アーキタイプ(TCG)

登録日:2016/07/16 Sat 09:48:52
更新日:2024/12/04 Wed 23:17:11
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ここでは、トレーディングカードゲーム(TCG)におけるデッキの分類の方法
『アーキタイプ/Archetype』について解説する。


概要

TCGは古今東西、様々なデッキが誕生しており、その中でもかなり流行ったデッキは「デッキタイプ」として名前が残る。
古くは【MoMa】【八汰ロック】【カウンターボルバル】などがあり、その後も【Delver-Blade】【EMEm】【墓地ソース】などが生まれている。

…だが、どれだけ時代がたっても根幹的に変わらない部分もある。
「そのデッキは基本的にどういう動き出しをして、その後どう勝利を目指すのか」という点である。
主に「特にゲームにおいてやれることが多い」MtGにおいてこの概念が議論され、その成果物は他のTCGに伝播していく。

分類の種別

古典的な分類

古典的には【ビートダウン】【コントロール】【コンボデッキ】の3つに分けることが多い。

『殴り倒す』という意味からもわかる通り、自分から積極的に攻撃を仕掛けるもの。
クリーチャーやモンスターなどをすばやく展開し、前のめりに殴ることを目指すデッキタイプ。
ハンデス(手札破壊)などの妨害手段や、あまり複雑なコンボやギミックを持たない(あるいは「持てない」)デッキが多く、最も基本的なアーキタイプであり、黎明期からカードパーツが変わってもプレイングが変化しにくい。

攻めることよりも妨害に主軸を置き、相手を自分の支配下に置こうとするタイプ。
相手に対して優位を保ちつつ、頃合いを見計らって勝つ。重要なのは『ゲームの流れを支配すること』である。
もちろん妨害することが重要になり、手札破壊や除去などを積極的に行う。
基本的には序盤では自ら仕掛けることは少なく、完全に主導権を握った後で一気に攻撃して勝利する場合が多い。

文字通り『コンボで勝つ』デッキ。ゲームエンドに繋がるようなコンボを完成させることを目指すデッキとなる。
そのため、自分から攻撃を仕掛けることは少なく、ゲーム中はサーチやドローなどの下準備に終始していく。
相手を足止めするために、ハンデスなどのコントロールの要素を組み込むことも多い。


この3つはじゃんけんのような三竦みになっており、
  • ビートダウンは妨害される前にコントロールを殴りきれる
  • コントロールはコンボパーツを落とせるためコンボデッキに強い
  • コンボデッキはビートダウンにペースを乱されにくい
…ということになっているのだが、タイトルの増加やパワーインフレによって「そうともいえなくね?」ということも多くなっている。

たとえば、
  • そもそも現代のビートダウンって早くね?コンボ間に合うの?
  • コントロールがコンボパーツを落とせるって言うけど始動し始めたらどうしようもないことも多くね?
  • コントロールで嵌め殺したらビートダウンは息切れするよね?
みたいな。

また、そもそも概念論でしかなく、例えば「相手の必須パーツを落としきったと思ったら落ちたところから展開された」とかも発生するため運も生じるし、
環境如何では「ビートダウンにこそ強いコントロールの【マスデストラクション*1】、【ランデス*2】」とか「コントロールでチンタラしている間に即死コンボ決める【ストーム*3】、【ベルチャー*4】」とか「コンボに強すぎるビートダウンである【親和*5】、【メンター*6】」だってありうる。

そして一番の問題は「この3つは分類がゆるすぎる」ということである。
現代のビートダウンやコントロールは「どっちにしか偏らない」ということは少なく、またコンボデッキは成立のためにコントロール要素を含むことも多い。
そのため説明としては便利でも、実際にはこれらでは割り切りにくいデッキも続出する。


