ルドル・フォン・シュトロハイム



「我がナチスの科学力はァァァァァァァアアア

 世界一ィィィイイイイ」

ジョジョの奇妙な冒険』第2部「戦闘潮流」に登場する誇り高きナチス・ドイツ軍人。
主な呼ばれ方は「シュトロハイム」。ちょっと紛らわしい名前だが「ルドルフ」ではない。
TVアニメ及び『オールスターバトル』『アイズオブヘブン』での担当声優は『ストリートファイターIV』のアドンや『戦国BASARA』の直江兼続
『FAIRY TAIL』のコブラ(彼じゃねえぜ!)等を演じた 伊丸岡篤 氏。

登場時の階級は少佐。再登場後は、大佐に昇進している。
「優れた者のみが生き残るべし」という所謂選民思想の持ち主だが、シュトロハイムの場合は人種や民族といった表面的なものではなく、
その人間の内面部分に価値を求める点で一般的にイメージされるナチスの思想とは若干異なる。
具体的には初登場時、基地に囚われていた民間人に人体実験への協力を迫った際、自らを犠牲にして他者を救おうと名乗り出た少年を称賛し、
その少年以外全員の処刑を即決した一方、人類共通の敵を倒す為なら敵国人との協力も厭わない、等。
以上の行動が、軍規を重んじる軍人の行動としては論外なのは言うまでもないが、
自身の民族への誇りと、それに基づく国家に対する忠誠心は本物で、我が身を顧みずに任務を全うしようとする姿は理想の軍人と言えるだろう。
ただそれらが若干悪い方向に作用してか自尊心が強い性格で、傲岸不遜な描写が散見され、
折に触れては上記のような自身の民族、国家を賛美する台詞を自信満々にぶっ放すため、
「憎めない奴ではあるが高慢な態度がどうにも鼻につく」というのがジョセフの人物評。
なお、作中で彼自身の所属が明言された事は無いが、着ている軍服のデザイン、行っていた任務と終盤に「親衛隊」と明言された部隊を率いて登場したなど事から、
恐らく正規軍であるドイツ国防軍ではなく、武装親衛隊である事はほぼ確実であると思われる。
武装親衛隊は言わばナチスとヒトラーのために存在している私兵集団であり、そう考えれば彼のそれらの行動は非道なものであっても不自然な物ではない
(現実においても親衛隊組織はドイツの敗戦後に「犯罪組織」として扱われており、
 戦争を生き延びた武装親衛隊員も軍人年金の支給が認められないなど、軍人としての扱いには国防軍と明確な差がある)。

主要キャラとは言えないものの、第2部の中では登場回数も台詞も多く、
特に、人間の持つ勇気を称えるプルタルコスの言葉を引用して、人に非ざる怪物を倒すべく自らの命を投げ出そうとするシュトロハイムの自爆シーンは、
『ジョジョ』のテーマである「人間賛歌」が実に端的に表現された名シーンであり、ファンからの人気も高い。

そしてシュトロハイムの事を語るのならば外せないのがその特徴的な髪型である。
しかし最初からあんな爆発ブラシヘアーだったわけではなく、初登場時は普通の角刈りっぽい感じであった。
それが話が進むごとに何故かどんどんと外に広がっていき今日知られるような髪型に変貌したのである。
特に一時退場直前にはかなりとんでもない感じになっているが、再登場後はまだこの瞬間よりは落ち着いた形になった。*1
まぁ、サンタナ戦で潜入していたジョセフに幾らか毟られた(手入れしてなくて水分不足と評された)訳だし一度爆裂死したので、伸ばし様がなかったのでは…。


