「5人の腹心」の冥王フィブリゾが、
「リナの重破斬を暴発させて世界を滅ぼす」という計略を立案。
さらにフィブリゾはその情報を、魔族陣営を裏切った「5人の腹心」の魔竜王ガーヴに断片的に漏らし、
ガーヴ陣営は「リナという人間を使ってフィブリゾが何か企んでるみたいだから念のため殺しとこー」というノリでリナを狙い、
リナ一行、魔族陣営、ガーヴ陣営の三つ巴の戦いに発展する
(ちなみにこの時期、策略の中で接触してきた高位の魔族・ゼロスが所持する「赤青白黒の4つのデモンブラッドが使用されたタリスマン」*4を、
 リナが強引に買い取っている)。

その後、冥王フィブリゾは首尾よく魔竜王ガーヴを粛清し、リナに完全版「重破斬」を使用させる事に成功したが、
「重破斬」を暴走させると術者の肉体が金色の魔王に乗っ取られる事を知らなかったフィブリゾは、
そうとは知らず、強大な力を纏ったリナ(in金色の魔王)を「火事場のクソ力で重破斬を制御した」と早合点して攻撃を仕掛けるというポカをやらかした。

後から真相を悟り驚愕したフィブリゾだったが後の祭り。ムカついた金色の魔王にミンチにされて完全消滅してしまった。
そして、ムキになってフィブリゾを八つ裂きにした金色の魔王も力の使い過ぎで憑依を保てなくなり、リナは解放され、
経緯はともかく最高幹部2名を滅ぼしたため魔族にその名を知られるようになる。

なお、魔竜王と冥王が滅んだため、以降は魔竜王や冥王の力を借りる黒魔術は使用不能になった。

第二部

第一部のラストで失った「光の剣」に代わる武器を求めて旅をするリナとガウリイだったが、
かつてリナが壊滅させた危険思想を持つ集団「ルヴィナガルド王国残党」の暗躍や、
1000年前に起きた降魔戦争を再現しようと画策するグラウシェラーの計略に遭遇し続ける。
リナ達は火の粉を振り払うべく奮闘するが、ある事件が引き金となりシャブラニグドゥの3番目の分体が復活した。

そしてリナは、第二部で何度かパーティを組んだ仲間の青年「ルーク」がレゾと同じ魔王の欠片の転生体であり、
劇中で彼の恋人のミリーナを失った莫大な負の感情がトリガーとなりシャブラニグドゥが復活し、
しかもレゾ=シャブラニグドゥと異なりルークとシャブラニグドゥの人格が一体化した完全な復活であるという事実に直面する。
「自分から恋人を奪った世界と決別したい」というルークの想いと、
「リナ達に勝利して「人間に負けた魔王」という汚名を晴らす」というシャブラニグドゥの思いにより、
ルーク=シャブラニグドゥは分体「北の魔王」の反対を押し退けリナ達に決闘を挑む。
ルークでもある3代目シャブラニグドゥとの戦いをリナは躊躇するが、「戦わなければ世界を滅ぼすまで」とルーク=シャブラニグドゥの意志は変わらず、
最終的に腹を括ったリナは戦いの場が世界の境界線という特性を利用し、
デモンブラッドを対価にシャブラニグドゥと同格の異界の魔王3体の力を借りた魔法を次々と放ち、
弱体化したシャブラニグドゥに「竜破斬」を喰らわせて致命傷を与えた。
本来効くはずのない「竜破斬」が自分に効いた事に驚愕する”シャブラニグドゥ”。
それに対し、リナは魔王と化したルークが無意識でリナ達の手で殺される事を望んでいたからだと返答する。
自身の消滅で逆説的にそれを証明した”ルーク”は、誰に対するかも分からない詫びの言葉を残してその生に幕を閉じた。

これにより、リナは同世代以降の魔道士からは「魔を滅する者(デモン・スレイヤー)」の二つ名で呼ばれるようになったが、
ルークの一件がよほど尾を引いたのか、その名を呼ばれる度に苦い顔をしたという。

第三部

外伝『すまっしゅ』が一区切りしてから約7年休止して出た本編。
ガウリイを連れて里帰りするつもりだったリナだったが、やっぱり事件に巻き込まれたりアメリア、ゼルガディと再会したり波乱万丈な目に会い、
道中出会った高位魔族ノーストの嫌がらせで神封じの結界の外の世界に転移させられてしまう。
かくして二人は結界の中の世界に帰還すべく旅を開始する羽目になる。