Floresの分類

Mike Floresは概念として9つに分けた。
なおこれはMtGプレイヤーがひとり考えたものであることを考慮して欲しい。
  • 【カウンタースリヴァー】に代表されるクロック・パーミッション
  • ストームネクロ】に代表されるドローとマナ効率を追求したデッキ
  • 【プリズン】に代表されるボードコントロールを追求したコントロール
  • 【スライ】に代表されるマナカーブ理論を追求した火力・クリーチャー併用型のビートダウン
  • 【ストンピィ】に代表されるクリーチャーを主体としたウィニー
  • 【The Deck】に代表されるカード・アドバンテージを追求したコントロール
  • 【ジャンク】に代表される汎用性の高いグッドスタッフ
  • 【ティンカー】に代表されるマナ加速とマナ・コストを踏み倒す事を主体としたデッキ
  • 【ネクロ・ドネイト】に代表される瞬殺コンボデッキ
彼はこれで今後のデッキも全部分類できるとしているのだが、そりゃそうだ、多いもの。
もちろん示唆に富む部分も多く、原文は読んで欲しいところだが、【スライ】と【ストンピィ】は同じ低マナ域ビートダウンということを考えるとデッキタイプレベルの分類で、アーキタイプ的には同じ【アグロ】ではないかと思う*7


MtG・R&D(2012)の分類

MtGの研究開発部(R&D)は6つのアーキタイプを提唱した。
最序盤から軽い脅威を展開してその速度で相手を圧倒するもの。
速度は早いが一度凌がれるとカードパワーの差で状況があっという間にひっくり返り、カードパワーの低さから逆転しにくい。
  • ミッドレンジ(Midrange、中速)
クリーチャーの質を重視したビートダウン。
初速はアグロに譲る代わりに、こちらは1体1体のパワーが高いことで粘り強く殴れ、
持久戦ではコントロールとランプに劣る代わりに、ゲームエンドに行くまでの速度で勝る。
  • ランプ(Ramp)
序盤でリソース(MtGならマナ)をひたすらためこみ、でかい脅威をぶん投げる。
あとはそのカードパワーで暴力をかます。
  • コンボ(Combo)
必要パーツを集め、変わったコンボによって一気にゲームエンドへ持ち込むデッキ。
準備に手間を要するが、決まれば問答無用の一撃必殺級の威力となる。
  • コントロール(Control、低速)
対戦相手の脅威を妨害して、最後に少数の相手を殺す脅威でゲームを終わらせる。
展開は遅いが相手を息切れさせてしまえばあとは煮るなり焼くなり。
  • 撹乱的アグロ(Disruptive Aggro、ビート・コントロール)
序盤から脅威を出しつつ、それに対する除去や妨害を、こちらが妨害し返すデッキ。


「ビートすることそのものをコントロール要素に組み込む」という概念を
「純粋にコントロールして最後に一気に決める」既存のコントロールから分離し、
ビートダウンとコントロールのどっちつかずなファッティを投げるデッキを「ランプ」と定義したことで
非常に分類がしやすくなった。

もちろんこれでも欠点はある。
MtGでも例えば「バーンデッキ」はどうすんねや、ってなるし、ランプはリソースを貯めるTCGでなくては定義しづらい。
【バーン】はクリーチャーの代わりにスペルで殴るアグロ系、もしくはボードを火力でコントロールして低マナ高火力で殴るボードコントロール系。
【アグロランプ】はミッドレンジに分類するのがしっくりくる。
遊戯王みたいに「ウィニーを展開したらそれが大物に入れ替わる」ものはランプではないがアグロでもないしコントロールも結構する。
どれかと言えばクロック・コンボ系。
このため、カードゲームによってもある程度概念を分けることもある。

…とはいえ、それでも現在でも分類法としてはMtGの3大アーキタイプや6大アーキタイプを引用することが多く、
こういった概念を理解してデッキを見ることで、どう動かせばいいか、どう対策すればいいかがわかるし、
デッキ構築時も「なんでアグロにこんなデカブツ入れてんだ俺*8」「流石に防御札少なすぎるだろ*9」とセルフツッコミできるようになるので理解しておくと便利かもしれない。

