登録日:2009/08/01 Sat 15:32:04
更新日:2025/01/30 Thu 15:47:09
所要時間:約 4 分で読めます
■概要
『
ソードマスターヤマト』とは、「
月刊チェヨンス」に連載されていた
漫画作品。作者は
夢野カケラ先生。
ソードマスターヤマトという勇者が、悪の化身ベルゼバブと戦うバトルファンタジー漫画。
しかし、月並みな設定やキャラクターの魅力不足などのせいで不人気で、一部の読者からは陳腐、ダサいとも言われる始末。
そして、
最終回一話前のありえない
誤植がきっかけであえなく
打ち切りとなった。全10話。
ちなみにその誤植だらけの回では、何故か最後の煽り文で
「彼女ができました」という謎の報告をした。
どう見ても話の内容と無関係なので、多分作者か編集部のコメントかと思われる。正直うっとうしい。
最終回はなんと
わずか3ページしかページがなかった。
だが、非常に短いページ数の中で伏線を(すごく無理やり且つページ数の都合で明らかに設定変更しているが)回収しきった事に関しては一部で高く評価されている。
単行本は発売されておらず、未だに発売日は未定。
なお、同じく『月刊チェヨンス』で連載されていたマンガ描男先生による
4コマ漫画『
どっこいおむすび君』とは、共に不人気だった事や同時期に最終回を迎えた事などからよく比較される間柄だが、読者人気では『ヤマト』の方が
大きく下回っていた事や、打ち切りとはいえ最終回なのに3ページしか与えられなかった本作とは違って『おむすび君』は常に4ページを確保していた事もあり、比較されると『ヤマト』の方が評価が低くなる事が多い。
■登場人物
主人公だが個性がない。必殺技は新必殺音速火炎斬。
見た目は斬りじゃなくて突きだし炎の要素も全然ないが。
西洋系
ファンタジーっぽい世界観と外見なのに名前が「ヤマト(大和)」な時点でなんかもうアレ。
敵に
トマトと名前を間違えられた他、自ら
ポテトと名乗った事もある。
パンツだけは……許さない!肉しみは消えないし、脇は新しくなる。
妹がいたような気がするがそんなことはなかったぜ!
まそっぷ
ベルゼバブ配下の
四天王の一人。名前の由来は「最悪」。
「
ザ・不死身」という
異名を持ち、元々は10回刺さないと死なないという設定だったが、最終回で実はただの
ブラフという事にされた。
四天王の中では
最弱らしい。
四天王の残りのメンバー。名前の由来はそれぞれ「凶悪」「極悪」「劣悪」。
サイアークが倒された際に隣の部屋で「
人間にやられるとは魔族の面汚しよ」とサイアークを嘲笑っていたが、
次の瞬間に扉をぶち破ってきたヤマトに全員まとめて串刺しにされた。
大魔王。悪の化身。
ヤマトの両親に
おむすび1個で
地獄の労働をさせていたが、やせ細ったので最寄の町へ解放した。
あれ……いい奴じゃん?
倒すには「聖なる石」というアイテムが必要と思われていたが、最終回でただの根も葉もない噂という事実が判明。
名前の由来はそのまま
キリスト教における
悪魔・
ベルゼバブだと思われる。
とりあえず
魔法使いっぽい男と
僧侶っぽい女がいる。
しかし名前は不明だしほとんど背景で、台詞は一言も無い。
最終回に至っては前回まで一緒に行動していたにもかかわらず、全く登場しなかった。
追記・修正できました!
打ち切りの最終回で伏線を一気に回収する漫画のあるあるネタで、劇中劇のあまりの超展開ぶりから今なお語り草となっている。
当時彼女ができて浮かれていた担当編集者の小島によって、とんでもない誤植を連発されてしまう。
+
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ありえない誤植一覧 |
- あいつだけは…許さない! → パンツだけは…許さない!
- 俺の憎しみは消えないんだ! → 俺の肉しみは消えないんだ!