魔王の分体2体、魔王の腹心2人、神官1人、将軍2人という多数の高位魔族に滅びるきっかけを与えた(あるいはリナ自身が倒した)せいで、
ノーストによればリナは第三部時点で魔族陣営から関わったらなんやかんやで滅ぼされる疫病神扱いされているらしい。
そのため、名誉を賭けて徹底抗戦すべきと主張する派閥と、戦力の減衰を恐れて放置すべきという派閥で意見が割れて、
実質的な対処が先延ばしされている状況の模様
(上記のノースト曰く上層部=北の魔王・獣王・海王はリナ放置派のようなので後者が優勢のようだが)。
もっとも、本来は魔族が人間を警戒する事自体が異常であり、直接負けたシャブラニグドゥはともかく、
当初から気に留めていたゼロスのような魔族の方が本来は異端だが。

ここでは小説版について記載したが、他にも漫画・アニメ・ゲームで第三部の話が展開されている。
原作者はこれらをまとめて第三部のパラレル(どれかが正史というわけではない)と位置づけている。

+ 外部出演
30年以上KADOKAWA系ラノベの看板を担う作品の主人公だけあって客演も多い。
2021年にはYouTuberデビュー(?)も

  • スレイヤーズVSオーフェン
富士見ファンタジア文庫の二大巨頭による公式コラボ小説。
『スレイヤーズ』『魔術士オーフェン』のキャラクターが「神っぽいもの」を名乗るヴォイドという男によって作り出された世界に召喚され、
騒動を起こすという内容。

  • ヒーローズファンタジア
ガウリイと共に一番最初に仲間になるキャラとして登場。
通常技は「ファイヤー・ボール」、必殺技は「竜破斬」と「重破斬」を切り替え可能。
ちなみにオーフェンも同作にゲスト出演しているが、特に大きな絡みは無かった。

コラボイベント「スレイヤーズまぐな」にてガウリィ・ナーガと共に出演。
火属性SRのバランス型で、レアリティSRとしては初の4つのアビリティ持ちだった。


MUGENにおけるリナ=インバース

Gouketsu氏がキャラを製作していたが、不具合を修正できないまま氏が製作を休止し、
氏の知り合いだったAxellord氏が製作を引き継いで公開された改変版が存在している。
以下はAxellord氏版の性能について記載する。

6ボタン形式のキャラであり近接戦はリーチが短く不得手だが、代わりに遠距離攻撃が豊富。
特に連続ヒットする「火炎球」と、発射速度が速い「風魔咆裂弾」が使いやすい。
また、特殊技「浮遊」により空中で行動する事もでき、機動力も優秀。
超必殺技は1ゲージ技の「霊氷陣」、2ゲージ技の「振動弾」、3ゲージ技の「竜破斬」の3つ。
いずれも高火力だが詠唱が長めなのが欠点。
AIもデフォルトで搭載されている。
DLは下記の動画から

余談だが、MUGENオリジナルのキャラであるクレア・フォスターは声や雰囲気が似ていた事から、
リナとか閣下と呼ばれる事が多々あった。


「見てくんないと暴れちゃうぞ!」*5

出場大会



*1
イラスト担当が貧乳設定を知らされたのはデザインが終わった後だったとの事だが、それ以上の理由として、
巨乳好きだった当時の担当編集者が「これはまだまだ貧乳」と称してリテイクを出さなかったからとの事。
なお新装版以降のイラストでは真っ平に変更されている。貧乳はステータスなイマドキはこれくらいしないと