昨今では「ハースストーン」や「シャドウバース」などのビデオゲームTCGも登場し、紙のものだけだった時代に比べるとカードゲームのプレイ人口は増えてきている。
それらビデオゲームTCGのデッキ構築指南などのサイトでも上記のアーキタイプが引用されていることが多いため、大まかにでもアーキタイプについて知っておくと、それらのサイトがより分かりやすくなる…かもしれない。



より詳しい解説


アグロ

詳細はアグロ(TCG)を参照

速攻できる軽量カードを出しまくって相手を削り切るコンセプト。
要は「相手が準備完了する前に殴りきれれば強いよね!」という攻撃型デッキである。
MtGだと特に著名なのが黎明期の【スライ】。
当時「はっきりいってストレージか、さもなくばゴミ箱行き」とすら思われるような冗談みたいなクリーチャーしかいなかった赤のウィニーを、
《露天鉱床/Strip Mine》を用いて相手の土地の伸びを抑えつつ、ひたすら展開しては殴ることで「スピードで勝つ」デッキとして後のアグロの概念に影響を与えている。
なお現在は赤も優秀なウィニーが多くなっているので、黎明期よりも【スライ】は更に強いことになってたりする。
白ウィニー】に代表される【ウィニー】も分類上はここ。火力を採用しない代わりに「ダメージ軽減」や「回避能力」でダメージを継続的に与える、「全体強化」でパワーを上げて殴るのが【スライ】との違い。
他にも全体除去を自分からぶっ放し、低マナならではのリカバリー力で相手の体制が整う前に殴り切るというプランもある。

デュエマでは【速攻】と呼ばれるデッキタイプがこれに該当する。
各単色や二色で存在しており、値段の割に強力なことで有名。
これも「耐えきられて崩されると立て直しが効かない代わりに、速度で圧倒する」デッキタイプであり、一種のスーサイドとも言える。
但し、他のゲームの【ウィニー】に比べると、コストを踏み倒せるなら《レッドゾーン》や《ドギラゴン剣》のようなデカブツでも採用し、
手札消費が激しくなるという点について違いがある。
このため、デュエマではアグロという概念は根付いておらず、デッキタイプとして語られる。

バトルスピリッツでは召喚酔いもなく、コストが0のスピリットなら後攻から5体並べてのワンショットも狙える。
特に初期の頃は除去の弱いTCGであったため、ほとんどのデッキがコスト3以下を重視したウィニーデッキの強い環境だった。
疲労状態でブロックできるスピリットやライフ減少に反応する【バースト】の登場により低コスト、低BPスピリットへの対処法が確立。
現在はただ軽いコストのスピリットを並べるだけのデッキは相応のリスクを背負うこととなった。

遊戯王OCGは2024年現在ではほとんどのデッキが1ターンで展開できるデッキが大半を占めるので分類は難しいが、
「展開した時にどこまで伸ばせるか」「展開に必要な初期手札をどれだけ増やせるか」と言った点で違いはあり、これに特化したアグロっぽいデッキはある。具体的には、「ブラックフェザー」デッキや【サイバース族】系デッキ(特に純「サラマングレイト」デッキ)がそのタイプ。
「モンスターを特殊召喚するモンスター」ばかりでデッキを固めるので「ターンが終わった時に出せているモンスターの質・量が他のデッキより多い」「引き運に左右されにくい」「途中で《灰流うらら》等の妨害をもらっても動きが止まりにくい」という利点がある代わりに、一度巻き返された後の立て直し能力や《スキルドレイン》のようなメタカードに弱いという弱点、なにより《増殖するG》の悪影響が強く出るという欠点がある。


ミッドレンジ

速度を重視するとそれだけ守りが手薄になるのが問題ならば、速度を多少落とすことでカードパワーをある程度確保すればいいと言うバランス型デッキ。
軽量クリーチャーは「殴り手」よりは《貴族の教主/Noble Hierarch》や一撃奪取サイクルなどの
後続をサポートするクリーチャーを出したり、後続を強化するタイプを採用し、後に繰り出す「ちょっとでかい」クリーチャーやモンスター(中量級)で攻める。
《包囲サイ/Siege Rhino》や《爆竜 GENJI・XX》なんかが登場するわけである。