劇中の活躍

石仮面にまつわる事件によって瀕死の重傷を負ったスピードワゴンを保護して尋問し、柱の男達の1人を復活させ、「サンタナ」と命名。
しかし、サンタナの予想を上回る能力に翻弄され、基地内に甚大な被害を負い、基地に侵入していたジョセフと一時共闘。
サンタナに弱点の日光を浴びせるために自らの足をジョセフに斧で切り落とさせるなど身を挺した行動を取るが、
逆に切断した足の傷口から体内に侵入されてしまう。
最後の手段として手榴弾によって自爆した。



 木っ端微塵に吹っ飛んだのでどう考えても戦死したと思われたのだが、サイボーグと化して復活。
 リサリサの元から奪われた作中の重要アイテム「エイジャの赤石」を追っていたジョセフ達の前に現れ、協力を申し出る。
 赤石を求めて現れたカーズとの対決では、
 体に内蔵した機関銃でダメージを与えるものの、体を切断されてしまい敗北する。

 さらに再修理を受け、終盤に再登場。
 対吸血鬼用の新兵器・紫外線照射装置を装備し、同様の武装で固めた部下達と共に活躍する。
 しかしカーズがいつの間にか赤石を隠し持っており、石仮面に装着していた所に紫外線を浴びせかけてしまい、
 結果として究極生物誕生という最悪の事態を招いてしまう。
 一旦逃走して策を練る時間を稼ごうとしたジョセフに同行し、
 文字通り身を犠牲にして助けており、最後の勝利へと繋ぐ尽力を見せる。
 Part2におけるジョセフの最後の戦闘を見届けた唯一の人物となった。
 その後はジョセフと再会する事なく、
 1943年のスターリングラード戦線で誇り高きドイツ軍人として名誉ある戦死を遂げた。*2
 アニメでも自らの肉体をさらに改造し、
 「世界一ィィィィッ!」と叫びながら戦線に向かうシーンが追加されている。

小説『恥知らずのパープルヘイズ』では名前のみ登場。
石仮面による不死の研究の責任者になっていた事が作中で解説される。
シチリアにあった石仮面を回収する予定であったが、スターリングラード戦線で戦死したため、石仮面は回収されずにシチリアに残されていた。

第7部「スティール・ボール・ラン」ではパラレル存在の人物「フリッツ・フォン・シュトロハイム」が登場。
やはり体を機械化して攻撃するものの、さしたる活躍もなくあっさり序盤で姿を消した。

(以上、Wikipediaより転載、改変)


機械化した身体で戦うサイボーグという、シリーズでもかなり珍しい個性の持ち主である。
当然作中でも一般人からすればオーバーテクノロジーであり、
最初は顔に金属部品を付けているだけだと思っていたジョセフは、
腕や胴体までもが機械化されている事を知って驚愕している。
シュトロハイム自身はこの体を誇りとしており、
ジョセフに対し「可哀そうだなどと思うなよ」という旨を凄まじいハイテンションで語っている。


「俺の体はァァ、

 わァがゲルマン民族の最高知能の結晶であり

 誇りであるゥゥ!!」

改造後は体温が無いらしく、カーズでも壁越しには存在を探知する事ができなかった。
指だけでも1平方cmあたり1950kgもの力があり(サンタナの2倍!)、カーズの手の一部を引き千切れるほど。
腕自体も有り得ない方向に曲がる。
最初の改造時には1分あたり600発の徹甲弾を発射可能な重機関砲を胴体に装備した他、
右目には小型の紫外線照射装置が仕込まれている。
この紫外線照射装置は後にスピードワゴン財団の技術で強化・小型化され、最終決戦時には全身に装備された。
右手をロケットパンチの如く発射するという隠し技もある

また最初の(生身での)爆死からサイボーグ化して復活、カーズに真っ二つにされても復活、ジョセフを救出する際に下半身が潰れても生存、
火山噴火の只中に取り残されても生還と、作中では幾度も凄まじい不死身ぶりを見せた。
スタンドによる治療も存在しないこの頃に、これだけの怪我を負ってなお復活し続けるのは驚異的である。