*2
魔族は作中世界で最強クラスの存在であり、
魔力容量だけなら「魔族最下級>(越えられない壁)>人類最強クラス」となる程存在としての格の差がある。
具体例として人類最強クラスであるリナですら、たかだか炎の矢一本出現させるためにも呪文詠唱を必要とするが、
再下級魔族はまともな詠唱を必要とせず、吠え声だけで数十本の炎の矢を出現させる事ができるというのがある。
また、精神世界の存在であるため物理攻撃で切ろうが燃やそうがダメージを与える事はほとんどできず、精神世界に干渉できる魔術で攻撃するか、
武器攻撃なら対象の魔族をも上回る意志で滅びを強く念じながら攻撃する必要がある
(ガウリィの家宝である「光の剣」はそれをやりやすいが、元々は赤目の魔王と同格の存在(異世界の魔王)の持ち物だという話。
 また、セイルーン王国の王子様(山賊顔の40代子持ち)は、
 その強大な「博愛精神」により不届きな魔族を素手で殴り倒せる滅茶苦茶な人物(流石に中級魔族が限界だが、それでもリナは驚愕している))。
しかし、物理的肉体を持たない精神生命体であるため、存在として格下の人間に対して本気の攻撃ができない、と言う弱点がある。
と言うのも、本気を出した場合は「自分は本気を出さなければ人間にすら勝てない卑小な存在である」と認識を持つ事になってしまい、
精神生命体である彼らにとって、その認識は致命的な弱体化をもたらすからである
(格ゲーに例えるなら、『CAPCOM VS. SNK』のレシオ3のキャラがレシオ1のキャラと戦う際には、
 舐めプをしないと能力がレシオ1並みに落ちてしまう(ラウンドどころかステージを跨いでも落ちたまま)と言った感じ)。
劇中でリナが高位魔族に勝てたのも大抵その点を突いたため。
しかし、幹部クラス以上の魔族ともなれば本気を出さずとも人間の町を1つ滅ぼすぐらいは余裕なので
(実際にガイリア・シティという町で大惨事を起こした奴がいる)、
どの道真正面から戦う事は危険である。

第1部でリナに同行した魔族である獣神官ゼロスも本気になればリナ一行を瞬殺できるほど強いが、
リナに金色の魔王の力(完全版・重破斬)を使わせる事で世界を滅ぼすために、敢えて泳がせている状態だった。
この事を知ったリナは「自分ごと世界を滅ぼすのが目的なら自分で使えば良いでしょ」と突っ込んだが、
そのエピソードの黒幕であった「冥王フィブリゾ」は、「発動前に自分が滅んだら世界が滅ばないだろ」と答えている
(精神生命体である魔族は自分より上位存在の力を借りる魔術を使おうとすると、魔術の発動前に己の精神が飲み込まれて滅びかねないため。
 赤目の魔王本人を除き、魔族が竜滅斬を使用しない(出来ない)のもそのためである。一方で人間は物理的な肉体をも持つ存在のため使用に耐えられる。
 格下の魔族の力なら使えるかもしれないが、それはそれで「自分は他人(魔族だけど)の力を借りなきゃ戦えない雑魚」と言う認識になりかねず、
 フィブリゾが精霊魔法を使ってみせた際も「精霊の力を借りる魔法」であるため、わずかとはいえダメージ(弱体化)を受けていた)。
+ 5人の腹心
冥王(ヘルマスター)」とは赤目の魔王の「5人の腹心」の内のリーダー格で、他に「魔竜王(カオスドラゴン)」「覇王(ダイナスト)」「海王(ディープシー)」「獣王(グレータービースト)」が居る。
なおゼロスの直接の上司は「獣王ゼラス=メタリオム」であり、
セイグラムという下級魔族が不始末した尻拭いのために、獣王の命令でしぶしぶ冥王に従っていただけであり、冥王の事は嫌っている。
まぁ性格が性格なので獣王を敬っているのかさえ怪しいが(獣王に生み出された存在なので嫌でも絶対服従)。

なお「滅ぶ」とは、精神生命体である魔族に「肉体的な死」は存在しないと言う理由から、劇中では「死」と明確に区別されている
(魔族を殺しても(時間こそかかるが)新たな肉体を作って復活されてしまう)。