このためコントロール要素をある程度自然に入れやすく、「相手の邪魔な守りを除去する」「相手の脅威を潰して時間を稼ぐ」などがしやすく柔軟性がある。
ジャンドコントロール】が典型的な例で、ハンデスで相手の厳しいカードを抜きながら、単体除去で出てしまったクリーチャーを除去。
そこにこちらのちょっとデカブツをねじ込んでいくタイプなので、コントロールの名を持ちながら分類上はミッドレンジなデッキである。
流石に純粋な持久力ではコントロールやランプに分があるが、それらにはミッドレンジが速度で勝っている。

基本的にカード間のシナジーをほとんど使わないデッキになりやすく、どのカードも同じようなカードパワーを持つため、ハンデスでどのカードを抜かれてもさほど痛くない。
なので「俺もお前も手札を捨てようぜ!」的なカードでも、何故かアドバンテージを獲得している事になる。
ハンデスが効果的に働く【コンボ】や【ランプ】には序盤こそハンデスで有利に働くが、パーツを揃えられると逆に即死するパターンが多い。
基本除去が3点ダメージの《稲妻/Lightning Bolt》である【ジャンドミッドレンジ】であれば、タフネス4のクリーチャーが自分より速く出たらそれだけで不利になる。テメーのことだよ【エルドラージランプ】で3ターン目に出てくる《現実を砕くもの/Reality Smasher》

遊戯王OCGでは「コンボデッキが主流」かつ「1ターンで必要なカードを揃えられなければろくに戦えない」という事情から、ここに属するデッキはカード間のシナジーがなくとも強いパワーカードもしくは永続系カードを組み込むメタビート系のデッキが多くなりやすい。
妨害系罠との連携が半ば前提となっている「エルドリッチ」デッキや「ラビュリンス」デッキ、手札・墓地・フィールドにバランスよく散らした関連カードで強固なロックをかける「粛声」デッキ、"特殊召喚"に一切頼らない特殊性ゆえにそれを封じるカードも使える「ふわんだりぃず」や「真竜」デッキなど。
モンスターをメインデッキに入れないので速度という概念すら放棄できる「神碑」なんて変わり種も分類的にはここだろう。
あと、「決戦のゴルゴンダ」や「威光魔人」らでロックをかけるシンプルな「メタビート」デッキもある。


ランプ

強大な重量級モンスターを一体ドンと据えて、相手をじっくり攻略していくコンセプト。
簡単にいえば「さっさとデカブツ出してパワーで叩きのめせば勝てるんだよ!」というデッキである。
まどろっこしい姑息な時間稼ぎも、雑魚軍団によるみみっちい攻撃も、デカブツさえ出せば巻き返せる、というのがデッキの肝というわけだ。
最古はマナクリ連打からマッチョメンを出す【赤緑ステロイド】に辿り付く。

といっても、馬鹿正直に相手の全てを受け入れる態勢だとまどろっこしい姑息な時間稼ぎも何も出来ずにただのカカシになったり、
雑魚軍団によるみみっちい攻撃がいつの間にか心臓に達してたりするので、
実際には途中でもある程度は動くし、デカブツを出す準備のためにできるだけ早くリソースを貯める工夫はする。
このため、「コントロール気味にコンボを目指し、その結果産まれたデカブツでひたすらビートしていく」というある意味では3大アーキタイプの概念への挑戦者でもある。

【ウルザトロン】における《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》などがこれにあたる「えげつないデカブツ」であり、
対処法としては「出される前に殴り勝つしかない」。出てしまったが最後、あなたはエムラクール、俺もエムラクール。即ち死。
なおMtG的には「デカブツが横に並ぶ」という概念は少なめ。(【オムナス・ランプ】等、近年は例外も増えてきている)