- お前がヤマトか… → お前はトマトか…
- 俺がヤマトだ! → 俺はポテトだ!
- 俺の新しい技を見せてやる! → 俺の新しい脇を見せてやる!
- うおおおお! → まそっぷ
仕舞いには最後の煽り文に「彼女ができました~」という、小島のどうでもいい私情が書かれていた。
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誤植ばかりに注目しがちだが、劇中において不人気の原因は夢野の技量不足である事が度々示されている。
編集の杜撰さがクローズアップされていた第一話「誤植編」においても、実は作品が相当後ろの方に掲載されているのが分かる。
+
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誤植以前の漫画としての問題点あれこれ |
- 西洋風ファンタジー世界なのに、主人公がヤマト(大和)、ラスボスの部下がサイアークと、明らかに世界観に合わないネーミングが多く、妙にダサい。
- 夢野はいちいちキャラの台詞をカッコいいだのなんだのと持ち上げているものの、誤植なしだと普通にありがちな台詞ばかり。
- 音速火炎斬とか言いながら放っているのは突き。そして「火炎」と呼びながら炎のエフェクトも特になし。要するにチグハグなのだ
- サイアークの10回刺さないと死なないという設定も、作者曰く「10話くらい引っ張りたいからこの設定をつけた」とのこと。素直に解釈するなら1話に1回刺すペースで、10話もサイアーク戦を続けるつもりだったということになり、明らかに構成がおかしすぎる。
ついでに言うなら不死身と言いながら10回刺せば死ぬというのも情けない
- キャラクターデザインが全く洗練されておらず、顔は軒並み無個性(敵サイドに適当なツノやヒレが描かれている程度)。衣装デザインも壊滅的で、ヤマトの格好からして上下がランニングシャツとジーンズにしか見えないという有様。そして取ってつけたかのように肩アーマーを着けている。他の部位は守らないのか……?
作品の問題点以外にも、自分の描いたシーンをやたら「超」をつけて持ち上げたり、新担当の富田からありがちなオチを勧められた際「僕の漫画の場合はできない」と暗に他の漫画を下げる発言をしたりと、この時点でも夢野の人間的な欠点が描写されていたことが分かる。
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結果として、ありがちすぎな内容にありえないレベルの誤植を連発したことが不人気に拍車をかけ、結局打ち切りを宣告されてしまう。
上記の仲間二人が最終回に一切登場しなかったのも、恐らく本編に登場する前に終わってしまったためだと思われる。
最終的に夢野は、超高速展開で全ての伏線を無理やり回収して終了したのだった。
■余談
- 作者として作中に登場する夢野カケラは不人気な漫画家という設定があり、別誌『月刊チェホンマン』で連載したサッカー漫画『決めろ!キラメキシュート』も不人気とテコ入れの失敗が原因で、あろうことか『ヤマト』以下のページ数で打ち切りを迎えてしまった。
さらに別の雑誌で連載したラブコメ漫画『恋のトライアングル』はゲーム化までこぎつけるものの、開発スタッフがこの作品を嫌っていたせいでとんでもないクソゲーにされてしまうなど、不人気とはいえ、散々な目に遭っている。
ただ、実はこんなんでも勘違いから長期連載になってしまった『恋のトライアングル』を除けば、夢野の連載漫画の中でも一番長く連載が続いた作品なので、この時点では読者人気もそこまで絶望的ではなかったのかもしれない。
- 後年、『少年ガンガン』で連載されていた下村トモヒロ先生の『女王騎士物語』が突然の打ち切りに遭ったが、多くの読者がその事実に驚く中、『少年ガンガン』には数ページのうちにこれまで戦った敵組織との決着を付け、伏線も全て回収し、主人公が最終決戦に出撃するシーンで〆るという、完全に『ソードマスターヤマト』な超展開の最終回が掲載。