「ちょいと右脚がギクシャクするがァァァァ 俺のカラダは 修理は完了ォォォォォ」

シュトロハイムの存在は後の漫画やゲーム業界にも多大な影響を与え、
格ゲーではガイルの髪型が彼にそっくり(元々はがモチーフだったが)。ついでに名前も第三部のJ・ガイルから。
中にはナチスのサイボーグ軍服姿のナマズなど外見もシュトロハイムを意識した格好のキャラクターまでいる(後者は悪役だが)。
「世界一ィィィィッ!」という台詞も日本一宇宙一などと形を変えつつ、様々な作品に使われている。
やたらジョジョやガンダムの台詞をパロディしたがる『戦国BASARA』シリーズの直江兼続を前述の通り伊丸岡篤氏が担当している為、
『4』発売前にファンから「絶対にシュトロハイムの台詞を混ぜてくる」と予想されていたが、やっぱりその通りだった
ドイツ脅威の暖房力

また、アニメ版ではジョジョ屈指の名場面であるシーザー死亡回の20話において、多くの視聴者が涙した本編終了直後、
余韻をぶち壊しにするテンションでCVシュトロハイムのジョジョのCMが流れ
「涙がドイツ軍人に吹き飛ばされた」「空気読め」という声が相次いだ。
伊丸岡篤氏本人もオンエアを見て、(自分の声なのに)シュトロハイムに殺意を抱いたらしい。
泣いとる場合かーッ!!!


格闘ゲームにおけるシュトロハイム

カプコンの格ゲーは第3部なのでシュトロハイムは登場しない。
後に1部や5部のゲームは出たものの、2部を題材にしたゲーム作品は今の所は無い。

オールスター物では『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル(ASB)』への参戦は、
重ちーやら音石やら(アナスイもいるけど)に枠を奪われて惜しくも逃してしまっている。
その後『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン(EOH)』には無事参戦。
開発の比較的早い段階で参戦が決まりPVではいつものうるさいトークでファンを沸かせた。
なお、CV担当の伊丸岡氏はアニメ版以上にうるささにこだわったとか。
重機関砲モードと紫外線照射装置モードの2つのモード
(勿論モードといっても流法の事ではない)を切り替えたり、
2人の親衛隊と連携攻撃を行って闘うトリッキーなキャラクターとなっている。
キャラ紹介PV動画

上記『ASB』のリメイク版である『オールスターバトルR』では、
発売時点では未登場だったが、後に有料DLC第2弾キャラとして参戦。
お馴染みの重機関砲や紫外線照射装置による攻撃はもちろん、
脱着可能な義手をロケットパンチの如く飛ばしたり、手榴弾を投げつけたりとフリーダムな戦法が特徴。
伊丸岡氏によるハイテンションな演技も健在である。
参戦PV

格ゲーとしては『ワールドヒーローズ』のブロッケンの元ネタという話の方が有名だろうか。
また『餓狼伝説』のヴォルフガング・クラウザーに後付けで設定されたフルネームが「ヴォルフガング・クラウザー・フォン・シュトロハイム」で、
さらにその父親の名は「ルドルフ・クラウザー・フォン・シュトロハイム」。
ほぼ完全に丸ごと引用だが、こっちはルドルフである。


MUGENにおけるシュトロハイム

ジョジョキャラ製作で知られるHeal The World氏によるシュトロハイムが存在する。
Men'sClub氏の若ジョセフを素体とし、システムは未来への遺産を参考に、ドット絵DIOをベースとしている様だ。
ロケットパンチや紫外線照射を始め、ドイツ兵やナイフ使いのドノヴァン(ダークハンターに非ず)を呼び寄せたり、
ジョセフに背後から斧で襲撃足を断って貰いゲージを増加させたりと、原作ネタをふんだんに盛り込んだ技が搭載されている。
もちろん伊丸岡篤氏のうるさいボイスも完備。
中でも3ゲージ技の「ゴッドファーザー」は、文字通りシュトロハイムが相手の名付け親(ゴッドファーザー)となる技。
…どう見てもネタ技だが、全画面投げというインチキじみた仕様なので非常に強力である。
ちなみに幾つかのパターンがあり、原作通り「サンタナ」と名付てくれる時もあれば、「ただの原始人呼ばわりされる時もある。
ひたすら笑い転げてるだけの場合もあるけど