デュエマでは「ターボ」と呼ばれ、【連ドラ】などの多くのコスト踏み倒しデッキや、大量のマナブーストから各種強力なクリーチャーを繰り出す【ビッグマナ】などが該当する。
カイザー「刃鬼」】や【ヘブンズ・ゲート】なんかでも割とよくある光景だったりする。
【ジュラシック連鎖】に至っては背景ストーリーの指導者が「数で攻めるとしても、パワーは大事なんだよね。」と提唱している始末である。
九極侵略】は「9コストのクリーチャー9体を踏み倒す」事によりデカいフィニッシャーを呼び出すため、コンボデッキと一見見分けがつかない。

バトルスピリッツではコアブーストを多用するタイプのデッキがこれに該当する。
但し、現在は特定の系統を直接召喚する効果や【バースト】により大型スピリットを早期召喚が狙えるなど
「効果による召喚補助」は非常に充実したカードプールであるため高コストでもポンポン出てくるのが実情。
逆にこれらの召喚補助ギミックを積んでいないデッキの方が珍しいため、ランプと普通のデッキの線引きは非常に曖昧である。

遊戯王OCGでは、「ランプ」と言い切るデッキを見つけるのは難しい。遊戯王OCGに偏在する「1ターンでコストを貯めきり必要なカードを全部出しきれないデッキは弱い」の法則から、たいていの大型モンスターは最初の1ターンの間に出てしまうからだ。
出した大型でぶん殴るという点では全部ランプのようなものだが、「一度敷いた布陣を崩されにくいか?」「巻き返された後、もう一度逆転ができるか?」という点ではデッキによって結構差がある。
ゆえに、分類するなら「出すために準備が必要だが、一度敷いた盤面を崩されにくく防御力の高いデッキ」になるだろうか。
墓地に多量のモンスターを溜め込むという条件さえ達成できれば何度でも復活でき強烈な効果で盤面を支配できる「インフェルノイド」、響鳴カウンターという特殊なカウンターが必要だが強固な耐性を誇る「ヴァルモニカ」、手札事故で動けなくなってしまうリスクを内包するがそのリスクに見合ったパワーカードをぽんと出せる「ジェネレイド」や「王の棺」あたり。
攻撃力の低さと引き換えに1体1体が強烈な制圧効果と自己特殊召喚効果を持つ小型モンスターだけで盤面を固めるアグロ兼ランプみたいなデッキ「スプライト」もある。



コンボデッキ

詳細はコンボデッキ(TCG)を参照

特定のカードを組み合わせ、相乗効果で壊滅的効果を叩き出す事を主軸としたデッキ。
「コンボひとつを勝ち筋にする」という都合上、どうしても単独のデッキタイプになる。
ランプは「カードパワーでゲームを支配する」だが、コンボデッキは「成立即ゲームエンド」であることが多く、
言ってみれば「ワンショットキル」や「エクストラウィン」か「ライブラリアウト」を目指しているのである。わぁい、コンボー!

発想力がないと組めないことも多く、ルールの裏をつきまくった酷いデッキも多数。
MtGの《Time Vault》とか遊戯王の《ポールポジション/Pole Position》とかはそのカードの効果がルールに挑戦的すぎたためにかなり物議を醸したりしたこともある。

コンボを成立させるためのパーツはどうしても縛られてくることから、最初に組んだ人はともかく、
そのフォロワーはコピーデッキになりやすく、対戦相手からも「またそれかよ!」とヘイトを稼ぎやすい。
場合によっては「ソリティア」(一人遊び)と揶揄されることも。
「サイドボードは鞄に詰め込んだ『ガラスの仮面*10」という迷言すら飛び出すよくわからんデッキタイプ。

但し、コンボを成立させることのみにデッキを傾けているので、コンボを妨害されると弱い。
これはほぼコンボパーツとそれを引くためのカードのみで構成された「オールインコンボ」と呼ばれるタイプで顕著。
またコンボの成立要件如何では、速度で勝る相手には窮地に立たされることになる。

【欠片の双子】や【メリーラ・ポッド】等、コンボパーツが少なければ他のデッキタイプにハイブリッドされることもある。
ただMtGにおいて2枚コンボはWotCにマークされやすく、頻繁に禁止指定を喰らっている。