*3
+ リナの姉 「ルナ=インバース」 について
姉のルナは、刃物を返す肌を持つ竜を包丁1本で倒すわ、純魔族を麺棒もしくはすりこぎで倒すわ、
「火炎球」喰らっても「ぬるい」の一言で済ますわ、挙句放たれた「竜破斬」を普通の剣で切り裂くわ、
……と、おおよそ人間離れした実力の持ち主であるらしい。
裏設定でその力の源が明かされており、実はルナはかつてオリジナルの赤目の魔王と戦い相打ちとなった、
この世界で崇められる神族「赤の竜神スィーフィード」の意識と力の一部が人として転生した存在との事。
なお、リナが姉に勝つために魔法を学び始めた事からも分かる通り、ルナは魔法を使わない純戦士と考えられるが、
代わりに得物に気力を込める事に長けており、普通の武器でも魔族をいなせるぐらいの尋常じゃない精神力を持つ模様。
あとがきでは、魔竜王の側近である竜神官ラルタークぐらいの相手なら笑いながらどつき倒せる程度の実力と書かれており、
そのため5人の腹心とも1対1なら互角の強さを誇る程と思われる。さすがに赤目の魔王には敵わないようだが。
もっとも、作者によれば『刑事コロンボ』の「うちのカミさん」的ポジションのキャラとの事で(リナも「郷里の姉ちゃん」としか呼んでいない)、
ストーリー本編には関わる事が無く、本格的に登場する予定は無いと明言している
(他のMUGENキャラで例えるなら『仮面ライダーカブト』の「おばあちゃん」のような立場と言うべきか)。
普段はゼフィーリアのレストラン「リアランサー」でウェイトレスをやっている傍ら、
ゼフィーリア王国の最高戦力「赤の竜神の騎士(スイーフィード・ナイト)」として王家に仕えているらしいが、
世界の命運にはあまり興味ないらしく、ウェイトレスの方を本業としている。
しかし「赤の竜神の騎士」という異名は(その実態はともかく)広く知られているようで、
たまにルナに戦いを挑んでくる挑戦者達を軽くいなしては挑戦料として実家の雑貨屋の売上に貢献させている模様。
あとさすがに第二部終盤は介入を始めたという噂が流れており、リナに「ほっといても解決する気がしてきた」と言われたりしたが。
妹が各地で結構やらかしてるのをどう思っているかは不明だが、さすがに邪神として崇められていると知ったらリナをしばきに現れるそうな。
ちなみに巨乳らしい。…と言うか家系的には貧乳なリナの方が例外なのだとか。

余談だが、ルナに限らずゼフィーリア王国にはリナと同格以上の実力者がそれなりにいたらしく、
一般人ですらリナに準ずる実力を普通に備えているらしい。

作者は当初『スレイヤーズ』の前身となる、ルナが主役のSF小説を富士見ファンタジア長編小説大賞に応募しようとしていたが、
執筆に取り掛かる前に『セーラームーン』が連載を開始して人気を博し、ルナのキャラの名前が被るのが便乗しているようで気に障り、
ルナのクローン体として構想していたリナを主役にして、作風を変更してファンタジー小説に切り替えたという事情がある。
まぁ後に『スレイヤーズ』と繋がりがある(光の剣は元々この世界の魔王「闇を撒くもの(ダークスター)」の持ち物)と言う設定の、
SF(スペースファンタジー)小説『ヤシガニ屠るロストユニバース』を執筆しているが(ただし主人公は男性)。

*4
「デモンブラッド」とは、魔王シャブラニグドゥや異界の魔王の力を借りられるようにした最高精度の完全なる賢者の石である
(製作者は人間だった頃の「北の魔王」)。
このタリスマンのおかげで一度に出す魔力容量を増幅できるようになったリナは、
その恩恵で元から取得していた魔法の出力も大幅に上昇したのみならず、
自力では発動不能な「ゼラスブリッド」「ブラストボム」「ラグナブレード」といった魔法を使用可能になった。

より正確に言うと、元々リナは魔導士として魔法を研究・開発する過程で実用的な呪文だけでなく、
これらの「理論上の呪文構築だけは正確に確立させたが人間の魔力容量では絶対に発動不可能な非常に高度な魔法」
もいくつかストックしていたのだが、前述のデモンブラッドのおかげで魔力容量の問題が解消されて使用可能になったのであり、
魔力容量の増幅だけでも相当に強力なのでチートアイテムには違いないが、
デモンブラッド自体に使い手に強い魔法をぱぱーんとゲームのように授ける効果があるわけではなく、
リナが元からこれらの呪文を構築できる程に優秀な魔導士だったからこそ上記の魔法が使用可能になったというのが正しい。

*5
TVアニメ版の次回予告専用セリフ(故に「見てくんないと」)であり、当然ながら原作小説には(帯を含め)存在しないセリフである。


最終更新:2024年02月17日 23:59