なお、AI起動コマンドはあるものの、デフォルトAIは搭載されていない模様。
外部AIはAnomi Polis氏によるものが存在し、現在はhamer氏によって本体同梱で代理公開されている。
手榴弾やロケットパンチで牽制しつつ、ゲージが溜まれば2ゲージ技の「一分間に600発の鉄甲弾」で蜂の巣にする戦法が得意。
ストライカーのドイツ兵も中々に嫌らしい。


この他に、LautyCarp氏による『JUS』風ドットを用いたMUGEN1.0以降専用のちびキャラも存在する。
DLは下記の動画から



 「祖国のためなら足の二本や三本

  かんたんにくれてやるわ───ッ!!」

出場大会



*1
流石に不自然すぎるためかTVアニメ版ではサンタナ戦の間までは初登場時の髪型そのままで、再登場時にあの髪型に変化している。
また冒頭の台詞は「ナチス」がまずかったのか、TVアニメ版では「ドイツの科学力は~」に置き換えられており、
ワールドヒーローズ』のブロッケンもまた勝利セリフでは「我が国の科学力は~」とされている。
シュトロハイムが初めて言った「世界一ィィ」はスピードワゴンに自白剤を投与する時の「我がドイツの医学薬学は~」なので
(この項目の「劇中の活躍」の項の画像を参照)、
むしろ途中から「ナチス」と言い出したわけだが。まともな技術は「ドイツ」で トンデモ技術は「ナチス」 とか使い分けてるんだろうか

*2
史実でのスターリングラード戦線は、戦場がドイツ本国から遠く離れすぎ、また冬の影響もあって物資の補給が満足に行き届かず、
ドイツ軍は実力を発揮できずに敗れる事となった。
まともな戦闘であれば第二次世界大戦当時の科学の水準を遥かに超えると思われるシュトロハイムだが、
ハイテクノロジーの固まりゆえに物資の枯渇・整備不良という事態に極めて弱いと予想され、彼にとっては最悪の状況下だったのだろう。
カタログスペックを見ればサンタナどころかカーズにも勝る部分がある彼がどうやって戦死したんだ、とはよく言われる話だが、
「ドイツでは想像もできなかった極寒冷環境による機能不全→本国から補給が届かず修理・整備不可能→為す術も無く再起不能」
という可能性が非常に高い。
こうしたスターリングラード戦線の状況を考慮すると、戦闘もできずに機能停止した所をソ連軍に鹵獲されるという最期でなく、
名誉の戦死を遂げる事ができたのは幸運だったのかも知れない……。

と言うか、ナチス戦闘用サイボーグの開発に成功している世界観なら、米ソが超人兵士の開発に成功していても不思議ではない。
旧日本軍にも海底軍艦鉄人計画超人機などが存在し、日独共同開発のビッグX電光機関も存在する。
更には江田島平八がドイツの協力の下に核兵器を開発して米国に特攻を掛けようとするも被害の大きさを考慮して断念したという逸話まであり、
実はジョセフ達の知らない所で超テクノロジー同士の激突があり、豪快に散っていったという可能性を想像するのもまた楽しい。

なお、原作最後の登場時は紫外線照射装置など対「柱の男」用の改造だったので、
人間の兵士相手にはあまり有効でないそれらの装備を積んだまま戦ったせいなのではとも言われていたが、
アニメ版ではラストシーンで様々な対人武器が付いた無数のアームを背中から展開する場面が追加されており、
しっかり戦争用に再改造していた様子である。


最終更新:2024年04月24日 23:39