遊戯王OCGは「デザイナーズコンボ」といって、あらかじめコンボさせることを前提に公式がカードを出していることが多いため、コンボだけならほとんどのデッキが該当してしまう。というより、コンボができないデッキは戦力にならないと言い換えたほうが正しいかもしれない。
また、ゲームスピードが非常に速い関係から、2024年時点でコンボデッキと呼ばれるものの多くは「1ターンキル」に特化している。
ゆえに、「コアガジェット*11」や「ゴーレム*12」等、1ターンキルにつながらないものをコンボデッキと呼ぶ向きは少なくなっている。
コンボデッキの例を挙げれば、「推理コレクターワンキル*13」、「佐々木ワンキル*14」、「アステカ*15」などがある。
コンボが強すぎて禁止されたものもあり、有名な「ドグマブレードワンキル」「サイエンカタパ」の他、誰も手がつけられないモンスターを誕生させてしまう「ネプチンゲール」、盤面を完全封鎖してしまう「八汰ロック」なんてものもある。


コントロール

詳細はコントロール(TCG)を参照

「迫りくる敵を妨害しつつ盤面を自分に有利にして嵌め殺し」がメインとなる防御型デッキ。
いくつかのタイプがあり、
  • ロック
クリーチャーやモンスター、維持できるその他パーマネント(エンチャントや永続罠)などの効果によって相手を縛ったり、自分の守りを固めたりするタイプのデッキ。
「使われる隙を作らない」を合言葉にフィールドアドバンテージを重視する。
  • ボードコントロール(除去コントロール)
相手のクリーチャー/モンスターを除去して攻撃を防ぎ、手札を捨てさせるなどして相手の息切れを誘うタイプのデッキ。
「使われる前に破壊しておく」が合言葉。
  • パーミッション
相手の行動に対してカウンターを撃っていくことで相手の行動そのものに干渉するコントロール。
「使われたらすぐに叩き落とす」が合言葉。

などが挙げられる他、そのTCG特有の事情によっては別のタイプも生まれる。たとえば、前述で挙げた【バーン】も広くはコントロールに分類されることがあり、またMtGやデュエマでは相手のマナソースを破壊し続ける【ランデス】が存在する。
追加マナを要求させるカードを連打し、それをすり抜けるカードで制圧していく【白単ヘイトベアー】や【MUD】、【スタックス】なんかはロック要素強めのビートデッキとなる。
また、「コンボを勝ち筋とするコントロールデッキ」や「コントロール要素を持つコンボデッキ」もあり、
コントロールデッキとされる【ジェスカイ日向】と【ジェスカイコンボ】が勝ち筋となるコンボで分けられるなど、その境界が曖昧となることも。
但しこれらは「複合できることも多い」ので、結局後述の撹乱的アグロを除くと【コントロール】と大雑把に区分できる。

基本的に主体的に仕掛けていくのではなく相手の行動を受けつつ対応する、あるいは相手の行動に先んじて縛っていくことが重要なので、
メタゲームで流行っているデッキを分析して、有効な妨害を積んだり妨害すべき場面を把握しないと目的を達成できない。
このためビートダウンに比べると環境依存度がかなり高くなりやすい。総じて上級者向け
特に、長い歳月を経たカードゲームは環境が高速化する傾向にあるため、そういった中でコントロールデッキを活躍させられるかはプレイヤーの腕の見せ所である。
そんなわけでMtGで毎回のように「近年コントロール不遇」と叫ばれ続ける中、【ヤソコン】なるオリジナルチューンコントロールデッキで上位に食い込む八十岡翔太は、様々な人から「あいつは既に人生が2周目で、普通にやったら面白くないから縛りプレーしてるんだ」なんて言われる始末。
当時のプロツアーは新パックの発売2週間後、環境が全然定まってない時期に行われてたのにコントロールで勝つってどう考えてもおかしいでしょ…。