そのラストの煽り文も「エルト(主人公)の愛がアルマ(ヒロイン)を救うと信じて…!」と『ヤマト』のそれと酷似していたため、「リアルソードマスターヤマト」もしくは「ソードマスターエルト」と呼ばれることに。
ただし下村氏の画力は夢野カケラなど足元にも及ばない程高く、最後のコマも煽り文句はアレだが非常に勢いのある構図で描かれている。そもそも本作は普通に人気があり連載は4年、単行本も全12巻が出ていることから比べることすら烏滸がましい。
なお下村氏は後に連載した「シュガービーチ」でも「みなと(主人公)の愛がビーチバレー部を救うと信じて…!!」という煽り文句を書かれた。持ちネタじゃないんだから……。
- アニメでは夢野と新しい担当の富田が語るシーンでなぜか赤ちゃんの泣き声が流れる。
- 『ギャグマンガ日和』の作者である増田こうすけによると、元々は自身の漫画を誤植されることへの悲しみをネタにした作品だったとのこと。つまり誤植編がメインで、完結編はオマケだったというわけ。その後は、完結編のような打ち切り漫画の悲哀と滑稽さを描いた人気シリーズになったのはご存知の通りである。
- 「月刊チェヨンス」の元ネタは韓国代表やジェフ千葉で活躍した韓国人サッカー選手・崔龍洙(チェヨンス)氏と思われる。同じく「月刊チェホンマン」の元ネタは韓国人格闘家で気さくなキャラクターからタレントとしても活動した「チェホンマン」氏。
wiki籠りの追記・修正が世界を救うと信じて…!
- ↑ ヒュンケル「実は俺は1回刺されただけで死ぬぞっ!」クロコダイン「実は俺は1回刺されただけで死ぬぞっ!」ダメだどっちも想像出来ねぇ! -- 名無しさん (2021-03-06 13:49:32)
- ↑真バーン「お前は余を倒すのに『ダイの剣』が必要だと思っているようだが、別になくても倒せる」 無 理 -- 名無しさん (2021-03-06 14:07:59)
- リアルソードマスターヤマトで思い浮かぶのってどっちかというとマガジンのアレだわ -- 名無しさん (2021-03-15 02:16:22)
- ↑×2ダイ「この俺に生き別れの実父がいたような気がするが別にそんなことは無かったぜ!」バランは泣いていい -- 名無しさん (2021-10-23 15:27:40)
- 聖剣伝説3では中盤でメインではない悪役が四天王並に雑に一掃される。リースが仲間にいると弟のエリオットもやせてきたので最寄りの街に解放される。 -- 名無しさん (2022-01-16 13:01:59)
- ラストファンタジーの時に剣と魔法のファンタジーを「最も得意とするジャンル」って言ってた辺り、夢野的には自信作だったんだろうか -- 名無しさん (2022-01-16 13:13:13)
- 誤植とか抜きにしてだけど、『10話にして魔王城に乗り込む』という展開で夢野は打ち切りの気配を感じなかったのかね。読者でも「あっ(察し)」ってなるはずだが -- 名無しさん (2022-02-10 23:10:39)
- ダイ大で例えるとあれかな。デルムリン島に乗り込んで来た時点でハドラー完全撃破して、その次の回で鬼岩島に乗り込んで六団長全員1コマで瞬殺するみたいな -- 名無しさん (2022-04-12 21:21:41)
- 月刊誌なら当然ありえないけど。これ週刊誌でもダメじゃない?敵幹部1人目とのバトルに十話も使うとか、大人気バトル漫画でも展開が中弛みしてるって言われるやつやん -- 名無しさん (2022-10-21 17:54:24)
- 打ち切りじゃなくて、ヤマトvsサイアークを夢野の好きなように10話もやらせてたら。チェヨンス読者「……サイアークが10回刺されないと死なない設定どこいった?」←みたいなツッコミが普通にされてた展開をやった可能性が高いと思う。冗談抜きで -- 名無しさん (2022-11-09 12:43:46)
- なぜか唐突に話題になってしまったが、何があったの -- 名無しさん (2022-11-09 18:26:29)
- ↑マガジン連載の某漫画がリアルでソードマスターヤマトみたいな事態に陥ったとか何とか…… -- 名無しさん (2022-11-09 19:18:26)