遊戯王OCGでは、ほとんどのデッキが「ロック」「ボードコントロール」「パーミッション」のいずれかの要素を持つ、というかそうでないと試合にならない
一応そういったものを持たない攻撃一辺倒なデッキもあり、「天盃龍」「ワイト」「B・F(ビーフォース)」「ブンボーグ」などががそれ。ただ、そうしたデッキはコントロール要素と引き換えに1ターンキルに特化した高速デッキで、それすら持たないものは「実戦ではろくに戦えない弱小デッキ」の烙印を押される。「ウォークライ」とか「機塊」とか。
なので遊戯王OCGで「コントロールデッキ」といえば、「展開能力はない/遅いが、妨害効果でそれを補う長期戦型デッキ」というパターンが多い。
緊急脱出能力で逃げ回りながらスタミナ勝ちを狙う「天気」や「霊獣」、"落とし穴"との連携で盤面を掌握する「蟲惑魔」、倒されると相手のモンスターを盗んでいく「グレイドル」、ごく少ないモンスターを速攻魔法で支援しながら戦う「閃刀姫」、エクストラデッキのカードを弾代わりに撃ちまくる「ドラグマ」など。
「自分のターンでは動かず、相手ターンでの行動がメイン」というTCGの常識を覆すようなコントロールデッキもあり、「オルターガイスト」「ゴーティス」がそこに該当する。
上記はすべてボードコントロールを重視したものだが、パーミッション重視の「ナチュル」やロック重視の「ダイノルフィア」等も存在する。



撹乱的アグロ

この言葉自体は実はあんまりプレイヤーに広く行き渡っていない。【ビート・コントロール】とか【クロック・パーミッション】と言ったほうが通じることがある。
簡単にいえば「1ターンにある程度のダメージを与えられるクリーチャーがいて、それで理想的に何ターンでケリをつけられるか(=クロック)」を重視して、
そのクロックを刻んでいく生き物を、相手の妨害や除去から守って維持しながら殴り続けるものである。

通常のコントロールはボードを支配した後に勝ちに行くが、撹乱的アグロは、
「ボードに相手にとって脅威となるものを維持して、殴ること自体をもって相手の行動を制限する」デッキである。
要は「ほっといたら殺しに来る生き物を相手は放置できない」という点をついて除去、カウンター、ロックなどをしかけつつ守る。
クロックを刻むクリーチャー自体は、「軽量で条件が必須だけどその分打点が稼げる」ものが好まれる。
例えば【Delver-Blade】における《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》とか。
クロックはダメージに限らず、相手の山札その他の勝利条件のこともある。
《面晶体のカニ/Hedron Crab》や《遺跡ガニ/Ruin Crab》を使ったデッキはLOデッキでありながら動きは完全に攪乱的アグロのそれである。

カウンター呪文を構えて相手に対して有利に立ち回り、そしてちまちま殴る。
この都合上、「相手にカウンターできない、あるいは相手がカウンターさせてくれない」時が弱い。
他にも黎明期の【セラマゲドン】のような例がある(相手のリソースを強制的に空っぽにして、自分だけクリーチャーで殴る)。

遊戯王では、このタイプは主に「カウンタービート」と呼ばれる。
妨害の撃ち合いがメインとなる遊戯王OCGでは、テーマ単位でこれに属するものも複数あり、有名どころでは「ミュートリア」や「PSYフレーム」、「宣告者」がある。
テーマ内に無効系カードを複数擁し、それを使い回す「魔弾」もここに含まれるかもしれない。
また、天使族系のデッキはこのカウンタービート戦術と親和性が高く、"豊穣のアルテミス"を中心とした「エンジェル・パーミッション」や、「代行天使」が"天空の聖域"を中心とするゆるいまとまりとして存在している。