- 日本で一番有名な打ち切り漫画 -- 名無しさん (2022-11-10 12:26:59)
- ↑(リアルで)連載されてすらないのに何一つ間違ってない称号なのがこう…なんだろうね! -- 名無しさん (2022-11-10 14:17:27)
- 月刊ジャンプ買ってて良かったと当時本気で思った話、読んで笑わなかったページないくらい衝撃的で面白かった変なテンションで見ると本当にヤバい -- 名無しさん (2022-11-10 22:34:02)
- 彼女が出来て浮かれすぎた結果のやらかしがデカすぎるが、夢乃の漫画を「あんまり人気無い」程度で保たせて四天王登場まで持たせるとか…ウヴォーギンみたいに「初期のキャラが実は最強だったのでは?」って感じの有能担当だな小島さん。惜しい人を亡くした…彼女さえできなければ… -- 名無しさん (2022-12-02 03:47:32)
- ↑たぶん夢野初の連載による補正かと、「画力やセリフ回しが拙いけどこっから成長してくよな……?」って儚い期待をしてた編集や読者がそれなりに居た可能性が高い -- 名無しさん (2023-01-22 17:57:58)
- 統一されてないネーミングって言うほど問題点か?そういう作品チラホラ見かけるんだが -- 名無しさん (2023-03-05 19:57:34)
- 波動砲マスターヤマト。 -- 名無しさん (2024-05-02 11:47:37)
- 時々読み返したくなる優秀なページだな -- 名無しさん (2024-05-30 11:32:05)
- ログ化を提案します。 -- 名無しさん (2024-06-16 11:48:23)
- ↑22早期打ち切り対策に、デルムリン島に襲撃してきたハドラーを撃退した段階でも終われるように対策していた…と打ち切りのページにあった -- 名無しさん (2024-06-16 16:17:22)
- 土方悠さんの漫画「卓球とハードロックと僕。」でドラムの蝶さんが漫画家デビューしたんだけど彼の連載した作品の最終回がこれみたいになってたw -- 名無しさん (2024-06-24 18:44:49)
- マガジンZ版メトロイドもマザーブレインに挑むところで終わってるけど、あれはそもそもゲームの前日譚だしサムスが勝つ事も確定してるのよなーと -- 名無しさん (2024-06-24 19:40:17)
- 普通の漫画家なら、状況説明と登場人物紹介で1ページぐらい使いそうなところを、最初のセリフとタイトルの「誤植編」だけで、「この漫画のシチュエーションと登場人物紹介」を1コマで済ませてしまっている、っていう指摘には納得した。 -- 名無しさん (2024-06-24 19:57:21)
- ログ化しました。 -- (名無しさん) 2024-06-27 10:06:42
- 描いてる人にとっては全然笑えないんだろうなぁ、これ。 -- (名無しさん) 2024-06-29 15:06:22
- ↑10 もちろん統一する必要はないけど、ただ人気作や読みやすい作品は勢力ごとに特徴を明確にしてる(ネーミングなら英語、漢字で分けるとか)からな。そういう意味でもこだわりがない・読ませる気がないと思われても仕方がない。 -- (名無しさん) 2024-09-26 13:52:36
- 特撮だと敵組織ごとに怪人のモチーフや方向性を統一する、場合によってはそれぞれ違うデザイナーを起用するとかもあるね。というか(一発ネタで凝る必要も無いだろうとはいえ)デザイン自体が揃いも揃って適当過ぎて、到底人気作にはなれないだろうなとしか -- (名無しさん) 2024-11-09 16:39:20
- >暗に他の漫画を下げる発言をしたり←これ揚げ足に見える。確かに夢野は普通のセリフを超渋いとか言う感性の持ち主だけど、この発言に関しては設定広げすぎちゃったから上手くまとめられないってだけで、別に他の漫画とはレベルが違うからとかそういう意識はないと思う -- (名無しさん) 2024-11-26 20:39:33
最終更新:2025年01月30日 15:47