カードゲームによって事情が変わるパターン

  • 遊戯王は「ウィニー(下級モンスター)が序盤からファッティ(上級モンスター)に変わり、しかもファッティが除去耐性やロック、除去なども兼ね備える」という特異なゲームであり、
    狙ってコントロールをコンセプトにせずとも、ビートするだけでもある程度軽度のロックや除去コントロールの理念などは実現できる上、
    仕掛けている間にコンボが成立してワンショット、なんてこともある。
    このため、「狙ってそれをコンセプトにする」場合でないとコントロールやコンボデッキと呼ぶことは少ない。
    一応黎明期はファッティを出すのはある種のアド損もあったので、ウィニーによるビートダウンもあるにはあった。
    この辺りの事情はコントロールの個別ページにも解説が載っている。

  • デュエル・マスターズでは、前述の通りアグロになりえる【速攻】であってもある程度デカブツが入ることはあり、特にビートダウンは侵略者登場以後はデカブツを用意しやすくなっている。
    速度の違いはあっても速攻を除けばミッドレンジとランプ(デュエル・マスターズではアーキタイプではなく「デッキタイプ」として【ビッグマナ】【ターボ】などと呼称)は両方ビートダウンと呼ばれる。
    またカウンター呪文にあたる概念がないので、「撹乱的アグロ」は組みづらい。
    そもそもデュエル・マスターズは「相手にダメージを与える」=「シールド・トリガーが発動することがある」ゲームなので、「クロックを刻む」という概念が薄い。
    こうして初期の三大アーキタイプを否定する必要がない。
    なおデュエル・マスターズはコンボデッキは他に比べてかなり許されているうえ、「殴ること『で』パーツを揃える」デッキもあるため本当の意味でコンボデッキが他と対等な関係にある。

  • 初期のポケモンカードゲームでは、進化ポケモン(特に2進化ポケモン)か非常に強力だったため、いかにしてこれを早く出すかというランプデッキが環境の主軸だった。
    現在では「ポケモンEX」「ポケモンGX」「ポケモンV」「ポケモンex」といった特殊なカテゴリーのたねポケモンが登場しており、進化せずに強力なワザや特性で序盤から攻撃するシーンも珍しくない。しかし2進化ポケモンの「ポケモンGX」や「ポケモンex」、「ポケモンV」から参加する「ポケモンVMAX」「ポケモンVSTAR」等もおり、進化の必要性が無くなったわけではない。




追記・修正は自分のデッキとにらめっこしながらお願いします。

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最終更新:2024年12月04日 23:17

*1 相手の生き物を徹底的に除去する。

*2 そもそも相手に展開させない。

*3 構造上カウンターが効きづらい。

*4 最速ワンキルなのでピッチカウンターが無いと間に合わない。

*5 超速マナ踏み倒しに加え、横並べも一点集中も出来る多軸ビート。

*6 規制前は最速2Tキルが可能だった超速ビートデッキ。

*7 まあデュエマでも【アクアンホワイトブラック】が後の【ドロマー○○】という分類を生み出しているため、案外アーキタイプとデッキタイプの境目は低いのかもしれないが…

*8 TCGによってはデュエマの【墓地ソース】や【マンマショック】【ドギラゴン剣3tキル】【赤黒レッドゾーン】のように、アグロでもデカブツが入ることはある

*9 無論アグロなどの前のめりなデッキは防御札を入れている場合ではないことが多いし、一部コンボデッキなどもデッキスペースがカツカツなせいで守りの薄さを割り切らなければならないこともある

*10 ここでは文字通り原作漫画そのものを指す。要するに「相手がソリティアしている間の暇つぶし手段」という事味

*11 ガジェットとサモンチェーンを合わせて大量展開を狙うデッキ

*12 相手に押し付けた溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムを洗脳解除で奪い返すデッキ

*13 「ナイトメア・デーモンズ」と「地縛解放」を同時発動することで即死級ダメージを叩き出す先攻1ターンキルデッキ。これら2枚は重いコストが必要なのだが、「ジャンク・コレクター」と「トランザクション・ロールバック」で踏み倒して使う

*14 レベルに応じたダメージを与える「ダーク・ダイブ・ボンバー」と、レベルを上げる「ギャラクシー・クィーンズ・ライト」&幻獣機を一撃必殺を狙うデッキ

*15 反射ダメージを増やす「アステカ」の効果で一撃必殺を狙うデッキ